『冠を持つ神の手』 トッズ 感想 攻略 その12
異世界ファンタジー育成系ADV、『冠を持つ神の手』(かもかて)に登場するキャラクター、「トッズ」の感想&考察&攻略記事です。制作サークルは小麦畑様。
全イベントとエンドを見た上での感想なので、ネタバレしかありません。未見の方はご注意ください。考察みたいなものも書いていますが、あくまで個人的な考えです。主観まみれです。
関連記事:トッズイベント「彼に飲ませるお茶」に見るグラドネーラ世界の伝承 【冠を持つ神の手/かもかて考察】(※2019/07/22追記:以前この記事で書いた「トッズイベント【彼に飲ませるお茶】の感想」を別の記事としてアップしました)
◆トッズ
自称20歳の男性。王城中庭の市に店を出している商人。口八丁手八丁で怪しい物を売りつけることを得意とする、言動、見た目ともに胡散臭い人物。主人公に対してなれなれしく接するが、その心中は謎に包まれている。
登場条件:「初めての市」済*
冠を持つ神の手
*緑or青の月の間に市に行き、交渉するなり知り合いを探すなりして何かを買う。
トッズについて
「トッズ」は、城内の市に出店している商人です。担当パラは交渉。
トッズと主人公と出会いの場は王城の廊下。主人公にぶつかったトッズは、「道に迷ったから案内してほしい」と続けて話しかけてきます。態度こそ非常になれなれしいものの、初期の好感度は実はゼロです。
トッズはルージョンやユリリエと同じく、隠しキャラ的な登場条件を持つキャラクターです。ルージョンの感想記事に書きましたが、この3人は王城の外に拠点を持っている点で共通しています。
ルージョンは魔術師、ユリリエは中級貴族、そしてトッズは「商人」。王城と距離のあるルージョンとトッズのルートでは特に、他のキャラルートとは少し異なる視点からグラドネーラ世界を眺めることができます。
ところで、主人公の住む王城の中庭では、各月の20日・40日・60日に「市」が開かれています。市が開催される日には王城の外から商人たちがやってきて、中庭に一日中天幕を張って持参した品物を売ります。
市ではNPCの好愛を上げる「贈り物」を買えるほか、「占い」によって好感度を操作することもできます。ルートや攻略方針にもよりますが、お世話になったプレイヤーは多いのではないでしょうか。
月に3度開かれるこの市は、王城に起居して働く使用人たちにとっては束の間の息抜きにもなる待ち遠しいイベントのようです。たとえば侍従であるサニャは、いくつかのイベントで市に通い、買い物やおしゃべりを楽しんでいるらしい描写があります。
実際市には使用人向けの品を揃えた店が多く、利用客の多くは使用人です(城下と比べて市の規模も特別大きいわけではないそう。ユリリエ、【安物の指輪】より)。使用人たちは【移譲の儀】を翌年に控えて忙しくしているため、城下の市にはなかなか行けない……という時期的な事情もあります。
一方、貴族は市にはほとんど足を運ばないようです(ヴァイルを除く)。そもそも貴族たちは王城の外に館を構えているので、気まぐれに覗いてみようといった意図がない限り、わざわざ城の市に顔を出す必要はないのでしょう。
また、王城に勤める者たちが皆市を純粋に楽しみにしているのかというと、必ずしもそうではありません。市の日には出店を口実に大勢の商人が王城に出入りします。したがって、衛士たちが特に緊張感を持って仕事をしなければいけない一日でもあるのです。
衛士であるグレオニーによれば、市の日にもっとも気を遣う場所は、実は中庭ではなく「正門」だそうです。フィアカントの王城は四方を湖に囲まれ、外界との結節点は唯一正門のみという堅牢な構造の建物です。市の日は外部の人間がその正門から大手を振って出入りするので、おのずと正門のチェックは厳しくなります。
具体的には、登城と下城のタイミングで人数と名前を確認し、荷物点検を行うそうです。王城に出店する商人は「きっちりとした身元引受人の紹介を受けた上で選考されて」います。それでもこうしたチェックを厳格に行わなければならないわけです(グレオニー、【巡回中・中庭】)。
衛士たちとは別に、侍従のローニカも市に関しては浮かない顔をすることがあります。移譲の儀を前に王城全体が騒がしくなっている現在、市を開くのは治安上好ましくないからです。彼の危惧は正しく、使用人たちの間ではすでに市に怪しい人間が複数紛れているという噂が囁かれています。
ローニカ自身は、「今年くらいは市を中止してもいいのではないか」と考えています。実際のところ、市の取りやめは一度は議題に上ったようです。しかし結局は国王リリアノの意向もあって今年も開かれ続けています。
市の継続について、「なるようになるしかない」とローニカはやや意味深な発言をしています(ローニカ、【市の日】)。まるで市を起点として「何か」が起こることを予期しているかのようです。
彼の裏の顔やリリアノとの繋がりを考えるに、市が中止されなかった事実には、王の沽券に関わるといった表面的な理由とはまた別の「意図」が透けて見える気もします。
ここから「商人」トッズの話に入ります。初登場時、「偶然にも」主人公とぶつかったトッズは、「王城への出店許可証を求めて王城に来た」と説明します。その後目的がかなったのか、彼は市の日に中庭に現れるようになります。
実はトッズの登場タイミングは、隠された候補者である主人公が市に顔を出し、身分発覚に繋がる何らかのアクションを取った直後のことです。
一見うさんくさいトッズですが、彼も他の商人同様、身元引受人の紹介を受けて王城に出店しています。しかもその身元引受人は、ファジルの代から城に品物を納めている大店のケリュリー商会(【保護者同行】)。使用人たちの噂を聞いても、うさんくさい売り文句はともかく、取り扱っている商品は値段相当のしっかりとしたものだそうです。
しかし王城の警備を考えたとき、市は最大のウィークポイントです。その市を通じて王城に出入りし、第二の寵愛者である主人公に積極的に接触しようとするトッズが、ただの商人であるはずもありません。
トッズの正体は、大貴族に雇われた密偵です。彼の目的は、念入りに隠された2人目の候補者に接触することでした。
主人公が発見された当時の状況を振り返ってみましょう。リリアノは国を割りかねない存在だった主人公を速やかに保護し、自らの庇護下に置きました。実は、第二の寵愛者が出現したことは現状公にはなっていません。城の外の民は主人公の存在をはっきりとは知らないのです。貴族たちはさすがに主人公の存在を知っているものの、リリアノから「主人公に婚姻関係の話(=政略的な話)を持ちかけるな」としっかりと釘を差されています。
もちろん、リリアノには善意ばかりではない思惑があり、主人公は故郷の村から強制的に王城に連れてこられました。しかし結果だけを見れば、主人公は将来の進路を選ぶ機会を得た上で、成人までの時間を外野に煩わされることなく過ごすことができます。これはリリアノの迅速な判断と恩情のおかげである、と言ってもいいのではないでしょうか。
ただしこの成り行きは、一部の貴族にとっては非常に歯がゆいものでした。というのもファジル、リリアノ、そしてヴァイルへと続くランテの一家独裁を覆す隠し玉が、早々にリリアノの手中におさまってしまったからです。
1人の王の在位期間は20年ほど続くため、ヴァイルが順当に即位すればランテの権威と権力はいや増すことでしょう。ランテの支配を快く思わない者たちにとって、ヴァイルの即位ほど苦々しいことはありません。しかしヴァイルを排除したところで、次の寵愛者が生まれるまでリリアノが玉座にあり続けるだけです。どう転んでもランテの支配からは逃れられない……これまでは、確かにそのはずでした。
ところが、ヴァイルと同い年の寵愛者である主人公は現状を唯一覆すことのできる存在なのです。ランテに反感を持つ貴族勢力にしてみれば、「ヴァイルの対抗馬として主人公を利用したい、なんとか主人公とコンタクトを取りたい」と願うのは当然の流れです。
しかし先述した「釘差し」のために、貴族たちは表向きには有効なアクションを起こせません。そして、そこにトッズのような裏社会の人間が暗躍する余地が生まれるわけです。
今回派遣されたトッズは優秀な密偵です。主人公が依頼主の手に落ちればどうなるかを把握しつつ、当初は何の感情も抱かずに接し始めます。どれだけ胸糞の悪い依頼であっても「仕事は仕事だから仕方がない」と割り切っているのでしょう。「割り切ること」こそ、トッズのような後ろ暗い仕事に携わる者たちにとって有能さの証と言えるのかもしれません。
トッズエンドまでの道筋は、どのルートであっても、トッズがそういった割り切りから脱却する過程なのではないかと個人的には思います。
その脱却が良い方に転ぶか悪い方に転ぶかは未知数です。それでも「割り切れる自分」を本心では嫌悪しているトッズにとって、自分のありようを変えることは大きな意味を持ちうる出来事なのです。
トッズの道を大きく左右するのは、主人公自身のひととなりです。主人公がどのような人物であるのか、どのようにトッズに接するのか。しっかりとイメージを固め、方針を立てて進めれば、主人公のあり方によってトッズの行く末がどれほど異なっていくのかがはっきりと感じられるのではないかと思います。そのギャップは攻略対象キャラの中でも際立っています。
