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『左眼ジャック事件』 現代のジャック・ザ・リッパーを追って霧の街を往くサスペンスADV レビュー

2020/08/08
ADV(アドベンチャーゲーム) 0
フリーゲーム 感想 レビュー 攻略 ADV サスペンス ミステリ 探索 ホラー

霧の都こと「御殿場市」を舞台に猟奇的事件の真相を追うサスペンスADV、『左眼ジャック事件』の感想込みのレビュー記事です(※ver.1.02→ver1.07)。ネタバレ情報はできるだけ控えました。制作者は鳥籠様。作品紹介&ダウンロードページはこちらです。 → 鳥籠のゲーム作品

左眼ジャック事件 タイトル画面 スクショ

左眼ジャック事件

『左眼ジャック事件』は、霧の都こと御殿場市で発生した連続殺人事件を題材に、事件の真相が明らかになるまでの数日間を描いたサスペンスアドベンチャーゲームです(もちろん内容はすべてフィクション)。脅かし・追いかけっこ・ややグロい描写あり。1周目はTIPSを回収しつつ約4時間かけてクリアしました(2周目は2時間弱でクリア)。

ちなみに、本作は現在開催中の「第12回WOLF RPGエディターコンテスト出展作品」です。作品一覧ページを覗いたときに意味深なタイトル名に惹かれたので、さっそく遊ばせていただきました。

簡単に感想を書くと、超面白かったです。「時間あるし序盤だけ遊んでみようかな」で始めたはずが、気づけば4時間くらいぶっ続けでプレイしていました。後述するTIPS集めにハマってしまって延々と街を巡り廻り、結局は2周目に突入し、果てはver1.07でももう1周して3回クリアしてしまいました(TIP欄はほぼ埋まりました)。

『左眼ジャック事件』は、ミステリ手法も取り入れたサスペンスストーリーに加え、人情派なサブイベありコミカルな小ネタありと、細部まで練られた見事な探索アドベンチャーゲームです。サスペンスものが好きな方はもちろん、「タイムテーブルに沿って特定のキャラに接触するとサブイベントが発生する」or「能動的に探索することで、本筋には関わらないが重要かつ面白い補完情報が手に入る」といった要素が好きな方にもオススメの作品だと思います。

今回は、ネタバレに繋がる内容を極力省きつつ、ストーリー本編やキャラクターとの交流の面白さ等について感想込みのレビューを書きます。若干のサブイベ&アイテムの攻略情報が含まれます。「ネタバレ込みの感想」や「TIPS攻略」、「パロディ&小ネタ一覧」、「具体的なサブイベント攻略」などは、後日別記事にまとめようと思います。更新したら追記します。

※追記:更新しました。 → 『左眼ジャック事件』 サブイベント攻略 ストーリー&キャラクター感想 ※ネタバレ注意 その2

『左眼ジャック事件』のあらすじ

最初に、『左眼ジャック事件』のあらすじを書きます。※念のため繰り返しますが、この作品はフィクションです。

左眼ジャック事件 スクショ タカオの服から血のにおいがする

左眼ジャック事件

“霧の都”こと「静岡県御殿場市」では、数週間前から女性を狙った猟奇的な連続殺人事件が発生していました。毎週金曜日の朝に、めった刺しにされた上で無残にも片眼をえぐり取られた女性の遺体が発見されるのです。巷で「ジャック・ザ・リッパー」にちなんであだ名されるようになった犯人はいまだ捕まらず、御殿場市民は心休まらない日々を送っていました。

物語の主人公は、そんな御殿場市内の喫茶店で働く「私」こと大学生の女性・「サクラ」です。PCゲーム愛好家である彼女は、近頃ある不安を抱くようになりました。それは、自分のよく知る「タカオ」が連続殺人事件の犯人なのではないか……というもの。その不安は大きく、ふとした時にPCホラーゲームと現実の懸念を混同した夢を見てしまうほどでした。

奇しくも、今週の犯行が行われるだろう木曜日はあと2日後に迫っていました。タカオを信じたい一心で独自に調査を開始するものの、サクラの疑念と恐怖は解消されるどころかますます深まっていきます。

