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「逆転裁判」シリーズ(逆転裁判123/成歩堂セレクション)の関連本8冊をレビュー 【オススメ攻略本・ファンブックを紹介】

2021/11/30
逆転裁判・大逆転裁判シリーズ 0
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法廷バトルアドベンチャーゲーム、「逆転裁判」シリーズの攻略本やファンブックに関するレビュー&紹介記事です。今回は「成歩堂セレクション」に収録されているゲームボーイアドバンス時代の三部作(逆転裁判123)の関連本を取り上げます。開発・販売はCAPCOM様。

逆転裁判シリーズ 123 成歩堂セレクション オススメ攻略本・ファンブックをレビュー&紹介 見出し画像

つい先ごろシリーズ20周年を迎えた法廷バトルADV、「逆転裁判」シリーズ。今回は、逆転裁判シリーズの攻略本・ファンブック等を紹介&レビューしようと思います。

とはいえ、「逆転裁判」は20年にも及ぶ長寿ADVシリーズ。ナンバリングは新規エピソード追加や移植を繰り返しつつ『逆転裁判6』までリリースされているほか、御剣主人公の「逆転検事」シリーズや、成歩堂の先祖が主人公の「大逆転裁判」シリーズなど、派生作品も豊富です。

というわけで今回は、「逆転裁判123 成歩堂セレクション」にまとめられたGBA時代の三部作、『逆転裁判(蘇る逆転)』・『逆転裁判2』・『逆転裁判3』の関連本に絞ってレビューしていきます。より正確に言えば、「24歳~26歳時点の成歩堂龍一が主人公を務める作品」の関連本をピックアップしました。

基本的には関連本の概要や特徴をざっと述べてから、コンテンツについて詳しく書き出しています。また、各関連本について、私目線でのオススメ度(★1~★5)を付記しました。最後の「まとめ」には、「結局どの関連本がオススメ?」ということをざっくりとまとめています。

20年前に始まって何度もハード移植を繰り返していることもあり、「逆転裁判」は関連本の充実しているシリーズです。ただそれだけに、最近逆転裁判を好きになった方にとっては、「いったいどの本を買えばいいんだろう?」とパッと見で分かりにくいんじゃないかと思うんですよね。そういうわけで一ファンの勝手な主観ではありますが、「これオススメ!」から「ちょいマニアックかな…」まで、手持ちの逆転裁判123の関連本をレビューさせていただきました。

最初に

この記事で言及する「逆転裁判」シリーズの作品は、以下の通りです(※発売順)。ハードについて、①~③はゲームボーイアドバンス、④~⑥はニンテンドーDS、⑦はニンテンドー3DS。

  1. 『逆転裁判』(2001年)
  2. 『逆転裁判2』(2002年)
  3. 『逆転裁判3』(2004年)
  4. 『逆転裁判 蘇る逆転』(2005年)
  5. DS版『逆転裁判2』(2006年)
  6. DS版『逆転裁判3』(2007年)
  7. 『レイトン教授VS逆転裁判』(2012年)

また、記事内によく出る単語や人物名について、以下にざっくりとまとめました。

  • 「逆転裁判123/旧三部作」:『逆転裁判 蘇る逆転』&『逆転裁判2』&『逆転裁判3』のこと。
  • 「初代逆転裁判」:ゲームボーイアドバンス(GBA)で最初に発売された『逆転裁判』のこと。全4話。
  • 「逆転裁判 蘇る逆転」「蘇る」:GBA版『逆転裁判』全4話に、新規の第5話「蘇る逆転」を追加した、ニンテンドーDS移植バージョンの『逆転裁判』のこと。
  • 「主要キャラ」:3作通して登場する or 本筋に絡む特別なポジションのキャラをざっくりと指して呼称。成歩堂、真宵、千尋さん、御剣、イトノコ、矢張、ハミちゃん、狩魔冥、ゴドーなど。
  • 「タクシューさん」:逆転裁判123を手掛けたシナリオライター兼ディレクターである巧舟氏の愛称。123以降、蘇る逆転、逆転裁判4、レイトン教授VS逆転裁判、大逆転裁判シリーズのシナリオを担当。他、ゴーストトリックなど。
  • 「スエカネさん」:初代逆転裁判のキャラクターデザインを担当した末包久美子氏のこと。主要キャラの設定や方向性に多大な影響を与えた。逆転裁判2、3にも製作協力。
  • 「岩元さん」:逆転裁判123のデザイナーを務めた岩元辰郎氏のこと。逆転裁判2からメインで活躍。逆転検事シリーズのアートディレクターでもある。
  • 「稲葉さん」:逆転裁判123のプロデューサーを務めた稲葉敦志氏のこと。
  • 「松川さん」:蘇る逆転、逆転裁判4のプロデューサーを務めた松川美苗氏のこと。
  • 「塗さん」:蘇る逆転、逆転裁判4のデザイナーを務めた塗和也氏のこと。レイトンVS逆転裁判、大逆転裁判シリーズのアートディレクターでもある。

「逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル」(オススメ度★3.5)

逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル

「逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル」の特徴!

  • DS移植時に追加された第5話・「蘇る逆転」の設定資料が豊富
  • シリーズの主要キャラの設定資料もそこそこ充実
  • 巧氏・松川氏・塗氏の開発者インタビュー掲載
  • スエカネ氏のマンガ掲載(※無印の真相解明マニュアルのものと同一)
  • 攻略情報の核心をあえて省くスタイル(巻末の袋とじに完全解答あり)

「逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル」は、2005年にリリースされた『逆転裁判 蘇る逆転』の攻略本兼設定資料集です。2005年発売、CAPCOM完璧攻略シリーズ。

記念すべきシリーズ第1作目の『逆転裁判』は、2002年にゲームボーイアドバンス用のソフトとしてリリースされました。

その後、『逆転裁判』はニンテンドーDSに移植されることになり、もともとの4話に新規の第5話・「蘇る逆転」を追加しての発売が決定します。このDS版『逆転裁判』こそ、『逆転裁判 蘇る逆転』と呼ばれているソフトです。

「逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル」の特徴は、なんといっても新しく追加された第5話・「蘇る逆転」に多くのページを割いていること。今作のデザイナーである塗さんのラフスケッチや、開発者コメントなども充実しています。具体的な話をすると、第5話登場キャラクターの設定資料のページ数はそれぞれ以下の通りです。

