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『グレイメルカ』 キャラクター感想 ※ネタバレ注意 その4

2019/05/04
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長編戦略シミュレーションRPG(SLG)、『グレイメルカ』のキャラクター感想記事(ネタバレ込み)です。戦闘ユニットの評価も含みます。制作サークルはシニカルとレトリック様。制作サークル様の公式サイトはこちらです。 → シニカルとレトリック

グレイメルカ スクショ 第5章 ハルカの墓の前で変わらぬ親愛の気持ちを告げるクレミト

グレイメルカ

今回の記事その4は、ネタバレがガッツリ含まれる『グレイメルカ』に登場するキャラクター感想が中心です。おまけその1的な感じで書きました。ストーリーやエンディングを未見の方はご注意ください。

キャラクター雑感

『グレイメルカ』の登場キャラ(名前あり)は、最終的には50人を大きく超えます。戦闘ユニットに限ってみても、適性やスキルが多様で老若男女よりどりみどり。

見事なのは、キャラクターそれぞれが埋もれない個性を持っているです。どのキャラも性格や過去に癖があり、生々しい一面が垣間見えることもあるものの、そこがまた味わい深かったりします。

今回は特に好きなキャラだけピックアップしましたが、味方になってくれる戦闘ユニットは正直みんな好きです。(さすがにグレイメルカを開発した外道科学者たちは除くとして)敵であってもネームドキャラならだいたい好きでした。というか逆に、『グレイメルカ』は「嫌いなキャラを挙げろ」と言われてパッと思いつかない作品かもしれません。

以前も書きましたが、『グレイメルカ』のキャラって基本的に、「私はこういう人間だ」と認識した上で首尾一貫した言動をするんですよね。だからたとえ理解・共感しがたいことがあっても、そのブレない姿勢自体はリスペクトできるし、「このキャラはこういう人だもんな」と受け入れやすかったです。制作者様のキャラの把握っぷりが素晴らしいなと思います。

今回は挙げませんでしたが、ガシガンやウオラトリやユラあたりもよく出陣してもらったし好きなキャラです。スポポンドさんもけっこう好きです。あの外見で洞察力が抜群だったり、優先順位が「身内・好きな人>>>職務・他人」くらい異様にはっきりしていたり、意外性の塊のようなおじさんだと思います。

それでは以下、「特に好きなキャラ」&「印象的だったキャラ」の感想を書いていきます。いわゆるキャラ語りです。ネタバレにご注意ください。

メラ・アイル

「メラ・アイル」はロマテアの軍人です。一見クールで無愛想ですが、実は熱い性格の持ち主であり、冒険の多い人生に憧れています。仲良しのロシェアいわく「男の子っぽい」ものの、性格の暗さやうまく笑えないことを気にしたり恋に興味があったりと、年相応の女の子らしさもあります。

女性キャラの中ではメラが一番好きでした。格好良くないスポポンドを理想の父として慕っているのがいいなーと思います。特に彼女がスポポンドの(ハルカへの)熱意に打たれて与するくだりは、初見で驚きつつも歓喜しました。まさか反逆者に随行して未知のバーメイルにまで乗り込み、半年も一緒にサバイバル生活を送ってくれるような子がいるとは思いもしませんでした。

メラたんメラたんと心のアイドル的に好きだったので、最終的にカンツラとくっついたと聞いて「マジか」と残念な思いでした。とはいえ絡みもフラグも多かった2人なので、カップル成立を意外だとは思いませんでした。本筋を見ても支援会話を見ても、メラが出会った当初からカンツラの料理に胃袋をガッツリと掴まれていたことは明らかです。

カンツラは王子という安泰な地位を捨ててまで料理一筋に生きている男性なので、そのあたりもメラにとってポイントが高かったのかなと思います。平穏で変わらぬ日常を愛するメラパパの対極にいるような男性ですよね。ウオラトリに話していた「ちょっと気になるヤツ」がカンツラなら、わりと早い段階で恋愛感情を抱いていたのかもしれません。

グレイメルカ スクショ ハルカの処遇をめぐってソヴォと喧嘩になりかけたメラ ノサント戦 支援会話

グレイメルカ

また、メラとハルカの友情関係が個人的には好きでした。性格が暗めの2人が親友同士というのがなんともツボです。ハルカがわりあい普通の女の子であるメラと一から友情を築いたことを考えると微笑ましくなります(メレオネといいファテナといい、ハルカと親しい女性にはスーパーレディが多いので)。

