『ジョジョの奇妙な冒険 7人目のスタンド使い』 第3部の旅に同行するRPG 感想&攻略
『ジョジョの奇妙な冒険』の第3部を題材にしたRPG、『ジョジョの奇妙な冒険 - 7人目のスタンド使い』の感想&攻略記事です。開発制作は粘土大陸様。制作者様のサイトはこちらです。 → clayman.net
7人目のスタンド使い
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『ジョジョの奇妙な冒険 - 7人目のスタンド使い』は、ジョジョ第3部・「スターダストクルセイダース」のファンゲームです(といっても、第3部のキャラに限らず部をまたいで様々なジョジョキャラが登場します)。
主人公は承太郎やジョセフたち3部メンバーに次ぐ、「7人目のスタンド使い」。ある日突然スタンド能力を与えられた彼/彼女は、承太郎たちに同行し、DIOが潜伏するエジプトを目指すことになります。
以下は、『7人目のスタンド使い』のストーリー&エンディングの詳細なネタバレを含む感想です。未見の方はご注意ください。
『ジョジョの奇妙な冒険』&『7人目のスタンド使い』の概要
まず、『7人目のスタンド使い』の原作である『ジョジョの奇妙な冒険』、および第3部「スターダストクルセイダース」について簡単に説明します。
7人目のスタンド使い
『ジョジョの奇妙な冒険』は、ジョースター家の血を受け継ぐ人間とその敵が繰り広げる死闘を、数世紀にも渡るスパンで描いたバトル漫画です。英国貴族のジョナサン、ジョナサンの孫でアメリカに渡ったジョセフ、ジョセフの孫で日本に生まれた空条承太郎……と、各部ごとに主人公が代替わりすることが同作品の大きな特徴です。
主人公であるジョースター家の宿敵とも言える存在が、不死身の吸血鬼となったDIO(ディオ・ブランドー)です。ジョースターの血統とDIOの因縁は第1部から連綿と続き、第6部にてその因縁に終止符が打たれたところで、ジョースター家の物語は一つの区切りを迎えます(そして第7部へ)。
さて、『ジョジョの奇妙な冒険』第3部(副題:スターダストクルセイダース)は、主人公の空条承太郎が祖父のジョセフや仲間たちとともにエジプトまで旅し、宿敵である吸血鬼DIOを倒すまでの物語です。ストーリーは承太郎が暮らす日本・東京からスタート。刺客との戦闘を繰り広げながら地球をほぼ半周したのち、エジプト・カイロで終結します。
第3部は「スタンド」という概念が初めて登場したパートであり、超能力バトルものとしての色彩が強い物語です。一方で、50日かけてアジア・中東の国々を旅するロードムービー的ストーリーとしての側面も持ち、旅情とロマン溢れる旅模様が魅力的な部でもあります。
上記を踏まえた上で、『7人目のスタンド使い』の概要を説明します。『7人目のスタンド使い』は、「第3部のIFストーリー」の体をとったゲームです。プレイヤーは承太郎一行に同行し、第3部の旅とストーリーをそのままなぞって楽しむことができます。プレイするにあたってジョジョ原作、少なくとも第3部の知識があればより楽しめることでしょう。
『7人目のスタンド使い』の主人公は、突如としてスタンド能力に目覚めた日本の高校生です。全員で5名と1匹のジョースター一行に「7人目のスタンド使い」として加わり、ともにエジプトを目指すことになります。
ところで、平穏に暮らしていた主人公にスタンドを授けたのは「スティール」を名乗る謎の声です。彼は主人公に、「君がこの世界の運命を変えねばならない」と諭します。「なぜ主人公にスタンド能力が与えられたのか?」、「第3部のストーリーの裏で暗躍する勢力とは?」といったオリジナルストーリーもまた『7人目のスタンド使い』の見どころの一つです。
ジョジョファン目線で感じたこと
私は『ジョジョの奇妙な冒険』のファンです。ファンの私にとって本作品はとても楽しいゲームでした。なんといっても、世界を半周する第三部の旅をゲームで体験し、ジョースター一行に同行するというありそうでなかった展開を見ることができるわけですから。
第3部の旅は長いので、「主人公」というオリジナル要素を加えつつ最初から最後までゲーム化するのは大変な作業だっただろうと思います。