かもかてにおける「周縁的人物」のうち、ルージョンは「グラドネーラ世界の影の部分」に属するキャラ(人々から疎外される魔術師)です。一方トッズは、「リタント社会のアンダーグラウンド」に生きるキャラだと言えます。
かもかてのキャラは所属や出自が様々です。そのためか、「このエンドはこのキャラ攻略でしか見られないだろう」と感じるエンディングのシチュエーションがそれぞれに存在します。トッズルートでも、「このエンドはトッズだからこそ」と思わず唸ってしまう類いのエンディングが存在し、とりわけ印象的に感じました。
トッズを攻略するにあたっての注意点
前述した通り、トッズの登場条件はやや特殊です。簡単に説明すると、【初めての市】で買い物をすると、トッズが登場します。
店主と交渉して額の印を見せてもいいし、ヴァイルやサニャ、タナッセと言ったキャラを頼ってもOK。大事なのは、「どうやらヴァイルとは別の候補者が王城にいて、市に顔を出すらしい」という事実が明るみに出ることです。その情報が王城の外に届くと、トッズは動き出します。
逆に言えば、【初めての市】で何も買わなければ主人公の存在が外に漏れることはありません。市への訪問の2回目以降は、容易に身バレしないようにローニカが配慮をします。そのため、【初めての市】でフラグを立てなければトッズは一切登場しなくなります。他キャラ攻略時に贈り物や占いを利用したい場合は、あえてトッズを登場させないこのやり方が有用です。
また、どの攻略においても共通することですが、できれば最初に【取次のお願い】の成功を目指しましょう。このイベントを成功させると、トッズが「入城証」を手に入れます。その後は市の日でなくても城に出入りするようになるので、イベント進行がスムーズになります。
問題は、【取次のお願い】を成功させるためには、「能力値」および「他キャラの好感度」が必要になることです。具体的には、事前に内容を知っていないとややシビアな以下の2つの条件があります。
- そこそこ高い交渉(名声でもいいが交渉の方が楽ちん)
- 「印友の高い」「貴族身分キャラ」の「好愛が10以上」
トッズが望んでいるのは「お金持ちの顧客」。そして、そういう顧客に渡りをつけられるのは、やはり貴族身分のキャラクターたちです。かもかてで貴族キャラといえば、ヴァイル・タナッセ・リリアノ・ユリリエの4名です。まずはこの4人の中から1人を選びましょう。
とはいえ、イベントの時期や好愛条件を考えると、オススメは明らかに「ヴァイル」です。ヴァイルは好愛の初期値が高いので、実は登場時点で条件を満たしています。最初の印象値決定で印友を15ポイント振り、あとはノータッチでいればOKです。
【取次のお願い】で以上の条件を満たせば、ヴァイルが好事家を紹介してくれます。あとは、主人公自身の交渉力(or名声の高さ)を発揮するだけです。判定に成功すれば、後日【取次のお礼】が起こります。
愛情
トッズの愛情エンドは、駆け落ち成功の愛情Aと、【想い人の正体】を経た愛情Bの2通りです。
トッズは傾向としてユリリエと似たところがあります。すなわち、恋人に共感や自分と似通った部分を求めないタイプの人です。愛情を抱く相手と友情を育む相手をはっきりと区別しているので、愛情攻略と友情攻略とでは、文字通りまったく異なる対応・方針が必要となります。
その懸隔はユリリエルート以上に大きく、結果として「愛情ルートの主人公」と「友情ルートの主人公」とでは、その中身に天と地ほどの差が生まれることになります。
愛情ルートにおける基本的なスタンスは、素直で純真、天然、無邪気な子どもです。トッズに懐いてその言葉を疑わず、彼への好意を包み隠さずに示すことが何より重要。数値については印愛をどんどん振りましょう。トッズは好愛の引きずられ修正が発生するキャラです。
有効な言動は、おまじないを信じたり、渡された怪しい薬を言われるまま飲んだり、うさんくさい人形を持ち帰ったり、にこにこしていろと言われればその通りにこにこしていたり……などでしょうか。
「この主人公は無防備すぎるし考えなしすぎる」とプレイヤー視点で思う程度がちょうどいいと思います。あまり深くは物事を考えず、「私はトッズが好きなんだから細かいことは気にしない」くらいのおおらかさで行きましょう。
ただし、トッズの過去に必要以上に踏み入るのはNGです。トッズにとってのウィークポイントは、主人公と会うまでの密偵としての過去です。プレイヤーとしては興味を引かれるポイントですが、愛情攻略である以上、「今目の前にいる自分を見てほしい」というトッズの願いに応えるが吉です。
では、トッズ愛情攻略の流れを書いていきます(上述の通り、【取次のお願い】の成功を前提にします)。
最初に、【父と名乗る男】の発生を目指します。このイベントをクリアすれば実はほぼ愛情エンドが確定します。ただし、その前後の過程はやや込み入っています。
まず、【父と名乗る男】をクリアするまでは、トッズの好愛にはキャップがかかっています(35以上にならない)。かつ当該イベントをクリアするには、その上限にごく近い高さの好愛が必要です。よって上記のスタンスでイベントをこなし、印愛をどんどんと振って好愛の引きずられ修正を狙いましょう。
【父と名乗る男】の発生条件は、大きく分けて以下の2つです。
- 【告白】を経由
- 【息抜きのお誘い】を経由
イベントを回収したいという理由でもない限りは、①「【告白】を経由」がベターです。むしろあえて「城の印象度をプラス」にし、②【息抜きのお誘い】の暴発を防ぐのもアリかと思います。これには2つほど理由があります。
第一に、【息抜きのお誘い】の発生条件は「城の印象度マイナス」かつ「4月以降」と込み入っています。そのため、任意に起こせる【告白】と比べて手間と時間がかかります。加えて、トッズの好愛条件が整っていないのに勝手にイベントが発生してしまうというデメリットも抱えています。
第二に、好愛の引きずられ修正を目指す上では、印愛を常にトッズの好愛より上回らせ続けるという操作が必要になります。そうなると積極的に印愛を振って【告白】を起こしてしまう方が話が簡単です。【告白】経由であれば、トッズの好愛の高まりを見計らい、任意のタイミングで【父と名乗る男】を起こすこともできます。
ただし、【父と名乗る男】にはある要注意ポイントがあります。それは、トッズ一人の好愛が高いだけでは(愛情攻略においては)クリア不可能という点です。実は、トッズ1人の好愛が高いだけではこのイベント内でトッズは確実に命を落とします。その場合、愛情攻略は失敗に終わります。
トッズは諜報員としての能力はピカイチですが、ずば抜けて戦闘向きというわけではありません。そこそこ腕は立つものの、複数に囲まれ飛び道具も使われた場合、さすがに切り抜けることは難しいようです(主人公もいるし)。
ということで、トッズを救ってクリアするために、ずば抜けて戦闘力の高いキャラクターの力を借りる必要があります。それは誰かと言えば、侍従のローニカです。ローニカの好感度が高い場合、トッズと主人公が絶体絶命のピンチに陥ったときに彼が助けに入ってくれます。
【父と名乗る男】に関しては、ローニカの「好感度」(好愛ではなく)がクリア条件です。しかし愛情B自体は、ローニカとトッズの共通愛情エンドと言ってもいいエンディングです。したがって、同じ周回でトッズの愛情Aと愛情Bを回収したいのであれば、最初からトッズと並行してローニカの愛情攻略も進めることをオススメします。その過程で【父と名乗る男】をクリアしてしまいましょう。
幸いローニカの好愛が上がる主人公は、トッズが好む主人公と傾向的に似通っています。素直、純真、寂しがり屋。ローニカへの好意は隠さずに伝え、なんとか城に馴染もうとする健気な子。一言で言うなら、「可愛い孫」です。イメージとしては、トッズの好きなタイプからアホの子成分を抜いたような感じでしょうか。
≪関連記事:『冠を持つ神の手』 ローニカ 感想 攻略 その7≫
トッズルートでは、ひとまず「トッズファースト・ローニカセカンド」で攻略していきましょう。最初は【父と名乗る男】のクリアを目指すので、好感度条件がよりシビアなトッズを優先します。同イベントのクリア後にトッズの好愛はほぼ35以上になるはずなので、残った時間を使ってローニカを攻略しましょう。
ただし、愛情エンディングを目指す場合は、「トッズの印愛<ローニカ(あるいは他キャラ)の印愛」という条件を満たさないように気をつける必要があります。
もしも上の条件を満たした場合、トッズの嫉妬イベントが発生します。嫉妬イベントはトッズルートにおいては要注意のイベントです。というのも、憎悪・裏切・殺害エンディングの呼び水となる【求めるただ一つは】の発生条件になっているからです。
嫉妬イベントを見た後、数値調整をせずに【求めるただ一つは】を迎えると、トッズの好愛は反転します(つまり、その時点で愛情攻略は失敗する)。よって、愛情エンディングを目指す場合は、印愛的な意味でトッズファーストを貫きましょう。
※逆に言うと、愛情攻略から派生して憎悪・裏切・殺害といったエンドを回収可能です。【父と名乗る男】をクリア後に、「ローニカの印愛<トッズの印愛」の時期のセーブデータを残し、そこから分岐させると楽だと思います。
話を戻します。【父と名乗る男】での選択肢について書きます。
まず、「メーレ侯爵」の誘いははねつけましょう(誘いに乗ると内戦エンド)。
