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『やばたにえん酸』 キャラクターとエンディングに関する感想&考察 ※ネタバレ注意

2021/08/21
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ドット絵がキュートな脱出惨劇ADVシリーズの3作目、『やばたにえん酸』のキャラクター&エンディングについての感想&考察記事です。攻略情報が含まれます。開発・販売元はYotalien Games様。

やばたにえん キャラクター&エンディング感想 見出し画像

やばたにえん酸

前回の『やばたにえん酸』の記事では、全員救出を前提に攻略の流れをざーっと書きました。今回は8人のキャラクターと4つのエンディングについて詳しく感想を書きます。軽い考察も含みます。

やばたに酸をプレイしていて、「今作は1作目の『やばたにえん』をけっこう意識してるな~」と個人的には感じました。ギミックについてもストーリー(エンディング)内容についても。

ギミックについては、「ゾンビ化実験装置」や「ソーラーパネルで電力供給」といった要素がやばたに無印と重なる部分でした。もっともこれに関しては、無印に寄せているというよりも「答え合わせ」の意味合いが強いのかもしれません(つまり、モンゴメリ邸に実験装置を持ち込んだのはもちろん、ソーラーパネルを利用した仕掛けを館に施したのもアガツマだった、みたいな)。

そしてストーリーに関しては、『やばたにえん』から続く因縁が再び提示されるという胸熱なサプライズがありました。やっぱりあの子の怨念からそう簡単に逃げられるはずはなかったんだな、と。あるエンドでは滅と無印の特定ルートがさり気なく匂わされるなど、時系列考察が捗るとともに、まだ見ぬ次回作への期待が高まる内容だったと思います。

前置きが長くなりましたが、以下、キャラクターとエンディングの感想&考察を書いていきます。『やばたにえん酸』はもちろん、シリーズ作品(1作目と2作目)や公式ツイッターアカウントの投稿内容についてのネタバレも含まれます。未見の方はご注意ください。

≪関連記事:『やばたにえん酸』 攻略メモ(全員救出前提) ※ネタバレ注意

『やばたにえん酸』 8人のキャラクター雑感

この項目では、『やばたにえん酸』に登場した8人の女の子について個々に感想を書いていきます。ちなみに、無印・滅・酸のすべてに登場したキャラはタナカとカコ。やばたに無印ぶりに再登場したキャラはアガツマとヤガミ。そして、やばたに酸初登場のキャラはウツノミヤ、レディ、アクツ、カナモリの4人です。

やばたにえん酸 8人のキャラクター感想

やばたにえん酸

今回捕まっていた8人のうち、「核心的人物(=物語の中心にいる)」と言えるキャラは「我妻 典子(アガツマ ノリコ)」です。そもそも今回のステージは、そこかしこに光るエンブレムやアガツマの回想を見るに、製薬会社アガツマファーマの創業者が住まう館であった可能性が高いです。

つまり、『やばたにえん酸』のステージはアガツマノリコの実家かつ本拠地ということになります。前回の攻略記事では呼びやすさゆえにハイテクビルディングを「アガツマファーマ」と呼称しましたが、正確には「アガツマ邸」と呼ぶべきなのかもしれません(ただ、やばたに酸のチラ見せ画像によると建物=“AGATSUMA FARMACY”らしいので、どっちでもよさげな気もする)。

本題に戻って、アガツマノリコと言えば、『やばたにえん』に登場した人体再生に強い興味を持つ天才科学者です。身重のグレース・モンゴメリをゾンビ化させた前歴のある彼女は、今作においても施術の代償にタナカをヤバイ実験の被験者にするなどやりたい放題。ただ、やばたに酸では、非道なマッドサイエンティストであるアガツマを突き動かす「動機」が詳細に語られました(アガツマの生い立ちが明かされる「エンディング:喰扶持」の内容については、下の方で詳しく書きます)。

今回明かされたアガツマの背景に関して、個人的には「まあそういうことなら理解はできる」と思いました。もちろんアガツマの所業自体は非道極まりないし、当人も悪質な犯罪者だと思います。ただ、無印での行動と今作での行動が、喰扶持エンドで明かされた彼女の抱える事情によってきれいに裏打ちされた感があったんですよね。だから、キャラクターとしては理解できるしわりと好きだなーとも思いました。

アガツマノリコを突き動かす動機は、幼い頃に(おそらく彼女のせいで)生ける屍と化してしまった両親の存在です。父と母を救いたい、その過程で他人がどんな悲惨な目に遭おうともかまわないし、どれだけの犠牲を払うことになっても気にしない……それがアガツマのスタンスなんだろうなーと、特にタナカから容赦なく治療代を取り立てたくだり(※公式ツイアカより)を知って思いました。

アガツマとタナカは無印での犯罪計画に加わったメンバーなわけで、(特段仲が良かったとは思いませんが)一時はつるんでもいたはずです。また、やばたに無印でアガツマはタナカの片脚を犠牲にして助かったはずなので、その点においてはタナカに恩があると言えなくもありません。

しかしアガツマは、それまで面識のなかっただろう哀れなグレースにそうしたのと同じように、タナカにも廃人化実験を施しました。その一点だけで「マジで両親以外の人間はどうでもいいんだな」と心で理解できるというか、「非道な悪人として筋が通っていてグッド!」と思いました(滅でのジャック掘り下げと同じく、無印の犯罪計画がけしてウェーイ系犯罪者たちによってなされたものではないと補強された点も良かったです)。

アガツマちゃん、やることなすこと人の心とかなくて酷いのに、それらの行動の核に「両親を元に戻したい」という柔らかくて人間臭い感情が存在するのが良いバランスだと思います。失血時の死亡台詞(「お願い…許して…」)を聞くに、幼い頃から両親に対する罪悪感に苛まれていた感もあり、ツンと澄ました非情な態度との落差にたまらない気持ちになりました。ギャップイズ最高。