「ソヴォの働きぶりもハルカの献身には及ばない」と言ってくれたり、ハルカのためにソヴォとガチで喧嘩しようとしたり、メラのハルカへの友情にはグッとくることが多かったです(そういう場面では照れくささを隠すようにぶっきらぼうに話すのもたまらないポイント)。ハルカの口調が砕けているのも含めて、ノサント戦の支援会話は大好きです。

戦闘ユニットとしてのメラは「槍使い」です。スポポンドに次いで再登場が早いので、育成の機会には恵まれています。

成長率はそこまで良い方ではないですが、愛ゆえに基本スタメンでした。1周目は伸びが良かったのですが、2周目以降はちょっとステがヘタレてしまったんですよね(特に素早さ)。だから体術を上げ槍レベルを上げ、カプセルをつぎ込み……と強化に腐心しました。

固有のスキルは、【不殺】【先制】【格闘技】。なかでも彼女を象徴するスキルは【不殺】でしょう。このスキルを用いれば、本来は倒してしまえる状況でもHP1残して敵を生かすことができます。

【不殺】を応用することで、効率よく味方に経験値や貢献度を稼がせたり、ジェヘララちゃんやアイスキャットなどと協力して相手のアイテムを【盗む】ことが可能です。性能的にもメラの信条的にも素敵なスキルだなーと思います。

ジェヘララ(ミンリー・カルタ)

グレイメルカ スクショ サークレットの話で意気投合するペコとジェヘララ 支援会話

グレイメルカ

「ジェヘララちゃん」(ちゃん付け必須)は盗賊を専門に狙う盗賊です。最初は普通に好きレベルだったものの、戦闘で使用したり支援会話を見たりするうちにじわじわと好きになりました。今では大好きです。するめキャラだと思います。不思議な言葉遣いも含めてカワイイ。

第6章で思わぬ活躍を見せてくれたことには驚きました。彼女のハルカへの思慕の強さにもびっくりしました。ジェヘララちゃんはハルカとの繋がりのみを頼って抗帝軍に参加していたキャラなので、特に唐突感はなかったです。兄妹感覚で慕っていたんだなーとしんみりしました。

戦闘ユニットとしてのジェヘララちゃんは「剣使い」です。序盤に登場&本加入が早めなので、育成のしやすいキャラです。いわゆるシーフ(盗賊)キャラであり、素早さ特化で腕力や防御は低く、手数で攻めるタイプと言えます。とはいえ体術を鍛えればけして弱くはなく、器用の数値が高いので信頼できます。

ジェヘララちゃんは盗賊としてのスキルを一通り持っています。登場が早い上に【盗む】持ちなのが何よりありがたいポイントです。本編でも【不殺】のメラと組んで資金繰りや武器節約のために活躍してもらいました。また、最も有用なのは【強奪】倒した相手の所持品をそっくり盗める神スキルです。

2周目に攻略wikiを解禁したのですが、ジェヘララちゃんに関して「弓の適性あり」というコメントがありました。そこで「弓術のすゝめ」を使用したところ、ガシガンとはベクトルの異なる弓のエースに化けました。弓+【強奪】がお役立ちすぎる。第31話前半のジェヘララちゃんの活躍っぷり(ロングボウでカタパルト強奪)は素晴らしかったです。

ファテナ・デト

グレイメルカ スクショ 祖父バルナクの墓前で自身の存在を問うファテナ

グレイメルカ

「ファテナ・デト」はかつてのドルテ王国の姫です。プレイを重ねるうちに気になって気になって仕方がなくなりました。単純に好きというよりは、見ていてたまらない気持ちになる女性だなあと思います。ファテナに報われない恋心を抱き続けたヘイントも同じような気持ちだったのでしょうか。個人的な傾向として、自分の心を抑えて生きているキャラにはいつも心惹かれてしまいます。

メレオネ→←ハルカ←ファテナ←ヘイントと終盤の恋模様はかなり複雑。その後、第6章で総括のように語られたファテナの吐露を見たときには胸が痛くなりました。ファテナの苦しい恋心が切なかったこともそうですが、彼女が語った自分とハルカ・メレオネの違いに納得がいったからです。

個人的には、ハルカはそれなりにファテナを気にかけていたんじゃないかと思います。たとえば第26話後半の支援会話で、「自分が敵に回っていたら倒したか」というファテナの問いにハルカが言いよどむ場面がありました。ファテナ自身ハルカの反応が意外だったようですが、プレイヤーとしてもハルカが「倒す」と即答しなかったことに少なからず驚きました。

