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『左眼ジャック事件』 サブイベント攻略 ストーリー&キャラクター感想 ※ネタバレ注意 その2

2020/08/25
ADV(アドベンチャーゲーム) 0
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御殿場市を舞台に猟奇的事件の真相を追うサスペンスADV、『左眼ジャック事件』のネタバレ込みのサブイベント攻略&キャラクター感想記事です(※ver.1.02→ver1.07)。制作者は鳥籠様。作品紹介&ダウンロードページはこちらです。 → 鳥籠のゲーム作品

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左眼ジャック事件

前回は、ネタバレなしで『左眼ジャック事件』のレビュー記事を書きました。今回はネタバレを交えつつ、「サブイベント攻略」・「パロディ・元ネタ考察」・「ストーリー&キャラクター感想」を書こうと思います。ストーリーやキャラの核心に触れているので、未見の方はご注意ください。

≪関連記事:『左眼ジャック事件』 現代のジャック・ザ・リッパーを追って霧の街を往くサスペンスADV レビュー

『左眼ジャック事件』のサブイベント攻略

現代によみがえったジャック・ザ・リッパーを追う本筋とは別に、舞台となる御殿場市内には数多くのサブイベントが存在します。タイムテーブルに沿って数多のサブイベを追うことこそ『左眼ジャック事件』の醍醐味の1つであるということは、以前の記事でも述べた通りです。

今回は、特定の人物・事象にまつわる複数回発生するイベントについて、攻略方法を書きます。まずは、主人公サクラに関わる重要なキャラクターとサブイベントをまとめます(内容は前回のレビュー記事に書いた、「サクラとタカオを知るためにオススメしたい8つのこと」に準じます)。続いて、サクラやタカオに関わりのない他の連続イベントをいくつかピックアップしようかと思います。

主人公サクラに関わるキャラクターとサブイベント

左眼ジャック事件 スクショ ラセイが街に来た理由

左眼ジャック事件

最初に、主人公サクラに関わるキャラクターおよびサブイベントの攻略について書いていきます。

レビュー記事では「サクラの部屋の鍵」というアイテムに換えて言及しませんでしたが、1人目の重要キャラは「重藤桜」です。彼女は主人公の恋人である「重藤隆雄」の双子の姉です。

登場こそ最も遅い彼女ですが、主人公サクラについて調べる上で起点となる情報、つまり「主人公の名字は佐倉である」という情報をくれます。また、重藤桜との会話の中では、重藤姉弟の両親の事故に関する情報も手に入ります。後述するニワのイベントに絡む情報なので、覚えておくことをオススメします。

重藤桜に会うには、火曜の夜にタワーコート御殿場602号室の脱衣所の洗濯かごを調べた際、サクラの服から「サクラの部屋の鍵」を手に入れる必要があります。最終日はサクラの部屋の扉が内側から施錠されているので、おそらく部屋の鍵がないと中に入れないのではないかと思います(常に鍵を手に入れていたので鍵がない場合は未確認です、間違っていたらすみません)。

2人目の重要キャラは、「龍宮千尋」です。彼女は人気急上昇中のアイドルであり、現在秘密裏に御殿場市を訪れています。

まずは水曜夜に駅前の女性トイレに行き、マスクの女性に話しかけましょう。彼女こそが龍宮千尋です。翌日「スクリーニョ」(駅前マップのイタリアンレストラン)に来てほしいと頼まれるので、木曜の午後にスクリーニョを訪れ、彼女から話を聴きましょう。

千尋は主人公に、「自分のフリをしてある人物に会ってほしい」と依頼してきます。これを受けて、金曜日の午後に「熱々万歳!」(新橋マップのビル2階のレストラン)を訪れましょう。ここで龍宮千尋イベントは一応終了ですが、最終日に「ユウト」(駅前のベンチにいる男性)に話しかけると、ラストイベントの「続き」を見ることができます。

龍宮千尋のイベント自体は、彼女の悩みを解決することに主眼が置かれています。主人公サクラの情報は特に出てきません。ただ、このイベントが始まるそもそもの理由となる、「主人公と龍宮千尋は瓜二つである」という前提が非常に重要だと言えます。

なぜ主人公と龍宮千尋の容姿は似ているのか。その謎は、後述する染井長治のイベントから得られる情報と、TIP:「龍宮千尋②」の内容を併せればおのずとわかります。

3人目の重要キャラは、「アキオ(林明夫)」です。主人公とは小中高を通じて同級生だった、三枚目な雰囲気のある青年です。

まずは火曜夜に「書店アサヒ堂」(駅前マップの本屋)に入り、入り口付近にいる男性に話しかけましょう。彼がアキオです。続いて水曜の夜、駅前のベンチにアキオが座っているので話しかけましょう。アキオは主人公を夕食に誘いますが、主人公は先約があるからと断ります。

その次の日(木曜)の午後、ホークテール前にアキオがたたずんでいるので話しかけましょう。また夕食に誘われるので今回は承諾します(断るとおそらく以降のイベントが消滅するので注意)。

あとは金曜の夜に、駅前にいるアキオに話しかけましょう。誘いを受ければ「バー スカースカ」(駅前マップにあるバー)に移動して飲むことになります。アキオ関連イベントのハイライトと言えます。その後、最終日(日曜日)に、駅前のベンチに座っているアキオに話しかければイベント完遂となります。

アキオのイベントもまた、アキオが抱える悩みの解決に主眼が置かれています。ただ、彼が主人公の昔なじみということもあり、主人公の家庭環境や過去の情報がさり気なく提示されるんですよね。他のイベントから生じる推測を補強する情報が得られるので、やはり見逃せないサブイベだと思います。

4人目の重要キャラは、「ラセイ(羅静)」です。破門された元僧侶であり、ある人を探して御殿場市を訪れています。

ラセイと初めて出会うタイミングは水曜の夜です。まずは駅前マップのバー裏手にいるチンピラに話しかけましょう。ラセイが現れ、絡まれている主人公を助けてチンピラをぶっ飛ばしてくれます。

続いて木曜の夜、ラセイはバーでひとり飲んでいます。話しかけると、ラセイの過去と彼が探している人物との思い出を詳しく聞くことができます。また、イベント終了後にもう一度話しかけると、かなり重要な情報が得られます。