さて、アガツマ以外の7人の女の子たちは、基本的にアガツマorアガツマファーマに用事があってアガツマ邸を訪ねた(あるいはそれに同伴した)ようです(公式ツイッターアカウント発信のやばたにえん酸の相関図より)。 つまり半数くらいはアガツマの関係者ですが、その筆頭ともいえるキャラクターが「八神 恭子(ヤガミ キョウコ)」です。ヤガミもアガツマと同じくやばたに無印に登場したキャラクター。無印ではグレースの寝室を乗っ取ってすぴーすぴーと爆睡していました。

ヤガミは「新進気鋭のアイドル」です(実際ドット絵も声もすごく可愛い)。しかし得た人気の代償とでも言うべきか、学業とレッスンに忙殺されて重い不眠症をわずらっている女の子でもあります。

アガツマノリコはそんなヤガミに違法な不眠治療薬を提供しました。ヤガミはその薬を手放すことができず、現在に至るまでアガツマとの交流を続けているようです。ちょっと前にアガツマと一緒にモンゴメリ邸に乗り込んだ結果やばたにえんなことになったのに、やばたに酸でもまたアガツマの実家を訪ねている(そしてまんまと捕まっている)ところを見るに、その薬の効力はよほどのものなんだろうと思わずにはいられません。

ちなみに、やばたに無印でヤガミはぐっすりと眠っていましたが、あの安眠もたぶんアガツマの不眠治療薬あってこそのものなのでしょう。もっとも、薬で眠っていても電話の音には即座に反応して飛び起きてしまうようです。仕事命な人気アイドルの業なのかもしれません。

そして、ヤガミの関係者としてやばたに酸に初登場したキャラクターが「宇都宮 桂子(ウツノミヤ ケイコ)」です。彼女はヤガミの先輩アイドルらしく、アガツマ邸には「(ヤガミが)心配で付いてきた」とのこと(※公式発信の相関図より)。

ヤガミが危ない薬に手を出していることを知っているのか、単に変な場所に出入りして怪しい友人と付き合っていることを案じたのか。それはさておき、公式ツイッターには「大丈夫!緊張しないで」と励ましながらヤガミの手を引く画像もあり、ウツノミヤさんが面倒見のよさそうな先輩であることは確かです。後輩を案じて来ただけなのに悲惨な目にあったのだとすれば、(無傷救出時に)「いい加減にして」と怒りに震える声でつぶやくのも納得。

ただし、ウツノミヤさんはどうやら後輩のヤガミに嫉妬心を抱いてもいるようです。その理由はおそらく、後輩であるヤガミの人気が高まった一方、先輩である自分の人気は落ちてしまったから。『やばたにえん酸』には、そんなウツノミヤさんの秘めた負の感情が表出する衝撃のエンディングが存在します(「エンディング:化――起死回生のウツノミヤ」にて後述)。

ウツノミヤさんに関しては、アガツマに次ぐ『やばたにえん酸』を象徴するキャラクターなのかもしれないなーと思っています。なんといっても、「酸」のシャワーで顔が溶けるという象徴的なギミックを割り振られているキャラです。まさにウツノミヤ“酸”(すみません)。

「救出時の状態(無傷or負傷)がエンディング分岐に直接関係する」、「実質自分専用のエンディングをもらっている」といった点も、やばたに酸の重要キャラであるアガツマノリコと同じであり、なかなか破格の扱いです。初登場にしては(というより初登場だから?)好待遇ですが、だからと言って作中酷い目に遭わないわけではない(むしろより悲惨な目に遭うかもしれない)のがこのシリーズならではの良いバランスだと思います。

次に、アガツマの関係者その2である「グランドレディ」について。酸で初登場した彼女は、作中では「レディ」と呼称されています。ツボに押し込められて食人植物に食べられそうになっていた女の子です。

「レディ」や「グランドレディ」は彼女の身分に対する敬称であるとともに、タナカの怨敵である「オールドレディ」に軸を置いた呼び名なんだろうと思います。公式の相関図を見るにレディの本名はまだ明かされていないようです。

レディは「やばたにえん唯一の良心」と公式で言われているキャラクターです。実際作中でも唯一まともに「ありがとう」が言える子だったりします(ジャックの「へっへへへ…悪ぃな」もギリギリお礼?)。

公式相関図によれば、レディは奉仕活動をするためにアガツマの元に身を寄せたようです。なぜあえて死地に赴くのか……と思わなくもないですが、『滅やばたにえん』に登場したミシマの人物紹介を見ても、製薬会社アガツマファーマ自体の声望は高い様子。レディも世のため人のために働きたいと純粋に願い、アガツマにボランティアを申し出たのでしょう。

もっとも、アガツマは他人を疑うことを知らない善良なレディを体よく使っている様子(奉仕活動ということは基本的にタダ働きだろうし)。案の定と言うべきか、レディに例の実験を施したりもしています(不発に終わったのも驚きだし、3週間飲食はどうしたのかという疑問もある)。

また、レディはやばたにシリーズの3作すべてに登場している金髪没落貴族、ゲロイムタナカさんの関係者でもあります。シリーズ本編ではまだ描かれていませんが、タナカには生前激しい恨みを抱いていた相手がいます。「オールドレディ」という元準貴族の女性です。レディはこのオールドレディの遠い子孫(たぶん孫の孫くらい)に当たる女性です。

善良な子孫とは異なり、オールドレディはタナカ(とその兄)の地位と生命を不当な手段で奪っています。タナカは復活した今もオールドレディを憎み、その子孫であるレディ(「憎たらしい小娘」)にも敵意を向けているようです。レディに関する「生まれてくる家系を誤った」という説明は、タナカとのある意味理不尽な因縁を的確に表現しているのかもしれません。

あと、レディは公式発信の画像でたいていひどい目に遭っていますが、ちょこちょこ怨念だだ漏れのオミヨちゃんと絡んでいるんですよね。個人的にオミヨちゃんには復讐を完遂してほしい気持ちがあるので、続編でレディが(うっかり)オミヨちゃんをアシストしちゃう展開があったりしないかなーとひそかに思っています。

