『冠を持つ神の手』 ティントア 感想&攻略 その10
異世界ファンタジー育成系ADV、『冠を持つ神の手』(かもかて)に登場するキャラクター、「ティントア」の感想&考察&攻略記事です。制作サークルは小麦畑様。
全イベントとエンドを見た上での感想なので、ネタバレしかありません。未見の方はご注意ください。考察みたいなものも書いていますが、あくまで個人的な考えです。主観まみれです。
※「ティントア&ルージョンの共通友情エンド」と「ヴァイルの憎悪監禁エンド」を並行するというテーマで、攻略メインの記事を書きました。
≪関連記事:共通友情エンド×2とヴァイル憎悪監禁エンドを並行して攻略 【冠を持つ神の手/かもかて】≫
◆ティントア・シーア=ファダー
18歳の男性。王城の神殿に仕える神官。代々神殿議員を輩出するファダー家の跡取りであり、その優秀さゆえに将来を嘱望されている。
寡黙でおっとりとした性格で、どこか浮世離れした敬虔な人物。神殿の人間としては異端とも言える独特の宗教観を有しているが、それを知る者は少ない。また、女性と見紛うばかりの見目麗しい容貌を持つ。熱心な取り巻きは数多いが、当人はまったく相手にしていない。
登場条件:信仰10以上
冠を持つ神の手
※ゲーム内の三人称
主人公たち三足族は性別を持たずに生まれる。そのため、「姉」「妹」「(子供としての)娘」といった呼び方は存在せず、女性であっても一律「兄」「弟」「息子」と呼ばれる。
ティントアについて
「ティントア・シーア=ファダー」は、王城の神殿に仕える神官です。担当パラは「信仰」。
ティントアと主人公の出会いの場所は王城内の神殿。主人公はすぐに立ち去ってしまったティントアの足飾りを拾います。ティントアの初期好感度はゼロ。つまり、主人公にはまったくの無関心です。
ティントアは「神官」、いわゆる聖職者です。リタントを含むグラドネーラ全土では、「アネキウス」という名の神が一般に信仰されています。ティントアはアネキウスを信奉する宗教組織である「神殿」*1に所属しています(ちなみに、教義上過度の禁欲ではなく節制を貴ぶため、神官は妻帯しても問題ないそうです)。
*1「神殿」の原義は「アネキウスのために捧げられた祈りの場」であり、本来は場所を指します。ただ、作中で上記の宗教組織を指して「神殿」という単語が何度も用いられていること、宗教組織の具体的な名称がないことから、「アネキウスを信奉する公的な宗教組織やそれに属する人々の集団」を指して「神殿」と書きます。
これまで8人のキャラについて感想を書きました。彼らのほとんどは、「貴族・王政派」と「平民(かつ反貴族派)」のどちらかに分類できます(ローニカは微妙なところです。あえて言うならリリアノ派でしょうか)。
しかしティントアはそのどちらにも属さない、「神殿」という独立した第三勢力に属するキャラクターです。平民として辺境の村で生まれ育ち、現在は王の庇護のもと王城で暮らす主人公にとって、神殿はいまいち掴みがたく距離のあるものに思えるかもしれません。
まず、「神殿」について簡単にまとめます。神殿は先述した通り、「アネキウスを信奉する宗教組織」です。その規模は大きく、神殿の教えはリタントの隅々にまで及んでいます。
たとえば、(リタントのみならず壁で隔てられた他種族の国も含め)大陸グラドネーラで広く採用されている「アネキウス暦」は、現在7403年を数えています。一方、リタント暦では今年は119年です。比べるまでもなくその差は歴然としています。
つまり、宗教的権威としての神殿が有する歴史は非常に古く、人心に与える影響力も相応に強いわけです。
また、三足族によるリタント建国に際しても、神殿は重要な役割を果たしました(後述:「リタント建国と神殿」)。王権がそれなりに強いリタントで、神殿が王権に侵されない独自の権力(たとえば神官の人事権など)を有しているのは、建国時に多大な功績を残したためだと言われています。
リタント国内のすべての都市や村には神殿が置かれています。国内の神殿を統括するのは、南端の都市・ディットンに座する「古神殿」です。そして同じく古神殿にいる「大神官長」が、国中の全神官を指導・統括します。
大神官長は、「神殿議会」を構成する十一人の「神殿議員」の中から選ばれます。古神殿の意向や指針は、基本的に神殿議員によって合議制で決定されるのです。
神殿議員はリタント王制における貴族のようなものであり、基本的には世襲制です。しかし貴族とは違い、神官としての力量の低い者は他議員の決議によって解任され、任命権を剥奪されることがあります。近縁であればあるほど、後任人事へのチェックは厳しくなりがちとのこと。そのため、優秀な後継者の確保は神殿議員の家系にとっては死活問題と言えるようです。
以上、神殿についてざっと説明しました。しかし、実は最も重要なのは、「建国以降、神殿とリタント王政の間には、常に微妙な緊張状態が存在した」という事実です。原因は歴史・政治・宗教など様々。ただし、あくまで神殿の抱えるジレンマに注目するのなら、根本にあるのは宗教的な問題だと言えるのではないでしょうか。
『冠を持つ神の手』のOP冒頭では、次の聖句を見ることができます。
今こそ見よ
冠を持つ神の手
彼の頭上に輝くは神の徴
世の支配を任じられた証なり
「神の徴」とは、もちろん「選定印」を指しています。この聖句は、「王は神の代理人であり、神に代わって世を支配する」というリタント王制成立の根拠と合致するものです。王位継承者の唯一の証は「神が授けし」選定印であり、王は神の威光を背景に政治を行います。
この事実は神殿にとって、どんなに手を尽くそうとも「神に選ばれた」寵愛者を内に取り込むことはできないことを意味します。なぜなら、選定印を授かった者は必ず王位を継がなければならないからです。だからこそ、神の恩寵を求めその第一であることを求める神殿は、これまでずっと報われることがありませんでした。
しかしあるとき突然、ヴァイルに次ぐ2人目の寵愛者が現れます。他ならない主人公です。1つの玉座に対し、2人の寵愛者。ともに神の徴を持ちながら、どちらかは玉座の束縛から解放されることになります。
このあり得ないはずの出来事を前に、神殿勢力が何を企図したかは想像に難くないでしょう。王城の神殿に所属するティントアも、当然ながら【神殿の思惑】を理解した上で主人公と親交を深めていくことになるのです。
ここでようやくティントア本人に目を向けます。ティントアは代々神殿議員を輩出してきたファダー家の跡取りです。「いずれは大神官長にも登りつめるだろう」とも噂される、非常に優秀な神官でもあります。
しかしティントアは、見た目や評判通りの模範的な神官ではありません。寡黙な性質のために表立ってはいないものの、彼の宗教観は神殿の教義からは外れた異端とも言えるものです。その思想ゆえに、ティントアは主人公を引き込もうとする神殿の意向を否定し、「神殿が信じる神は神ではない」と発言することさえあります。
神というものへの彼の考えが明確に示される【査問会】は、ティントア攻略におけるハイライトの1つだと言えるでしょう。
また、ティントアはその生い立ちにおいても神殿にはそぐわない秘密を有しています。実はティントアはフィアカントの孤児院出身であり、幼い頃は双子の弟とともに暮らしていました。弟は名を「ルージョン」と言います。
ある事件をきっかけに、ティントアはルージョンと生き別れてしまいます。そして2人が成人後にようやく会い見えた時、ルージョンは魔術師になっていたのです。
「魔術師」とは、魔物に通じアネキウスと敵対する人々の総称です。過去には大規模な迫害が行われ、すでに絶滅したと一般には考えられています。魔術師はグラドネーラにおいては蛇蝎の如く嫌われており、特にアネキウスを奉ずる神殿にとっては、見つけ次第処刑すべき対象です。
しかしティントアはルージョンを告発するどころか、現状彼女を庇い、彼女に協力し続けています。魔術師との繋がりが明るみに出れば身の破滅と知りつつも、ルージョンを見捨てる選択肢は端からティントアにはないのです。
幼い頃のティントアにとって、ルージョンは世界のすべてでした。ゆえに、「もうひとり」とまた一緒に暮らしたいという彼のささやかな願いは、様々にエンディングの行く末を左右することになります。
かもかての攻略対象キャラはみんな好きですが、強いて「一番好きなキャラを」と言われたら私はティントアを挙げます。攻略中、「このキャラいいな、面白いな」と何度も思ったキャラでした。ただただ眺めていたい気持ちになるというか、単純に好きです(ちなみに、リリアノさまは崇めたい系の「好き」、グレオニーは愛着まじりの「好き」です)。
純粋にティントアの思想や話す内容が興味深いこと、色々な意味でギャップの多いキャラであることなど、好きな理由は様々にあります。
