『大逆転裁判2 成歩堂龍ノ介の覺悟』 1話~5話 感想 レビュー ※ネタバレ注意 その1

かーめるん

大法廷バトルADV、『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』(CAPCOM)の感想、考察記事(その1)です。時系列やストーリー内容のネタバレを含みます。



大逆転裁判2 成歩堂龍ノ介の覚悟
大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟- CAPCOM



『大逆転裁判2』の発売から1年が経ちました。特典DLCの感想記事からずいぶんと遅れましたが、本編の感想記事です。作品自体の感想に加え、

・前作『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』の簡単な感想
・旧逆転裁判シリーズとの比較


なども内容に含みます。

第1話~第5話の感想が予想以上に長くなったので、記事を分割しました。ゲーム全体の感想や考察、キャラ雑感については後日、記事その2としてアップします。

※アップしました。以下の記事タイトルから飛べます。

≪関連記事:『大逆転裁判2』が拓いた新境地 感想 考察 レビュー ※ネタバレ注意 その2

※数量限定の特典ダウンロードコンテンツ(DLC)、「遊べる! 大逆転物語」の感想記事も書いています。

≪関連記事:『大逆転裁判2』 特典DLC 「遊べる! 大逆転物語」 感想 ※ネタバレ注意


以下は、ストーリーやエンディングのネタバレを含む詳細な感想と考察です。『大逆転裁判』シリーズのみならず、「逆転裁判」シリーズについても、既プレイの方を前提に記事を書きます。作品の性質上ネタバレは致命的なので、未見の方はご注意ください。



*****



この記事の内容は以下の通りです。



「作品のあらすじ」から、前作『大逆転裁判』のネタバレ要素がガッツリ含まれます。ご注意ください。
「第1話~第5話の感想」では、各話ごとの感想を書きました。ガッツリとストーリーのネタバレをしているほか、逆転裁判シリーズのネタバレも含まれます。犯人の名前など核心的な情報に言及しているので、未見の方はご注意ください。






作品のあらすじ



前作『大逆転裁判 成歩堂龍ノ介の冒險』では、成歩堂龍ノ介がシャーロック・ホームズと運命的な出会いを果たし、大英帝国のロンドンに拠点を得ました。

大逆転裁判1話:11月22日(1899年)/東京
大逆転裁判2話:1月9日(1900年)/洋上
大逆転裁判3話:2月18日/ロンドン
大逆転裁判4話:2月19日~20日/ロンドン
大逆転裁判5話:4月15日~17日/ロンドン

……と、だいたいこのような時系列です。年代は作中ではっきりと明言されていません。しかし史実通りの条約に関する言及があるので、大逆転裁判シリーズの時代がまさに世紀末であることは間違いないと思われます。


『大逆転裁判2』は、『大逆転裁判』5話から4か月後の、1900年8月にスタートします。作品のあらすじを簡単に書くと、以下のようになります。


早世した親友・亜双義一真の遺志を継ぎ、大英帝国の首都・倫敦にやってきた成歩堂龍ノ介。

数か月前の裁判をきっかけに謹慎を命じられた彼は、シャーロック・ホームズの事務所に下宿し、ひたすら勉学に励む日々を送っていた。

そんな龍ノ介のもとに、日本に帰国した御琴羽寿沙都からの手紙が届く。

手紙を読んだ龍ノ介は、アイリス・ワトソンとともに過去の事件の記録に目を通すことにした。
その記録とは、留学中の夏目漱石を見舞った「2つ目の事件」について記したものである。

龍ノ介とアイリスは当時からある疑問を抱いていた。それは、「なぜホームズは、この2つ目の事件を小説の題材にすることを禁じたのか」という疑問だった。


一方その頃、大日本帝国の大審院では、再び英国人殺害事件の裁判が行われようとしていた。
被害者はなんと、半年以上前にジョン・H・ワトソン教授を暗殺した謎多き女性、ジェゼール・ブレット

罪に問われた親友を救うため、寿沙都は女人禁制の法廷に立つことを決意する。

亡き亜双義、そしてパートナーである龍ノ介への思いを胸に、法務助士である彼女の一世一代の大舞台が始まろうとしていた。


時は世紀末。日本と英国、2つの場所で、再び物語の幕が開く。
その終着点にあったのは、かつて大英帝国を震撼させ、多くの人間に痛みを与えた大事件だった。

はたして龍ノ介は、英国司法に厚く垂れこめた霧を払い、失われた真実を見つけることができるのか?

彼の「覚悟」が切り開く、ただ一つの道とは?

弁護士・成歩堂龍ノ介の世紀の大逆転が今始まる。







前作『大逆転裁判 成歩堂龍ノ介の冒險』を振り返る



前作をプレイした直後に、個人的に気になった未回収の伏線や謎についてメモしました。

テキストファイルを整理していたらそのメモを見つけたので、そのまま掲載します。


気になること・謎

・ジョン.H.ワトソン医学博士:なぜ殺されたのか、なぜ娘を残して日本にいたのか
・ジェゼール・ブレット:今後登場するのか、再対決するのか、どういう素性の人間なのか、なぜ領事裁判権を行使されたのか
・亜双義一真:どのような使命を負っていたのか、なぜ暗殺の危険があったのか、龍ノ介に何を望んでいたのか
・ニコミナ:その後どうなったのか
・ヴォルテックス:彼の言う亜双義の意志とは何か、メグンダル裁判の行方を知っていたのか、どういう人物なのか
・バンジークス:死神の噂の真相、絶対の信頼を寄せつつも裏切られたという日本人とは誰か、5年前に何があったのか、5年間法廷に立たなかったのはなぜか
・ホームズ:ワトソンと離れたのはなぜか、どういう経緯でアイリスを預かったのか、帝都ロンドンの闇とは何か
・メグンダル:遺品の回収に差し迫った理由はあるのか、死してなお影響力を持つキャラなのか
・夏目漱石:再登場するのか、どのような小説を書くのか
・ビリジアン・グリーン:再登場するのか、どのような人物か
・下宿人たちの謎:夏目漱石が来る以前の下宿人とは誰か、宝石キラキラの下宿人および彼と揉めていた男の正体とは
・スサト:ミコトバ教授の容態、大英帝国に帰ってくるのか
・ジーナ:レストレード姓は刑事フラグか
・『バスカビル家の犬』:なぜ公開できないのか、なぜスサトはタイトルを知っていたのか
・極秘通信の内容:四人の人物の共通点とは、今後の物語との関わりとは、日本と英国は何を計画しているのか
・水晶塔:今後事件の舞台になるのか



この謎や伏線のほとんどは、『大逆転裁判2』の中で回収されたと言えます。

明確に触れられなかったのは、メグンダルの合言葉("PROFESSOR")くらいでしょうか(メタなお遊び要素か、メグンダルが例の事件を印象深く覚えていたのか)。


ただ、上記を含めた膨大な数の気になる描写は、前作『大逆転裁判』においては回収されませんでした。

『大逆転裁判』の評価が低い(低かった)大きな原因は、やはりそこにあるのだろうと思います。





『大逆転裁判』の感想



個人的な感想を書くと、『大逆転裁判』はプレイしていてかなり楽しかった作品です。

『レイトン教授VS逆転裁判』レイトン教授VS逆転裁判 3DS以来のタクシューさんの演出&テキストに、「これだよこれ~」と満足したことが大きいです。
そのほか、レトロで華麗なイラストやBGMにも魅了されました。刷新された世界設定やキャラクターにも、最終的にはバッチリ馴染めました。主人公である龍ノ介の、成長する等身大の青年像も新鮮で良かったです。

ただその分、謎という謎を盛るだけ盛って投げっぱなしで終了したあのエンディングには、怒るというより呆然とするばかりでした。

「これじゃ謎ばかりだなあ、まさかの6話があるのかなあ」と期待するじゃないですか。でもなかったわけです。「僕たちの戦いはこれからだ! → おわり」、端的に言うとそんなエンドでした。

せっかくようやくスサトちゃんと新しい事務所に落ち着いたのに、「これで終わり? 成歩堂龍ノ介の冒険はここで終わり!?」 といっそ驚愕でした。ちょっと落ち着いてから、そこで終わるんかーいと新喜劇ばりにツッコみました。ツッコまないと悲しくてやっていられない気分でした。


あとで他の方の感想をいくつか見てみると、厳しく苦言を呈している方が目立ちました(もちろん、『私は好き』『ここは良かった』と褒めている方もそれなりに見ました)。

トリックに粗が多すぎ、事件内容がお涙頂戴すぎ、スッキリできないストーリー、ラスボスがイマイチ、最終尋問が出来レース、共同推理が微妙、キャラの料理の仕方が下手、モーションがくどい……など。
そんなに言うほど悪いかなーと思うところもあれば、そこはたしかにそうかもしれないと思うところもありました。

ただ、何が一番の問題だったかと言えば、やはり『大逆転裁判』が出た時点で続編の予定がなかった(少なくとも表には出てこなかった)ことだろうと私は思います。つまり、「満足に謎が解決されずに消化不良&続編が出るかはわからない」のコンボが一番まずかったのではないか、と。


上でも述べたように、私個人としては、エンディングでズッコケた以外は『大逆転裁判』を十分に楽しみました。しかし明確な続編予定がないのに謎を詰め込んだことについては、今でも解せない気持ちがあります。

せめて「前編後編の前編です」「次回作で謎を回収します」と前もって示していれば、クリアしたプレイヤーがあれほど不満を溜めこむこともなかったのではないでしょうか。

『大逆転裁判』については、『逆転裁判4』を彷彿とする大がかりな前宣伝をしていたことが印象に残っています。
しかしプレイ後は、宣伝に力を入れる前に、「こういう結末のゲームをプレイしたファンはどう感じるか」ということを検討してほしかったなと思いました。


