『冠を持つ神の手』 ルージョン 感想 攻略 その11
異世界ファンタジー育成系ADV、『冠を持つ神の手』(かもかて)に登場するキャラクター、「ルージョン」の感想&考察&攻略記事です。制作サークルは小麦畑様。
全イベントとエンドを見た上での感想なので、ネタバレしかありません。未見の方はご注意ください。考察みたいなものも書いていますが、あくまで個人的な考えです。主観まみれです。
・関連記事①:共通友情エンド×2とヴァイル憎悪監禁エンドを並行して攻略 【冠を持つ神の手/かもかて】(ティントア&ルージョンの共通友情エンドと、特殊な後日談が発生するヴァイル監禁憎悪エンドを並行して攻略)
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◇ルージョン・アーネ=フィアカント
18歳の女性。魔術師。神官ティントアの双子の弟。容姿はティントアにそっくり。
かつてフィアカントに存在した孤児院「神の家」で育ち、ある夜突然姿を消した。成人後にティントアと再会し、ある目的を果たすために神官服を着て城内に出没する。
兄とは対照的に口が達者で気性が激しい。他者への警戒心が強く、主人公に対しては辛辣な突き放した態度で接する。なぜかティントアと関わることを頑なに拒む。
登場条件:【ティントア?】発生
冠を持つ神の手
※リタントでの性別関連の呼称
三足族の人間は、成人するまで性別が確定しない(未成年は無性)。そのため「令嬢」「妹」「(子供としての)娘」といった呼称は存在せず、女性でも一律「令息」「弟」「息子」と呼ばれる。
※姓名について
(名前)・(分家名)=(本家名)。(本家名)がその人の出身家の姓を表す。「アーネ=フィアカント」は、孤児院「神の家」で育った子供たちに与えられる姓。「アーネ」は「アネキウスの子」を意味する。「フィアカント」はリタントの首都であり、「神の家」のかつての所在地だった。
ルージョンについて
「ルージョン・アーネ=フィアカント」は魔術師です。担当パラは隠しパラである魔力。
ルージョンと主人公の出会いの場は中庭で、主人公はティントアを装うルージョンにそうとは知らずに話しかけます。素のルージョンと話せるようになるのは、双子の密会を目撃後、通報しないと約束してからのことです。
※ルージョンの好感度の初期設定はやや特殊です。「愛情攻略」の中で詳しく書きました。
かもかてには様々な出自・所属を持つキャラクターが登場します。ルージョンはその中でもとりわけ風変わりな肩書を持つ人物です。なんといっても、「魔術師」です。つまりグラドネーラには、不思議な力・超自然的な力を扱う人々が存在するわけです。個人的な思い出ですが、ルージョンが登場したときはかなり驚き、同時にワクワクしたことをよく覚えています。
ルージョンは、一言で言えば「世界の裏側」(「社会の裏側」ではなく)を垣間見せてくれるキャラクターだと私は思っています。コインは表の面と裏の面から構成されています。世界も同じことです。グラドネーラに“存在しない”魔術師との出会いは、見えなくとも確かに存在する世界の裏側への気づきに等しいのです。
世界の裏側に生きる魔術師は、ある意味で世界の秘密にとても近い位置にいます。複雑な社会制度や入り乱れた勢力図に翻弄されないがゆえに、彼らは世界の理に対する独自の視点を堅持してきました。
したがって、プレイヤーはルージョンの攻略を通じて、今までとは異なる世界の見方(そして世界への疑問)を得ることができます。
ところで、グラドネーラにおける「魔術師」は「赦されざる存在」であるとされています。聖書によれば、太陽神アネキウスはかつて弱き人々のために地上に降り立ち、剣を以て魔を打ち払いました。魔術師とはその魔に通じ、恐ろしい術を用いる邪悪な者だと認識されているのです。
とはいえ、現在のリタント王国には“魔術師は存在しません”。リタント建国の端緒となる分裂戦役が起きるよりも前、すなわちダリューラ王国時代において、魔術師はすべて討伐されたと伝えられています(【ありえぬ存在】)。つまり魔術師は、すでに死に絶えた人々なのです。
一般人は魔術師と魔物をごっちゃにして捉え、子供を戒めるための「寝物語の悪役」、あるいは笑い話のタネとなる「想像上の生物」として語り継いでいます。
国王や多くの貴族にとっては、魔術師とは舌先三寸で取り入ろうとする「詐欺師」や「ペテン師」でしかありません。
神殿は教義上魔術師に対して厳しい態度で望んでいますが、それは魔術師を「あってはならない存在」として完全に否定する立場を取っているからです。
しかし、魔術師は「かつていた人々」ではなく、実は現代のグラドネーラに生きている人々です。幾度もの迫害を逃れて連綿とその業を伝えてきた彼らは、社会から疎外されつつ現在もひっそりと生きています。ルージョンもそのうちの1人です。
ここからルージョン本人の話に入ります。ルージョンは神官ティントアの双子の弟です。2人は幼くして親に捨てられ、首都フィアカントの孤児院「神の家」で片時も離れずに育ちました。
しかし今から10年前、2人が8歳のとき、神の家は放火により全焼してしまいます。そして神の家が炎に包まれたその夜、ルージョンもまたティントアの前から姿を消したのです。
10年後、ルージョンが再びティントアの前に現れたとき、双子の運命はすでに大きく分かたれていました。ティントアは将来を嘱望される優秀な神官に、ルージョンは社会から疎まれ迫害される魔術師に。グラドネーラ世界においては対極に位置する、互いに相容れない存在になっていたのです。
ティントアはルージョンとの再会を喜び、己の立場を顧みずに彼女を求めました。また前のように一緒にいよう、と。しかしルージョンは厳しい態度でティントアをはねつけ、「昔と今とは違う」とはっきりと告げます。
孤児院から姿を消した理由、魔術師になった経緯、再びティントアの前に現れた理由、ティントアを頑なに避ける心情。
ルージョンの来歴は謎だらけであり、しかもその謎それぞれが、妙に重たい雰囲気をまとってプレイヤーの前に立ちはだかります。山積する疑問が消えるとき、プレイヤーはルージョンのそれまでとは異なる一面に触れることができるでしょう。
ティントアとは違い、ルージョンは片割れとの関係修復を切望しているわけではありません。彼女にとってもはや自分と兄とは別個の存在。再びひとつになることも、共に生きることも許されないのです。今現在大事なものがあり、切迫した事情を抱えるルージョンは、ティントアとの関係に一定見切りをつけているのかもしれません。
とはいえ、ルージョンのティントアへの想いは、ティントアのルージョンへのそれに負けず劣らず複雑かつ強いものです。よってルージョンルートにおいても、兄弟の和解は最も望ましいエンディングだと言えるのではないかと思います。
また、「魔術師」らしき存在はタナッセ愛情ルートにおいても登場します。先にタナッセを攻略したプレイヤーの中で、ルージョン攻略時に「もしかしてあのときのアイツが出てくるのでは……」と予想した人は、わりと多いのではないでしょうか。
実際ルージョンルートには、【神の業、人の業】に登場した「フードの男」が深く関わってきます。フードの男こと「魔術師ドゥナット」は、ルージョンの過去や王城へ来た理由を語る上で欠かせない、ルージョンにとっては忘れがたい人物です。
あともう1人を含めた3名の魔術師の複雑な関係性も、このルートの見どころの1つではないかと思います。
ルージョン攻略の個人的な感想は、「魔術師って危険が多い&ルージョンって幸が薄い」の2点に集約されます。ルージョン自身の死亡率が他のキャラと比較して高いことはともかくとして、主人公の死亡率も魔術師に関わると跳ね上がる(攻略中・エンド後含め。タナッセ愛情ルートの神業を含めてもいいかも)気がします。攻略がまさに命がけ。
全体としてルージョンルートのストーリーはヘビーですが、能力値やフラグ立てといった攻略の難易度も、それに比例して高めに設定されている印象です。
ところで、かもかてには隠しキャラっぽい特殊な登場条件を持つキャラクターが数人います。具体的に言うと、ユリリエ、トッズ、そしてルージョンの3人です。
かもかては「ひたすら城の中で人間関係に翻弄され」るゲーム(公式サイトの説明より)ですが、この3人は他のキャラとははっきりと異なる特徴を持っています。それは、彼/彼女らは常時王城に居るわけではないという点です。
つまり、王城を住いとするリリアノたちや仕事の関係上王城に起居するサニャたちとは違い、3人は必要に応じて(手段の合法・非合法を問わずに)、外の世界から王城の中へとやってくるのです。
仮に国王の住まう王城を物語世界の「中心」とし、王城が包括する人々を「中心的人物」と位置付けるとします。
その場合、ルージョンたち3人は程度の差こそあれ、中心から離れた「周縁」に属するキャラクターだと言えるのではないでしょうか(ユリリエは貴族でありランテ家と強いつながりを持っているので、他2人と比べると「中心」的な要素をより多く持っていると言えますが)。
そして「中心」に属さないからこそ、彼らのルートにおいては「より狭くディープなテーマ」(たとえば「愛」)が扱われたり、「グラドネーラ世界のアングラな一面」(たとえば「裏社会の陰謀」)が描かれたりするのではないか……と個人的には思います。
また、上記の3人の中でも、魔術師であるルージョンは周縁に位置しながら実はダイレクトに中心へと切り込む資格を持っています。異端的存在である魔術師は、神を奉ずる神官の対極に位置する人々であり、同時に神に選ばれた正統的存在の寵愛者と表裏一体の関係にあるからです。
