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『大逆転裁判1&2』(Switch版)のメインビジュアルを鑑賞する 感想&考察 ※ネタバレ注意

2021/05/23
逆転裁判・大逆転裁判シリーズ 0
大逆転裁判 コンソールゲーム 感想 考察 artistic CAPCOM

2021年7月29日発売予定の『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』の新規メインビジュアル(パッケージ絵)を鑑賞し、色彩や配置を手掛かりに暗示を読み解く感想&考察記事です。『大逆転裁判』と『大逆転裁判2』のネタバレが含まれます。発売元はCAPCOM様。

『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』 公式サイトのスクリーンショット 引用

大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-

4月22日に『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』(Switch版)の発売が発表されました。公式サイトにて絶賛予約受付中。アートディレクターの塗和也さんによる新しいメインビジュアルもドーンと公開されました(参考:上記の引用画像)。

おめでたいニュースに盛り上がったので、華やかで幻想的な新規メインビジュアルをゆっくりじっくり鑑賞する記事を書きました。

コンセプトは、「色彩と配置から大逆転裁判1&2のメインビジュアルを読み解く」こと。要するに、色合いやキャラ配置や小物についてあれこれ妄想したり、大逆転裁判シリーズを振り返って語ったりする記事です。書いている私は最高に楽しかったです(息抜きのはずがフツーに長い記事になりました)。

以下には、『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』および『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』のネタバレが満遍なくガッツリと含まれています。目次や見出しの段階ですでにネタバレ満載なので、未見の方はご注意ください。

『大逆転裁判1&2』のメインビジュアルを鑑賞する

それでは、『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』のメインビジュアル(パッケージイラスト)を見ていきます。先ほど紹介させていただいた通り、新しいメインビジュアルは公式サイトにて鑑賞可能です。また、「逆転裁判」シリーズの公式ツイッターアカウントにおいても4月22日に公開されています。

最初にこのメインビジュアルを見たときは、「う…美しすぎます!」とリアルに感動しました。相変わらずの綺麗な色合いと絶妙なキャラ配置、華やかでファンタジックな雰囲気。もう本当に眼福です。

塗さんの描かれるキャラクターの集合イラストって、どれをとっても色彩の美しさと画面構成の美しさの両方が備わっている気がします。感覚と計算をバリバリとバランスよく働かせて描かれた感じがあるというか。だからどの集合イラストも大好きなんですが、今回のメインビジュアルはその中でも一番好きかも、と思うくらいに初見で見惚れてしまいました。

ところで、1&2のメインビジュアルは、『大逆転裁判2』のメインビジュアルを彷彿とさせるところがある気がします。ざっくり言えば、「キャラの色分けや配置に様々なメッセージや意味が込められていそうだな」とパッと見で思いました。

『大逆転裁判2』は「大・解決編」とでも言うべき濃厚な内容でしたが、クリア後にパッケージを見返したとき、着色や配置がストーリー内容を暗示していることに気づいておお~っと思ったんですよね。「この2人の配置ってそういうことか」、「この色合いでのまとめ方ってそういう意味か」……と。また、公式原画集*を読んである小物の裏設定を知ったときは、「そういうことか!」と感動したりもしました。

というわけで今回の記事では、色彩とキャラ配置に込められた意味に注目しつつ、1&2のメインビジュアルを鑑賞していきます。「込められた意味」とか大げさなことを書いていますが、要は色や配置に頑張って意味を見出そうとする(=あれこれとこじつけて妄想する)感じです。ゆるいノリで書いたので、さらーっと読んでいただけると嬉しいです。

*以前の感想記事(「『大逆転裁判2』が拓いた新境地 感想&考察&レビュー ※ネタバレ注意 その3」)でも書きましたが、『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟- 公式原画集』は、画集としても設定資料集としても超オススメの1冊です。あの2人の過ぎし日やその後を見られたり、2のパッケージ絵に「舞い上がる桜の花びら」が描き込まれている理由が分かったりと、知って嬉しい情報が盛りだくさんの本でした。

色彩と配置からキャラクターの持つ役割と暗示を考える

さっそく『大逆転裁判1&2』のメインビジュアルを鑑賞していきましょう。先ほども書いた通り、特に注目するポイントはキャラクターごとの色彩と配置です。

具体的には、「キャラクターはその属するグループや持つ役割に応じて着色されているんじゃないか」&「因縁や関係の深いキャラは向きや位置に関して対比的に配置されているんじゃないか」という2つの説を引っ提げて見ていきます。

メインビジュアルをざっと眺めたとき、キャラクターはざっくりと4色で色分けされているように見受けられます。4色とはすなわち、紫色/青緑色/黄金色/桃色です。以下、この順序で色分けに応じたキャラクターの役割や暗示を細かく考えていきたいと思います。

「亡霊」の紫色(玄真/クリムト/慈獄/グレグソン他)

大逆転裁判1&2 メインビジュアル考察 紫 プロフェッサー 蘇る亡霊 Photo by Clem Onojeghuo on Unsplash

Photo by Clem Onojeghuo on Unsplash

最初に注目したいのは、画面の最も奥に佇む「亜双義玄真」と「クリムト・バンジークス」、そして2人の近くにそれぞれ配置された「慈獄政士郎」と「トバイアス・グレグソン」です。この4人はどこかくすんだ印象の紫色で着彩されています。便宜上、紫色の彼らを「プロフェッサー ~蘇る亡霊」グループと名付けておきましょう。