そして最終日である日曜日、旧A地域マップのバス駐車場にいるラセイに話しかけましょう。御殿場市を去る彼に、主人公が自らの思いを伝えます。

ラセイのイベントで判明するのは、主人公の非常に重要なプロフィール情報です。こういう風にぼかすのは、直球で書くとイベントの風情と驚きが損なわれるからです。
1周目にコンプしたときは、ラセイのイベントに主人公が深く関わっているとは思いもしなかったんですよね。ただ、情報をもっての2周目では、主人公の微妙な反応の意味に気づくことができました。

5人目の重要キャラは、不機嫌そうな男こと「テンマ」です。子供や女性に早く帰れと怒った顔で促すので、「早く帰れオジサン」と陰で呼ばれています。イベント数が多めなので、根気よく追いかける必要があります。

テンマに会うには、まず火曜の夜に新橋マップ右上にいる銀髪の女子高校生(アヤメ)に近づきましょう。不機嫌そうな男が登場し、女子高校生を追っ払った後、主人公にも早く帰れと言い残して去っていきます。

続いて水曜の夜、テンマは新橋マップ左の「メゾン高橋」近くでオレンジ髪の女子高校生と話しています。2人に話しかけると、再びイベントが発生します。木曜の午後はテンマに会えませんが、駅前マップの洋菓子店の店主からTIP:「早く帰れオジサン」を取得できます。

続く金曜の昼には、旧A地域マップから右に行ったところにあるラミエル公園に行きましょう。ベンチの近くにいる子ども2人に話しかけるとイベントが発生し、テンマが現れます。最後は土曜の夜に、再びラミエル公園を訪れましょう。テンマに近づくと、最終イベントが発生します。

テンマは主人公の過去を知る上で非常に重要なキャラクターです。彼の最終イベントの内容と、ダイモンやラセイのイベントの内容を併せて整理することで、主人公の根幹にかかわる情報を知ることができます。逆にテンマイベントを先に見ていれば、ダイモンの正体やラセイのイベントの真実に気づくことができるかもしれません。

6人目の重要キャラは、「ニワ(丹羽正親)」です。コンビニで働いているやる気のなさそうなオジサンですね。

まずは火曜の夜に新橋マップのコンビニに入り、レジカウンターに近づきましょう。自動的にニワのイベントが発生します。

続いて水曜の夜、駅前マップのマイロードを上から下にまっすぐ歩きましょう。ニワとすれ違うイベントが発生し、彼の落とし物を拾うことができます。案外見逃しやすいイベントなので要注意です。

次に、木曜の午後に落とし物をもってコンビニを訪れます。ニワに話しかけると、お礼がわりにおごってもらうイベントが発生します。ポイントとして、落とし物を返す前にアイテム欄から一度調べておきましょう。

最後に、金曜の午後に新橋マップの右にあるラミエル公園を訪れましょう。池の前にたたずむニワに近づくと、最終イベントが発生します。

ニワは主人公というより、重藤姉弟に関わりを持つ重要なキャラクターです。より具体的には、すでに亡くなった双子の両親と浅からぬ因縁があります。

ただ、ニワとの最終イベントの中で、主人公も自分の過去を語ってくれるんですよね。もし1周目にニワのイベントを回収できた場合は、「主人公サクラ≠タカオの姉サクラ」だとこの時点で確信できるのではないかと思います。

7人目の重要キャラは、「ダイモン」です。駅前マップの居酒屋堀松で毎晩お酒を飲んでいるおじさんですね。ダイモンは夕方から夜にかけての居酒屋にしか出現しないので、日が変わるたびにこまめに居酒屋に通って話しかければOKです。

具体的には、火曜の夕方、火曜の夜、水曜の夜、木曜の夕方or夜、金曜の夜、土曜の夜の計6回ダイモンに話しかけましょう。おそらく6回欠かさず話しかけた場合、土曜の夜に主人公とマツミ(居酒屋の店主)の会話が発生します。

ダイモンは一見そのあたりにいる普通の御殿場市民と同じに見えますが、実は超重要なキャラクターです。手間はかかりますが一番イベントを追いやすいキャラでもあるので、こまめに調べてTIPをゲットすることをオススメします。

8人目の重要キャラは、ヨボヨボ爺さんこと「ナガハル(染井長治)」です。実は映画配給会社の会長である彼は、黒澤明をこよなく敬愛しています。

ナガハルに会うには、まず火曜の夕方にホークテールを抜け出し、駅の中央入り口に近づきましょう。ナガハルが初めて登場します。水曜の夜にも、駅前のベンチに座っているナガハルに話しかけましょう。

続いて木曜の午後、新橋マップの右にある、祠前の公園を訪れます。ベンチにナガハルが座っているので、彼に近づくとイベントが発生します。翌日(金曜日)の昼、再び祠前の公園へ行きましょう。ナガハルがブランコを漕いでいるので話しかけましょう(ちなみに、ここまでに会話を取り逃していると話しかけてもイベントは発生しません)。

土曜の夜、ナガハルはホークテール店内にいます。話しかけましょう。そして最終日の日曜日、ナガハルの姿は御殿場市内に見当たりません。しかしここまでの5日間にナガハルと欠かさず交流していると、事件解決後に追加シナリオが発生します。

多くは書きませんが、ナガハルは主人公を掘り下げる上で最も重要なキャラクターです。エンディング後の追加シナリオは、個人的には必見だと思います。

その他の御殿場市民関連のサブイベント

左眼ジャック事件 スクショ 猫 サブイベント

左眼ジャック事件

続いて、主人公たち主要キャラに関わりないサブイベントをいくつかピックアップして書こうと思います。

まず、主人公の先輩である「大江としこ」にまつわるイベントについて。稀代の大食いである大江としこさんは、最終日まで毎日異なる飲食店を渉猟します。彼女をこまめに追っていくとTIPが最大7つ手に入ります。

  • 火曜夜:大衆酒場(駅前マップ上の居酒屋チェーン店)
  • 水曜夜:スクリーニョ(駅前マップ下のイタリアンレストラン)
  • 木曜午後:アンドロワ・パレ(駅前マップ下の洋菓子店)
  • 木曜夜:居酒屋 堀松(駅前マップ下の居酒屋)
  • 金曜昼:熱々万歳!(新橋マップ上のビル2階のレストラン)
  • 土曜夜:ホークテール(駅前マップ、主人公の勤める喫茶店)
  • 日曜午前:コンビニ(新橋マップ上のコンビニ)

