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『わたしのお名前なんですか』 記憶喪失の魔術師が夫との思い出を取り戻す探索ADV 感想&レビュー ※ネタバレ注意

2022/01/25
ADV(アドベンチャーゲーム) 0
フリーゲーム レビュー 感想 考察 攻略 ADV 恋愛 女性向け

記憶を失くした女性が「夫」を自称する怪しい男性と楽しい会話を繰り広げる探索アドベンチャーゲーム、『わたしのお名前なんですか』の感想&レビュー記事です。ネタバレが含まれます。制作者は頻子 あきら(栖王ヴァルハラ3丁目)様。ゲームのダウンロードページ(ふりーむ!)はこちらです。 → わたしのお名前なんですか

わたしのお名前なんですか スクショ タイトル画面

わたしのお名前なんですか

『わたしのお名前なんですか』は、1マップ(家の中)を探索する短編アドベンチャーゲームです。制作者様によれば、「自宅やさがし乙女ゲーム(謎解き要素はありません)」とのこと。

エンディングはバッド・ノーマル・ベストの3種類。クリアまでの所要時間は30分ほどでした。

『わたしのお名前なんですか』は、記憶喪失の女性が家探ししながら夫(仮)との思い出をしぶしぶ取り戻そうとするゲームです。感想を一言で書くならズバリ、「男女間のざっくばらんで軽妙な会話が楽しいゲーム」でしょうか。細やかな探索テキストと主人公&その夫(仮)の間で交わされるオモシロ会話を目いっぱい楽しんでしまいました。

逆転裁判とかもそうですが、「探索が楽しい」×「会話が楽しい」なADVって大好きなんですよね。『わたしのお名前なんですか』はまさにそれで、こまめな探索にキッチリと報酬があり、その過程で主人公とその夫(仮)にキッチリと愛着を持つことができる満足度の高いゲームでした。男女コンビのふざけ合いやゆる面白いテキストを求めている方にぜひオススメしたいゲームです。

それでは以下、『わたしのお名前なんですか』の感想を書いていきます。主人公と夫(自称)の過去に関する軽い考察もしています。ネタバレが含まれますので、ストーリーやエンディングを未見の方はご注意ください。

『わたしのお名前なんですか』のあらすじ

『わたしのお名前なんですか』のあらすじを書きます。

わたしのお名前なんですか スクショ 記憶喪失になった主人公の前には夫を名乗る見知らぬ男がいた

わたしのお名前なんですか

主人公のエルマは魔術師の女性。悪に走った同郷の大魔術師を見事打ち倒した、英雄にして勇者です。

そんなエルマは、ある日誤って滝つぼにダイブしてしまい、約2年ぶんの記憶を失ってしまいます。数日間の昏睡ののち、目覚めた彼女に親しげに声をかけてきたのは見知らぬエルフの男性。彼は、「自分はあなたの夫であり、ここは2人の家である」と主張します。そう、エルマはこの2年の間に大魔術師を倒すだけではなく、なんと夫となる男性と出会って結婚していたらしいのです。

2年ぶんの記憶がすっぽ抜けてしまったエルマは、自分が目の前の怪しげな男と結婚している事実にどうにも納得できません。エルマの記憶喪失を受け入れられないのは夫(仮)も同じであり、彼はエルマに、「一刻も早く記憶を取り戻すために家の中をよく調べてほしい」と促します。

しぶしぶ自宅の探索を始めるエルマ。はたして彼女は忘れてしまった夫(仮)の名前を思い出すことができるのか? そして、夫(自称)は本当にエルマの夫なのか? エルマが探索をどれだけ熱心に行うかによって、エンディングは3通りに分岐します。

『わたしのお名前なんですか』の魅力をレビュー

わたしのお名前なんですか スクショ 主人公と夫のコミカルな会話が楽しい

わたしのお名前なんですか

あらすじにも書いた通り、『わたしのお名前なんですか』は自宅を徹底的に探索(家探し)するゲームです。目的は「見知らぬ男」に関する記憶を取り戻すこと。家の中の各所を調べると、エルマのコメントと見知らぬ男とのコミカルなやりとりが発生します。謎解き要素もありますが、ごく軽微なもので難易度は低めです。