ところで、既存の世界にオリジナル主人公を登場させるというのはかなりデリケートな事案だと思います。二次創作においてメアリー・スー現象が起こりやすい典型的パターンだからです。
何周かプレイした限り、この作品は原作やその雰囲気、登場キャラクターをリスペクトしつつ、オリジナル主人公をジョジョ世界に溶け込ませることに成功していると感じました。原作キャラの株を下げることもなく、過度にオリジナル主人公を持ち上げることもなく、良いバランスが保たれていると思います。
『7人目のスタンド使い』の魅力
『7人目のスタンド使い』は、様々な楽しみ方ができるゲームです。敵キャラクターと戦うのを楽しむのもよし、仲間内での多彩なイベントを楽しむもよし、行く先々での観光を楽しむもよし、お土産品を含めたアイテムコンプを目指すもよし。プレイ目的はそれこそ様々に見出せます。
注目点として、仲間となる原作キャラには「友好度」が設定されています。仲良くなった原作キャラクターとは特別な友情EDを迎えられることも、このゲームの面白さの一つです。
本筋を追うにはどうしても戦闘をする必要があるものの、「考える」コマンドを使用することで戦闘をスキップできます。よって、RPGの戦闘が苦手な人でも充分にプレイ可能です。
また、キャラクターメイキングは『7人目』の大きな魅力の1つです。プレイヤーは主人公の名前や性別、体型、口調、決め台詞を自由に設定することができます。目玉である主人公のスタンドは、冒頭の性格診断に応じて計18種類に分岐します。それぞれヴィジュアルや戦闘スタイルが異なり、スタンドによっては各街で原作にないイベントを発生させることができます。
主人公の選択によって「運命」が変わる
『7人目のスタンド使い』のストーリーは、基本的に原作に忠実に進行します。しかし、主人公が望めばある程度の変化を起こすことが可能です。たとえば、アヴドゥルの代わりにインドで撃たれたり、【死神13】戦で花京院の主張を信じたり……そのあたりは、(原作知識を持ち得る)プレイヤーが操る7人目の面目躍如と言うべきでしょうか。
ただし、ジョジョ世界において「運命」そのものを覆すことが不可能に近いのは周知の事実です(生死に関わる運命は特に)。したがってこのゲームでも、「主人公を含めた三部メンバー全員の生還」は非常に難易度の高いエンディングという位置づけになっています。
またそれとは別に、「邪悪度」を上げることでなんとDIOに加担しジョースター一行を裏切ることもできます。条件を満たせばそのままDIOすら裏切り、帝王となることも可能です。
このルートをたどる場合は、原作キャラを自らの手で倒すことになるためかなりの苦行が待っています。しかし主人公の性格によって裏切る際の言動がまるで異なるため、個人的には見応えがあるなーと思いました。
オリジナルシナリオの感想
7人目のスタンド使い
7人目のスタンド使いである主人公が出現したこのゲーム世界は、「原作世界とは異なるif世界」ということらしいです。そもそも主人公の存在がこの世界の原因であるとも言えます。
真の黒幕の言葉を借りるならば、観測者である主人公の存在が、多くの瞬間が混ざり合ってできたこの世界を固着させ、同じく観測者であった黒幕をこの世界に縛り付けたとのこと。その分この世界では運命は定まりきっておらず、主人公の干渉次第で運命を変えることができるそうです。
そして、この世界に縛られた存在は黒幕だけではありません。原作の第三部以降に登場するキャラクターもまたこの世界に巻き込まれ、彼らなりに元の世界に戻るべく主人公を導き、原作に沿った物語の陰で暗躍します。
正直なところ、私も話の筋を完全に理解しているとは言い難いです。結局はどういうことなんだろうと思う部分もあります。とはいえ原作の設定を活かしつつ、他部のキャラを意外な形で登場させる発想は非常に良いなあと思いました。
このゲームの独自要素である「潜水艦ルート」も、個人的にはとても楽しめました。ホル・ホースとの共闘、スピードワゴンやシュトロハイムとの協力体制など、まさに盛り沢山のルートです。紛争地帯は妙にリアル路線で好みではありませんでしたが、アラブ屋敷の謎解きは好きでした。