  • 宝月茜(第5話のパートナー):6ページ
  • 宝月巴(第5話の被告人):4ページ
  • ザイモン(ワケあり刑事):6ページ
  • 原灰ススム(お騒がせ巡査):6ページ
  • おキョウさん(謎の弁当売り):6ページ
  • ガント局長(気さくで怖い警察局長):6ページ

比較として主要キャラクターの設定資料集のページ数も書き出すと、ナルホド4頁、マヨイ4頁、チヒロ2頁、ミツルギ3頁、イトノコ1頁、ヤハリ1頁……という配分。もちろん少ないわけではないものの、主要キャラに関してはやや物足りない感もあります(スタッフ裏話が各キャラについているのは嬉しい)。

ちなみに、各話登場キャラは1ページに1人 or 2人の配分で紹介されています。これも、たとえば裁判3の真相解明マニュアルと比べるとコンパクトだと言わざるを得ません。

ただ、実は後述するGBA版『逆転裁判』の真相解明マニュアルにはキャラクター設定資料集がまったく載っていませんでした(後続の2、3、蘇るの真相解明マニュアルに比べると、言い方は悪いですが内容が薄くてペラペラ)。それに比べれば、この「逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル」の設定資料は十分に充実していると言えます。

個人的に、ナルホド・マヨイ・チヒロ・ミツルギの構想段階スケッチが見たいなら、この蘇るか裁判2の真相解明マニュアルを押さえておけばOKだと思います(あと、真宵ちゃんと千尋さんのコスプレ姿や御剣の子供時代のスケッチなどは、蘇ると裁判2の両方に掲載されている)。

また、ナルホド・チヒロの若い頃のスケッチを見たい、あるいはイトノコ・ヤハリのイラストがたくさん見たいという方には、裁判3の真相解明マニュアルをオススメします。

続いて、「逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル」には、タクシューさんと塗さん(「蘇る」からデザイナーを担当)と松川さん(蘇る→裁判4のプロデューサー)のインタビューが掲載されています。塗さんと松川さんが「蘇る逆転」から本格参戦ということもあってか、第5話のシナリオやDS版新機能についての話が多いです。また、GBA版『逆転裁判』を振り返ってのタクシューさんの貴重な思い出話も載っています。

あと、初代逆転裁判の「真相解明マニュアル」に載っていたスエカネさんのマンガ(2ページ×4本)が巻末に再掲載されているのも見逃せないポイントです。

スエカネさんは初代のキャラデザをメインで担当し、キャラ造形やシナリオに関してハンパない貢献をされた方(上記インタビューでもタクシューさんは何度かスエカネさんに言及されています)。マンガもキャラの個性が出ていて面白い内容です。

その他、「真相解明マニュアル」には攻略情報も載っています。ただ、紙面での攻略編は、「ヒントに留めあえて直球の解答を載せない&法廷パートのクライマックスは記述自体を省く」スタイルを採用しています。完全なる解答が欲しい場合は、巻末の袋とじ(完全攻略フローチャート)を開封しなければなりません。「いや、答えがすぐに知りたいんだよ!」という方にとっては若干迂遠な仕様だと言えます。

というわけで、「逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル」についてまとめると、第5話・「蘇る逆転」の設定資料が見たい方には間違いなくオススメです。ナルホド、マヨイ、ミツルギといった主要キャラの設定資料を求めている方にもそこそこオススメ。ただ、純粋な攻略情報を求める場合は、オフィシャルコンプリートガイドを購入した方がストレスフリーかなと思います。

「逆転裁判 真相解明マニュアル」(オススメ度★1.5)

逆転裁判 真相解明マニュアル

「逆転裁判 真相解明マニュアル」の特徴!

  • 『逆転裁判』第1話~第4話の攻略情報を掲載(ただし核心部分を除く)
  • キャラクター設定資料・開発者インタビューはなし
  • スエカネさんのマンガが読める(でも蘇るの真相解明マニュアルにも載っている)
  • 驚きの薄さ

「逆転裁判 真相解明マニュアル」は、ゲームボーイアドバンス版『逆転裁判』の攻略本です。2001年発売、CAPCOM完璧攻略シリーズ。

「逆転裁判 真相解明マニュアル」ぶっちゃけ買わなくても全然オッケーな関連本だと思います。理由としてはまず、その驚きの薄さです。計63ページ。他の真相解明マニュアルと比べると、ページ数は「裁判2」の2分の1以下、「蘇る」の3分の1以下、「裁判3」の約4分の1です。

どうして他のシリーズ本と比べてこんなに薄いのかと言えば、「逆転裁判 真相解明マニュアル」には実質攻略情報しか載っていないからです。他の真相解明マニュアルにはキャラクターの設定資料が掲載されていますが、この真相解明マニュアルにはキャラクターのラフスケッチだったり裏話だったりはまったく載っていません。あと、開発者インタビューなども当然載っていません。

また、攻略情報にしても真相解明マニュアルシリーズあるあるの仕様です。つまり、法廷パートでの攻略情報はヒントに留め、クライマックス部分は説明自体を省くというスタイルです。

かつ、他の真相解明マニュアルとは異なる致命的な特徴として、この本には攻略フローチャート等が掲載されている巻末の袋とじがないんですよね。要するに、「自分のケツは自分で拭くことだ」(=最悪総当たりで解いてね!)です。あまり親切ではないタイプの攻略本だと言えます。

あとこの本、ページのレイアウトやデザインがけっこう独特なんですよね。シンプルで読みやすい他の真相解明マニュアルを先に読んでいたこともあって、ペラペラとめくったときに「!?」となりました。なんというか派手でドギツい。でも、各エピソードの概要説明のはっちゃけたノリはけっこう好きです。初代『逆転裁判』らしいハッタリ感と勢いに溢れている気がします。

まとめると、「この本を買うくらいなら蘇るの真相解明マニュアルを買った方がいい」に尽きます。攻略情報、情報量、読みやすさ、設定資料、開発者インタビュー……すべてにおいて後発の「逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル」に軍配が上がります(唯一の見どころとも言えるスエカネさんのマンガも、「蘇る」に同じものが載っているし)。

正直★1でもいいような気がしたものの、紙面全体に漂う悪ノリ感がわりと好き&巻末のタクシューさんとスエカネさんのごく短いコメントが興味深かったので、オススメ度は★1.5にさせていただきます。

「逆転裁判 蘇る逆転 脚本大全」(オススメ度★2.5)

逆転裁判 蘇る逆転 脚本大全

「逆転裁判 蘇る逆転 脚本大全」の特徴!