探索を十分に行い、夫の名前を探し当てるとベストエンドに到達できます。また、探索をそこそここなして家を出ていこうとするとノーマルエンド、探索をまったく行わずに家を出ていこうとするとバッドエンドに至ります。3つのエンディングの内容に関しては、別項(「3つのエンディングの攻略&感想」)をもうけて詳しく書きました。

エルマと夫(仮)のテンポの良いくだけた会話が楽しい

先ほども書いた通り、『わたしのお名前なんですか』は短編ではあるものの満足感の高いゲームでした。何よりもまず、主人公と夫(仮)の遠慮のないやりとりが見ていて楽しかったです。

主人公のエルマは力のある魔術師であり、ガサツでぶっきらぼうでズケズケ物を言うタイプの女性です。一方の夫(仮)は、物腰柔らかながら破天荒なエルマの言動にも動じず、そつなくズバズバと突っ込んできます。「割れ鍋に綴じ蓋」と言うと失礼ですが、エンディングまで見ると相性バッチリのおしどり夫婦なんだなーと心で理解できる2人です。

この2人の会話の何がスゴイかと言えば、まずボールラリーのようにポンポンと弾むから読んでいて飽きが来ないところ。そして、ただ会話を重ねるだけで両者のキャラがバチバチに立っていくところです。話す内容がなかなかにハチャメチャでふざけていて面白いし、互いに遠慮をしないがゆえに、それぞれの個性がバッチリ伝わってくるんですよね。

また、個人としての2人のみならず、夫婦である2人の関係性も魅力的に描かれている点が素晴らしいなーと思いました。

主人公のエルマは(記憶が無いこともあって)けっこうキツイことも言う女性なので、たとえば彼女が一方的に辛辣で横暴だと、観ていて面白くないと感じる部分もあるかもしれません。しかし実際は夫(仮)の方も負けていないというか、エルマをうまく操縦したり失礼なことを言い返したりするキャラなので、2人の関係に不快な感じがないんですよね。「バランスの取れた描き方だなー」とプレイしていてすごく感じました。

細やかに作り込まれた探索テキストが楽しい

次に、『わたしのお名前なんですか』は探索テキストの作り込みも素晴らしいゲームです。1部屋で完結するゲームならではの気合の入れっぷりと手間のかけっぷりを感じました。

具体的には、同じ場所であっても調べるたびにテキストメッセージがどんどんと更新される仕様になっています。かつ、「調べる?→やめておく」という選択にさえ何かしら主人公のコメントが発生するので、「1つ足りとて見逃しはせぬ!」的なテンションで探索を進め、舐めるようにテキストを追ってしまいました。こういうやりがいに満ちた探索のできるゲームって大好きです。

あと、そもそもの話にはなりますが、テキストの内容がおしゃべりでユーモラスで面白いんですよね。これは「エルマと見知らぬ男の会話が楽しい」という感想ともダイレクトに繋がってくる部分であり、実際にプレイしないと分からない魅力だと思います。個人的には、棚を回収した後にできる空間を調べたときに表示される「虚無(ヴォイド)」にめっちゃ笑いました。

それと、会話内容にクトゥルフ神話ネタやメタネタ、あと下ネタがちょこちょこ含まれていた印象です。メタネタについては、「名前欄」の話とか「トイレあるゲーム」とかですね。このあたりは好き嫌いが分かれるポイントかもしれませんが、私はフツーに面白いなと感じました(「偉大なるイス」とか笑いました)。

結論としては、「作り込まれた探索要素」×「魅力的なテキストメッセージ」=ジャスティス。これに尽きます。充実した探索パートと男女コンビの会話がとにかく楽しかったです。テキストの面白さって個人の好みに左右される部分もあると思いますが、少なくとも私のツボにはガッチリハマるテキストでした。

ネタバレ込み感想――ここが好きだよ エルマと夫(仮)

上で「エルマと夫(仮)の会話が楽しい」と何度も書きましたが、その延長線上として、夫婦としてのエルマと夫(仮)にもバッチリと愛着が湧きました。というのもこのゲーム、ほのぼのギャグ調の短いストーリーながら、「夫との馴れ初めから新婚生活まですべての記憶を失った妻」と「愛する妻が自力で記憶を取り戻すのを辛抱強く見守る夫」という関係性の機微がしっかりと描かれているんですよね。