また先述した通り、このゲームには様々なエンディングが存在します。各キャラとの友情EDや全員生還ED、裏切りEDなどです。特にキャラエンドの場合、主人公の性格・スタンドによって会話内容や後日談が変化します。そのため、実質的なエンディングパターンは非常に膨大なものとなっています。
ちなみに私は、サクセッションED(全員生還エンド)でのDIOとの対決前の口上演出が好きです。非常にアツいと思います。締めに主人公のスタンドに合わせた決め台詞を放つところもワクワクします。
『7人目のスタンド使い』 総評
というわけで、『7人目のスタンド使い』の総評を一言で書くなら「随所まで原作愛に溢れた作品」でしょうか。各部のキャラクターが至る所に登場するあたり、3部ゲーに留まらないジョジョファンに向けたジョジョゲーであるような気もします。
そもそもこのゲームに手を出すのは少なからず原作に興味がある方だと思うので、あえて客観性を欠いた視点で記事を書きました。不満があるとすれば、キングクリムゾン実装済としてもテンポの悪いイベント会話くらいでしょうか。原作が好きな方には、ぜひ一度プレイしてみてほしいゲームです。
プレイ記録&エンディング感想
ここから、「『7人目のスタンド使い』のプレイ記録」を書いていきます。オリジナル主人公の性格やスタンドについての言及多めです。
単純に言えば、『7人目のスタンド使い』を4周しました。その中でフラグを調整し、1周につきエンドをいくつか確認しました。以下のエンディングはすでに確認済です。
・承太郎・アヴドゥル・花京院・ポルナレフとの友情ED(おおむね原作通りの展開に主人公をプラス)
・ダークED(実質バッド、後味が悪い)
・裏切りED(ジョースター一行を裏切るエンド)
・サクリファイスED(“犠牲”、主人公の末路的に実質バッド、6部の一巡フラグが濃厚なメリバ系)
・サクセッションED(“継承”、全員生還ハッピーエンド)
1周目の主人公のスタンドは「クイック・シルバー」、2周目は「ピクシーズ」、3周目は「スペシャルズ」、4周目は「カーペンターズ」でした。ちなみに、1周目は花京院中心に攻略し、2周目は承太郎中心、3周目はポルナレフ中心+裏切りED、4周目はアヴドゥル中心……という感じに進めました。
また、カーペンターズ主人公の4周目では、満を持して全員生還ハッピーエンドの「サクセッションED」を攻略しクリアしました。
ジョセフED、イギーED、裏切りからの帝王EDは未見です。ジョセフは友好度を上げると裏切りEDに行けなくなる、イギーは特殊なスタンドで攻略したい……など事情があって後回しにしていました。今後攻略したら、随時感想を更新しようと思います。
1周目:クイック・シルバー主人公
1周目のスタンドは、【クイック・シルバー】でした。診断を3回ほどやり直し、すべて【クイック・シルバー】になりました。下にスタンドの外見と「性格診断」を引用させていただきます。
性格診断:「明るく柔軟性に富むが感情的で好き嫌いが強い人。怒りっぽく、細かい事を気にする一面もある。親切で情にもろく、人と打ち解けやすい反面情に任せて感情的になる事が多い」
7人目のスタンド使い
制作者様の注釈によれば、【クイック・シルバー】は「猪突猛進」。硬いようで柔らかい性格から石や土などの鉱物イメージになり、それらをエネルギー変換して外に放出するスタンドになったそうです。レーザー砲なのは一直線というイメージから。
このゲームにおける性格診断はかなり重要な要素だと思います。スタンドが変化することはもちろん、旅の道中で垣間見える主人公の性格・言動がかなり違ってくるからです。スタンドに関連する性格設定も的を射たものが多く、「DIOを倒す理由」や「DIOに寝返る理由」も変化するので見応えがあります。
【クイック・シルバー】は遠距離特殊型スタンドです。全体攻撃技がそこそこ豊富に揃っていて、遠距離特化が花京院のみのジョースター一行の中ではかなり重宝しました。花京院と組んでのサン戦のサクサクっぷりが楽しかったです。