シリーズ作品は、たいてい2周はプレイしています。『大逆転裁判』も一応2周プレイしましたが、2周目はどうにもテンションを上げきれず、1周目のようには楽しめませんでした。

というのも、長い時間をかけてプレイするのならやはり、納得してスッキリできるラストを見たいと思う性質だからです。いくら道中が面白くても、謎ばかりが残るラストだとわかっていたら楽しむものも楽しめません。

何が悲しいかと言えば、結末以外はむしろ好きだということです。「終わり良ければ総て良し」という言葉は本当に真理を突いているなあ、続編が出てくれるといいなあ……と、埠頭を走っていく龍ノ介を見ながらしみじみと思いました。


そして昨年、満を持してリリースされた『大逆転裁判2』では、前作で感じた疑問点や謎が綺麗に回収・解決されました。

今は『大逆転裁判』をプレイしても、けして不完全燃焼な気分にはなりません。なぜなら、解答編としての続編がきちんと存在するとわかっているからです。

『大逆転裁判』を再び純粋な気持ちで楽しめるようになったという意味においても、『大逆転裁判2』には心から感謝しています。






第1話~第5話の感想



全5話で構成される『大逆転裁判2』のストーリーは、ボリュームとスケールの大きいものでした。この項目では、各話ごとの感想を書きます。

基本的には初見時に思ったこと・感じたことに焦点を当ててまとめました。詳しく書くときりがないので、印象に残ったポイントをいくつか絞り、トピックとして挙げながら書きます。

とはいえ、最終話に向かうにつれトピックがどんどんと増えました(5個→20個)。
これは、最初は簡単に作成していたプレイメモが、終盤に向かうにつれ詳細な内容のものになったからです。したがって、以下の感想でも、最終話に近づくほど内容が細かくなり文の量も増えています。





再三になりますが、ストーリーとキャラクターの核心部分についてネタバレしています。前作および逆転裁判シリーズネタが頻出です。また、キャラクターやストーリー展開について、一部批判的に言及している箇所があります。ご注意ください。





第1話「弁護少女の覚醒と冒險」



①抜群の導入
懐かしいジェゼール・ブレットの姿が見えた時点で「!!」となりましたが、すでに死んでいるとわかってさらに「!?」となりました。さすがにツカミがバッチリです。


②成歩堂龍太郎の冒険
今さらですが、龍ノ介とスサトちゃんは顔のパーツが似ていますね。二人とも目がくりくりしています。


大逆転裁判2 1話 龍太郎


龍太郎の仕草は、龍ノ介リスペクトですごく可愛かったです。キョドるところまで同じという。

一方で熱いなと思ったのは、固めた拳で机を叩くモーションでした。
この動作の大元は亜双義なんですよね。前作では1話で亜双義がそのモーションを用い、衝撃の2話を経て、3話から龍ノ介が同じモーションを使用するようになりました。

前作のモーション継承も胸熱でしたが、今作の拳ドンver. スサトちゃんにも相当テンションが上がりました。亜双義→成歩堂→スサトちゃんと弁護士魂が受け継がれているようで、にくい演出だなーと思います。


③またも護衛任務を失敗させるホソナガ刑事
この人に護衛任務を回すべきではないですね。潜入のためとはいえ、服装も遊ぶ気満々にしか見えません。一応すごく有能な人なのに、1話時点では顔見せに出てきただけだろうと思うほどに活躍らしい活躍がなくて気の毒でした。


④パッケージに大きく書かれていたハオリちゃん
可愛い。登場が1話(とエンディング)だけで残念です。スサトちゃんはああ見えて写真の機械とか好きらしいですが、それもあって理系女子のハオリちゃんと気が合うのでしょうか。

『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟- 公式原画集』大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟- 公式原画集(以下、公式原画集)を見ると、ハオリちゃんの設定はかなり練られていて面白いなと思います。ツマミちゃんにならなくて本当によかった。


⑤犯人っぽくない犯人
マメモミはなんだかノリが犯人らしくないキャラだなーと思いました。ややウザい証人(でも案外良いヤツ)くらいのポジションに収まりそうな雰囲気を放っている気がしたんですよね。他に選択肢がないとはいえ、犯人バレしたときは正直驚きました。


⑥ミコトバ教授再び
ピンピンして隣に立っているので、前作ラストの危篤の報せはやっぱりウソだったんだなと察しました。威圧感のあるジゴク判事と一緒に去っていったこともあり、この時点ではうさんくさいなーと感じていました。





第2話「吾輩と霧の夜の回想」



①夏目漱石、2つ目の事件
挙動不審モードの漱石さんはやっぱり面白いですね。主にモーションが。漱石さんがパニクってカオナシっぽく震えているモーション、本当に好きです。


大逆転裁判2 2話 夏目


ちなみに、裁判終了後の漱石さんは文句なしに格好良かったです。無事に日本に戻ってくれて本当に良かったと思いました。

漱石さんに関しては、なんだかんだアノシャーロック・ホームズのおかげで生きながらえたという事実が面白いですね(前作の事件で誤認逮捕されたことが、結果的に漱石さんの命を救ったという真相には正直なところ驚きました)。


②いい人モードのグレグソン
いきなりこちらへの態度が軟化していて戸惑いました。直前に前作をおさらいプレイしたので尚更です。前作ではそんなに態度よくなかったよね? これ前作4話の事件の直後だよね? と。
ホームズもそうですが、会話の流れでさらっとシェイクスピアを口ずさむシーンはカッコいいなと思いました。


③アルタモント夫人
経営者然とした素敵なマドモワゼルでしたね。正直言って好みです。


大逆転裁判2 2話 アルタモント夫人


我が社の弁護士に……と言われ、プレイヤーとしてはわりと真剣にグラつきましたが、龍ノ介はいたってマジメでした。2話は当時の瓦斯事情など、生活状況を反映したネタが見られる点でもお気に入りです。


④前作で見た2人の男
2話の事件の証人と被害者(?)は、どちらも前作にチラッと登場していました。かなり気になっていたので、今作でバッチリ登場して嬉しかったです。

ウイリアム・ペテンシーのモーションは今作で一番印象に残っています。


大逆転裁判2 2話 ペテンシー


へなへなくにゃくにゃと動くわ動く、どれだけパターンがあるんだとツッコミ半分ワクワク半分でした。
ちなみに一番好きなモーションは、タイホくん(作・イトノコ刑事)みたいに手をワキワキしているパターンですね。調査パートでいきなり蘇生した場面の動きも良かったです。

ただ、ペテンシーの所業自体は外道だなーと思います。殺すつもりはなかったと言われても、いやいやウソつけ言い訳するなとしか思えませんでした。


⑤隠れ美人のビリジアン
前作で夫婦喧嘩のとばっちりを食って(ついでにソーセキさんに放置されて)人事不省に陥ったビリジアン・グリーンも再登場しました。そして、まさかの犯人でしたね。

ビリジアンはわりあい普通の感性を持っている人であり、犯人とはいえ豹変もしません(後ろ向きポーズを見たときは、『逆転裁判3』逆転裁判3 NEW Best Price!2000の美柳ちなみを思い出して恐怖しましたが)。同情すべき動機もあるので、分類としては旧作の1-3や2-3の犯人寄りでしょうか。

しかし普通の女性であるがゆえにその強い情念が際立っていて、個人的には好きなキャラでした(上に挙げた美柳ちなみや『逆転裁判2』逆転裁判2 NEW Best Price!20002話の実行犯も、情念の濃いタイプの悪役で好みだったりします)。

前作4話の大家夫婦とパット&ロールにしても、この話のペテンシーにしても、「そんなつもりじゃなかった」がまず最初に来て、自分の行為が引き起こした事態から逃げようとする姿勢が目立ったと思います。

そんなスッキリしない言動をする証人たちの中、「犯人に鉄槌が下されることを願って毒を塗った」とわざわざ言い直すビリジアンは、一人殺しておいてまだ言い訳を並べ立てるペテンシーと比べるまでもなく率直で潔かったです。「こんなヤツのために捕まりたくない」という発言も、まったくもってその通りだろうなという印象でした。

だからこそ、最後の龍ノ介のフォローには救われた気持ちになりました。龍ノ介の道徳的な一言は話によってはしっくりときませんが、この話を締めるには最高だったと思います。「生きるべきか死ぬべきか」という有名なセリフが最後に活きてくるのは上手いです。プレイヤーとしても、ただビリジアンのために、ペテンシーが生きていてよかったと感じました。





第3話「未来科学と亡霊の帰還」



①半年ぶりのヴォルテックス卿
国際科学捜査シンポジウムの開催を前に、ひとりで大盛り上がりのヴォルテックス卿。その勢いに鳥もバタバタと飛び立ちます。龍ノ介相手に喋り倒した末、11時間以上遅れて会議に出席すべく去っていくヴォルテックス卿を見ていると、無性に親しみがわきました。


大逆転裁判2 3話 亜双義の使命


ところでヴォルテックス卿は、前作で何度か口にしていた「亜双義の使命」について今回も言及。ちゃんと今作で解決してくれそうだな、とここで安心した覚えがあります。


②バンジークス卿の執務室訪問
『逆転裁判 蘇る逆転』逆転裁判 蘇る逆転 NEW Best Price!2000でミツルギの執務室に行けるよってなったとき並みに嬉しかったです。事前情報はシャットアウトしていたので、右隅に黒マントの人物を見つけて大いにドキッとしました。調べるのも一番最後に回しました。