霧に紛れて女性を襲う犯人はタカオなのか? サクラは事件の真相に迫ることができるのか? プレイヤーはサクラを操作し、後に「左眼ジャック事件」と呼ばれる事件が解決するまでの数日間を追うことになります。

『左眼ジャック事件』の魅力

霧に紛れて女性を襲う猟奇的な犯罪者と、唯一の肉親である弟が当該事件の犯人ではないかと疑う姉。『左眼ジャック事件』は、のちにタイトル通りの名で呼称されることになる連続殺人事件が解決するまでの数日間を追った、一本道のサスペンスストーリーです。

最初にも書きましたが、細部まで作り込まれた非常に面白いサスペンスADVでした。ミステリ的な手法が取り入れられた伏線満載のストーリーも面白く、タイムテーブルに沿って御殿場市内を走り回る探索アドベンチャーゲームとしても面白い。豊富な他作品のパロディやTIPSシステムなど、ユーモアや収集要素に関しても満足度の高いゲームだったと思います。

この項目では、個人的に感じた『左眼ジャック事件』の魅力について書いていきたいと思います。「ストーリー面」、「探索ADV」、「TIPSシステム」、「パロディ要素」の順です。ネタバレはなるべく省きましたが、いくらか感想を交える以上ぼかすにも限界があるので、未クリアかつ軽微なネタバレも踏みたくないという方はご注意ください。

仕込みバッチリのサスペンスストーリー

左眼ジャック事件 スクショ C級フリーホラーゲームみたいな夢

左眼ジャック事件

現代のジャック・ザ・リッパーとも恐れられる犯罪者の正体を突き止める。『左眼ジャック事件』の本編を簡単に説明すると、そんな表現になるかと思います。巷で噂の犯罪者は、実は自分の身近な人間ではないか……そんな不安に駆られた主人公が事件を調査し始め、やがては犯罪に巻き込まれていく、言ってみれば王道的な手に汗握るサスペンスストーリーを描いた作品です。

ただ、クリアした上で特筆したいのは、「『左眼ジャック事件』はミステリの手法を用いて制作された仕込みバッチリのサスペンスものだった」ということです。序盤から中盤にかけて散りばめられた伏線が終盤でキッチリ回収される、それも大いなるどんでん返しが並行して行われる、とても面白いストーリーでした。

一応、りどみには「推理モノではありません」と注意書きがあります。それは確かにその通りであり、『左眼ジャック事件』は論理的に犯人やトリックを解明することに主眼の置かれた作品ではありません。ただ、そのストーリーを物語る手法や犯人を特定する手がかりはミステリ由来のものなんですよね。「どういう手法かorどんな手がかりか」に言及すること自体ネタバレになるので書きませんが、プレイヤーの誘導が実に巧みな作品だと思います。

ネタバレをできるだけ避けつつもう少し詳細を書くと、ゲーム起動~冒頭の導入部がまず巧いとクリアしてから思いました。『左眼ジャック事件』のタイトル画面は一風変わったスタイルです。中央に「左眼ジャック事件」とタイトル名があり、その左右には趣向の異なる説明書きが並びます。この斬新なタイトル画面を「なになに?」とプレイヤーに読ませた時点で、『左眼ジャック事件』における巧妙な誘導はすでに始まっていると言っても過言ではありません。

続いて最初からゲームを始めると、主人公らしき女性を操作する不気味なマンション探索パートがスタートします。「あれ、ホラゲかな?」と思うような演出と意外なオチを見たプレイヤーは、TIPでのパロディネタもあいまって、「なーんだ、ゲーム内事件の単なる前振りだったんだな」と単純に思うことでしょう。しかし、そうやってさらりと流した時点で、実は『左眼ジャック事件』の仕掛けにまんまとハマってしまっている可能性が高いのです。

私が終盤の犯人突き止めパートに入って一番「そういうことだったのか!」とうなったのは、冒頭のホラゲパートの役割に気づかされた瞬間でした。ああいうオチとお茶目なパロネタにさりげなく重要な伏線を紛れ込ませる、そのスマートさに大いにシビれました。