命中率の面でやや伸び悩んだものの、複数状態異常付与+最大ダメージという鬼畜仕様の「波動砲」を覚えてからはあまり悩むこともなかったです。性格同様何も考えずにボンボン撃ちこむスタイルがピッタリの砲台スタンドなので、終盤は「波動砲」一択でした。真面目な話、黒幕にもDIOにも危なげなく勝てました。
ゲームに手を出したきっかけが「花京院生存エンドあり」という情報だったので、まずは花京院メインに友好度を上げようかなと決めました。初見でシステムに不慣れだったので、この主人公で見たのは花京院エンドだけです。
あの【死神13】戦で花京院に味方できるイベントにはおおっと思いました。胸熱でした。初めてあのエピソードを読んだとき幼心に花京院がいたたまれなかったので、「花京院の主張を信じる」という意思表示をできることが嬉しかったです。病院に残って負傷した花京院を警護するルートも、友達っぽい会話が好きでした。
ところで、女性主人公でプレイしたところ、花京院がシーザー化していました。行く町行く町でプレゼントをくれるか奢ってくれるかする花京院のマメさに感心しました。単純にアイテムを貰えるのは嬉しかったです。
そもそも原作でスチュワーデスに対してああいう対応だったので、『7人目』のキャラ解釈に大きな違和感はないかなーとも思います。異性の友達相手に頑張った結果のプレゼント攻勢なのかもしれません。それでも、インドの花束イベントはスマートなスケコマシ過ぎて思わず二度見しましたが。
花京院友情ED(クイック・シルバー)
「友達ができたよ」エンドは感慨深かったです。大人になると花京院の享年は心に刺さるものがあります。花京院エンドは全体的な傾向として、承太郎と主人公との友情を強調したものになっているのがいいですね。
【クイック・シルバー】女性の後日談は、承太郎・花京院と一緒に補習を受けている放課後の風景でした。教室の外で主人公を待つ優しい2人。いかにも平和な友人関係がうかがえて微笑ましかったです。
クイック・シルバー主人公は、直情的なお人好しというイメージです。ある意味、裏切る理由の想像が一番つかない主人公かもしれません。
2周目:ピクシーズ主人公
2周目のスタンドは、【ピクシーズ】でした。制作者様の注釈によれば、「強引マイペース」。図太くどっしりと構えたところから樹木イメージ、活動的で融通が利き無邪気なところから妖精イメージも追加。人を強引に導くところから操作系になったそうです。
性格診断:「合理的で強引だが、融通が利き、いい意味で図太い人。感情的に優柔不断で独り善がりな気質も持っているが我慢強く、他人とぶつからないように努められる人。好んで一人でいることが多いが、結構活動的なタイプ」
7人目のスタンド使い
【ピクシーズ】は中距離操作系スタンドです。樹木型、大地属性。妖精を模したスタンド体を潜ませて小さな物や人の一部を操ったり、根を下ろして地中に干渉したりすることができます。中距離~遠距離をカバーする全体攻撃要員と言えます。
【ピクシーズ】の特長は、性能の良い自己バフ技を使えること。特に後半に覚える「山王」は、防御力を中心に各ステータスを急上昇させつつ複数の属性耐性を備えられる有用スキルです。守備に関しては強い反面、決定打に欠けるスタンドと言えるかもしれません。各スキルの命中率の低さもネックです。守りを固める戦略を取りつつ、堅実に削るのがいいかと思います。
キャラ攻略は承太郎かイギーにしようと思いつつプレイ開始。しかし、素直に承太郎の友好度を上げていたら途中加入のイギーが追いつけないレベルになっていました。48ポイントって。というわけで、この周回は承太郎友情エンドのみを確認しました。
プレイしていて「承太郎っていい男だな」と再認識しました。やれやれを連発しても嫌味ではない、むしろ格好良いのが承太郎の良さだと思います。仲間思いで家族思い、男らしいところはもちろん、わかりにくいようでわかりやすい性格もいいですね。
ホリィさんに電話をかけようとするイベントと、カイロでホテルに泊まった時に主人公と2人でジョセフに話をされるイベントにはグッときました。
承太郎友情ED(ピクシーズ)
【ピクシーズ】女性の後日談は、空条家の近くの交差点で2人が待ち合わせをしているシーンでした。「私たちコンビに喧嘩を吹っかける敵はいない、それよりご飯を食べに行こう」が楽観的でマイペースな主人公らしかったです。やれやれと言いつつ付き合ってくれる承太郎は優しい。