ギャップに関しては、双子の弟の存在や実は孤児院出身であることに加え、「信心深いキャラなんだろうな」→「エキセントリックな思想持ちだった」、「淡白なキャラなのかな」→「ヤンデレっぽくなった」、「単にヤンデレ気質なのかな」→「実は怖い愛し方にも理由があった」……と驚かされることばかりでした。
特に最後のギャップはキャラクターの核心に関わるものであり、ティントア自身も意識していなかったその理由を聞かされたときには、目からうろこが落ちました。
ティントアは特に取り繕うこともなく自然に振る舞っているキャラだと思います。言動や性格は基本的に一貫していて、すべてのイベントを見終えると、振れ幅が大きい印象は不思議とないキャラです。
しかし序盤は口数が少ないので、どんどんと喋ってくれるようになるにつれて意外な一面が際立って見えてくるのだろうと思います。「そんなことを考えていたのか」と。その都度印象を修正していく楽しさが癖になるキャラクターでした。
ティントアを攻略する際の注意点
ティントア攻略は初見では難しい部類に入るかと思われます。というのも、ルート中に複数のトラップ(イベント)が仕込まれていて、発動させたが最後その周回でティントアは出現しなくなるからです。
- 愛憎軸に依存した忌避判定の存在
- ルージョン登場時の対応
- 【神殿の思惑】での印象度条件
- 【査問会】での対応
注意すべきは以上の4点です。特に愛情攻略においては、①③④のトラップは確実にかわすか乗り越えるかする必要があります(②について、ルージョン登場は必須ではない)。そこで、上記のトラップの詳細は愛情攻略の項目で書こうと思います。
また、能力値や印象好感値によって話の展開が左右される場面が比較的多いのも、ティントア(&ルージョン)ルートの大きな特徴の一つです。重要なイベントを起こす前には、印象好感や能力値をきっちりと高めておく必要があります。
そしてこれは備考程度ですが、特に愛情攻略では、ローニカに忌避判定を入れておく方がいいかもしれません。【見かけた面会】(in広間)の遅れの回避、励みイベのローニカでの発生の回避などが目的です。
愛情
ティントアの愛情エンディングは、主人公が神殿入りする愛情Aと、城に残留する愛情Bの2通りです。
愛情Aを狙う場合、【神官たる資格】→【神殿への訪れ】でアモナの誘いを受け、神殿入りを承諾するのが定石でしょうか。神殿入りを事前に約束しないときは、各能力値の中で信仰が最大になるように調整しましょう。信仰値が最大でないとエンド未到達となります。
愛情Bを目指す場合、特に神殿と約束をせずに【最後の日】を迎え、ティントアに「城に残ってほしい」と頼みましょう。
神殿入りを承諾していない場合、エンド分岐は、最終結果よりも最後の日の受け答えに左右されるようです。たとえば信仰100以上最大で【最後の日】に「城に残ってほしい」を選び、最終結果:大神官長だった場合、愛情B(城残留)になりました。
最初に、愛情ルートの攻略スタンスについて書きます。とはいえ、はっきりと好愛が上がるイベントが少なめなので、どう接するべきかと言われると悩むところです。
強いて言うなら、神様を素直に信じる子が好まれるのでしょうか。イベントを進めると分かりますが、ティントアは素直に神様を慕って願いを捧げられる人に愛着と羨みを覚えています。自分がそういう風にできない人間であると知っているからです。
また、弟のルージョンを思い起こさせる受け答えをすると好愛が上がることが多い印象です。
ただし、基本的にルージョン本人には関わらぬが吉です。ティントア愛情ルートの場合、仕様からルージョンに敵視されがちなので、彼女に必要以上に接触しようとするとろくなことになりません。ルージョンが未登場でも愛情エンディングには到達可能ということは念頭に置いておきましょう。
もっとも、ルージョンの登場自体は、イベントでの選択肢の幅が広がるのでむしろプラスに働きます。好愛が足りない場合は、ルージョンとの和解を後押しし、ポイントを稼ぐのも攻略法としてアリです。
特に、簡単に攻略しようと思うなら、【ティントア?】を早く終わらせ、【神の家】を見ることを勧めます。【神の家】は後発イベントの発生条件であり、中庭系イベントの端緒でもあります。単純にイベント数を稼げる=好愛の引きずられ修正を狙えるということ、後発イベントの中にはティントアの好愛が上がるものが比較的多いことから、見て損はありません。
また、積極的にルージョンと争った上でティントアを手に入れることも可能です。そういう修羅場展開に応じたイベント(【二者択一】)が存在します。「さすがかもかて」と言わざるを得ません。
実際の攻略では、各種トラップを避けつつ、最後の関門である【査問会】クリアを目指します。【査問会】を正しく通過すれば、実質的に愛情ルートが確定します(もちろん、【最後の日】までに「好愛35以上」を満たす必要あり)。
査問会を導く【彼の訴え】の発生には高い好友が必要なので、好愛だけでなく好友も上げていく必要があります。最終的には「一心同体」に近い形になるのではないでしょうか。とはいえ、ティントアの好友は比較的上がりやすいので、そこまで気する必要はないと思われます。
4つのトラップを回避(忌避判定、査問会など)
それでは以下、注意が必要な4つのポイントを解説します。まず第一に、ティントアは特殊な忌避判定が発生するキャラクターです。
通常の忌避判定と言えば、「友嫌軸」に依存し、プレイヤーが攻略上意図的に起こすことがほとんどだと思います。
しかし、ティントアの忌避判定は「愛憎軸」に依存し、プレイヤーの意図しない形で起こります。言ってみれば、愛情ルートを攻略しようとする初見プレイヤーに対する引っかけのような形として、特殊な忌避判定が用意されているわけです。その内容は以下の通りです。
「(ティントアの好愛)-(主人公の印愛)」の「絶対値」が一定の値を超えると、以降のイベントが進行しなくなる
「以降のイベントが進行しなくなる」とは、表示されるティントアのイベントを選んでも、その内容が「主人公に気づくや否や逃げ出すティントア」に差し替えられるという意味です。
もしもこの「逃亡イベント」が3回連続すると、今度は【執拗な追跡】が発生し、(こっちにそんな気がないのに追いかけられても)困るとティントアから伝えられます。そしてそれ以後、ティントアは一切登場しなくなってしまうのです。
具体的な話をすると、ティントアの初期好感度はゼロです。それなのに、たとえばティントア登場時に印愛15を振った場合、「0-15=-15」より絶対値は15となり、次回から「逃亡イベント」が発生し始めます。
つまり、主人公が一方的に熱を上げてもティントアは困惑するだけで応えてくれません。日常的に熱狂的なファンに追いかけられているキャラなので、主人公も同じ類の人間とみなされ、一律避けられてしまうのでしょう。
したがってティントア愛情ルートでは、イベントごとにコツコツと印愛を振っていく必要があります。ティントアは印象による好感の引きずられ修正が起きるキャラなので、印愛を好愛より上回らせておけば、イベントごとにちょっとずつ好愛が加算されていきます。これに選択肢による好愛増加を加味しつつ、忌避判定が起きない程度に印愛を増やしていきましょう。
しかし次は、「どうやって忌避判定発生のラインを見分けるのか?」という問題が出てきます。
実は、印象度操作時の画面の背景色(オレンジ、緑、紫の三色)にはきちんと意味があります。「(攻略対象キャラの好感度)-(主人公の印象度)」の「絶対値」の大きさを、色によって示しているのです。
絶対値が小さい、つまり攻略対象キャラと主人公の心象が似通っていれば、背景はオレンジ色になります。絶対値が大きくなる、つまり攻略対象キャラと主人公の心象が離れると、背景はオレンジ色から緑色に変化します。そしてさらに絶対値が大きくなる、つまり攻略対象キャラと主人公の心象が大きく乖離すると、背景は紫色になってしまいます。
ティントア愛情攻略においては、背景=オレンジ色をキープしましょう。緑色はアウトです。イベントを通じてそこそこ好友好愛が上がったと思っても、背景色が緑色になればティントアは容赦なく忌避判定を発動させます。序盤は油断せずにいきましょう。この忌避判定ですが、少なくとも【神殿の思惑】が終わるまではいつでも発生する可能性があります。
忌避判定の終了時期は、ティントアの好愛の高さに左右されるのか、それとも特定イベントの発生に左右されるのか。愛情攻略の場合、【神殿の思惑】で好愛が3ポイント上がるので、【神殿の思惑】クリア=忌避判定終了ととらえていいのか判別できない。上限を超えてポイントを振ってみて、該当イベント後に逃亡イベントが起こるか確認することができないため。
神殿がいよいよ主人公を引き込もうと動き始め、ティントアが迷い始める時期あたりに線引きが存在する?