ちなみに、同じ「蘇る亡霊グループ」であっても紫の色合いには微妙に違いがあります。玄真とクリムトの紫色はやや褪せて見える一方、慈獄判事とグレグソン刑事の紫色は渋めで落ち着いた色味です。

前者2人はすでに故人、後者2人は今なお現役ということで、紫の色合いの違いはあの世とこの世の隔たりを表しているのかもしれません。玄真とクリムトは画面奥に小さく配置されているため、画面構成の点でも、手前にいるキャラとの物理的な距離がより強調されているように感じます。

玄真、クリムト、慈獄、グレグソン。この4人の共通点と言えば、やはり10年前のプロフェッサー事件に深く関わっていることでしょう。嵌められて命を落とした者、脅されるがまま操られた者、良いように動かされ切り捨てられた者など、首謀者によって被害をこうむった者としての側面も持っていると言えます。

クリムトは微妙なところですが、玄真とグレグソンは正面、もっと言うと自分たちの手前にいる後進に目線を向けて微笑んでいるようです。3人にはそれぞれ未来を託せる肉親や部下がおり、『大逆転裁判2』では彼らが先人の遺志を受け継いで歩んでいく展望が示されました。

他方、慈獄判事だけは口をへの字に引き結び、完全に横を向いて目を伏せつつ杯を傾けています(物憂げなこの表情、けっこう好き)。彼が今なお友を裏切った過去に縛られている(そのせいでラスボスに与せざるを得ない)ことや正面を向けない程度に後ろめたい思いを抱えていることの示唆でしょうか。個人的には、慈獄判事には他3人とは異なり精神的な後継者がいないことも暗示しているのかなーと思います(本来なら親友の遺児である亜双義をそれに近いポジションに置いてもおかしくなかったところ、カルマが重すぎてああなってしまったし)。

あと、もとの配色のせいでもある気はしますが、右上に大きく描かれているバロック・バンジークス卿もうっすらと紫がかっているように見えます。バンジークス卿は10年前のプロフェッサー事件で多くを失い、首謀者に騙され、その後も10年間隠れ蓑として利用され続けた人です。「ヴォルテックス被害者の会」としての側面を持つ「蘇る亡霊グループ」に片脚を突っ込んでいるのも、まあ納得の行く話かもしれません。

「冒険」の青緑色(ミコトバ教授/ホソナガ刑事/オムニバス他)

大逆転裁判1&2 メインビジュアル考察 青緑 無印が懐かしい Photo by Jim Strasma on Unsplash

Photo by Jim Strasma on Unsplash

続いては、灰色がかった青緑色をメインに着彩された人々を見ていきます。メイン内訳は、画面左下の奥に配置されている「ミコトバ教授」と「ホソナガ刑事」、そして画面右奥に置かれている「オムニバス(乗合馬車)」です。便宜上、青緑色の彼らを「冒険の日々が懐かしいね」グループと名付けておきます。

苦しい分け方やなあと自分でも思いますが、ホソナガ刑事とミコトバ教授の服装に注目してください。ミコトバ教授は日本バージョンの和装、ホソナガ刑事はレストラン「ラ・クワントス」の給仕服と、どちらも無印の1-1で初登場した際の服を着ています。少なくともホソナガ刑事が2-1のふざけ倒した格好ではないことから、上の分け方もあながち間違いとは言えないと主張したいです。

オムニバスに関しては、実質的に1-3の事件現場となったオブジェクトですね。当時はまだ御者だったベッポや証人として出廷した男性たちなど、シルエットでそれと分かるキャラクターもしっかり乗車しています。芸コマです。

あと注目したいのは、オムニバスの真横のガス灯が青緑色ではないこと。これを「瓦斯が絡む事件は『大逆転裁判2』で扱われているから(not無印だから)」と解釈すれば、「やはり無印関連のキャラorオブジェクトは青緑色で象徴されている」という結論に持って行けそうです。

また、龍ノ介、亜双義、スサトちゃん、バンジークス卿、ホームズ、アイリスの6人も、実はこの「冒険の日々が懐かしいね」グループに属しているんじゃないかと思います。まず龍ノ介は全身から青緑色の光を発しているし、その傍にいる亜双義とスサトちゃんは彼の青緑色の光に照らされています。また、右上のバンジークス卿は右肩から左腕、サーベルにかけてガッツリと青緑色に染まっています。ホームズ&アイリスについても、黄金オーラが強いように見えて、よくよく見ると青緑色のシェイドがうっすらとかかっていることがわかります。

改めて書くまでもなく、上記の6人は『大逆転裁判』無印に登場する日英のメインキャラクターです。龍ノ介に冒険のきっかけを与えた亜双義とスサトちゃんに、渡英した龍ノ介を温かく迎え入れたホームズ&アイリスに、まだまだ半人前の龍ノ介と法廷で対峙したバンジークス卿。主人公の龍ノ介、および彼と冒険の日々を共有した人たちだからこそ、「冒険の日々が懐かしいね」グループに入っているのかなーと思いました。

「ラスボス」の黄金色(ヴォルテックス/クログレイ他)

大逆転裁判1&2 メインビジュアル考察 黄金色 ラスボス Photo by Matthew Waring on Unsplash

Photo by Matthew Waring on Unsplash

次に、まばゆい黄金色で着彩された「ラスボス」グループ。ラスボスグループに関しては、オシャレな「ルバート・クログレイ」と野望に燃える「ヴォルテックス判事」の2人だけ……のはずですが、ヴォルテックスの黄金オーラを受けている人物が他に約5人ほどいるのが面白いポイントです。