  • 『逆転裁判 蘇る逆転』のゲーム内テキストを完全網羅・再現
  • 新情報・裏話を求めて買う書籍ではない
  • 手間と時間をかけずに正確なテキストにアクセスしたい人向け

「逆転裁判 蘇る逆転 脚本大全」は、2012年1月13日に出版された書籍です。触れ込みはズバリ、【GBA『逆転裁判』+第5話「蘇る逆転」の決定版シナリオ集】。『逆転裁判 蘇る逆転』におけるすべてのセリフを徹底収録した、白黒447頁にも及ぶ異色の関連本です。厚みはなんと約3㎝、手に持つとずっしりとした重みがあります。

「ゲーム中のすべてのセリフを徹底収録」という帯のアオリに嘘偽りなく、「逆転裁判 蘇る逆転 脚本大全」には『逆転裁判 蘇る逆転』のテキストがそっくりそのままビッチリと詰まっています。16字×2段のテキストがタテ1列に25~30個、そのタテ列が1ページに3列ズラッと並ぶ……と説明すれば、その詰め込み具合が分かっていただけるでしょうか。

このシナリオ集のスゴイところは、選択肢によるテキストの違いのみならず、「調べる」や「証拠品のつきつけ」、「法廷での失敗解答」の際に発生するメッセージ等も網羅されていること。マジな話、これ1冊あれば初代逆転裁判のテキストをまるっと確認可能です。

かつ、文字が小さく1ページ内の情報量が半端ないものの、テキスト自体はストーリーの流れに沿って自然に読めるように掲載されています。つまりは読みやすい。丁寧な仕事だと思います。

ただ、これだけ褒めちぎっておいてアレですが、「この本わりとニッチなコレクターズアイテムじゃないかなあ……」と思わなくもないです。というのも、話の筋や笑える場面は単に原作をプレイすれば分かるわけで、テキストのみを完全再現したこの本をあえて読む必要はない気がするんですよね。エフェクトもグラフィックもないモノクロ簡素な書籍より、文字スピードから演出のタイミングまで調整し尽くされた原作を遊んだ方がはるかに楽しいと思うし。

何が言いたいかと言えば、「逆転裁判 蘇る逆転 脚本大全」は「ゲーム面白かった~裏話とか細かいデザインとか知りたいし設定資料集も買っちゃおうかな~」的なノリで買って満足感を得られる書籍ではないです(良くも悪くもゲームそのまんま、ストイックで媚びが無いから)。そういう観点からオススメ度も★2.5にしました。

ただし、明確な目的と用途が存在する方にとっては、この脚本大全は必携レベルの頼もしい1冊に化けます。

たとえば、「タクシューさんのテキストが好きだから失敗選択肢を含めすべての文章をチェックしておきたい」とか、「ファン同士で語り合うときにあの場面のあのセリフをさっと確認・引用したい」とか、「あのキャラクターの台詞をあますところなく正確に理解しておきたい」とか……そういった方はこの本を1冊持っておいて損はないんじゃないかなと思います。ただ、そこまでの欲求が無いなら買わなくてもいいかなーという印象です。

あと、「『逆転裁判』が超超大好きで関連本をすべて集めておきたい」という方は、この脚本の厚みと硬派な内容に満足できるのではないでしょうか(ただ、そんな方はこの記事を読むよりもずっと前、それこそ発売時に即購入されているような気もする)。

私自身は『逆転裁判2』が一番好きなので、裁判2で同じような脚本大全が出ないかな~と前々からほのかに思っています。もっとも、この脚本大全は実写映画化に合わせて発売されたものなので、裁判2や裁判3についてこのレベルの脚本集が世に出ることはなさそうですね。

「逆転裁判2 真相解明マニュアル」(オススメ度★3.5)

逆転裁判2 真相解明マニュアル

「逆転裁判2 真相解明マニュアル」の特徴!

  • 安定の完全解答・核心を省いた攻略情報(真実は袋とじ)
  • 逆転裁判2に登場するキャラの設定資料あり(ただし比較的少なめ)
  • キャラクター直撃インタビューは一見の価値あり
  • 開発者インタビューはナシ

「逆転裁判2 真相解明マニュアル」は、ゲームボーイアドバンス版『逆転裁判2』の攻略本兼設定資料集です。2003年発売、CAPCOM完璧攻略シリーズ。

「逆転裁判2 真相解明マニュアル」の特徴は、『逆転裁判2』に登場するキャラクターの設定資料が充実していること。裁判2から登場した主要キャラの綾里春美や狩魔冥、あとは各エピソードに登場するキャラなどですね。

ただし、蘇るや裁判3の真相解明マニュアルに比べると、正直なところやや内容が薄い気もします。たとえば、ハミちゃんとメイちゃんの設定資料はそれぞれ4ページです。蘇るや裁判3の場合、初登場の主要キャラには基本的に6ページ配分されているので、この差にはちょっと残念な気持ちになりました(そして、なぜか初代の最終話検事である狩魔豪検事の設定資料が3ページ掲載されている。初代真相解明マニュアルにはキャラ設定資料が掲載されなかったためか)。

また、その2人のみならず、各話登場のキャラに関しても設定資料ページ数は少なめです。たとえば第3話・「逆転サーカス」の登場人物に割かれたページ数はそれぞれ1ページ(トミーさんと団長に至っては1/2ページ)。

他方、たとえば裁判3の真相解明マニュアルでは、第3話・「逆転レストラン」の登場人物にそれぞれ最大4ページを割いて設定資料を掲載しています(シバクゾー、ウラミちゃん、ホンドボーさん、五十嵐将兵、小池ケイコは4ページ。鹿羽権太組長でさえ2ページも貰っているという)。そして「蘇る逆転」の登場人物に基本6ページが割り振られているのは先ほども書いた通りです。

やはり「逆転裁判2 真相解明マニュアル」、明らかに薄い(初代マニュアルほどではないとはいえ)。この格差には正直「なんで?なんで?」と思わざるを得ませんでした。岩元さんのスケッチをもっとサイズ大きめに、かつたくさん見せてほしかったです。

