『箱弐伍遺体』(はこにごいたい) 感想 考察 ※ネタバレ注意

かーめるん

2ちゃんねる発の怖い話を題材にしたホラーサウンドノベル、『箱弐伍遺体』の感想です。ネタバレや元ネタ考察、解説を含みます。

制作スタッフは「箱弐伍遺体」製作委員会様。作品の公式サイトはこちらです。 → 『箱弐伍遺体』



箱弐伍遺体 紹介用画像素材1 タイトル画面



エレベータ内に閉じ込められた少女5人が、自分たちを襲った怪異について順々に打ち明けるお話です。

特典を含め、読み終わるまでに約3時間かかりました。
15歳以上推奨の作品です。一部に流血・グロシーンが含まれます。


『2ch発祥の怖い話をモチーフにしたノベルゲーム作るスレ』の有志が制作したノベルゲームです。

普段はそうでもないですが、たまに怖いもの見たさでホラーノベルが読みたくなるときがあります。
そこで今回、前々から名前だけは聞き及んでいた『箱弐伍遺体』をプレイさせていただきました。

制作スタッフは総勢17名と大人数ですが、個々の要素のクオリティーが高く、それらがケンカせずに調和していたのが印象的でした。

シナリオ、CG、背景、音楽とすべて分業で担当されているのに、見事な統一感だと思います。
OPムービーまで存在することには驚きました。


以下、ストーリーや結末についての詳細な情報を含む感想や考察です。未見の方はネタバレにご注意ください。
記事内の画像については、公式サイトからダウンロードできる紹介用画像素材を使用させていただきました。



*****



この記事の内容は以下の通りです。








あらすじ



最初に、『箱弐伍遺体』のあらすじを書きます。

ネット上の掲示板を介し、自殺志願者たちは決行の日に初めて顔を合わせました。

彼女たちが互いに了解していたのは、「他人の事情を詮索しない」ということ。

しかし実行場所として選んだマンションの屋上へ向かう途中、エレベーターが突如停電で停止してしまいます。



箱弐伍遺体 紹介用画像素材3 エレベータ内



全員で復旧を待つ中、メンバーの一人が口火を切ります。

どうせこれから死ぬのなら、誰にも言えなかった秘密をここで打ち明けないか、と。

一人の告白を皮切りに、自殺志願者たちは重い口を開き、それぞれの秘密を語り始めます。






チャットパートについて HNと怪異の元ネタ



ゲーム冒頭では、ある自殺サイト内でチャット会話が展開されます。

このサイトに集まったチャットメンバーのうち、計画を実際に実行しようという者たちが後日顔を合わせ、本編が始まるわけです。

このチャットパート、かなりの臨場感があって見ていて面白かったです。
順々にポップされるメッセージといい、背景のヒエロニムス・ボスっぽい絵といい、良い味が出ています。



箱弐伍遺体 紹介用画像素材2 チャット画面



実はそれぞれのチャットメンバーのハンドルネームには元ネタがあるようです。

この項目では、

・主要キャラ:HNと名前の対応
・他のチャットメンバー:HNの元ネタの怖い話

……を考察込みで書きました。




主要キャラ5人について



Eco:永倉栄子

栄子→エイコ→エコ→Eco。
最初に秘密を告白する人物。明るく人当たりの良いショートカットの大学生。


hide:妹尾真尋

「ひとりかくれんぼ」から、"hide(隠れる)"か。
可愛らしい外見の女子高校生。不思議ちゃん系。


YUMA:宮田紫織

UMA(未確認動物)から? あるいは話の中に登場するA君の名前とか。
黒髪ストレートの小柄な女子中学生。大人しい。


MyaKO:天音美夜子

美夜子→Miyako→MyaKO。"i(アイ)"の消失。
目が死んでいる女子高校生。常にピリピリとし、何かに怯えている様子。


AYA:柊千春

話に登場する友人の「綾佳」からか。また、鏡合わせのスペリングは千春の中の二つの人格の示唆?
最後に告白をする人物。マンションを下見し決行場所として提案した。





その他のチャットメンバーについて



次に、チャットメンバーのハンドルネームの元ネタ等について書きます。


hagoita

おそらく視点人物の「私」です。
プレイヤーはhagoitaの目線でチャットを眺め、少女たちの話を聞くことになります。

hagoitaの存在は序盤で消え、そこから終盤まで現れることはありません。
その序盤では、「ここに来るまで死ぬことは考えてなかった。ここを見つけたとき皆が自分より充実している気がした。だから死のうかなと思った。今は毎日が楽しい」といった旨を書き込んでいます。