まずは無印ラスボスであるクログレイさんに注目すると、彼は少しくすんだ上品な印象の黄金(というかベージュ)で着彩されています。背後にはクログレイに大胆な裏取引を持ちかけようとしたグレグソン刑事が佇み、下には彼の父親が命を落としたオムニバスが走っています。

続いて中央上部に陣取るヴォルテックス判事に注目すると、紳士的にほんのりと発光しているクログレイさんとは異なり、周囲を圧する鮮やかなザ・ラスボスオーラをぎらつかせています。よくよく見ると右腕からは炎に焼かれているかのような赤いエフェクトが発生。衝撃の大・極秘裁判の行く末をほのめかしているのでしょうか。

ヴォルテックス判事と言えば、無印と2のパッケージ絵では「Yのポーズ」でおなじみのキャラクターでした。しかし今回は画面上端ではなく中央近くに配置されているせいもあってか、高々と掲げていた両手を90度近く下ろしています。「ヴォルテックスと言えばYのポーズ!(野心と自負と支配欲がバッチリ表現されてる!テンション高くてイイね!)」と勝手に思っていたのでちょっと残念ですが、今回のメイン絵の静かな威厳が感じられるポーズもディ・モールト良いですね。

ヴォルテックスの広げた右手の先には、バンジークス卿、クリムト、グレグソン刑事。左手の先には、亜双義、玄真、慈獄判事。生者も死者もひっくるめて「ヴォルテックス被害者の会」が形成されていることが分かります。

注目したいのはやはり、ヴォルテックスという黒幕的人物を基軸として、亜双義一真とバンジークス、亜双義玄真とクリムト・バンジークスの両者が対比的に配置されていることでしょうか。

亜双義とバンジークスは10年前のプロフェッサー事件でそれぞれ父と兄を亡くし、何の因果か対立することになった2人です。どちらも黒幕・ヴォルテックスに翻弄され、真の敵ではない人物を罪に問うべく検事として法廷に立った経験があります。そして、亜双義とバンジークスにねじれたカルマをもたらした玄真とクリムトは、どちらもその手を血で汚し、ヴォルテックスの策動に絡めとられて10年前に命を落としました。

そんな“業”を見事解決し亜双義とバンジークスを救ったのが、10年前にはいなかったワイルドカードこと弁護士の成歩堂龍ノ介だった……というのが『大逆転裁判2』のストーリーのニクイところだと思います。それぞれ剣を構える亜双義&バンジークスの間にまっすぐ指を突きつける龍ノ介を配置することで、そのあたりの展開をバッチリ暗示している感じがグレートです。

あと、亜双義&バンジークスと玄真&クリムトに加えて、慈獄判事&グレグソン刑事も対比の意図で配置されているのだろうと思います。玄真の親友だったジゴクと、クリムトと親しかったグレグソン。2人ともプロフェッサー事件の遺族である亜双義とバンジークスに対して何らかの後ろ暗い思いがあり、ヴォルテックスに良いように操られ続けた結果、殺し殺される末路をたどりました。

続いての気になるポイントは、先ほども述べた通り、ヴォルテックスのオーラが若干5名に及んでいるように見えることです。

一番わかりやすいのは、背中や後頭部にザ・ラスボスオーラを受けている亜双義でしょう。『大逆転裁判2』にて大いなる復活を遂げた亜双義は、ヴォルテックス卿の許可を得て検事として龍ノ介の前に立ちはだかります。彼の背後を染めるラスボスオーラは、龍ノ介の前に立ちはだかる最後のライバル検事であり、ヴォルテックスに操られた人間でもあるという亜双義の二面性を表しているのかもしれません。

亜双義から上に目線を移して画面左上、楽しげなホームズとアイリスもなぜか黄金のラスボスオーラを受けています。これに関しては、2通りの解釈が可能かなーと思います。

まず単純に、「この天才親子はラスボス級に強いよね~」という解釈。強引に逃げ切ろうとしたヴォルテックスに最後のトドメを刺したのは、誰の眼にも明らかな通り、ホームズ&アイリスの最強親子タッグ(with高貴なお方)です。ヴォルテックスを呑むくらい強いのだから、ラスボス特有のオーラをまとっていてもノープロブレム……という考え方ですね。

この解釈の延長として、ホームズ&アイリスの19世紀末からだいぶん(未来に)ズレた天才さが黄金色で表現されているのかもなーとも思います。というのも、『大逆転裁判2』のメインビジュアルにおける黄金色は、「輝かしき栄光と同時に現世と切り離された時間軸を、どこか浮世離れした黄金に輝く空気感で」表現したものらしいんですよね(電撃攻略本編集部 2017, pp.4-7)。

もちろん、2のメイン絵における「現世と切り離された時間軸」とは過去(10年前)についての表現です。ただ、上のコメントの特に後半部分は、ホームズとアイリスのまとう黄金オーラの雰囲気を一定説明してくれるんじゃないかなーと思います。

次に考えられるのは、「ヴォルテックス被害者の会の一員であるアイリスをホームズが守っている」という解釈です。アイリスは10年前のプロフェッサー事件によって両親を失い、生後間もなく死の危機に瀕した過去を持つ少女です。だから黄金のオーラ、つまりヴォルテックスの影響をそのままではモロに受けそうになっている。