その後、トッズに助けられたら、主人公を逃がそうとする彼にあくまですがりつきます(見捨てて逃げると殺害エンド)。
ローニカの好感度が高ければ、粘っていると彼が助けに入ってくれます(ローニカの好感度が低いと殺害エンド)。
トッズと一緒にローニカに救助されて王城に戻ったら、処刑されてしまう前にトッズを引き止めましょう(見捨てるとやはり殺害エンド)。
これだけの選択肢をクリアすれば、トッズは晴れて主人公の護衛に就任します。愛情エンディングは実質確定です。あとはトッズの好愛が35以下にならないように、またトッズの嫉妬イベントが発生しないように気を付ければOKです。
トッズのパーソナリティーを掘り下げられる【再び市にて】関連のイベントなどを回収したい場合は、【父と名乗る男】を早めにクリアしましょう。
最後に、愛情Aと愛情Bの違いについて書きます。まず、愛情Aは駆け落ちエンドです。まずは、【最後の日】にトッズを訪ねましょう。ここで駆け落ちを打診されるので、その提案を呑みます。
駆け落ちイベントは【移譲の儀】の後に始まります。イベント内には複数の能力値による判定が用意されています。駆け落ちの成否判定は、以下の3つのポイントで別個に行われます。
- 神殿内の逃げ道を記憶しているか
- 湖に飛び込めるか
- 正門を怪しまれずに通過できるか
具体的には、①知力、②武力、③交渉がチェックされます。十分に鍛えておきましょう。
駆け落ちに失敗した場合は、トッズが処刑されて別のエンドになります。ただし例外的に、「ヴァイルの好友のみが高い場合」は失敗しても愛情Aになります。具体的には、ヴァイルが主人公に特別の愛情や憎悪を抱いておらず、かつ親友レベルの友情を抱いている場合のみ、ヴァイルはトッズと主人公を見逃してくれます。
しかし、これは狙って調整しない限りはなかなか満たせない条件だと思います。素直に能力値を高めて駆け落ちを成功させた方が無難です。
愛情Bは、ローニカとの二股経由のエンディングです。
まず、【最後の日】にトッズではなくローニカを訪ねましょう。両者の好愛が35以上ならば、途中から【想い人の正体】が始まります。このイベント内でトッズの方を選べば、無事に愛情Bに到達できます。
愛情Aは非常に印象的なエンディングでした。個人的な話になりますが、私はトッズを一番最後に攻略しました。後味についても落ち着く場所についても、それこそ様々なエンディングを見てきた後のことです。その上でトッズの愛情Aを見たとき、「ついにここまで来たんだな」という不思議な感慨を抱きました。ついに主人公たち三足族のルーツとも言える場所に到達してしまったんだな、と。自分がかもかてというゲームの終盤に差し掛かっているということを実感し、寂しい気持ちにさえなりました。
このエンディングにおいて、主人公とトッズは「魔の草原」のすぐ手前にまで流れ着きました。魔の草原は三足族が不遇をかこった時代に住んでいた場所であり、かつてルラントという王に率いられ、自由を求めて旅立った土地でもあります。今や誰も住もうとしない、寂しく恐ろしい「始まりの場所」に、トッズと主人公は2人きりでたどり着いたのです。
ロマンチックというにはあまりにも心もとなく、切なさすら感じさせるエンディングではあります。「まだあっち(魔の草原)には逃げなくても平気」とトッズは主人公に言います。しかし、「まだ」と付け加えているあたりから、2人の置かれた穏やかではない状況が浮かび上がってくるのです。
実際のところ、王の眼が行き届いたリタントにおいて2人の居場所はほとんどないのでしょう。だからこそ、トッズと主人公は南の果てにいます。このエンディングで示されているのは、「これからの2人が互いの愛情だけを支えに、ひっそりと暮らしていかなければならない」という事実ではないでしょうか。トッズも主人公も王に反逆し、地位も何もかもを投げ打ってしまったわけですから。
それでも、というよりだからこそ、私はこのエンディングがとても好きです。特に「始まりの森と呼ばれるここは」から始まり「世界の果てで、そして始まりの場所だ」で結ばれる主人公の独白が大好きです。
主人公が言う通り、2人がいるのは「始まりの場所」です。駆け落ちする前の2人を縛っていた「リタントという国」、および「神の代理人としての寵愛者」は、この「始まりの場所」から出発した1人の王によって形作られました。
ルラントの存在が導いた「リタント王国」と「寵愛者システム」は、脈々と受け継がれて今に至っています。そして、その両者の中心を物理的に占める場所、つまり三足族が最終的に手に入れたものの象徴こそが「フィアカントの王城」である……と言ってしまってもいいのではないでしょうか。
トッズと主人公は、その王城から逃げてきました。地位も人間関係も一切を捨て、ただの2人きりの男女になって「始まりの場所」に帰ってきたのです。そしてかつての彼らの先祖のように、身を寄せ合って生きていこうとしています。
歴史をさかのぼるような2人の逃避行に、はたして神の祝福は与えられるのか。それとも魔の草原が彼らを呼び寄せてしまうのか。2人の行く末は定かではないものの、この宿命の土地からトッズと主人公の新しい人生が始まることを思うと、プレイヤーとして感慨に浸らずにはいられませんでした。
一方の愛情Bは、なかなか複雑な後味のエンディングだったと思います。ひとつ思ったのは、「俺は最初から望んでなんかいない」というトッズの発言はたぶんウソですよね。はっきりと欲しいものを明言している、嫉妬イベントや【求めるただ一つは】を見るに。
もっと言うと、上記の発言は建前の多いローニカが言いそうな台詞だと思いました。しかし、ローニカはこのエンドではある意味素直であり、予言めいた忠告をトッズに言ったりします。
個人的には、トッズは主人公とローニカの未練を同時に断ち切り、ローニカの背中を押してやりかったのかなーと感じました。そのために、これからは自分がローニカの役割を受け継いで主人公を護ると示したのではないでしょうか。
もちろん体よく恋敵を諦めさせたい気持ちもあっただろうとは思います。しかしトッズは、主人公がローニカを選んでも円満に身を引いてくれるんですよね。だから彼なりにローニカのためを思い、あえて露悪的に語りかけた部分もあるのではないかと感じました。
このエンドを見るに、トッズとローニカは相性が悪いとはいえ、似通っているところはあるんだろうなと思います(リリアノの指摘通り)。当人同士もそれをちゃんとわかっているようです。トッズが「俺はあんたとは違う」と言い、ローニカが「これからきっとつらくなるぞ」と言外に匂わせるやりとりを見てそう感じました。
後日、ローニカはトッズへの引継ぎを決意したようです。それまでローニカとそりの合わない様子だったトッズが自らローニカのポジションに入ると表明した点で、印象深い結末でした。
このエンドでは、トッズは名実ともに主人公にとって一番身近な人になりました。しかし、この後に愛情反転しないとは限らないんですよね。(公式の質問企画より)。
こじらせると怖いトッズは、役目を果たすことと気持ちを抱き続けることをうまく両立させることができるのでしょうか。あのローニカでさえ散々苦悩したというのに。まあ、そこの葛藤も含めてローニカからすべてを引き受ける覚悟をしている様子なので、杞憂かもしれませんが。
やや不穏な気配はあるものの、トッズのローニカに対する(友情とは少し違うのでしょうが)共感と思いやりが垣間見える良いエンディングだったと思います。
あらためてトッズの愛情ルートを見渡すと、【父と名乗る男】が明らかに山場であって、そこを境にトッズが大きく変化したことがうかがえます。
愛情エンディングに到達できるかどうかは、ほぼ【父と名乗る男】をクリアできるか否かにかかっています。あのイベントさえクリアすれば、あとは主人公が部屋に籠りっぱなしでも愛情Aには行き着けます(もちろん主人公が他のキャラに目移りしたり、愛情を反転したりしなければの話ですが)。
【父と名乗る男】は、「密偵トッズ」が一度死んで生まれ変わるイベントだと個人的には思っています。そして、そう考えているからこそ、【父と名乗る男】から愛情Aへと至る流れはとても綺麗だと強く思います。
トッズは疑い深く抜け目のないキャラです。他者へのドライでシビアな目線は生き抜くため、騙されないための武器だと言えます。だからこそ、見知らぬ相手のことはまず疑ってかかり、相手から差し出されたものはとりあえず怪しむような人物(たとえば友情ルートの主人公)を、トッズは「賢い」と評価します。
裏を返せば、見知らぬ人物をすんなりと信用し、相手から貰ったものを疑わずに受け入れる人物(たとえば愛情ルートの主人公)は、トッズ基準では「賢くない」のです。「馬鹿」と言ってしまってもいいかもしれません。しかし、トッズが愛情を感じるのは「賢い」人物に対してではなく、その「馬鹿」な人物に対してなんですよね。
トッズは多くを明かさないキャラです。特に密偵としての過去に言及されることを嫌がります。生きる上での習い性となったトッズの疑い深さと抜け目のなさは、そうした彼の過去と密接に結びついているものです。
もちろん、生まれもっての性質はあるかもしれません。しかしトッズ自身は望んでそういう性分を身に付けたわけではないようです。だから騙されない生き方を「賢い」と割り切りつつも、内心では「賢い」自分のあり方を嫌っている節があります。「賢くない」けれども自分を素直に慕ってくれる主人公に惹かれるのは、そういった事情ゆえではないでしょうか。