クリア後に振り返ってみても、まさに「タイトル画面~冒頭」における誘導にガッツリハマってしまったせいで、全体を通して微妙に違和感を覚えることがあっても深く掘り下げることができませんでした。
種明かしを見ると「序盤~終盤手前にかけてのアレもコレも伏線だったのか」と深く納得できるのに、実際にその伏線を見た時点では、眼前の情報の重要性に気づくことが難しい。これは、『左眼ジャック事件』における伏線の張り方や情報の見せ方・落とし方が絶妙であることの証左だと思います。

また、事件解決と並走する「どんでん返し」については、探索具合によっては真相に至れないプレイヤーもいるかもしれません。検証していないため断言はできませんが、あるアイテムをゲットしないと、終盤にある場所に立ち入れない可能性があります(私は常にそのアイテムをゲットしていたので、無い場合にどうなるかちょっとわかりません)。

この「どんでん返し」もまた『左眼ジャック事件』のキモの1つだと思うので、ぜひともご自分の眼で確認して驚きと納得を味わっていただきたいところです。というわけで、具体的な終盤のネタバレは省きつつ、記事の下(「サクラ」と「タカオ」を知るためにオススメしたい8つのこと)にそのアイテムの入手方法を書いておきました。

モブキャラ不在の御殿場市で過ごす六日間(ADV面について)

左眼ジャック事件 スクショ ラセイとの出会い 市内に点在するサブイベント

左眼ジャック事件

『左眼ジャック事件』のもう1つの大きな魅力、それはなんといっても(探索)アドベンチャーゲーム部分です。具体的には、「モブキャラ不在の御殿場市を6日間かけて深掘りできる超楽しいADV」だと感じました。

まず舞台となる「御殿場市」ですが、静岡県に実在する街です。かつ、「スクリーニョ」と検索して気づいたのですが、マップ上に点在するor作中名前の出る店も多くは実在しているようです(イタリアンレストランのスクリーニョ、居酒屋の堀松、ラーメン屋の麺匠なか巌、炭焼きレストランさわやかなど)。

この「リアル市内をモデルにしている」点と関係があると思うのですが、冒頭のホラゲパートを通過して自由探索パートに入ったとき、「マップでっかいな~!」とまず思いました。

探索アドベンチャーゲームというと、移動する際にマップの切り替えが多く、「西館1階廊下」とか「住宅街南の公園」といった風に、マップ1つの表す空間の範囲が狭い……という印象があります。

一方、『左眼ジャック事件』におけるマップは基本的に7つだけです(大きなマップ3つ+公園マップ2つ+工業団地マップ1つ+例の館マップ1つ)。かつ1つ1つのマップに、交番、駅前サービスセンター、書店、居酒屋、レストラン……等、個別に入れる建物(=小マップ)がみっちりと詰まっています。

このマップのスタイルは、探索ADVとしては珍しいなと感じました。どちらかと言えばRPGで1つの町を表現するやり方に近いような気がします(たとえばポケモンの○○タウンみたいな)。『左眼ジャック事件』を遊ぶプレイヤーは、このマップの形式によって、箱庭感(=御殿場市内という1つの大きな空間を探索している感)を存分に味わうことができるわけです。

そして、広大な箱庭である御殿場市内には、そこで暮らす人だったりそこに訪れる人だったりがたくさん行き来しています。『左眼ジャック事件』の特筆すべき点は、その御殿場市内に生きるキャラ数十人の取り扱い方です。

先に「モブキャラ不在」と書いた通り、彼らはけして定型句を言うだけの通行人やイベントの背景となるのみの群衆ではありません。それどころか、固有の立ち絵と悲喜こもごものキャラ設定、そして6日間の細かなスケジュールを与えられた「御殿場市内を往く人々」なのです。あるタイミングで彼らと会話することで手に入るTIPもあれば、連日追いかけることで意外な一面や過去を見せてくれるキャラもいます。

この「御殿場市を往く人々」こそ、私が『左眼ジャック事件』を大いに楽しんだ最大の理由です。最初は「顔アリのモブキャラ」くらいに思っていた人たちが曜日や時間帯に合わせて細かく移動していると気づいたときは、へえ~っと思わず高揚しました。TIPを読むと彼らも名前をはじめとする様々な設定を持っていることがわかり、さらにテンションが上がりました。うち特定のキャラクターを連日追いかけることでサブイベントが発生する……と知ったときにはもう、超!エキサイティン!! な気分になりました。