ちなみに、大江としこさんが出没する時間帯と場所は上の通りです。話しかけるとイベントが発生します。

続いて、「立喰師」イベントについて。これは、金曜の昼に駅前の立喰蕎麦屋で発生するイベントです(蕎麦を注文すればOK)。たぶんこのイベントを見ていれば、最終日にも蕎麦屋で立喰師イベントが発生します。

次に、「水無文司」にまつわるイベントについて。水無文司は、初対面の主人公にお金をせびってくる緑髪のおじさんです。新橋マップのメゾン高橋1Fに住んでいます。彼のイベントは明確に連続するわけではないですが、動向を追うとけっこう面白いので書いておきます。

水無文司は、火曜夕方には仕事をさぼって大衆酒場で飲んでいます。火曜夜にはメゾン高橋前に移動し、話しかけるとお金を強請ってきます(TIP取得)。
水曜の夜、彼はコンビニにいます。話しかけるとまたお金を貸してくれと言われます。その翌日の木曜、水無文司は自宅であるメゾン高橋1階の廊下にいます。ここで初めて名乗ってくれるほか、面白いやりとりを見ることができます。

そして金曜日、メゾン高橋を訪れると201号室の前であるイベントが発生します。ここでは、これまで大衆酒場やアンドロワ・パレで見かけた先輩後輩コンビの意外な正体を知ることができます。水無たちが201号室に入った後、見張りとして扉前に立っている女性に何度か話しかけると、中の会話を聞くことができます。

ひと騒動起こった後の土曜日、水無文司はやはりメゾン高橋の1階廊下にいます。話しかけると彼のたくましさと大家の気の毒さを垣間見ることができます。最終日に水無文司に会うことはできませんが、メゾン高橋を訪れると彼絡みの客2人に会うことができます。

続いて、「一之瀬真理香」にまつわるイベントについて。黒髪でピンク色の服を着た彼女は、息子のハジメを探して6日間ずっと御殿場市をさすらっています。彼女の足跡を追うと、最終日にある事実を知ることができます。

まず火曜の夜、彼女は駅前マップのスクリーニョ周辺をふらふらと歩いています(火曜夕方にはまだいない)。話しかけると、彼女が息子の「ハジメ」を探していることがわかります。

水曜の夜、マリカは駅前の自販機近くをさまよっています。まだ息子が見つからないと聞いた主人公は、警察に相談することを勧めます。翌日の木曜日に警察署を訪ねると、警官とマリカが話しています。ここでマリカの本名を知ることができます。

金曜日、マリカは新橋マップ左下の駐車場を歩き回っています。ここで彼女に夫がいないことがわかります。そして土曜を飛ばして最終日、マリカは旧A地域マップの左下の駐車場をふらついています。彼女に話しかけると、行方の知れないハジメの真実を知ることができます。

続いて、わらしべ長者イベントについて。これはそのまま、アイテムを次々に交換していくイベントです。以下、アイテムの名称を伏せて書いていきます。

まず、水曜の夜にマイロードを上から下へまっすぐに歩きましょう。するとコンビニ店員のニワとすれ違い、彼の落とし物を拾うことができます。次の日コンビニを訪れて落とし物を返すと、ニワはある飲み物をおごってくれます。
その飲み物を渡す相手は、駅前マップの洋菓子店前のベンチに座っているレン少年です。喉が渇いているレンに飲み物をあげると、彼はお礼にあるアイテムをくれます。

続く金曜日の昼、ホークテールを訪れましょう。店内にいる画学生の女性に話しかけると、彼女がまさにレンからもらったアイテムを必要としていることがわかります。アイテムを贈ると、彼女は福引でもらったというアイテムを譲ってくれます。

画学生にもらったアイテムは、同日同時間帯、新橋マップの駐車場奥にいる黒猫に使うことができます。アイテムを使うと、黒猫は主人公をある場所に案内してくれます。このイベントがわらしべ長者イベントのゴールだと言えます。

『左眼ジャック事件』におけるパロディ・元ネタ一覧

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左眼ジャック事件

主人公がPCゲーム愛好家(あと友達のヨモギは実況者)ということもあってか、『左眼ジャック事件』にはエンタメ作品や有名なフリー(ホラー)ゲーム作品のパロディ&オマージュネタがたくさん取り入れられていました。

プレイ中に自分で気づいたものをメモしたので、それをそのまま載せようかと思います。TIP内容やキャラ間の会話のネタバレが含まれるのでご注意ください。

「最近やったPCゲーム」:序盤における主人公の発言。同制作者様の『神童ノ哥』のこと。このホラゲーを最近プレイしたせいで、主人公サクラは「ヒダリメカエセ」と言いながら襲ってくる人影の夢を見た。ちなみに、「もちろん、宣伝である」とのこと。

「眼球綺譚」:サクラの部屋に置かれている有名な作家によるホラー短編集。小説家の綾辻行人に同名の作品があり、「妻もとても有名な小説家」、「夫婦そろってシリーズものの続きがなかなか出ない」とあるのでほぼ確定だろう。

「蜜柑のエリザ」:ホラゲパートに出現するエリザと書かれたミカンのこと。おそらく『未完のエリザ』というフリーゲームからのもじり。

「小さなパンジー」:冒頭のホラゲパートに出現。TIPで「小さなパンジーのことをヴィオラと呼ぶ」と言及されている。敵に追いかけられて右上の部屋(中央にオブジェクトあり)に入るシチュエーションをみても、『魔女の家』(主人公の名はヴィオラ)のパロディだろう。『魔女の家』で使用されている印象的なBGM(Lost Chair)も作中に頻出する。

「ワイズ・ゲルテナ」:書店アサヒ堂にて、画学生の女性がワイズ・ゲルテナの画集を探している。TIPによると、独特な作風で一世を風靡し、今なお根強い人気を誇る外国の著名な芸術家らしい。フリーホラーゲームの『Ib』(主人公イヴが美術館から異空間に迷い込むADV)に同名の芸術家の名前が登場する。