ファテナは知る由もないですが、ハルカはサーシンを闇討ちする前にファテナの結婚後の幸せを考えたりもしていました。親世代を通したハルカとの因縁も考えると、もしメレオネがいなければ、最もハルカの側近くにいられる女性はファテナだったのかもしれません(とはいえ、メレオネでなければハルカを救うことはできなかっただろうと思いますが)。

ストーリー中でファテナの思いが実を結ぶことはありませんでした。しかし、ドルテの姫としての生と一人の女性としての生の間で揺れる彼女の葛藤は、プレイヤーの私にとっては非常に魅力的なものでした。最終的に彼女が達した境地やエピローグで語られる逸話を見ると、生きることを全うしたファテナを労いたい気持ちになりました。

戦闘ユニットとしても、ファテナはケシマの里を5年で卒業しただけあって強いです。使える魔法の関係で火力に欠ける感はあり、打たれ強くもないので前線に出すのはやや躊躇われますが、どの能力値も基本的に優秀(【予測】があるのも強み)。さすがはファテナ姫。デトの宝玉イベントで【前向き】を習得するとさらに使いやすかったです。

グレイメルカ スクショ クレンフゥとの婚姻を拒否するペコとそれを許さないネダバス

グレイメルカ

「シャスタシルカ・ペコ・ハンカ」はコートマ王国の姫です。ペコのフルネームって口に出して言いたいリズムの良さがあると思います(ペコ自身はお母さんにもらった「ペコ」というミドルネームが好きなのもすごく可愛い)。

最初はネダバスやクレンフゥとのやりとりが面白いなと思い、実際にユニットとして使ううちに好きなキャラになりました。ドット絵の「^」みたいな口がキュートだし、特に【前向き】が発動したときのくるりん一回転が非常に可愛いんですよね。ちょっと自慢気に見えるあの顔と動きに心をやられたと言っても過言ではありません。

キャラクターに関する話をすると、子供らしい威勢の良さと反抗心の強さ、崩れたときのあわわ加減、元気の良さと前向きなところがペコの魅力だと思います。

支援会話を見ていると、出会ったばかりのキャラとすぐに打ち解けて話し込むものが多いんですよね。相手の長所をすぐに見つけ出して率直に褒めるところを見るたび、ペコっていい子だな~としみじみと思いました。そして、基本的に朗らかなペコの態度が悪くなるのはクレンフゥとネダバスが関わる話題だけなんだなーと実感しました。

まだまだ子供っぽい印象の強かったペコですが、第5章の過酷な展開の中で一回り大人びたように感じました。戦後の彼女の人生はなかなかにシリアスだと思います。あれだけ嫌っていたクレンフゥと結婚し、領主の地位とハンカ家当主の座を譲り渡した……という。

それまで王族としての利益を受けてこなかったのに、ペコは王の遺児としての役目をきっちり果たしたわけです。責任感のある立派な女性だなと思いました。

ペコは小柄な身体ながら、優秀なディフェンダーです(ファイターにならなかった理由には正直笑いました。たしかにゴールドロードに編成されてクレンフゥに指揮されるのはペコ的には地獄)。

体術を上げれば堅くもなり、【前向き】があるので活躍の機会も増えます。ただ、【重戦士殺】に弱いのはちょっと惜しいですね。怪力設定があるので、オマケで【超筋肉】がついていればよかったのになーと思いました。

特徴的な固有スキルは、【神技守護】3マス以内にいる仲間をどんな攻撃からも守ることができます。説明書きを読むより前に、味方を襲った魔法攻撃をペコが無効化したときにはかなり驚きました。SUGEEEEの一言です。

ザリップ

グレイメルカ スクショ ロシェアにスケベと言われて動揺しつつ否定するザリップ

グレイメルカ

「ザリップ」はヘイントとともにメレオネに師事する魔道師です。1周目のカンクットの森でデト・マギ含む伏兵を半数以上やっつけて以降、ザリップは最終決戦まで常にスタメンでした。わさわさ飛び出してくる兵士を【興奮】しつつバサバサ倒していくザリップさんはこの上なく強かった。『グレイメルカ』は魔道師が優秀なゲームですが、ザリップは登場が早い上に頼れるユニットだと思います。