大逆転裁判2 3話 バンジークス 執務室


粘りに粘って執務室を調べ倒したわけですが、バンジークス卿はノリと反応がよくて最高でした。龍ノ介とアイリスの大喜利に対して逐一ツッコんでくれる律義さがゴージャスです。ジオラマを調べたときの会話が特に好きですね。おいおいツッコミキャラかよ~とより好きになりました。一方ワイングラスパリンパリンについて、だってこの者が的外れな発言を繰り返すから……と本気で龍ノ介のせいだと思っていそうなところは天然ボケ感に溢れていて、やっぱり面白かったです。大笑いしました。


③ベンジャミン・ドビンボー博士
3話の依頼人であるドビンボー博士(科学者である彼の懐事情は、3話で地味に重要になるトピックの一つ)は、バンジークス卿の大学時代の親友です。彼の口からバンジークス卿の過去の姿や、ある事件に巻き込まれて性格が変わったらしいことが語られます。

ドビンボー博士は性格的にはまったく後ろ暗さのない人です。こういうタイプの人間と親友である時点で、バンジークス卿もいい人なんだろうなと予測が立ちます。3話のストーリーはわりあいシリアスであり、依頼人のドビンボー博士もつらい状況に置かれるので、その当人のポジティブさは良い清涼剤でした(今回の詐欺被害を暴露本に書いて出版しようとするところとか)。

バンジークス卿もドビンボー博士もたいがい「おっとりした、気のいいヤツ」なので、それもあって仲が良かったんだろうなと思います。


④仮面の従者
ゲームをプレイしながらメモをとっていましたが、仮面の従者に話しかけた後のメモ内容が我ながらヤバかったです。
さっきも書きましたが、プレイ前に公式サイトなどを一切見ませんでした。パッケージもさっと見た程度でした。だからまったくの不意打ちで仮面の従者を見て、「これ亜双義なんじゃない?」と動揺マックスでした。

具体的には、「この人亜双義なんじゃない? いや過度な期待はよくない! でもこれ絶対亜双義じゃない?」みたいな内容を1行85文字のところを6行かけて書いていました。「!」と「?」が文章内に散乱していて、クローン説とかタイムマシン逆行説まで挙げているのを後で見返して苦笑いしました。レイトンか。


大逆転裁判2 3話 仮面の従者


仮面の従者については、龍ノ介が内心すぐに反応し、スサトちゃんが躊躇せずに呼び止めることにグッときました。2人とも察しが良い。プレイヤーとしても気になるところにさくっとツッコんでくれて嬉しかったです。


⑤手をつないで歩くアイリスと龍ノ介
想像すると可愛くてテンションが上がりました。本当にさらっと描写が入ったので、混雑した場所に2人で出かけるときは普通に手を繋いでいるんだろうなと察しもつきます。龍ノ介が真剣にうらやましいです。


⑥裁判1日目
科学実験が成功したか否か? というポイントが大きな争点になるのは新鮮で面白かったです。

控室と裁判冒頭で、これ弁護の方針を定めるのが難しいんじゃ? と思いましたが、やはりドビンボーとの利益の食い違いがくっきりと浮き彫りになる展開に。


大逆転裁判2 3話 食い違い


理論を守りたいあまりにバンジークス卿に同調するドビンボーを見ていると、旧作3-2の優作さんを思い出しました。ドビンボーの目が覚めるまでの過程では、バンジークス卿の友への優しさが際立っていた印象です。

あと、証人のゴッツくんはごっつかわええ子でしたね。Béééééééééééé! マルマッチと風船のやりとりをするモーションが滑らかで何気にすごいと思いました。


⑦ミコトバスサトの帰還
1話後にマメモミに面会に行ったスサトちゃんの報告を聞き、やっぱり亜双義は生きているのかもなーと思いました。
しかし一方で、「(生きているのかもしれないなんて)軽々しく言わないで」と言うスサトちゃんの発言にうんうんと頷きました。一度希望を持ってしまうと、裏切られた後が本当につらいんですよね。仮面の従者の正体がハッキリしない3話終盤までは、プレイヤーとしても同じように悶々とするばかりでした。

ところで、龍ノ介とスサトちゃんの仲睦まじさには、プレイヤーとしても「はーすごいな」の一言です。


大逆転裁判2 3話 龍ノ介とスサト


龍ノ介の良いところは、帰ってきて嬉しいとか傍にいてくれて心強いとか、自分の素直な気持ちをきちんと伝えるところだと思います。

スサトちゃんの机を半年前のまま埃一つなく保っているところといい、ダルマの目を入れるのはスサトさんだけという発言といい、パートナーへの愛と信頼がひしひしと伝わってきました。これだけ真摯にラブコールされたら、スサトちゃんがほだされるのも納得です。


⑧蝋人形師、マダム・ローザイク
ローザイクさんのデザインコンセプトは「魔女」ラビリンスシティから抜け出してきたかのような衣装を見るに納得です。

ゲーム内で動くのを見ると特に、ローザイクは突出して美人だなと思います。塗さんデザインの女性キャラは美形が多いですね。実は腰近くまである(まとめているので正面からは見えにくいが、背面から見ると実はずいぶん長いと分かる)ロングヘアも、ザ・塗さんデザインという感じです(4のみぬきやレイ逆のジョドーラもそんな感じでした)。

ローザイクは10年前のプロフェッサー事件にも関わりを持つ、3話のキーパーソンの一人です。

10年前の彼女が弱冠16歳だったという事実には驚愕しました。実在の蝋人形師、タッソー夫人も若くして蝋人形作りに携わっていたようなので、才能とプロ意識に年齢は関係ないのかもしれません。
16歳当時に出会ったドレッバーに「綺麗な人」という印象を与えていたところを見ると、昔から今と変わらず美しかったのでしょう。なんだか10年後も今と変わらぬ美しさを保っていそうな雰囲気があります。

ところで、個人的に気になることがあります。それはローザイク蝋人形館に、先月(9月)からバンジークス卿の蝋人形が展示されているらしいこと。
法廷でも証言していましたが、蝋人形の制作に際しては必ずモデルの顔から型を取るそうです。この掟はローザイク家の人間にとって絶対。つまり、バンジークス卿がその例外だとは考えにくいんですよね。いったいどういう経緯でOKしたんだろう、どういう流れで顔の型を取らせたんだろうと考えると、どうにも笑いを禁じ得ませんでした。

また蝋人形館には、裁判の行方を左右することになったプロフェッサーの蝋人形が存在しました。初めてその蝋人形を見たときは、バンジークス卿の日本人嫌いを思い出して嫌な予感がしたことを覚えています。顔こそ見えないものの、肌の色が白人種っぽくない気がしたんですよね。


⑨陪審2号さん
陪審2号さんは、秘密の関係性にただならぬ関心を抱くレディです。

率直に言って陪審2号さんはドストライクでした。セレブなアルタモント夫人もいいですが、陪審2号さんの上品な人妻感はその上を行きますね。当世風でエレガントなのに、なんとも言えずセクシーな服のデザインがすごく好きです。

一目見て気に入ったので、4話冒頭でテンションMAXになったのは言うまでもないです。


⑩裁判2日目
ある意味、このゲームで一番盛り上がった裁判パートだったかもしれません。

展開が二転三転、終盤にどんでん返しがあり、裁判後にも驚愕の告白と感動の再会が用意されているという、まるで満漢全席のように贅沢な裁判でした。最終話並みの山場だったような気がします。

とりわけ、龍ノ介がコートニー・シスを追い詰める際のひらめきには感服しました。旧作1-3の「トノサマンはかたなかった」並みの見事な発想力。推理において主人公に一歩先を行かれている展開ってすごくドキドキするし、追って謎を解き明かせると本当に気持ちいいんですよね。
ただ、写真の血の跡はもうちょっとタラーっと垂らしておいてほしかったです。骨格に沿って自然と流れたのかと思いました。

一方、バンジークス卿も輝いていました。前作時点でとっくに分かっていましたが、やっぱり良い人ですね(グラスや机へのあたりは強いけど)。ドビンボーが落ち込んでいるときにすかさずフォローできる優しさがグッドです。

「ときどき、この検事さんのコトが、わからなくなる‥‥」「ときどきこの検事さんの顔が分からなくなる‥‥」という少女漫画みたいな龍ノ介の感想にちょっと笑いました。


⑪「大いなる帰還」
仮面の従者こと亜双義と龍ノ介たちの再会、そして亜双義と「蝋人形」の再会が最後に果たされました。

前者の再会シーンには目頭が熱くなりました。まずスサトちゃんにお礼を言うところ、龍ノ介に「友よ」と呼びかけるくだりにグッときます。このシーンの3人の表情の変化は実に細やかで見入りました。

正直なところ、亜双義生存説には否定的だったんです。2をプレイする前は。前作で龍ノ介が亜双義を心から悼み、彼の死を受け止めて成長していったからこそ、亜双義が生き返ってしまうのはちょっとなあ……とか思っていました。
でも、仮面の従者を見かけたくらいからそんな思考はぶっ飛びましたね。たとえ無理やりでもなんでも、亜双義が生きていてくれて本当によかったと思いました。

ところで、亜双義の3Dモデルは前作から若干変更されているようです。精悍さが増したというか、ここまでイケメンだったっけと初見ではびっくりしました。髪を伸ばしたほか、印象をより鋭く&あか抜けた感じにしたそうです。さすがは塗さん。

プロフェッサー=日本人バレは「やっぱり」でしたが、まさかその正体が亜双義父だとは思いませんでした。しかし驚きは不思議となく、ここに至って完全に役者が揃ったんだなーと感じ入りました。
ちなみに亜双義とゲンシンですが、初見ではそんなに似ていない気がしました。というかマスクを外して出てきた顔が「誰?」すぎて、あの顔に亜双義の面影を見出したスサトちゃんはさすがだなと思いました(公式原画集で絵を見ると、目元などがよく似ていると思います)。