先述した通り、社会から弾かれている魔術師はしがらみに囚われない独自の考えを有しており、それゆえに世界の秘密に肉薄することがあります。その「世界の秘密」とはズバリ、リタント王制の基盤(かつ『冠を持つ神の手』の根幹)とも言える、選定印と寵愛者システムのからくりです。
神を憎む魔術師ルージョンは、神の愛の証たる選定印についてまったく新しい見方を提示します。「寵愛者=神に選ばれた存在」という、世界(と田舎者の主人公が王城に招かれる『冠を持つ神の手』というストーリー)を成り立たせる絶対的な教えは、ここに至って相対的なものになってしまいます。
王制を中心とする世界のもっとも周縁に位置しながら、もっとも中心に位置する寵愛者の絶対性を揺るがせ、その正統性にダイレクトに疑問を呈する。 魔術師であるルージョンに与えられているのは、そういった役割ではないかと私は思います。
ポンポンと与えられるエキセントリックなルージョンの意見に接したとき、個人的には驚きと恐れ、そして快感を覚えました。何一つ絶対的ではないかもかての世界は、ファンタジーでありながら透徹したリアリティーを有しているとつくづく思います。
ルージョンを攻略する際の注意点
前述通り、隠しキャラであるルージョンの登場条件はやや特殊です。イベントリストには、【ティントア?】(中庭、市なし)の発生が条件とあります。【ティントア?】を見るには、ティントアの好友が15以上必要です。つまり、ティントアとある程度親しくならないと、ルージョンと知合う機会は得られません。
効率よくティントアの好友を上げることができれば、緑の月(2月)のうちに【ティントア?】を発生させることが可能です。「ティントアの序盤の好友上げ」については、ティントアの感想記事に詳しく書きました。
愛情
ルージョンの愛情エンドは2通り存在し、【最後の日】の性別選択によって分岐します。「男」を選択すると愛情A、「女」を選択すると愛情Bです。全攻略対象キャラ中、ルージョンは同性同士で愛情エンディングを迎えられる唯一のキャラクターです。
ルージョンの初期好愛度は、彼女の登場時点のティントアの好愛度によって決定されます。すなわち、ティントアの好愛がプラスならルージョンの好愛は同じ数値分マイナスとなり、ティントアの好愛がマイナスなら同じ数値分プラスとなります。
例:ティントアの好愛が+5のときルージョンの好愛は-5。ティントアの好愛が-7のときルージョンの好愛は+7。
要するに、主人公自身への単純な印象とは関係なく、「ティントアが主人公を好きか嫌いか」によってルージョンは愛憎の判断を下す*わけです。
したがって、ルージョン愛情攻略を楽に進めたいならば、ティントアの好愛をあらかじめ下げてからルージョンを登場させるのがオススメです。
逃亡イベントが発生しない程度にティントアへの印愛をマイナスに振り、ちょっとずつティントアの好愛を削っていきましょう(「逃亡イベントの詳細」は、ティントアの感想記事に書きました)。
「*ティントアは主人公が好き→自分は主人公が嫌い」はともかく、「ティントアは主人公が嫌い→自分は主人公に好感を持つ」というのはなかなか複雑な心理ですね。
ティントアを嫌うふりをすることに罪悪感を持っているから、ティントア大好きな主人公には妬みや警戒や同じ類の罪悪感を抱いてしまう。一方ティントアのことが嫌いな主人公の場合、ティントアの存在をあまり考えずに接することができるから精神的に楽……という感じなのでしょうか。
ルージョン愛情ルートでは、分岐に直結する場面で高い能力値を要求されることが多いです。主人公一人だけでなくルージョンも生かしてエンディングを迎えるには、あらゆる意味で強くなければなりません。
まず、魔力は惜しまずにどんどんと高めることをオススメします。信仰コマンドを実行していると見えない魔力が徐々に上がり、魔力5に達するとルージョンとの練習イベントが発生します。練習イベントを経て「魔力コマンド」が現れたら、優先して実行しましょう。【彷徨う姿】や【全てを別つ選択】、【帰る場所】など、分岐に関わる重要イベントの多くでは高い魔力が要求されます。
また、危険な冒険の多いルートなので、武勇と知力も十分に磨いておきましょう(知力は必要選択肢が抜けたときの保険です。かなり高い値が必要です)。
印愛は、ルージョンの登場段階で目いっぱい振り、どんどんと加算していきましょう。好愛がアップする選択肢は、ある程度印愛が高くなければ選べないことが多いです。ルージョンは好愛の引きずられ修正が起きるキャラなので、印愛が高くて困ることはありません。
また、引きずられ修正に絡み、ティントアの好愛が20以上のとき、ルージョンの好愛はイベントごとに下がっていきます(実はその逆も然り)。ティントアの好愛を下げる方針で行くなら問題はないですが、2人同時に愛情攻略したい場合には注意が必要です。
では、攻略スタンスについて書きます。不遇な人生を送っているためか、ルージョンはストレートな優しさや素直な好意の表現にとても弱い人です。基本的にはルージョン本人に興味を持ち、ルージョンと話しに屋上に来ていると言ったり、ルージョンの好きな食べ物を買ってきてあげたり、彼女のことを何かと気にかけましょう。
ルージョン本人が好意を向けられていると気づいて動揺するくらいがちょうどいいと思います。基本的にツンデレなので、憎悪ルートに行かない限りはつっけんどんな態度は建前であることが多いです。めげずにいきましょう。
ただし、押せ押せが推奨されるのは普段の態度に限った話であって、性急な行動はNGです。多少強引にいっちゃってもいいだろうと冒険すると、事情を知らない間はポカーンとしてしまうくらいに強く拒絶されます。
異性に関して嫌な思い出のあるルージョンは、主人公が実力行使に及ぶと精神的にさっと引いてしまいます。というわけで、ルージョン好き好きを押し出しつつも、大事なところでは辛抱強く紳士的に振る舞いましょう。
また、ルージョンには誰よりも大切にしている人がいます。その人に対するルージョンの気持ちをないがしろにすると、彼女の逆鱗に触れることになるかもしれません。
【全てを別つ選択】と【帰る場所】のクリア
ここからは、攻略の流れを説明します。具体的には、【全てを別つ選択】→【帰る場所】のクリアを目指しましょう。
5月以降に発生する【全てを別つ選択】は、愛情ルートにおける必須イベントであり、好愛キャップが解放されるイベントでもあります。ティントアルートにおける【査問会】と同じ位置付けですが、【査問会】よりも発生させにくいイベントです。
【全てを別つ選択】を発生させるには、魔術師ドゥナットの手がかりを手に入れる必要があります。城への侵入を繰り返すルージョンの目的は、近頃王城に出入りしているらしい兄弟子のドゥナットを見つけることです。愛情ルートでは、彼女の用事を手伝いドゥナットと再会させることが当面の目標となります。
イベントを発生させる、すなわちドゥナットの手がかりを手に入れるまでの過程は、大きく分けて2つです。2つのうち、どちらか1つを満たす必要があります。
1つ目のルートは、【彷徨う姿】でルージョンを手伝い、ドゥナットの魔術の痕跡を見つけて報告することです。正規というかオススメルートだと思います。
もっとも、ルージョンを手伝うには高い魔力が必要です。比較的早期に発生するこのイベントで、魔力が50以上必要というのはなかなかトラップじみています。魔力が低い間は該当イベントを消化しないようにし、黙々と魔力を高めましょう。魔力を上げる間に、ルージョンのその他のイベントをこなすといいと思います(イベント数や好感度も条件の一つ)。
魔力50以上で【彷徨う姿】をクリアし、かつルージョンのイベントを10以上こなすと、中日イベント【魔術の痕跡】が発生します。ここでルージョンに報告を行うと、後日【全てを別つ選択】が起こります。
2つ目のルートは、タ【雨の日の追跡】→【雨の日の密会】を起こすことです。※前提:【念押し】でルージョンと取引済であること。そのイベント時点でのルージョンの好感度がマイナスでなければ、彼女から取引を持ちかけられるはず。
そもそもドゥナットが王城に出入りしている理由の一つは、タナッセと共謀してある計画を進めるためです。したがって、こそこそと怪しい行動をしているタナッセをピンポイントで探れば、自然とドゥナットに行き着くわけです。若干メタ読みっぽいルートかもしれません。
雨の日イベント2つをたどる場合、雨の日に中庭へ行き、「二つの」怪しい人影(=タナッセとモル)を追いましょう。重要なのは【雨の日の密会】の方ですが、このイベントで必要となるのは魔力よりもむしろそこそこ高い武勇です。警戒心の強い取引相手=ドゥナットに気づかれないよう、こっそりとその正体を探りましょう。
取引相手は魔術師らしいと直感した場合、後日【目撃報告】が発生し、そこでルージョンへの報告を行うことになります。
その後の流れは同上ですが、【全てを別つ選択】の直後に強制的に起こる【帰る場所】では、そこそこ高い魔力が必要となります。結局は必須項目ということで、このルートであっても魔力は鍛えておきましょう。
続いて、【全てを別つ選択】をクリアするには、①ある程度の魔力、②高い印愛、③高い好愛の3つが必要です。
①の魔力は、魔術練習イベントを順次発生させていけば問題ないレベルに達するかと思われます。ただし直後の【帰る場所】も意識し、十分な数値がほしいところです。
②の印愛は割愛します。
③の好愛については、好愛のキャップ(おそらく上限30)のぎりぎりを攻めるつもりで上げれば余裕をもってクリアできます。
魔力はイベントに突入するため、印愛は取り乱したルージョンを繋ぎ止めるため、好愛はやや強引な主人公の行動をルージョンに許容してもらうための条件と言えます。また、イベント内の選択肢ですが、突き放すのもアウト&やり過ぎるのもアウトです。難しい。とはいえ、やり過ぎ選択肢はすぐにそれと分かると思います。