続いて、レディの関係者である「飽津 ルミ(アクツ ルミ)」について。彼女はレディの友人です。ただし本当は「おともだちのふりをしている」だけのようで、アガツマ邸まで一緒にやってきたのも「(レディの)失態を激写したい」から。公式アカのツイートをさかのぼると、「今にも落ちそうなレディを助けようとせず後ろからニヤニヤと眺めているアクツ」の画像を見つけることもできます。

アクツに関しては特に濃いバックグラウンドもなさそうで、やばたに酸のみのゲストキャラクターなのかなーという印象です。ただ、作中ではギミック上けっこう印象的なキャラクターでした。麻酔なしで歯の詰め物を引っこ抜かれたり、頭に鋏がブッ刺さることがあったり、全員生存を前提にすると終盤に至るまで放置されたり。

というかたぶんアクツって、プレイヤーが来るよりも前にすでに金の詰め物を引き抜かれていますよね。金の詰め物に血が付着しているし、たとえアマルガムを抜かずにアクツを解放しても拘束椅子の座面には変わらずおもらしの跡がついているので。時間を置いて2回も麻酔ナシで抜歯されるとか想像しただけで恐怖でしかないなーと思います。

アガツマの関係者をたどる作業に戻り、続いては「田中 エルナ」について。先ほども触れた通り、タナカは無印、滅、酸と皆勤賞のキャラクターです。今回はようやく片脚拘束縛りから解放されたものの、なんと例の実験の餌食となってしまいます。

そもそもなぜタナカがアガツマファーマにいたのかと言えば、片脚を欠損した後にカコによってアガツマのもとに運び込まれたから。カコが大怪我を負ったタナカを搬送し、アガツマに引き渡し、アガツマがタナカの片脚を復元し、施術費を無理やり取り立てる……という一連の経緯が公式ツイアカで断片的に公開されています。

タナカの片脚欠損と言えば、『やばたにえん』(※アガツマ生存ルート)での出来事。一方酸のタナカは両脚とも揃っているので、時系列は『滅やばたにえん』→「モンゴメリ家の略奪」→『やばたにえん』(タナカが片脚を欠損)→アガツマがタナカの片脚を復元→『やばたにえん酸』(廃人化)……という感じなのでしょうか。

今作のタナカは派手に嘔吐したりヒトに戻った第一声が「ゲロリ!」だったりするなど、なかなかのゲロイム加減(?)を見せてくれました。ただ、もはやヒトではなくなった際に迷わず自死を決断するなど、元貴族としての誇り高い一面を垣間見せてくれた気もします。

最初は救う手立てがわからず身投げさせてしまったのですが、外の鉄柵にグッサリ刺さって悶える姿がけっこうグロくて可哀想でした(逆裁1-3みたい)。落下に失敗して刺さっちゃったのかなと思ったものの、もしかすると自我を失ったときに行動できないように自ら鉄柵を狙って落ちたのかなーとも感じました。

あと、やばたに酸のタナカは、シリーズにおける「ゾンビ」の概念に新しい切り口をもたらしてくれた印象です。今まで「ゾンビ」と言えば無印のグレースでしたが、やばたに酸にはタナカ、アガツマ母、アガツマ父と計3人もの「ゾンビ」が登場します。興味深いことに、その3人は無印におけるグレースとはやや異なる行動をとっているのです。

私は今まで、「やばたにえんシリーズにおいて、ゾンビ化した人間は他の人間を襲って食べる」と解釈していました。しかしタナカやアガツマ父母を見ていると、「ゾンビ=人を襲って食べる」という理解は正確とは言えず、そもそも「ゾンビ化した」という言い方もちょっと違うのかもしれないなーと感じました。より正確には、たとえば「廃人化」とか「退化」なのかな、とか。ゾンビ云々についてはまた別の記事で考えたいところです。

次に、タナカとは腐れ縁の「加古 東海(カコ アズミ)」について。彼女もシリーズ作品皆勤賞のキャラクターですが、やばたに酸ではどうも不調をきたしているようで、最初から最後まで眠気に襲われ続けています。ぐーすか眠っているせいで拘束されていないのにトロッコに轢かれたり、「エンディング:夢マ」でも食べ物そっちのけで爆睡していたり。

カコについては、救出台詞が発生するタイミングがズレているのも気になるポイントです。たぶん救出時もトロッコに乗るときも完全には覚醒していなくて、実質ずっと眠り続けている状態(「めんどくせーなぁもう」は寝言で、だから発生タイミングがズレている。救出されたことをはっきりと認識していない)なんじゃないかなーと思います。普段と違って食べ物にまったく興味を示さないのもたぶんそのせい。

カコの動向というか状態は、『やばたにえん酸』で提示された大きな謎の一つでもあります。そもそも、カコ(とタナカ)は正確にはヒトとは言えない存在です。やばたにえん世界には、「依り代」という特製の人形に魂を宿らせヒトの血肉を与える技術が存在します。カコとタナカは数十年前にすでにこの世を去っており、現状はその魂(人格)のみが依り代に宿り、生前の姿形を再現している状態です。

やばたに酸には、そんなカコが再び依り代に戻ってしまうエンディングが存在します。となると、カコが酸本編でずっと眠っていたのは、依り代に魂を留めておくパワーが尽きかけていたせいなのかもしれません。

どうしてカコの依り代が限界を迎えかけていたのかハッキリとは分かりませんが、個人的には、「カコの依り代は再利用されたものだったから」なんじゃないかなーと思っています。詳しいことは【エンディング:夢マ――「依り代」の再利用?】の中で書きました。依り代に関しては仕組みが複雑なこともあってまだ考えがまとまっていないので、別の記事でまとめて書けたらいいなと思います。

最後に、お団子ヘアにチャイナ服の「カナモリ」について。カナモリちゃんは2体のそっくりな人形とともに地下で眠らされていた謎多き女の子です。「ふわあ」(ふ↑わあ)、「おうちにかえりたいの」(ゆっくりめ)といったキュートすぎるボイスを発してくれます。