しかしイラストでは、ヴォルテックスとアイリスの間にホームズが立ちはだかっています。赤子だったアイリスを預かり、10年もの間彼女を大切に守り育てたホームズ。イラストで銃を片手にヴォルテックスに相対する彼は、まるでその背中に小さなアイリスを隠して守っているかのようです。実際アイリスの顔には、ホームズに庇われていることを示すかのように影がかかっています。

加えて注目したいのは、ヴォルテックスとホームズの間にひっそりと配置されている「桜の花」と「松の木」です。

「花は桜木 人は武士」とも言うように、桜は古来より日本人の精神性を象徴するものとして愛されてきた樹木。大逆転裁判シリーズにおいても、桜は日本(とりわけ亜双義やスサトちゃん)と関連付けて描かれています。一方、松もまた古くから日本人に親しまれてきた樹木です。『大逆転裁判2』においては、松は海辺にある亜双義の墓の傍らに描かれたり、あるいは亜双義親子を写した古い写真に映り込んでいたりします。

何が言いたいのかと言うと、ホームズとヴォルテックスをひそかに隔てる桜と松は、アイリスの命を救った日本人協力者を象徴しているのではないでしょうか。

絶望的な状況下で生を受けたアイリスは、亜双義玄真とミコトバ教授の助力を得てようやくその命を繋ぎました。つまりメインビジュアルにおける桜と松は、日本人の協力者によってアイリスの存在が巧妙に覆い隠されたこと、かつ彼らがプロフェッサー事件(ヴォルテックス)からアイリスを救い出しホームズに託したことを暗示しているのだと思います(「桜と松」の象徴性に関しては、後述する「番外編②:3種の「植物」について考える」の中でより詳しく考えました。)。

以上の話をまとめると、「プロフェッサー事件がもたらした悲劇の最中に生まれ落ち、玄真やミコトバによって救われ、ホームズの庇護の下で成長したアイリス。そんな彼女の哀しくも希望ある生い立ちが、協力者である日本人らを象徴する桜と松、および余裕綽々な表情でヴォルテックスと対峙するホームズの立ち姿に表れている」……みたいな感じでしょうか。プロフェッサー事件とアイリスの設定、陰惨で血なまぐさい暗闇に差すただ一筋の光明って感じがして大好きです。

あと、よくよく見ると画面左下のミコトバ教授とホソナガ刑事も黄金色のオーラを背に受けています。これに関してはちょっと考えましたが、ホームズ&アイリス解釈①から派生して、ヴォルテックス(とその駒)にダメージを与えたキャラだからかなーと思いました。

特にミコトバ教授は、10年前の事件について「彼のみが知る真相」というヤツを数多く抱えていたキャラでした。万一ヴォルテックスに口封じされれば詰みだっただろうレベルの重要人物であり、ホームズの頼れる相棒でもあるので、まあ黄金オーラをほんのり受けていてもおかしくはないかな、と。ホソナガ刑事に関しては、終盤の活躍を勘案してもちょっと苦しい説明ですが(まったく関係ないですが、メガネを光らせたホソナガ刑事めっちゃ強そうですね。全然体弱くなさそう)。

「救いを得る」桃色(スサト/ハオリ/ジーナ/漱石他)

大逆転裁判1&2 メインビジュアル考察 ピンク 新世界に咲く花 Photo by Saffu on Unsplash

Photo by Saffu on Unsplash

最後に、ほのかに桃色のシェイドがかかったキャラクターに注目します。具体的にはスサトちゃん、ハオリちゃん、ジーナ・レストレードです。3人の共通点と言えば、19世紀末という時代に女性の身で先駆者的な活躍をしていることでしょうか。スサトちゃんは法務助士として、ハオリちゃんは理系の学生として、ジーナはスコットランドヤードの刑事として。

上の共通点から、桃色=「新世界に咲く花」グループでいいんじゃないかと最初は思いました。ただその場合に問題なのは、桃色シェイドに着目すると、上の3人に夏目漱石さんもプラスされることなんですよね。まあ漱石さんも明治時代に留学生として英国に渡って学ばれたスゴイ方ではあるんですが……うーん。

そこで次に思いついたのは、「桃色シェイド=主人公に救われるヒロインポジのキャラ」という解釈です。まず、ハオリちゃんとジーナと漱石さんは3人とも被疑者として逮捕され、絶体絶命の窮地に立たされたことのある人物です。かつ、ジーナと漱石さんは主人公の龍ノ介に救われ、ハオリちゃんは代打主人公である龍太郎(スサトちゃん)に救われています。

ハオリちゃんとジーナは各話のゲストヒロインっぽかったので上のように表現しました。漱石さんについては「ヒロイン???」って感じですが、彼は逮捕裁判無罪からの即日逮捕裁判またも無罪……というピーチ姫みたいな目まぐるしい挙動を見せた不幸の人なので、まあ囚われのヒロインポジと表現してもいいんじゃないかな(どうでも)と思って無理くりカウントしました。

こう書くと「スサトちゃんは本編で被告人になったことなくない?」とツッコまれそうですが、彼女はそもそも唯一無二のヒロインであり、龍ノ介が「隣にいてほしい」と強く願った人物です。かつ、その龍ノ介の一途な願いが最終的にはスサトちゃんの「救い」になったんじゃないかと思います。それが2人の関係の何より幸福なところであって、ゆえに「スサトちゃん=主人公に救われるヒロイン」だと私個人は認識しています。