第二の注意点は、「ルージョン登場時の対応」です。これについては簡単で、ルージョンのことを通報しないようにしましょう。ティントアの歓心を得たいならば当然のチョイスです。
ちなみに通報した場合、好愛好友がガクッと下がり逃亡イベントが発生し始めます。印象度の調節によってなんとか解消できないかと試したものの、どうしても無理でした。友嫌軸の忌避判定も関係している、あるいは通報した時点で完全にフラグが折れてしまうのかもしれません。
第三の注意点は、【神殿の思惑】。これは、愛情攻略と友情攻略の両方に共通する中盤の重要イベントです。
【神殿の思惑】でチェックされるのは、主人公の印象度の高さです。愛情攻略の場合、このイベント発生時に既定の印愛度を満たす必要があります*2。印愛不足だった場合、ティントアはこのイベントを期に一切登場しなくなります。
*2イベントクリア自体は印友を高めておくことでも可能です。ただし、印愛が高いか印友が高いかによって、ティントアの好感度の上がり方が変化します。たとえば、印愛を高くしてイベントに臨むと、ティントアとの関係の継続を望む理由が「好きだから」ということになり、ティントアの好愛がかなり上がります。
ちなみに印愛印友ともに条件を満たす場合、好感度上昇の判定には印愛が優先して採用されるようです。
最初に書いた通り、ティントアは神殿から、「主人公を説得して神殿入りさせろ」と再三要請を受けています。しかし、印しか見ない神殿のやり方にティントアは不安を覚えています。そのため主人公の勧誘にも乗り気ではなく、【神殿の思惑】で、主人公を煩わせまいと付き合いを絶とうとするのです。主人公の自主性や神との精神的な語らいを重視するティントアらしい判断だと思います。
このイベントでティントアを引き留めるには、「自分(主人公)にとってあなたは大事な人だ」と訴えるほかありません。アピールがうまく成功すれば、本心では今後もずっと主人公と仲良くしたいティントアは、思い直して付き合いを続けてくれます。
そして、第四にして最後の関門となるイベントが【査問会】です。主人公の神殿入りに反対する中、ティントアはその異端思想を咎められ、【査問会】に被告として出頭することになります。【査問会】の成り行き次第では、その後ティントアが登場しなくなることもあり得ます。
まず、【査問会】発生以前には、ティントアの好愛にはキャップがかかっています(おそらく上限は30)。このイベントを「正しく」通過しない限り、キャップは解放されません。
そしてもう一つ、このイベント終了時点に「ティントアの好愛30以上」という条件を満たさないと、ティントア愛情攻略は失敗します(【秘められぬ想い】が起こらず、ティントアが登場しなくなる)。したがってイベント発生前に、ティントアの好愛を30かそのギリギリ手前まで上げておくようにしましょう。
【査問会】に紛れ込むにはまず、ニーナッテを懐柔しなければなりません。対策として、信仰以外の能力値(交渉など)も満遍なく上げおきましょう。
次に、【査問会】での受け答えですが、主人公は異議を唱えられる(発言できる)機会を「1回だけ」与えられます。議論中に発言できる場面が「3回」あるので、ティントアの応答や場の空気をよく読み、適切なタイミングを選んで声を上げましょう。
友情ルートの場合は、反論も含め幅広い対応を取ることが可能です。しかし愛情ルートの場合、正答は「ティントアに同意する」の一択です。
「選定印は王の徴であって、神の徴ではない」というティントアの主張は、王城の神殿にあっては紛れもない問題発言です。もしも主人公がこれに同意した場合、神殿は主人公に異端思想を吹きこんだティントアを厳しく諫め、その後ティントアは主人公に一切接触してこなくなります。
そんな事態を避けるべく、【査問会】発生までにティントアの好愛を十分に高め、【査問会】終了時に好愛30以上になるようにしましょう。
平たく言えばティントアに、「会っちゃダメだと本当は言われているけれど、古神殿に呼び戻される前にどうしても会いたい」というメンタリティーになってもらえればOKです。好愛30以上で黒の月中日に【秘められぬ想い】が発生し、愛情ルートはほぼ確定となります。
【秘められぬ想い】でティントアの想いを受け入れ、以後は市のない週に中庭で逢瀬を重ねていけば、「一心同体」も比較的たやすいはずです。ルージョンを登場させない場合はイベント数が少なくなるので、励みイベントを積極的に活用しましょう。また、【お見舞い】を何度か繰り返すのもオススメです。
好愛稼ぎのおすすめイベントは2つあります。1つ目は、好愛を高めた上での【人の愛神の愛】。2つ目は足飾りをルージョンに返した上での【雨の日の探し物】です。
前者の【人の愛神の愛】では、「人の愛について聞く」を選びましょう。このイベントは、ティントアの思想を理解する上で重要なイベントだと思います。
後者はまず、【神官の祈り】で足飾りをティントアに返さず、【ティントア?】でルージョンに渡します。次に、テ【雨の日の憂鬱】を見ます。そして雨の日に中庭へ行き、【雨の日の探し物】でフードを被ってさまよっているティントアを呼び止めましょう(人影選択肢は「一つ」を選びます)。好感度が高ければ「何かを探している」と教えてもらえるので、「足飾りをルージョンに返した」ことを伝えましょう。最後の選択肢次第で好愛が大幅に上がる非常に有り難いイベントです。
愛情ルートですが、初見ではティントアの依存的でスキンシップを伴う愛情表現に驚いたことを覚えています。一見淡泊に見えるので尚更でした。【独り占め】での不穏な発言も含め、確かに「露骨」な執着かもしれません。
もっとも、確認のために繰り返しティントア愛情ルートをプレイしていると、自制心の強さや主人公の自主性の尊重といったものも印象に残りました。
裏切Cのインパクトに流されがちですが、ティントアは本来、くどいほどに主人公の意思を確認するキャラです。心から神官になりたいと思っているのか。いったん承諾したらしいが心変わりしていないか。自分は主人公に会いたいが主人公はどうか。主人公にとって自分はただひとりの愛する人なのか……など。
少しでも齟齬が生じるなら素直に身を引くし、【最後の日】に主人公から積極的に求めなければ、自分の中で折り合いをつけて諦めてくれます。そういった姿勢からは、主人公への確かな思いやりを導くことができるのではないでしょうか。
ただし、その執拗なまでの意思確認から、ティントアが恋愛対象に求めるある条件を見出すこともできます。
それは、ティントアが求めているのは、自分と同じやり方で自分のことを愛してくれる人だということです。相手の気持ちと自分の気持ちが限りなく同質であることを求めている、とでも言えばいいのでしょうか。
要するに、ティントアは新しい「もうひとり」を求めているのではないかと私は感じました。もちろん弟のルージョンに対する愛とは性質が異なるのでしょうが、ティントアにとっての「もうひとり」という一人きりの枠に、主人公が挿げ替えられた形に見えなくもなかったです。
安定したとはいえ、愛情ルートにおけるティントアの視野及び許容範囲はひどく狭いままなのでしょう(当人同士が納得しているならそれは一つの人の愛し方であって、けして悪くはないと思いますが)。
また、「僕は人だから人の愛を求めてしまう」という言葉は重かったです。神の愛に充足しているように見えるティントアから出てくる言葉だと思うと、余計に胸に迫るものがありました。
友情Aエンドで明らかになりますが、他者の愛を求めたルージョンに対し、ティントアは最初から他者の愛を諦め、自分と同質であるはずの弟の愛だけを求めていました。それは、「同じものでなければ自分を愛してはくれない」という認識に基づくものです。
主人公は査問会で異端発言をしたティントアをかばい、あまつさえ同調しました。その時点で主人公は、ティントアにとって非常に近しい存在になったのだと思います。そこに友情もプラスされ、【秘められぬ想い】に発展した……と考えられるのではないでしょうか。やはりかもかては、キャラの感情の動きに一定の理屈が見えるから見事だなと思います。
ところで、ルージョンとの中庭系イベントにはヒヤヒヤしっぱなしでした。ルージョンのつんけんとした態度は、寵愛者である主人公のせいでティントアが面倒に巻き込まれるからなのか、それとも片割れに近づく人間に本能的にむっとしてしまうからなのか。
ルージョンが死を覚悟している(ティントアを独り残していかねばならない)ことを考えると、あの厳しい態度も納得ではあります。ティントアルートでwithルージョンイベを見ると、和解させてあげたいと思ってうずうずします。