カナモリに関してはいかんせん情報が不足している感があります。ただ、公式相関図でヤガミ、レディ、タナカと同じくアガツマの傍にいることや、「K-16」というコードネームで表記されていることを鑑みるに、アガツマに囚われた被験者なのかなーという印象です。どこかから非合法にさらわれてきて何らかの実験(それこそロケット発射?)に使われる寸前だったとか。立ち位置としては、やばたに無印のソン姉妹みたいなイメージがあります。

ところで、やばたに酸には無印と滅に登場した「ジャック・ブレア」が登場しませんでした(「もう持てないぜ」とは言ってくれるけど)。「エンディング:不浄の地」では無印の犯罪計画に加担したキャラが呼び集められ悲惨な目に遭っていましたが、「首謀者とも言えるジャックはどうなったんだろう」とめっちゃ気になりました。

ジャックについては、いつもつるんでいたタナカ&カコと今作では別行動をとっていたらしいのも謎と言えば謎です。モンゴメリ邸脱出後にいったん別れたのでしょうか。滅と無印でしぶとく生き残ったジャックがそう簡単に亡くなるとも思えないし(ただ、虚弱体質のせいで現状行動を制限されている可能性はある?)、オミヨちゃんとの因縁もまだ解決していないので、今後の再登場を期待しています。

4つのエンディングの攻略&感想

この項目では、『やばたにえん酸』の各エンドの攻略方法を確認しつつ、個別に感想を書いていきます。4つのエンド内容はもちろん、エンドリストの絵に関するネタバレも含まれます。

エンディング:化――起死回生のウツノミヤ

やばたにえん酸 化エンド ウツノミヤはヤガミに化けてステージに返り咲く

やばたにえん酸

エンドリスト左上に位置するのは、「エンディング:化」『やばたにえん酸』で初登場したヤガミの先輩アイドル、ウツノミヤさんに文字通りスポットを当てた結末です。

化エンドの達成条件は3つ。1つ目は「ヤガミの死亡」、2つ目は「ウツノミヤを酸状態で救出すること」、3つ目は「アガツマを無傷で救出すること」です。最後はトロッコで脱出します。

アガツマとウツノミヤはやばたに酸のエンド分岐のカギを握る2人です。単に救うか否かではなく、「2人をどんな状態で救うか」ということがエンド分岐に大いに関わってきます。化エンドはわりとオーソドックス(?)な「ウツノミヤ酸×アガツマ無傷」が条件です。つまり、酸のプールを開放してウツノミヤの顔を溶かしつつ、金鍵を鋳造して助けるパターンですね。この救出の方法に関しては、前回の記事の中で詳しく書きました。

≪関連記事:『やばたにえん酸』 攻略メモ(全員救出前提) ※ネタバレ注意

「ウツノミヤ酸×アガツマ無傷」に加えて、化エンドでは「ヤガミ落命」が条件の1つに指定されています。つまり、ヤガミの顔をレーザーカッターで一閃した後、儚鍵でヤガミを解放せずに昇降装置を起動させる必要があります。化エンドは、「剥がれ落ちたヤガミの顔」と「酸で顔を失くしたウツノミヤ」が揃ってこそ成り立つ結末だからです。

その化エンドの内容ですが、一言で言えば「ウツノミヤがヤガミに“化”けるエンド」でした。落ち目のアイドルだったウツノミヤが顔さえも焼けただれてお先真っ暗かと思いきや、死んでしまった後輩ヤガミの顔をそっくり移植して、彼女と同じヘアスタイルになってステージに返り咲きます。このショッキングな復活を実現するために、化エンドではアガツマノリコの無傷生還が条件に含まれているのでしょう(タナカの脚といい科学者アガツマの手術力が凄すぎる)。

化エンドで何よりも衝撃だったのは、いきなり軽快に流れ出した♪「おてもやん」でした。熊本の有名な民謡だそうです(ヤガミかウツノミヤが熊本出身だったり?)。めっちゃ好きなタイプの曲だったので、後でYoutubeで検索して確認後ヘビロテしてしまいました。つい一緒に歌いたくなるというか、どこか懐かしいしノリも良いし奥行きもあって面白い曲だと思います。

「おてもやん」は、最近疱瘡の跡のある男性に嫁いだばかりの娘さんの歌です。あんた最近嫁いだんじゃないの、と友達に言われて、まだ盃は上げてないの~まあそのへんは村の偉い人がうまいことやってくれるから~とどうでもよさげなおてもやん。花盛りの若い彼女にとっては、街に繰り出して若い男たちにちやほやされることの方がよほど楽しく重要で……といった感じで2番、3番に続いていきます。

「おてもやん」を化エンドに引き寄せて考えるなら、個人的には、ヤガミに成り切ったウツノミヤさん視点の歌なんだろうなーと感じました。今を時めく可愛い人気アイドルに「化けた」今、後輩に人気で負けて嫉妬心をつのらせ、挙句の果てに顔が酸で醜く溶けてしまった宇都宮桂子のことなんてもうどうでもいいのよ……みたいな。

恐ろしく割り切り上手であり、ある意味精神崩壊済みな感もあり、総評としてはものすごくタフな芸能人だなーと思いました。

完全なる妄想ですが、たぶん普段のウツノミヤさんは、ヤガミ本人や周囲に嫉妬心を漏らしたことがなかったんじゃないかなーと思うんですよね。もともと優しいお姉さんキャラみたいだし、公式相関図でもヤガミを心配しているし、自分の負の感情を秘めて戒めるタイプだったんじゃないかな、と。だからこそ、自分の顔が悲惨なことになってヤガミも亡くなったあの極限状況で、完全に吹っ切れてしまったんじゃないか……と勝手に想像しています。

壮絶な裏事情はともかく、ステージ上で歌い踊るウツノミヤさんはキラキラ輝いていたので、亡くなったヤガミのぶんまで民謡系アイドルとして今後も頑張ってほしいところです。

エンディング:夢マ――「依り代」の再利用?