これは、その傍観者的ポジションの暗示だったのかもしれません。

hagoita → 羽子板(?)*絡みの怖い話は今のところ確認できませんでした。
ただ、羽子板は魔除けの道具らしいですね。

*追記:"hagoita"は"hakonigoitai(はこにごいたい)"からのネーミングかもしれないと後で思いました。
その場合、"konii"が残ります。"hagoita"と組み合わせて、"hagoita no iki"(hagoitaの遺棄/息)とかこじつけられないかなーと考えましたが、あまりしっくりきませんね。




8shaku →「八尺様」

八尺様は、八尺(約240cm)の背丈を持つ大女です。
帽子に白いワンピースを着用し、「ぽぽぽ」と奇妙な笑い声を発します。気に入った男性につきまとい、数日中に取り殺すと言われています。



ryomen →「リョウメンスクナ」

頭が2つ、手が4本あるミイラです。
呪法のために即身仏にされた人間であり、伝来した地域に天災をもたらすとされています。



kisaragi →「きさらぎ駅」

掲示板発祥の有名な都市伝説です。

「きさらぎ駅」という無人駅に降り立った女性の書き込みが元ネタ。
彼女の書き込みは、ある時点で完全に途絶えてしまったそうです。

一連の書き込みについては、ゲームの特典内でストーリー仕立てに書き直したお話を読むことができます。かなり面白いのでオススメです。

ちなみにチャットメンバーとしての「kisaragi」は、誰に対しても口が悪く攻撃的な人物です。
特にMyaKOを煽るのを楽しんでいます。

計画の最終確認の場で意味深な呼びかけをしたりと、直接は現れなかったものの気になる存在ではあります。



kasima →「カシマさん」

「カシマレイコ」等とも呼ばれる、都市伝説の一つです。
謎かけをし、正しく答えられなかった者の身体の一部を奪うそうです。



kotori →「コトリバコ」

水子の遺体などを使用する呪法によってつくり出された小箱を指します。
女子供に苦痛を与えて取り殺すとされています。

この「コトリバコ」についても、特典内でほぼ原典そのままのストーリーを読むことができます。






本編感想(5つの怪談中心)



5人のキャラクターが語る怪談、およびこのゲームの結末についての感想です。

以下、ネタバレを思い切り含みます。





永倉栄子 『国鉄』



元ネタですが、「国鉄」*でググっても似た感じの話がヒットしませんでした。

*追記:コメントで教えていただきましたが、栄子の話のベースになった怪談は、「終電(車)」のようです。
終電に乗った男性が、母親と子供の会話を耳にし、その後彼らの姿を目撃する……という内容の書き込みで、栄子の語る心霊エピソードと内容が酷似しています。
親子の会話の中で「国鉄」という単語も出ているので、おそらく間違いないと思います。
元ネタがわからず気になっていたのでスッキリしました。Futabaさん、ありがとうございました。



怪異要素は電車での死体との遭遇くらいで、サスペンスホラーの色合いが強い短編です。
永倉の人生に拭いきれない影を落とした義理の母と弟の死、その犯人はまさかの……というどんでん返しが印象的。