この人こんな場所にも出現するんだ、この人ってこういう本好きなんだ、この人の夫ってもしかしてあの人かな、この人とあの人って付き合ってるんじゃないの、この人毎日同じこと言ってるな、この人ついに宗教勧誘されちゃってるな、こいつ何人のオンナと遊んでるんだ、この人ってまさか……等々、6日間もかけて交流すれば、かなりディープな情報も手に入ります。

最終日になる頃には、ゲーム内の御殿場市とそこで暮らす住人、および『左眼ジャック事件』への愛着はかなりのものになっていました。マップ形式によって高まった御殿場市内の箱庭感は、そこに暮らす人々が醸し出す生活感・日常感によってさらに強固なものになっていた印象です。

さて、ここでRead meを紐解いてみると、「プレイのコツ」には【メニューを開くと「次に何をするべきか」が表示されます。それに従ってください。それ以外の不要な人に声をかける必要はありません。】と書かれています。

これはまったくもってその通りです。ストーリーをクリアする分には御殿場市内を探索する必要はないし、ましてやそこにいる数十名のキャラクターに声をかける必要などありません。しかし、この「必要ない」部分こそ『左眼ジャック事件』の目玉であり、ここを深掘りすることこそ同ゲームの醍醐味と言えるのはないかと私は思います。

人間とは不思議なもので、「こうしなさい」「次はあそこへ行きなさい」「あの人からあれをもらってきなさい」とゲーム内で目的を指示されると、「でもその前に何かできることはないかな?」「何か面白いイベントないかな?」と脇道に逸れよう逸れようとしてしまいがちです。また、「自由にしていいよ、ああ、でも別に××をする必要はないよ」とわざわざ言われると、「そう言われると××したくなっちゃうなァ~」と天邪鬼な気分になりがちではないでしょうか。

少なくとも私は上にバリバリ当てはまる人間なので、『左眼ジャック事件』をプレイしているときは主人公の心の声(指示)を脇に置いて御殿場市内を駆けめぐり、「不要な人」に声をかけまくりました。かつ、事件解決には関わりないものの、重要で興味深い補完情報を手に入れるたびに大喜びしていました。下手をすると本筋を追う以上に、6日間かけて御殿場市とそこに住む人たちを深掘りすることに血道を上げ、サブイベントを大いに楽しんでしまったわけです。

クリア後に振り返って思ったのは、「これって完全に作り手の想定にハマっちゃったんじゃないかな」ということでした。というのも1人称視点のゲームにおいて、多くの人は他者に細かく指示されたことを唯々諾々と行うより、自分で決めたことを自由に行うことを好むものだからです。たとえそこにさりげない誘導が働いていたとしても、「能動的に、興味の赴くままにやっている」という意識がある限り、プレイヤーは生き生きと誘導に従ってゲームを遊び続けます。

『左眼ジャック事件』はそんなプレイヤーの心理を完全に手玉にとり、明らかに作り込まれたキャラクターイベントや時間帯によるメッセージ変化を、「本筋には必要のない部分」にあえて落とし込んでいます。ある意味目玉とも言える要素を強制的にプレイヤーに体感させるのではなく、「見るも見ないも自由に選択可能です」としているわけです。

おそらく、強制しないことによって逆にプレイヤーの興味をかき立てられること、サブイベント等を見たときに抱く満足感を高められることを熟知した上での構成だと思います。本当にお見事です。

まとめると、『左眼ジャック事件』は、本筋とは関係のない部分で不要な人に声をかけまくるのが最高に楽しいゲームでした。もしこの記事を読んで『左眼ジャック事件』をプレイしようという方がいらっしゃったら、本編を追いつつ、御殿場市内の人たちに積極的に声をかけることをオススメします。アドベンチャーゲームの醍醐味を味わえること請け合いです。

病みつきになるTIPS要素

左眼ジャック事件 スクショ 染井長治との出会い TIPS:御殿場市を入手

左眼ジャック事件

『左眼ジャック事件』には、「TIPSシステム」が存在します。会話中に特定のワード(たとえば「御殿場本線」)が青色で表示されることがあり、それを確認すると右上に【「御殿場本線」がTIPに追加されました】とポップされます。獲得したTIPはメニュー画面の「TIP」から閲覧可能です。