やばたにえん酸 夢マエンド 眠り続けるカコは依り代に戻りタナカは一人歩き去る

やばたにえん酸

エンドリスト右上に位置するのは、「エンディング:夢マ」。無事に脱出したタナカとカコの2人に焦点を当てた結末です。ある意味一番謎に満ちているというか、タイトルの意味もよくわからないエンドです(ゆめま? むま? 夢真? 夢間?)。

夢マエンドの条件は3つ。1つ目は「全員救出」、2つ目は「アガツマを無傷で救出すること」、3つ目は「ウツノミヤを酸状態で救出すること」です。最後はトロッコで脱出します。

全員脱出前提かつ「アガツマ無傷×ウツノミヤ酸」ということで、言ってしまえば一番オーソドックスな(攻略しやすい)結末かもしれません。前回の攻略記事も、この夢マエンドへの到達を想定して書きました。

≪関連記事:『やばたにえん酸』 攻略メモ(全員救出前提) ※ネタバレ注意

夢マエンドには、脱出後のタナカとカコが登場します。トロッコから降りた後、目覚めないカコを背負って歩くタナカは海岸へたどり着きます。カコのために食料を確保したタナカですが、当のカコはまだ眠ったまま。一夜明けて再び映し出された海岸にはすでにタナカの姿はなく、どこかへ去る足跡のみが残っています。そしてカコはと言うと、手つかずの食料の横で、なぜか依り代(人形)に戻っているのでした。

最初にこの夢マエンドを見たときは、正直なところ「???」とクエスチョンマークが浮かびっぱなしでした。「なんでカコ起きないの?」からの「なんで依り代に戻ったの??」と、疑問に疑問が積み重なって解消されないまま終わったからです。エンドリストを確認してみても、そこにはエリン・モンゴメリがカコ人形を拾うワンシーンが描かれているだけ。特に疑問を解決する手がかりにはなりそうにありません。

ただ、公式ツイッターアカウントやpixiv投稿作品を色々とさかのぼってみた結果、謎多き夢マエンドに関してある程度の納得を得ることができました。キーワードはおそらく、「依り代の再利用」ではないかと思います。

先ほどのキャラクター感想の中で、カコとタナカが普通のヒトではないことはすでに述べました。過去に亡くなった人間の魂が特殊な人形(依り代)に宿りヒトの血肉を得た存在、それが今のカコとタナカです。

カコとタナカはともに数十年前に亡くなった少女であり、その依り代はエリン・モンゴメリからリチャード・ブレアを経由して瀕死のジャック・ブレアの手に渡り(※この流れはあくまで推測)、その後現在の姿形を得ています。つまり2人はほぼ同条件の存在ですが、やばたに酸の夢マエンドにて、カコだけが元の依り代状態に戻ってしまいました。そもそも酸本編からしてタナカと比べてカコは明らかに不調をきたしている様子でした。

ともに依り代によって復活したカコとタナカを分けたもの。それは、「依り代の再利用」という要素なのではないかと思います。公式ツイアカによる投稿の中に、エリンがリチャードに2つの依り代を預けた経緯を明らかにするものがあり、そこに「カコの依り代にはもともと傷があった」と読み取れる描写があります。つまり、ジャックのもとで使用されるよりも前に、カコの依り代はすでに1度使われたことがあったのではないか……という疑惑が出てくるわけです。

同じ投稿の中で、依り代の技術を生み出した当時のブレア家の当主は、「けして依り代の再利用はするな」とエリンに忠告しています。再利用がNGである詳しい理由は語られていません。ただ、夢マエンドの内容について、「カコが人間の姿を維持できずに依り代に戻ったのは、彼女の依り代が再利用されたものだったからだ」と考えることは、それほど突飛な発想ではないように思います。

こう考えていくと、エリン・モンゴメリによるカコ人形の発見(先述した夢マのエンドリスト絵)もけして偶然ではないんだろうと感じます。エリンはもともとカコとタナカの依り代を所持していたわけで、カコの依り代がジャックによって結果的に再利用されてしまったことも、また再利用による何らかのリスクを抱えていることもおそらくは把握していたはずです。だからこそひそかにカコを監視していて、彼女が人間状態を維持できなくなったタイミングで依り代を回収にやってきた……とは考えられないでしょうか。

カコと依り代の話はさておき、個人的に夢マエンドはタナカの今後の動向が気になる結末でもありました。タナカがカコを背負って一歩一歩進むシーンで「ええ話や~」と感じたぶん、あのオチでタナカの心情を思って切ない気持ちになったんですよね。腐れ縁とはいえ助け合ってきた同志な2人だと思うので、たとえば朝目覚めて依り代状態のカコを見つけて歩き去るまでにどんな葛藤があったんだろう、とか考えてしまいました。

エンディング:喰扶持――生き血をすする2つのコンピュータ

やばたにえん酸 喰扶持エンド 科学者アガツマノリコは廃人になった両親の為に人体再生の術を追究する

やばたにえん酸

エンドリスト左下は、「エンディング:喰扶持」アガツマファーマの科学者であるアガツマノリコの過去を掘り下げる結末です。

喰扶持エンドの条件は4つ。1つ目は全員救出、2つ目は「アガツマを失血状態で救出すること」、3つ目は「ゴム毬を小箱に戻すこと」、4つ目は「ウツノミヤを無傷で救出すること」です。最後はトロッコで脱出します。

喰扶持エンドは、「アガツマ失血×ウツノミヤ無傷」の組合せで到達できる結末です。屋上に行けるようになった段階でアガツマを刺す→金鍵取得→チェーンカッター取得→ウツノミヤ救出→酸プール解放→バッテリー充電→ハサミ回収→アガツマ救出……という流れで攻略可能。そこそこステップ数を要しますが、アガツマさんはしぶといので案外間に合います。

攻略のポイントは、電力3状態になるのを待ってバッテリーを回収し、ハサミ回収時に電力を2だけ消費すること。電力を1残しておかないと、のちのち金鍵を鋳造できなくなって詰むので注意しましょう。