「霧雨が降る街」:木曜日、駅前のベンチに座っている青髪の女性との会話中に主人公が発言。元ネタはフリーホラーゲームの『霧雨が降る森』か。

「推理モノの漫画」:後輩のムツミちゃんが書店で立ち読みしているマンガのこと。TIPを読めば、『名探偵コナン』を指すことは一目瞭然。

「バーロォ」:怪しい男の口癖。やはり『名探偵コナン』ネタ(コナンと新一と作者の口癖)。

「ちょうど、御殿場市と富士山を結ぶ直線状に~一望することができない」:【タワーコート御殿場】TIPの一文。一読して名探偵コナンの『天国へのカウントダウン』の犯人の動機を思い出した(単なる偶然かも)。

「青山丸雄」:女性をとっかえひっかえ遊んでいる軽薄なナンパ男。同制作者様による『ドキッ! 女だらけの雪山殺人事件』の登場人物らしい。「もちろん、宣伝である」とのこと。

「巡り廻る。」:大学生からお金をせびるために水無文司が放った一言。同名のウディタ製のRPG作品がある。沈黙してから「知ってます」と答える主人公を見て「絶対某フリゲ作品のこと考えてるよね」と思ったが、TIPを読むとまさにその通りだった。

「『悠遠物語』とか、『シルフェイド見聞録』とか」:コンビニにて、連載がなかなか再開しない漫画(『HUNTER×HUNTER』か)に言及したムツミちゃんに対する主人公の発言。どちらも実在する有名なフリーゲームであり完結していない。私も『悠遠物語』が好きなので、主人公の発言に「あーあるよね~」と頷きまくった。

「氷華荘殺人事件」:タツミタツミとの会話中に主人公が口走る。元ネタはフリーゲームの『絆輝探偵事務所』

「ダメ人間で有名な探偵」:同上。元ネタはフリーゲームの『稲葉探偵事件ファイル』シリーズ

「ラミエル公園」:『新世紀エヴァンゲリオン』の使徒ネタ。おそらく噴水のオブジェクトからのネーミング。ちなみに、怪しい男との会話中に主人公が綾波レイのセリフを言ったり、沼田詩織が最終日にアスカのセリフを言ったりする。

「ラミエル公園先の洋館」:どう見ても元ネタは『青鬼』。室内の間取りから主人公ひろし他を意識した台詞回しまで、気合の入ったパロディネタに笑った。玄関から左に行った廊下のドアを連打したらゲームオーバーになるかもと思ったがさすがにならなかった。

「ゾンビとか青い鬼とか赤いオバサンとか、全身に包帯巻いた殺人鬼とかに追いかけまわされる系のゲーム」:ゲーム実況者であるヨモギの発言。ゾンビはバイオ等で、あとはそれぞれ『青鬼』、『らせんの宿』、『殺戮の天使』だろうか。

「ちょっとグロい謎解きアドベンチャーゲーム」:ジャンルはサバイバルサスペンス。思い当たらなかったのでいくつかのキーワードでググってみたところ、『真・村雨』というフリーゲーム作品がヒットした。ヨモギの説明に興味を引かれたのでまたプレイしてみたい。

「結構昔の探索ホラーゲーム」:主人公が一人暮らしの大学生、差出人不明の手紙やプレゼントが届くようになる、よく出来たサスペンス……との説明あり。パッと思い浮かんだのは『親愛なる××へ』だったが、違うかもしれない。

拍手コメントを通じて、「結構昔の探索ホラーゲーム」は、『新・村雨』の制作者様の別の作品(『7DAYS』)ではないかと教えていただきました。実際にふりーむ!で作品情報を確認したところ上記の説明に沿っていたので、『7DAYS』も元ネタとして有力かなと思います。9月30日に拍手コメントをくださった方、貴重な情報をありがとうございました!(10月3日追記)

『7DAYS』(ジャンル:理不尽推理サスペンスADV)の感想記事も書きました(11月19日追記)。

「刺される方が好きか?」:主人公がフリーホラゲ語りの際に引用。『怪異症候群』(都市伝説を題材にしたフリーホラーゲーム)に登場する氷室刑事のカッコイイ発言。

「アイドルマスターになれるのかなぁ」:最終日、チヒロを追うと決めたユウトを見送った主人公のセリフ。バンダイナムコ発のアイドル育成ゲームのことか。

「とんでもないものを盗んでいきました」:最終日に猫さんに「あなたが犯人だ」をすると、主人公が『ルパン3世 カリオストロの城』のラストシーンのパロディセリフを言う。ちなみにそこで取得できるTIP内の【「ルナ」と名付けたかった】は、セーラームーンネタだと思われる。

「ダニエル・ディケンズ」:目に異常な執着を持つ、海外の有名な殺人鬼の名前。本職はカウンセラー。『殺戮の天使』(謎多き少女と殺人鬼の青年が地上への脱出を目指すフリーホラーゲーム)に同名のキャラクター(通称ダニー)が登場する。ちなみに、怪しい男の言う「私を殺して」は、同作の主人公であるレイチェル(レイ)の有名な発言。

「僕の瞳はアレキサンドライト」:『殺戮の天使』におけるダニーの発言。『左眼ジャック事件』におけるダニーは「過去に実在した殺人鬼」である*。したがって、犯人は最後に自分と境遇の似た殺人鬼のセリフを引用したことになる。ちなみに、犯人が逮捕されるシーンで流れているBGM(♪彼岸)は、『殺戮の天使』のラストシーンで流れるものと同じである。

主人公はフリー(ホラー)ゲームに詳しいはずなのに、殺天ネタに関してだけは終始「?」状態です。これは、『左眼ジャック事件』世界における『殺戮の天使』がフィクション作品ではなく、海外で実際に起こった殺人事件だと認識されていることの証左ではないかと思います。

以上、気づいたものだけざっと挙げました。TIPSに記述のある、「主人公の女性のシャワーシーンのある超有名なフリーホラーゲーム」は寡聞にして思い当たりませんでした(気になる)。あと、最終日のタツミタツミの「前にも聞いたことがある」発言が気になります。もしかして彼は、同じ制作者様の別の作品に登場しているキャラクターなのでしょうか。