以上の流れをクリアし、高熱で倒れたルージョンを秘密裏に自分の部屋(もしくはティントアの部屋)へ連れて行きましょう。
ちなみに、医務室は愛情攻略上選んではダメです。城への侵入は違法行為なので、ルージョンの存在がおおっぴらになると非常にマズイことになります(もしもここで医務室を選択すると、【逃げるその先】が発生し、ルージョンは帰らぬ人になります)。
続いて、【帰る場所】について説明します。このイベントは、【全てを別つ選択】を正しくクリアした直後(直近の中日)に発生します。コマンド実行1回分しか余裕がないので、必要なパラメータ(魔力、武勇、保険として知力)は【全てを別つ選択】を起こす前段階で揃えておく必要があります。
【帰る場所】は加療中に逃げ出したルージョンを追い、「城の外」(!)へ出るイベントです。ルージョンの侵入経路と手段とが初めて明示されます。
そもそもフィアカントの王城は湖の真ん中に佇む城であり、外界との結節点は衛士が常時詰めている正門のみ。難攻不落と謳われるのも当然のことで、侵入するのは困難を極めるわけです。
そんな王城にルージョンはどうやって出入りしていたのかというと、方法はいたってシンプル。魔術を使い水面を徒歩で渡って侵入していました(with透明マント)。魔術ってすごいや。
実はこのイベントの前振りとして、【気晴らしの質問】で侵入方法を尋ねることができます。そこで知識を得ていると、【帰る場所】をクリアするのが少し楽になります(※質問していなくても能力値が高ければなんとかなります)。ちなみに、水の上に足場を作って歩くらしいです。体内の流れを外の世界に展開することが魔術の基本なので、足に流れを集中させて……という感じでしょうか。なんとなく「波紋!」っぽくてひとりでワクワクしたり。
【全てを別つ選択】で自室を選んでいれば問題はないですが、ティントアの部屋に匿った場合は、ルージョンを探して「湖岸」に行きましょう。
ここから、怒涛の能力チェックが始まります。湖面の上を行くルージョンを発見できるか。ルージョンを追うだけの魔力があるか。魔力を使って湖を歩くための知識(あるいは知力)を持っているか。そして、溺れたルージョンを救えるだけの腕力があるか。
壮観なラッシュです。強い魔力、かなりの頭の良さ、そこそこの腕っぷしのすべてが必要とされる点で、なかなかシビアな判定と言えます。以上の判定をクリアすれば、見事ルージョンと一緒に生還し、老魔女の家に到達可能です。
【帰る場所】をクリアし城外に行ける状態にさえなれば、後発のイベントを起こさずとも愛情ルートは確定します。老魔女の家でのイベントを多く見たい場合は、【全てを別つ選択】を早めに起こしましょう。
【最後の日】の選択では、老魔女の家に留まりましょう。ルージョンと生きるためには、城で寵愛者として暮らす生活を完全に捨てて魔術師の世界に入る覚悟が必要です。
上で書いた通り、ルージョンは同性で愛情エンディングを迎えることが唯一可能なキャラクターです。※一応、ユリリエも女性を選択した主人公に連れ添ってくれます。ただし話の流れから、主人公の選択はユリリエへの裏切りでしかなく、結末は愛情エンドにはけしてなり得ません。
これは制作者様の所感にもあるように、ルージョンの愛が依存的なものであることが大きな理由でしょう。恋愛的な情もあるのでしょうが、何よりまず自分を必要としてくれる人への依存心があり、それを満たしてくれるならば男でも女でもかまわないという感じに見えます。
また、主人公がルージョンの過去に配慮して女性を選択し、ルージョンもそれを尊重した……と見ることも可能です。そうなると、女性を選択した主人公の決断はかなり重たいですね。
愛情Aは、仲の良い2人の共同生活を見ることができるエンドです。イチャついているようにしか見えない。ルージョンの可愛らしさが素晴らしい。
主人公は立派な体格になったらしいですが、あれだけシビアな条件をくぐり抜けるハイスぺ主人公ならさもありなんという印象です。一応まだ気持ちは伝えていないとのことですが、ゆっくりと紳士的にルージョンの心の傷が癒えるのを待ってほしいものです。
個人的には、「本当に2人の子供に選定印は表れるのか」が気になります。主人公いわく「次の継承者の誕生を待つ」とのことですが、それが自分の子だったらとんでもないことになりそうです。継承者が世に現れる間隔を考えると、けしてあり得ない話ではないんですよね。
愛情Bは、愛情Aとは一転してシリアスです。初めて僕を必要としてくれた人=ばあちゃんという告白が印象的でした。
詳しくはもっと下で書きますが、ルージョンは両親が自分たちを捨てた理由を知っています。その結果、彼女はティントアと自分を、「自分は『いらないもの』だがティントアは違う」という最悪の形で区別するに至りました。
結局はその考え方が、「居場所のなさ(神の家に留まらず日の当たる世界すべてにおいて)」をルージョンに痛感させることになったのだと思います。双子の片割れに依存するというある意味当然の逃避を、彼女は一切許されなくなった(かつ自分に許さなくなった)わけなので。
ルージョンが孤独な魔術師の世界に引き込まれたのは老魔女の画策のせいです。しかし、その心はもともと重度の孤独に蝕まれていたのではないでしょうか。
とはいえルージョンは、孤独を自ら受容できるタイプではありません。だからこそ彼女は、たとえ真っ当な理由でなくても自分を必要としてくれた老魔女に盲目的に依存するようになりました。
ルージョンは老魔女が自分を「食う(=命を奪う)」つもりだと知っていて、それでもかまわないと思っていたのです。それどころか作中でも明らかなように、病身の老魔女を救うために自らの命を差し出そうとしていました。
その献身と一途さは痛々しく、ある意味病的なものです。自分を必要としてくれる唯一の人がいなくなれば自分の居場所はなくなる(=生きていけない)とルージョンは確信していたのだと思います。
ティントアを中心に見たとき、「ルージョンは自分と片割れとの区別をつけて自立しているんだな、それでティントアにも現実を見させて諦めさせようと突き放しているんだ、大人だなあ」と私は若干思っていました。しかし、ルージョンの事情を知るにつけ、真実はそう簡単に割り切れないことに気づきました。
ルージョンは他者との関係や世界の中において自我を確立したわけではなく、どちらかと言えば、世界から疎外させる形で自分というものを定義しただけでした。その結果が、あの著しく欠如した自己愛と特定の人への強い依存心だったのではないでしょうか。
そしてティントアへの頑なな拒絶も、自分の命を捨てようとしているからこそのネガティヴなものであり、けして兄の自立を促すといったポジティヴな志向を持つものではなかったのだろうと思います。
ルージョンにとっての幸いは、彼女の痛々しいほどの献身ぶりがさしもの老魔女の冷酷さをも揺るがした点でしょう。「本当、馬鹿だね」と思いつつもついつい慈しんでしまった老魔女の気持ちは、プレイヤーとしてもしみじみと理解できるものがありました。
臨終前の老魔女の、「まずそうだったからに決まってるだろ」「しばらくあんたの顔なんて見たくないからね」あたりは、本当に味わい深い台詞だと思います。
展開は重いものの、やりごたえのあるルートでした。ルージョンの終盤のボロボロさに、初見はびっくりしたことを覚えています。しかしドゥナットの例の暴露イベントを見たこともあり、「くっそーなんとしてもエンドに行き着いてやる」と逆にモチベーションが高まりました。
憎悪
ルージョン憎悪エンドは、愛情ルート派生(反転使用)の憎悪Aと、単純な憎悪攻略からの憎悪Bの2通りです。
憎悪Aは、【最後の日】に老魔女を殺害かつ印象憎悪の場合のエンディングです。一方憎悪Bは、【最後の日】にルージョンを告発するも取り逃がす場合のエンディングです。
憎悪Aは、愛情ルートでの印象反転の使用が前提です。しかし前後して満たすべき条件が2つ存在します。
- 【フードの男】でドゥナットから“餌”の話を聞く
- 【老魔女の独白】で老魔女に“餌”の話をする
それでは、上記2点について詳しく説明していきます。まずは、【帰る場所】でルージョンを老魔女の家へ連れ帰りましょう。大前提です。次いで【城へ来た理由】を起こし、ルージョンを追いかけずに老魔女と話をします。これは後発イベントの【フードの男】で、特定の話題を回避するためです。
その後、【フードの男】でドゥナットと話をすることになりますが、ここで重要な点が1つ。それは、このイベントより前の段階で主人公の印愛を反転させておくことです。
というのも、主人公がルージョンを「愛している」場合、ドゥナットは嫌がらせとしてとある暴露話(詳細は「フードの男・ドゥナット」にて)を優先して話すからです。なんともねちっこい。だから、“餌”の話を聞きたいなら、主人公の印愛を反転させて下げておく必要があります。
- ルージョン生存
- 印愛が高くない
- 【城へ来た理由】でルージョンに会いに行かない
以上3つの条件を満たせば、ドゥナットは“餌”の話をしてくれます。あとは【老魔女の独白】で“餌”の話題を出し、老魔女を問い詰めましょう。これにてめでたく老魔女と対立路線に入り、憎悪Aへの準備は整います。
【最後の日】に老魔女を葬り、呆然自失のルージョンを放置してその場を去れば、Aエンド到達です。
憎悪Bを狙う場合は、真っ向からルージョンと憎み合いましょう。オススメは、魔術師である彼女をを歯牙にもかけない態度を取ることです。
※ただし、【念押し】の引っかけ選択肢には要注意。ルージョンのイベントが以後発生しなくなる可能性があります。