【ピクシーズ】主人公の性格は、案外承太郎と相性がいいのかなと思いました。強引に見えて柔軟、合理的、融通が利く……というところが特に。あれこれとかまいつつも引き際や重要なラインはわきまえている感じなので、「うっとおしくない」友情が築けそうです。
【ピクシーズ】主人公については、「興味があるから行くだけだ」と最初に承太郎に言ったことが印象に残っています。鋼入りのダンに言い放った過激なセリフも印象的です。何も考えてなさそうで、案外怖い性格なのかもしれません。
3周目:スペシャルズ主人公
3周目のスタンドは、【スペシャルズ】でした。このあたりから攻略情報を解禁。確か別のスタンドにしようと思って選択をミスし、このスタンドになった記憶があります。説明を読んで個性的で面白いスタンドだと思ったので、そのまま続行しました。
性格診断:「少し暗めで口数が少なく、大人びて気取り屋な人。自分を率直に出せず、複雑で少し屈折気味。しかしそれは話し下手で打ち解け難い悩みからでもある。落ち込みやすく引きずりやすいが、人の為に涙を流せる」
7人目のスタンド使い
制作者様の注釈によれば、「口下手な職人」。大人びた自分を守り理解してくれる存在を、他人との間で壁になり、自己犠牲も辞さないSPとして表現したそうです。
【スペシャルズ】は近距離群体型スタンドです。独立した意思を持つ、等身大の六体のSPを駆使して戦います。ミスタのスタンドの大きさを人並にし、個々に戦闘能力を付与したような感じですね。あらゆる耐性を備えることのできる「守護陣形」は魅力的ですが、基本ダメージ値が低いので火力に欠けるスタンドです。
ただし、【スペシャルズ】のSPたちは、仲間の誰かとペアを組んだ状態で一泊することでインスピレーションを得て新しいスキルを閃くことがあります。追加習得できるそれらの攻撃スキルはかなり強いものばかりです。対応は以下の通り。
・SP1:承太郎→「渾身正拳突き」
・SP2:花京院→「ピンポイントショット」
・SP3:ポルナレフ→「無差別斬り」
・SP4:ジョセフ→「豪腕背負い投げ」
・SP5:アヴドゥル→「大型グレネード」
・SP6:イギー→「トラップカーニバル」
防御無視の「渾身正拳突き」、中距離単体&命中率高の「ピンポイントショット」にはかなりお世話になりました。「大型グレネード」も、命中率は低いものの吹っ飛び付与効果があるので使い勝手が良かったです。
スタンド自体に特殊能力はないので、イベントが追加されたり話の流れが変わるようなことはありません。しかし、話の中でちょくちょくSPたちの合いの手が入って細かい会話が追加されることがあります。そういう意味で、イベントをキンクリで飛ばさない方が【スペシャルズ】ルートを楽しめると思います。
少ない会話でもSPたちになんとなくの個性を感じ取れるので、個人的には追加会話があると嬉しくなりました。DIOの棺桶を開ける直前などは総出でコメントしてくれるのでオススメです。
あと、ホテルに泊まると低確率で原作キャラとSPたちの絡みが発生します。個人的に好きだったのは、承太郎やポルナレフにポーカー勝負を持ちかけるSP3と、他メンバーについてのコメントをくれる紅一点のSP5の会話でした。
また、主人公の性格の具現という点で【スペシャルズ】は実に優れていると感じました。
ややネガティヴな性格で屈折気味、内心で思っていることを表現するのが下手だから、「そんな自分を理解してくれる人が欲しい」という願いを持つ。性格ゆえに周りとすれ違ったり失望することがあるから、「理解されにくい私を守ってくれる人がいたらいいのに」という願望も生まれる。そういった思いが、主人である本体の守護を第一とし、時には口下手の本体をフォローしたりもする【スペシャルズ】を生みだした……という。
たとえば、シンガポールからインドへ向かう途中の列車イベントは、【スペシャルズ】と本体の関係性をよく表しているようで興味深かったです。