ちなみに、イラストのスサトちゃんはどこか緊張したような、しかし龍ノ介と同じく意志を秘めた面持ちで遠くを見やっています。これたぶん、(無印や2のパッケージ絵と同じく)目線の向きからして龍ノ介が指差す先(=真実と未来)を見据えているんだろうなーと思いました。はあ~さすがはスサトちゃんや~と悶えました。

ちょっと脱線しますが、無印&2を通じて感じたのは、「龍ノ介はたくさんの人を救ったけど、何よりもまず揺るぎない信頼と献身を以てスサトちゃんのココロを救ったよね」ということでした。

長い付き合いで一緒に渡英するほど慕ってもいた亜双義がああいうことになった時点で、スサトちゃんのココロと未来は暗黒に閉ざされてもおかしくなかったじゃないですか。でも、龍ノ介は亜双義の遺志を必死になって受け継いでくれた。のみならず、法務助士であるスサトちゃんの力を認めて頼り、彼女を唯一のパートナーと見なして敬愛し続けてくれた。それってスサトちゃんにとって本当に嬉しいことであり、得難い「救い」でもあったんじゃないかと思うんですよね。

たぶん龍ノ介はスサトちゃんが欲するものをジャストで捧げてくれる人だったんだろうなーと思います(逆もまた然り)。ある意味では運命的な結びつきというか、亜双義の法務助士だった彼女が最終的に龍ノ介と共に歩いていく未来を選んだのも、まあそりゃそうなるよな~と納得する他なかったです。

あと、隣にいるハオリちゃんはスサトちゃんをじっと見つめています。よく見ると頬がほんのりと染まっていて、相変わらずのスサトちゃん本気勢です。というかハオリちゃん、大逆転裁判2のパッケージと同じく出番の量に比べてめっちゃ大きく描かれてますね。まあ気持ちはわかります、超美人さんだし絵的に映えるしスサトちゃんと並べたくなるし。ツマミちゃんにならなくて本当に本当に良かった。

……と、ここまで桃色シェイドについてあれこれと考えてきましたが、よくよく眺めると、亜双義とバンジークス卿の髪にもピンクのハイライトが入っていることに気づきました。これに関しては、「主人公・龍ノ介に救われるキャラクターだから」と解釈すればパスできそうです。

というわけで最終的には、「桃色シェイドは主人公によって救いを得るキャラクターのしるしである」という結論に落ち着くのかなーと思います。

そして最後に、中央にたたずむ主人公の「成歩堂龍ノ介」について。龍ノ介は、最も彼本来の色を保っているように見えるキャラクターです。シェイドの影響が限定的に見えるのは、「何者にも惑わされることなく真実を追究する」という『大逆転裁判2』で彼が至った境地の表現なのかもしれません。

もっと詳しく眺めると、龍ノ介は頭部に背後から放たれる黄金のオーラを受けています。しかしそれにガッツリ染まることはなく、むしろ全身から青緑っぽい光を放っているようにも見えます。黄金色は「ラスボス」、青緑色は「冒険」だと上の方で解釈しました。また配置に関して言えば、やはりラスボスのヴォルテックスと背中合わせに対峙している点が非常に象徴的です。

以上より、1&2のメインビジュアルにおける龍ノ介の立ち姿は、「英国での冒険の果てにラスボス・ヴォルテックス判事と対決して打ち勝ち、進むべき未来を見出し、冒険の日々に別れを告げる」……という彼個人のストーリーを雄弁に語っているようにも感じました。

無印、2でも龍ノ介はシリアスな面持ちですが、1&2のメインビジュアルではいっそう精悍な顔つきになったようにも見えます。感慨深いです。

番外編①:キャラクターの「向き」に注目する

大逆転裁判 1&2 メインビジュアル考察 キャラクターの向き Photo by Hello Im Nik on Unsplash

Photo by Hello I'm Nik on Unsplash

ちなみに、ヴォルテックス周辺のキャラクターについてはその向き(体の向きや顔の向き)もけっこう示唆的だと思います。一番目立つのは渦の中心にいるヴォルテックス当人であり、彼は正面に対して唯一完全に背を向けているキャラクターです。その立ち姿はまるで、龍ノ介の指差す先にあるもの(明らかになる真実とその先にある未来)をはっきりと拒絶するかのようです。

個人的に大事だと思うのは、巨悪であるヴォルテックスもまた輝かしい未来に目を向けているということです。彼が見つめるものは、自身が采配を振るって創り出す「栄光と秩序の英国」という未来なのだろうと思います。彼の統べるプロフェッサーシステムが司法の網の目を補って英国社会の浄化に貢献してきたことを思えば、ヴォルテックスの望む未来を一概には否定できないことも確かです。

とはいえ、ヴォルテックスの「優れた私がすべてを良い方へ導いてやろう」的な思想によって多くの人が犠牲になってきたのもまた事実。前も書きましたが、ヴォルテックス式治安維持って、理解や共感はできてもけして賛同してはいけない類いのものだと思います。端から他者や社会を侮って微塵も信頼していないがゆえの独善的な考え方だし、肝心のヴォルテックスがいなくなったらその後どうするのって感じで不安定だし。

もちろん、プロフェッサーシステムの崩壊と真相暴露によって今後英国の治安は悪くなっていくんだろうなーとは思います。そもそも時代背景を考えるなら、20世紀に入ったヨーロッパの世情はどんどんと悪化し、大英帝国の栄光もまた見る影もなく失われてゆくはずです。ラスボスのヴォルテックスが失脚するタイミングで英国は黄昏の時代に入っていく*……と書くと、いくぶん皮肉な感もあります。