あと、4つ目の「ウツノミヤ無傷」は見落としやすい条件かもしれません。ためしに「アガツマ失血×ウツノミヤ酸」でゴム毬を戻して全員救出してみたところ、失血状態のアガツマがトロッコに乗れずにゲームオーバーになりました。つまり、ウツノミヤを負傷させた後にアガツマも刺して喰扶持エンドを回収しよう~といったことはできないので注意が必要です。

ウツノミヤは酸を浴びてもなんとか動けるようですが、アガツマは出血した時点で歩行が困難になり、トロッコに乗れなくなるようです(だから喰扶持エンドでも不浄の地エンドでもアガツマがトロッコに乗る描写はない)。

正直なところ、「出血して歩くのもおぼつかず置いていかれるアガツマ」に関しては、「誰かが助けるかちょっと待つかすればいいのに」と思わなくもありません。無印でも大怪我を負ったタナカを助ける人は皆無だったとはいえ、酸ではゾンビやオミヨなど脅威になる存在は特に見当たらないのに。「動けなくなったらそこで諦めろ、他人に頼るな」というシビアな認識が共有されているのか、建物の倒壊が迫っていたのか、あるいは単にアガツマが周囲に嫌われていたのか。または、プレイヤーに相当する誰かがアガツマを切り捨てる判断を下した可能性もあるのでしょうか。

さて、喰扶持エンドでは、死を目前にしたアガツマの走馬燈を通じて彼女の半生が明かされます。若くして卓抜した頭脳を持つ科学者として名を馳せていたアガツマ。しかし、彼女が真に欲したのは名誉でも金銭でもなく、アガツマファーマの創業者である両親とまっとうな形で対面することでした。

かつて両親とゴム毬を蹴って遊んだ海岸にたたずみ、アガツマは過去を思い返します。以前は優しい親だったアガツマの父と母は、ある日吐血し倒れ伏しました。原因はおそらく、ゴム毬で遊んでいたアガツマが偶然にドラム缶を倒し、その内容物を流出させてしまったこと。

その後、アガツマの両親は生前の行動をただ繰り返すだけの生ける屍と化しました。アガツマが表彰されたことを報告しても、2人はコンピュータのディスプレイを見つめてガチャガチャとキーボードをたたくのみ。

躊躇なく他人を使い捨てながら、非道な手段もいとわずに人体再生の技術を追い求めたアガツマノリコ。そんな彼女の原点は、最愛の父母を自らの行動によって失ったあの日にあったのでした。

ちょっと物語調ですが、喰扶持エンドの概要をまとめると上のような流れになるのではないかと思います。「思います」と書いているのは、エンド内のシーンがどうやら時系列に沿って提示されていないからです。たとえば最初に提示される表彰シーンは、アガツマの成長具合を見るに、両親と遊ぶシーンや両親が倒れるシーンよりもずっと後の出来事だろうと思います。

若干気になるのは、倒れた両親にアガツマが駆け寄った際の演出でしょうか。背景に例の実験装置が現れるんですよね。これはどういうことなのか。開くガラス壁と併せて、両親の事故をきっかけにアガツマが人体再生研究にのめり込んでいったことの暗示なのか。それとも、もともとアガツマ父母が人体の破壊&再生を研究していて、娘であるアガツマがその成果を引き継いだということなのか。あのラストシーンをイメージと捉えるか現実と捉えるかについては、やや解釈の余地がある印象です。

アガツマの過去に関して、初見だと「忙しい両親が自分にかまってくれなくて寂しい幼少期を過ごした」という話なのかなーと思ったんですよね。昔は優しいお父さんお母さんだったけど、アガツマファーマの経営と製薬研究に没頭するにつれて娘に対してネグレクト気味になり、ひょんなことから不慮の事故で亡くなってしまった……みたいな。

ただ、エンドリストの絵(白目状態で椅子に座っているパパツマとママツマ)を見て「あれ?」と思い、もう一度海岸での回想シーンをよく見返して自分の勘違いに気づきました。つまり、「幼い頃に誤って両親を廃人状態にしてしまい、その後は彼らと意思疎通もできず、父母を元に戻すべく人体再生の業を探し始めた」……というのが、N.AGATSUMAの物語としては正解に近いんじゃないかなーと思います。

初見で勘違いを起こした原因は、大人しく椅子に座ってキーボードを叩いているアガツマ父母がいわゆるゾンビ状態だとは思いもよらなかったからです。無印のグレースを見ているせいで、やばたに世界の「ゾンビ」と言えばヒトを襲って食らうものだという刷り込みがありました(この「ゾンビ」の解釈については、先ほども書いた通り酸を手掛かりに見直す必要がある気もします)。

喰扶持エンドは、極悪なマッドサイエンティストにしか見えなかったアガツマの動機に光を当ててくれる良エンドでした。人を壊す研究自体に没頭していたわけではなく、両親を治療する一環として例の実験を行っていたと分かったことで、(やっていることが酷いのは何も変わらないものの)キャラに対する見方がけっこう変わりました。

やばたに酸では「DNA復元試薬」なるものを使ってタナカを元に戻すことができますが、これはつまり、アガツマの人体再生研究が成功したと理解していいのでしょうか。もしそうだとすれば、これが初めての成功なんだろうなーと思います。もしすでに安定した技術が手に入っていたのだとすれば、アガツマは真っ先に両親に使いそうなものなので。

ただ、喰扶持エンドを見た上で一番気になったのは、アガツマ邸内に肝心の両親の姿が見当たらないことでした。めっちゃ嫌な想像ですが、おそらく「7階にある2つのコンピュータ=アガツマの父母」なんだろうな~と思います。MAとDA。たぶん、M.AGATSUMAとD.AGATSUMAがそれぞれ中に入っているのではないでしょうか。MとDは、あるいはMomとDadなのかもしれません。2人はアガツマがまだ幼い頃(少なくとも11歳以前)に事故に遭ったようなので。