ちなみに、"tip"は「助言」や「ヒント」、あるいは「コツ」や「秘訣」を意味します。特にノベルゲームにおけるTIPは、ある語句を説明したり、ある場面を別の視点から掘り下げたり……といった使われ方をしている印象です(例:『ひぐらしのなく頃に』)。

『左眼ジャック事件』におけるTIPには、語句の説明や作者の注釈、キャラクターを補完する情報、そして先の展開のヒントなどがふんだんに盛り込まれています。

個人的に、上記のTIPSシステムは『左眼ジャック事件』の大きな魅力の1つだと思います。1周目クリアに4時間もかけたのは、このTIPSを求めて御殿場市内を駆けめぐったからと言っても過言ではありません。こういう収集要素、とりわけ活字で補完的な情報を落としてくれるシステムが好きで好きでたまらないんですよね(あと、システムとして存在するからには収集しないと気がすまないという理由もある)。

上に述べたキャラクターとの交流やサブイベントと同じく、TIPもまた、集めても集めなくてもどちらでもOKな要素です。TIPSを読まないと本編のストーリーを理解できなくなる、といったことはまったくありません。

ただ、TIPには舞台設定からキャラクターのパーソナリティーまで、『左眼ジャック事件』の根幹を構成する重要な情報がさりげなく散りばめられています。もちろんユーモアとアイロニーたっぷりな制作者様の注釈を読むのも単純に面白いですが、TIPにさらっと書かれた情報からミッシング・リンク(隠された人間関係)に気づいたときの興奮にはもう半端ないものがありました。相当こまめに探索しないと手に入らないTIPも多いですが、時間と手間をかける価値は確実にあると私は思います。

本筋から離れたところにあえて隠れた人間関係やミステリーが配置され、そこへのアクセスも確保されているゲームは、TIPなど情報を細かに収集するシステムとの噛み合わせがバッチリだと個人的に思います。フリゲだとたとえば『Ruina』や『落ち葉の大地を走れ』といった作品が好きな方は、『左眼ジャック事件』のTIPS収集要素を大いに楽しめるのではないでしょうか。

≪関連記事:『Ruina 廃都の物語』 長編ファンタジーRPG 感想&考察 ※ネタバレ注意

ちなみに、TIPは全部で180個存在します。これは完全に自慢ですが、自力で178個まで集めました。「『全部集めました』じゃないんかい!」とツッコまれそうですが、目と指が痛いので今のところはこれが限界です。時間が進むごとに血眼になって市内を駆けめぐりましたが、No.0とNo.88だけどうしても見つかりませんでした。悔しいかぎりです。もしゲットした方がいらっしゃったら、こっそりと教えていただけると超嬉しいです。

散りばめられた他作品のパロディ&小ネタ

左眼ジャック事件 スクショ パロディネタの例 『Ib』よりワイズ・ゲルテナ

左眼ジャック事件

『左眼ジャック事件』は、他作品(特に有名なフリーホラーゲーム)のパロディネタが豊富な作品でもありました。サブイベのみならず本編でも小ネタが頻出し、TIPSで詳しい注釈が付くという積極性が印象的です。なんといっても本編冒頭では、制作者様自身の過去作品(『神童ノ哥』)ネタが堂々と取り入れられています(もちろん、宣伝である)。

パロディネタの頻出は、主人公がPCゲーム愛好家(かつ友人はゲーム実況者)であることが大きいと思われます(『左眼ジャック事件』世界には、私たちの知っているような有名作品が普通に存在している様子)。「主人公がフリゲ好きの大学生である」という設定は、パロディネタの頻出への違和感を大きく和らげていた印象です。

あくまで個人の感想ですが、『魔女の家』や『Ib』、『霧雨の降る森』など、当時非常に人気でゲーム実況文化との親和性も高かった作品のパロディネタが多いように感じました。私自身ゲーム実況から興味を持って初めてフリーゲーム作品(『魔女の家』)をプレイし、そこからフリゲ世界にのめり込んでいった経緯があるので、元ネタが直撃感のあるものばかりだな~とプレイしながら懐かしく思いました。