ネタバレ込みの『左眼ジャック事件』感想

左眼ジャック事件 スクショ ネタバレ込みの感想

左眼ジャック事件

この項目では、『左眼ジャック事件』の感想をガッツリとネタバレ込みで書いていきます。本筋の犯人の正体、サクラとタカオの謎、主人公サクラについて……等、以下には核心的なネタバレが含まれます。事前に知ってしまうと面白さが半減するので、未見の方はご注意ください。

※ほぼネタバレなしのレビュー記事:『左眼ジャック事件』 現代のジャック・ザ・リッパーを追って霧の街を往くサスペンスADV

『左眼ジャック事件』の巧妙な伏線

毎週木曜の夜に女性を襲って片眼を抉り出す殺人犯の正体を追う、それが『左眼ジャック事件』のメインストーリーです。親しい人間が犯人ではないかと主人公が疑ったり、犯人に追いかけられてピンチに陥ったり、傾向としてはサスペンスものの趣きがあります。ただ、犯人の正体に関する伏線やミスリードは、ミステリ的な手法を用いて散りばめられていたように思います。

まずなんといっても、「左眼ジャック事件」というタイトル名がそもそも引っかけであったこと。これに関しては最終日の犯人追及タイムに至るまで気づけず、主人公の指摘を聞いて「うわ~ホンマや~!」と大いに膝を打ったポイントでした。

順を追って振り返ると、タイトル画面にすでにミスリードが埋め込まれています。具体的には、右側の【「左眼ジャック事件(ひだりめジャックじけん)」は、20XX年に静岡県御殿場市で発生した連続殺人事件の通称である。】というくだりと、左側の【御殿場市ではここ最近、若い女性が襲われて片眼を抉り取られる猟奇殺人事件が数件立て続けに起きている。】というくだりですね。

私はタイトル画面の左右の文章を読んだとき、「左側がゲーム開始時点におけるストーリー説明で、右側が後世の人間による事件の記述なんだろうな」と思いました。そして、後世視点の左側で「左眼ジャック事件」という通称が用いられていることにのみ注目し、現在視点の右側では「片眼」としか書かれていないことをスルーしてしまったのです。

続いて、【これは、“霧の都”御殿場市で「私」が遭遇した、後に世間で『左眼ジャック事件』と呼ばれることになる事件の記録である】……とあらためて説明が入ります。これも巧い記述で、「後に~と呼ばれることになる」という部分が何より重要なんですよね。しかし初見プレイヤーの目は、「左眼ジャック事件」という呼称自体に引きつけられ、「後に~」の部分をスルーしてしまうのです。

きわめつけに、冒頭でホラゲパートが始まります。具体的には「ヒダリメカエセ」と言いながら追いかけてくる不審者と、「左眼」を強調した新聞の記述の2つが重要です。この2点が強烈なミスリードとなってプレイヤーの思考をのちのちまで縛ってきます。

このホラゲパートは夢オチで終わり、主人公は「最近やったPCゲームと現実を混同して夢を見た」と釈明します。しかしこの混同はプレイヤーにそのまま引き継がれ、決定的なミスリーディングを誘発します。すなわち、「現在起きている連続殺人事件の犯人は、決まって遺体の左眼を抉る」という混同(勘違い)です。

最終日に主人公が語る通り、犯人がどちらの眼を抉るのかは警察の情報規制により一般には知られていない情報です。ゆえに御殿場市の人々は、「犯人は片眼を抉る」、「片眼ジャック事件のことか」等と発言するのみで、「犯人は左眼を抉る」とも「左眼ジャック事件のことか」とも言いません。「犯人が左眼を抉る」ことは、警察と犯人しか知らない情報だからです。

だからこそ主人公は、唯一「犯人が抉るのは左眼だ」と発言した人物を犯人として追及するに至ります。しかしプレイヤーにとって、この犯人の発言はホラゲ夢オチパートの直後になされるものなので、むしろミスリードの補強として働いてしまうんですよね。後で左眼関連で違和感を覚えても、冒頭までさかのぼって「そういえば……」とは気づきにくいというか。

実は後でタワーコート御殿場602号室の新聞を読むと、「左眼」が「片眼」に変わっていることを確認できます。新聞に「左眼」と書かれていたのは主人公の夢の中だったからであって、現実世界では「片眼」としか書かれていなかったのです。

しかし、夢の中とは違って該当部分が赤字で強調されていないことや、「これ前にも読んだな」と判断してメッセージ送りしてしまうことにより、この重要な変化はやはり見過ごされがちだと思います。

プレイ時の思い出ですが、私がかすかに違和感を覚えたのは木曜の夜にアヤメ(銀髪ショートカットの女子高校生)と対面したときです。「あなたが、片眼ジャックなの?」と彼女はまず問いかけてくるんですよね。ここで初めて「あれ?」と感じました。先の展開が気になって進めてしまい違和感の正体には思い当たらなかったものの、アヤメが「左眼ジャック」と呼ばなかったことが引っかかったわけです。

次に気になったのは、沼田(メガネの女性警察官)に詰問されたときです。主人公が立ち去ってから、「今回の遺体も、左眼が抉り取られていたの」と沼田はつぶやき、意味深に沈黙します。「えっ何その意味深な沈黙、犯人はフツーに左眼を抉るんじゃないの?」と思いつつも、一方で「あれ?」とまた思いました。曖昧でしかなかったものの、「『左眼』に何かあるの?」と漠然と感じました。

もっとも、違和感の正体には最後までたどり着けなかったので、最終日の犯人追及タイムでは大いに驚き納得しました。あらためて、作中で「左眼を抉り取る」と想像・言及するキャラが「勘違いを起こした主人公(後に遺体も見る)」と「遺体を実際に見ている刑事」と「犯人」の3人だけなのは非常に巧い構成だなーと思います。

犯人について

犯人については、正直に白状するとまったく分かりませんでした。最終日は詰まったときの逆裁ばりに総当たりをしていたのですが、ほぼ全員にハッタリをかましてしまった局面に至ってようやくホークテールに行き着きました。
「正面からは入れないが裏口からなら入れる」という意味ありげな仕様に気付いて「まさか」と思い、バックヤードでバッチリスタンバイしているミズノさんを見て「たぶんそのまさかだ」と直感して動揺したことを覚えています。