とはいえ、「逆転裁判2 真相解明マニュアル」には、各キャラに関して「×××× 直撃インタビュー」というキャラ掘り下げ会話が掲載されています。「このキャラにはこういう裏話があるんですよ」的なコラムではなく、たとえば「Q.修行の内容を教えて!」→マヨイ「詳しくは言えないんだけど、いつも滝に打たれていたよ」といった具合に、キャラクターが自分の言葉で自分のことを教えてくれる形式です。

内容自体はシリーズのゲームを遊んでいれば得られるレベルの情報が多い(あとごく一部「それ過去作での描写とムジュンしてない?」と感じる発言がある)ものの、そのキャラクターならではの反応が見られるのは貴重だし、へえ~と感じる情報が転がっていることもあります。後述する『なるほど逆転裁判!』のキャラ会話が好きな方は特に楽しめるかもしれません。

個人的に、綾里一族の髪型への認識や堀田院長に対するインタビューが面白いなーと思いました。あと、キリオさんや葉中のどかへのインタビューは若干シリアスで興味深い内容です。

また、「逆転裁判2 真相解明マニュアル」の明確な欠点として挙げられるのは、開発者インタビューが載っていないところ。これに関しては、「時間があんまりなかったのかな……」と感じるポイントでした。冷静に考えると、1年に1本ゲームを出すってとんでもなく大変なペースだなーと思います。

「逆転裁判2 真相解明マニュアル」についてまとめると、「蘇るや裁判3の真相解明マニュアルに比べて内容が一段落ちるものの、『逆転裁判2』が好きなら買っておいて損はない」という印象です。あと、裁判2の関連本には、不思議なことに女性キャラのスリーサイズが載っています(他のナンバリングの関連本には年齢身長性別のみ)。

「逆転裁判2 オフィシャルコンプリートガイド」(オススメ度★3)

逆転裁判2 オフィシャルコンプリートガイド

「逆転裁判2 オフィシャルコンプリートガイド」の特徴!

  • 『逆転裁判2』の攻略情報に特化した攻略本
  • 設定資料には乏しい
  • DSパッケージ版の全身イラストが掲載されている点で貴重

「逆転裁判2 オフィシャルコンプリートガイド」は、DS版『逆転裁判2』の攻略本です。2006年発売。移植時に「蘇る逆転」が新規エピソードとして追加された『逆転裁判』とは異なり、『逆転裁判2』と『逆転裁判3』はGBAの内容そのままに(ただし英語版を足して)DS版に移植されました。

(たぶん蘇るや3のオフィシャルコンプリートガイドについても当てはまるのではないかと思いますが)GBA版の攻略本だった「真相解明マニュアル」とこの書籍の大きな違いは、「攻略情報の取り扱い方」です。

オフィシャルコンプリートガイドは、探偵パートから法廷パート、そして閉廷後まで、パラパラとめくるだけで全エピソードの攻略の流れを確認可能です。完全解答をあえて載せず核心部分に至っては説明を省き、巻末の袋とじに真実を封入していた真相解明マニュアルを思えば、攻略面に関して断然優れていると言えます。

あと、個人差もあるかと思いますが、レイアウトなどの点で真相解明マニュアルよりも攻略情報ページが読みやすいなーと感じました。もちろん、詳細なフローチャートと全証拠品&人物リストも完備されています。

もっとも、攻略情報において優れている一方、オフィシャルコンプリートガイドは設定資料集としては真相解明マニュアルに明らかに劣ります(そもそも設定資料集を目指していないから当然かも)。キャラクター紹介ページには、全身立ち絵(フロント・バック)やアクションイラスト、ミニキャラ絵などが数点載っているのみ。開発者の裏話だったりラフスケッチだったりは載っていません。

ただしこのオフィシャルコンプリートガイド、不思議なことに女性キャラのスリーサイズが掲載されているんですよね(裁判2の真相解明マニュアルも同じく)。堀田院長の影響なのか何なのか。ちなみにハミちゃんについてはスリーサイズの代わりに通信簿の成績が載っているし、キミ子さんについては頭の円周の長さが載っています。

また、この本には、DSパッケージ用に描き下ろされた成歩堂・御剣・狩魔冥・綾里春美の全身イラストが掲載されています。私はDSパッケージの狩魔冥の全身イラストが一番好きなので、その絵の鑑賞を主な目的としてこの攻略本を購入しました。

「逆転裁判2 オフィシャルコンプリートガイド」についてまとめると、「優先度は低いものの、攻略情報を紙媒体でストレスフリーに確認したい場合にはオススメの本」だと思います。

設定資料集としての役割に期待するのはよくありません。設定資料や開発者のコメント目当てなら、裁判2の真相解明マニュアルの購入を断然オススメします。あと、この本にしか載っていないイラストが見たい場合は買うのもアリです。総じて優先度は低めだと感じたため、オススメ度は★3にさせていただきます。

「逆転裁判3 真相解明マニュアル」(オススメ度★5)

逆転裁判3 真相解明マニュアル

「逆転裁判3 真相解明マニュアル」の特徴!

  • 「真相解明マニュアル」シリーズの集大成と言っても過言ではない満足度の高い1冊
  • 裁判3に登場するキャラの充実した設定資料
  • 主要キャラに関しても比較的多くのイラストを放出
  • 裁判1・裁判2の登場キャラについても広く設定・裏話を収録
  • 巧氏・岩元氏・稲葉氏の開発者インタビューは必見

「逆転裁判3 真相解明マニュアル」は、ゲームアドバンス版『逆転裁判3』の攻略本兼設定資料集です。2004年出版、CAPCOM完璧攻略シリーズ。バックスタイルのナルホドくんの表紙が目印。

「逆転裁判123の関連本をとりあえず1冊買ってみたいな~」という方には、この「逆転裁判3 真相解明マニュアル」を激しくオススメします。『逆転裁判3』は成歩堂シリーズの集大成作品。その「真相解明マニュアル」というだけあって、「逆転裁判3 真相解明マニュアル」は他の関連本とは情報量や厚みが明らかに違うんですよね。

『逆転裁判3』に登場するキャラクターの設定資料に多くのページ(基本6ページ、端役でも2ページほど)を割いているのはもちろんのこと、主要キャラについても比較的たくさんのイラストを放出してくれています。