基本的にふざけ倒しているのに、エルマと夫(仮)の愛情ある関係性は繊細かつ技巧的に描写されていて、細かいポイントで何度となく「この2人めっちゃええやん~お似合いやん~」とニヤニヤしました。最終的に一番印象に残ったポイントがそこかもしれません。ありていに言えば、夫(仮)×エルマにしっかりきっちり萌えてしまったわけです。

というわけで、この項目ではネタバレ込みでエルマと夫(仮)の関係性について語り尽くしたいと思います。見知らぬ男のお名前は究極のネタバレ要素なので、以下では「夫(仮)」と呼称します。プチ考察みたいなものも含まれます。

「夫(仮)→エルマ」の好きなポイント

わたしのお名前なんですか スクショ 見知らぬ男は主人公のことを愛している

わたしのお名前なんですか

『わたしのお名前なんですか』は、そもそも夫(仮)がエルマに「はよ僕のこと思い出してぇや!」とやきもきするところからスタートします。つまり、夫(仮)はそもそもエルマにくびったけ(死語)な男性です。

やや慇懃無礼で冗談好きなこともあって、夫(仮)は本心をそう単純に表現するタイプの人ではありません。しかし注意深く見ていると、その言動の端々にエルマへの愛情が滲んでいることがわかります。

個人的に「夫(仮)→エルマってイイな……」と感じたのは、夫(仮)が愛のこもった言葉を実にさらっと言う点でした。終盤だとストレートな愛情表現をするし、そこももちろんグッとくるのですが、どうしてか軽いノリの会話にふと紛れている愛情ある言葉の方が心に引っかかるんですよね。他の会話と同じ要領でポンポンと進めそうになる手を思わず止めて、「この発言ってそういうことォ~?」とニヤニヤしてしまいました。

具体的な例をいくつか挙げてみます。まず、「かっこいいのが好きなんですよ、私は」発言。これは直前の会話を受けての発言ですが、2年前のエルマは基本的にガサツな本性を隠して「ぶっていた」そうです。しかし実際はガーゴイルをしゃもじ1本で屠れるほどの猛者であり、「かっこいい方がいいだろ」と内心では思っていました。

エルマと結婚した夫(仮)はもちろん妻の本性を知っていて、その上で「かっこいいのが好きなんですよ、私は」とここで言うわけです。なんとも愛のある発言だなーと思います。

次に、「他人のショートカットが好きなわけではなかったけど今はわりと好き」発言。これは深掘りするとすごく楽しい会話です。2人が出会ったばかりの頃、エルマは髪が長かったそうです。しかし、ある日男が「ショートカットがいいなあ~」とこぼしたら、エルマは“偶然”それまで長かった自分の髪をバッサリと切りました。まだ2人が恋人同士になる前のことです。

実は男は、「(自分の髪を)ショートカットにしようかな~」という意図で独り言を言ったのであって、他人のショートカットが好きなわけではなかったそうです。でも本人いわく、「今はわりと好き」とのこと。

このエピソード、好きな人の気を引きたくて髪を切ってみる(そして偶然と言い張る)エルマも可愛いし、好きな人がショートカットになったから短い髪の女性もいいな~と思うようになった夫(仮)も可愛いしで、読んでいてニヤニヤが止まりませんでした。

あと、このトピックで外せないのが「エルマの日記」です。基本的にはエルマ視点で男との馴れ初めを淡々と綴った内容ではあるものの、読んでいると、男の方もエルマをからかってふざけ合ううちにとことん惹かれて一緒になったんだな……と深く深く納得できるんですよね。「だから、私の冗談にはあなたが代わりに笑ってください」と「ほとんど返せないくらいの利子がつく」のくだりがマジで好きです。