ティントア愛情Aの展開には、初見で妙にテンションが上がったのを覚えています。というのも、「冠を持つ神の手」というゲームタイトルがこのエンディング内で回収されたからです。神官ルートの面目躍如というか、実にニクイ演出だと思います。ティントア流の解釈も見事であり、幸福感溢れる幕引きでした。
ティントア愛情Bでは、ティントアはファダーの名を捨て、のちに独力で神殿議員になったようです。神官たる資格とメノヒアとの関係に悩んでいたティントアがいい具合に吹っ切れた結末だったと思います(ティントアの優秀さに加え、家名ではなく実力に注目する神殿議会の性質が分かる点も好き)。
養父メノヒアとの複雑な関係が語られるのもこのBエンドです。もうひとりやおじいさん(メノヒアの父)に続いてメノヒアまでいなくなるのが怖かったのかも、とティントアは告白してくれます。友情エンドを見るに、親しい人がいなくなることと同じくらい、その人の不在に慣れていくことも怖かったのではないかと思いました。
ティントア愛情攻略、やりごたえのあるルートでした。(裏切Cを思うと)やや不穏とはいえ、エンディングも安心感があります。根回しのはやさ、自立心の強さといったティントアの少し意外な一面を見られるのもいいですね。
憎悪
ティントアの憎悪エンドは2通り存在します。「城外訪問」かつ「ティントアを返り討ちにして見逃す」と憎悪Aになります。憎悪Aに至るには、武勇が50以上必要です。一方、「最初からティントアを訪問してただ話を聞く」と憎悪Bです。
ティントアの愛憎軸の忌避は、印愛がマイナスに振れ過ぎても発動します。というわけで、出会った時から忌避されない程度に印愛をマイナスに振っておきましょう(愛情攻略参照)。以後、引きずられ修正によって、顔を合わせるごとに好愛が少しずつ減少していきます。
イベント数の問題で好憎より印憎の方がカツカツになりがちなので、印愛はイベントごとにきっちりとマイナスに振るように心がけましょう。
憎悪エンドまでのオーソドックスな流れは、おそらく以下の通りです。
テ【もうひとりの邪魔】→ル【全てを分かつ選択】(自室預かり)→ル【帰る場所】→テ【途切れた訪問】
ティントアは自分自身には無頓着なキャラです。自身に向けられる敵意や攻撃には戸惑うばかりで、相手を避けることはしても反撃しようとすることはほぼありません(自身への好意についても同じことが言えるようです)。好感の引きずられ修正を利用するにも限度があります。
しかし、どんな人物にもウィークポイントはあるもの。ティントアにとってのウィークポイントはもちろん、彼にとって唯一特別な存在であるルージョンです。具体的には、ルージョンと2人っきりで仲良くし、ティントアをどこまでも仲間外れにしましょう。
「最近ルージョンと仲良いよね」と言われれば白々しくごまかしたり(【もうひとりの邪魔】)、ルージョンの命の危機を知らせず後になって洗いざらい報告したり(【途切れた訪問】)……といった言動が非常に効果的です。
数値的には、ルージョンの好愛を一定以上高めると、ティントアと顔を合わせるごとに彼の好愛がマイナスされるようになります。
※ちなみに、上記の修正条件はルージョンの憎悪攻略についても当てはまります(ティントア好愛高のとき、ルージョンの好愛にマイナス修正がかかる)。双子ならではのシンメトリーな設定ですね。
ティントアは「もうひとり」であるルージョンをずっと求めていました。だからこそ、「もうひとり」を奪おうとする主人公に対しては激しい憎悪と敵意を向けてくることでしょう。
どちらの憎悪エンディングでも、ルージョンが行方不明になったことが語られます。「登場しなくなったら最早この世の人ではない」というのはルージョンに関しての常識です。つくづく薄幸。
「主人公さえいなければもうひとりを取り戻せた」という悲しい理由で殺しに来る憎悪Aには、なんとも言えない気持ちになりました。実際はそんなはずもないですが、ティントアにとってはそうとしか思えないだろうな、と。失踪したティントアと主人公が再び会い見えたときは、また同じことを繰り返すのでしょうか。
ところで、このエンドでティントアに対抗するには武勇50が必要です。能力値は「50で一人前、100ですごいレベル」らしいので、武芸に縁がありそうには見えないわりにティントアはやけに強い気がします。
もっとも、ティントアは武芸の覚え自体は非常に早く、ネックになるのは異常なトロさのようです(【一緒に試合観戦】より。【聖書勉強会】を見るに普段は足も遅い)。諸々のエンドを見るに、追い詰められると思考と身体双方の素早さのリミッターが外れるようですね。
ティントア憎悪Bはかなり好みのエンディングでした。モゼーラ憎悪の燃えとサニャ憎悪Cの切なさを併せもつ結末だと思います。
この憎悪Bに燃え上がった結果、データを遡って「飼い殺し」から「国王」にまで登りつめてしまいました。好感が「近しい者への憎悪」になってさらにテンションが上がりました。大神官長と対峙するわけなので、やはり主人公も国王にならないと示しがつきません。
ティントアの本気というか、彼の捨て鉢の悲しい執念が一番伝わってくるのが憎悪Bだと思います。「もうひとりがもうひとりでなくなった」からの「もう、僕には、神しかいない」という吐露が悲しかったです。
「もうひとりだったルージョン」も、「もうひとりになってくれたかもしれない主人公」も失って、心の奥底で人の愛を望んでいたティントアはもはや一切の期待を捨ててしまったのでしょう。ティントアのことを愛する人が今後現れるかどうかに関係なく、ティントア自身はもう誰も愛することはできないんだろうな、という気がします。
神の愛は静かで等しく万人の支えになるけれども、人はそれだけでは幸せになれないのかもしれないと思った結末でした。
このエンディングのポイントは、主人公もティントアもルージョンという愛する人を失った点だと思います。「どちらもこの先幸せにはなれないし、同じ思いを共有しているのは相手だけ」というどうしようもない感じが好きでした。「もう神しかいない」とは言いつつも、ティントアは後日談を見るに、主人公への憎しみだけは終生忘れなかったようです。
そういう風に考えるなら、ある意味このエンディングでも、主人公は「もうひとり」になれたのかもしれません(あの場面で「どこか似ているところがある」って呪いっぽい)。
諸々を総合すると、「俺たちの本当の戦いはここからだ!」でした(制作者様の所感通り)。
ティントアが大神官長の位に登りつめたと明言されるのは、おそらくこのエンディングのみです。ティントアの神官としての実力や政治力がはっきりと証明された結末ではありますが、共に歩んでくれる友人なり愛する人なりを得た他ルートを思うと、やるせなさが後を引きます。
友情
ティントア友情エンドは全部で3通りです。ルージョンとの特殊な共通エンディングは友情A。通常エンドの場合、主人公が神殿入りするか否かで友情Bと友情Cに分岐します。
まずは、「ティントアとの接し方」や「友情B、Cの攻略」について書きます。友情Aは攻略の手順が込み入っているので、ひとまず後回しにします。
最初に、友情ルートにおける攻略スタンスを説明します。ティントアの友情を得るには、彼の難解な神様談義に付き合う必要があります。ただし、ティントアの宗教観は非常に独特であり、普通の神殿の神官たちが喜びそうなことを口にしても好友度が上がらないことが多いです。
ティントアにとっての「神」とは、基本的に人間に何の影響も及ぼさないものです。ただそこにあり、すべての人に等しく静かな愛を与えてくれる存在。人間に試練を与えることもなければ、願いを叶えることもなく、もちろん特別な恩寵を与えることもない。
だからこそティントアは、寵愛者の選定印を「神の徴」とは見なさず、魔物と戦い人を助けたと語られるアネキウスは「神」ではないと考えているのです。
正直なところ、神殿に属する人間にしてはアナーキーすぎる思想だと思います。リタントの王政にも堂々と喧嘩を売っているし。実際この思想が明るみに出た場合、ティントアは処刑されてしまいます。ティントアの独自の思想には、孤児院で育ち他者の愛を期待しなかった彼のどこか冷めた人生観が反映されているのかもしれません。
ともかく、ティントアの素直な共感を得られる選択肢を選ぶようにしましょう。思想こそ分かりにくいものの、イベントを進めていくと、ティントアの感情表現は意外とわかりやすいものになっていきます。たとえば、「僕もそうだよ」と共感された場合はほぼ間違いなく好友が上がっています。
攻略方針ですが、印友は最初からどんどんと振りましょう。これは好友の引きずられ修正を狙うためでもあり、中盤の【神殿の思惑】でティントアに身を引かせないようにするためでもあります(このイベント時点で印友不足の場合、ティントアはその後一切登場しなくなります)。愛情ルートとは違い、忌避判定の引っかけはないので安心です。