そういう嫌な想像をしてしまうのは、MAコンピュータにアガツマの血を吸わせたときに「おいしいよぉ…」と女の人っぽい声が聞こえるからです。やばたに酸屈指のホラーシーンですマジで(次点は不浄の地エンドで関係者以外の顔が黒塗りになる演出)。

状況からしてMAコンピュータが発したとしか思えないし、そもそもコンピュータが血液を動力源にするってどういう原理とも思うので、アガツマの両親は2つのコンピュータと一体化してその中で生きているんじゃないかとどうしても思ってしまいます。

あの2つのコンピュータ、正面から見ると顔があるようにも見えるんですよね。あと公式ツイアカから、コンピュータを運ぶカコを「傷つけないでよ…」と気遣わしげに見ているアガツマの画像が発信されているし。

とりわけ、DNA復元試薬を作る際にMAとDAを繋ぐギミックはついつい深読みしたくなります。金鍵によってMAとDAが結ばれる仕組みは、2つのコンピュータの中身が金の指輪によって婚姻関係を証する男女であることを。また、MAとDAが揃ってようやくDNAに作用し人を再生する薬を作り出せる事実は、2つのコンピュータの中身たる男女にその遺伝子を受け継ぐ子供がいることを、それぞれ暗示しているんじゃないかなーと思ったりします。

「2つのコンピュータ=アガツマの両親」と仮定すると、「喰扶持」はなかなか闇の深いエンドタイトルだとも感じます。最初からコンピュータは赤い液体をちゅーちゅーと吸っていますが、結局「赤い液体=人間の血液」だったわけで、じゃあアガツマは普段その血液をどうやって調達しているのかなーとか、「食扶持」じゃなくて「喰扶持」なのは実質カニバであることの暗示なのかなーとか、色々と想像してしまいました。

ちなみに、本編でアガツマが命を落とすときのセリフは、「お願い…許して…」です。他者を踏みにじってきたアガツマが今わの際に許しを求める相手と言えば、両親を置いて他にはない気がします。ヒトならざるものと化した哀れな両親を残していく無念や、「彼らをそんな境遇に追いやったのは自分」という罪悪感を抱いての言葉だったのでしょうか。鬼畜の所業を重ねた悪人には違いないとはいえ、まあ可哀想だなーと思ってしまいました。

エンディング:不浄の地――プレイヤーは何者か?

やばたにえん酸 不浄の地エンド オミヨの怨念が関係者4人を因縁のモンゴメリ邸に呼び寄せる

やばたにえん酸

エンドリストの右下に位置するのは、「エンディング:不浄の地」。やばたに酸で最も刺激的なエンドであり、1作目の『やばたにえん』由来の因縁がまだ終わっていないことを濃厚に感じられる結末でした。

不浄の地エンドの条件は3つ。1つ目は「ヤガミ・アガツマ・タナカ・カコを救出すること」、2つ目は「アガツマを失血状態で救出すること」、3つ目は「【関係者の血】をMAコンピュータに吸わせること」です。このエンドでのみ、脱出にトロッコではなく4階のワープ装置を使用します。

もう少し詳しく書くと、【タナカ救出(DNA復元試薬作製)後~ロケット発射前】のタイミングで「関係者の血」を取得しなければなりません。必要なものは、MAコンピュータ前の「清潔な桶」(試薬を作るとMAコンピュータは赤い液体を使い果たし、六角形の容器が空っぽになる)。この清潔な桶を2階左の部屋のテーブル上に設置し、真上の3階左の部屋でアガツマを刺します。アガツマの血はパイプを伝って流れ落ち、階下の清潔な桶を満たします。

あとは失血状態のアガツマを救出後、血で満たされた六角形の桶(「関係者の血」)を取得。ロケットを発射させる前に7階にワープし、MAコンピュータに関係者の血を吸わせることで、ロケットの墜落後もワープ装置を利用できるようになります(詳しい攻略の流れやワープ装置が作動する理屈は、前回の攻略記事の中で書きました)。

不浄の地エンドで救出すべきキャラは、ヤガミ、アガツマ、タナカ、カコの4人(他のメンバーは救っても救わなくてもOK)。この4人の共通点は言うまでもなく、『やばたにえん』のエンドEで詳細が明かされた「モンゴメリ家の略奪」への関与です。最後のメンバーを救った時点で4階のワープ装置に異常が生じ、モンゴメリ邸の近くへ飛べるようになります。

不浄の地エンドにおいて、プレイヤーは見知らぬワープ装置へと転送されます。吹雪の中を進んでいくと、見覚えのある遺構が出現。ジャックたちに蹂躙されたのち廃墟と化したモンゴメリ邸です。地下への階段を下りてランプに火を点けると、そこには髪の伸びたオミヨの姿。ただしその姿はすぐにかき消え、照明が消えて地震が発生します。そして再び映し出された地下室には、ヤガミとアガツマの骨と髪と服、そしてタナカを一心不乱に食らうカコの姿がありました。

不浄の地エンド、色々な意味でシビれる結末でした。まずこのエンド、やばたに酸が滅と無印のどのエンドから派生した作品なのかをわかりやすく示してくれています。

一番目立つヒントは、朽ち果てたモンゴメリ邸そのもの。「やばたに無印からそう時間が経っていないのにあれだけ荒廃した理由は?」と考えると、「『滅やばたにえん』の光エンドで衛星に攻撃され崩壊したから」という説明がスッと浮かびます。実際モンゴメリ邸正面らしき部分の周辺をよく見てみると、同じ光エンドで形成されたグレース&リチャードの彫像があることがわかります。

また、地下で一瞬対面できるオミヨを観察すると、足を鎖で繋がれ目から血を流していることがわかります。つまりやばたに酸のオミヨは、地下に閉じ込められたまま眼球を摘出されてしまった後の彼女ということになります。