「絵本のプレゼント」エピソードから読み取れる夫(仮)のエルマへの愛情

わたしのお名前なんですか スクショ 夫が主人公に絵本をプレゼントする理由

わたしのお名前なんですか

また、何を置いても挙げたい「夫(仮)→エルマ」なエピソードは、「絵本のプレゼント」です。1周目は「ふーん」で流してしまいましたが、よくよく読むととても繊細な仕掛けのある話だと気づき、感動するとともにめっちゃ萌えました。

詳しく説明すると、夫(仮)が2人の結婚1周年記念に選んだプレゼントは絵本でした。記憶を失って2年前の状態に戻っているエルマは、「絵本なんて低レベルだ」という論調でバチボコに貶します。しかし男はなぜか怒ったりせず、「あなたはちゃんとした大人だし、誰に何を言われても好きな本を読んでいいんですよ」と諭します。そして、プレゼントに絵本を選んだ理由を語り始めます。

いわく、昔2人で古城探索をしている際、本棚の本を並び替える謎解きに直面した。そこでエルマが発見したのは、男曰く「チープな絵本」。謎解きは難解なものではなかった。しかしエルマはなぜか仕掛けを解くことができず、一晩中その絵本とにらめっこしていた。そうしていると夫(仮)の方もなぜか問題が難しく思えてきて、2人はランプの油が切れかけるまで謎を解くことができなかった……と。

結局その絵本は謎を解くために使ってしまったから、ひょっとしたらと思い、古城にあったものと似たような絵本を手に入れたのだ。そのように男は締めくくります。

このエピソード、夫(仮)のエルマへの愛情に感動するのもそうですが、あえてストレートに実像を語らない(だからこそ気づいた人だけ最高にグッとくる)制作者様のバランス感覚が素晴らしいと感じました。

最初に背景設定も交えた話をします。2年前に主人公エルマが倒そうとしていた大魔術師クロケルは、彼女にとって単なる同郷出身者ではなく、どうも年の近い兄弟子だったようです。ゆえにエルマはクロケルから強く影響を受けていたところがあって、その1つが「絵本に対する考え方」でした。

クロケルは「内容に乏しく嘘塗れでご都合主義の塊である」絵本を嫌っていて、“マトモな大人”が読むものではないと公言していたそうです。2年前までのエルマはそんなクロケルの言葉を真に受けて、「絵本など読むべきではない」、「読んでいるとヘンだと思われる」と思い込んでいました。絵本を見てクソミソに貶すその発言も、実は彼女自身の思想から出た言葉ではなく、(本人も言及する通り)クロケルの言葉をそのまま持ってきたものだったりするわけです。

上の情報を頭に入れていると、夫(仮)の発言の1つ1つがくぅ~っとなるレベルに効いてくるのが見事だと思います。まず、「絵本です。嫌いなんですよね?」という初手の発言。初見では「なんで絵本が嫌いだとわかってるのにプレゼントに選んだの?」と思いましたが、古城でのエピソードを踏まえると、夫(仮)が結婚記念に絵本を選んだ理由が理解できるようになりました。

もう一度振り返ると、古城で「チープな絵本」を見つけたエルマは、油が切れて探索不可能になりかけるまで簡単に解ける謎を解こうともせずに絵本とずっとにらめっこしていました。おそらく、エルマはそれまで読むべきではないと遠ざけていた絵本を読んだ結果、思いもがけず心惹かれてしまったのではないでしょうか。

謎を解くには絵本を本棚に並べる必要があるが、すぐさま手放すのはなんとも惜しい。しかし、「絵本=マトモな大人が読むものではない」という刷り込みがあったがために、「この絵本をもうちょっと読んでいたい」と連れの男に言い出すこともできない。ゆえに謎が解けないふりをして、エルマは油の切れるギリギリ直前までその絵本を読んでいた……これが男の語った古城のエピソードの真相なのではないでしょうか。

そして、「絵本とにらめっこするエルマを見ているうちになぜか謎解きを難しく感じた」と語る男は、エルマがすっかり絵本のとりこになっている(でも気恥ずかしくて言い出せない)ことをその場で察したのでしょう。だからこそあえて指摘したりはせずに、やはり油の切れるギリギリ手前まで、彼女の狸芝居に付き合ってあげたのだろうと思います。