そして、もっとも有効な攻略法は、ルージョンの兄であるティントアにちょっかいをかけることです。主に恋愛的な意味で。
愛情攻略にも書きましたが、ルージョンの初登場時の好愛はティントアの好愛に左右されます。システマチックな話ですが、もしもティントアの好愛がプラスであればルージョンの好愛は自動的にマイナススタートになるので、憎悪攻略が楽になります。
キャラの心情的な話をすると、ルージョンは神官として順風満帆の人生を送るはずのティントアに対して非常に気を遣っています。それもそのはず、魔術師との関わりが表沙汰になることは身の破滅を意味するからです(後述しますが、実際にティントアが処刑されるエンドが存在します)。
ルージョンがティントアを遠ざけ、「現実を見ろ」と諭すのは、ティントアは自分とは違って真っ当な人生を歩むべきだと思っているからです。また、この時期のルージョンは老魔女のためにその命を捧げるつもりであり、ティントアの望みを叶える(2人で一緒にいる)など到底無理なことだと分かってもいます。
つまり、彼女は「せめて片割れの将来の盤石さを確認し、自分を諦めさせてから終わりにしたい」という切実な思いを抱いているわけです。ゆえに、ティントアに近づく主人公をルージョンは敵視します。寵愛者である主人公をめぐり、寵愛者を引き入れたがっている神殿との板挟みになってティントアが苦慮することを見越しているからです。
ティントアに恋愛的に近づく路線を取るなら、ルージョンは後半のイベントでむき出しの敵意をぶつけてくることでしょう。
ついでに、主人公があくまで自分本位にティントアを利用しようとしている場合、ルージョンの憎悪はいや増します。【告白と困惑】の後半にルージョンが出てくる場合がありますが、ある選択肢を選んだときのルージョンの冷ややかさと言ったら、背筋が寒くなるものがあります(主人公がかなりのド畜生になるので仕方がないとはいえ)。
もちろん、ティントアをスルーし単純にルージョンと憎み合っても、憎悪エンドに至ることは可能です。ただ上記の好感度設定の仕様もあるので、一定ティントアを利用して損はないと思います。
憎悪B攻略の注意点は、主人公のスペックの程度です。【最後の日】にうっかりルージョンを仕留めてしまうと違うエンディングになります。だから、ルージョンを取り逃がす程度の能力値に抑えておきましょう(とはいえ、けっこう頑張らないと魔術師のルージョンとはやり合えません。そこまで心配する必要はないと思います)。
憎悪Aは色々な意味で業の深い結末でした。実はこのエンド、印愛35以上のキャラが他にいるとかなりぶっ飛んだ血みどろエンディングへと変貌します。かつ、その印愛35以上の相手が「ティントア」である場合、さらに衝撃的なエンディングに分岐します。
最初にこのエンディングを見たとき、他に印愛35以上のキャラがいなかったんですよね。だから寝室にルージョンがやって来て、静かに涙しながら復讐を匂わせるエンディングになりました。
しっとりとした良い余韻のエンドだなーと思い、匂わせにしたがって適当なキャラの印愛を35以上にして再チャレンジしたところ、いきなり猟奇ホラー展開になってびっくりしたことを覚えています。このぶっ壊れ具合、ルージョンってやっぱりティントアと双子なんだなーと痛感しました。
印象に残ったのはやはり、印愛35以上の相手がティントアだった場合の結末です。「主人公の大切な相手を消してやりたい」→「でもその相手は『もうひとり』だからダメ」という思考回路を辿ったルージョンは、主人公と心中を謀ります。このとき最期にルージョンが言う、「消えなきゃいけないね、お互いに」という台詞はなんとも悲しいものでした。
ルートを色々と辿って思うのは、ルージョンがティントアに向ける思いの複雑さです。ルージョンのティントアへの思いの根底にあるのは、「自分とティントアとは違う」という確信だと思います。それはけしてポジティヴなものではなく、そのためにルージョンはたびたび破滅的な行動へと誘われます。
彼女の思考を縛っているのは、彼らの母親が双子を出産したために命を落とし、結果として父は息子2人を捨てざるを得なかった事実です。
ルージョンは、「自分たちは双子として生まれてくるべきではなかった、1人で生まれてこなければならなかった」と思っています。もっと言うと、「自分は『いらないもの』でありそもそも生まれてはならなかった、1人だけが(つまりティントアだけが)生まれてくるべきだった」と信じているのです。
一方のティントアはルージョンを「唯一自分と同質のもの」と見なして執着していることを思うと、本当に奇妙なすれ違いだと思います。神官と魔術師という対極の立場に分かれたことといい、「神様はこの双子の運命をうまいこと操っているのでは?」と思ってしまいます(神様=制作者様という意味ではなく)。
憎悪Bは、「またお前か」とツッコミたくなりました。魔術師に目をつけられたらどうしようもないとはいえつくづくやられっぱなし。一番ろくなことにならなさそうなエンディングだと思います。ドゥナット独り勝ちですよね、確実に。それともあのドゥナットが奇跡的に改心して老魔女を助けるなんて可能性はあるのでしょうか。あるとは思えませんが。
ちなみにこのルージョン憎悪Bで王に指名されると、ヴァイルの後日談が変化します。籠りの最中に主人公が連れ去られたせいで、ヴァイルが急遽六代国王に即位することになったのです。その交代劇については暗い噂が絶えなかったそうです。
たしかに単に外から眺めれば寵愛者同士の潰し合いにしか見えず、魔術師が下手人だったなんて想像もつかないと思います。
憎悪ルートからは、「魔術師を敵に回すのは得策ではない」ということが学べます。大切な教訓です。ルージョンにしてもドゥナットにしても(あと友情ルートwith高印憎での老魔女も)、悪意をもって近づくと倍返しされるのがオチです。魔術師強い、そして怖い。
友情
友情エンドは2通りあります。魔術師として老魔女に弟子入りする友情B、そしてティントアとの共通エンディングである友情Aです。
攻略するにあたっては、第一に魔術に興味を持ちましょう。そして真摯に学びましょう。
魔術練習イベントを始めとし、「どうやってやってるの?」を意識してイベントを進めていきます。嫌われ者の魔術師に興味を示し熱心に話を聞くというだけでも、ルージョンにとっては非常にポイントが高いのです。ルージョンの教えを乞い、魔力をどんどんと上げていきましょう。
また、彼女はいわゆる「神」を嫌っています。神について話すときは、懐疑的な態度で臨むのが無難です。その他、ルージョンは選定印と魔力の関係にも興味がある様子なので、そういった話にも真面目に付き合うことをオススメします。
友情ルートの場合、攻略中に城外に出ることはありません。多少の手伝いならともかく、ルージョンの目的については深入りしなくてもOKです(下手に関わろうとするとルージョンの命が脅かされます)。
また、ティントア関連のイベントについても、友情Bを目指す場合は無視して問題ありません。ティントアとの和解を助けようとするとルージョンの好感度は下がってしまうので、むしろ安易に手を出さない方がいいです。
最後に、友情Aで王を目指すのでない限り、魔力は100以上にしましょう(魔力が100以上あると王になれない)。好友が上がりやすくなります。
まずは通常エンディングである友情Bについて説明します。とはいえ特筆すべき重大イベントなどはなく、上記の攻略スタンスを押さえてコツコツと進めていくのみです。あれこれと文句を言いつつもきっちりと教えてくれる、ツンデレルージョンを堪能しましょう。
注意点は、ティントア愛情ルートに入らないようにすることくらいでしょうか。ティントア愛情エンドの条件を満たしていると、【最後の日】にルージョンにそっちに行けと追い返されてしまいます。
流れはちょっと違いますが、好感度が高い【最後の日】で背中を押してくれる展開は、ヴァイル愛情ルートにおける好友高タナッセを思い出しました。
また、もう1つの注意点ですが、(印友&)印憎35以上だと友情エンドは迎えられません。具体的に言うと、ルージョンへの悪意を見ぬかれ老魔女に始末されます。
実際に見たときは、「魔術師怖い」とあらためて思いました。まあ身から出た錆な展開ですが、友情ルートでこっそりと憎悪を育むプレイはこういう特殊シチュを見られることがあるから楽しいです。
友情Aの攻略法は、ティントアの感想記事で説明した通りです。もう一度箇条書きで簡単に説明すると、以下のような流れになります。
友情A攻略チャート
- 【最後の日】までに二人の好友を35以上にする(大前提)
- 和解を手助けするとティントアの好友はどんどん上がるが、ルージョンの好感度は下がっていく
- よってルージョンを優先的にかまい、ティントアはほどほどでOK
- 王を目指さないならば魔力を早めに100以上にすると楽ちん(ルージョンの好友にプラス補正発生)
- 逆に信仰は99以下にとどめること(信仰が100以上でルージョンの好友にマイナス補正発生)
ティントアとルージョンの関係修復のカギは、ティントアが諦めるか否かである
- ティントアには「諦め値」が設定されている(初期は4ポイント)
- この諦め値を最終月の最終週より前に0ポイントにもっていく
諦め値が減るイベントはいくつか存在するが、以下の3つがオススメ。
- 手紙でっち上げ成功
- 【すれ違い】でルージョンを引っ張り出してティントアと会わせる
- 【すれ違い】後にティントアと話す(要:ティントア印象>ルージョン印象)
※手紙イベントで諦め値が2ポイント減る模様。
※後ろ2つのイベントは、連続で発生する。
※イベント成功のために知力・交渉・魔力を十分に高めておく!