初代や裁判2のキャラクターに関しても紹介ページが存在し、しかもほぼすべてのキャラにタクシューさんと岩元さんによるコメントが付されています。「これ1冊あれば旧三部作を広くカバーできる」と言っても過言ではありません。

また、設定資料と同じくらいに価値があると個人的に思ったのは、シナリオのタクシューさん、デザイナーの岩元さん、プロデューサーの稲葉さんに対する開発スタッフインタビューです。なんといってもシリーズの立ち上げから長く123の開発に携わってきた3人。裁判3で一区切りついたからこそ出せるシリーズ立ち上げからの思い出話や裏話、好きなキャラクターやエピソードなど、かなり詳しく語られていて実に読みごたえがあります。あと、「サバイバン」の開発資料も一見の価値ありです。

まとめると、「旧三部作の設定資料集をどれか1つ買いたいのなら、『逆転裁判3 真相解明マニュアル』を優先して買うのがオススメ!」です(※もちろん裁判123をオールクリアした人向け)。裁判3の関連本としての充実ぶりはもちろんのこと、初代や裁判2を振り返る際の助けになるという点も含めて、オススメ度はズヴァリ!満点の★5とさせていただきます。

個人的な思い出話で恐縮ですが、GBAの123を遊んでいた当時、この「逆転裁判3 真相解明マニュアル」は私の愛読本でした。特に岩元さんのスケッチを見るのがすごく好きで、「女性キャラは美しいしオジサンキャラは渋カッコイイ~」とか「ちなみのキャラデザ考えるの相当大変だったんだろうな~」とか思いつつ、飽きずに何度も読み返していた記憶があります。思い出補正も大いにありますが、とにかく満足度の高いオススメの1冊です。

「レイトン教授VS逆転裁判 設定画集」(オススメ度★4)

レイトン教授VS逆転裁判 設定画集

「レイトン教授VS逆転裁判 設定画集」の特徴!

  • 会社をまたいだ異色のコラボ作品の設定画集
  • アートディレクターである塗さんのイラストをじっくりと堪能できる1冊
  • ゲーム未登場のイラストを収録(例:御剣&矢張 in ラビリンスシティ)
  • 大逆転裁判シリーズの気配もチラリ

「レイトン教授VS逆転裁判 設定画集」は、『レイトン教授VS逆転裁判』(ニンテンドー3DS用ソフト、通称『レイ逆』)の公式設定画集です。2013年発売。発売元はカプコン。逆転裁判123とは直接関わりがない本なので、番外編として紹介します。

まず、『レイトン教授VS逆転裁判』について簡単に説明します。『レイ逆』は、レベルファイブの「レイトン教授」シリーズとカプコンの「逆転裁判」シリーズが共同制作したミステリADVです。

経緯としては、逆転裁判のファンでもあったレベルファイブの日野社長が、以前から親交のあった「逆転裁判」シリーズのタクシューさんにコラボを打診。タクシューさんも乗り気になって開発が始まったという、会社をまたいだ異色のコラボ作品です(参考:社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇 第23回:『レイトン教授VS逆転裁判』)。

「レイトン教授」シリーズからは、おなじみレイトン教授と助手のルークが出演。そして「逆転裁判」シリーズからは、2005年の『逆転裁判3』以来の復活となる(裁判4よりも前の)ナルホド&マヨイコンビが出演したことで話題を呼びました。

キャラクター設定資料ページには、塗さんの細やかなコメント複数とともにタクシューさんのコメントも掲載されています。その中のナルホドくんとマヨイちゃんに寄せたコメントには、読んでいて「うんうん」とめっちゃ頷いてしまいました。実に8年ぶりだったんですよね、タクシューさんの手によるナルホド&マヨイコンビの復活。当時の嬉しさは筆舌に尽くしがたいものがありました。

さて、『レイトン教授VS逆転裁判』の舞台は、中世ヨーロッパの城塞都市を彷彿とする「ラビリンスシティ」。プレイ当時から、「(序盤の舞台である現代イギリスの法廷も含め)アートディレクターである塗さんの美しい絵がバッチリハマるゲームだな~」と感じていたため、この設定画集の発売に歓喜した覚えがあります。

「珠玉の公式設定画集」という帯のアオリに嘘偽りなく、「レイトン教授VS逆転裁判 設定画集」非常にコンテンツの充実した画集です。全身イラスト、ミニキャライラスト、ポリゴンモデル、構想段階ラフスケッチ、イメージボード、未収録イラスト、細部のデザイン解説……など、量的にも質的にも「一本満足!」としか言いようのない内容でした。お宝本だと個人的には思っています。

個人的な感想ですが、このレイ逆の画集、私は「塗さん本」だと思っています。ディティールにまで徹底的にこだわった絵を描かれる塗さんの「スゴ味」をひしひしと感じられる1冊だからです。

ストーリー上の役割を配置や色彩に仮託して落とし込んだキービジュアル、各キャラの持ち物や意匠に込められた意味、主要キャラに持たせた統一感……隅々まで計算を働かせ、明確に言語化できるレベルにまでデザインの意図を突き詰めている点にシビれます。マジでスゴイので、『レイ逆』をプレイした方にはぜひ一度読んでみてほしい設定画集です。

あと、これは余談レベルですが、「レイトン教授VS逆転裁判 設定画集」にはほのかに「大逆転裁判」シリーズの気配が漂っています。アートディレクターが塗さん、イギリスが舞台といった共通点ゆえでしょうか。もちろん「あの主要キャラの原型がここに!」みたいな感じではありません。ただ、「今思うと、このキャラって大逆転裁判のあのキャラにちょっと似てるな……」といった感想を持てるので、ちょっぴり得した気分になります。

最後に、「レイトン教授VS逆転裁判 設定画集」にはゲーム未収録イラストが多数掲載されています。ほとんどがレイ逆オリジナルキャラを描いたものですが、逆転裁判123との関わりという点で、ミツルギ&ヤハリのイラストが載っていることに触れておきたいです(といっても1ページだけですが)。

「もしも2人がラビリンスシティに来ていたら」という体で書かれているため、どちらも中世風のコスチュームに身を包んでいるのがポイント。特に面白いのは御剣検事の衣装で、「新人時代の検事服を久々に着てみた」みたいな風情になっています。「ラビリンスシティ来たのにミツルギだけ雰囲気同じやん!」というネタだったそうですが、ゲーム内で実現したら確かにさぞかし面白かっただろうな~と感じました。

「逆転裁判ファンブック なるほど逆転裁判!」(オススメ度★5)

逆転裁判ファンブック なるほど逆転裁判!