最後に、龍ノ介とスサトを大法廷に呼んでくれたバンジークス卿は、後半見事にステルスに徹していましたね。なんて空気が読める貴族。あの蝋人形は見事に一刀両断されてしまったので、マダム・ローザイクに返しに行くとき相当気まずいんじゃないかなーと思いました。
まあ亜双義の気持ちは分からないではないです。異国の地で死刑囚として大衆の見世物にされている父親の像なんて、ひとつぶった斬りたくもなるでしょう。





第4話「ねじれた男と最後の挨拶」



①ミコトバとジゴクの訪英
ジゴク判事が外務大臣を兼任していると知ってびっくりしました。あっても司法長官かと思っていました。とんでもなく忙しそうです。

一方、「スサトの面倒を見てやってください」とミコトバ教授。意味深ですね。このあたりのやや歯切れの悪い説明から、おそらくスサトちゃんのお母さんが亡くなったのをきっかけに留学したんだろうなあと察しました。お祖母さんがいたとはいえ、スサトちゃんはかなり寂しい幼少期を送ったんだな、とも。

ミコトバ教授は、当時の父親にしては放任主義というか腰が引けているのが印象的です。
前作でも未婚の娘を男と二人きりで洋行させていましたが、進歩主義の一言では片付けられない適当な親だなーと正直思っていました。道中付き添ってくれるお目付け役の女性もなし、現地で迎えてくれるきちんとした家庭もなしって、時代的にはあり得ないんじゃないか、と。明治時代の親なら、スサトちゃんが結婚するときのことも考えて、何事も慎重に慎重を期して取り計らうべきじゃないのかと感じていました。

そういう違和感もあって、前作時点ではスサトちゃんとアソウギは結婚の約束をしているのかなとわりとマジメに考えていた覚えがあります(それなら教授が二人きりの渡英を許可したのもギリギリ理解できるかな、と。あとスサトちゃんが亜双義を名前で呼んでいたことも気になっていました。今作で明かされた情報によると、2人は兄妹同然の関係だったようですね)。
まあスサトちゃんは聡い女子なので、諸々のリスクを承知しつつ、亜双義の手伝いをするために渡英を決意したのでしょう。ミコトバ教授も亜双義を信頼していたし、何より娘の強い決意を目の当たりにして見守るしかなかったのだろうと思います。

そんなこんなでこの時点でのミコトバ教授への心象は高くなかったので、写真や紹介状(の裏面のチケット)といった証拠品になりそうなアイテムが出るたびに、「あれ、これ教授死ぬやつやん……」と勝手に予想していました。だいたい「娘のことを頼む」という言葉自体、「故郷に帰ったら結婚する」「故郷に帰ったら学校に行く」並みのフラグ発言じゃないか、と。後の展開を思うと、とんだ的外れな予想だったなと思います。


②依頼人、アンナ・ミテルモン
セクシーな陪審2号さんの再登場にテンションがぐーんと上がりました。ゴージャス!


大逆転裁判2 4話 アンナ・ミテルモン


夫が看守で「エブリデイ・ミテルモン」というネーミングはさすがですね。笑いました。

前作だと「コゼニー・メグンダル」が面白くて大好きなんですが、今作も「エライダ・メニンゲン」を始めとしてネーミングセンスがキレキレだなと思います。はたして「偉いダメ人間」なのか、「えらい(=とんでもない、関西弁における強調表現)ダメ人間」なのか。


③伝説の刑事グレグソン
「グレグソン死す」の一報には、うわマジか~まあ知ってたーでもマジか~的な反応をしてしまいました。

例の電報に名前を連ねていたこと、ジーナ・レストレードが順当に刑事ポジに入ったことから、フラグが立ってるなーと感じてはいたんですよね。今作になって妙に態度が柔らかくなり、好感度の上がる発言が増えていたのも嫌な予感を煽る一因でした。
でもなんだかんだ愛着が湧いていたので、かなりショックでした。めずらしくシリアスに動揺しているホームズと、♪「核心」の始まるタイミングが印象的なシーンです。

ところで、前作時点で「トバイアス・グレグソン=伝説の刑事」という設定はあったのでしょうか。

たしかに超重要任務を任されて暗躍してはいました。しかし、「ホームズの小説に登場してからにわかに注目度が上昇、給金の増減を気にしてアイリスに全力で媚びを売る」という前作の描写と、「渋い伝説の刑事」という今作の扱いの間のギャップが大きすぎる気がします。

そもそも、現場主義で秘密任務を請け負っている一匹狼なら、小説に何度も出されて知名度が上がるのはまったく嬉しくない事態だと思うのですが。バンジークス卿と親交が深かったという設定も、前作時点でそれらしい描写がなかったのでやや唐突感がありました。


④獄中のバロック・バンジークス
ほぼ同時にもたらされた「バンジークス卿逮捕さる」の一報については、そうくるのかの一言でした。凶器のピストルといいめっちゃミツルギやん、と。


大逆転裁判2 4話 獄中のバンジークス


留置所に入れられた検事名物、「貴公には関係のないことだ」「‥‥もう二度と。ここへ来ないでもらえるとありがたい」発言を見たときは、で、出たーッ! お約束のアレ! って感じでしたね。さすがはバンジークス卿、期待を裏切らない。陰気な憂いのある横顔もすごくデ・ジャヴでした。

極めつけの「(拳銃を)どこかにしまっておいたらどこかに行った」は、ミツルギの「うっかり触ってしまった」以上のうかつさだと思いました(ミツルギの場合は、動揺もあっただろうし無理もないと思います)。率直に言って笑いました。これはさすがに、「‥‥ハッ! とんだ“おっちょこちょい”だな」(by亜双義)くらいは言われても仕方がない(その亜双義も、DLCでおっちょこウッカリ認定を受けたこと思うとさらに笑えます)。

最終的にバンジークス卿は龍ノ介にデレてくれます。何度も戦う中で、憎い日本人である龍ノ介を弁護士として信頼するようになった、と。

真面目な話、このあたりの吐露は重かったです。そもそも最初の方で「英国の司法を信頼していない」と言い切るんですよね、バンジークス卿。現職の検事なのに。

バンジークス卿がもともと孤独を好むニヒリストなら、そうなんだで終わる発言です。しかしかつてのバロック・バンジークスは、人を信じ正義を信じて無邪気に笑っていた好青年でした。

そんな青年が周囲の何ものをも信頼できなくなり、死神の名を背負って孤独に生きてきたわけです。この10年間、本当につらかったんだろうなと思わざるを得ませんでした(実際5年間ほど休職していたのは、精神的に耐えられなくなったことが理由のようです)。だからこそ、「我が弁護を願えるだろうか」の一言をもらえたときは、とても嬉しかったのを覚えています。


⑤検事、亜双義一真
真っ白なコスチュームに赤いヒラヒラ。龍ノ介の黒の学生服と対照的な色合いであり、ミツルギの検事服のカラー反転バージョンといった印象です。

なにその真っ白い服、と最初は二度見しましたが、最終的には凛々しいしムキムキでカッコイイなと思いました。公式原画集によると、ボディラインを意識したコスチュームだそうです。


大逆転裁判2 4話 亜双義とヴォルテックス


予想はしていたものの、亜双義が明日の担当検事だとわかったときは戦いたくないなーと思いました。どこかスッキリしない、不穏な雰囲気が漂っていたので。ヴォルテックス卿は推定ラスボスなんだからあまり仲良くしない方がいいぞと不安にもなりました。

正直な話、プレイヤーとしては亜双義の動向が気がかりでならなかったんですよね。3話ラストで亜双義をそのまま行かせた(そして仮面だけ持って帰った)らしい龍ノ介とスサトちゃんには、いやもうちょっと追いすがれよ、奇跡的に再会したのに、と思ってしまいました。ストーリー上の都合とはいえ。


⑦裁判パート
極秘裁判スタート。陪審員が排除され、懐かしい逆転裁判シリーズ形式の裁判になりました。傍聴人が「公平な」司法関係者のみ、女王陛下のお達しという説明は、のちの展開的に大事な言及だったと思います。

とりあえず、亜双義検事の挙措動作がカッコよくておおーと思いました。あらためて大逆転裁判シリーズは、モーションへのこだわりがスゴイですね。

また、前作から再登場した元御者のベッポ(サンドイッチ)にびっくりしました。

余談ですが、『写真と文による/ヴィクトリア朝ロンドンの街頭生活』(ジョン・トムソン)という1870年代に出版された本によると、ベッポのように自分の体に看板をかけて佇む人たちは「板男」と呼ばれていたそうです。



写真と文による ヴィクトリア朝ロンドンの街頭生活(ジョン・トムソン) アティーナ・プレス
写真と文による/ヴィクトリア朝ロンドンの街頭生活



著者いわく「最低の仕事」だそうですが、誰にでもできることから、多種多様な人々が食うにやまれず板男になったとか。同じく前作に登場した親方もなぜかホテル・バンドールにいましたが、オムニバス組合はなくなってしまったのでしょうか。世知辛い。

あと証人については、悪のマホーネ(塗さん談)ことビーナスちゃんが可愛くて好きです。「本当は?」の天丼に笑いました。

裁判そのものに関しては、中盤なのに龍ノ介がいやに冴えていて、プレイヤーとしてはなんだか落ち着かない気分でした。
そうこう言っている間に『赤毛連盟』と「ヒュー・ブーン」ネタが結びつき、ミテルモンが出現してびっくりしました。龍ノ介に弁護席に立ってもらった亜双義は運が良かったですね。龍ノ介がいなければ、この場でミテルモンを引きずり出せなかったのではないでしょうか。

精神を守るために記憶を作り変えていたミテルモンに、あくまで証言を迫る亜双義。旧作2-4の、キリオさんに対するミツルギを思い出す展開です。このシーンでのミテルモンの卒倒演出は軽くホラーでした。さすがに審理続行とはならず、翌日に持ち越されることに。