愛情Aに至ることを前提として考えるなら、トッズの変化は「肩書きの変化」を通して段階的に浮かび上がってくる気がします。
当初「密偵トッズ」として主人公に近づいた彼は、いつも通り賢く立ち回って仕事を遂行しようとします。しかし結局のところ主人公にほだされてしまい、【父と名乗る男】において、主人公を助けるという愚行を犯しました。
主人公を助けたことによる窮地を奇跡的に切り抜けた彼は、一時期「護衛トッズ」として生きることになります。しかし、護衛として賢く生きることは、ローニカとは大きく性分の異なるトッズには苦しいことでした。
だから彼は、主人公にあてどもない逃避行を持ち掛けます。それは自分だけではなく主人公をも巻き込んだ危険な賭けであり、とんでもなく愚かな行いでした。もしかすると「可哀相な俺のオツムと将来に乾杯」と再び思っていたのではないでしょうか(そう思う余裕すらなかったかも)。
しかし、それでもトッズはその道を選び、「護衛トッズ」を葬りました。代わりに現れたのは「ただのトッズ」です。「ただのトッズ」は賢く現状を維持していれば望める安寧を捨て、「馬鹿」極まりない選択へと突き進みます。
そして愛情Aにて、2人は世界の果てにたどり着きました。ここでようやく何者でもなくなった「ただのトッズ」はその仮の名さえも捨て去り、主人公に本当の名前を明かすのです。
主観も多分に混じっていますが、上記のように振り返ってみると、トッズがペルソナを順々に捨てていく構成の丁寧さに感動するばかりでした。
「賢く」生きてきたトッズが主人公の危なっかしいくらいの純真さに絆され、やがては手に手を取り合い、彼基準では「馬鹿」な生き方に真っ向から飛び込んでいく。 それが愛情Aに至る場合のトッズ愛情ルートの全貌だと私は思います。
憎悪
トッズの憎悪エンドは、愛情派生(=護衛就任後)の憎悪Aと、友情派生(=護衛就任前)の憎悪Bの2通り存在します。憎悪Aは性別によって内容が一部変化します。
憎悪Aは、トッズ嫉妬イベントの発生が1つの契機となります。つまり、トッズ以外ののキャラに二股をかける必要があります。オススメの相手はローニカです。愛情攻略のついでにこの憎悪Aも回収するのがオススメです。
「トッズの印愛<二股相手の印愛」にする(トッズの印愛を二番以下にする)と、中日に嫉妬イベントが発生します。憎悪攻略ではその印愛の順位を、黒の月黒の週まで維持しましょう。
すると、黒の週の中日に、【求めるただ一つは】が発生します。このイベント発生時にトッズの印愛が二番以下であれば、トッズは好愛度を反転させ、主人公を憎悪するようになります。
あとは印愛度は触らず、そのまま【最後の日】にトッズを訪ねましょう。「愛している」と伝え、「逃げずにずっと好きでいる」と約束すると、憎悪Aに到達できます。
憎悪Bは、展開的には友情ルートの終盤から派生するようなイメージです。ただし、数値的には序盤からの調整が必要になります。
好友が上がると好愛は下がる傾向にあるので、大筋では通常の友情ルート的な選択肢を選んでいけばOKです。その上で、トッズから貰ったものを捨てたり、トッズが好きだよと見え透いたウソを吐いたりするのが有効です。
また、実は好愛度を初期からこまめにマイナスに振っていくことが重要です。イベント数的な意味で。トッズは好愛の引きずられ修正が発生するキャラです。せっかくなので、常に印愛をトッズの好愛より下回らせ、終盤に向けてどんどんとお互いに憎悪をつのらせましょう。
また、終盤では王を目指して名声を上げ、【裏工作】×3をすべて発生させましょう。この3つのイベントでは、実行役のトッズにとことん冷酷に指示を下します。狙うは同族嫌悪の感情です。自分の野望と保身のために他者を平気で踏みにじる主人公に対し、トッズは冷ややかな憎悪を抱いてくれることでしょう。
数値の条件を満たしたら【最後の日】にトッズを訪問し、用済みになった彼を切り捨てることを選びます。これにて憎悪Bに到達です。
憎悪Aは、トッズがヤンデレと化すエンディングでした。「もしかして攻略支援版でプレイしてる? ぶっちゃけ主人公の印象度(トッズにとっては好感度)見えてるよね?」とツッコミたくなるくらい、トッズのインサイトが鋭かったです。
【最後の日】の、「信じるから/側で護ってあげるから(憎悪MAX)」は相当怖かったです。「主人公は俺と違って嘘をつかない」という言葉は、トッズ自身はいくらでも嘘をつくということの裏返しではないでしょうか。
後日談では露骨に貞操か命かを狙いに来ているし、完全に振り切れてしまったんだなーと。ヴァイルといいティントアといい、かもかては潜在的ヤンデレキャラをかなり抱えているゲームだと思います。
ふと思ったのですが、憎悪モードで吐露されるトッズの本音は、なんとなくユリリエルートの「永遠の愛」の話と重なるところがありますね。あくまで感覚的な印象ですが、トッズなりに身分違いの主人公に望む永遠の愛の形があり、それが得られないと分かったから愛情を憎悪に変えてしまったように感じました。
「他には何も望まないから心だけは欲しい」というトッズの論理は理解できる反面、重いなあとも思います。すべてを投げ打って主人公を選んだトッズが主人公に強く依存する気持ちはよくわかります。ただ、永遠に続くものはないと思うんですよね。それが人の心であれば尚更です。
主人公は成人後に様々な人と出会うでしょうし、貴族の誰かと婚姻を交わさなければならないのでしょう。トッズとは正式な結婚はできません。その中でまったく変わらない熱量をもって「ずっとトッズが一番」を貫けるものでしょうか。他の人と結婚しても、その人との間に子供ができても、トッズへの好意を変わらず維持できるのでしょうか。
私個人は、率直に言って難しいのではないかと思います。というより主人公の印愛の変化を1ポイント単位で見抜けるトッズだからこそ、主人公の一挙一動に苦しむ羽目になり、唯一の願いの実現はいっそう困難になるのではないだろうか、と。
もし「ずっとトッズが一番」と言ってくれる主人公のままでいてほしいのなら、トッズはそれこそその言葉を、主人公が発する最期の言葉にしなければならないのではないでしょうか。あるいは愛情Aのように、(社会を逸脱するという意味で)主人公と2人だけの世界に行ってしまうのも1つの解決方法なのかもしれません。
上のようなトッズの論理に若干のためらいを覚える理由を考えてみました。それはたぶん、主人公よりずっと身分の低い他のキャラたちが主人公の愛を積極的に束縛しようとしないからだと思います(ティントアは違いますが、神殿議員の息子なのでここでは貴族のようなものと見なします)。
トッズは自分と主人公の身分の違いをよくよくわかっていて、その上で絶対的な要求を突きつけてきます。その要求が裏切られれば愛情を憎悪に転じもします。客観的に見ると、その心の動きはかなり極端です。
しかし本人も言っているように、トッズは「そういう人間」なんですよね。自分の欲にどこまでも忠実で、愛に関してはとことん不器用なキャラクターです。そういうところがトッズというキャラのユニークさであり、魅力でもあると私は思います。
また、憎悪Bには「因果応報」という感想を抱きました。このエンドでは、たとえ王になる条件を満たしていても王にはなれません。トッズが洗いざらい主人公の工作内容を告発し、それがリリアノの判断に影響を与えたためでしょう。転んでもただでは起きないところはさすがトッズ。
とはいえ主人公も野心家なので、王になる計画がパーになっても、更なる権謀術数を巡らせて生きていくつもりのようです。うーんタフ。どっちもどっちな2人ですね。
個人的には、【最後の日】にあえて「抱負を語っておく」を選んだときのトッズの反応が印象的です。会うのはこれが最後だからこそ、本音をぶつけずにはいられなかったのでしょうか。最後だからこそ「賢く」後腐れなく別れればいいのにそうしなかったのは、それだけ主人公を忌み嫌っていたからか、トッズの妙なところで不器用な一面ゆえなのか。
それはともかく、「ひねり殺せないのが残念」とまで言うのには驚きました。命じられれば喜々として主人公の命を奪いにやってきそうな勢いです。ヒントにもありますが、憎悪Bの本質は「同族嫌悪」です。だからトッズの主人公に対する突き刺すような言葉は、彼自身にもそのまま跳ね返っていく部分があるのだと思います。
こじらせたトッズは怖いことがよくわかるルートでした。しかし彼の複雑な心理が深く掘り下げられるので、やりごたえのあるルートだと思います。
友情
トッズの友情エンドは、最終結果:王の友情Aと、最終結果:王以外の友情Bの2通り存在します。
トッズは主人公を探るために送り込まれた密偵です。主人公と接触したときの感触次第で、彼は大まかに分けて2つの方針を取る予定でした。
1つ目の方針は、主人公にうまく取り入り言いくるめてさらってしまうこと。2つ目の方針は、リリアノの庇護下にある主人公を引き込み取引を持ちかけること(狙いは主人公を焚きつけ、ヴァイルにけしかけることにあったようです)。
2つ目の方針は、1つ目の方針がうまく運ばなかった場合の代替案と言えます。よって友情ルートでは、まずトッズに1つ目の方針を断念させる必要があります。「頭と口のよく回るヤツだな」「コイツを言いくるめるのはどうも無理そうだな」とトッズに判断してもらわなければならないわけです。
