『オトツカイ』 感想

かーめるん

謎解きパズルRPG、『オトツカイ』の感想です。軽い攻略情報を含みます。

制作サークルはカタテマ様。作品のダウンロードページ(Vector)はこちらです。 → 『オトツカイ』



オトツカイ スクショ タイトル画面



主人公は、“オトツカイ(音使い)”。
闇に包まれた魔王の城で、音を操り魔王打倒を目指します。

約3時間でクリアしました。

システムはシンプルながら、よく練られた面白いパズルゲームだと思います。

試行錯誤を繰り返し、ギミックを突破したときの快感が半端ないです。


以下、エンディングのネタバレを含む簡単な感想です。未見の方はご注意ください。



*****



この記事の内容は以下の通りです。


「『オトツカイ』の魅力」では、実際にプレイした感想&レビューを書きました。
「グッドエンドへの道行きと感動」には、バッドエンドとグッドエンドのネタバレや、グッドエンドの軽い攻略情報などが含まれます。ご注意ください。






あらすじ



最初に、『オトツカイ』のあらすじを書きます。

婚約者を魔王にさらわれた主人公は、単身魔王の城へ乗り込み、返り討ちに遭って命を落とします。

悲嘆に暮れる婚約者は、願いを一度だけ叶えてくれる青い石に願います。

彼の命をもう一度……と。

真っ暗な魔王の城に差し込む一条の光が、彼女の願いの助けになりました。

かくして主人公は暗闇の中で目覚め、「音」を頼りに再び魔王に挑みます。






「音使い」とは?



主人公は、タイトル名通りの「音使い」です。

音の発生源に接近することで、その音をストックし、任意のタイミングで音に応じた物理的効果を発生させる能力を持っています。

たとえば、明滅するランタンに触れれば「光」の音をストックできます。

※画面左下にストックした音が表示される。



オトツカイ スクショ 光1

「光」をストックし、暗くてよく見えない場所の近くに立つ




これをEnterキーで使用すると、周囲を照らし出すことができます。



オトツカイ スクショ 光2

周囲の障害物が見えるようになる




また、音を攻撃に使うことも可能です。

たとえば敵に殴られれば、その衝撃音が「殴」の音としてストックされます。



オトツカイ スクショ 殴

殴られるとダメージを受けるので、体力の減少に注意



これを使用することで、敵にダメージを与えることができます。


主人公の初期体力は5、歩行速度はゆっくり、ストックスロットは1つです。

ダンジョン内のステータスアップアイテム(体力UP、スピードUP、ストック数UPなど)を手に入れることで、行動範囲やアクションの幅が広がります。

主人公が使用できる音は、上で挙げたもののほかに「開」「繕」「風」など様々に存在します。






『オトツカイ』の魅力



『オトツカイ』は、パズル要素が強いゲームだと思います。

ダンジョンのギミックに、主人公は「音」を使って対抗します。
具体的に言うと、「ストック」&「使用」という2つのアクションが攻略の要になります。

音をストックする。そしてそれを使用する。

シンプルでわかりやすいつくりです。
しかし一方で奥深く、試行と思考が必要とされるゲームだと言えます。




あらゆる音に意味がある



まず、「どんな音を使用できるのか」という段階から色々と考えてしまいました。

このゲームのすべての鍵を握るのは「音」です。
これは使えそうだとすぐに分かる音もあれば、これが使用できるってマジかと言いたくなる音もあります。

実は、このゲームにはBGMが存在しないんですよね。
そして聞こえてくるすべての音はストックできます。

いったんそのことに気づくと、様々な音を見つけられるようになりました。

単なるSE表現と思いこんで聞き流すのではなく、音を耳にしたら発生源に近づいてみることが大事だと思います。




死にゲー



魔王と戦う前に、まずは能力強化アイテムを手に入れる必要があります。
また、それらを入手するにも複数のギミックを解く必要があります。

どの音をストックし使用するか。どういう手順で能力をアップし進めるか。

最適解と言える手順はあるものの、ルートはいくつか存在します。


個人的には、ストックスロットが増えてからが本番だと思います。

一度に使える音の種類が増えるほか、ストックの順番(すなわち使用する順番)という点で戦略性が上がります。
攻撃音を複数使う場合は、主人公の体力管理も重要なファクターです。