ただ、そのこととヴォルテックスの行為を許容するか否かはまた別の話だと思います。個人的にはやはり、「アカンもんはアカン」と法を破る行為を否定し、社会と他者を信頼し、困難であってもよりよい未来を目指して漸進的に努力しようとする龍ノ介たちを支持したいところです。なんだか脱線しましたが、「メインビジュアルでヴォルテックスと龍ノ介が背中合わせに対峙してるのめっちゃイイね」と思いました。

*ちなみに、英国の栄光と共に長く歩まれた女王陛下は1901年1月下旬に崩御されています。大逆転裁判2は1900年(まさに世紀末)に展開される話なので、ちょうど2-5の直後に英国の黄金時代を象徴する治世が終わり、激動の20世紀が幕を開けることになります。

また、ヴォルテックスと並ぶ日本側のラスボスであるジゴク判事は真横を向いているキャラクターです。彼に関しては上でも書いた通り、「親友を裏切った過去に囚われている」、「ヴォルテックスに弱みを握られている」、「真実が明らかになれば失脚するから目を背けている」、「未来を託せる後進がいない」……といった解釈ができるのかなーと思います。

あと、ジゴク判事のちょうど反対側にいるグレグソン刑事もやはり横を向いて佇んでいます。葛藤を抱えつつも英国のためにヴォルテックスに従い続ける、そんな彼の複雑な立場がたたずまいによって表現されているのかもしれません。グレグソンに関しては、ジゴクとは違って微笑みながら手前にいる後進たち(たぶん特にジーナ)を眺めているのが救いと言えば救いなのでしょうか。

そして、亜双義とバンジークスがともに正面に対して半身になっているのも、体の向きでキャラの役割を示唆しているのかもなーと感じるポイントです。最大の味方だったが復活後はライバル検事となって立ちはだかる亜双義、ライバル検事かつ黒い噂があったが最後は守るべき被告人となって和解し合うバンジークス……みたいな感じで。2のメインビジュアルや原画集と同じく、複雑な関係の2人が対っぽく描かれているのは本編再現っぽくてイイですね。

最後に、ヴォルテックスと深い関わりを持つキャラではないですが、向きに関して注目したいのはジーナ・レストレードです。

無印と2と1&2のメインビジュアルを3つ並べるとよく分かりますが、ジーナの向きはかなり大きく変化しています。イーストエンドの住人であり色々とやらかした無印のメイン絵では右の方を向いてひとり佇んでいる、刑事見習いとなった2ではトビーをお供に真正面を向いて走っている、そして1&2でも、刑事としてトビーと一緒に左の方へとひた走っている……という風に。

右、正面、左と3つのメイン絵でこれだけ細かく向きが変化しているのはジーナくらいだと思います。2-5の後にボスの遺志を継いで刑事として奔走することになるだろう彼女を思ってちょっとほろりときました。2のパッケ絵のジーナ、切実な表情が見ていて泣けるんですよね。2では背を向けていたグレグソンが1&2では正面を向いて微笑んでくれているのを見つけて、ジーナよかったね……と真っ先に思いました。

番外編②:3種の「植物」について考える

松 緑 Photo by Sebastian Herrmann on Unsplash

Photo by Sebastian Herrmann on Unsplash

最後に、メインビジュアルに描き込まれた植物(木や草花)をさらっと見ていきます。具体的には、画面左上に位置する「桜と松」、画面右下に位置する「紫色の花」、および画面左下に舞い散る「桜の花びら」について考えます。

まず、画面左上の「桜と松」に関しては先ほど取り上げた通りです。どちらも古くから日本人に親しまれてきた樹木であり、メインビジュアルではアイリスを背中に隠すホームズとヴォルテックスをさりげなく隔てています。そこから、桜と松はプロフェッサー事件からアイリスを救ってホームズに託した日本人協力者たちを暗示しているのではないか……と考えました。

「桜と松=日本人の協力者=ミコトバ教授と玄真」という変換については、それっぽい根拠を見出すことも可能です。まず、ミコトバ教授を象徴する植物は(娘のスサトちゃんと同じく)「桜」です。そもそも御琴羽家の家紋は桜の花をモチーフにしたものであり、ミコトバ教授は和装時も洋装時も「御琴羽家紋」を身に付けています。よって、「ミコトバ教授=桜」に繋がるイメージは作中で一応示されていると言えます。

次に「亜双義玄真=松」については、ミコトバ教授ほどはっきりとしたイメージの連関があるわけではありません。亜双義家の家紋のモチーフは剣と蛇の目*であり、植物とは特に関係もありません。

ただ、在りし日の玄真を写した貴重な写真を見ると、亜双義親子の両脇に松の木が映り込んでいることがわかります(背後の建物は亜双義家の邸宅でしょうか)。また、2-1では玄真の息子である亜双義一真の墓が描かれますが、墓石の傍らにはやはり立派な一本松が立っています。これらの描写を踏まえると、亜双義玄真(というより亜双義親子)と松を結びつけることはそれほど無理筋ではないように思います。

*亜双義家紋のモチーフの1つである「蛇」は、脱皮を繰り返す様や生命力の強さから「死と再生」や「不老不死」の象徴と見なされてきた生物です。2で検事として復活する亜双義のコスチュームが「白蛇」をモチーフにしていることは、蛇にまつわる縁起の良いイメージとけして無関係ではないのでしょう。