攻略する際のスタンスとしては、口達者で頭のいいドライなリアリストを意識しましょう。自らの微妙な立場を自覚し、額の印を好機と見て玉座をも視野に入れる野心家であればなおよし。
基本的には、積極的に王を目指すことが望ましいです。また、弁が立つことをアピールするのも有効です。高くて困ることはないので、交渉は早めに100以上にしておきましょう。
トッズ攻略の全体的な傾向はユリリエと似ている印象です。友情ルートの場合もやはりユリリエと同じく、第二のトッズになろうとすればOKです(ただしトッズ攻略の場合、行き過ぎはNG)。
トッズと友情を育む(【楽しい取引】前)
友情ルートでは、重要イベントである【楽しい取引】を境に、トッズとの付き合い方に変化が生じます。
商人として登場するトッズは、客観的に見ればかなりうさんくさい外部の人間です。そこで、ある程度親しくしつつも必要以上には馴れ合わず、一定の距離を置いて接します。たとえば、怪しい薬をほいほい飲む、素直に寵愛者の身分を明かすといった行為は言語道断です。数値的には、印愛にポイントを振らないようにしましょう。
想定される主人公像は、愛情ルートで好まれるタイプのちょうど逆です。トッズに近づきすぎると好愛が上がり愛情ルートに入ってしまうので、ベタベタするのはよくありません。ただし突き放しすぎれば当然好感度は下がるので、付き合い始めの加減がやや難しいところです。
ポイントとして、トッズに興味は持ちましょう。その上で「話していて面白いなら付き合うし、物をくれるならまあ貰うけど、信用はしていないし情には絆されないよ」くらいのクールな姿勢を貫きましょう。
トッズと友情を育む(【楽しい取引】後)
ビジネスパートナーになった後は、トッズもさして遠慮なく裏の顔を見せてくるようになります。トッズと対等に付き合うために、甘いことは言わずに策謀を巡らせましょう。
イベント数を稼ぐためにも、王を目指すのがベターです(イベント回収を考慮に入れるなら取引までは「王△or×」にし、【野心の在り処】を見た後で「王○」にするのが一番いいのか)。 また、トッズは依頼主の貴族層を良くは思ってはいません。平民出身者としての出自を忘れないようにしましょう。
ただしこの段階で思い出すべきなのは、「人は己に似たものを最も憎む」というローニカの名言です。
上で「第二のトッズを目指す」と書いたかと思いますが、それはあくまで目安に過ぎません。生きるために手段を選ばないではいられない(他者は信用しない、自分さえ生き残ればそれでいい)己のあり方を、トッズは嫌悪している節があります。ゆえに、主人公の中に自分によく似た冷酷さを見出した場合、トッズは主人公に共感しつつ同じだけの憎悪を抱くことになります。
したがって、「やり過ぎはNG」です。具体的には憎悪ルートに入ってしまうので、冷酷すぎる指示を出すのは控えましょう。
攻略の流れとしてはまず、【取次のお願い】を成功させましょう。愛情攻略でも書きましたが、交渉を磨き、貴族身分のキャラ(適任は初期値の高いヴァイル)の好愛を高めてから臨みましょう。成功すれば【取次のお礼】が発生し、トッズイベントの多くが解禁されます。
次に好友を十分に高め、【楽しい取引】の発生を目指します。このイベントでは、衛士に通報せずにトッズとの取引を呑みましょう。
最後に王を目指している場合、【裏工作】という中日イベントが発生するようになります。このイベントは、指令:主人公&実働:トッズのペアで、王になるための裏工作を仕掛けてみようという内容です。
その都度きちんと依頼をし、名声を上げていく(=本気で王になりたいとトッズに示す)ことによって、トッズは合計3つの【裏工作】を主人公に持ちかけてくれます。
裏工作では、基本的に競争相手のヴァイルを貶めることになります。ヴァイルの悪い噂を流したり、ヴァイルの名で行われている施しで騒ぎを起こしたり……当然ながら工作の内容はダーティーです。
しかし、「そんな汚い手は使いたくない」、「そこまでして王様になりたくはない」といった甘いことを言うと、トッズははっきりと幻滅します。のし上がること=生き残ることと割り切り、しっかりとトッズの話に乗るようにしましょう。
もっとも、先述した通り「やり過ぎはNG」です。サニャ憎悪攻略のように調子に乗って突き抜けたいところですが、ぐっと堪えます。 実際に依頼をこなすのはトッズであること、彼が主人公の言動をつぶさに見つめていることを忘れずに、指示はほどほどの内容にとどめましょう。
友情Aと友情Bのどちらでも、主人公のお抱えとなったトッズとの「共犯めいた友情関係」を見ることができます。
「最終結果:王以外」の友情Bは、温度と湿度の低めな信頼関係が印象的でした。建前上の身分差はさておき、2人の精神的な対等性が際立つエンディングだと思います。
特に「レハトが俺を信頼するのと同じくらい~」という台詞は、いかにも友情ルートのトッズという感じでグッときます。まったくブレがなくて好きです。これがトッズにとっての友情の形なんでしょうね。踏み込みも踏み込ませもしない一方で、必要とされる限りはしっかりと付き合ってあげるつもりなんだろうなと感じました。
「最終結果:王」の友情Aは、友情Bよりも蜜月感が強いエンディングだと思いました。リップサービスかもしれませんが、「主人公を強い王にするのが夢」とはっきりと言ってくれたのは嬉しかったです。
このエンディングのトッズの態度は、友情トッズと愛情トッズのハイブリッドっぽいというか、どこかイキイキしているような気がします。友情Bよりもはっきりと主人公に肩入れしている風でもありました。
友情Aを見たときに思い出したのは、【波風立たせて】でのトッズとのやりとりです。「民のために」王になりたいと言うと、「俺はその「民」に入っているのか?」「俺が何を望んでこういうことをやっているのかわかるか?」とトッズは尋ねてきます。
トッズは同じイベントで、「世間に波風を立たせたい」「主人公が王になれば面白そう」とも発言しています。主人公は友情Aで見事国王になったので、トッズにしてみればまさに「してやったり」な気持ちなのだろうと思います。
しかし個人的には、トッズは「しめしめ」という思いだけで主人公に協力し続けているわけではないような気がしました。具体的に言えば、【波風立たせて】での上記2つの問いに対して自分なりの答え(手ごたえ)を得たからこそ、トッズは主人公の友人として働き続けることを選んだのではないかと感じます。
トッズは自らを「下賤なすれっからし」と口では言いますが、けして心からそういう自分に開き直っていたようには見えないんですよね。俺は「民」に入っているのかという問いは、その複雑な自己矛盾に端を発しているのではないでしょうか。
制作者様によれば、トッズは「二律背反の人」です。何にも気にしてないよー俺は所詮こんなもんだよーと外に向けてアピールしつつ、内心では現状に納得していないし不満もあるし、自分のことがあまり好きではない。言行不一致で特大の屈折を抱えているキャラ、それがトッズだと思います。
そういう意味で、友情Aのトッズはようやく自分の生き方に納得を得られたのではないかと感じました。トッズはもはや望まない仕事をしているわけではありません。能力を認め友情を抱いた主人公のために自ら望んで働いています。主人公も同じくトッズに友情を感じ、彼の技能と情報を武器として戦っています。
つまり、国王である友人のために働くこと自体が今までにないタイプの満足感をトッズにもたらしているのではないでしょうか。それはきっと物質的な報酬によって代替できるものではなく、もしかすると、彼の望みを満たせる類いのものだったのかもしれません。
もちろん、トッズと主人公の友情は利害関係の上に成り立つものです。先行きは不透明と言えます。しかし、今やトッズにとっての利益に、「自分の働きによって主人公を強い国王にすること」もちゃっかりと含まれている節があります。だからこそ主人公はトッズとの友情が長続きしそうな予感を抱いているのでしょう。
トッズ友情攻略の全体の流れを見ると、【楽しい取引】前は好愛の上昇に注意し、【楽しい取引】後は好愛の減少に目を配らなければならないのがユニークだと思います。偏るとそれぞれ別のルートに入るので、友情ルートはきわどいバランスの上に成り立っていると言えるのかもしれません。
かもかての友情ルートは、キャラクターが「納得」を追い求める旅路である……とトッズの友情Aを見てあらためて感じました。トッズもそうですが、タナッセ、ローニカ、モゼーラ、サニャ、グレオニー、ティントアあたりもそういう趣きがあると個人的には思います(ユリリエは例外的に、愛情ルートの末に納得を得られるような気がします)。
裏切
トッズ裏切エンドは、愛情派生の裏切Aと、憎悪派生の裏切Bの2通りです。
【想い人の正体】でトッズを選んだあと、性別選択で男を選ぶと裏切Aになります。また、中日【求めるただ一つは】を見た後で、【最後の日】にトッズから逃亡を試みると裏切Bになります。
裏切Aについてですが、通常の愛情ルートでは、主人公は性別選択の前に逃亡します。この場合、【最後の裏切】には到達できません。
したがって裏切Aは、トッズとローニカに二股をかける愛情Bルートから派生します。いったん愛情Bへの流れを確定させてしまえば、トッズと主人公は駆け落ちせずに城に留まります。もちろん成人礼も王城の神殿で行うことになるため、性別選択でトッズを裏切ることが可能になります。