単純にクオリティーが高く、読み物としては5つの短編の中で一番面白いのではないかと思います。


初見では、最後の最後で明かされる真実に戦慄し、「楽にした」の意味を理解してまたゾッとしました。

冒頭で永倉は、「自分は天涯孤独だ」と前置きをするんですよね。
でも話を聞いてみると、最後の方までその宣言は事実と食い違っています。

この微妙な違和感が、オチでしっかりと回収されるわけです。

よい話は本質的にミステリであるという言葉を聞いたことがありますが、この短編にもそれがピッタリ当てはまると思います。構成が巧みでした。


ところで、永倉を襲った悲劇について感じたことがあります。

事故の瞬間、義理の母は怖い顔で手を伸ばしてきたと永倉は語ります。
永倉はそこに、義理の母の変わらない憎しみを見出しました。

しかし個人的には、「手を伸ばす」という行動に関して、永倉を事故に巻き込みたくないがゆえの行為だったのではないか……と感じました。

要するに怖い顔と突き出した手は、「来るな」のジェスチャーだったのでは、と。

特に電車での母子の会話を読んでいて、その可能性はあるんじゃないかなーと思いました。

もちろん、本当に最後まで憎んでいただけかもしれませんが。





妹尾真尋 『ひとりかくれんぼ』



元ネタはそのまま、「ひとりかくれんぼ」です。
手順を踏んで霊を呼び出し、一緒に鬼ごっこをするというものですね。

呼ぶときから帰ってもらうまでの手順は、作中で語られていたように様々なパターンが存在するようです。


他の話に比べると、最初から最後まで怪異に追い詰められる正統派の怪異ホラー作品です。
一定自業自得とはいえ、妹尾が可哀想になるお話でした。

この短編はかなりの臨場感に溢れています。
特に妹尾がクローゼットに隠れるシーンは終始怖いです。

カウントダウン直後から「砂嵐消えてるやん」とプレイヤー目線で気づいていたのに、妹尾が実際に気づく場面では一緒にドキドキしました。

総じて恐怖を煽るのがうまいですが、もっともっと怖い演出を入れてくれても全然OK、むしろ入れてほしいと思ったストーリーでした。





宮田紫織 『くねくね』



元ネタは「くねくね」という怪談です。

「くねくね」とは、文字通り奇妙に動く謎の白い物体のことです。
真夏の水辺で確認されることが多く、その姿を視界に入れ理解した人間は精神に異常をきたすと言われています。


田舎の牧歌的で平和な雰囲気と、くねくねの不気味さの組み合わせがじわじわと恐怖を煽るお話でした。

幸せなひと時から一転どん底に突き落とされる、理不尽系ホラーです。
人ならぬものに寄生され、人間の形をしながらくねくねとうごめく生き物に変わってしまうおぞましさには絶望もひとしお。

その一方で、我が子や愛する人を思う女性たちの情念の深さが際立つ、ヒューマンホラー系のストーリーでもありました。


5つの短編の中では一番好きです。
個人的な傾向ですが、人の濃い情念が表現されるホラーが好みです。

宮田がA君の殺害を決行するシーンと、A君とA君の母の訃報が伝えられるシーンには「ああ……」と思いました。
恐怖と一緒に悲しみもこみ上げてくるというか。

我が子がくねくねになっても……という宮田母の言葉は、ストーリー全体の印象を体現している気がします。

夏×初恋×悲劇がツボでした。
短い日常パートをしっかりと描くことで、ホラーパートとの落差を演出している点もうまいと思います。

語り手の宮田は最年少で幼い印象が強いです。
そのためにかえって、好きな人の後を追うことに迷いがない姿勢を切なく思いました。





天音美夜子 『邪視』



元ネタは、「邪視」と遭遇したときの体験談です。

邪視は目のあったものの精神に影響を及ぼし、どこまでもその後を追います。

海外ではイーブル・アイと呼ばれ、世界各地に伝承と魔除けの品物が伝わっています。


怪物に出くわし、家族を奪われ、自らも追い詰められる……という理不尽系ホラーでした。
話の構成そのものはシンプルです。

怪異そのものと同じくらいに、転落してズタボロになっていく美夜子の心情にスポットライトが当たっていた印象です。

キャラクターとしては美夜子が一番好きです。
5人の中でも特にどん底に叩き落とされた感が際立つキャラであり、一番可哀想というか哀れに感じました。

あと絶望顔で泣き笑いする立ち絵が非常にイイ。

それまでヒステリックでとげとげしい印象が強かった分、幸福だったころの姿を提示されるとギャップが鮮やかです。


個人的にハッとした箇所を以下に引用させてもらいます。

――そう、私は夢を見ているだけ。深い深い夢の中で苦悩していただけ。滑稽。何処までも滑稽。存在しなかった出来事を悲しみ、慈しむ。生きている弟の死に絶望する。もう、こんな茶番は終わらせるの。さぁ、早く夢を覚ましましょう。夢の中での天音美夜子という人間の物語を終わらせましょう。