ミズノさんが犯人であると推定できるヒント。これはいくつか描写されていたと思います。最大のヒントは「左眼」発言として、店名(ホークテール)と合わせて彼女の本名を示唆する、「タカオ」と刺繍されたハンカチも重要な手がかりでした。多くのキャラクターの姓名がTIPで明かされる中、最終日に至っても彼女は「ミズノさん」だったので、「もしかしてミズノは名字ではないのか?」と発想することはできた気がします。

また、終盤にタツミタツミからもらえる情報もかなり重要でした。20年前の猟奇的な事件と、当事者夫妻に子供が1人いたというヒントですね。これに注目すれば、犯人の大まかな年齢を推定し動機を推測することも可能だったと思います。

ただ、私自身が追及タイムで「そういえば……」と思ったのは、金曜日の探索中にミズノさん本人から聞いた情報でした。道を歩いていたら左側から自転車が出てきてとっさに反応できなくて……と話してくれるんですよね。そのときは流しましたが、追及の段に至ってそのくだりを思い出し、アレは左眼がよくないことのヒントだったのかーと深く納得しました。あと、TIPで読める「陸上部に所属していた」という情報も地味に重要だったと言えます。

後の周回で気づきましたが、木曜夜にハンカチを拾っていない場合、上記の金曜日の会話は発生しないようです(たぶん)。ハンカチを拾うとフラグが立ち、ミズノさんのパーソナルデータを匂わせる会話が発生するのだと思います。

逮捕直前の発言から察するに、ミズノさんは過去の凄惨な経験に追い立てられるようにして凶行に及んだのでしょうか。母の面影を追い求める一方、母の命を奪った父を恨んではいない(むしろ形見のハンカチを大事にしている)様子だったので、なかなか複雑な葛藤を抱えていたのではないかと感じました(まあ彼女も言っていた通り、部外者には推し量れない部分ではありますが)。

退場間際にダニーの発言を引用していたことから、ミズノさんは左眼を抉り取られた母親の空虚な眼窩に、ある種の美を見出してしまったのかなーと感じました。だから母親に似た女性の命を奪い、左眼を抉り取ることを繰り返していたのではないか、と(左目を収集していたわけでもなさそうだし)。

結論としては、あまりに登場キャラが多いこともあって気づきにくいが、指摘されればヒントがいくつもあったことに気づく……という絶妙な描写量の犯人だったと思います。

タカオとサクラについて

主人公のサクラが「タカオの姉」ではなく、実は「タカオの恋人」だった……というのが『左眼ジャック事件』における最大のどんでん返しです。タイトル画面や冒頭の概要で「姉のサクラは双子の弟タカオの不審な行動に疑問を抱く」と説明されているので、「主人公サクラ=タカオの姉」とすんなり受け入れてしまう人が多いのではないかと思います。

私も当初は「主人公サクラはタカオのお姉さんである」という前提のもと操作していました。ただ、その前提にそぐわないような描写は、序盤からいくつも出ていた気がします。

まず冒頭、弟の部屋でテレビを観ながら寝落ちしたサクラが起きるシーンを見て不思議に思いました。というのも、「20歳の姉が同い年の弟の不在時に部屋に入るものか?」と感じたからです。相手が10歳前後ならともかく、20歳の弟の部屋にはそんなに簡単に立ち入らないし長居もしないだろう、そこはお互い配慮しないといけない部分だし……と素朴に思いました。

まあこれは主観の過ぎる感想ですが、そもそも弟を待つならリビングで待てばいいし、テレビを観るにしてもやはりリビングで観ればいい話なんですよね。そこをわざわざ不在の弟の部屋に入って長時間滞在している点が気になりました。

続いて火曜の夜、洗濯かごをチェックするシーンも地味に気になりました。主人公が探ったとき、洗濯かごにはすでに2人分の衣服が入っているんですよね。2人分、つまりサクラの服とタカオの服です。昨日から洗っていない衣類が溜まっているんだろうと考えはしたものの、サクラの服が入っていることがやや気になりました。

次に、木曜夕方における主人公とタカオとのやりとりも引っかかるポイントでした。タカオが「いたのかよ」と主人公に驚き、主人公は「シャワー浴びていい?」とタカオに尋ねるシーンですね。

まず、「いたのかよ」発言は別段おかしくないです。主人公は突然602号室に入ってきたわけなので。引っかかったのは主人公の「シャワー浴びていい?」発言です。「ここに住んでいるのになぜ許可を取るんだろう」と漠然と思いました。

たしかに、「浴室を一定時間占領してもいい?」という意図で「(今)シャワー浴びていい?」と家族に尋ねるのは普通にあり得る話です。ただ、タカオは直前に「もうすぐバイトに出かける」と発言しているんですよね。当然すでに身支度は済ませているはずであり、浴室を使う予定もおそらくないはずです。だから、主人公がわざわざ「シャワーを浴びてもいいか」と尋ねたことに少なくない違和感を覚えました。

もっとも、『左眼ジャック事件』は、上のような違和感1つ1つをはっきりと認識させないよう巧妙に描写を重ねています。不在の弟の部屋に入ってテレビを観ていることは、「そういう姉弟もいるだろう」でかわせます。洗濯かごの衣服は単に前日の分が入っているだけと解釈可能です。「シャワー浴びていい?」も流れで一応聞いただけと考えられないことはありません。違和感を小さく盛り込んでその場で強く注意を引かないようにし、決定的な証拠を落とさない見せ方が巧いなーと思います。

その後、上記のように違和感を積み重ねていたところに大江としこさんから「主人公には彼氏がいる」と情報が入ったので、「もしかしてタカオは主人公の弟じゃなくて恋人なんじゃないの?」とはっきりと疑い始めました。
ヨモギとの会話やアキオとのサブイベでも「主人公=彼氏持ち」と繰り返し言及されたので、たぶん間違いないだろうなと確信を持つに至りました(振り返ればアキオの恋愛相談イベント時点で主人公に彼氏がいることは明示されていました。ただ、その段階では主人公がアキオの好意を察して予防線を張っている可能性を疑っていたので、ブラフかもしれないと流してしまった覚えがあります)。