性能の話をすると、【秀才】持ちなので成長が速く、【再移動】があるので使い勝手がいいです。毒魔法の使い手ゆえに必殺が出やすく、加えて【俊足殺し】がシンプルに強く、一撃必殺的な火力の高さが魅力的。さらに【興奮】で手数が増えやすい点も見逃せません。

以上のスキル構成により、執拗かつ殺意の高い戦闘スタイルに仕上がっています。「敵を徹底的に苦しめたい、死の様を間近で見たい」というキャラ設定にカッチリハマった性能で素晴らしいです。能力値的にもそれなりに優秀な方だと思います(レベル40MAXで、魔力・器用カンスト、魔防カンスト手前、素早さ30以上でした)。

残虐非道カピンちゃんの評価によれば、ザリップはハルカと並ぶ線の細い美少年らしいです(ソヴォを「微メン」と言い切ったり、オッゾンを「なんであの歳で生きてるの」と言ったり、カピンの男性評価の容赦のなさには笑います)。個人的には、ロシェアが絡むと年相応に慌てふためくのが可愛いなーと思いました。ムッツリザリップ。

ロシェアの幼なじみであるガシガンとの支援会話では、互いの性格について深く切り込んでいて興味深かったです。温厚な平時と残酷な戦闘時のギャップ、過不足なくきっちりと自己分析できているところがザリップの魅力だと思います。

サリー・デリト

グレイメルカ スクショ スカイリードの部下を置き去りにしてウィラを追ってきたサリー 第6章

グレイメルカ

「サリー・デリト」はスカイリード所属の軍人(地味に天才設定あり)。第6章で好感度が急上昇したキャラの1人です。

もともと口説き文句の面白さから普通に好きでしたが、第6章ではキャラが地味に掘り下げられたり活躍シーンがあったりで魅力を再認識できました。カンツラとの支援会話のテンションの低さが面白かったです。

第6章は第5章の12年後ということもあり、主要女性キャラが軒並み20代後半~40代半ばくらいになっています。しかしサリーはまったくの通常運転。節操なく熱心に口説いて回るので、以前とは違ってサリーに対して好意的な反応をしている女性が多かった気がします。あとでエピローグを読み、波乱万丈なハーレム秘話(本編とまったく関係なし)に笑いました。

戦闘ユニットとしてのサリーは、「斧使い(飛行可)」です。素早さが高く、スカイリード隊員にしては頑丈の伸びが良いので使いやすかったです。

サリーの特徴的なスキルは、【ベイベー】&【ハーレム】。女性に囲まれているだけで経験値の溜まる後者はフレーバー的なスキルですが、どこからでも女性の側に駆けつけられる前者は意外と使えるスキルでした。

クレンフゥ・ジョカルナ

グレイメルカ スクショ 不遜なことを言いつつもネダバスをフバーラインに亡命させようとするクレンフゥ

グレイメルカ

「クレンフゥ・ジョカルナ」は第3章から登場するコートマの将軍です。一言で言い表すなら、英雄的資質と頭のおかしさ(褒め言葉)が両立している稀有なキャラだと思います。

「この人スゴイ」(政治軍略万能の忠臣)と「この人ヤバイ」(エキセントリックなナルシスト)を、過不足なく一人の人物に収めて描写している点がマジで素晴らしいです。面白くてインパクト大な上に一本筋の通ったキャラで、しかし訳が分からない。男性キャラの中では一番好きでした。

登場早々華麗に出撃してサトホン城を獲ってしまう点がまず鮮烈なキャラクターだと思います。第16話ラストのゴールドロードとのやりとりを見ていると、正直「アホそう」「めっちゃ弱そう」みたいな感想しか浮かばないんですよね。ところがデト・マギやシアセットを凌駕する強さを見せつけてくれるので、初見では衝撃&感動でした。

当初はクレンフゥを不遜なナルシストだとばかり思っていたので、ストーリーが進むにつれ、主君への忠誠心や祖国愛、部下への思いやりといったものが見えてきて驚きました。ゴールドロードがクレンフゥを心から慕うのも納得です。

とりわけ印象的だったシーンは、さっさとフバーラインに逃げると決めたネダバスに部下が呆れたとき、「陛下は名君ではないが良いところもたくさんある」と言葉少なにフォローした場面でしょうか。