諦め値が0になると、最終月に中日イベント【もうひとりへの想い】が発生し、翌休日に雨が降ります。あとは【あの雨の日】を見て、【最後の日】にルージョンに会いに行きましょう。
友情Bは、屋上で待つルージョンの決然とした厳かな語りかけにドキドキしました。
寵愛者は偉大な魔術師の素質を持つ者、だから一人は玉座に、もう一人は魔術師に……ルージョンはそう言って主人公を誘います。ルージョンは友情ルート途中から、主人公を自分たちのもとへ招き入れることを考え始めていた節があります。神を嫌う彼女であっても、主人公の出現は何らかの導きのように思えていたのでしょうか。
ヴァイルの感想記事でも書きましたが、同い年の寵愛者が2人現れ婚姻によって結ばれるとしたら、お話としては出来すぎているくらいに完璧ですよね。作中におけるヴァイルの扱いを見ても、ヴァイルと主人公は「対になるもの」として設定されている気がします。
しかし対になっているからこそ、ヴァイルは王として冠を戴き、一方の主人公は王に与しない陣営に身を寄せるラストもドラマチックでいいなと思います。魔術師の世界に飛び込むルージョンルートは言わずもがな、神殿の一員となるティントアルートにも同じような感想を抱きました。あとはバッドエンドっぽいですが、トッズルートの内戦エンドも十分あり得た未来なんだろうなと思います。
ちなみにルージョンの誘いを断ると、彼女はそりゃそうだと苦笑しつつ諦めてくれます。「居場所」への言及、それがルージョンと会った最期だったという描写が切なかったです。
友情ルートのルージョンを見ると、終始斜に構えつつもすごくさっぱりとしていて、愛情ルートでの崩れっぷりがいっそう際立ちますね。この友情Bでなら、ルージョンが老魔女に命を捧げるのを阻止できそうな気がします。制作者様の所感によれば「根本の問題解決はなされてないか」とのことなので、あとは主人公と老魔女の説得次第なのかなーとは思いますが。
友情Aは、どちらかと言えばティントア掘り下げエンドなのかなと思っています。しかし後日談では、ルージョンが生存を前提として本音を吐露してくれるんですよね。愛情・女性エンドもそうですが、繕わない素のルージョン(一人称が「僕」)が話してくれる点でとても貴重なエンディングだと思います。
自分は誰にとっても邪魔な存在だったこと。そんな中、老魔女だけが自分を必要としてくれたこと。彼女の目的を知った上で命を捧げなければいけないと思っていたこと。老魔女の代わりに自ら≪人を喰う法≫を行おうと思ったこと。しかし本の該当箇所は兄弟子のドゥナットが持っていってしまったこと。そのドゥナットを探しに城へ来ていたこと……ルージョンはまず、ルートのおさらい的なことをざっと話してくれます。
明言はないですが、ルージョンはドゥナットから「真実」を告げられたっぽいですね。成人する頃に知った、ルージョンが知っているとは老魔女は寝耳に水だった、という描写を見るに。なんとなく、ドゥナット自身は老魔女にもうその気がないことを察していたのではないかと思います。その上でルージョンに「真実」を吹き込むくらいのことはしそうです(偏見)。
ともかく、老魔女はもともとルージョンをティントアに会わせるつもりで城へ送り込み、結果としてそれは最善の形で結実しました。ティントアの告白は頑ななルージョンの心を解きほぐし、老魔女とルージョンはようやく腹を割って話し合い、誤解が解消されたわけです。
ルージョンが死ぬ必要はもはやありません。しかし、老魔女は遠からず病で亡くなってしまうのでしょう。
ルージョンの葛藤は、間もなく世を去るだろう老魔女に対するものでした。「見殺しにしてしまう」という言葉からも明らかなように、ルージョンはまだ老魔女が死んでしまうことに罪悪感を覚えています。しかし同時に、「老魔女が助かる方法はあってももう自分はそれを実行できない」とも言います。
その理由は、「怖い」からです。ずっと老魔女やティントアや主人公の側にいたいから、怖くてできない、と。「僕は、勝手だ」とルージョンは言います。
このシーンのルージョンは終始泣いていますが、プレイヤーとしてもちょっと泣けるものがありました。死ぬのが怖いのは当たり前なんだから気に病む必要はないのに、それでも自分を責めるルージョンの心にグッときたのが1つ。もう1つは、ルージョンはやっと「居場所」を得ることができたのだと分かったからでした。
ルージョンはずっと「自分は邪魔者だ/だからこうしなければならない」と自己完結し、ルージョンに側にいてほしいと望む人たちから、いとも簡単に自分を切り離そうとしてきました。
もともと彼女は居場所のなさに苛まれ、その自己評価は地を這うレベルでした。ゆえに周囲の人にとっての自分の存在の重さもまた、同じようにどこまでも軽いものだと思っていたのではないでしょうか。老魔女のためと言いながら老魔女の気持ちを確かめることなく、自分の命を使い捨てようとしていたのもそのせいだと思います。
このようなルージョンのあり方は、負の方向に独善的だったと言ってもいい気がします。誰かのために献身しつつ、実は誰の声も受け入れていない点で。
しかし、このエンドのルージョンは愛する人たちの思いを聞き入れました。愛していること、生きて側に居てほしいこと、それが彼らがルージョンに伝えたいことでした。
ずっと欲していた「居場所」をルージョンが見つけたのは、彼らの話に耳を傾けたそのときだったのではないかと思います。そして世界から疎外されていないことを知った以上、ルージョンはもはや居場所を手放すことも、世界から自分を切り離すこともできなくなったのではないでしょうか。
死ぬのが怖い、皆と一緒にいたいと泣くルージョンを見ていると、ぎゅっと抱きしめてあげたい気持ちに駆られました。同時に、「たしかにこの子はティントアとはちょっと違うんだろうな」と思いました。
(こういう言い方が正しいのかは分かりませんが)ルージョンは根本的には、ごく平凡な愛を求める普通の子供のままなんじゃないかと思います。貧しくともごく普通の家庭に生まれ、世界を愛して育つことができれば、それで満足できるような子だったんじゃないかな、と。それができない環境に生まれ落ち、どんどんと追い込まれ、なまじ頭が回っただけにずぶずぶと泥沼にはまり込んでしまったのが彼女の不幸だった気がします。
「僕は、勝手だ」という台詞でティントア【雨の日の憂鬱】を思い出しました。また、このエンディングの雰囲気はティントア友情ルートの【最後の日】とよく似ている気がします。心に秘めたことを誰かに知ってほしかった切なる心情や、最後に主人公に「ありがとう」と言って締めるあたりは特に。
ルージョンのルートは登場キャラの致死率が高いルートです。だから、誰も死なずにルージョンの抱える問題が解決される友情Aにたどり着いたときは心からほっとしました。
主人公だけがルージョンをなんとか助けるより、双子に仲直りしてもらって仲良くしている現状を伝え聞く方が個人的には好きです。あえて傍観者的ポジションにとどまりつつ、うまくいってよかったーと喜ぶだけで満足というか。
たぶん、ルージョンとティントアの絶妙な双子感(対照的でもあり似通ってもいる・性格が相互補完的)っていいなと私が思っているせいだと思います。
ルージョンは幼い頃から思い詰めやすかったらしいです。そんなルージョンについて、ティントアは「ぎゅっとしてあげて、大丈夫って言ってあげればそれで良かったんだよ」と話してくれます(ティントア友情A)。
「あ、そんなことでよかったのか……」と拍子抜けするとともに、「これからのルージョンはティントアにそうしてもらえるんだ、本当によかったなあ」とホロリとしました(わかりにくい他作品ネタでアレですが、この不思議で複雑な感無量感、なんとなく『スーパーダンガンロンパ2』の狛枝エンドinアイランドモードを思い出しました)。
裏切
ルージョン裏切エンドは、基本的には愛情ルートから派生するものです。エンディングは1つですが、そこに至る流れは2通り存在します。
1つ目は、【最後の日】に老衰で亡くなった老魔女をルージョンとともに看取り、彼女を家に残して城に帰るコース。2つ目は、主人公自身の手で老魔女の命を奪ったのち、ルージョンに家から追い出されて城に戻るコース。1つ目の流れは「老魔女と協調」、2つ目の流れは「老魔女と対立」とざっくりと捉えることができます。
老魔女を看取るコースへの分岐は、愛情ルートの【最後の日】に生じます。老魔女が亡くなって意気消沈するルージョンをなだめ、再訪を約束してからいったん城へ帰りましょう(家に留まると愛情エンドになる)。
一方、老魔女と対立して打倒することは、フラグ立て的にも能力値的にも難しいです。まずは【フードの男】で“餌”の話題を発生させる必要があります。次いで【老魔女の独白】で、老魔女に”餌”のことを問い質さなければなりません。
【フードの男】で“餌”の話題を発生させる方法は、憎悪攻略の中で詳しく説明しました。もう一度簡単に書いておきます。
- 【城から来た理由】で、「ドゥナットが何かを所持している」ことをルージョンから聞いている
- ルージョンがイベント発生時点で亡くなっている
- 印愛高
上記3つの条件のいずれかを満たしている場合、そこから派生する話題が優先されます。よって、①②③の条件を満たさずに【フードの男】を発生させましょう。
次に、【最後の日】に老魔女を倒します。ここでの問題は、ルージョンの説得です。 「印愛」、「好愛」、「事情を説明できるだけの交渉力」の3点が成功の条件となります。けっこうハードルが高く、そして失敗すればどうなるかはお察しです。
裏切エンドは、半年後に主人公がようやく老魔女の家を再訪したとき、そこにルージョンの姿はなく……という虚無感漂う結末でした。ルージョンの末路を思うと暗澹たる気持ちになりました。
気になるのは、老魔女の家が半年という期間とは釣り合わないほどに朽ちていることです。「扉は外れ、屋根は落ち窪み」となると、人為的に破壊されたようにも見えます。また、家に遺体や書置きといったルージョンの行方を示すものがなかったことも気がかりです。
はっきりと書くと、「まさかドゥナットに連れて行かれたのでは……」と最悪の結末を想像してしまいました。ドゥナットが老魔女の家に近づかなかったのは、結局のところ老魔女がそこに居たからですよね。それに、好愛35以上&印愛34以下&印友35以上のときの【最後の日】を見るに、ルージョンが自主的にあの家を離れることはないと思います。
もっとも、ドゥナットなら主人公宛にわかりやすいアピールを残していきそうです。また、たとえば「ルージョンが家の外で事故死→後からやってきたドゥナットが家を漁って適当に破壊」という流れもあり得ない話ではありません。具体的な部分はうまくぼかされているので、プレイヤーの受け取り方によって後味が変化する結末だと思います。
まとめると、協調路線の場合は、主人公がルージョンの内外に存在する脅威を分かっていなかったこと、ルージョン以外のすべてを敵に回すだけの覚悟に乏しかったことが敗因でしょうか。一方対立路線の場合、主人公も老魔女もルージョンの依存具合を見誤っていたことが致命的だった気がします。どちらにせよやるせない結末です。