「主人公サクラ≠タカオの姉サクラ」がはっきりと明示されるのは、最終日にサクラの部屋の鍵を使ってサクラの部屋に入り、ベッドで寝ている人物と会話を交わした場合のみです(タカオやヨモギと会話するとほぼ答えをもらえますが、明言されるわけではないので)。おそらく最終日は、サクラの部屋の鍵がなければ部屋に入れないのだろうと思います。

この最終日に、サクラとタカオの部屋に入る際、あるいはタワーコート御殿場602号室に入る際に感じていた違和感も解決しました。

たとえば前者について、サクラの部屋とタカオの部屋のどちらについても、毎回「入る」or「入らない」の確認があったんですよね。弟の部屋に入るならともかく、自分の部屋に入るときにどうして一々確認されるんだろうと不思議でした。実は主人公にとってサクラの部屋もタカオの部屋も自分の部屋ではないから、毎回入るor入らないの選択をしていたのか……と最終日に気づきました。

また、後者についても、毎回「開ける」or「開けない」に加えて「解錠する」or「施錠する」の確認が入ることがちょっと不思議でした(現実的にはおかしくないとはいえ、そんなところまで細かく描写するのは珍しいなと感じたので)。
こちらについても、実は自宅ではなく恋人の家に入ろうとしていたから、そういう一見迂遠な確認が逐一なされていたんだなーとすっと腑に落ちました(ちなみに、タワーコート御殿場602号室の鍵を調べると「合鍵」と言及があります。これもヒントだったのかもしれません)。

TIPについても、よく読めば「主人公」と「重藤サクラ」が使い分けられていたりと、ヒントはちゃんと提示されていたんだなと後で納得しました。気持ちの良いどんでん返しでした。

ところで、主人公の恋人であるタカオの第一印象は、「これは1人や2人やってるな」という超失礼なものでした。顔のシェイドとニヤリ笑いが悪人っぽすぎる。実際はネクラなだけで姉思いの好青年だと分かり、第一印象で軽々に判断したことを申し訳なく思いました。主人公が真面目で頼りがいのあるタカオを好きになったのは、彼女の父親を思うとなるほどなーと思うポイントでもあります。

主人公サクラについて

※以下には、主人公に関する核心的なネタバレと、エンディング後に発生する追加シナリオのネタバレが含まれています。

主人公サクラについては、最終日に重藤桜(タカオの姉)と会話すると、「佐倉」という名字であることのみ明かされます。「主人公サクラ≠タカオの姉サクラ」は予想していたとはいえ、自分が今まで操作していた女性は佐倉さんだったのか……となんとも新鮮な思いでした(この「名前だと思っていたら実は名字だった」は、犯人のミズノさんとあえて被せているような気もします)。

「主人公=佐倉某」と知った瞬間に「いったいこの女性は誰なのか」「君の名は」と疑問が膨れ上がったので、主人公サクラの謎を解明することを目標に2周目をプレイし始めました。レビュー記事で7人の人物に接触することを勧めましたが、1周目で最後までイベントを回収できたのはアキオとチヒロとラセイの3人だけだったんですよね。だから、TIP回収も兼ねてサブイベを追い、佐倉の正体を突き止めようと燃えていました。

重大な手がかりは2周目早々に見つかりました。具体的には、火曜の夜に手に入る「金明」というTIPの内容です。居酒屋で飲んだくれているダイモンを調べると手に入るTIPですが、読んだ瞬間に「マジで!!?」とびっくりし、ひとしきり興奮したことを覚えています。

考えてみれば主人公は母親を亡くしていると何度か話していたし、恋人タカオの家に入り浸っているし、TIP:「家内」で顔のわかる女性と容姿がそっくりなんですよね。振り返れば納得しかなかったものの、あまりにも意外なミッシングリンクだったので、受けた衝撃は筆舌に尽くしがたいものがありました。

続いて、木曜日の染井長治イベントを見ることで、主人公と人気アイドル・龍宮千尋の容姿がそっくりである謎も解けました。「御殿場に住んでいるナガハルの尋ね人ってもしかして……」という予想から、TIP:「龍宮千尋②」の内容をふと思い出し、「単なる他人の空似じゃなかったのか!」と気づいた次第です。ナガハルのイベントを見ることで龍宮千尋イベントへの見方が変わる仕掛け、すごくイイなと思います。

次なる重大発見は、木曜夜のラセイとの会話の中にありました。当時御殿場市に住んでいた文通相手について、ラセイは自分の1つ下で20歳だと教えてくれます。1周目では気に留めませんでしたが、「主人公の名前ってなんだろう」と考えていた2周目では、このラセイの発言に「まさか……」と思わざるを得ませんでした。よく見れば、主人公も意味深に「……」と考えている様子だったりします。

これ以上はダラダラとサブイベの内容を紹介してしまうことになるので避けます。ただ、ダイモンの存在を軸にして主人公の名前が確定するなど、サブイベ同士の連動具合が見事だなーとつくづく思いました。ラセイのイベントのように、ある情報1つを持っていることで1周目はスルーした情報の重要性に気づける仕様も乙だなーと思います。

サブイベントだけではなく、御殿場市民との会話の中にも主人公の情報は紛れ込んでいます。たとえば、「ヨモギの呼ぶ『サっちゃん』の由来って佐倉からじゃなくてたぶん……」とか、「佐倉が自分の名前を『古風でよくある名前』だと言うのはそういうことか」とか、ある程度情報があれば深読みできる会話がけっこうありました(ver1.07以降だと、主人公が占い師に自分のイニシャルを教えるくだりが追加されていたりもします)。

佐倉関連のイベントで心に残ったのは、やはり染井老人とのイベントでしょうか。そもそも『左眼ジャック事件』を3周したのは、彼のイベントをすべて回収したくて仕方がなかったからです。2周目では金曜日より後のイベントを起こすことができなかったので、3周目でエンディング後の追加シナリオが解放されたときは、もうイベント前から感極まってしまいました。

その追加シナリオの内容ですが、正直に言って泣きました。こういうお爺ちゃん絡みのイベントにはめっぽう弱いです。孫に会って色々話したかった、伝えたいこともあった、『お爺ちゃん』と呼んでほしかった……という染井老人の未練が、最後の最後、佐倉が名乗ることによって一気に報われる流れが本当に素晴らしかったです。