- 【神官の祈り】で足飾りを返すor一緒に祈る
- 【空を仰いで】で自分語り
- 【主日礼拝】でお皿キャッチ(要武勇)
上記の3イベントと選択が、序盤で効果的に好友を上げられるポイントです。その他、雨の日イベントの【雨の日の憂鬱】はルージョン登場後orある程度好感度を高めてから臨むと選択肢によって大きく好友が上がります。
また、友情Aを勘案しない場合、信仰はさっさと100以上にしましょう(※友情Aを狙う場合、信仰100以上でルージョンの好感度にマイナス修正がかかるため、信仰を99以下に留めて攻略するが吉)。
ルージョン未登場or重要イベントである【査問会】未発生であっても、友情Bと友情Cには到達可能です。もちろんルージョンとの和解を助けるとティントアの好友はかなり上がります。しかし、彼女をスルーしてもイベント不足にはなりません。「心の友」になることも可能です。
【査問会】を起こす場合、友情ルートでは反論しても同意してもどちらでもOKです。同意した場合、(好愛30以上という条件を満たしていない限り)その周回ではティントアは登場しなくなります。しかし査問会終了時点で好友が35以上ありさえすれば、【最後の日】にティントアを訪問して友情エンディングを迎えることは可能です。ちなみに、同意すると好友が大きく上昇します。
一方、反論した場合、ティントアは【査問会】後も問題なく登場します。反論時に注意すべきなのは、「(主人公は)自分が神に選ばれたと思っているのか」という問いへの応答でしょうか。どちらの選択肢を選んでも好友度は下がりますが、一方はもう一方の倍ほど減少します。
「反論する」という選択肢自体は、「場を掻きまわしてティントアの発言をうやむやにしよう」という(主人公の)意図を前提に用意されている節があります。よって、前後で辻褄の合わないとんちんかんなことを言い、ティントアを戸惑わせるのがいいかもしれません。
友情A(ティントア&ルージョンの共通友情エンド)の攻略方法
それでは次に、友情Aの攻略方法について説明します。友情Aはティントアとルージョンの共通友情エンディングであり、攻略難易度は高いです。
友情Aを迎えるには、単に2人の好友を35以上にするだけでなく、複雑な兄弟関係にある2人を和解させる必要があります。
ルージョンはある理由から頑なにティントアとの接触を避けています。一方のティントアはルージョンを思いつつも、「諦め」が勝ってなかなか強く引き留めることができません。よって関係の修復は、ティントアが思い切れるかどうかにかかっています。ティントアがルージョンを諦めないように、多少強引な手段を使ってでも立ち回りましょう。
具体的な話をすると、ティントアにはあらかじめ「諦め値」というものが設定されています。諦め値は最大5、最小0。スタート時は4ポイントです(つまり、ルージョンとの関係修復をほとんど諦めかけている状態)。
この諦め値を黒の月黄の週中日までに0にすることができれば、中日【もうひとりへの想い】→【あの雨の日】が発生して友情Aに到達できます。
ただし、双子の和解への道のりはそこそこ険しいものです。ポイントとなるのは、「ルージョンの好友度」と「主人公の能力値」の2点です。
「ルージョンの好友度」に関して、ルージョン登場後はルージョンを重点的にかまいましょう。ルージョンはティントアと関わることを嫌がっています。そのため、和解を手助けしようとして主人公がおせっかいを焼くと、主人公に対する好感度を容赦なく下げてきます。だからまずは、ルージョン個人のイベントをこなし、彼女の好感度を十分に高めておきましょう。
一方、ティントアの好感度は、ルージョンとの和解に協力すれば自然と上がっていきます。ただし、完全に放置するのは得策とは言えません。ティントアにもほどほどにかまいましょう(ティントアを完全に放置すると攻略に失敗する可能性があります。詳細は、共通友情エンドの攻略記事に書きました)。
また、友情A攻略においては、信仰を99以下にとどめましょう。これは、信仰100以上でルージョンの好友にマイナス修正がかかるからです。逆に、魔力は早めに100以上にするのがベターです(※王を目指さない場合)。
次に「主人公の能力値」ですが、知力・交渉・魔力を特に高める必要があります。知力と交渉は【心待ちの返事】での手紙でっち上げに、魔力は【すれ違い】で隠れるルージョンを引っ張り出す*3ために必須です。特に魔力は、【渦巻くその力】が発生したらすぐに50まで上げましょう。
*3「一度ティントアをスルー→隠れているルージョンを発見→ティントアを呼ぶ」という流れで2人を会わせるのも、「諦め値の減少」に限っては有効です。ただしこの方法は、ルージョンの好友減少が著しいのがネックです。
諦め値の増減に関わるイベントは非公式のwikiに詳しくまとめられているので、そちらを参照するとわかりやすいかと思います。私個人は、下記の3つのイベントを起こしてゼロにすることをオススメします。後ろ2つのイベントはセットで起こりやすい点もグッドです。
諦め値減少イベント
【心待ちの返事】で手紙でっち上げ成功
備考:事前に手紙の内容を把握すること。知力交渉が70~80程度必要? 魔力もルージョンを装うために必要か。【すれ違い】でルージョンを引っ張り出す
備考:要魔力【二つの名前】を起こす
備考:要「ティントア印象>ルージョン印象」
イベント数に関して、「あれ、3つのイベントで諦め値が4→0になるの?」と自分でも思いました。イベントリストで確認したところ、手紙のでっち上げで2ポイント下がるようです(イベント終了直後、ルージョンのイベントリストの【いらぬお節介】発生条件を充足)。
もしフラグが足りなければ、【叶わぬ事変わらぬ事】を起こして間に合わせましょう。
諦め値の変動には関係ないですが、友情Aを攻略するときは、足飾りをルージョンに返しておくと後々グッとくることが多いです。主に【雨の日の探し物】や【あの雨の日】の話の展開に関係してきます。個人的にはルージョンの真意にホロリとし、ティントアをもっと応援したい気持ちになりました。
ティントア友情Bと友情Cは、対等な友を得てティントアが充足し生き生きしたように見えるエンディングでした。後日談でも友情関係が末永く続いたことが語られます。
ティントア友情ルートの楽しさは、イベント進行に伴い、ティントアが自分の言葉でコミュニケーションを取り出す過程がはっきりと分かるところにあると私は思います。自分の思想を間違いだとは思わずとも、神官としてあるべき姿勢とのギャップに悩んでいた節はあるので、ティントアが忌憚なく話し合える友人を得られて本当に良かったなと感じました。
ところで長い間知らずにいたのですが、【人の愛神の愛】で「神の愛について聞く」を選択した上で友情Bか友情Cを迎えると、【最後の日】の話の内容に大幅な追加があるんですね。
記事を書くにあたってやり直していたら、見たことのない内容の台詞が出てきてテンションが上がりました。自分ではかなりやり込んだつもりだったのに。かもかては本当に奥の深いゲームです。
友情Aの内容とも関係しますが、ティントアは本質的に冷めた性格の人です。両親は自分たちを捨てた、神様は救いをくれなかった、神の家は燃えてしまった。離れては生きていけないと思っていた「もうひとり」すら消え、そして彼女がいない生活にも慣れた。自分自身の心も含めて何一つ確かなものはない、この世に信じられるものなどない……と、幼くして悟ってしまったわけです。
そんなティントアの心を支えたのは「神」の存在でした。ティントアの言う神は「世界」と言い換えてもいいような気がします。
私たちは夜ベッドに入るとき、明日が来ることを疑いません。朝になれば光が差し、雨は誰にでも分け隔てなく降り注ぎます。ティントアはそれら「絶対に揺らがず変わらないもの」を己にとっての「神」であると思いました。
誰も選ばず、逆に言えば誰も排除しない慈悲深い「神」を、自分は信じているとティントアは言います。その「信じる」は、願うことでも頼ることでもないし、誰かをずっと好きだという思いと同義でもないのです。
この語り、まるで信仰告白のようにも思えました。ティントアの神への想いの深さ、感謝の気持ちがひしひしと伝わってくる【最後の日】でした。
そして、外に向けて語る必要のなかったその言葉を主人公に対して言いたかった(聞いてほしかった)ところに、ティントアの友情への感動が表れているのだろうと思った次第です。「ここでレハトに会えて、本当に良かった。……ありがとう」という言葉にも、同じような感動が込められているように感じました。
友情エンドだから神だけじゃなく主人公のことも信じる~とはならないあたりが流石だと思います。なんというか、こういうキャラだからこそ私はティントアのことが好きなんだろうなとあらためて思いました。