殺害
該当エンディングは驚異の4通り。以下にそのシチュエーション&到達条件を明記した上で、攻略が簡単な順に並べました。ちなみに、最難関のAエンドはその難しさに見合う悲愴なエンドです。
- Dエンド:【最後の日】到達までにルージョンが命を落とす(その場面を見る)
- Bエンド:主人公が直接手を下すin老魔女の家(愛情派生)
- Cエンド:主人公が直接手を下すin王城(憎悪派生)
- Aエンド:ドゥナットから「紙片」を取り戻し、ルージョンに手渡す
ルージョンは一番死亡パターンが多いキャラです(公式認定)。「出てこなくなったらたぶん死んでいる」と制作者様の所感にあります。死因も様々なら、加害者(ルージョン自身を含む)もまた様々。
特徴としては、主人公とは関係のないところで命を落とす誘因をいくつも抱えていることでしょうか。まさに「死と生の綱渡り」な状態で、プレイヤーが気を抜くと終盤はすぐに落命してしまいます。魔術師という生業、王城への侵入という犯罪行為、何より彼女自身の切迫した精神状態を考えると、一定仕方がないのかもしれません。
まずは、一番簡単なDエンドについて説明します。このエンディングへ至る流れは大きく分けて2種類あります。
1つは、【逃げるその先】でルージョンを探し、追い詰められた彼女が身を投げる(あるいは転落する)ところを目撃するパターンです。ルージョンを「探す」を選択すると、該当場面を見ることができます。【逃げるその先】を発生させるには、【全てを別つ選択】でルージョンを「医務室」に預ける必要があります。
もう1つのパターンは、【帰る場所】で湖に落ちたルージョンがそのまま溺れてしまう場合です。【帰る場所】を発生させるには、「自室」あるいは「ティントアの部屋」で秘密裏にルージョンをかくまう必要があります。
【帰る場所】の概要は、すでに愛情攻略欄で書きました。このパターンについて言うなら、魔力と知力(あるいは知識)の条件をクリアしつつ、武勇を低めに抑えておけばOKです。
以上どちらかのパターンでルージョンが命を落とした(正確に言えばそのシーンを目撃した)後、【最後の日】に屋上を訪ねればDエンドに到達できます。
次にBエンドですが、愛情ルートで印象反転を使用すればOKです。老魔女協調路線と老魔女対立路線(“餌”の話をする)のどちらであっても到達可能ですが、明らかに前者の方が簡単です。
老魔女の生死が絡むとルージョンは抵抗どころではなくなります。サクッとやってしまいましょう。
Cエンドは憎悪ルート派生です。【最後の日】にルージョンと対決し、勝利して彼女を仕留めましょう。対決方法は一対一で決着をつけるか、あらかじめ衛士を手配しルージョンを囲ませるかの二択です。
ルージョンは魔術に長けている上に頭と口の回る女性です。スペックの低い主人公では到底思いを遂げることはできません。一対一で戦うのであれば、物理的手段に訴えるために魔力に加えて武勇も磨いておく必要があります。
衛士の協力を得る場合は、彼らをきちんと従わせることのできる能力、すなわち相応の威厳と名声が必要となります。しかし、衛士の協力だけでは魔術師に対抗するには不十分であり、主人公自身の高い魔力も必要不可欠です。
複数で囲むのは小狡いやり方だからか、成功条件も厳しいものになっていることに注意しましょう。
最後にAエンドですが、これは愛情ルート派生です。手順としてはまず、ルージョンを無事に老魔女の家へ連れ帰ったあと、【城へ来た理由】を発生させます。
イベント中にルージョンに会いに行くと、フードの男ことドゥナットが彼女の求めている「何か」(のちに「紙片」と判明)を所持しているらしいという情報をゲットできます。これにより、後日起こる【フードの男】にて、ドゥナットが持っている「紙片」の話題が発生するようになります。
Aエンドに到達するには、【フードの男】でドゥナットから「紙片」を奪い取る必要があります。種々のイベントからも明らかですが、ドゥナットは強力な魔術師であり、生半可な能力値ではまず太刀打ちできません。
【フードの男】は【城へ来た理由】を起こすと翌週に自動発生します。前もって武勇と魔力を十二分に磨いておきましょう(能力値に成否が左右されるイベントの中では、このイベントが一番難易度が高い気がします。ヴァイル【悪ふざけ】あたりもかなり難しいとは思いますが)。
【フードの男】で「紙片」を奪取し、【最後の日】を待ってルージョンに手渡せば、Aエンド到達です。
ルージョンは本当に危ういキャラクターだと思います。特にハッとしたのは、自ら命を絶つ場面が存在することでした。
死に直結することをあえて行い、消極的に殺されようとするキャラクターは他にもいます。しかし、自ら死を選ぶシーンのあるキャラクターはルージョンくらいではないかと思います(なんとなくですが、神殿の教えは自害を認めていないような気がします。もし死してなおルージョンが「神の愛」から疎外されるとしたら、あの痛切な独白もあいまってやり切れない気持ちになります)。
「ヴァイルに儚い印象を持っている」と以前書きましたが、ルージョンについては「儚いというかつくづく薄幸だな……」と思わずにはいられません。【永遠の少年】は、立場こそ大きく違えど死に惹かれやすい不安定なメンタリティーを持つ2人が会話するイベントなのかもしれません。母に死なれ父に捨てられ、と境遇も似通っています。
特にDエンドに繋がる【逃げるその先】では、死の間際のルージョンの言葉に胸がキリキリと痛みました。【雨天閲覧】で彼女の過去を話してもらった後に見ると、つらいを通り越して苦しい気分になります。我ながら感情移入の行き過ぎですが。
ルージョンの本当の気持ちが能動的に表現されるのは、おそらく友情Aとこの【逃げるその先】だけだと思います。
たとえば、神の愛はもうひとりのもの、自分には何一つない、魔術師になっても(神は)憎んですらくれない……という一連の独白は非常に印象的です。一見神の愛に充足しているティントアが人の愛を渇望していたのを知ったときと同じく、神を罵ってはばからなかったルージョンの口からこんな告白が出てきたことに、衝撃を受けざるを得ませんでした。
結局ルージョンの心理の根底にあるのは、「どこまでいっても自分は誰かに承認されない」、つまり「誰にとっても自分はいらない存在である」という思いだろうと私は思います。それが老魔女への盲目的な依存に繋がり、自分を世界から幾重にも疎外していくメンタリティーに繋がったのだろう、と。このイベント内でもルージョンは、お前と私は違う、もうひとりと私は違うと繰り返しています。
世界における「居場所」は実はティントアの傍にあったし、老魔女の傍にも見つかったと思うんですよね。ルージョンがもう少し自分に対して優しくなるか、突っ走る前に相手に相談をしさえすれば。しかし、不幸な偶然の重なりがルージョンにそれをさせませんでした。
そして何より、ルージョン自身が(強固な思い込みのもと)無意識的に世界の輪から逃げ出していった節もあるのではないかと思います。十年前の失踪といい今回の≪人を食う法≫といい、まずは社会的に、その次は物理的に、世界から離脱しようとしているようにも見えるので。
では、4つのエンドについて感想を書いていきます。Dエンドのあの鳥は老魔女の使いらしいですね(質問企画より)。老魔女もやり切れないだろうと思います。ほんの少し魔術師と関わったものの、思い出しか残らずそれも風化されていき……というビターなエンドでした。
Bエンドは、相も変わらず主人公の冷酷さが怖かったです。ルージョン愛情攻略の場合、【フードの男】でドゥナットから露骨な挑発を受けることがほとんどだと思います。あの場面で反転するのがタイミング的には妥当なのでしょうが、まるで主人公がショックから拗らせたように思えるので苦笑いしてしまいます。
ただ、Bエンドの後日談にはやや驚きました。まさかドゥナットが仇討ちにやってくるとは。本人は復讐を否定し保身だと言っていましたが、どちらの要素も含んだ気持ちで殺しにきたのではないかと思います。公式の質問企画にも、ドゥナットの最も嫌がること=「腐った死体を二つ転がしておくこと」というBエンドを示唆する回答がありました。
ドゥナットはとことん性格のねじくれた人ですが、「老魔女とルージョンのことは一定特別に思っていたのかな」とか「同胞2人をいきなり失って多少嫌な気分になったのかな」とか色々と考えてしまいました。完全に善い人もいなければ完全に悪い人もいないというかもかてのリアリティーはここでも貫かれている気がします。
とはいえ、ドゥナットへの「この野郎」的な苛立ちはそれとは無関係にあります。全体的にしてやられてばかりなのでフラストレーションが溜まるんですよね、本当に。ローニカ裏切でも良いようにやられるし。某も☆ぐらでようやくスッキリしました。
Cエンドはティントアの狂気再びでした。「ざまあないね」という口調にまず驚き、「レハト」と呼ばれてから「やっぱりこれティントアだ」と気づいてじわじわと怖い気分になりました。ティントアを葬ればルージョンが報復に来るように、その逆もまた成り立つわけです。
どうやら主人公の命を奪ったあと、ティントアは自ら湖に飛び込んで果てたようです。ルージョン憎悪Aのルージョンの狂気を思い出しました。双子の言動は普段は対照的なのに、狂気モードに入ると不思議と似通ってくる気がします。
しかしこうして考えると、他キャラ攻略時と比べて主人公の計画はうまくいってないですね。そもそもルージョンルート全体において主人公の死亡率はとても高いとはいえ。4つのエンドのうち故意に実行したものが2つとして、その両方で別々の人間に報復されます。なんとも殺伐。
最後に、Aエンドはどこまでも悲しいすれ違いでした。老魔女とルージョンもすれ違い、主人公とルージョンもすれ違い、それぞれの善意がまるで報われない方向に働いてしまうという。やつれた老魔女と面会する後日談はどうにもつらかったです。
ルージョンは「老魔女のために命を捧げる」と決めきっていたので、引き止めることは無理だったのでしょう。それでも、主人公に対して欠片なりとも未練を見せてくれたことは救いでした。
ふと気になったのは、「もし老魔女と2人きりの閉じた世界で本当に老魔女が亡くなったら、ルージョンはどうなるのか」ということでした。
たとえば兄のティントアは、「依存相手のルージョンがいなくなればきっと生きてはいけない」と幼い頃は思っていたそうです。しかし実際にはそんなことはありませんでした(その結果、ティントアは自分含むすべてへの不信をつのらせることになります)。
もしルージョンがそういう状況に陥ったとしたら、たぶん本当に生きていけなくなるんじゃないかなーと個人的には思います。生への衝動ってけっこう強いので、実際にその場面にならないとなんとも言えない部分ではありますが。
憎悪ルートに引き続き、「生半可な気持ちで魔術師に関わると危ない」という教訓が得られるルートでした。見返していると量的にも質的にも若干気が滅入ります。が、攻略方法が特殊だったり内容的にも濃かったりで面白いですね。
逃亡エンド