⑧≪死神≫の正体
フィッシュ&チップス好きの刑事から、ロンドン中の犯罪者を震え上がらせる≪死神≫の作戦立案担当者にまでなってしまったグレグソン。これはキャラ的に出世と言っていいのかどうか。

あと、アン・サッシャーについてはそういうことかと膝を打ちました。アン・サッシャーって、「普通の名前ですけど何か?」な感じがよけいに笑いを誘いますね。レイ逆のジョバンニ・ジコールさんを思い出しました。ジコールだけでも露骨すぎて笑っていましたが、"ジョバンニ"との併せ技だと気づいてしまったときは二十秒くらい笑い転げた記憶があります。

ところで、≪死神≫の犯行とプロフェッサー事件の手口は似ているとスサトちゃんが1日目に話していました。
後で思い出してなるほどなーと感じたのは、バンジークス卿が「プロフェッサー事件が英国社会の浄化に繋がったかもしれない」と認識していたことです。犯罪は当然よくないが、プロフェッサーの犯行には意義があったのかもしれない……という風に考えていたことになります。

終盤で明かされるプロフェッサー事件の真相を思うに、バンジークス卿がこういった捉え方をしていたこと自体が重要なヒントだったのかもしれません。


⑨亜双義の執念
バンジークスの執務室を訪ねると、亜双義から様々な情報を聞くことができます。
英国にたどり着いた経緯はムチャクチャすぎる波乱万丈すぎるなあと思いました。亜双義をロンドンまで導いたのは、ある種の運命と、彼自身の並外れた執念だったのだと思います。

ようやく開示された亜双義の過去を知ると、どうにもやるせない気持ちになりました。お父さんが異国で死刑囚として死に、お母さんも心労から亡くなり……16年前の亜双義少年(8才)がキラキラとした顔で笑っているだけに、その後に味わっただろう絶望と孤独を思うとやりきれなかったです。

前作の亜双義は、絵に描いたようにハイカラバンカラ男前な青年でした。ちょっとカッコよすぎるなーと思うレベルに熱い親友キャラでした。
それだけに、今作でこれだけ重く暗い過去を背負っていたことを知って衝撃を受けました。まあ単なる学業優秀な学生らしからぬ気迫(“飢えた者”の雰囲気)は前作からあったので、平凡な家庭の出身ではないんだろうなーと予想はしていましたが(あと、そもそも逆転裁判シリーズの主要キャラはたいてい家庭的に不幸)。


このシーンで個人的に何が一番胸に刺さったかと言えば、「誰の手も借りずに」という亜双義の発言です。

たしかに言葉通り、父母を亡くしてからの約10年間、亜双義は自分の決意をミコトバ父子に隠し通しました。何もかもを自分の胸の内に秘めて生きてきたわけです。(龍ノ介と出会うまでの)亜双義に心を許せる人間がいなかったという事実は、当の亜双義にとっても、近しい人間だったスサトちゃんにとっても重たい話だと思います。

そういう意味で、『大逆転裁判2』をプレイしていて一番ハッとした瞬間は、亜双義の上記の発言に対するスサトちゃんの反応を見たときだったかもしれません。何も言いはしないんですが、ひどく傷ついた表情と反応をするんですよね。
そもそも誰のために若い彼女が法律と英語を学び、はるばる海を越えて英国までやってきたのか。亜双義にも並々ならない事情があったので責める気は毛頭ありませんが、スサトちゃんのこれまでを考えると無性に胸が痛かったです。

ともかく亜双義が執念の男であったことは意外でもあり、好感の持てるポイントでもありました。

私情まみれなのはアレですが、手続きを踏んで許可が出ているのならあの世界的にはOKなのでしょう(逆転裁判の検事って私情を仕事に持ち込むことが多いし。まあ10年前のバンジークス卿にしても今回の亜双義にしても、事件の関係者を検事席に立たせるのはよろしくないと思いますが)。人が人を裁くのであり、法は道を示すだけ……という考え方も、私はけして間違ってはいないと思います。


⑩名刀狩魔
また、“狩魔”の話が出てきたときはテンションが上がりました。

亜双義家は武芸者の家系で剣技の名門。そして亜双義父の弟子の中に、名刀狩魔の名を貰って姓とした者がいたそうです。つまり、亜双義→狩魔→御剣と師弟の系譜が続いていったことになります。

初代ライバル検事である「御剣怜侍」自体、「刃物のような切れ味の鋭さ」と「サムライ」からのネーミングです。お遊び的な要素とはいえ、シリーズを代表する検事であるミツルギとカルマが、刀を持つ武芸者イメージでアソウギに結ばれるのはなかなか胸熱だと思います。まあ、狩魔家は意外に歴史が浅いんだなーとも思いましたが。


⑪"相棒"の正体
終盤にワトソン教授の正体と、ホームズの相棒の正体が明かされました。ちなみにこの場面の共同推理におけるホームズは、今作でも三指に入るカッコよさだと思います。


大逆転裁判2 4話 ホームズ


和装から洋装に着替えたミコトバ教授が、一気に「ザ・ワトソン」とでも言うべき容姿になるのがデザインの妙ですね。
マジメな話、相棒バレには心の底からびっくりしました。相棒はそもそも英国人じゃなかったのか! と。スサトちゃんが大歓喜ですよ、これ。愛読していた小説の主人公の相棒が自分の父親だったなんて。

アイリスが自分のパパ=ホームズの相棒=ジョン.H.ワトソンと勘違いしたカラクリも巧いなーと思いました。「相棒」が残した記録の筆跡とワトソン教授がサインした解剖記録の筆跡が同じだった、しかし実は解剖記録の文章を書いたのは助手のミコトバ教授で、ワトソン教授は最後のサインをしただけだった……という。

ミコトバ教授の反応を見るにまずアイリスの父ではなさそうだと思い、いったいアイリスのパパは誰なんだ、とプレイヤーとしても大いに混乱しました。





第5話「成歩堂龍ノ介の覺悟」



①極秘裁判再開
ホームズとミコトバ教授は戻らず。開廷前に気になったのは、姿の見えない慈獄判事でした。ミコトバ教授が善玉と判明した以上、ちょくちょく黒い描写があり過去の事件と関わりのある慈獄判事はヴォルテックスグループなのでは……と疑い始めていました。

ちなみにヴォルテックスに関しては、そろそろラスボスにならないとパッケージでYしてる人でしかないので、もちろんすべての黒幕なんだろうなーと予想していました。


②暗殺者
龍ノ介が「引っかかることがある」と言い出したときは、「そういえば亜双義、11月1日に列車で帰ってきたって言ってたな……」と思い出してぞっとしました。
事件現場にいたという流れになった時点で、リアルに喉がカラカラになって目がしばしばしました。前作2話冒頭のショックと絶望感が蘇ってヤバかったです。せっかく生き返ったのに今度は殺人者になる可能性があるのか、と。死神の刺客バレのすぐ後に、「誰も殺していない」と明言がきたときはマジでホッとしました。

ここからいったん休廷に入るわけですが、朗らかな龍ノ介&スサトちゃんとのギャップを感じてしまってつらかったです。親友のヤバい事実が発覚したのに、めっちゃ楽しそうにウサギの耳を引っ張っているんですよね。まだ全容も分かっていないのになんで2人してそんなに呑気なんだろう、このノリと切り替えの速さにはついていけないと思いました。


③ホームズとミコトバ
バラブロック号の調査パート。ミコトバ教授は思いのほかとぼけたキャラでした。チュウウウウウウウって。
そしてそれ以上に、いきなり軽快に踊り出したことにびっくりしました。タップダンスこと「ミコトバステップ」に関しては、公式原画集に面白い制作秘話が載っていました。演出、BGMともに気合が入っていて見ごたえのあるパートですが、経緯を考えると納得だなーと思いました。

また、共同推理でのホームズの明察っぷりは爽快でしたね。やっぱり今までのはお遊びでようやく本気を出したのか、と。4話の共同推理で見せたアイリスへの洞察が凄かったので違和感はなかったです。相棒と久々に調査できてテンションが上がったんだろうなと和みました。

少し脱線しますが、このパートを見てますます、スサトちゃんは龍ノ介についていきそうだなーと思いました。亜双義やホームズをキラキラとした目で見ているけど、パートナーとしては龍ノ介のような抜けたところのある男性を選ぶんじゃないかな、と。

ミコトバ教授、タップダンスといいノリノリでクルクル回転する龍ノ介に似ているんですよね(龍ノ介のノリの良い身振りは寄席が好きなせいなのか。それとも子孫と似た感じで、演劇をやらせてみたら性に合ったりするのでしょうか)。押しが弱めでとぼけているし、チュウウウウウウとちゅうのすけでネズミイメージが被っているし。


④つかの間の休息
ホームズ宅でディナー。ただ、色々と不満や疑問のつのる一幕でした。

まず、龍ノ介の「普通の人」感にここではややがっかりしました。前作でも今作でもあんなに親友とか相棒とか連呼していたのに、ここにきて「今のアイツは昔のアイツとは違う」ってどういうこと? と思いました。

亜双義が「死んでいた」頃は、言ってみれば理想化して何度も力をもらっていたわけじゃないですか。それがいざ生きていて自分の知っていたものとは違う顔を見せられると、「前とは違う」と距離を置いてすんなり親友とは呼んでやらないんだ、と。亜双義がこの10年間何を思って生きてきたのか、その過去を本人の口から聞いたのに、です。

前作で龍ノ介の亜双義への友情と惜別に本当に感動したからこそ、この場面でもそれを貫いてほしかったです。暴走しているみたいだけど友人としてアイツを信じている、行き過ぎたら自分が止める、くらいに言えないものかと思いました。黒い噂の絶えないミツルギを若干怖いレベルで信じていた(そして裏切られたと信じ込んで「あいつはもう死んだよ」に振り切れた)成歩堂と比較すると尚更です。成歩堂と龍ノ介ではキャラ造形からして違うとはいえ、龍ノ介の「普通」な反応が少し薄情に思えるのが残念でした。