ところで、友情Cでは大神官長キアノー(「神と会った男」)が主人公のもとにやってきます。彼は純粋な好奇心から主人公を神殿に誘っていたことを告白します。
ディットンの古神殿は数千年前から続く歴史の集積をそのまま継承しているらしいので、きっととんでもない秘密を抱え込んでいるのでしょう。寵愛者が世界の理、おそらくは選定印にも関わる秘密を知った時に何を思うのか。プレイヤーとしても非常に気になる話題でした。
そしてティントア友情Aですが、静かな感動と驚きを与えてくれるエンディングでした。和解のキーがティントアの諦め具合だったことも含め、実質的にティントアの掘り下げエンドと言ってもいいような気がします。私がティントアを決定的に好きになったのは、この友情A攻略でガツンと衝撃を受けたからです。
不思議な話ですが、愛情を自覚したティントアが病的なまでに「主人公にとっての一番」を求める理由を深く考えることはありませんでした。せいぜい「ルージョンの喪失が心残りで代替品の主人公を今度こそ失うまいとしているのかな」くらい。単純にそういう性質(ヤンデレ)のキャラなんだろうで終わらせていました。ついでに言えば、もともと対人の愛情には興味の薄い性格なんだろうとも思っていました。
しかし友情Aを見ると、「それまで抱いていたティントア観」を綺麗に覆されざるを得ませんでした。
ティントアとルージョンは、実はどちらも「人の愛」を渇望していました。ただし、その求める方向という一点において2人は大きく道を分ったのです。
ルージョンは出生にまつわる負い目もあって早くに自我を確立し、自身を必要としてくれる老魔女に依存することを選びました。一方のティントアは、いつまで経っても自分と「もうひとり」の区別をつけないまま成長し、ただ「もうひとり」の愛だけを求め続けました。
つまり、ルージョンが求めたのは自分を必要とする誰かの愛だったのに対し、ティントアが求めたのは唯一片割れの愛だけだったということです。
ここで重要なのは、ティントアが欲しがったのは「ルージョン」の愛ではなく、「もうひとり」の愛だったということです。ティントアにとってルージョンは「ルージョン」ではなく、「もうひとり」でしかありませんでした。つまり、ルージョンを別個の存在としてでなく、自分と同一のものとして見ていたのです。
がむしゃらに他者の愛を求めたルージョンに対し、周囲に失望していたティントアは、「自分を愛してくれる他者などいない」と思っていました。自分を愛してくれるのは「もうひとり」だけ、つまり「自分と同じもの」だけだ、と。
だからこそティントアは、頑なにルージョンを「もうひとり」と呼び続け、自分たちがもはや「ティントア」と「ルージョン」に分かれてしまったことを直視しまいとしたのでしょう。なぜなら、「自分と別のもの(ルージョン)」は「自分(ティントア)」を愛してはくれないからです。
ティントアの異常な愛し方は、実は自分以外のものへの不信から来るものであることが私にとっては衝撃的でした。普段のティントアは、神とルージョン以外には執着する素振りも遠ざける素振りも見せませんでした。だから、周囲のものをごくフラットに、淡泊にとらえているのだろうと思っていました(熱烈なファンを避けるのは、やはり淡泊ゆえにどう対応していいのか分からないからなんだろうな、と)。
しかし一方で、「だから愛情モードに入ると自分に取り込むような勢いで相手に執着していたのか」と腑に落ちる部分もありました。
【あの雨の日】でティントアが「ルージョン」と呼びかけるシーンは、個人的にかもかての中でも五指に入る印象的な場面です。呼ばれて初めて振り向くルージョン、自分の口から出た言葉に固まるティントア、対称の石像のように向かい合う双子……と情景がありありと目に浮かびます。
「僕はティントア。彼女は……ルージョン。あの頃には、戻れないんだね。本当に、もう、二度と。」という台詞も大好きです。
現状を直視した上で、人を愛する心と愛されることへの期待を自覚し、ルージョンに伝えることができたティントアには、ただただ良かったなあと思いました。ある意味、ティントアの兄らしさを初めて感じたエンディングだったかもしれません。「一番でなくてもいい」と言えるようになった後日談からもその精神的な成長は読み取れます。後味はあっさりですが、苦労に見合う実りある結末だったと思います。
友情エンディング後のティントアは、心安い友を得て将来的にも安定します。ティントアというキャラの核心に近づけることもあり、どのエンドも大好きです。
裏切
ティントア裏切エンドは愛情ルートを前提とし、3通り存在します。ルージョン登場済&【移譲の儀】で「男」を選択すると裏切Aです。一方、ルージョン未登場&【移譲の儀】で「男」を選択すると裏切Bになります。
また、愛情ルート確定後、【最後の日】に他キャラを訪問すると裏切Cになります。
裏切Aと裏切Bは、通常の裏切エンディングです。「ルージョンの登場の有無」によって分岐します。しかし、裏切Cはかなり特殊なエンディングなので、以下に詳しく書きます。
前提として、テ【秘められない思い】を起こしつつ、ティントア以外のキャラの印愛を35にしましょう。そして【最後の日】にティントアではなく、印愛を35にしたキャラを訪問します。
するとひょっこりとティントアが現れ、他キャラ訪問を妨害してくるのです(ちなみに、ここで彼に従えば正規の愛情エンドに戻れます)。
妨害されたときにあくまでも拒否を貫いた場合、ティントアは主人公を責め、「他の人間のところに行くなんて認めない」と宣言。結局他キャラへの告白は失敗し、強制的に裏切Cエンドへと移行してしまいます。
つまり、ティントアの好愛が35以上のまま【最後の日】を迎えると、その時点で他のキャラとの愛情エンディングを迎えることはできないのです。さらに驚くべきことに、せめて神殿での性別選択によって裏切ろうと思っても、再びティントアが登場し、無理やり女性を選択させられることになります。
いったんティントア愛情ルートに入った場合、裏切Bを避けつつ他キャラエンドに至る方法はただ一つきりです。それは、ヴァイルの憎悪エンドに突入すること。酷い二択です。
ティントア裏切Aと裏切Bについては、「選択……選別……何が、神聖……」というフレーズが妙に記憶に残っています(深読みするなら、別個のものになってしまった自分とルージョンのことも念頭にあったのか)。
とにかく、やってはいけないことをやってしまった感が強かったです。後日レハトに恨み節をぶつけにくるルージョンには本当に申し訳ない気持ちになりました。裏切B(ルージョン未登場)で寵愛者の部屋にまでやってくるニーナッテにも心が痛みました。
ちなみにティントアルートのみ、【最後の裏切】からしれっと性別選択をやり直して愛情エンドに戻ることが可能です。さすがは秘蔵っ子神官。
ティントア裏切Cについては、「このゲームのシステムを超越するティントアSUGEEEE!」としか言いようがなかったです。【最後の日】に何も選択できないってスゴイ。完全なるヤンデレになったティントアに死角はないんですね。
正直なところ、「告白しておきながら最後の日に知らんぷり」という薄情で不誠実なプレイを散々やっていたので、この仕様は痛快でした。向こうの言い分はもっともだと思います。もっとも、いきなりティントアが背後に現れる文字演出は完全にホラーでした。怖すぎる。選択肢をかき消されるシーンもゾワッとしました。
また、神殿での性別選択を「男」にしたときは、いきなり出てきたティントアに本気でビビったのをよく覚えています。「レハトがたまにうっかりするの、分かってる」がたとえようもなく怖い。
たとえ王になる条件を満たしていても、裏取引でレハトを囲い込むティントアすごいですね。根回しが良すぎるというか政治力が半端ないというか、あらゆる意味でシステムを凌駕しています。
後日談でも安定の執着ぶりでした。「もうひとり」を失ってからようやく手に入れた、自分を一番に愛してくれるはずの人を、ティントアがみすみす逃すはずはないのでしょう。
殺害
該当するエンディングは3通りです。【最後の日】に刺すとAエンド、毒を用いるとBエンド、告発するとCエンドです。
Aエンドについては、愛情派生(反転)、憎悪派生、友情派生となんでもOKです。
愛情派生の場合は【査問会】後に神殿を訪れ、アモナに会って「神官になる」と約束しましょう(【神官たる資格】→【神殿への訪れ】)。神官になると約束しないと、ティントアを冷たく突き放すか陥れるかの二択しか選べず、エンド未到達となります。
憎悪派生と友情派生の場合は、部屋に招かれたところでサクッと実行しましょう。
BエンドとCエンドは友情派生であり、こっそりと憎悪をつのらせる必要があります。