推測でしかありませんが、古城にあった絵本を「チープ」と表現したのは他ならないエルマなんだろうと思います。絵本を実際に読む前だったか、あるいは好きな気持ちを素直に表現できなかったがために口を突いて出た悪口だったのではないでしょうか。

夫(仮)の語る古城の思い出をそういう風に解釈すると、「絵本です。嫌いなんですよね?」発言も、彼が結婚記念日に絵本を用意した理由もちゃんと理解できます。

たぶん男はこの2年の間、「絵本を読むなんて自分はヘンだろうか」と考えるエルマに言ってあげていたのではないでしょうか。「ヘンだろうが、そうじゃなかろうが 何を読もうがあなたの勝手でしょう」、と。だから現在のエルマは絵本に素直に魅力を感じているし、夫(仮)の方も、妻が気に入ったらしい古城の絵本とよく似た内容のものを2人の記念日に用意したんだろうな……と思います。

ただ、ゲーム本編のエルマは記憶を失って2年前の状態になっているため、当然兄弟子の影響で絵本を嫌っています(より正確には読むことに抵抗がある)。だからこそ男は、ちゃんとわかってますよと言いたげに、「嫌いなんですよね?」とだけ確認したのでしょう。

以上のように細かく噛み砕いてみると、夫(仮)のスマートさとエルマへの深い愛情に気づいて感じ入るしかありませんでした。このシーンの夫(仮)は、茶化しを入れることもギャグに走ることもありません。核心的な話を避けつつも、エルマの絵本が好きという気持ちを真摯に尊重しようとしています。

それこそ古城でエルマが絵本を見つけたときから今この瞬間まで、「こんなものを好んでヘンだと思われないか」という恐れを抱いている愛する人のために、「誰がなんと言おうとあなたはれっきとした大人であって、だから何を好むもあなたの自由だ」と優しく肯定し続けているわけです。これもう大きな大きな愛情すぎる~!とめっちゃ思いました。

夫(仮)の何がいいって、普段は冗談好きのからかい好きなのに、エルマにとって大事な場面ではけして茶化さずにそれこそ一晩中付き合ってあげるところだと思います。懐と愛情の深さがハンパない。今の記憶喪失状態のエルマに「この2年であなたは絵本を好きになったんですよ」と告げて動揺させることを避け、あえてぼかした語りに終始するところもグレートです。心底妻を愛しているんだなあとひしひしと感じました。

夫(仮)の思いやりを何とはなしに感じたのでしょう。毒舌辛辣で絵本嫌いな2年前状態のエルマも、このときばかりは「たぶん欲しかったんだ」と素直にデレています。エルマと夫(仮)のそれぞれについて魅力的なギャップを提示してくれるこの「絵本のプレゼント」、ディ・モールト良いと言うほかないエピソードでした。

その他、エルマの日記に自分の名前がよく登場すると聴いて嬉しそうにする、「記念日なんて覚えていなくてもいい、私のことを大切に思ってくれればそれでいい」発言、ベストエンドのあれこれ(エルマが元に戻った安心からか男が素直に拗ねているのがまたベネ)あたりも見逃せないポイントです。夫(仮)、エルマのことが好きすぎる。

エルマ(記憶喪失前)→夫(仮)の好きなポイント

わたしのお名前なんですか スクショ 夫のことを愛している主人公

わたしのお名前なんですか

今まで夫(仮)→エルマばかり語りましたが、「エルマ→夫(仮)」もちゃんと匂わされていました(より正確には、失われた2年の間のエルマ→夫(仮))。

具体的には、(上でも述べた通り)男がショートカットがいいなあ~とこぼした後に“偶然”髪を切ってショートカットにしたり、男の寒いギャグになぜか感情を動かされて戸惑ったり、金庫の暗証番号を結婚記念日に設定していたり……といったあたりです。

「エルマの日記」についてはもはや言うまでもないというか、エルマが自分の中に芽生えた男への恋心に初々しく舞い上がっている様子が実に微笑ましいです。途中途中に夫(仮)の書込みもあって交換日記っぽくなっている箇所もあり、「もう2人で一生イチャイチャしといて~」としか言いようのない内容なので詳細は割愛します。