――息の根を止める。それで何もかも終わるの。次に目を覚ました時、私の前には再び暖かさが待っている。それだけが死にいく私の最期の願い――


深い絶望に打ち沈んだこのモノローグ、不思議と美しいと思います。

邪視に乗っ取られた可愛い弟を見た時点で、美夜子は精神にトドメを刺されてしまったのでしょう。
実際そうなっても仕方がないくらいにキツイ話です。

美夜子の弟への哀惜と後悔にはやや泣けるものがありました。





ところで軽くググったところ、邪視に対する魔除けの品をいくつか確認しました。

たとえば、直球で「イーブル・アイ」というデザインがあります。
青い円の真ん中に黒い丸を置き、目を模したものです。


イーブル・アイ ピアス ナザールボンジュウ
イーブル・アイ


目には目を、ということなのでしょうか。
中東周辺におけるイーブル・アイは、一般に青い瞳を指すようです。

また、「ハムサ」というデザイン・シンボルも有名です。


ファーティマの手 ネックレス
ハムサ ファーティマの手


ハムサは、手のひらの中央に目を配置したデザインです。
某ともだちを思い出します。

地域によっては「ファーティマの手」とか「ミリアムの手」とか呼ばれているようです。






柊千春 『みんな人形って洗ってやったりしてる?』



サイコホラーな短編です。

ここまでの4つの短編はテイストこそ違えど楽しめたのですが、この最後の話はしっくりこなかったです。

オチをうまく表現しきれていない感じがしたのと、千春本人のキャラにあまり魅力を感じられませんでした。
いきなり目が細くなる狂気顔&いきなりのアヒャヒャ笑いについては、よくある表現だなという感想を抱きました。

これまでの4人は精神を病んだり追い詰められたりしていても、けして「狂人」ではありませんでした。
だから、ラストにサイコな千春が出てきてやや鼻白んだところがあります。





結末



結部ではプレイヤーが、「私」こと6人目の傍観者であったことが明かされます。

オチとしては、黒幕・千春の一人勝ちでした。
エレベーターというの中には、目玉をくりぬかれた遺体が5つ残されることになるのでしょう。

千春は復旧を待って逃げ出したのか、逮捕されたのか、それとも救助に来た人間をも手にかけて自殺を敢行したのか。

そこは謎として残されるエンドでした。


虐殺オチには唐突感が先に立ちました。千春の個人ストーリーと地続きの感想になりますが、ラストでよりによって千春が無双するのか……とどうしても思ってしまいました。

結末(というか千春の話)に至るまでは、怪異現象が哀れな人間をいたぶる、心理描写も生々しいホラーが展開されていたと思います。

それなのに肝心のラストで二重人格(と言ってもいい気がします)の狂人が凶行を繰り広げて話を収束させてしまうのは、悪い意味で肩透かしでした。強引というかそこだけ全体から浮き上がってしまうというか。


「怪異より人間の方が怖い」というオチなのでしょうか。






おまけの怪談の感想



本編を読了した特典として、同じく掲示板発祥の怖い話をいくつか読むことができます。

書き込み内容そのままの話もあれば、物語調にアレンジしたものもあり、趣向の異なる怖い話を様々に楽しめます。

その中で印象に残った怖い話について、以下に簡単な感想を書きました。





うちの兄にいつか喰われるかもしれない



カニバ要素を含む、正統派の掲示板ホラーです。

オカ板の話を第三者的に楽しんでいたはずが、スレ主=自分の友人だったという衝撃の展開。
しかも語り手自身が深淵に飲み込まれてしまうというオチでした。

スレ主が自分に近しい人間だったという展開はありがちかもしれませんが、このお話は語りが巧いのでとにかくドキドキします。




きさらぎ駅



この話の面白いポイントは、視点人物がいい感じに鼻につくキャラとして造形されている点だと思います。

流れとしては、「どうせ作りごと」と高みの見物でスレ主とやりとりしていたら、自分自身も同じ状況に陥ったことに気づく……というもの。

視点人物が掲示板のレスを読むのに没頭し始めたあたりから、「いつ自分が乗っている電車の異常に気づくのかなー」とワクワクしていました。

期待を裏切らないオチに思わずにっこりしました。
でも実際に視点人物と同じ立場に立たされたら、超怖いだろうなーと思います。




きよみちゃん



怖い話ではなく、一瞬だけ時を超える感動系のお話です。

子供の頃、家庭のことで悪口を言われることのあった語り手に、なんの偏見もためらいもなく仲良くしてくれた「きよみちゃん」。そのきよみちゃんのことを大人になって思い出した語り手の心が、昔の自分に一瞬だけ宿る……という不思議な展開でした。