Bエンドの場合は、まず市で3回ティントアの憎悪占いをし、占い師から毒を手に入れましょう。あとは【最後の日】に部屋を訪ね、隙を見て毒を盛ればOKです。
Cエンドは、ルージョンの存在を暴露するか、ティントアの異端的な思想を告発するかの二択です。前者はルージョンの登場、後者は中日イベントである【神いずこ】(withルージョン)の発生が条件となります。
弟には敵わないものの、ティントアは死亡パターンの多いキャラだと思います。たとえば、Aエンドだけでも3種類に細分化できます(愛情、友情、憎悪派生。場外訪問からの妨害を返り討ちにした上で、ルージョンと愛情エンドを迎えることも可能)。
個人的に一番印象的だったのは、愛情派生のAエンドでした。「そうかもしれないって思ってた」と驚くこともなく落ち着いた様子で受け入れてくれるんですよね。
愛憎紙一重の理屈を説いて、「今の二人の気持ちは同じようなものなのかもしれない、それが分かればいいや」と半ば安心したように事切れる流れが心に刺さりました。異端的な思想を持ちながら、神様のお迎えを少しだけ期待していたらしいのもまた悲しかったです。
そして、もしティントアに手を下したことが明るみに出た場合、主人公はルージョンからしかるべき報復を受けることになります。たとえルージョン自身の好感度が「一心同体」でも、彼女は主人公を見逃すことはしません。双子の絆の強さ、おそるべし。
ティントアの殺害エンドは、憎悪派生のAエンドを除くと特にティントアに非を見つけられません。だから、この「審判」もむべなるかなという感じです。
しかし上述した通り、ティントアを殺害した上でルージョンと愛情エンディングを迎えることもできます(ルージョン愛情とティントア憎悪を同時に攻略した場合)。
老魔女を失ったルージョンは、精神的な意味で主人公なしで生きていくことはできない気がします。それでもティントアの死の真相を知れば、やはり主人公に報復をするのではないでしょうか(その後で、自らも2人の後を追いそうなイメージ)。
Cエンドは、なんと処刑エンディングです。魔術師と通じることや神殿の教義に逆らうことがどれほど危険なのか、身に染みてわかる結末でした。
このエンディングでは、なぜかルージョンが報復に現れることはありません。少し不思議な話だと思います。【神いずこ】でのルージョンは、ティントアの異端思想を知る者が現れたらこの手で葬ると決意している様子でした。隙のあったティントアも悪いとはいえ、ルージョンがあっさりと割り切ってティントアを見捨てる気もしません。
とはいえ、ティントアの処刑の認可が下りたのはおよそ半年後のことです。告発者である主人公への復讐よりディットンに身柄を移されたティントアの救出を優先させようとするも、「間に合わなかった」のかもしれません。
つまり、ティントアが処刑された頃には、ルージョンもすでにこの世にいなかったのではないかと思います。
グラドネーラの宗教観
ティントアを攻略するにあたって、グラドネーラ世界の宗教観について色々と考えてしまいました。ティントア本人はユニークな宗教観を持っているので一般的なそれを深く考える必要はないんですが、やはり気になります。
そこで、この項目ではグラドネーラ世界の宗教観について気になるところをピックアップしてみます(参考:【いずれ着く処】【かつての面影】【山へと導かれ】【帰還の日】【人と神の境】【本を読む】)。
【本を読む】では聖書を読むことができます。外付けの事典によれば、聖書は大きく「創世の書」「救世の書」の二部構成だそうです。一部には神による世界創造の経緯、二部には人に身をやつしたアネキウスが堕落した世界を再生させた経緯が書かれています。
(ティントアは違うと思っていますが)神=アネキウスです。アネキウスは「唯一絶対の神」であり、「世界の創造主」であり、「人間の守護者」です。かつて人間の姿を借りて地上に降り立ち、魔物を退治して人を救ったとされています。
世の成り立ちにも書かれていますが、光=天・善いもの/闇=地・魔と結びつくものという認識があるようです。アネキウスが「太陽」と同一視され、「空飛ぶ鳥の羽」を持つ存在とされるのもそれが理由なのかなと思います。
アネキウスについて気になるのは、「無性」の存在だと考えられていることです。主人公たち三足族もまた、性を持たずにこの世に生まれてきます。
神様の性別があやふやなのはそこまで珍しい話ではないと思いますが、ユリリエ裏切Aを見てからちょっと気になり始めました。私たちの護り手アネキウスは女でも男でもない存在、なら成人して性を獲得する私たちは、望んで完全な存在から不完全な存在に堕ちているのではないか……とユリリエは言うからです。
そういう風に言われると、神の子として生まれて人の子になっているような気もします。どこか『オシチヤ』を彷彿とする示唆ですね。
次に、「人々の死生観」について考えます。これに関しては、何人ものキャラが共通した見解を話してくれます。
特徴的なのは、輪廻転生の思想でしょうか。肉体は朽ちるが、人の魂はけして滅びず、何度でも巡って永遠の輪を描く。人間の魂は再び地上で命を得て蘇る。 この魂が描く永遠の輪廻の輪こそ、神と人との契約だとされています。
この輪廻転生思想があるからこそ、ローニカやリリアノは、「主人公は四代ネセレの生まれ変わりなのではないか」とうっすらと思っていたわけです。年齢的にネセレの実子ではなくとも、その魂の中身までは確かめようがありません(とはいえ、神の国に迎えられるらしい寵愛者も転生するのか、そう一般に考えられているのかと不思議に思ったり)。
人が亡くなることを、グラドネーラでは「山に登る」/「お山に行く」と表現します。人の魂は肉体が朽ちると神に導かれて山へと向かい、山を登って神の国へ至るか、山に沈んで次の導きを待つことになるそうです。
神の国へ迎えられるのは強く正しい魂、つまり高名な神官や英雄、神に愛された寵愛者だけだと言われています。神の国へ至ることは最大の栄誉ですが、たとえばヴァイルなどにとってはあまり喜ばしいことではないようです。
ところで、この死生観に関してモゼーラが一風変わった話をしてくれます。何度弾圧されても一定の期間をおいて蘇るある異端思想の話です。
いわく、人は神になれる。山と人の世を行き来する中で人は山を登りつめ、神の国に至って神になる、と。ずいぶんとアグレッシブな思想ですが、これは単に解釈の違いなのでしょうか。あるいは、アネキウス信仰が確立する前から存在した初期形態の信仰が、人がダイレクトに神に成るという思想なのかもしれません(教会が成立する前と後のキリスト教みたいなもので)。
死生観には個人や集団の宗教観が如実に投影されるので、面白いなと思います。最初は、作中世界と輪廻転生の思想の取り合わせを新鮮に思ったことを覚えています。どちらかといえば西洋イメージのある世界観だからでしょうか。選定印のからくりと輪廻転生思想には何か関係があったりしないかなーとか考えるとワクワクします。
※追記:ルージョンイベントの1つである【建国王の仕掛け】を手掛かりに、「王と魔術師」および「神と魔術師」の関係性について考える記事を書きました。
≪関連記事:「神の代理人」か「魔術師の同胞」か? ルージョンイベント「建国王の仕掛け」に見る初代ルラントの正体 【冠を持つ神の手/かもかて考察】≫
リタント建国と神殿
リタントにおける神殿は、王権に侵されない独自の権限を持っています。たとえば「古神殿の所有権」や「神殿の独立自治権」などです。たとえ神に選ばれた王であっても、神殿の内政にはおいそれと干渉できません。
そして、この別格の扱いは、神殿がリタント建国に大いに貢献したことに端を発しています(こういった歴史を基盤として今に至る関係性って大好きです)。
というわけで、この項目では「リタント建国史における神殿の役割」について簡単にまとめました。(参考:【選定の印】【唯一絶対の武器】【聖徒】【神殿書庫】)。
現在から百数十年ほど昔のダリューラ王国時代、のちにリタントを興す主人公たち「三足族」の先祖は、他の二種族に虐げられていました。要職は他の種族に独占され、危険な「魔の草原」に近い場所(大陸中央部、現ディットンの近くか)に追いやられていたのです。
この状態を不服として反旗を翻し、三足族を率いて独立運動を開始したのが後の初代国王ルラントです。彼は北の穀倉地帯への移住を求めて反乱を起こし、宗教の元締めである古神殿を包囲。北への進軍中に王城の前身である砦を占拠し、ここに「分裂戦役」が始まりました。
穀倉地帯を早期に押さえたこともあって三足族は分裂戦役を戦い抜くことに成功し、ついには独立を勝ち取ります。そうして大陸西部にリタントが興り、大陸東部の他種族の国(ホリーラ)との間には、長大な「壁」が作られました。