「逆転裁判ファンブック なるほど逆転裁判!」の特徴!

  • ドリマガで連載されていた全19回のコラム+書下ろしを掲載
  • ライターはシナリオのタクシューさん、挿絵は初代キャラデザのスエカネさん
  • 主要キャラクターのゆるい日常と会話テキストを見たいファン必見の1冊
  • 後半にGBA時代~蘇るまでの開発者コラム・ブログを掲載

「逆転裁判ファンブック なるほど逆転裁判!」は、「逆転裁判シリーズのキャラクターが好き!登場キャラ同士の掛け合いが大好き!」という方にガチでオススメしたい1冊です。結論から入りますが、オススメ度は満点の★5とさせていただきます。

第一の目玉は、タイトルにも冠されている「なるほど逆転裁判!」。これは、2004年~2006年にかけてドリームマガジンに連載されていたコラムです。このファンブックには、全19回のコラムと、書下ろしである第20回目のコラムが収録されています。

タクシューさんのコラム自体も見どころたっぷりですが、何より貴重だと言えるのは、タクシューさん自らが綴った逆転裁判キャラの日常風景(with スエカネさんの挿絵)。「バレンタインデー」・「海水浴」・「師走」といったお題に沿って、ナルホドくんやマヨイちゃんたちが季節季節のイベントを楽しみつつ、コミカルでテキトーな会話を繰り広げるさまを見ることができます。

旧逆転裁判シリーズの魅力と言えば、やはりタクシューさんがひねり出すテキスト。その軽妙かつ抱腹絶倒なかけ合いあってこそ、キャラクターたちの魅力が何倍にもなって引き出されるというもの。そんなわけで、「タクシューさん自らが書いたナルホドくんやマヨイちゃんたちの会話テキスト」というのは、もはや「もう1つの原典」と言っても過言ではないのでは??と私は思っています(※個人の意見です)。

第二の目玉は、「公式サイトに掲載されていたWEBコラム集」。123の発売当時、主にシナリオライターのタクシューさんが公式サイト上にアップしていた開発者コラムが収録されています。

具体的な内容は、各エピソードの裏話や開発中の苦闘の日々など。逆転裁判2以降はコラム内にナルホドくんとマヨイちゃんが登場し、タクシューさんの書いた文章にツッコんだり、秘蔵の制作日誌にツッコんだりと、ファンにとっては嬉しいやりとりをいつものノリで繰り広げてくれます。

このWEBコラムの文章、現在に至るまで何度となく読み返しました。特に裁判2と裁判3のコラムは、ナルホドくんとマヨイちゃんの会話を見たいがために鬼リピしていた覚えがあります。マジメな話、タクシューさんの書くナルホドくんとマヨイちゃんのムダ話からしか摂取できない栄養というものがあるんですよね~(万事こういう調子だからこそ、『レイトン教授VS逆転裁判』で懐かしのコンビが復活したときは感極まりました)。

あと、デザイナーの岩元さんによるコラムも必見です。ゆるいノリの巧い挿絵がとにかくたくさん掲載されていて見応えバツグン。ゲーム内の小ネタだったり開発苦労話だったりが読めるほか、岩元さんの逆転裁判シリーズへの思い入れや、他のスタッフさんとのコミカルなやりとりを垣間見ることができる良コラムです。

旧作のWEBコラムに関しては、ネット上にアーカイブが存在するものもあります。ただ、ウェブ上でクリックとブラウザバックを繰り返して読むよりも、書籍でパラパラと読む方がずっと読みやすいなーという印象です。書籍では掲載当時のウェブサイトのスタイルがさり気なく再現されていて、その点もファンにとっては懐かしく嬉しい仕様だと言えます。

第三の目玉は、「逆転裁判 蘇る逆転ブログ」。蘇る逆転の発売に際して書かれた、開発者ブログとキャラクターブログが掲載されています。前者はタクシューさん(と蘇るプロデューサーの松川さん)によるブログ、後者はいつものナルホドくん&マヨイちゃんによるとりとめのない会話集です。

また、一番最後にはタクシューさん&松川さんのインタビューが掲載されています。長期連載を振り返っての感想、GBA逆転裁判の思い出……など。後述する第5回のクリスマスプレゼントに関するタクシューさんのコメントも、このインタビュー内で出ています。

全20回のコラムにおけるキャラクターの登場回数ランキング

逆転裁判シリーズ 123 成歩堂セレクション オススメ攻略本・ファンブックをレビュー&紹介 なるほど逆転裁判の表紙

さて、「なるほど逆転裁判!」では、キャラクターが会話劇を繰り広げる形式が採用されています。そこで、全20回のコラムに関して、各キャラクターの登場回数を数えてみました。

※ここでいう「登場」とは、「文章内にそのキャラの発言機会がある」という意味です。以下、会話は一切引用していないものの各回の内容にざっくり触れているため、ネタバレを避けたい未読の方はご注意ください。

登場回数が最も多いのは、やはりナルホドくん&マヨイちゃん。同率1位です。この2人はほぼ皆勤賞ですね(コラム未登場回は、カミノギ&チヒロペアが登場する第19回・その1のみ)。成歩堂法律事務所の日常を綴った側面が強いコラムなので、ナルホド&マヨイコンビの存在感が大きいのはある意味当然だと言えます。

どの回でも原作そのままの仲良し漫才コンビっぷりを見せつけてくれるほか、第16回ではちょっとしんみりとしたムードで千尋さんの話をする2人を見ることができます。あと第19回・その2は、バリバリギャグテイストな会話に笑いつつも、その実第19回・その1のチヒロ&カミノギのやりとりをなぞっている2人にちょっとニヤニヤできるエピソードです。

続いて、登場回数第3位は、綾里春美ことハミちゃんです(12回登場)。ゴールデンウィークにお出かけしたり、夏祭りに繰り出したり、クリスマスにケーキを作ったり、お正月をまったり過ごしたり……と、大好きなマヨイちゃんやナルホドくんと一緒に楽しく日々を過ごしている様子。

ハミちゃんに関してはスエカネさんの挿絵も必見で、たとえば第10回ではイトノコ刑事に肩車をしてもらって嬉しそうな様子を見ることができます。年相応にはしゃいでいるハミちゃんを見ると、可愛くてちょっぴりほろっときます。