きよみちゃんとの約束を語り手が覚えていたことと、彼女自身もきよみちゃんに万感の思いを込めて語りかける流れに、けっこうジーンとしてしまいました。語り手もきよみちゃんも、大人になっても互いへの友情を心のどこかに抱き続けていたんだなーと。

幼き日の友情のかけがえのなさが心に沁みる話だと思います。




山祭り



京都の貴船に母と旅行した男性が、二人で山のお祭りに招かれます。
幽霊は登場するものの、怖さのない感動系ストーリーです。

あの世とこの世に分かれた人々が、山祭りという特別な行事の中で交わって語らう……という、言ってしまえばよくあるタイプのお話です。よくあるタイプのお話だとは思うのですが、正直に言うと泣きました。こういう系の話に本当に弱いです。


招待者のおじいさんの京都弁といい、細部の描写がうまい話だと思います。情景もよく伝わってきます。

ホロリとくるのはやはり、語り手とそのお母さんの設定です。

結婚して数年後に夫を亡くし、忘れ形見の息子たちを女手一つで育て上げたお母さん。

そんなお母さんが十数年以上経って夫と再会する。
もうこれだけで目頭が熱くなります。

一方の語り手(成人済み)は、物心ついた頃にはすでにいなかった父親と対面し、自分のことをとめどなく話しながらひたすらに泣きます。そして別れるときには、「長男だから」と頼もしく胸を張ってみせます。

このあたりの描写がまた上手く、読者としてはガンガンに涙腺を刺激されました。

そういうわけで、特典の中では一番好きなお話です。全体の語りもすごくいいなと思います。




竹林で



伝聞伝聞、のちに実録のホラー話です。

友達のお母さんが小屋の中で首を……とのっけから衝撃の展開。
その後転校したはずの友達の幽霊が、同じ小屋の中に出るようになったという流れです。

大きな口を開け、叫び続ける友達の幽霊。
大人になって伝聞を確かめに行った語り手は、実際にその幽霊に遭遇してしまいます。

首をくくった母親の霊ではなく、母の死体を見て叫び続ける友達の霊が出る……というのが絶妙な怖さだと思います。

なぜ友達の幽霊が出るようになったのか。転校先で何があったのか。そもそも友達は本当に転校したのか(もしかしてひぐらし的な『転校』だったのか)。不気味な謎の残るいいホラーです。




コトリバコ



陰惨な因習系ホラーです。
アングラな要素が多分に含まれる、掲示板の隅でひっそりと語られていそうな雰囲気の話でした。

コトリバコ=「子取り箱」です。作成方法といいその効果といい、恐ろしいの一言に尽きます。

ただ、『ひぐらしのなく頃に』や横溝正史のいくつかの作品に含まれるホラー要素(閉鎖的な村社会、因習、生々しいグロ要素、血の因縁)がけっこう好きなので、「コトリバコ」も興味深い内容ではありました。

良い意味での作り話臭さと、古い伝承を盛り込んだリアルさが両立している、読みごたえのあるお話です。
たとえばMがビビって取り乱すくだりには、ついつい引き込まれてしまうような迫力があります。




*****



ホラーノベルは、目が冴えてしまった深夜にプレイすると楽しいですね。
この作品も深夜にプレイしました。そのため、呼んでいる途中も読み終わった後も怖かったです。

夏、あるいは秋の夜長のお供にピッタリのノベルゲームかもしれません。面白かったです。



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Comments 4

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あほ  

かもかて10年祭って企画がいま進行してますよ!ぜひ参加して欲しいです!