他方、「松」も「不老長寿」や「生命力の強さ」といった縁起の良いイメージを持つ樹木です。蛇とのイメージの重なりから、松もまた亜双義家を象徴する隠れたモチーフなんじゃないかなーと個人的には思います。2や特典DLCの描写を見るに、亜双義の実家は海辺(=松の木が生育しやすい場所)にあったんじゃないかとも感じるので。

次に、画面右下の「紫色の花」について。植物には詳しくないのでこれなんだろうと思ってググった結果、色と形状と5枚の花弁から、たぶん桔梗(キキョウ)じゃないかなーという結論に達しました。

どうもキキョウらしいと分かったとき、最初に思ったのは「アヤメじゃないんだ」でした。同じ紫色なら、スサトちゃんともアイリスとも関係のあるアヤメ(アイリス)の花が描かれそうなのになーと思ったからです。キキョウは昔から日本人に親しまれてきた草花だし、武家の家紋に用いられることもあったらしいので、そのつながりで大和撫子なスサトちゃん&ハオリちゃんの傍に配置されているのかなと考えたりもしました。

ただ、英語で"balloon flower"と呼ばれるキキョウには「友の帰りを願う」という花言葉があるそうです(英語圏にそういった逸話があるのかなと調べてみたものの明確なソースを発見できなかったので、真偽は不明と付しておきます)。「友の帰りを願う」はまさに大逆転裁判シリーズのテーマの1つ(友の帰還を願って叶った龍ノ介やスサトちゃん、あとホームズも)だと思うので、メインビジュアルにひっそりとキキョウの花が描き込まれているのは胸熱だなーと感じました。

大逆転裁判シリーズのイラストにおける亜双義一真と「舞い散る桜」

大逆転裁判 1&2 メインビジュアル考察 桜の花 Photo by Aaron Burden on Unsplash

Photo by Aaron Burden on Unsplash

最後に、画面左下の「桜の花びら」について。最初にざっくり書くと、「大逆転裁判シリーズにおいて、『舞い散る桜』は基本的に亜双義一真とセットで描かれる」という点に着目して色々と考えてみました。

つい先ほど、「ミコトバ親子のまとう御琴羽家紋は桜モチーフである」と書きました。ただ、大逆転裁判シリーズにおいてもっとも強く桜と結びつく人物、より正確に書くなら「舞い散る桜」のイメージと紐づけられて描かれる人物は、第一に亜双義一真ではないかと私は思います。

というのも、大逆転裁判の画集をパラパラと眺めれば、「亜双義一真の行くところ、いつも舞い散る桜あり」という事実に自然と目が行くからです。無印のメインビジュアルでも公式原画集でも、「亜双義 一真の志」でも「大和の風」でも「暁」(1.5周年記念)でも、1&2の限定パッケージ絵でも、亜双義が蘇る2のメインビジュアルでも、ツバメノートとのコラボイラストでもしんゆうTシャツでも、そして発表されたばかりの1&2のメインビジュアルでも、亜双義のいる絵にはことごとく桜の花びらが描き込まれています。

亜双義がいるビジュアルについては上記の通りですが、「亜双義のいないビジュアル」を確認することによっても、「亜双義と舞い散る桜」ルールの厳密さを推し量ることは可能です。というのも、イラストに亜双義がいない場合、舞い散る桜はほぼ描かれないからです。誇張ではなくマジの話です(例:龍ノ介スサトホームズアイリス、あるい龍ノ介スサトホームズバンジークスの集合イラストなど)。

「亜双義と舞い散る桜」ルールの厳密さ(というよりいっそ露骨さ)を強く実感できる1枚は、「覺悟の兆し」(大逆転裁判2のティザービジュアル)だろうと思います。このビジュアルの特徴は、亜双義がいないのに桜の花びらが散っていること。しかしイラストの脇には「舞い散る桜は亜双義の気配の暗示」(要約)との塗さんのコメントがあり、その徹底ぶりに感嘆するほかありませんでした。

また、「はげしくたまる!ゆるま貯金箱」のデザイン画にさえ桜の花びらが舞っているのはもはや感動すら覚えるポイントです。ちなみに貯金箱の外箱についても、正面や側面のイラストには亜双義とともに桜が描き込まれています(公式原画集を確認する限り、ゆるのすけ貯金箱の外箱には桜は描かれていないようです)。

もっとも、「亜双義と舞い散る桜」がセットで描かれていないビジュアルも2枚ほど存在します。

1枚目は、2の公式原画集の描きおろし表紙です。これはおそらく2の表紙のキャラ人数が多いためか、あるいは亜双義が「仮面の従者」状態で描かれているためではないかと思います。ネタバレになるし、亜双義の傍らの桜ってたぶん「時代の風」に吹かれて舞っているんだろうと思うので、記憶を失った亜双義には桜を舞い散らせることはできないんじゃないかな~と(改めて時代の風って何なのか)。まあ画集内の仮面オフバージョンのビジュアルにおいても桜の花は描かれていないので、たぶん前者が理由なんだろうと思います。

また、2枚目の例外的なビジュアルは、スサトちゃんとハオリちゃんを描いた「村雨ノ刻」という絵です(2の公式原画集収録、おそらく描き下ろし)。しとしとと降る雨の中、互いを気遣いながら連れ立って歩く仲睦まじい2人のイラストですが、枝垂れ桜や提灯を背景に桜の花びらがはらはらと散っているんですよね。亜双義と関係のない絵なのに桜が散っている点で「亜双義と舞い散る桜」ルールを打ち破る1枚だと言えます。