あと、スサトちゃんが違う意見を出してくれないのも肩透かしでした。一応10年前から亜双義を知っているのに、ダークサイドに堕ちた亜双義に対する意見が(大学で初めて亜双義と出会った)龍ノ介とほぼ同じって、関係性をまったく生かせていないんじゃないかな、と。

法務助士になるまではそれほど接点がなかったのかとプレイ中は解釈しましたが、公式原画集を見るに一緒の家で暮らしていたっぽいんですよね。それで「今のアイツは昔のアイツとは違う」発言に異論を出せないって、亜双義はどれだけうまく自分の闇を隠し切っていたのだろうと感嘆してしまうレベルです。亜双義の父に対する強い思いを垣間見るとか、つい本音を聞いてしまうとか、そういう情緒的な交流はほぼなかったんですかね。

そういったモヤモヤ感もあって、ラストの疑似家族推しに心から乗り切れませんでした。なんか唐突だなーここはすごく和気あいあいとしたムードだけど亜双義は今頃何をしているのかなー教授とスサトちゃんはもうちょい亜双義を心配してもいいんじゃないかなー……と色々と余計なことを考えてしまいました。
もともと「家族みたいな雰囲気の集団」はいいなあと思うんですけど、「『私たちって家族みたいだね』とわざわざ言及する展開」があまり好きではないせいでもあります。

このパートで印象に残ったのは、アイリスの歪みのない可愛さと、ファンタジーじみたホームズの調査力ですね。日英間の打電内容を知っていたのは、もしかしてマイクロフトの存在を示唆する描写なのでしょうか。


⑤V.S.慈獄政士郎 ~亜双義の使命~
亜双義の留学の条件が、グレグソンの暗殺だったことが明かされます。

一応本人に暗殺を実行するつもりはさらさらなかったようですが、それは日英両国の権力者のメンツを潰すことです。父の真実を知るために生きてきたと語る通り、その後のことは自分の生死も含めてどうでもよかったのかもしれません。


大逆転裁判2 5話 亜双義の決意


冷静に話していますが、とんだ無鉄砲野郎です(エンディングで話を聞くとその印象に拍車がかかりました)。しかしその捨て身の執念が悲しいというか、2の亜双義らしいという気もします。

あらためて、トランクに詰め込まれてやってきた龍ノ介がとっておきのワイルドカードだったことがよくわかります。そして、その龍ノ介の存在を神の一手に変えたのがホームズです。

龍ノ介がいなかった場合、亜双義がどういう道を辿ったのかは大いに気になるところです。あと、三人揃って英国に着いていたらどうなったのかということも。後者は後者で、正史と同じくらいドラマに満ちていそうだと思います。

またここにきて、亜双義のスサトちゃんへの頑なな距離の置き方は、彼女の身の安全を図るためのポーズだったのかもなーと感じました。まず同行を断固拒否しろよって感じですが、そこは作劇上、龍ノ介とスサトちゃんを結びつけるためにやむを得なかったのでしょう。

ところで慈獄判事、いくら犯人とはいえ日本の外務大臣ですが、あっさりと証人になってあっさりと拘留されましたね。極刑とまで言われていましたが、国Aの裁判所で国Bの閣僚クラスの政治家が裁かれる(しかもAとBは名目上対等の同盟国)って、プロフェッサー事件以上に両国間の関係を爆破しかねない大問題のような気がします。

とはいえ三下悪役のような言動をした挙句、証言台をブレイクさせたジゴク判事はすごく面白かったので、まあいいかと思いました。


⑥龍ノ介がよくわからない
引っかかった点が2点あります。1点目は、昨日の発言との食い違いです。というより、食い違いが有効に解消されなかった点です。

昨夜の龍ノ介は、今の亜双義は昔の亜双義と一緒なのかわからないと言って、亜双義=親友であると即答しませんでした。プレイヤーとしては、そのあたりの葛藤を踏まえつつ亜双義への友情を確認するくだりが差しはさまれるのだろうと思っていました。が、前振りなく亜双義への親友連呼が始まって正直「???」でした。

龍ノ介は結局どう思っているの? 暴走ここに極まれり(暴走と言い切るのも個人的にはどうかと思いますが)な亜双義をここであっさり「親友」と呼べるなら、昨日のもったいぶった一幕はなんだったの? と思いました。なんだか一貫性がないな、と。

2点目は、「お前(亜双義)のためじゃない、真実を追求するためだ」発言です。初見では「え?」と思いました。ここでそれを言う意味がわからないというか、単に感じの悪い発言にしか見えませんでした。

龍ノ介は、プロフェッサー事件に関しては部外者と言っていい存在です。なのに当事者のバンジークスや被疑者の息子である亜双義を抜きにして、「僕はただ真実が知りたいから事件を追及するんだ」と表明するのは、かえって性質の悪い野次馬でしかないんじゃないか? と思いました。
まあ旧作の成歩堂や御剣にも真実原理主義者じみたところはありましたが、それにしてもこのシーンでの龍ノ介の発言には当惑させられるばかりでした。せめて依頼人のバンジークスに関わることだから、くらいは言ってもよかったんじゃないかと思います。弁護士なんだから。

場面としては盛り上がるところのはずなので、ここで「覚悟完了した龍ノ介カッコイイ」ではなく、「審理を続けさせてほしいと頼む"親友"からわざわざ距離を取る龍ノ介ってちょっと薄情」と思ってしまう自分が一周回って憎らしいです。

とりあえず2点挙げましたが、せっかくの親友同士の対決なのに、ナルホド対ミツルギのそれと違ってあまり燃えなかったのが残念でなりません。
亜双義の意外な手ごたえのなさは、準備不足感と相まって旧作3-5に再登場した狩魔冥っぽかった気がします。しかしそのミツルギ対メイだって十分に燃える好カードだったと個人的には思うんですよね。

何が惜しかったかと言えば、亜双義の執念に対し、龍ノ介とスサトちゃんが一緒になってひたすら引いていたことでしょうか。亜双義が人生を賭けてシリアスに裁判に挑んでいる一方、龍ノ介もスサトちゃんもその深刻さにまともに向き合っていない気がしたというか(実際立場と背景が違いすぎるから仕方がないのですが)。

龍ノ介は自立アピにしては妙に冷ややかになっているし、スサトちゃんはスサトちゃんで、亜双義の幼なじみであるという要素を活かさず龍ノ介の反応にひたすら追随するだけです(これは主人公に厳しい前作の言動を批判されたためかもしれませんが)。
一番亜双義と親交の深い2人にそういう引き気味な反応をされると、亜双義がボケを拾ってもらえない芸人みたいになるというか、やや空回りしている風になって見ていて熱が引きました。

あとそもそも、前作と比べて龍ノ介の置かれた環境がイージーモードすぎる気もします。しっかり者で有能な助手、可憐な天才少女、世界的な大探偵、信頼の置ける法医学者と「家族」描写をしたばかりなわけで、そんな最強パーティにインしている状態で、文字通りひとりきりの亜双義と戦ってもそりゃ面白くないだろうなーと後で思いました。

終盤の龍ノ介の冴えっぷりについていけない描写を見ても、シナリオ的に龍ノ介V.S.亜双義は通過点の一つであって、亜双義は(復活したミツルギのように)主人公を脅かす手ごわいライバルという扱いではないのだろうと思います(表面上はともかく、実質的には)。


⑦ミテルモンとバリケード
よく見ると敬礼びっくりのモーションが同じで、いいコンビだなと思いました。


大逆転裁判2 5話 バークリーコンビ


申し訳なさそうなバリケード→ツッコむor煽るミテルモン→胸倉掴んでガクガク揺さぶりの流れが面白かったです。漫才か。特にミテルモンの正論が鮮やかすぎて笑うしかなかったです。


⑧グーロイネちゃんが可愛い
ヴォルテックスの指令に逆らったグーロイネの、

「死体をひらくのは、≪真実≫のため」
「でも。ママは‥‥とじてしまった。死体の中に‥‥≪秘密≫を」
「‥‥‥‥それは、ダメなこと」


……という一連の台詞は非常に凛々しかったです。それまでサイコな解剖大好きっ子というイメージが強かったので、信念を持って仕事をしているんだなと好感を持ちました。

ところで、グーロイネちゃんの姓名はマリア・グーロイネです。一方母親はコートニー・シス。一応血の繋がりはありそうですが、ファミリー・ネームの違いに秘密はあるのでしょうか。


⑨亜双義の慟哭
ヴォルテックスの存在感が増すにつれ、チクチクといびられる亜双義。ミツルギポジだもんなーと思っていましたが、「父親の亡霊に憑りつかれているようだ」→「貴公の身柄は拘束される」→「“復讐ごっこ”はおしまいだ」という、完膚なきまでにいたぶる流れは凄まじいと思いました。的確に亜双義の心を砕きに来ている。

ヴォルテックスは蘇るのガント局長タイプのラスボスというイメージです(有無を言わせぬ迫力はガントに劣るものの、政治家的な立ち回りが上手いのが特長)。

ところで、このあたりの亜双義の慟哭シーンは、迫力があるなんてものじゃなかったですね。両手で机を叩いたとき、ガチで亜双義が泣いているんじゃないかと思って焦りました。今作はキャラのモーションが練りに練られていると思いますが、このシーンの亜双義のモーションは三指に入るくらいに印象的でした。

亜双義が完全に叩き潰されたところで、ホームズの助けが入ってホッとしました。ピンチになると「助けてくれホームズえもん!」と思ってしまう自分が悔しいですが、実際こういう場面でのホームズは半端ないくらいに頼もしい存在です。煽りの巧さもピカイチ。