登場回数第4位は、御剣検事です(7回登場)。カッコよく登場しては小ボケを言い、眉間のヒビをいじられ、何か良いことを言って話を締めていくという、原作通りの美味しい活躍を見せてくれます。

思ったよりも登場回数が少ないんだなーと意外に思ったのですが、それもそのはず。御剣検事は出番のない回でも何かしら話題に上ることが多いんですよね(その場には居なくても後で合流することが匂わされたり、ミツルギ絡みの思い出話をナルホドくんが始めたり)。だから実際の登場回数以上の存在感を放っていると言えます。

それに加えて、御剣検事は挿絵での登場回数がとても多いキャラです。その回のコラムに登場していない場合でも、挿絵ではちゃっかりと季節系のイベントに参加していたり、黙々とお菓子を食べながらナルホドくんたちの話を聴いていたり(実際、挿絵における登場回数は14回とコラム登場回数のちょうど2倍)。私は第3回で甘栗を剥きながらぼーっとナルホドくんたちを見ているイラストと、第5回でクリパに参加する前にサンタ服を着ようとしているイラストが好きです。

コラムの挿絵を描いているのは初代逆転裁判のキャラデザを担当されたスエカネさんですが、スエカネさんのミツルギ検事の描き方って好きだなーといつも思います。なんというか、しっかりカッコいいけどただカッコいいだけではなく、適度な「隙」というか「可愛い感じ」があるんですよね。原作っぽい暗さや陰というか、熱はあるけどそんなに陽キャな人ではない雰囲気もちゃんとあるし。

初期案ではオッサンだったミツルギにNOを突きつけて現在の青年キャラに持っていった方はスエカネさんだそうですが、イラスト1つとって見ても、キャラクターの魅力を引き出すのがすごく巧い方なんだろうなーと感じます。

登場回数第5位は、「事件のカゲにヤッパリ矢張」こと矢張政志です(5回登場)。実はミツルギ検事よりも早い第3回で登場します。コラムでも基本的にはトラブルメーカーとして成歩堂法律事務所を沸かせるヤッパリさん。特に、ナルホドくんの苦い思い出となった小学生時代のバレンタインデーとホワイトデーの真実を紐解く第7回と第8回では、原作通りの活躍を見せてくれます。

登場回数第6位はイトノコ刑事(4回登場)。ミツルギ検事やヤハリに次いで、季節系イベントへの参加が多いキャラです。個人的なオススメは第17回。ワイルドターキーをガソリンに(タクシューさんみがある)、お正月からマヨイちゃんと迫真のバトルを繰り広げるイトノコ刑事の姿を見ることができます。「自分に言わせればッ!」→「きゃっ!」の天丼が好き。あと、先ほども書きましたが、第10回でハミちゃんを肩車するイトノコ刑事の挿絵がすごくイイです。

登場回数第7位は、狩魔冥(2回登場)。第5回のクリパと第10回のGWに登場します。発言はナシですが、第12回の海水浴にも参加して夏の海を満喫しています。基本的にアメリカを拠点としているため、成歩堂法律事務所との日常的な接点は少ない様子。ただそれだけに、数少ない登場エピソードのありがたみが増すキャラクターです(完全なるファン目線)。

特に第5回のクリスマスパーティーでは、狩魔冥がマヨイちゃんに「クリスマス・カード」を贈るくだりがあります。そう、『逆転裁判2』を遊んだプレイヤーなら誰しも覚えているであろう、あの幻の証拠品です。タクシューさんいわく「本編じゃいまさら語る場所がないから」ここで決着をつけたとのこと。個人的には、律儀にカードを持ってきたメイちゃんもさることながら、受け取ったマヨイちゃんの反応(あと直後のナルホドくんとのやりとり)が可愛くてたまらんな~と思うエピソードでした。

さて、最後になりますが、登場回数第8位(登場1回)のキャラは4人います。1人目は宝月茜ちゃん。『蘇る逆転』の発売を祝する第14回……ではなく、その次の第15回に事務所にやってきて、マヨイちゃんと初対面しています。その後、成歩堂法律事務所宛てには彼女から特別な年賀状が届いた様子(第17回)。

2人目は、まさかのアウチ検事。「ルーキー」がお題の第9回にて、裁判所のカフェでまったりと語らうナルホド&マヨイ&ミツルギたちの会話にスッと割り込んできます。ちょっと可哀想なくらい貶されている上に、相変わらず顔も覚えてもらっていないアウチ検事ですが、ピント外れでも彼なりに頑張っているんだろうなあ……と思ってしまう一幕でした。あと、(誰だこの人……)と思いつつも大人の対応をするナルホド&ミツルギが面白いです。

登場回数第8位の3人目と4人目は、綾里千尋と神乃木荘龍です。登場回はどちらも第19回・その1。初公判を控えてナーバスになっている若かりしチヒロさんが、カミノギ先輩の励ましを受けるエピソードを読むことできます。

連載時は最終話にあたる回だったので、第19回は「その1」&「その2」の二本立てという特別仕様になっています。かつ、ぜひ実際に読んでほしい面白い仕掛けが施されていて、シリアス風味でしっとりとしたチヒロ&カミノギペアの会話の流れを、ナルホド&マヨイペアがギャグチックに(本人たちは真剣に)なぞる……という、「1本ずつ読んでも面白いけど2本続けて読むと超笑える」内容になっています。

マジメな話、第19回めっちゃ好きなんですよね。たとえば、その1でチヒロ&カミノギが訪れるカフェの名前とその2でマヨイ&ナルホドが訪れるラーメン屋の名前が対になっていたり、綾里姉妹が苦しいときにお互いのことを思い出していたり、ナルホドくんがカミノギさんをエミュし切れずにマヨイちゃんのおねだりにツッコんだり……会話内容も設定も凝っていて、面白い上に萌えるコラムだと思います。

あと、千尋さんに関しては、第19回以外に(直接登場はせずとも)ナルホドくんが思い出話をしてくれる回がちょくちょくあります。それがまた、くぅ~っとなる内容なんですよね、読んでいて。

ナルホドくんとチヒロさんの日常って本編では語られなかった部分じゃないですか。だから、ナルホドくんが遠い目をして千尋さんとの思い出を語ってくれるたびに、師弟めっちゃええわあ~と心底思いました。ナルホドくんにとってのチヒロさんって、ずっと特別な存在なんだろうなーと思います。

千尋さん絡みのオススメ回は、まず彼女とナルホドくんの思い出話がテーマであり、千尋さんの挿絵もある第16回。真宵ちゃんのちょっと珍しい反応も含めてディ・モールト良いです。また、個人的には第4回の、2人で冬のひょうたん湖を訪れた思い出をナルホドくんがチラッと語ってくれるくだりが大好きだったりします。

まとめ:結局どの本がオススメなのか?