とはいえ上でも書いた通り、亜双義の傍で散る桜は、時代の風によってどこからかふわふわとやってきて亜双義の周囲を舞うんだろうと思います。無印のメイン絵や「暁」では桜が地上からぶわっと吹き上げられていますが、それはたぶん、亜双義の吹かせる時代の風の謎パワー(あるいは飛ぶ斬撃の衝撃波かもしれない)のせいでそういうことになっているわけです。

翻って「村雨ノ刻」を見返すと、スサトちゃんとハオリちゃんの周囲の桜の花びらは、単純に雨に打たれたがために散っているのだろうと思われます。別に謎の風or衝撃波に吹かれているわけではなく、いわば常識的な挙動を見せている自然の桜(?)であるわけです。だから「村雨ノ刻」における桜の花びらは、「亜双義と舞い散る桜」ルールには微妙にかすらない桜なのかなーという印象です。

以上より、「亜双義は舞い散る桜と紐付けられているキャラクターである」と断言してもよさそうです。そして、「なぜ亜双義の象徴として舞い散る桜が描かれるのか」という点については、桜の持つ多面的なイメージと亜双義の複雑なキャラクター性がバッチリ噛み合うからじゃないかなーと個人的には思います。

始まりの季節の春に咲く花であること、日本の国花であること、咲いてのちは一時も休まず散り行く儚い一面を持つこと、パッと咲いてパッと散る潔さが武士の理想とされたこと、完全に散ってしまっても翌年には再び花を咲かせる点で「死と再生」を象徴すること……など、桜は古来から日本人に親しまれてきただけあって、ネガティヴなものも含めて様々なイメージを内包する花です。

一方の亜双義も、龍ノ介を冒険に引き込むキーパーソンであり、武門の出身かつ武士道をたしなむキャラであり、熱い大和魂を持つ青年であり、復讐の為に生き急ぐ危うい一面を持っていたり、道半ばで儚く散ってしまったり、かと思えば執念の力で復活を遂げたり……とかなり多面的なイメージを持っています。

あくまで個人の意見ですが、亜双義はけして良いばかりではない一面を持っている点や、相反する「死と生」のイメージをひとりで体現している点が魅力的なキャラだと思っています。だからこそ、「亜双義と舞い散る桜」はイメージ的な繋がりも濃厚で、大いに納得の行く組合せだなーと感じました。

『大逆転裁判2』で亜双義のことが決定的に好きになりましたが、それ以前から「亜双義と舞い散る桜」の構図はめっちゃ好きだったんですよね。時代の熱い風に吹かれる亜双義と、その周囲を舞う日本人(特に武士)の美徳を象徴する桜の花びら……たとえるならサイモンとガーファンクルのデュエットのようにグレートなコンビネーションだと思います。

今回の1&2のメインビジュアルでも亜双義は周囲に桜の花びらを舞い散らせているし、塗さんのこういったディティールへのこだわりはマジで神だなーと思うばかりです。亜双義に関しては今まで「暁」が一番好きな絵でしたが、今回のメインビジュアルはその「暁」に勝るとも劣らない素敵な1枚だと思います。塗さんありがとうございます!と申し上げたい気持ちでいっぱいです。

*****

第一報を見てガッツリテンションが上がったので、つい「【オフィシャルショップ限定】成歩堂レジェンズコレクション ~龍ノ介の思ひで浪漫セット~(NS)」を予約してしまいました。旧作のSwitch版は持っていなかったのでいい機会かな~と。今から発売がすごく楽しみです。

あと、ついでにシルクスカーフ(アールグレイ)も購入しました。くまりす、うさろっく、にゃんじーくす、にゃめんの従者……Kawaii。毎度思いますが、アイリスのマスコットが最強のクマモチーフなのすごく好きです(自分で自分のことをよくわかっている感じがする)。メンツが好きすぎるアールグレイバージョンにしましたが、この4人の組合せって若干のネタバレっぽさがありますね(2の画集の裏表紙メンバーでもある)。少し待つことにはなりますが、こちらについても到着が待ち遠しいです。

※ついに『大逆転裁判1&2』が発売されたので、イーカプコン限定の特典グッズに関するレビュー記事をアップしました。シルクスカーフも含めて画像付きで詳しく見ています。

『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』の本編や特典DLCについて、いくつか感想&考察記事を書いています。

『大逆転裁判2 成歩堂龍ノ介の覺悟』 1年越しのレビュー(前作も振り返りつつ) その1
『大逆転裁判2』 第1話~第5話までのストーリー感想 その2 ※ネタバレ注意
『大逆転裁判2』が拓いた新境地 感想&考察&レビュー その3 ※ネタバレ注意
『大逆転裁判2』 特典DLC 「遊べる! 大逆転物語」 感想 ※ネタバレ注意

※記事の中で参考にさせていただいた書籍は以下の通りです。

電撃攻略本編集部(2015)『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險- 公式原画集』、株式会社KADOKAWA(無印の設定資料集。メインキャラの初期デザインがたくさん。起き抜けで髪を下ろしているアイリスのラフ絵が超絶カワイイからぜひ一度は見てほしい)
電撃ゲーム書籍編集部(2017)『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟- 公式原画集』、株式会社KADOKAWA(2の設定資料集。どのページも見どころたっぷり情報たっぷり、驚きと喜びに満ちた1冊。pp.30-31、pp.36-37、pp.43-44あたりを掘り下げてほしいと心底思った)

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かーめるん
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