傍聴席からの審理要求の声に「‥‥‥!」となる亜双義の表情を見て、そういえばまだ24歳なんだなーと今更のように思いました。その後、「なんだと‥‥!」を繰り返してバンジークスにこだわるグダグダ亜双義に、正論で喝を入れた龍ノ介はとことん主人公だったと思います。


⑩プロフェッサーの正体
プロフェッサーの正体が明かされていく流れにはドキドキしました。というか、緋色の文書=クリムトの遺書と発覚した場面が驚きのピークでした。

驚きのあまり眼に秘めた暗黒の力を解き放ちそうになっているバンジークス卿とか、プロシュート兄貴っぽい言い回しで兄自慢をするバンジークス卿(そして冷静にツッコむ龍ノ介)とか、シュールな笑いどころが周辺にあるのが逆に悲しい。


大逆転裁判2 5話 バンジークスの兄自慢


とはいえ、クリムト・バンジークス=プロフェッサーには違和感がなかったです。バンジークスがプロフェッサーの社会浄化的な犯行に一定の理解を示していたことは伏線だったんだな、と。犯行の手段であった猟犬が貴族を思わせるものであることなど、これまでの描写が一気に繋がってくるのも快感でした。

「バスカビル」の回収の仕方もなるほどなーと思いました。例の首輪はクリムトの奥方が実家から持参した家宝であり、バンジークスいわく数年前に夜盗に奪われたそうです。その夜盗こそが、2話の回想で登場したセルデンだったわけですね。

それにしても、この真実はバンジークスにとってダメージが大きすぎる話だと思います。今後英国社会でまともに生きていけるのかというレベルの醜聞です。最後の最後で明かされるあの真実がなければ、いくらバンジークス卿が納得していても、プレイヤーとして後味悪く感じてしまっただろうと思います。


⑪ラスボス、ヴォルテックス
最終話だけあって文句なしに輝いていました。

ヴォルテックス卿は、大衆を軽蔑しきっているくせに大衆心理を利用するのがすこぶる上手い悪役ですね。耳に心地よい言葉を並べて自分を正当化するのも巧ければ、大衆が喜びそうな筋書きを考えるのも巧い(記事その2に書きますが、「大衆の恐ろしさ」は今作の隠れテーマな気がします)。

犯罪を絶対に許さないという信念自体は立派ですが、手段を選ばない上に支配欲が強すぎるのが怖いキャラだと思います。ジゴク判事もそうですが、法曹になるよりは政治家になった方がよさそうなタイプですね。

「他人を意のままに操る天才」と龍ノ介は形容していましたが、クリムト、ゲンシン、グレグソン、バロック、ワトソンなどをそれぞれ煽り騙し操ったことを考えても的確な表現です。

心理操作のみならず、ヴォルテックスは脅迫という直接的な手段を用いた悪役でもありました。
逆転裁判シリーズにおいて、「脅迫者」というのは、ひょっとすると殺人者以上にゲスな存在として扱われるものだと思います。コナカしかり、オートロしかり、アイガしかり、ガントしかり、ヤハリしかり。

ヤハリはまあ冗談として、ヴォルテックスはそれら脅迫者キャラの中でもぶっちぎりの戦績と能力を誇っています(ガント局長もスゴイと思いますが)。社会的地位の高さ、脅迫した人間の数、年月、及ぼした被害の範囲、切り捨てる際の冷酷さ……実に見事だと思います。


大逆転裁判2 5話 ヴォルテックスの扇動


クライマックス手前、弁舌を振るって傍聴席の「公平な」司法関係者を煽り立てる手腕にはなかなか痺れました。龍ノ介&バンジークス&亜双義が協力して挑んでも、秩序を楯にダイナミック隠蔽を図る胆力と抜け目のなさ。傍聴人たちがこぞって同調し始めたときにはプレイヤーとして大いに失望しました。英国司法の闇がヤバい。


⑫このシリーズにおける最大のファンタジー
それは間違いなくアイリスとホームズ。電影中継装置にはもはや笑うしかなかったです。凄すぎる。


大逆転裁判2 5話 バーチャルリアリティ


ホームズが出てくるとすべてがカーニバルと化してしまうのだから、たしかにバンジークスの言う通り悪夢ではあります。
とはいえその悪夢は今回、ヴォルテックスにとっての悪夢だったようです。「女王陛下の名のもとに」というさらっと繰り返されてきた宣言がキレイに生きる、痛快な展開でした。

余談ですが、「女王陛下」は20世紀の幕開けとほぼ時を同じくして亡くなります(ゲーム内では帰国済みですが、現実の夏目漱石はそのとき英国に滞在していて、女王の葬儀の模様や民衆の反応を書き留めています)。『大逆転裁判2』5話はおそらく1900年末(19世紀最後の年)の出来事なので、こういう展開を書くにはギリギリのベストタイミングだったと言えるのかもしれません。


⑬はかり知れない大罪
ついに沈没したヴォルテックス。法廷全体を使った大掛かりなブレイクシーンは圧巻の一言でした。最初は大天秤の下敷きになるのかとハラハラしたほどです。バーンと燃え上がるラスト(別にダジャレではなく)は、ド迫力すぎて思わず笑ってしまいました。しかしこの10年間、ヴォルテックスの犯してきた罪を思えば納得の演出だと思います。

今回の交換殺人は、ヴォルテックスが司法長官になるにあたって、過去の事件の関係者を口封じするために計画されたようです。

法で裁き切れない悪人に制裁を加えるのは、たしかに頭から悪いと言いにくいことです。ヴォルテックスの思想には、感情的には一定理解できるところがあります。ただ、理解はできても賛同してはいけないなーと思いました。「そんなことのために何人のすばらしい者が」、と一喝するバンジークス卿が好きです。


⑭真実の価値
終盤の龍ノ介への賞賛はなんというか凄い勢いでした。亜双義、スサトちゃん、ホームズ、バンジークスと、龍ノ介はまず出会いに恵まれていたと思います。かつて龍ノ介を支え助けた人たちが、最終的には成長した龍ノ介によって様々な形で救われる……なんとも上手い構成だなと思います。

審理中の龍ノ介の真実原理主義者っぷりはどうかなあと思う部分もありましたが、真実は幸福なものじゃない、でも正しく前に進むためには必要だったというラストのフォローはよかったです。そこの自覚はちゃんとあったんだなーと。バンジークス卿の「真実から目をそらす者に闇に立ち向かう資格はない」という納得の言葉自体もすごくいいものでした。

ただ、この時点では色々と申し訳なかったですね。龍ノ介を思いやってフォローをしてくれるのは嬉しいけど、むしろフォローが必要なのは今後のバンジークス卿の方なんじゃないか……と思えてしまって。


⑮“報い”
そんな事情もあって、閉廷後の2つのサプライズには救われる思いになりました。

1つ目はやはり、アイリス・ワトソンの真実です。もう本当にびっくりしました。
どうしてバンジークス卿は兄の奥方の妊娠を知らなかったんだろうとは思いましたが、そんなことはこの際どうだっていい。10年前に親しい人間を根こそぎ奪われ、今回の裁判で家門の名声も傷つけられたバンジークス卿に、こういう形で救いが与えられて心から良かったと思いました。正しさ、真実をあくまで追求したことへの報いですね。

10年前の事件は、関わったあらゆる人間に痛みを与えるものだったと思います。というのも、明かされた真実が複雑で正邪を割り切れないものだったからです。

「ヴォルテックスが100%悪い」と言える事件ならまだよかったと思います。しかし現実には犠牲になったクリムトもゲンシンも、それぞれがその手を血で穢していました。
当時散々に苦しんだだろうバンジークス卿や亜双義は、10年の時を経て判明した真実に再び衝撃を受けることになりました。その他、ゲンシンの親友だったミコトバ教授もひとかたならぬ苦悩を抱えただろうし、ゲンシンを裏切ったジゴクにしても何かしらの葛藤はあっただろうと思います。

そういったことを前提にすると、痛みを受けた関係者にとってアイリスの存在は本当に大きな救いなのではないかと実感しました。バンジークス卿にとってはもちろん、名付け親のミコトバ教授にとっても。あと亜双義にとっても、(主にゲンシンとの絡みで)アイリスはけっこう意味深い存在になるんじゃないかと思います。

2つ目のサプライズは、バンジークスと亜双義の和解(?)です。

お祝いを言わせて~→“呪い”の間違いでは? というちょっと辛辣なやりとりの後、互いに謝る2人は大人でした。法廷では後半歩調を合わせていたとはいえ、どちらもまだ衝撃醒めやらない状態でしょうに、素直に切り替えられるのはさすがだと思います。

あの場で検事局を去ろうとしたバンジークスを止められたのは、亜双義だけだろうなと思いました。同じくらいに10年前の事件に縛られていた亜双義が言うからこそ、「やっと、そこから解き放たれた、今。貴君の戦いは始まるのではないか?」という言葉が響くんですよね。
驚いてちょっと笑ったバンジークス卿に対する、「やっと、倫敦に着いたのだ。‥‥学ぶことは、多い方がいい」という台詞も味わい深かったです。父親との約束、父親の真実を求めて生きてきた亜双義が、ようやく自分の人生を歩き始めるんだな、と。

亜双義もバンジークスも憑き物が落ちたような穏やかさだと思い、これからやっと2人の関係が始まるんだなと感慨深くなりました。

アイリスにしても亜双義にしても、それぞれバンジークス卿と良好な関係を築いていってくれるといいなと切に思います。
今後の社会的バッシングは容易に予想できることです。それでもバンジークス卿はもう孤独ではありません。かつてのように人を信じ、再び幸せを感じられるようになるのではないかと思います。英国の内外に信頼できる友人や仲間がいて、見守るべき姪もいるとわかったわけですから。