ルージョン攻略の過程で、ある特殊エンディングへと分岐することがあります。それは、「逃亡」エンドです。厳密にはキャラなしエンドの1つですが、後日談がドラマチックだったのであえて項目を設けました。といっても短い感想です。
【帰る場所】を無事にクリアすると、主人公は秘密裏に城を抜け出せるようになります。それに伴い、「城から逃げ出す」という選択肢を選べるようになるのです。脱出に成功するとそこで攻略は終了し、エンディングへと移行します(なんとなくですが、成功には能力値がある程度必要な気がします)。
逃亡エンディングは、主人公が王城から脱出した3年と少し後に始まります。王城で学んだ知識と魔術を用いひっそりと生きていた主人公のもとに、ローニカが訪ねてきます。彼は、新しい継承者が誕生したこと、それによって主人公が継承者という束縛から解放されたことを伝えに来たのです。
主人公はローニカを見送り、「二人目は、最初からいてはならなかったのだ」と独白しつつ、扉に閂をかけるのでした。
「な、なんかカッコいい!」が最初にこのエンディングを見たときの感想でした。テンションが上がると語彙力が落ちますよね。
「北から吹くそれ(=風)は、極北に降る雪をわずかに含んで……」という言い回しを見るに、主人公はリタントの北部に隠遁しているのでしょうか。世捨て人のように達観した主人公のモノローグに痺れました。最後の台詞は、ルージョンの心情と若干重なるような気もします(とはいえ2人目の寵愛者が存在したからこそ、ヴァイルは無事に成人して即位できたとも言えるのですが)。
また、ローニカが健在であったことは嬉しかったです。ヴァイルの即位から3年ということは、リリアノはとうにランテ領に隠棲しているはずです(あるいはすでにこの世を去った可能性も)。にもかかわらず引退せずに現役であり続けたのは、逃亡した主人公を見守るためだったのではないでしょうか。
個人的にはこの結末から、連続で城外に出た主人公を始末しにかかるのはローニカなんだろうなと確信を持ちました。まことローニカは、「主人公の一番近くにいるキャラクター」だと思います。
攻略対象キャラの誰とも深い縁を結ばず、華やかな権謀術数の世界からあえて遠ざかり、独りきりでひっそりと生きていく……異色の結末ではありますが、主人公の強い意志と静のドラマ性を感じられるエンディングだと思います。
最後の扉に閂をかける描写は、王城と自分とを結ぶ唯一の存在であるローニカと決別するとともに、自分の人生から寵愛者としての1年にも満たない過去を締め出そうとしているようにも見えました。「寵愛者としての自分はいらなかった」と結論付ける主人公の胸に去来したのは、はたしてどのような感情だったのか。いまだに見返しては考えてしまうエンディングです。
双子の過去と「もうひとり」の失踪
「ティントアとルージョンが捨てられた理由」および「ルージョンが突然姿を消した理由」について自分なりにまとめました。
雨の日に発生するイベントに、【雨天閲覧】というものがあります。ある本を探すルージョンを手伝う図書室イベントです。
実はこのイベントでは、手伝いを成功させることでルージョンから重要な話を聞くことができます。ただし、ルージョンの高い好感度が必要です。【雨天閲覧】は1回目の雨の日イベントなので、隠し条件に気づかないままイベントを終えてしまうことはままあると思います。
重要な話とは、双子の両親が2人を捨てるに至った理由です。実は双子の父親は、神の家宛てに「紙片」を残していました。ルージョンは、読み書きの勉強を条件にその紙片を貰う約束をし、ついにはその内容を読めるまでになりました。紙片に書かれていたのは以下の一文でした。
ふたりめひかかってつまはしんだから、ふたりはむりで、おねがいします
冠を持つ神の手
どうも双子のうち、2人目の赤ん坊がなかなか生まれず、結果として母親は死んでしまったらしいのです。残された父親は男手一つで2人の赤ん坊を育てることの難しさを悟り、神殿付属の孤児院である「神の家」の前に双子を置いていったようです。
こんな内容をいつか親が迎えに来てくれると信じている子に読ませるって、正直酷いですね。「現実を見て神におすがりした方がいいよ」という意図があったとしても意地が悪すぎます。それだけルージョンのはねっかえりに手を焼いていたのでしょうか。
両親が自分たちを捨てた理由を知ったルージョンは、とんでもない衝撃を受けます。母親の命を奪い惨めな孤児院暮らしに双子を追い込んだのは、他ならぬ2人のうちどちらかだったのだ、と。そんなの双子のせいじゃないと心から思いますが、孤児院生活を憎み家族の暖かさに憧れていたらしいルージョンにとっては、そうとしか思えなかったのでしょう。
ここで、「引っかかった方」は自分であると固く信じ込んでしまったことが、ルージョンのその後の方向性を決定づけました。双子は一つのものとして生まれてこなければならなかったのに、本来いらなかった自分が間違って生まれてきてしまった……と、世界からの疎外感と片割れへの罪悪感がルージョンを苛んだわけです。
もともとルージョンは、神の家や引き取り手にとって自分は邪魔な存在であると思っていたようです。そこに上記の決定打が加わり、失踪する道を選んだのだと思います。「真実」を知った以上、「自分とは違う」ティントアと一緒にいるのは彼女にとって許されないことだったのでしょう。
ルージョンの失踪に直接的に関与したのは、老魔女とドゥナットです。とはいえ、その関与の程度は不明です。老魔女がドゥナットに命じて神の家に放火させたらしいのは確かとして、その前後の経緯がよくわからないんですよね。
神の家が燃える→雨が降る→ルージョン雨の中に立ち尽くす→ティントアそれを目撃→ドサクサに紛れてルージョン失踪(withドゥナット)という流れでいいのでしょうか。また、ドゥナットの言う「追い込んで」「奪って」というのは、「ルージョンから住居を奪い半ば強引に連れてきた」という解釈でOKなのでしょうか。まさか紙片にまで絡んではいないと思いますが。
ルージョンは生きていく上で難儀なことを背負い込みやすいキャラだと思います。環境の問題もありますが、本質的にはあれこれと考え過ぎて思い詰める性格のせいで。質問企画にありましたが、ティントアが双子が捨てられた経緯を知ったとしても、ルージョンと同じ思考はしないそうです。ティントアはもともと親の愛を信じていなかったので、まあそんなものかで流すのでしょうか。
ともかく、根本の性質についてもルージョンとティントアは対照的なキャラとして造形されていて、2人一緒にいれば互いの弱点を補い合えるようになっているのだろうなと思います。
フードの男・ドゥナット
多くのプレイヤーが最初に出会う魔術師は、もしかするとタナッセ愛情ルートに登場する「フードの男」ではないでしょうか。
タナッセと共謀して主人公の選定印を奪おうとする彼については、ルージョンルートにて「ルージョンの兄弟子」であること、「ドゥナット」という名前であることが明かされます。見た目から判断するならば、ドゥナットは18歳のルージョンよりも2、3歳ほど年上のようです(【全てを別つ選択】より。また、公式HPの質問企画では、ドゥナットは21歳であると記載されています)。
以下、ぼかしつつ生々しいことを書いています。ドゥナットに対してけっこうきついことも書いているので、併せてご注意ください。
率直に言って、ドゥナットは好感を持てないキャラクターです(かつ、そういう効果を意図して造形されたキャラだと思います)。【全てを別つ選択】で「うわー」と思い、【フードの男】(好愛35以上バージョン)ではっきりと「この野郎……」と思いました。あえて関西弁で表現するなら、「ほんま最低なヤツやなあ、マジで許せへんわ」みたいな感じでした。
ルージョンは【成人の宣誓】の中で、「性別を選ぶ余地がなかった」と漏らします。どういう意味なんだろうと不思議に思っていたわけですが、真相を知ったときはさすがに気分が落ち込みました。生々しすぎる。 真相を知った後で【永遠の少年】を見ると、ルージョンの発言の意味が分かってなんとも言えない気持ちになりました。
未分化の頃、ルージョンは「神殿で成人礼を受けなければ大人になれない」と思い込み、真剣に悩んでいたようです(実際は神殿で成人礼を受けなくとも成人することは可能でした)。神を憎む彼女にとって、神殿に近づくことは心理的に受け入れがたかったのでしょう。
すでに成人していたドゥナットは、そんなルージョンの無知につけこみました。「神殿に行かずとも成人できる方法がある」と持ちかけ、行為に及んだわけです。
結果として、ドゥナットは祖母である老魔女に絶縁され追い出されます。しかし、特に精神的なショックの大きかったルージョンは、引きずられるように女性に分化してしまったそうです(行為自体は途中だったという話ですが、周辺の際どい発言を見るに、刑法上の既遂ではあったんじゃないかなと思っています)。
この話、個人的にはとても衝撃的でした。それは他のプレイヤーの方にとっても同じだったようで、公式の質問企画ではこのエピソードについての質問がいくつかなされています。「未分化相手にどうやって……」とか、「そもそも未分化を相手にするのってグラドネーラの倫理的にはどうなんだ」といったディープな質疑応答も存在します。感情はとりあえず抜きにして、「あの世界にもそんなことってあるんだ、本当にリアル志向だ……」と思いつつ該当部分を拝読しました。
一応ドゥナットにも複雑な背景は存在します。かつての老魔女は相当に筋金入りの魔術師であり、実の孫に対しても容赦のない対応をしていたようです。
その非情さは、まだ少年(11歳くらいか)のドゥナットが神の家への放火を命じられた事実に端的に表れています。「魔術師に必要な素質は孤独」という彼女の信条に基づくものだとしても、ずいぶんと惨い話です。ドゥナットの性格形成に保護者であった老魔女の教育が影響したというのは、もっともな話だと思います。
また、冷酷だった老魔女ですが、餌にするべく拾ったルージョンに情が移り、魔術師らしからぬ愛情をひそかに抱くようになったようです。老魔女の孫であるドゥナットにとってこの事実が面白くないのは当然でしょう(自分も祖母に愛されたいと彼が思っていたかどうかは別として)。「餌として飼われている家畜のくせに」という蔑みや憤りもあったのではないかと思います。
とはいえ、そういった事情によってドゥナットの行為が正当化されるはずはないと思います(というかしてはいけない)。シンプルに最低な行為なので。ルージョンが気の毒です。
かもかて流に表すなら、ドゥナットへの個人的な印象は愛憎軸が思い切りマイナスに振れているイメージです。他方、友嫌軸はマイナスに振り切れているわけではありません。
好愛軸は「許容」、友嫌軸は「共感」を表しますが、要するにドゥナットについては「一定理解できるところはあるけどまず許容できない」と感じています。
神への懐疑論
かもかてのほとんどのルートにおいて揺らぐことのない“真実”があるとすれば、それは以下の事項だと思います。
- 寵愛者の額に刻まれている印は、神の恩寵と選定の証である
- 寵愛者は神の代理人として、リタントを支配する資格を唯一与えられている