タナカら4人がやばたに酸に登場していることと併せて考えると、ヘリが墜落するorオミヨが地上に出るエンドA、B、Dはあり得ず、消去法でエンドCかエンドEを辿ったものと推測できます(オミヨの強い怨念や物語としての美しさを思えば、胸糞なエンドEの可能性が高い気がします)。

つまり『やばたにえん酸』は、『滅やばたにえん』の「光エンド」で全員が脱出に成功し、『やばたにえん』の「エンドE:侵略者」(あるいは「エンドC:凡庸」)で侵略者たちがまんまと逃げおおせたその後の物語である……ということになります(少なくとも不浄の地エンドにおいては)。

また、時系列の確定以上に興味を引かれたのは、「プレイヤーは何者?」ということです。無印でも滅でも疑問でしたが、この不浄の地エンドを見てさらにその思いは高まりました。主な原因は、「関係者の血」という表現です。単純に「関係者」=「モンゴメリ家の略奪に関与した4人」だとして、「いったい誰の目線で『関係者』と表現しているのか?」ということが強烈に気になります。

不浄の地エンドを見るに、プレイヤー視点の何者かはモンゴメリ家の略奪の詳細を知っているわけですよね。だからアガツマら4人が「関係者」であることを知っていて、4人を選んで救って地下室に連れていくこともできた。どうして「地下室に連れていった」と思うのかと言えば、オミヨから命からがら逃げだしたあの4人が、再び能動的にあの因縁の館に戻るとは思えないからです。

あと、地味に重要な事実ですが、もしプレイヤー視点の誰かが存在するとすれば、彼/彼女はリチャード・ブレアが製作したワープ装置の存在をも知っていたことになります。アガツマがブレア邸からワープ装置を回収し復元したことはもちろん、リチャードがブレア邸から脱出するためにあらかじめワープ装置をモンゴメリ邸近くに用意していたことも。

MAコンピュータを介してアガツマの血を吸ったワープ装置が、モンゴメリ邸近くのワープ装置と同期する仕組みはよくわかりません。ただ、4人全員を救出した時点で赤く染まるワープ装置は、プレイヤー視点の誰かが「準備は整った」とばかりにワープ装置の周波数をセットし直したことを暗示しているのかもしれません。

もしもプレイヤー視点の何者かがアガツマ・ヤガミ・カコ・タナカを再びモンゴメリ邸へ、それもあの地下室へ連れていったのだとしたら、彼/彼女はオミヨの協力者なのでしょうか。既存キャラクターの中にその協力者を探すとしたら、諸々の理由から、エリン・モンゴメリがその有力候補なんじゃないかなーと思います。

不浄の地エンドに関してもう1つ気になることは、カコの状態です。具体的には、依り代に戻っていないことが気にかかりました。

本編で不自然に眠り続けていた以上、カコについては夢マエンドで示された結末、つまり依り代に戻ってしまうのが正規ルートだと思うんですよね。たぶん化エンドや喰扶持エンドでも、夢マと同じく依り代に戻っているんじゃないかと個人的には思います。しかしこの不浄の地エンドではヒトの状態を維持しているわけで、その違いはなんなんだろうと不思議に思いました。

最初は、食人を犯したことで何らかのパワーが充填されたのでは……とも考えました。というのも、「罪人の肉体を使用して依り代と魂を適合させる」ことができるらしいからです。最初に依り代を使用したエリン・モンゴメリは、何らかの理由から罪人の肉体を大量に使用し続けました(その結果なのかどうか、数百年経った今も若い姿のままさすらっています)。

ここから、「適合=維持」と読みかえることも可能なのではないか、と思います。つまり、罪人の肉体を使用する(おそらくその命を奪う)ことで、依り代から魂が離れて人形状態に戻るのを防ぐことができるのではないでしょうか。

その仮定をもとに、不浄の地エンドでカコが依り代に戻らなかった理由を考えてみると、「罪人(アガツマ、ヤガミ、タナカ)の肉体を使用したから」という答えが1つ浮かんできます。

とはいえ、前提を見直すと「罪人の肉体を使用したから依り代に戻らなかった」はちょっとおかしいような気もします。というのも、そもそも本編や夢マエンドのカコは生来の飢餓感を欠片ほども見せずに眠り続けていました。他のキャラやタナカを食らおうとする素振りもありませんでした。

だから不浄の地エンドのカコについては、「食人をした、だから依り代に戻らなかった」という説明ではなく、「なぜか依り代に戻らなかった、だから飢餓感に襲われ、なんやかんやあって食人に至った」という説明の方が筋が通るような気がします。食人は依り代に戻らなかった原因ではなく結果に過ぎず、本当の原因は他にあるんじゃないか、という話ですね。

まあ、一時的にカコの生命活動が活発化され、その際に飢餓感がよみがえり、たまたまタナカたちが傍にいた結果食人に至り、結果として罪人の肉体を利用したことになって依り代に戻らなかった……という可能性もあるのかもしれません。

ともあれ、オミヨの怨念が呼び寄せたようにも思える不浄の地エンドはなかなかに血沸き肉躍る内容でした。まだ見ぬやばたにえん4作目への期待が大いに高まりました。オミヨやジャック、エリンはやばたに酸ではチラリとしか顔を見せませんでしたが、もしかすると4作目で彼女らが再登場し、こじれ切った因縁に何らかの決着がつくのかもしれません。

*****

やばたにえんシリーズには、「作中では語られないけども重要な背景設定」が豊富に存在します。だからこそ、公式のツイッター or Pixivアカウントから発信される断片的な情報を拾い集め、ああでもないこうでもないと自分でストーリーを補完していくことが楽しい作品だと思います。とりあえず、依り代やゾンビについてもうちょっと詳しく考えてみたいところです。

あと、公式から暑中見舞いとして投稿された画像、なんだか重要度が高そうな1枚でしたね。個人的に気になっていた部分について補完情報をもらえた感があり、ひとりワクワクしてしまいました。

※関連記事:『やばたにえん酸』 攻略メモ(全員救出前提) ※ネタバレ注意

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かーめるん
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