個人的には、(家事全般を引き受けてくれている)夫へのプレゼントである両手鍋と一緒に、金庫の中に変哲もない石ころがしまわれていたことに最高に萌えました。

日記を読むと分かりますが、2人が出会って間もない頃、エルマが男に贈った最初のプレゼントは「笑う石」でした。この石は彼の笑いのツボに入り、その後2倍はうるさくエルマに話しかけてくるようになったそうです。エルマは「これが自分の人生で初めて成功した冗談なのかもしれない」と淡々と(でもうれしげに)日記に記しています。笑う石はその後いったん別れた2人を再会させる立役者にもなったものの、再会と同時に効力を失って「ただの石ころ」に戻ってしまった……とも。

つまりこれ、そういうことなんだろうと思います。貴金属や宝石などではなく、夫に贈った最初のプレゼント、かつ2人を結び付けてくれた思い出の石ころを、エルマは今も大切に金庫にしまっているわけです。夫大好きなエルマ可愛すぎる~とめっちゃ思いました。

3つのエンディングの攻略&感想

探索の進み具合によって、3つのエンディングに分岐します。まず、BAD ENDを狙う場合は、まったく何も調べずに外に出ましょう。「まったく何も調べない」というのが大事で、少しでも探索を進めてしまうと、ノーマルに分岐する可能性があります。

次にNORMAL ENDを狙う場合は、ある程度部屋を探索しましょう。夫の名前が分かっていない場合、あるいはプレゼントを渡していない場合も、このノーマルエンドに分岐します。おそらくベストエンドとバッドエンドの条件がかなり限定的で、それらの条件を満たさない場合は、幅広くノーマルエンドに至る仕様なのだろうと思います。

最後に、BEST ENDを狙う場合は2つほど条件を満たす必要がありそうです。1つ目は、「日記を読んで夫(仮)の名前を知ること」。室内の本を調べると、主人公がこまめに日記をつけていたことがわかります。その後、男への質問に「日記はどこだっけ」が追加されるので尋ねてみましょう。収納場所を教えてもらえるので、あとは日記を読めば自動的に男の名前が判明します。

2つ目の条件は、「金庫を開けて男へのプレゼントを入手し渡すこと」。金庫には鍵がかかっていますが、カレンダーを調べると暗証番号が判明します。判明後は金庫を調べると正解選択肢を選べるようになるので、ロックを解いて金庫を開けましょう。プレゼントを入手し男に渡すと、お返しに主人公も素敵なプレゼントを貰えます。

以上の2つの条件を満たすと、男に話しかけたときに「思い出したよ」という選択肢を選べるようになります。これを選択すれば、めでたくベストエンド到達となります。

エンディングはバッドからベストまで3つもあるものの、ぶっちゃけ「どのエンドでもこの2人はずっとずっと一緒にいるんだろうな~」と想定できる結末でした。バッドだと記憶は戻らないものの、一緒に旅に出るうちにまた恋に落ちるか記憶が戻るんだろうな。ノーマルもふとした拍子に記憶が戻るんだろうな。ハッピーはもうずーっとイチャイチャ2人で仲良くするんだろうな……といった想像が苦も無くできる終わり方でした。

個人的には、本編とは違った顔を見せつつイチャつくバカップル(死語)な2人が見られるハピエンがストレートに好きです。あと、好奇心から夫(仮)と一夜を共にしてしまうバドエンも、ド下ネタながらノリと勢いに笑いました。

*****

一応不満点も挙げておくと、固有名詞における誤字の多さが気になりました。数カ所ほど「クロケル」が「ケロケル」になっていたり、「北アールノルド」がその直後に「北アーノルド」と表記されていたり。固有名詞を誤字られると演出なのかミスなのか戸惑って集中できなくなるし、単なる文法の誤り以上に「粗がある」という印象が強まってしまうのでちょっと残念に思いました。あと、すごく細かいポイントですが、タイトルの「わたし」と見知らぬ男の一人称の「私」をどちらか一方に統一してほしかったなーと感じました。

「気の置けない男女コンビのやりとりってやっぱり素晴らしい」と再確認できました。『わたしのお名前なんですか』、テンポよくプレイできるとても楽しいゲームでした。

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かーめるん
Admin: かーめるん
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