まずは2人を並行して愛情攻略し、【最後の日】にはローニカに会いに行きます。ここで【想い人の正体】が発生したら、トッズの方を選びましょう。あとは性別選択時に、「男性」を選択すればOKです。
裏切Bは憎悪派生です。主人公の印象度とは関係なく、トッズの憎悪の高まりがカギとなります。
憎悪攻略と同じ手順で【求めるただ一つは】を起こし、主人公の印愛は35以上のまま【最後の日】を迎えます。ここで一度は愛情を伝えつつ、最終的にはトッズから逃げ出せばOKです。
裏切Aは毎度のことながら心苦しい結末でした。トッズとローニカの両者を裏切ったエンディングと言えるかもしれません。【想い人の正体】で両方を選ばずに退くと、トッズは主人公に対して優しい配慮をしてくれるんですよね。だからいったん承諾してからの裏切りには、恨みごとの1つも言いたくなるだろうなと思います。
傍に居るのに影はなく……という後日談は、トッズがずっとフランクに絡んでくれたことを思うとよけいに空しかったです。
このエンドのトッズは不本意な形でローニカ流の生き方に落ち着くことになりました。トッズは器用な人です。それならそれで割り切って、護衛として賢く生きていくのでしょう。しかしそれは、「そう生きるしかなかった」かつての状態に逆戻りしただけとも言えます。そういったことを思うと、ビターな味わいの結末だなと思いました。
一方の裏切Bはなかなかに背筋が寒くなるエンディングでした。まず考えたのは、「別のもの」ってなんだろうということです。わざと気配を漏らして主人公に精神的なプレッシャーを加えつつ、トッズが狙っているものは何なのか、と。
憎悪Aを先に見ていたので、初見ではアレな方向のことなのかと思いました。ただ、分岐選択肢手前のトッズの言動やローニカとトッズの関連性から考えて、「命」と捉えるのが妥当なのかなーという結論に落ち着きました。
トッズとローニカは水と油のような2人です。とはいえ、「自分の思いはまっとうな形では報われない」という一点においては意識を共有している気もします。「ひたすら思いを秘めるorストレートにぶつける」の点ではもちろん相容れませんが、実は互いに共感しきれない仲ではないんじゃないかな、と。
だからこそ、ローニカ愛情派生殺害ルートで【最後の日】にローニカが語る言葉は、トッズの裏切Bの意味を考える上で見過ごせないものだと感じました。
「自分の気持ちが通じたとしても、自分は彼の一番にはなれない」「なら、こうするしかない」……そんな愛憎を抱いてローニカを刺そうとした主人公に対し、ローニカはこう言うのです。「私もまた、同じように夢想したことがある」、と。ローニカが夢想をつのらせた相手が誰だったのかは、もはや言うまでもないことだと思います。
一番になれないのなら相手の命を奪うしかない。ローニカが一度でもそう思ったことがあるのなら、それはそのままトッズにも当てはまるのではないかと思いました。
つまり、ローニカ→想い人においては実現しなかった夢想が、トッズ→主人公において実現されようとしている。それがトッズ裏切Bの意味するところなんじゃないかなーと個人的には思います。
殺害
該当するエンディングは3通り存在し、タイプとしては大きく「(トッズの)護衛就任前」と「護衛就任後」とに分けられます。
護衛就任前にトッズが死亡すると、Aエンドです。護衛就任後の場合、愛情派生(=【最後の日】に駆け落ち失敗)はBエンド、愛情反転の憎悪派生(=【最後の日】に始末する)はCエンドです。
Aエンドは、【父と名乗る男】でトッズが命を落とした場合のエンディングです。同イベント内でのトッズの最期によって、【最後の日】の内容が一部変化します。
愛情ルートへの分岐の最大のカギは、【父と名乗る男】時点でのローニカの好感度の高低です(ローニカの好感度が高ければ救援が入る)。よってAエンドのみを目指す場合は、トッズの好愛を上げる一方、ローニカにはノータッチでいけばOKです。ローニカの好感が足りない場合、トッズは【父と名乗る男】で確実に落命します。
しかし効率を考えるのなら、上記のAエンドは愛情エンディングを目指すデータでついでに回収したいところです。しかし愛情エンディングを目指す場合、ローニカの好感度上げは必須となります。
ローニカの好感度を上げつつAエンドを回収したい場合、選択肢は2つ。1つ目は、トッズに「行け」と言われたときに食い下がらずさっさと逃げること。2つ目はローニカに助けてもらって王城に戻った後、処刑されるだろうトッズを黙って見送ることです。
どちらの場合でもトッズは命を落とします。ただしどちらを選んだかによって、【最後の日】の主人公のモノローグが変化します。
Bエンドは、愛情派生かつ駆け落ち失敗エンドです。【最後の日】に駆け落ちに失敗すると、ほぼこのエンドに行き着きます(ただし上でも書いたように、ヴァイルの好友のみが高い場合は失敗しても駆け落ちエンドになる可能性があります)。
駆け落ちの成否判定は、以下の3つのポイントで個別に行われます。それぞれに関係しそうな能力値を低く保つことで、駆け落ちを失敗することが可能です。
- 神殿内の逃げ道を記憶しているか
- 湖に飛び込めるか
- 正門を怪しまれずに通過できるか
トッズ攻略においては交渉が高まりがちなので、武勇か知力を低く保っておくのが無難かと思われます。
Cエンドは、愛情ルートで反転を使用し、【最後の日】に始末すればOKです。
【求めるただ一つは】でトッズの好感が反転しているかどうか(つまりトッズの好感が愛情高か憎悪高か)によって、エンド内容の一部が変化します。
殺意ではなく「好意を持ったが故の」エンディングが多いと制作者様の所感にありました。
たしかに、トッズエンドの内訳は、①主人公を救って死亡、②主人公と駆け落ちしようとして死亡、③愛情反転で殺害されるの3通りです。他のキャラはもっと殺伐としている(憎悪派生のエンディングがある)ので、「役得」と言えばそうなのかもしれません。
Aエンドはしんみりとした雰囲気の結末でした。【最後の日】ではなくルート中に死亡するパターンがあるのは、ヴァイル、ルージョン、そしてトッズくらいではないしょうか。
ヴァイルの場合は、御前試合で故意に手を下した時点でエンド直行です(もはや主人公しか王候補がいないので)。一方ルージョンとトッズの場合は、【最後の日】にそれぞれのお気に入りの場所を訪れ、もういない彼らに思いを馳せることになります。ルージョンの場合は重たくシビアな展開、トッズの場合は切ない後味がそれぞれ醍醐味という印象です。
Aエンドを見て、そういえばトッズはまめに色々なプレゼントをくれたんだなーとあらためて思いました。匂い袋、人形、指輪といったラインナップ的に、親戚の女の子の機嫌を取るようなノリで贈っていた感じもしますが(ただ、お見舞いの白い花はスマートでしたね。コミカルなオチだったとはいえ)。
一度そこそこの身分を手に入れた上で指輪バージョンのエンドになったのですが、その後の主人公を想像するグッときました。貴人になった主人公が一見ちゃちないわくつきの指輪をしているっていいなと思います。
Bエンドは、駆け落ち失敗後ということでシリアスです。さすがに2度目の誘拐は許されることではなく、トッズは処刑されます。一方の主人公も「二度目はない」と突きつけられて一生を送ることになりそうです。
とはいえ、駆け落ちに失敗した場合でも主人公の進路に支障は出ません(各部署の長や上級貴族にもなれます)。寵愛者として大人しくしていなければならないとはいえ、なかなか恩情ある措置だと言えます。
駆け落ちに失敗した場合、トッズと主人公を最終的に裁くのはヴァイルです。この場面でヴァイルの好感度による分岐があることにはおおっと思いました。そもそも仲良くないなら許さない、親友だと思っている場合は許す、でも強い好意を持っている場合はやっぱり許さない……とヴァイルの反応は筋道立っています。
「俺がとっとと失踪して~」のくだりでは、イルアノのことやヴァイル自身の憎悪Aの内容をどうしても思い出してしまいました。反目してしまった寵愛者同士はどこまでも相容れなくなるんだなーと痛感してしまいます。
Cエンドは、愛情反転から派生するオーソドックスなエンドです。トッズの好愛が愛情高か憎悪高かによって展開が変化します。
愛情高の場合、事前に愛情エンドを見ているとトッズの反応にグッときますね。ここでもやはり嘘をつくのか、と。嘘を吐くことによって主人公の罪悪感を軽くしてあげているのか、自分の受けたショックを軽減しているのか。それは定かではありません。しかし、トッズの偽悪的なところは嫌いじゃないです。
憎悪高の場合のCエンドはけっこう好みでした。愛ゆえに悲しい他のエンドもいいですが、愛がこじれて殺伐とするこのエンドはやはり王道(?)という印象です。苦い笑みを浮かべていることも含め、「ひっどい話」という一言が好きなんですよね。トッズの複雑な愛憎が絶妙に表現されている吐露だと思います。
また、「心中」という発言は地味に重要ではないでしょうか。この発言は、主人公が護衛を連れてきていると知った上での意思表示ではないかと思います。