逆転裁判シリーズ 123 成歩堂セレクション オススメ攻略本・ファンブックをレビュー&紹介 なるほど逆転裁判の帯のゴドー検事

長々と書いてきましたが、ここで今一度、オススメ度の高い順に関連本8冊をおさらいしてみます。

逆転裁判123を遊んだ後に「何か1冊関連本を買いたいな~もっと主要キャラの設定を知りたいな~」と思った方には、「逆転裁判3 真相解明マニュアル」がオススメです。『逆転裁判3』に登場するの設定資料の充実ぶりはもちろん、主要キャラの資料も豊富。1&2の登場キャラをある程度カバーすることも可能。シリーズ全体を振り返る開発者インタビューも必見です。

続いて、「キャラクターの掛け合いや日常風景が見たい」という方には、シナリオライターのタクシューさんによる会話テキストが読める「逆転裁判ファンブック なるほど逆転裁判!」をオススメします。法廷から離れた成歩堂たちの(それも別のライターではなく、原作者自らが綴る)日常生活を垣間見ることができる大変貴重な1冊です。「ナルホドくんやマヨイちゃんたちが好き!」という方なら、買ってまず損はないはずです。

とりあえずは上記の「逆転裁判3 真相解明マニュアル」と「逆転裁判ファンブック なるほど逆転裁判!」の2冊を読めば、設定資料や開発者の考えを知りたい欲はだいたい満たされるのではないかと思います。

そこから1歩進んで、「『逆転裁判 蘇る逆転』や『逆転裁判2』が面白かったから設定資料を見たい」という方には、そのまま「逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル」「逆転裁判2 真相解明マニュアル」をオススメします。各作品にしか出てこないキャラクター、あるいはその作品(エピソード)が初出の主要キャラについては、やはり該当の真相解明マニュアルを読んで情報をゲットするに限ります。

ただし、初代『逆転裁判』(GBA版)の真相解明マニュアルは、(よほどのシリーズファンで関連本をすべて揃えたい場合を除き)正直なところ買う必要はないと思われます。後発の「逆転裁判 蘇る逆転 真相解明マニュアル」を読めばそれで事足りるからです。

また、「攻略情報を紙媒体でチェックしたい」という方には、DS移植版に合わせて発売された「オフィシャルコンプリートガイド」シリーズをオススメします。もっとも、「オフィシャル~」は攻略情報に特化したシリーズなので設定資料には乏しいと言わざるを得ません。設定資料を見たい場合は、「真相解明マニュアル」シリーズをチョイスしましょう。

その他、『逆転裁判 蘇る逆転』に関しては、「逆転裁判 蘇る逆転 脚本大全」という分厚い脚本集が出版されています。ゲーム内テキストがそっくりそのまま紙上で再現されている硬派な本です。こちらに関しては、「正確なテキストに手間暇かけずにアクセスしたい」という限定的な目的を持つ方にとっては超優秀な1冊です。ただ、そういった特定の用途のない方は特段買う必要はない(ゲームをプレイすればいい話だから)と個人的には思います。

最後に番外編として、ナルホド&マヨイコンビが活躍する『レイトン教授VS逆転裁判』シリーズの関連本の1つ、「レイトン教授VS逆転裁判 設定画集」もオススメしておきます。ゲームオリジナルキャラのイラストが多めなので、逆転裁判のキャラに特化した画集とは言えません。しかし、「レイ逆面白かった~」という方にとっては、お宝の山と化す満足度の高い1冊だと個人的には思います。

*****

大逆転裁判の画集は何度もオススメしていたので、今回は逆転裁判シリーズの方を紹介してみようかなーと思って記事を書きました。レビューと言いつつ正味個人的な思い出話も入れてしまいましたが、書いていて楽しかったです。

話は変わりますが、逆転裁判シリーズの20周年記念イラスト、逆転裁判バージョンも大逆転裁判バージョンもどちらも本当に素敵でしたね。清水の舞台から飛び降りるつもりで額装版を予約しました(さすがに懐がメリメリと痛みました)。

塗さんによる大逆転裁判記念イラストは、相変わらず美麗な上に今回はこと穏やかな幸福感に満ちていて、観ていてなんだか胸がいっぱいになりました。これまでの大人数イラストを振り返ると、キービジュと言えば世紀末&倫敦のシリアスでミステリアスな空気感、画集などの集合絵と言えばきっちりおめかししてのよそ行き感が印象的でした。そのせいか、皆揃ってラフにくつろいでいる今回の記念イラストはかなり新鮮味がありました。

一言で言うと、「その後のみんな」感のある一枚だと思います。罪悪感や使命といった過去の呪縛から解き放たれたキャラクターたちが、暖かな光や風に身を浴しているあの雰囲気……すごく好きです。

そして、逆転裁判の記念イラストもめっちゃ良かったです。一目見た瞬間、「め、メイちゃんがいる……マヨイちゃんと並んで、こんなに大きく……!」と衝撃を受けました。もうマジで嬉しくてその日はずっとハッピー&ハッピー、背中合わせのナルホド&ミツルギもエモい~ミツルギのちょっと斜に構えた指差しめっちゃ原作っぽい~つーか異議ありパネル一緒に持ってるじゃ~ん!と超盛り上がりました。

結論:異議なし! 現物を観るのが楽しみです。20周年カフェにもたぶん行けそうなので、今からワクワクしています。

「逆転裁判」シリーズの外伝である「大逆転裁判」シリーズについて、いくつか感想記事を書いています。

『大逆転裁判2』 第1話~第5話までのストーリー感想 その2 ※ネタバレ注意
『大逆転裁判2』が拓いた新境地 感想&考察&レビュー その3 ※ネタバレ注意
『大逆転裁判2』 特典DLC 「遊べる! 大逆転物語」 感想 ※ネタバレ注意

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かーめるん
Admin: かーめるん
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