あと、遺言の内容もグッときました。パロディ&オマージュネタが豊富なこの作品らしく、染井老人の遺言も黒澤明の遺作から引いたものです。ただ、染井老人の過去や仕事への愛を知ったこともあり、そこに込められた経験や思いが切々と伝わってくるような気がしました。(発言時点では)6日前に知り合った「優しいお嬢さん」としか思っていない佐倉を未来ある若者と見込み、この言葉を託すところもイイですね。

「本当に好きなものを見つけて、その大切なもののために努力しなさい。それが立派な仕事になるから」という染井老人の遺言。実は、最後に手に入るTIP(「ホークテール」)を読むと、佐倉がこの遺言をきちんと守ったことがわかります。

佐倉はニワ関連のサブイベで、「嫌なこともあるけどやっぱり接客業が好き」と話していました。上記のTIPを読むと、彼女がその「好きなもの」を仕事につなげたことがわかるんですよね。だから、佐倉は染井老人の言葉通りに自分の好きなものを見つけて努力し、(おそらく愛する人と一緒に)立派に働いているんだな……と思って再び感動しました。

まとめると、色んなキャラとの会話を通して、少しずつ主人公のパーソナルデータを収集できる仕様がとにかく好きでした。パズルのピースが集まるにつれて、謎めいた主人公の輪郭(家族関係や子供時代)がだんだんと見えてくるんですよね。主人公の情報を丹念に集めた上でエンディング後のイベントにたどり着いたときの感慨は、非常に大きなものでした。

御殿場市民&訪問者について

最後に、本筋に深くかかわるキャラ(主人公やタカオなど)以外の御殿場市民&訪問者について、簡単に感想を書いていきます。

すごく好きなキャラは、ヨボヨボ爺さんこと染井長治とコンビニ店員のニワさんの2人です。トップタイです。

染井長治は、主人公とのやりとりがまず面白くて好きでした(黒澤ネタを振っては「観てないです」と返されて怒ったりスルーして話し続けたり)。そこからだんだんとシリアスな過去が明らかになり、一気に感情移入した覚えがあります。

特に金曜日のイベントは心に刺さりました。最愛の妻子がいて、でも意地を張ったせいで娘は駆け落ちし、最終的には妻子に先立たれ……という告白ですね。

「娘の最期を看取れないどころか、訃報が届いたのは娘の意向で死後1か月経ってからだった」というくだりがもう悲しくて仕方がなかったです。子供が知らない土地で1か月前に死んでいた、葬儀は執り行わなかった、と後になって聞かされるって親にとって悲痛すぎるなーと感じたので。娘さんもいくら許せないレベルで怒っていたとしても、今生の別れくらいしてあげてもよかったのでは……と思ってしまいました。

染井老人が会いたがっている人はなんとなく察しがついたので、イベントを進められなかった1周目と2周目では大いにフラストレーションが溜まりました。3周目でようやく彼の願いを叶えることができてスッキリしたとともに、ようやく本当の意味で『左眼ジャック事件』の物語に終止符が打たれたように感じました。

また、コンビニ店員のニワさんは、落とし物を届けたときのスマートなお礼の仕方と素敵なスマイルで一気に好感度が上がりました。その後しらみつぶしに探索していたらラミエル公園でのイベントに突入し、そのシリアスかつ意外な内容にびっくりしたことを覚えています。

ニワの過去を聞いて、「たいていのことはできるけどやる気がない」とTIPに書いてあったのはそういうことかーと納得しました。重藤姉弟の両親の話も思い出し、事故の相手方がここで出てくるのか……と関係者の絡ませ方の上手さに感服もしました。

『左眼ジャック事件』のキャラ設定ってどれも現実味がありますが、ニワの抱える空虚さ(人生がつまらない、若者が眩しすぎる)もなかなかリアルだと思いました。たしかにあの年齢でああいう悲劇に見舞われたら、その後の人生を前向きに生きようとする気力が失せるだろうな、と。

最終的に佐倉の率直な思いを聞いたニワは、当初の予定を実行に移さずにラミエル公園を去って行きます。自分の経験を踏まえて人生に対する希望を伝えた佐倉の言葉は、たぶんあの時点でのベストアンサーだったんじゃないかと思います。人間関係を一気に奪われて孤独に生活している人にとって、「自分を気にかけてくれて『生きていてほしい』と望んでくれる他者」って稀有な存在だと思うので。眩しすぎるくらいの佐倉の語りかけによって、ニワの心にかかる憂鬱の霧もいくらか晴れたんじゃないかと感じました。

染井老人とニワさん以外では、水無文司が面白くて好きでした。リアルでは正直絡みたくないですが、ゲームの登場人物として眺めるぶんには良い脇役だなーと思います。まさかの徴税Gメン登場には笑いました。

あと、モウシン教の信者であるサリさんも好きです。いきなり背後から現れたり、すーっと近寄ってきたりするときのドキドキ感がたまらないですね。強引さや押しつけがましさがなく、純粋にモウシン教に救われた過去の経験から布教に励んでいる姿勢も好印象でした。

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語りたいことが多くて思いのほか長くなりました。TIP攻略は別の記事にまとめようかなと思います。

※前回の記事:『左眼ジャック事件』 現代のジャック・ザ・リッパーを追って霧の街を往くサスペンスADV レビュー

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> 9月30日に拍手コメントをくださった方へ

コメントありがとうございます。記事を読んでいただけて嬉しいです!

『村雨』と同じ制作者様の『7DAYS』を確認いたしました。おっしゃる通り、たしかに「結構昔の探索ホラーゲーム」の元ネタは『7DAYS』っぽいですね。概要欄だけですでに面白そうだったので、早速ダウンロードしてしまいました。教えていただきありがとうございます(記事の方にも訂正を入れておきました)。

あと、やっぱり『左眼ジャック事件』には、制作者様の他のゲームに登場したキャラが色々と登場しているんですね。たとえ脇役でもバックグラウンドの凝ったキャラが多いので納得の一言です。たくさんあるので迷いますが、時間があるときにまた制作者様の他の作品もプレイしてみようと思います。重ね重ね、今回は情報ありがとうございました!

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かーめるん
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