このエンドにおけるトッズには、偽悪的なところと愛に不器用なところが複雑に混じり合っているような雰囲気があります。本当に主人公を殺すつもりだったのか、それとも死ぬつもりでポーズとして飛びかかったのか。そこはけして明かされません。だからこそ、「今となっては何もわからない」という主人公の独白に共感せざるを得ないのだろうと思いました。
あまり深く考えたことがなかったのですが、「心中」という言葉を聞いてから、「もしかして、たとえば裏切Bの後に思いを遂げたら、自分も死ぬつもりなんだろうか」と考え込んでしまいました。
本当にトッズは器用なのか不器用なのかよくわからなくなるキャラですね。でも、だからこそ妙に気になってしまうのだろうと思います。
内戦エンド
トッズルートには、基本の5つのエンディングのほかに、【父と名乗る男】から派生する特殊なエンディングが存在します。以下、該当するエンディングを「内戦エンド」と呼称します。
愛情ルートのハイライトである【父と名乗る男】には、「メーレ侯爵」を名乗る人物が登場します。彼の目的は、第二の寵愛者である主人公を手に入れ、玉座を我が物とすること。ファジル、リリアノ、ヴァイルと続くだろうランテの一家独裁状態に反旗を翻すためには、もう一人の「正統なる王」を担ぎ上げるしかありません。
このイベントで「お父さん!」を選ぶと、その時点でゲームオーバーです(逃げようとして好愛不足のトッズに捕まっても同じく)。具体的には、「リタントは内戦へと突入する」と結ばれて終了します。
リリアノとローニカはどうも不穏分子をいぶり出そうとしていた節があります(市を中止しなかった理由もそれ)。ローニカは怪しいトッズをあえて泳がせ、裏で誰が糸を引いているのか見極めようとしました。その結果、主人公は危険に晒されることになったようです。
初見では、「お父さん!」→即ジ・エンドの流れに笑いました。ノリの良いエクスクラメーションマークが絶妙にまぬけで好きです。素直であること、疑わないことを要求されるトッズ愛情ルートであっても、この最後のラインは超えてはいけないのでしょう(ある意味、主人公の見る目の確かさを問うイベントでもあるのか)。
とはいえ、内容としては深刻な結末です。このエンドでは一部キャラの後日談が変化しますが、ヴァイルは強硬な姿勢で反乱軍との戦いに臨み、リリアノは内乱の最中に暗殺され、グレオニーもまた命を落としてしまいます。
特にグレオニーはトッズルートにはほぼ関わらないのにこっそりと亡くなっているのが彼らしいというか、なんとも気の毒だなーと思いました(ようやく衛士が活躍できる時代が到来したのにこの結末なので、グレオニールートの内容と絡めて色々と考えてしまいました)。
内容としてはバッドエンドかもしれませんが、ヴァイルと主人公が道を別つ展開には少しワクワクしました。以前にも書きましたが、対になる存在として造形されている2人が異なる陣営に身を投じる展開は王道的で好きです。
神官エンド(第三勢力の神殿に身を寄せる)や魔術師エンド(社会から疎外される「赦されざる存在」になる)も同じタイプのエンドだと思います。しかし、ヴァイルと主人公が同程度の力を持って明確に対立するのはこの内戦エンドくらいではないでしょうか(もちろんこのエンドの主人公は完全なるお飾りですが)。
ヴァイルは通常強権的な王になりますが、この内戦エンドを勝ち抜けば王権はさらに強化されそうですね。王位継承の基準が選定印から血統へと回帰することさえあるかもしれません(とはいえ数代後の王はファダー家出身と決まっているらしいので、内戦エンドであっても寵愛者システムは堅持されるのか)。目指せファジル超え。
御典医テエロと「翁」のローニカ
「テエロ」は王城の医務室に勤める若い医士です。22歳という若さながら、寵愛者であるヴァイルの御典医を務めています。
「同僚さんいらっしゃい」繋がりで、トッズの感想記事の中でテエロにの感想も書こうかなと思います。※以下にはテエロに対してきついことも書いているので、テエロのことが好きな方はご注意ください。
テエロが登場する場面はごくわずかです。たとえ登場しても「若い医士」としか説明されないこともあります。しかし、その佇まいは妙に印象に残ります(もちろん、立ち絵があるというメタな理由のせいでもあります)。
テエロと出会う機会がもっとも多いのはグレオニールートでしょうか。グレオニーや主人公が傷を負って医務室に駆け込むと、たいていテエロが応対してくれます(【怪我】【ついてくる気配】)。その態度はなぜかややつっけんどんです。
その他、彼はルージョンルートにチラッと登場することがあります。【雨天閲覧】にてルージョンの手伝いで薬草を探す主人公に、モゼーラが医士のテエロを紹介してくれるのです。希少品らしい薬草の現物が手に入るのはテエロを通してのみです。このイベントからも分かるように、テエロは薬草やその用い方に詳しいようです。
ざっとこういう描かれ方をしているテエロですが、彼はローニカと同じく裏仕事に携わる人間です。ローニカが表向きは侍従として主人公の世話をしているように、テエロは医士としてヴァイルの側近くに仕えています。成人直後の15歳から王城で働いているらしいので、かれこれ7年ほどその任についているようです。
これだけならどうと言うこともないのですが、実はテエロは護衛対象であるヴァイルに忠誠以上の思慕を抱いています。そしてその強い思いゆえに、作品世界における重大事件を引き起こした(かつ新たに引き起こす)ことがあります。したがって、なかなかの要注意人物だと言えるでしょう。
たとえば、グレオニールートに深く関わる事件に、「衛士惨殺事件」があります。この事件は1年前、ヴァイルが御前試合で重傷を負ったことに端を発します。事故とはいえ寵愛者を害した衛士は、王城を辞して故郷に帰りました。しかし帰郷した彼は無残にも命を奪われてしまいます。
実は、衛士の遺体には死後に負わされたと思しき深い傷がありました。そしてその傷は、ヴァイルが衛士に斬りつけられた傷と酷似していたのです。
「実は」と言うまでもないですが、この見せしめの色合いが強い犯行を行ったのがテエロです。「故意ではなかった」、「実質的な制裁としてキャリアを絶たれた」など同情すべき要素の多い加害者の衛士を、その故郷まで追いかけて犯行に及んだことになります。後でローニカにきつく絞られたらしいので、この事件はテエロの独断によるもののようです。
また、テエロが将来的に起こす可能性のある事件は、ヴァイルルートの【すれ違いの果てに】です。主人公を毒針から庇ったヴァイルが人事不省に陥り、最悪亡くなってしまうあのイベントです。
このイベントの下手人もやはりテエロです。彼はヴァイルに【不安】を抱かせた主人公を許せず、その命を奪おうと考えたようです。結果的に毒針はヴァイルに刺さったので、テエロは守るべき人を傷つけてしまったことになります。
ヴァイルが亡くなった場合、エンディングではテエロが自害したらしいことが語られます。もし奇跡的にヴァイルが助かった場合でも、加害者の彼は重い責任を問われるようです(公式の質問企画より)。
率直に言えば、テエロは名前ありキャラの中で唯一苦手です。あまり共感できないというか、怖い人だなーと思います。あのドゥナットでさえ(個人的には)一定理解できるところはありました。しかしテエロの場合、役目に反して行動がぶっ飛びすぎだと思うんですよね。
衛士の惨殺によってヴァイルに悪い噂が立つとは考えなかったのか。ヴァイルが待ち望んでいた主人公を短慮で排除して、彼がショックを受けるとは思わなかったのか。側付きなら自分の感情ではなくヴァイルの望みを考えて動くべきではなかったのか……など疑問は尽きません。
弁えるべきラインをとんでもない形で超えていく、それがテエロさんに対するイメージです。「なんでやねん、そこやっちゃうんかーい」と思わずツッコミの1つも入れたくなります。
テエロに関しては、ローニカに対する疑問も湧いてきます。グレオニーの感想記事でも書きましたが、衛士の事件が発生した時点でローニカはテエロを罷免すべきだったのではないでしょうか。
もちろん減給か何かの処分は下したのでしょうが(ただ叱責するだけではなかったと思いたい)、テエロを側付きのまま据え置くのはリスキーな判断だったと思います。命令も権限も与えられていないのに、独断で一国民の命を奪ってしまうのは普通にヤバいでしょう。「道具は使う者(主君)の意図を超えてはならない」というローニカの信条的にも、まずもって許容できない行為ではないかと思います。
しかもテエロは、ヴァイルに物理的に害を加えてもいない主人公さえ手にかけようとする人物です(結果論であり分岐の1つとはいえ)。かつての越権行為を反省する気持ちが少しでもあったならば、そんな行為に及ぼうとはしないはず。だからテエロが立場上許されないことをした最初の時点で、彼にとって一番堪えるであろう護衛職解任を行い、その独善を厳しく正すことはできなかったのか……とどうしても感じてしまいます。
もっとも、衛士の事件が発生したのはゲーム開始時点の約1年前なんですよね。そしてテエロはヴァイルの健康管理に長年関わっている、腕の立つ人材でもあります。
「成人礼を数年後に控えている今はテエロをヴァイルの側に留めるメリットの方が大きい」という判断が働いたのかもしれません。また、移譲の儀を控えた王城にはどうしても隙ができてしまうため、下手な人事異動はしたくないという事情もあったのかなーと思いました。
とはいえ、ローニカがテエロを続投させたことには、彼自身の個人的な感情が少なからず作用したように思えてなりません。