田舎育ちの平民である主人公が王城へ招かれあまつさえ王になれる(=かもかてというゲームが成立する)のも、もとはと言えば選定印の正統性が自明のものとして了解されているからです。
たとえば、「こんなヤツに選定印が与えられるとは」と主人公を馬鹿にしたり、「神様が間違えたんだ」と憤ったりするキャラはいます。しかしそういったキャラも、「神が主人公を選んだ」ことを前提に話をしています。選定印=神の与えたもの、寵愛者=神に選ばれた人という認識は、リタントの国民の間ではほぼ共有されているわけです。
この認識に異を唱える、または異を唱える可能性のあるキャラクターはおそらく3名ほどです。
1人目は憎悪エンドでのモゼーラで、選定印はある時点から人(特に貴族)によって操作されるようになったのではないかと考えます。
2人目は神官ティントアで、選定印は王の徴であって神の徴ではないと考えています。
3人目は魔術師ルージョンで、兄と同じく、選定印は神の徴などではないと考えています。
モゼーラの場合、選定印は最初こそ神が与えたものだったが、だんだんと人によって管理されるようになった……と考えているようです。
モゼーラの疑いの力点は、どちらかと言えば選定印そのものよりもリタント王制とそれを取り巻く貴族層に置かれています。だからその推測は、選定印のみに目を向けて「神の徴か否か」を疑問視する双子の思想とは区別されるべきだろうと思います。
ティントアとルージョンは、「神官」と「魔術師」という正反対の身分にありながら、彼らの世界の根幹を成す思考の枠組について、共通の異端的な考えを持っています。すなわち、選定印≠神の徴という考えです。この考えがいかに反体制的かは言うまでもないことでしょう。
ティントアはその立場上(というより性格上)進んで自説を明かしません。しかしルージョンは対照的に、自分の考えを積極的に口にします。
ルージョンは選定印を、魔力の所産・魔術師の素質の証として捉えています。
たとえば【成人の宣誓】の中で、「もし主人公と自分との間に子供が生まれれば(!)その子の額には印があるだろう」と彼女は話します。また友情Bでは、「寵愛者であるリリアノとヴァイルも、主人公と同じく素晴らしい魔術師になれる素質を持っている」と断言します。
つまりルージョンに言わせれば、寵愛者は「神に選ばれた人間」ではなく、単に「強い魔力と魔術師の素質を持つ人間」にすぎないのです。ゆえに選定印は神の印ではなく、潜在的な魔力の高さを示すメルクマールであるにすぎないと彼女は思っているわけです。
ちなみに「寵愛者=高い魔力を持つ者」という説は、ヴァイルルートの【すれ違いの果てに】においてほとんど実際的に証明されています。
このイベントでは、魔術を学んだ主人公かルージョンのどちらかが、衰弱したヴァイルの「流れ」を魔術によって整え見事に生還させます。そんな無茶な芸当が可能なのは、「ヴァイルが主人公と同じく寵愛者であり、潜在的に強い魔力を持っているからだ」とルージョンは説明します。
そしてそこから一歩進め、「選定印を与えたのは神ではなく魔術師なのではないか」とルージョンは考えているようです。その考えは、「お前たちの額の印は神の与えた徴という。それが真実というならば、神と魔術師は同じところから来ている」という友情Bでの語りかけに端的に表れています。
いくつかのイベントからも分かるように、ルージョンは神の存在を否定しています。ここではあえて「神は存在する」と仮定した上で、「でも選定印を与えたと言われるその“神”は魔術師(=人)なんだよ」と言っているわけです。
「選定印≠神の徴」、そして、「選定印を与えたのは魔術師」。これらの認識は、他2名の魔術師にもある程度共有されているようです。
たとえばドゥナットは、【神の業、人の業】で「選定印が古い時代の魔術師によって刻まれたものであること」を示唆するような発言をしています。これは、ルージョンの認識とおおむね一致するものです。
老魔女もまた、「選定印はまあ神の証ではないだろう」という旨の発言をしています。ただし彼女は、「あたしゃ神は認めてるから」とアッサリと言います。その直後、「魔術師が神殿に行ったって神罰なんて下らない」とも発言します。
「認めている」という発言は、どうも「信じている」とはニュアンスが違う気がします。いわゆる神(=アネキウス)を単純に信じているなら、魔術師の身で神殿に行くなんて畏れ多いとまず考えそうです。神なるものを崇める世間一般の人の気持ちを一定認めているのか、世界をつかさどる力・存在といったもの(通常の神の概念とは異なる)を「神」と認識しているのか、それとも神の正体を知っているのか。謎は深まります。
「選定印は神の徴か否か?」ってとてつもなく根本的な問いですよね。双子やモゼーラの主張はとても面白いです。
個人的には、アネキウスは神ではなく、選定印を与えたのもアネキウスではないと思っています。ただ、選定印を自律的に管理するシステム(あるいは神的存在)は存在するのではないかと思います。寵愛者同士の誕生の間隔や、誕生する陣営同士の対立関係ができすぎているからです。
まるで、ある程度正常に王位を継承させつつ、しかし王制が弾性を失わないように、代替わりごとに揺さぶりをかけるシステムが存在しているかのように見えます(これは作劇上の都合と言ってしまえばそれまでですが)。
そして、ヴァイルと主人公とが並び立った状態は、興味深いサンプル足り得るのではないかと思います。主人公が存在しないif世界ではヴァイルは成人せずに亡くなり、王位の空白を埋めるためにリリアノが国王業を続行するようです。これは、「正常な王位継承が行われなくなってしまった」状態と捉えてもいいと思います。
一方、主人公が王城に来る世界では、ほとんどの場合ヴァイルは無事に成人し、主人公とヴァイルのどちらかが必ず王位を継ぐことになります。つまり主人公の存在によって王制には動揺が走り、しかし正常に王位継承がなされるわけです。
上はぶっちゃけ恣意的で結果論的な見方なんですが、答えの出ないことなのでまあいいかな、と。答えが示されないからこそ、ああでもないこうでもないと考えるのは楽しかったりします。
※追記:ルージョンと宝器庫を探索するイベント(【建国王の仕掛け】)を手掛かりに、「初代ルラント魔術師説」について考える記事を書きました。
≪関連記事:「神の代理人」か「魔術師の同胞」か? ルージョンイベント「建国王の仕掛け」に見る初代ルラントの正体 【冠を持つ神の手/かもかて考察】≫
嫉妬・夢イベント
ルージョンの嫉妬イベントは、誰相手でもわりとシリアスな雰囲気でした。サニャやグレオニーら平民出身キャラには、「ああいうまともな人種と付き合うなら魔術師なんぞ相手にするんじゃないよ」と皮肉げ。リリアノやユリリエ、モゼーラなどの大人っぽい女性キャラだとちょっと拗ねた感じ。
公式HPの質問企画に(主人公が誰かに言い寄られたら)ルージョンはああ見えて臆病なので後で主人公に怒るという回答があった気がしますが、嫉妬イベントを見ているとなんとなく納得です。
個人的には、ヴァイルとローニカ、そしてティントア相手の嫉妬イベントが印象に残りました。
対ヴァイルでは、若干主人公を脅すくらいの雰囲気があり、嫉妬多めでちょっとドキドキしました。あと、わかりやすく予防線を張って強がるルージョンの態度は、どことなくヴァイルと似ている気もします(嫉妬すると主人公への当たりが強くなるところも同じ)。
対ローニカは、「さすがローニカ」と言う他ない機敏な反応っぷりが見られます。また、ルージョンはローニカと主人公の関係に難色を示したり、微妙な反応を返したりしない数少ない人物です。皮肉を言うにも苦笑しつつなのは、やはり自分と老魔女のことが念頭にあるのでしょうか。
そして対ティントアについては、もはやハラハラしつつ成行きを見守るのみでした。「これ絶対三角関係に巻き込んじゃダメなやつ」と感じる2人は何組かいますが(例:ヴァイル→タナッセ、タナッセ→リリアノ、リリアノ→モゼーラ)、ルージョンとティントアはその筆頭だと思います。
全体的に魔術師の身分を意識した発言が多いですが、リリアノやローニカのように諦めが勝る雰囲気はなく、モゼーラやグレオニーあたりの押し切れない自信のなさとも違う感じですね。わかりやすくツンデレてくれるのは、対タナッセくらいでしょうか。ありがとうタナッセ。
夢イベントについて。【愛しき夢】は、ルージョンにそういう夢を見せることに対しての申し訳なさが先に立ちました。でも反応自体はすごく可愛くてニヤニヤします。
【親しき夢】では、「夢」の人為性に勘付いているらしいのがさすがだなーと思います。あの占い師は一体誰なのか、そもそも人なのか。ルージョンは、「魔術師は人の心を操ったりはできないし記憶を改ざんすることもできない」と断言しています(【魔術にできること】より)。そうなるとあの占い師、いっそう人ならざる存在に思えてなりません。
*****関連記事:「神の代理人」か「魔術師の同胞」か? ルージョンイベント「建国王の仕掛け」に見る初代ルラントの正体 【冠を持つ神の手/かもかて考察】(※以前この記事で書いたトピックにいくつか情報を追加し、別の記事としてアップしました)
驚きの長さ。かもかての感想の中で一番手こずりました。自分でも書いていて若干わけがわからなくなり、深夜のテンションで乗り切ったところがあるので、まとまらない部分があったら申し訳ないです。さすがに長いと思い削れるところは削ったのですが、どうにも魔術師周りについて書きたいことが多すぎました。
ルージョンは普段のツンツンっぷりと終盤あたりの崩れっぷりとのギャップが凄まじくて癖になります。ツンデレっぽい反応を楽しんでいたはずが、いつの間にか「守ってあげたい、いや、守らねば……」という思いに駆られてしまうというか。
蓮っ葉な口調と突き放した態度で大人びていると見せかけて、実は不安定で脆い精神を抱え込んでいるキャラだと思います(そういうところもヴァイルっぽい?)。一途すぎてズタボロになりがちでどうにも危なっかしいし。甘い焼き菓子をたくさんあげたいです、本当に。
ところで、かもかての核心はつきつめると「神」だと私は思っています。「寵愛者」は神と直接に繋がる存在(神に選ばれた者)であり、物語上で大きな存在感を放っています。そして、神の敵とされる「魔術師」もまた、神とダイレクトに繋がるがゆえに実はかなり大きなプレゼンスを有しているのではないでしょうか。
だからこそ、寵愛者の主人公と魔術師のルージョンという取り合わせにはそれだけで心躍る(?)緊張感というか期待感があると思います(神官のティントアと魔術師のルージョンの組合せもそうですが)。ストーリー的にもキャラクター的にも歯ごたえのあるルートでした。ルージョン可愛い。
その12は、謎の商人トッズについての感想です。
次回:『冠を持つ神の手』 トッズ 感想 攻略 その12
関連記事:共通友情エンド×2とヴァイル憎悪監禁エンドを並行して攻略 【冠を持つ神の手/かもかて】
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