多くを奪われた分報いもあった、それが真実を追うことの価値なのかもしれません。


⑯「あたしのパパ」
221Bでのやりとりは率直に言って泣けました。アイリスの「もう‥‥名前なんて、どうでもいい」という言葉は特に胸に沁みました。それを受けての、ホームズの大人な感動っぷりにもグッときました。

やっぱりこの親子は世界一ですね。何度も見てきた2人のそっくりな指差しモーションに目頭が熱くなりました。

ちなみに公式原画集には、ホームズの子育て奮闘記がチラッと掲載されています。今の緩い雰囲気のホームズは、アイリスと過ごした時間あってこそのものなんだろうな、と感動もひとしおでした。


⑰成歩堂龍ノ介の覚悟
誰かの代わりに歩いてきた道が、いつしか自分で選び、一生をかけて行く道となった……という龍ノ介の述懐には胸が熱くなりました。

「自分にとって最善な道を選んで行くのではない、自分の行く道を最善だと思えるものにするのだ」という言葉を聞いたことがあります。
龍ノ介は物語スタート時は弁護士ですらなく、親友を失ったりその罪に問われたり、四苦八苦しながらこれまで歩いてきました。しかし彼は周囲に助けられながら、与えられた選択肢の中で必死に頑張り抜いたんですよね。

亜双義が見抜いたように、もともと龍ノ介は弁護士としての才能を持っていたのでしょう。しかし最終的に弁護士を天職(Callingという単語がピッタリ)だと実感するに至ったのは、ひとえに龍ノ介の努力の結果だと思います。


⑱亜双義一真の覚悟
グレグソンに対して感じた殺意を率直に告白し、それを「魔物」と表現した亜双義。

今作でダークサイドを存分に見せてくれた亜双義ですが、やはり基本的には正義漢なのだと思います。だからこそ、自分の中に垣間見た醜い衝動を重く受け止めたのかな、と。
名刀狩魔を一度は振り抜いたことを考えても、罪を犯した者/犯さなかった者の差が実はそれほど大きくはないことを自覚したのかもしれません(とはいえ、それでも亜双義はグレグソンの命を奪わなかったわけで、その違いはやはり非常に大きいはずだとも思います)。

自分の醜い一面と向き合うために検事になるというのは、相当な決意だと思います。グレグソンに殺意を抱いた瞬間を常に思い返し、自分の正しさを問い続ける道を選ぶのと同義ですから。でもその重たい覚悟が、克己心に富む亜双義らしいなと感じました。自責的な動機は、ミツルギが検事を志望した理由と似ている気もします。


⑲御琴羽寿沙都の覚悟
弁護士の道を往く龍ノ介にお供したいとスサトさんが言ってくれたときは、「やっぱり」と「よかった」がない交ぜになった嬉しい気持ちになりました。裁判が終わった日には我慢したのに、うっかり「一緒に来てほしい」とゲロってしまう龍ノ介には笑いました。

ここで「思ったとおりだ」と笑い、「本当に‥‥変わらない。おまえらしいことだな、成歩堂!」と言う亜双義の言葉は色々と深かったですね。龍ノ介の持つ類の素直さは、亜双義にはないものだと思います。

バンジークス卿の裁判が終了した夜、スサトちゃんは亜双義のもとへ向かったようです。

ここに至ってもスサトちゃんの名前を呼ばない亜双義には苦笑しました。いったいスサトちゃんが法務助士になる前はなんと呼んでいたのか、大いに気になるところです。
まあもしこの場面で名前を呼ぶ機会があっても、亜双義は「御琴羽法務助士」で通したんだろうなと思います。べつに噛むからという理由ではなく、スサトちゃんが少しでも後ろ髪を引かれることがないように。

スサトちゃんも龍ノ介も「義理がたい」と苦笑し、(龍ノ介の)そばにいてやってくれと頼む亜双義からは、2人への親愛の情が感じ取れていいなと思いました。


⑳しばしの別れ
剣を交差させる龍ノ介と亜双義、いつか日本に行くと言うホームズやアイリスにジーンとし、エンディングの序盤でさらに感動しました。

ワトソンの声がアイリスの声になる演出、本当に大好きです。「‥‥わたしは、そっと目を閉じる」「そのとき。あたしは‥‥なつかしいあの声を聞くはずだ」「‥‥また会おうね。なるほどくん!」という。普通にタイピングしているだけでも当時の感慨が込み上げてくる気がします。

最後のスサトさんのコメントは微笑ましかったです。だるまさんに目が入っているのが芸細だと思います。
マジメな話、時代も時代なので龍ノ介とスサトちゃんは結婚するんだろうなという印象です。ミコトバ教授からもすでに頼まれているので問題はないはず。

前作でもあった、龍ノ介たちが歩いていくエンドロールには涙腺を刺激されました。
屋根裏部屋から出発し、最後は日本の法廷に到着。龍ノ介の前に居るのは、亜双義だけなんですよね。一緒に道を歩む人はスサトちゃんで、進んだ先の未来で相対するのは亜双義。前作から波乱万丈の展開続きでしたが、こういう構図に落ち着いてよかったと思いました。

英国にしても日本にしても、世紀末を飾る一大スキャンダルで司法の権威が失墜した感があるので、今後龍ノ介や亜双義たちは相当苦労すると思います。そうでなくても10年と少し後には世界大戦が勃発する(そしてヨーロッパが荒廃する)ため、英国にいるキャラは特に心配です(まあそこはフィクションなので回避可能かもしれませんが)。

しかし、いつか法廷で龍ノ介と亜双義が対峙し、名刀狩魔が亜双義の手元に戻るときが来るはずだと信じています。






『大逆転裁判2』の「大逆転」



『大逆転裁判2』の印象を一言で書くなら、「大作かつ力作」です。

画集やサントラは当然として、普段は手を出さないグッズ系の関連商品(ゆるま貯金箱とか)にも手を出してしまい、最終的には明治村にも出かけました。
それだけ自分の中で熱が高まったというか、プレイ後の余韻が長く続く、満足度の高い作品でした。

レビュー等を拝見していて、「前作からの大逆転」という感想をいくつか見かけました。うまいフレーズですね。前作の謎を見事に回収しつつ高いクオリティーを実現させたという点で、その評価は的確なものだと思います。

ただ私個人にとっての『大逆転裁判2』は、もっと別の「大逆転」を成し遂げた作品として記憶に刻まれました。


個人的な話で恐縮ですが、逆転裁判シリーズはゲームボーイアドバンス時代からプレイしています。逆転裁判4、逆転検事シリーズ、逆転裁判5以降、レイトン教授VS逆転裁判、ついでにゴーストトリックも一通りプレイしています。

しかし、何度もぐるぐるとプレイしたのはやはり、逆転裁判(+蘇る)&逆転裁判2&逆転裁判3です(※以下、逆転裁判1~3を“旧三部作”、“旧作”、“123”と書くことがあります)。
私の中の笑える文章やエンタメ、ADVの基準は、旧三部作に負うところが大きいです。そのため、今でも123が大好きだったりします。



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話は変わりますが、長く続いているシリーズは往々にして作品の傾向が多様化し、ファンが多層化しますよね。制作側でスタッフが入替る一方、ファン側でも様々な世代が混在するようになるので。
ゆえにファンの中で、「自分はこの(時期の)作品が一番好き」というこだわりや主張が強くなりがちです。

特に一定の評価を得ている初期作品のファンの場合、その傾向が顕著だと思います。好きな作品を絶対視しがちというか。これはあくまで個人の意見であり、ついでに言うと自虐込みの認識です。


『大逆転裁判2』のレビューを拝見していてもう一つ気づいたことがあります。それは、「旧三部作(特に、評価の高い逆転裁判3)と同じくらい面白い」という意見が多いということでした。
単体として褒めるだけに留まらず、123を引き合いに出して高評価をしている方は、程度の差はあれ旧作に思い入れのある方なのだろうと思います。

私自身も、逆転裁判123をプレイしているときと同じくらい『大逆転裁判2』を楽しみました。だからこそ、旧三部作と比較しつつ「同じくらい面白かった」と評価しているプレイヤーの『大逆転裁判2』への感動というか、喜びの大きさが想像できるような気がしました。

キャラクターや世界設定を一新しつつ、旧三部作を相対化するに足る面白さを実現できたこと。

それこそが、『大逆転裁判2』の成し遂げた「大逆転」だと私は感じています。

※評価の相対化については、評価の高い『逆転検事2』にも当てはまると思います。ただ検事シリーズは、外伝/システムが違う/検事視点/旧作とシナリオ担当が異なるといった点から、とりあえず脇に置きます。


長々と書いてきましたが、要するにプレイしていて面白かったんですよね。理屈抜きに。

ワクワクしたしドキドキしたし、ときめきました。懐かしく鮮やかな体験でした。大いに期待しつつもそういった気持ちをまた味わえることはないだろうと内心諦めていただけに、感動は大きかったです。

『大逆転裁判2』を世に出してくれたタクシューさんや塗さん、制作スタッフの方々には感謝の言葉しかありません。素晴らしい作品をプレイできて感無量でした。




*****


『大逆転裁判2』感想の前半となるこの記事では、

・前作『大逆転裁判 成歩堂龍ノ介の冒險』の感想と疑問点
・今作『大逆転裁判2』の1話から5話までの感想

を中心に書きました。

記事その2では、各話の共通点や最終話キャラ配置の考察、主人公・成歩堂龍ノ介に関する感想、画集のネタバレを含むキャラ雑感、「大逆転裁判」シリーズの拓いた新境地など、総括的な内容が中心となります。

『大逆転裁判2』が拓いた新境地 感想 考察 レビュー ※ネタバレ注意 その2



   


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