そんな思い出もあり、主人公サクラや友達のヨモギのファン目線の発言にはかなり親しみが持てました。あと単純に小ネタが押しつけがましくないサラッとしたもので、思わず笑ってしまうことが多かったです。水無文司との会話における『巡り廻る。』ネタは特に面白かったです。『青鬼』を模した館もまんますぎて気合の入れっぷりに笑いました。

また、ユーモアたっぷりにパロディネタを取り扱う一方で、その一部に本編における重要なミスリードとしての機能も持たせている点には唸らされました。具体的には冒頭の夢オチ部分ですね。追いかけてくる人影のセリフが後々まで意味を持つものだったと気づいたときは、「そういう意図があったのか~! うますぎる!」と超興奮しました。

もっとも、ラストのパロディネタはプレイヤーによってはおいおいとなるポイントかもしれません。私の場合、「最後の最後でパロディかよ!」と肩透かし感半分、事件の性質と絡めて最後にこのネタを持ってくるセンスに脱帽しつつ笑った感半分でした。

後で気づきましたが、主人公が言及している他作品の小ネタとラストのアレは、同じパロディであっても性質が異なる気がします。

主人公が引き合いに出すフリゲ作品は、基本的に『左眼ジャック事件』世界に実在するフィクションのゲームであるようです。しかし最後のパロディネタの出典であるフリゲ作品に関しては、どうも架空の物語ではなく「実際に起こった海外の有名な殺人事件である」と認識されている節があります。つまり、ラストのパロディ発言は犯人にとって、「かつて実在した海外の殺人鬼の発言を引用したもの」だと言えるわけです。

元ネタだと思われるあのキャラクターを知るプレイヤーにしてみれば、ラストのパロディネタは「ここでそれを持ってくるとは」とあっけにとられるタイプのものかもしれません(実際、多少はそういう効果を狙っているのではないかと思います)。ただ、犯人目線で考えれば、「有名な殺人鬼の発言を(おそらく共感から)そらんじたもの」であって、特に茶化す意図はないシリアスな意味合いのものだったんじゃないかなーと感じました。

ところで、パロディネタが面白かったので逐一元ネタなどをメモしてしまいました。ネタバレが含まれるので、後続の記事(『左眼ジャック事件』 サブイベント攻略 ストーリー&キャラクター感想 ※ネタバレ注意 その2)に軽くまとめました。

「サクラ」と「タカオ」を知るためにオススメしたい8つのこと

左眼ジャック事件 スクショ 探索と会話によって発生する様々なイベント

左眼ジャック事件

『左眼ジャック事件』は、「サクラ」と「タカオ」をめぐる物語でもあります。特に主人公サクラのパーソナリティーを深く知れば知るほど、御殿場市内に転がっているサブイベントをまったく異なる目で眺められるようになります。

もちろんReadmeにも説明されている通り、本筋のストーリーを追うぶんには街の探索を積極的に行う必要はありません。主人公の心の声(メニュー画面のヒント)に従い、指定された場所へ向かうだけでお話は進行します。ただし、本筋のストーリーのみをクリアし事件の謎を解き明かしても、特に「サクラ」と「タカオ」に関する謎は謎のまま残されてしまう可能性が高いのです。

私個人は、「サクラ」と「タカオ」を掘り下げていくプロセス(サブイベント)を「最高に楽しい」と感じました。そこでこの項目では、「『サクラ』と『タカオ』を知るためにオススメしたい8つのこと」と銘打ち、『左眼ジャック事件』の本筋に並走するいくつもの物語の手がかりを書いてみたいと思います。

具体的には、1つのアイテムと7人のキャラクターに言及します。サブイベント内容の具体的なネタバレはありませんが、サブイベの起点には触れているのでご注意ください。

1つ目の手がかりは、火曜日の夜、「タワーコート御殿場602号室の脱衣所で入手できるあるアイテム」(仮に「アイテムA」とする)です。この場面では最大2つのアイテムが手に入りますが、ストーリー進行に必須であるもう1つのアイテムを入手した時点で、アイテムAを入手することは不可能になります(※ver1.07)。よって、注意深く探索を行いましょう。