2018/06/04 (Mon) 20:13 | EDIT | REPLY |   
かーめるん  
Re: タイトルなし

>あほさん

コメントありがとうございます。返信が遅くなってすみません。

>かもかて10年祭って~

教えてくださってありがとうございます! 素敵な企画ですね。
応募する作品の目途がつき次第、参加させていただきたいなと思います。

2018/06/07 (Thu) 21:17 | EDIT | REPLY |   
Futaba  

はじめまして~
かもかての検索からこちらのサイトを拝見させていただいてます。
かーめるんさんの考察力と文章センスが良くてレビューされているゲームをいくつか遊ばせていただきました、ありがとうございます
『6人目』が誰を指しているかが何となくゲーム内では分かりにくい気がします。チャットパートで視点になってたhagoitaかなとストレートに思ったんですけどじゃあなんであの場面で電話を取り出したのかが自分はよく見えてこなかったんですよね…
むしろそこだけ見るなら自殺に否定的なkisaragiの方がそれっぽいような気もしますし。

ところで栄子の『国鉄』は元ネタの怪談のタイトルが違うようです。
『終電』というタイトルの怪談が恐らく元ネタではないかなと思います~
ただ元ネタと言っても終電に乗ったら親子の会話が聞こえて~といった内容の怪談なので栄子の話の全体では無くその部分のみ元ネタがあるような感じですが…

2018/06/19 (Tue) 17:08 | EDIT | REPLY |   
かーめるん  
Re: タイトルなし

> Futabaさん

はじめまして、コメントありがとうございます! 返信が遅くなって申し訳ありません。

記事をいくつも読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます。
また、ゲームの紹介的な意味でお役に立てたようで、そのことについても本当に嬉しく思います。

> 『6人目』が誰を指しているかが~

①本編開始時点(決行当日の集合時)から、メインキャラ5人の動向を見守っていた視点人物(6人目)が実は存在した
②本編より前(冒頭のチャットパート)の視点人物はhagoitaである
③このゲーム全体の視点人物はずっとhagoitaであった

……という感じに私は考えました。
実はhagoita目線で一貫していたんですよ、ということが大きなオチの一つなのかなと思ったので。

また電話での通報そのものが、6人目の傍観者・第三者的性格のわかりやすい表れではないかと感じました。

栄子も指摘していましたが、6人目の真っ当な行動は、あのエレベータ内では正しいとは言えないものです。
あれだけ切羽詰まったメインキャラ5人の事情を直に聞いておきながら、6人目は彼女らの意向を汲もうとせず、言ってみれば空気の読めない行動に出ようとしました。
特殊な目的をもって特殊な集団に参加していたはずなのに、手の平を返して良識的な、「一般人」的な対応を取ろうとしたわけです。
それはそのまま、6人目がメインキャラたちからは距離のある、傍観者かつ第三者でしかなかったことの証拠ではないかと思います。

だから6人目は、チャットパートで傍観者・第三者的な発言をしていたhagoitaではないかと私は感じました。

ただ、確たる根拠があるわけではないんですよね。
6人目=hagoitaと直感してから、あれこれと説明を考えているところは確かにあります。

Futabaさんのコメントを拝見して、6人目=kisaragi説もありそうだなーと思いました。
たしかにkisaragiは、終始否定的な態度をとっていましたよね。
あのサイトを覗きながら他のメンバーを馬鹿にするという、やや物見高い言動も気になります。
ただ、kisaragiが6人目なら、チャットでしつこく絡んでいたMyaKOこと美夜子にもっと反応しそうな気もします。

あと、通報に関しては、私もどうしてあの場でやろうとしたのかなと疑問に思いました。
どこにも逃げ場がないですよね、バレたときに。悪手すぎる気がします。
犯罪行為の絡む告白を聞き、メインキャラたちのような切迫した事情も持たないがゆえに、怖気づいてしまったのでしょうか。

ふと思ったのは、6人目は本当に死を選ぶつもりだったのだろうかということです。
見物目的で参加したものの、こっそり逃げ出すのは無理そうだと判断し、外部に助けを求めた……という可能性はないのかな、と。
6人目自身のはっきりとした意思が分かるくだりはなかった気もします。
もちろん栄子の言うように、死を目前にして正義感に突き動かされただけかもしれませんが。

> ところで栄子の『国鉄』は~

ありがとうございます! 元ネタがわからなかったので、教えていただけるのは本当に有り難いです。
「親子の会話が聞こえる→彼らの姿を目撃」という流れからしても、栄子の心霊エピソードの元ネタっぽいですね。
記事の方にも追記しておきます。ありがとうございました。


長々とお返事してしまってすみません。

あらためて、コメントをありがとうございました。
ゲームのストーリーを考え直す良い機会になりました。

2018/06/23 (Sat) 18:56 | EDIT | REPLY |   

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