承太郎に咎められたとして、【クイック・シルバー】や【ピクシーズ】主人公ならあっさりいなすような場面でも、【スペシャルズ】主人公は「ごめん」と謝ることしかできません。そして口下手な主人のために、すかさず【スペシャルズ】がフォローを入れるのです。過保護な親と内気な子供の構図に見えなくもないですが、上手いスタンド造形だなと思いました。
ところで、この周回でようやくバニースーツを着用したところ、グラフィックが変化して歓喜しました。ドット絵が可愛いです。性格的に目立つ格好が恥ずかしくて仕方がない主人公にあえて、というのもイイ。
そして、バニースーツを着用して香港でポルナレフと戦闘したところ、最初から最後までポルナレフが主人公に見とれて攻撃してきませんでした。正直火力に欠けるスタンドなので個人戦は不安でしたが、こんなことってあるのかと大笑いしました。マシンガン撃たれっ放しで終わっていいのかポルナレフ。その縁で、このルートでは主にポルナレフを攻略しました。
ずっとバニースーツ状態だったので、ポルナレフの台詞はどこに行っても面白かったです。欲に忠実なポルポルくんは、ナイスな三枚目キャラクターだと思います。戦闘となると格好良いギャップもグッド。悲壮で重たい過去を背負いながらも、陽気で楽観的な性格なのがポルナレフのいいところですよね。
ポルナレフ友情ED(スペシャルズ)
【スペシャルズ】女性は、10年後は平凡なOLになったそうです。しかし、ポルナレフに説得されてイタリアンマフィアと戦う羽目になります。ちなみに、エンディング時点でポルナレフは承太郎と連絡が取れなくなっています。主人公がかけた電話も当然通じません。
正直なところ「あ、これ詰んだ」としか思えないエンドでした。2人いればなんとかなると思いたくても、ディアボロと接触数秒前と言わんばかりの後日談を続けて見せられると、やっぱり「あ、これ詰んだ」と思えてならない。不穏すぎる。ピッツァを食べ切るまであの2人は生きていられるのでしょうか。
ただ、ポルナレフの強引さに押し切られる主人公にはほのぼのとしました。主人公としての立ち位置をフルに生かし、ポルナレフの苦難に満ちた運命も覆してくれると信じたいのですが。
承太郎&花京院の友情ED(スペシャルズ)
※花京院エンドの後日談は承太郎エンドに花京院の存在がプラスされているだけで、基本的には承太郎エンドと同じ流れです。だからまとめて内容を書きます。
【ピクシーズ】主人公と同じく平穏に生活するのかと思いきや、いきなり刺客が登場。2人(or3人)で応戦することになります。
承太郎エンドでも花京院エンドでも、殺伐としつつも仲が良さそうで安心しました。このエンドでは、性格の合わなさそうな主人公と承太郎も打ち解けた様子でした。
裏切(DIO)ED(スペシャルズ)
スペシャルズ主人公は悪のカリスマであるDIOに心酔してしまいます。自我を持つ【スペシャルズ】にとってはつらい結末だなと思いました。一番の理解者であった【スペシャルズ】の必死の呼びかけに応じなかった主人公は、この先どんどんとDIOに傾き、自身のスタンドを省みなくなるのだろうと思えてなりません。
主人公がDIOに心酔しDIOを最大の理解者と捉えるならば、彼/彼女の中での【スペシャルズ】の地位は下落します。【スペシャルズ】はそれこそ手足のように使われることでしか存在できなくなるのではないでしょうか。主人一途ゆえに悪の道に進む本体に従った彼らが、結局はないがしろにされることを想像すると、どうにも悲しい気分になります。
4周目:カーペンターズ主人公
4周目のスタンドは、【カーペンターズ】でした(これは狙って出しました)。作者様の注釈によれば、【カーペンターズ】主人公は「野心家」。おそらく最も攻撃的だが、それを表に出さず裏から力を行使するタイプ。能力の使い方次第で全ステを最大まで引き上げられる唯一のスタンドだそうです。
性格診断:「一見おしゃべりで明るく陽気だが、油断しない人。建設的で人々の中心にいたがり、野心が強く豪胆。大胆で即決する反面、警戒心が強く人を支配したがる。衝動的に怒りに身を任す事も多く、人に恐れられる」
7人目のスタンド使い
【カーペンターズ】は、中距離特殊型スタンドです。名前の暗示通り、人や物を修理・改造できます。簡易な全体回復技を持ちますが、このスタンドの真価は対象を問わず行える改造能力にあります。味方の全能力を上げつつ敵の全能力を下げるというトリッキーな戦い方が面白いスタンドです。