基本的には死にゲーであるという印象があります。

死にながらダンジョンを探索してヒントを探し、死にながら敵の攻略方法を練る。
その試行錯誤が楽しいゲームです。




印象に残ったポイント



プレイしていて面白いと感じたのは、ラスボスの「音」を利用して中ボスを倒せることでした。

普通のRPGだと、ラスボス戦に突入するとまず引き返せません。
しかしこのゲームは、魔王に攻撃を受けてからさっと退却することができます。

柔軟なプレイが可能という点で、自由度が高いゲームだと思いました。

だからこそ試行があまり苦にならず、ギミックの一つ一つを解いたときの快感にはたまらないものがあるのでしょう。

じっくり考えると楽しくなるゲームなので、まとまった時間が取れるときにプレイした方がいいかもしれません。






グッドエンドへの道行きと感動



ストーリーは実にシンプルです。
キャラクターもほとんど主人公と婚約者のみ。

しかし物語の語り方と魅せ方が相変わらず上手く、さすがはカタテマ作品と嘆息しました。




バッドエンドについて



特に巧いと感じたのは、エンディングの分岐演出です。

初見の人は、おそらくバッドエンドをまず見ることになると思います。

そこでは主人公の状態のネタ晴らしと、2人の悲恋が描かれます。
その後婚約者から「プレイヤーへの願い」という形で、グッドエンドの条件が提示されるのです。

要点を的確に押さえた、印象的なエンディングだと思います。

蘇った主人公の真相については、不死者のエリアに入れることや「繕」を利用できること、「一条の光(→光量不足)」といった表現で伏線が張られていたので、なるほどなーと思いました。

真相を知ると、魔王の城が真っ暗闇であることにも納得しかなかったです。
「音」に存在感を持たせるための暗闇だと思っていましたが、主人公の真相をカモフラージュする機能も果たしていたんだな、と。

ストーリーの演出は抑えめですが、それがかえって良かったです。

2人の関係に心を打たれ、彼女の願いになんとしても応えてやろうという意気込みが高まりました。




グッドエンドへの道程



グッドエンド攻略については、様々に試行しました。

たとえば最初は何か一つ音を残せばいいのかと思い、「炎」を残してみるも不発に終わりました。


ちなみに2回目以降は、バッドエンド時の婚約者のモノローグが消え、主人公の腐崩死描写が簡略化されます。
周回プレイヤーの手間を省いてくれる、ありがたい気遣いです。

『ムラサキ』でもそうですが、「ストレスなくすぐに再プレイできる」ことに関するカタテマ様のこだわりは素晴らしいなと思います。

ゲームの内容ももちろん大事です。
しかし、細かい操作周りの配慮一つでゲームへの印象はけっこう変わるので、そこが行き届いているゲームは凄いなあといつも思います。


脱線しました。ともかく、音は音でも特別な音を残さなければならないことがわかったので、ここは「蘇」一択でした。

何度か試行して青い石の欠片が砕け、期待通りに「蘇」のエフェクトがきらめいたときはガッツポーズしました。




グッドエンドの感動



ようやく到達したグッドエンドには、思わず心動かされました。
見事な表現と演出だと思います。

ずっと暗闇の中を這いずり回ってきたプレイヤーは、このエンディングで初めて、光溢れる外の世界を目にできます。
作中でBGMが流れるのもこのシーンだけです。

心洗われるような「音」に包まれ、太陽の下寄り添って歩いてゆく主人公と婚約者の背中を見送る。

感無量とはこのことだなと思わず独り言ちる自分がいました。

ストーリーラインはシンプルなのに、演出によってこれほど感動的な結末にできるんだ……とあらためてカタテマ作品の物語る力の高さに感じ入った次第です。



*****



『オトツカイ』は今から10年以上前に発表された作品です。
それを思うと、面白いものはけして色褪せないんだなとつくづく感じます。

また、現在でもカタテマ様の新しい作品をプレイできるのは、本当に嬉しいことです。

最新作の『ムラサキ劔』についても、機会があれば感想記事を上げたいなと考えています。


『オトツカイ』は、知的快感と感動を得られるゲームでした。とても面白かったです。



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