暗君の多いコートマの王らしく、ネダバスは実子のペコに「アホ」と評されるくらいに暗愚な国王です。悪い意味で自分が何より大切で、国の存亡の危機に直面して「野宿とか無理」と言い放ったりします。クレンフゥも当然ネダバスが王の器ではないことを理解しています。しかしけして主君の能力不足を責めたり裏で嘲ったりはせず、家臣として私心なく尽くしているんですよね。

ストーリーを追っていくと分かりますが、クレンフゥのネダバスへの忠誠心は嘘偽りなく強いです。「髪こそ人の真価」と信じているのに天パのネダバスに仕えている時点で、その忠臣ぶりは推して知るべしなのかもしれません。

たとえば、第5章で「ネダバスに貴方が命を捧げるほどの価値はない」と諭されたクレンフゥが、「陛下は天パだが、お前の火災現場の煙のような焼け焦げた髪よりはずっと美しい!」と啖呵を切ったときは正直言って感動しました。ギルピット城戦での一幕もペコとのやりとりを含めて印象的でした。

クレンフゥのような実力あるナルシストキャラが、一見不合理にも見えるような一途さで主君を盛り立てているというのは、新鮮でもあり魅力的なギャップだなーと思います。有能な家臣の献身によって命脈を保つコートマのお国柄も垣間見えて面白いです。

クレンフゥは加入が遅め&ストーリー的にも半死半生で行き倒れていたところを拾われて即参戦するので、キャラ設定に反してそれほど優れた戦闘ユニットではありません。

しかし、【英雄】(戦闘中の自軍キャラの命中&回避を1.5倍にする)という希少価値の高い神スキルゆえにずっとスタメンでした。【名采配】持ちの軍師オッゾンと同じく、戦場に出るだけで価値のあるキャラと言えます。

レシウル・トルトナ

グレイメルカ スクショ 息子2人とハルカに他人を敬うことの重要性を語るレシウル帝 トルトナ家

グレイメルカ

「レシウル帝」は大好きなキャラの1人です。第1章の名君かつ人格者な描写に好感を持ち、主人公であるクナタとカタリに対して打ち解けた様子で話すのを見てさらに好感度が上がりました。

第4話の展開には納得こそすれ悲しんだので、レシウル帝が憎悪に駆られて豹変するほどクナタとカタリを惜しんでくれたことに個人的には慰められました。ハルカを息子同然に育ててくれたことも泣けるポイントです。皇帝としての孤独を埋めてくれた二人をレシウル帝がどれだけ大切に思っていたのか、その愛情深さに感じ入って好感度はほとんどマックスに達しました。

レシウル帝は他のキャラとは違ってあまりぶっ飛んだところがないというか、穏やかで安定した人柄がいいですね。若い頃からずっと皇帝として生きてきた者らしい、冷徹で断固とした態度もまた魅力的です。そして、愛情を注いだ家族(サーシン、デミライト、ハルカ)にことごとく裏切られ、失意のうちに亡くなるという末路もまた印象的でした。

個人的に切なかったのは、クレミトの存在を知ったときの反応です。ファテナの子ではないサーシンの子供(しかも農民の子)など認めるわけにはいかないと心を鬼にして言いながらも、「会いたいなあ」とひっそりと漏らす姿には泣けました。

結局クレミトを連行することは叶わず、現場ではアイフィが亡くなります。この件に関し、「最初からレシウルが刺客を放った」と若干誤解されているのが悲しくてならなかったです。プレイヤーとして「違う」と言いたくても、キャラクターの誰もレシウルの葛藤を知らないという心苦しさ。

実際レシウルがクレミトをどうするつもりだったのかは分かりません。ただ、命をとることまでは考えていなかったのではないかと個人的には思います(命を奪うつもりなら、わざわざ王城に連れてくるように指示するだろうかという疑問)。

もっとも、ハルカだけは最初から最後までレシウルに優しかったのが救いでした。両親の死が改ざんされたのでは、と疑ったときを除けば、ハルカは常にレシウルを父親同然の恩人と見なしていた気がします。

関係のない他人にはどう思われていてもいい、でもハルカにだけはレシウルを悪く思ってほしくない……とずっと思っていたので、ハルカが「自分はロマテア人だ」と言い切り、V.S.カレンクェスで「レシウル様がオレを息子だと思ってくれた」と語ってくれたことが無性に嬉しかったです。

ところで、『グレイメルカ』自体のラストで、トルトナ家の4人の絆が再びクローズアップされたことには驚きました。同時に、自分が思いのほかレシウルとトルトナ家に愛着を抱いていたことを再確認しました。もはや文字によって語られるほかない彼らの間にも、愛情と真実はあった……そんな感慨に浸ってしまいました。