おそらくアイテムAを持っているか否かによって、終盤ある場所に立ち入れるか否かの分岐が発生します。ストーリーの根幹にも関わるので、アイテムAはぜひともゲットしておきたいところです

2つ目の手がかりは、水曜日の夜、駅前の女性用トイレにいる「マスクの女性」です。彼女は主人公を見て驚き、ある相談を持ちかけてきます。その相談を受けてイベントを進めることで、(前フリがあるので出会った時点で察しがつくかもしれませんが)謎多き彼女の正体を知ることができます。

3つ目の手がかりは、火曜日の夕方、駅入口に近づくとエンカウントできる「ヨボヨボ爺さん」です。探索開始早々に出会えるこの老人は、「黒澤明が愛した御殿場を観光しに訪れた」と語ります。彼に関するサブイベントは連日発生するので、こまめにその姿を探して話しかけることをオススメします。超重要なキャラクターです。

4つ目の手がかりは、水曜日の夜、バー裏手の路地裏でチンピラに絡まれた主人公を助けてくれる「ラセイ」です。見るからにコワモテでおっかない印象の彼は、ある目的をもって御殿場市を訪れました。最終日を含めて何度かラセイと話すことで、彼が探しているものを知ることができます。

5つ目の手がかりは、火曜日の夜、新橋マップ(駅前マップから南下した、タワーコート御殿場のあるマップ)の右上でエンカウントできる「不機嫌そうな男」です。女性や子供を見かけては「早く帰れ」と怒った顔で促す彼を数日かけて追いかけると、その意外な過去を知ることができます。

6つ目の手がかりは、火曜日の夜、書店アサヒ堂の中で立ち読みをしている「アキオ」です。主人公の同窓生であり仲の良い男友達だった彼は、現在ある女性に思いを寄せています。彼の相談に乗ることで、主人公に関するいくつかの重要な情報が手に入ります。

7つ目の手がかりは、居酒屋「堀松」で毎晩飲んだくれている「ダイモン」です。店主のマツミ相手に愚痴っている彼は一見ただの酔客にしか見えません。しかし序盤に彼絡みで手に入るとあるTIPを読めば、意外な事実に気づけるかもしれません。毎晩忘れずに話しかけることをオススメします。

最後に8つ目の手がかりは、火曜日の夜、新橋マップのコンビニでエンカウントできる店員の「ニワ」です。いかにもやる気なさげなオジサンですね。ポイントは、水曜日の夜に彼絡みのイベントを発生させること(マップを丁寧に歩き回りましょう)。実は重要な情報を抱えているキャラクターであり、イベントの進行に伴ってまったく違う顔を見せてくれます。

以上、1つのアイテムと7人のキャラクターを挙げました。この記事はレビュー記事なので突っ込んだ攻略情報は省いています。具体的なタイムテーブルに添ったサブイベント攻略は、以下の記事に書きました。

≪関連記事:『左眼ジャック事件』 サブイベント攻略 ストーリー&キャラクター感想 ※ネタバレ注意 その2

*****

一応ゲームの不満点も挙げておくと、「新橋マップの公園に通じる道路と駐車場を隔てる長いフェンス」(主に探索の利便性、駐車場奥から公園に行けるようフェンスに出入口がほしかった)、「公園マップ×2に行けると標識なり主人公のメッセージなりで示してほしかった」(1周目、木曜日くらいに道路の先に行けると気づいて絶望)、「マップ上のオブジェクトもTIPになり得るという誘導が欲しかった」(けっこう後になって気づいた)……くらいでしょうか。探索が好きだしダッシュ機能もあるので、マップの広さは特に気にならなかったです。

『左眼ジャック事件』は、「アドベンチャーゲームって楽しいな」としみじみと感じられる作品でした。ゲームの醍醐味を味わえるゲームだと思うので、興味のある方はぜひご自分でプレイしてみてください。

「ネタバレ込みの感想」や「サブイベント攻略」、「パロディ&小ネタ一覧」について新しい記事を書きました。

記事その2:『左眼ジャック事件』 サブイベント攻略 ストーリー&キャラクター感想 ※ネタバレ注意

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かーめるん
Admin: かーめるん
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