ローニカはローニカで、護衛対象に長年の片思いを続けています。彼女に不釣り合いな元夫や息子(※ローニカ判断)に色々と思うところはありつつも、個人的な感情を誰かにぶつけることなくひたすら忠勤を貫いてきました。
グレオニー護衛ルートからもわかりますが、ローニカ的には、護衛対象に強い思い入れを抱くのは良いことのようです。むしろ経験則ゆえか、その感情の動きを「必然」と捉えている節もあります(そういうところを見るに、やはり彼は道具どころか人間臭い人です)。
ただし、分不相応なその思いを成就させようとしてはならない。それが仕事人ローニカにとっての絶対的なラインです(この考え方が如実に現れているのが、対トッズのローニカ嫉妬イベントだと思います)。
ローニカにしてみれば、側にいるからこそ線引きが必要なのです。だから同じ同僚であっても、「見返りなんていらない、傍でお守りして尽くすのみ」という浪花節の人には好意的である一方、ラインを平気な顔で超えていこうとする人には冷淡なのでしょう。
しかし、前者の生き方は普通の人間にとってはなかなかハードなものです。ローニカ自身も個人的な気持ちが報われないつらさはよくわかっています。だから余計に、葛藤しつつも多くは望まずに仕事に励む前者のタイプに肩入れしてしまうのかもしれません。
ローニカ以外の名前ありキャラで、側付きの護衛ポジションにある(就く可能性がある)キャラは3名ほどいると思います。すなわち、トッズ、グレオニー、テエロの3人です。それぞれに対するローニカの態度はかなり異なっています。
トッズについては、トッズルートでもわかるようにまったく許容できないようです。性格もスタンスも水と油なのでさもありなん(でも案外いいコンビだったり)。
グレオニーに対してはそこそこ好意的で、エンドによっては親身にアドバイスをしていました。グレオニーは身分差を痛感しつつ「側にいられるだけで幸せ」的なことを言っちゃうタイプなので、思考がローニカ寄りだとは思います(そういえばグレオニーもトッズとそりが合わない様子でした)。
そしてテエロについては、ある意味で一番ローニカに近い境遇の人間だったのかもしれません。1年前の暴走もヴァイルへの強い思いのためと言えなくもないし、だからこそローニカも決定的な処分は与えられなかったのではないでしょうか。
テエロの行いを考えると、「ローニカは想い人が傷つけられたら報復するのだろうか?」とちょっと考えてしまいました。愛情ルートで反転して【最後の日】にローニカを刺そうとすると、若干不穏なことを言うんですよね。「愛する人に思いが通じないのならいっそのこと」と若い頃には思った……と解釈できるようなことを。
ローニカの抑制的な生き方は長年かけて諦めることで培われたものであって、本質的には激情家の一面を持っているような気がします。そして、ローニカと想い人は親子弱の年の差があり、ローニカが彼女に出会ったのは30歳くらいのときです。
だから、もし若い頃にテエロと同じ境遇にあったとしたら、気持ちをコントロールするのに相当苦労したのではないでしょうか(テエロのように暴走するかどうかは別として)。そういう点もテエロへの同情要素として働いたんじゃないかなーと感じるポイントです。
嫉妬・夢イベント/ヴァイル憎悪監禁エンド
トッズルートでは、嫉妬イベントが憎悪・裏切エンドの引き金として扱われています。そのためか、どのキャラ相手でもかなりの緊張感がありました。普段がおしゃべりなので、いざ無言になるとトッズは怖いですね。
やんわりと、しかし的確に釘を差すのがトッズらしいと思います。自分の立場の弱さを前提にしつつ、恋敵の難点をさらっと突きつけることもしばしば。グレオニーへのダメ出しと対タナッセでの呆れた様子には笑いました。
また、対ティントアでローニカが割って入る流れは、ティントア嫉妬イベント・対トッズでも見た流れで面白かったです。トッズとティントアは恋愛モードに入ると両者ともに執着心が強くなって接触が多くなるので、自然と相性も悪くなるのでしょうか。
夢イベントについて。【愛しき夢】は、安定のトッズでした。他の男性陣(ティントアを除く)と比べると余裕たっぷり。というか他(ティントア除く)が余裕なさすぎ。 トッズのように反応があっさりしているのは逆に新鮮でした。
一方、【親しき夢】の方が逆にぎこちない雰囲気になっているのが面白かったです。トッズにとっての子供時代はやはり、できれば触れたくないものなのでしょう。市場に行く程度の楽しみが確保されていたらしいことにはほっとしました。
ところで、トッズがリタントのどのあたりで育ったのかが気になりました。王の眼を避けるなら、やはり適当な領主の治める目立たない田舎とかでしょうか。ローニカの場合もどこかの村で育てられたらしい雰囲気がありました。まあ諜報員養成所と言えば、たいていは人里離れた田舎にあるのがお約束ですよね。
ヴァイル憎悪監禁エンドとトッズ愛情エンドを並行しました。トッズとともに逃亡したものの、捕らえられて監禁生活へ……かと思いきや、トッズは囚われの身の主人公をかっさらったそうです。ブラボー! おお…ブラボー!! なんという燃える展開。あのティントア&ルージョンペアでさえ救出成功とは明言されていないのに、お見事という他ありません。
トッズ愛情とヴァイル憎悪を並行すると、【移譲の儀】が非常に長引きますね。玉座の間に行き、試合をし、神殿に行き、逃亡し……と忙しないので、二転三転する状況をドキドキしつつ見守ることになりました。トッズが見事にやってくれたとエンドロールで確認したときは思わずガッツポーズです。能力値判定が多いという意味でもかなり楽しかったです。
ところで、ヴァイルとティントアとトッズは、3人とも愛情を拗らせる傾向のあるキャラクターだと思います。
- ヴァイル憎悪監禁<トッズ愛情(救出成功)
- トッズ愛情<ティントア裏切C(そもそも【最後の日】に会いに行けない)
- ティントア裏切C<ヴァイル憎悪監禁(もはや泥沼)
上のような濃い三つ巴が成立しているのが面白いところ。ヴァイルは強権発動、ティントアは政治力と機動力、トッズは最後の最後に一発逆転といった感じでしょうか。
*****関連記事:トッズイベント「彼に飲ませるお茶」に見るグラドネーラ世界の伝承 【冠を持つ神の手/かもかて考察】(3つの民話&思い出話を聞くことができるトッズのイベントについて、個別に感想記事を書きました)
記事を書く中で、トッズとユリリエさんってやっぱり似てるなと思いました。口の巧さ、押しの強さ、恋人/友人に求めるものの傾向、「愛」への姿勢が微妙に似通っている……など。いくつかのwithイベントで、お互いにやりにくそうにしているのが面白かったです。
実はかもかてで一番よくわからない(理解しようとしてもなかなかしっくりとこない)キャラが、私にとってはトッズでした。感想記事を一番最後に回したのはそのせいでもあります。よくわからない一方で気になるキャラでもあったので、きちんと考えてから感想を書きたかったんですよね。
正直なところ、今でもトッズはミステリアスな印象のあるキャラです。色々な解釈ができるし、それを許容してくれるキャラクター造形だと思います(かもかてのキャラは皆そうかもしれませんが)。今回の記事では、感じたこと、考えたことを自分なりに形にできたのではないかと思っています。あと、トッズの例の長い名前もそらで言えるようになりました。
結局、どのエンドでもトッズの本当の名前はわかりませんでした。しかし、プレイヤーにあえて謎を残すそういう姿勢が、トッズのトッズたる所以だと言えるのではないでしょうか。
ヴァイルからトッズまで、キャラ11人の感想記事を書きました。かもかての感想はこれでいったん終わります。あらためて見返すと色々と好き勝手に書きまくってしまったなと思います。最初の最初は、一つの記事にまとめてすべての感想を書こうとか考えていたのが我ながら信じられません。
しかし、『冠を持つ神の手』は、それだけ様々に想像と思考とを巡らせることを許容してくれる懐の広い作品でした。かつ、そういう曖昧な考えをなんとか自分なりにまとめてみたい……という熱をかき立ててくれるパワフルな作品でもあったと思います。
平たく言えば「凄味」のあるゲームであり、もっと簡単に言ってしまえば、大好きなゲームです。大げさな話ではなく、かもかてをプレイできただけでも、フリゲというジャンルに触れた甲斐がありました。制作者様には感謝の言葉を捧げるほかないです。ありがとうございます。攻略支援版サイコーです(ダイマ)。
時間はかかりましたが、攻略対象キャラ全員分の感想を書くことができて本当に良かったです。記事をお読みくださった方、また拍手やコメント等をくださった方へ、あらためてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
*****
以下は拍手コメントへの返信です。(2017/12/09)
> 2017/12/07 00:19に拍手コメントをくださった方へ
コメントありがとうございます! プレイ時のワクワク感や好きなポイントを言葉にしたかったので、面白かったと言っていただけるのはとても嬉しいです。記事を読んでくださって本当にありがとうございました。
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