ハルカ

グレイメルカ スクショ 主君であるデミライトを守るために強くあろうとしたハルカ

グレイメルカ

もはや別格なのでここで挙げるか迷いましたが、主人公の「ハルカ」も好きです。根暗で無口で生気がなく、意思のはっきり見えない影のような佇まいのキャラクター。こういった戦記物の主人公としては変わり種であり、序盤でプレイヤー目線でも作中のキャラ目線でも取り返しのつかないバッドチョイス(サーシン暗殺)をしてしまうので、一定賛否の分かれるキャラかもしれません。

「けして許されない、贖うことの難しい罪を犯した人間は、その後どのように生きればいいのか」。よくある主題ですが、ハルカの場合、贖罪の過程で兄的存在でありかつての生きる意味だった人(デミライト)をも討つことになります。結果的にはハルカの行動によってサーシン・レシウル・デミライトのトルトナ家3人が倒れたわけです。

そもそもトルトナ家の3人は、物心つかないうちに両親を喪ったハルカにとって家族も同然の大切な人たちでした。つくづく1人の人間が背負うには重すぎる業だと思います。プレイヤーとしては「ハルカは今後まっとうに生きていけるのかな」と本気で感じた場面もありました。

しかし、ハルカは苦悩し続けました。歴史の波に押し流されるように進みながら、「自分がまだ生きているのはなぜか」と問い続けました。『グレイメルカ』のストーリーは、安易にハルカを肯定することはせず、しかし3章かけて犯した罪に向き合う彼にスポットライトを当て続けました。丁寧で誠実な仕事だと思います。

クレミトに許され、メレオネに救われ、ようやく存在を回復し生きることを肯定できるようになったハルカを見て、個人的には単純に「よかった」と思いました。悪いことはしたけどハルカはもう十分苦しんだよ、ハルカを憎む人はいるけどハルカを好きな人だってたくさんいるよ、今生きているならこれからも生きていていいんだよ、と素朴に感じました*。

最終的にハルカが迎えた最期は、「報いを受けた」と表現してもいいものかもしれません。実際後世の人間は、ハルカの数奇な生涯を語る際、訳知り顔でそう締めくくるのではないでしょうか。

ただプレイヤーの私は、初見では到底そんな風には感じられませんでした。「ハルカに生きていてほしかった」とただ思いました。悲しみと喪失感しかなかったです。たぶんハルカと肩を並べて戦った戦友たちは皆そう思ったのではないでしょうか(だからこそあの場面で気丈に振る舞い、ハルカを約束通り救ったメレオネの愛と覚悟が際立つのかもしれません)。

もっとも、ハルカが永遠に去ったことで、ハルカのことが好きだとはっきりと実感できたのも事実です。別れを心の底から悲しめるほどに、自分はちゃんとハルカに寄り添って、彼と同じ時代の人間としてこのゲームをプレイできたんだな……とも思いました。

大戦の引き金を引き、戦乱の時代を駆け抜け、その収束とともに帰らぬ人になったハルカ。波乱万丈としか言いようのない短い人生ですが、歴史にはけして残らない部分にこそハルカの生きた証はあるのだろうと思います。ハルカを惜しんで集まった仲間たち、そしてハルカを愛して慕ったクレミトの言葉を読むだけで、自然と目頭が熱くなりました。

*個人的な感想ですが、「皇帝クレミト」から逆算して、「デミライトとサーシンの共倒れは歴史の必然だった」と思ってしまったせいでもあります。結局ハルカの犯した罪は、歴史の表舞台に出るはずがなかったクレミトを上らせるための「糧」だったのだ……みたいな。本来皇帝クレミトの誕生は偶然であり奇跡ですが、本人のカリスマ性と説得力がそれを「必然」と感じさせてしまうからスゴイなーと思います。

*****

次回は「気になる男女ペア」・「好きなBGM」・「『グレイメルカ』感想まとめ」などを書きます。最後の記事です。

『グレイメルカ』 気になる男女ペア&好きなBGM 雑感 ※ネタバレ注意 その5

※前回:“人間がいる”、“歴史がある” 『グレイメルカ』の魅力 考察 その3
※記事その1:『グレイメルカ』 大河小説的な戦略SRPG 全6章のストーリーの概要&感想 戦闘レビュー

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かーめるん
Admin: かーめるん
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