攻撃系のスキルでは、中距離全体攻撃の「釘打機」は状態異常・停止を付与する使い勝手の良い技でした。電属性の「高圧電流」も意外な場面で役立ちます(ンドゥール戦など)。そして、最高レベルで覚える「ロードローラー」は、それまでが嘘のような高火力です。800ダメージが出た時は目が点になりました。
【カーペンターズ】は補助特化なので、全体的に攻撃技の威力・命中率は低めです。しかしそれを補って余りある個性的なスタンドだと言えます。もしも主人公スタンドでパーティを組むなら、【カーペンターズ】は最初にチョイスしたいところです。
また、戦闘シーンを離れたところにも【カーペンターズ】の出番は存在します。非戦闘時に使用できる固有技の「カスタマイズ」は、下位アイテムから上位アイテムを創り出せる驚きの技です。たとえば、「スタプラタブ」などのステータス上昇アイテムは入手経路が限定されている希少アイテムです。しかし、「カスタマイズ」を使えば実質∞個手に入れることができます。
もちろん改造には失敗が付きものなので根気は必要ですが、周回して希少アイテムを手に入れるよりははるかに楽だと思います。また、「カスタマイズ」でしか手に入らないアイテムもあるようです。
【カーペンターズ】を選択したのは、アヴドゥルを攻略しようと決めていたからです。回復補助スタンドか【カーペンターズ】だとアヴドゥルのイベントが増えるらしいと聞いたので。そしてアヴドゥル攻略ということで、彼の友好度が上がりやすい「潜水艦ルート」を辿ってみることにしました。
潜水艦ルートでは、アヴドゥルの代わりにポルナレフを庇って撃たれ、潜水艦(原作で紅海を渡るときに使用したアレ)を購入しに行くことができます。正規ではない隠しルートです。スピードワゴンやシュトロハイムとの行軍、ホル・ホースとの共闘といった、「これぞファンディスクの醍醐味」とでも言うべきワクワク展開を見ることができます。
アヴドゥルですが、「アヴドゥルさん」とつい呼んでしまうくらいには好きなキャラです。普通のルートでは長期離脱するので、友好度を上げにくいのがいつも残念でした。だから一度ガッツリ攻略してみようかなーと思っての4周目でした。
友好度を上げると如実に打ち解けてくれるので、達成感を感じて嬉しくなりました。イベントではSUSHIにはしゃぐ姿がベリーグーでした。また、エジプトへ近づくにつれアヴドゥルと親しい現地住民が何人か登場するオリジナルイベントも印象的です。温厚、誠実で情に厚い彼の人柄に惹かれて人が集まるのだろうと思います。
アヴドゥル友情ED(カーペンターズ)
カイロの町の約束、とても爽やかな終わり方でした。アヴドゥルさんってジョースター一行の中では一番包容力があるのではないかと思います。
アヴドゥル友情エンドの後日談は、別れてすぐの数日後に発生します。窮地に陥った主人公を助けにアヴドゥルがさっそうと登場します。できればもう数年後、約束を果たすために再会するシーンが見たかったかもしれません。
承太郎&花京院の友情ED(カーペンターズ)
カーペンターズ主人公での後日談は、日本に戻った後、屋上にて刺客を倒しに行く相談をするというもの。花京院エンドはその場面に花京院をプラスしただけです。
【カーペンターズ】主人公、陽気でお喋りな面はあまり見えなかった気がします。旅の間は仕方が無いとはいえ、日常に戻っても好戦的です。ひたすら強気、強気アンド強気。
ポルナレフ友情ED(カーペンターズ)
【カーペンターズ】主人公の10年後は、「社長」でした。ジョセフから謝礼(おそらく旅に同行したことへの)をちゃっかりと貰ったそうで、非常にそれっぽい進路です。
ポルナレフに協力を要請される流れは【スペシャルズ】主人公と同じです。しかし、【カーペンターズ】主人公は単身マフィアと戦おうとするポルナレフに対して冷ややか。ほだされてすぐに頷かないあたり、【スペシャルズ】主人公との違いが出ていていいですね。
後日談は、チンピラとの往来での戦闘シーン。この2人ならなんとか生き残れそうな気がします。