ところで、ルラントの反乱の追い風となったのは、「古神殿の包囲・封じ込め」の成功でした。この事件の意義は非常に大きく、「神殿組織の総本山である古神殿の制圧なくしては反乱自体が成り立たなかっただろう」とリリアノは語ります。
そしてこの事件の経緯こそ、ダリューラ王国時代における三足族と神殿の複雑な繋がりを示唆するものでもあります。
実は三足族不遇のダリューラ時代にあって、神殿内部だけは少し状況が違いました。神殿はダリューラが国の形を失い始めた時期、大陸各地に拠点をおいて根を張りめぐらせ、ひそかに力を蓄えていました。その過程で、疎まれていた三足族を受け入れ、多少なりとも要職にアクセスできる環境を整えていたのです。自然、冷遇されていた三足族の中でも優秀な者は神殿に集い、そこでの出世を目指すようになりました。
しかし労せずに良い人材を囲い込んだはずの神殿は、思わぬしっぺ返しを食らうことになります。すでに古神殿に入り込んでいた神官たちがルラントに呼応し、反乱勢力の手引きをしたからです。内部の人間の協力もあって古神殿の包囲・封じ込めは見事成功。ルラントの反乱は衆目の的となり、その勢いを増しました。
実際にはルラントと当時の大神官長との間で密約が交わされており、古神殿は制圧されたのではなく、自主的に反乱を支援したのでは……という異論*も存在します。リタント建国後、神殿に完全な自治権が認められたことがその根拠です。
*とはいえ、当時の大神官長はおそらく他の二種族出身だったはずで、「三足族の反乱に簡単に手を貸すのかな?」とは思います。三足族が古神殿を押さえたまま独立すれば、他二種族の国と古神殿は地理的に切り離されてしまうでしょうし。
ともかくルラントの反乱、ひいてはリタントの建国が神殿の協力なくして成立しなかったことは確かです。だからこそ神殿は今なお大きな権限を持ち、その権限がかつての貢献を示していると言えるのではないでしょうか。
反乱当時に神官たちを率い、後に大神官長となった人物は、名を「メネデラード」といいます。名前から溢れる強キャラ感。王城の神殿の壁にも「聖徒」としてその名が刻まれています。
「ルラントの額の徴は古神殿包囲時にすでにあった」とする説もあるらしいので、このメネデラードが一枚噛んでいたら面白いのになあと思ったりします。あるいは、当時の大神官長とルラントの間に密約があったとするなら、密約を仲立ちし大神官長を誘導したのが彼だったのかな、とも(もしくは、包囲・封じ込め以前にメネデラード一派がクーデターを起こし、他の勢力を無力化していたとか)。
仮に密約がなかったとしても、反乱時にルラントを主立って手引きしたのはメネデラードなのではないかと思います。そのあたりの秘密もすべて、代々大神官長に伝えられているのでしょうか。
※「謎多き初代国王ルラントと大神官長メネデラード」に関しては、以下の記事でも関係性を考察しています。
≪関連記事:「神の代理人」か「魔術師の同胞」か? ルージョンイベント「建国王の仕掛け」に見る初代ルラントの正体 【冠を持つ神の手/かもかて考察】≫
嫉妬・夢イベント/ヴァイル憎悪監禁エンド
嫉妬イベントについて、ナチュラルなスキンシップで無意識に恋敵を煽るティントアは大物だと思いました。サニャやグレオニーの慌てぶりが面白かったです。
タナッセは、なぜかティントアに対してだけは面と向かって食い下がれるんですよね。例の事件の後ということもあって他キャラ相手にはほとんど「ぐぬぬ」状態なのに。これがいわゆる友人フラグなのでしょうか(※主人公が存在しないif世界では、2人は友達になるそうです)。
個人的に好きだったのは、まずユリリエ嫉妬です。「お願いよ」とめずらしくしおらしいユリリエのお願いが可愛らしかったです。ティントアの前では強気に振る舞っていても、内心ちょっとハラハラしていたのかなーと思うと堪らないものがあります。
次に、ルージョン嫉妬も緊張感漂う中に切なさのあるイベントでした。「(主人公が好きなのは)もうひとりで、僕じゃない。もうひとりは、僕じゃない」という台詞や、あえて茂みから出てこないルージョンに対しすぐに事情を察するティントアという構図も好きです。
夢イベントについて。まず、【愛しき夢】は通常運転という印象です。あのスキンシップはティントアのキャラだから許されるタイプのものだなーとつくづく思います。
【親しき夢】では、何度も神の家の焼け跡を訪れているのかと少し切ない気持ちになりました。
ヴァイル憎悪監禁エンドとティントア愛情エンドを並行しました。ティントアは城に残り、新王と対立したそうです。ティントアを敵に回して無事でいられるヴァイルすごい、と反射的に思ってしまいました。国王が一神官に負けるはずもないからおかしい感想ですが(とはいえ、他の平民身分のキャラとは違って王城残留を許容されているのはさすが秘蔵っ子神官という印象)。
再びすべてを失ったティントアがどんな精神状態になってしまったのか、考えるだけでもつらかったです。自分が人の愛を求めていることを確信した彼が、再び神の愛のみにすがって生きていけるものなのか、と。
ティントアのBGM(「福音」)っていいなあとプレイしていてあらためて思いました。あの厳粛かつ神秘的なザ・神殿BGMをキャラクターのテーマにするセンスが素晴らしいな、と。♪「福音」がカッチリとはまるティントアのキャラ造形も同じく素敵です。
しかし、神殿は第三者だけあって曲者ですね。感想を書く上でも色々と込み入っているので大変でした。そういうところにティントア攻略の面白さややりごたえの理由も一定あるのだとは思いますが。
神殿をベースとするキャラなので他キャラとの絡みは少ないですが、【思惑】(withリリアノ)はとても面白かったです。立場は違えど神に懐疑的な2人の神様談義にはかなり興味があります。
また、【神いずこ】はかもかての全イベントの中でもかなり好きな対話イベントです。神に対して対照的なスタンスをとる双子の問答から始まり、ティントアの異端思想が明かされ、ルージョンが激しく動揺する……と内容たっぷり。
「(略)だから僕は知っている。アネキウスは、神ではないことを。」を初めて聞いたときはゾクゾクしました。ルージョンのどこか狂気じみた決意も含め、とことんツボにはまるイベントです。
ティントアは掴みどころがなく、性格を把握しにくいキャラだと思います。それでいて全体像が見えてくると、個々の描写にきちんと筋が通っていたことが分かってきます。個人的にはそういうタイプのキャラって面白くて好きです。理解したくて色々と考えてしまい、その過程で愛着を持ってしまうからでしょうか。
達観した冷ややかな一面と脆く純粋な一面。一見相反する2つの要素をしっかりとした理屈で以て両立させているところが、ティントアというキャラクターの見事なところだと思います。正直に言うと愛情ルートの過剰なスキンシップには最初たじろぎましたが、そこにさえある程度の理屈を持たせることが可能なのがすごいです。
ルート攻略の難しさもあって文章量がかなり多くなりました。キャラについても色々と考えてはいたものの、アウトプットするとなると苦労しました。ともあれ、やっぱりティントアのキャラクターは面白くて大好きです。
私事で忙しく、更新がずいぶんと遅れてしまいました。他の感想記事を読んで待っていてくださった方もいるようで、本当にありがとうございます。今後は更新頻度がどうしても落ちてしまうと思いますが、かもかてキャラの感想は、あと2人分きっちりと上げる予定です。
その11は、ティントアの双子の弟である魔術師ルージョンについての感想です。
次回:『冠を持つ神の手』 ルージョン 感想 攻略 その11
関連記事:共通友情エンド×2とヴァイル憎悪監禁エンドを並行して攻略 【冠を持つ神の手/かもかて】
以下は拍手コメントへの返信です。(2017/06/12)
> 2017/06/05の21時に拍手コメをくださった方へ
拍手コメントありがとうございます! 返信が遅くなって申し訳ないです。
記事を読んでいただいたことに加え、勿体ないくらいに嬉しい言葉をありがとうございます。ティントアの感想記事は、書くのにかなり苦労しました。上でも書きましたが、「いったいどういう人なんだろう?」が先に立つキャラだったので。ただ、その分時間をかけて考えられたので、自分なりのキャラ観を掴めた手ごたえはありました。かもかてのキャラはちょっと生々しいくらいのリアリティーを持っているので、奥深くて魅力的だなーとプレイするたびに思います。
考えをうまく文章に乗せられているのかいつも心配しているので、頂いたコメントには本当に嬉しい気持ちになりました。ありがとうございました。
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