裏切(DIO)ED(カーペンターズ)
邪悪度を上げて挑戦。ポルナレフの友好度が高かったので、裏切DIOエンドになりました。
予想通りと言うべきか、裏切って違和感のない主人公でした。もっと言うとDIOすら裏切った方が一番それらしかったかもしれません。仮にDIOエンドでも、DIOに不穏分子として粛清されるか逆に寝首を掻くかしそうです(そういった行動がサマになるというか)。
【カーペンターズ】主人公は、最初に性格診断を見たときにまず怖いなーと思いました。有り体に言えば「綺麗なDIO」。冒頭のスティールと対話するシーンも非常に攻撃的で、口が達者で苛烈な性格が垣間見えてひえーとなりました。補助スタンドの本体が攻撃的なのは意外ですが、「支配欲が強いが裏から操るタイプ」と聞くと納得です。やはり性格付けが上手い。
正直なところ、ジョースター一行を裏切りDIOをも裏切って一番違和感がないのはこの恐ろしい主人公だろうなと思いました。正義感ではなく打算で旅をしているんじゃないかと(自分で操作しているのに)思えてならなかったので。邪悪度を上げてそれらしい台詞を言わせればしっくりきたかもしれません。スタンドは好きですが本体は怖いです。もちろん、邪悪度が低ければ「正義感の強い野心家」という表現が適当なキャラだろうとは思いますが。
若干ゲロくさい性格の【カーペンターズ】主人公は、唯一アヴドゥルとなら相性がいいのではないかと思いました。アヴドゥルさんの裏表のない善良さと寛容さは、この主人公には正直言って感じられないものだと思います。
サクセッションED攻略
【カーペンターズ】主人公の周回で、ようやく「サクセッションED」を見ることができました。このゲーム唯一の全員生還ハッピーエンドです。「クリア回数3回以上」「友好度100P以上」など、条件はそれなりにシビアでした。
率直に言うと、【カーペンターズ】以外でこのエンディングを見られる気がしません。味方バフ&敵デバフができないときつい気がします。
バーリンは率直に言って役立たず火力に乏しく耐久も微妙という中途半端な性能であり、アリシアは低HP紙装甲です。そのため、ひたすらアリシアのバフ&敵本体のデバフを繰り返し、彼女が戦闘不能になる確率を下げる方式でトライしました。
最初に一発でクリアできたときはよほど運が良かったのでしょう。ステータスを整えてからの再トライでは、ヴァニラ戦で一撃必殺技状態異常技を食らいまくりで目の前が真っ暗になりかけました。最初のダービーとヴァニラの連戦が面倒極まりないんですよね(一撃必殺技を食らうよりも状態異常にされる方が厄介だと気づき、潜水艦ルートで手に入れた「ジャンクブレスレット」を装備しました)。
- 1ターン目にアリシア戦闘不能
- バーリンに回復を任せつつ、【カーペンターズ】でひたすら敵のデバフ
- 最低まで下げ切ったらひたすら味方のバフ
- 仮準備が整ったらアリシア蘇生
- 主人公はアリシアバフと全体回復、バーリンは状態異常回復、アリシアは「魂を奪う」
- 完全に準備が整ったら、どちらか一体に集中攻撃してターン内に倒すことで被ダメを減らす
結局のところ、以上の流れが一番安定しました。ただ、時間がかかるし面倒ではあります。何も考えずに全体攻撃を連発して本体ごと攻撃していった方が早く済むのでしょうか。
ともかく、DIOたちの運命エネルギーを削り切ることで、アヴドゥルとイギーと花京院が辿るはずだった運命は「解体」されました。このエンドでは3部メンバー全員のその後の人生が語られ、例の集合写真を見ることができます。
DIOに挑む時の主人公の前口上は、BGMと相まって熱かったです。DIOと似通った所のある【カーペンターズ】主人公だからこそ、「私はアンタのような『悪党』にはならない」という台詞が光りました。まさに“覚悟”が道を切り拓くのでしょう。
*****今後も少しずつプレイするつもりです。さすがに18種類コンプできる気はしませんが、こつこつと頑張ります。
※『ジョジョの奇妙な冒険』を題材にしたフリーゲームについて、いくつか記事を書いています。
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