『ある夏の日、山荘にて……』 サウンドノベル形式の推理ゲーム 感想 攻略 ※ネタバレ注意

2016年07月11日
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サウンドノベル形式の推理ゲーム、『ある夏の日、山荘にて……』(Ver2.01)の感想・攻略記事です。制作者は三谷はるか様。ゲームのダウンロードページ(Vector)はこちらです。 → 『ある夏の日、山荘にて……』

ある夏の日、山荘にて…… スクショ タイトル画面

ある夏の日、山荘にて……

ある夏休み、サークル仲間と山荘に遊びに行った主人公が、凄惨な事件に巻き込まれる話です。流血シーンや残酷な映像、猟奇的でグロい場面が存在するので、苦手な方は心構えをした上でプレイした方がいいかもしれません。

フリゲで初めてプレイした推理ゲームです。ガッツリとミステリの世界に浸ってみたいと思って探した結果、この作品に行き着きました。

推理ものとしても読み物としても面白い作品です。分岐が非常に多く、展開の振れ幅も大きいので、夢中で話を追ってしまいました(エンディングは36通り)。ミステリが好きな方にもノベルゲームが好きな方にも楽しめるゲームだと思います。

個人的には、硬派な推理要素と少し切ない印象のストーリーが好きでした。また、文章においてもイラスト演出においても、猟奇・ホラー表現が巧い作品です。夜中にプレイしていたので、ついつい自分の後ろを振り返ったり、目の前に手をかざして怖いシーンへの備えをしてしまいました。

以下は、ネタバレ込みのストーリーやエンディングの詳細な感想です。推理ゲームの性質上ネタバレは致命的なので、未見の方は十分にご注意ください。

『ある夏の日、山荘にて……』のあらすじと概要

まず、『ある夏の日、山荘にて……』のあらすじを説明します。

197X年7月。主人公の「私」は大学の夏休みを利用し、サークル仲間7人と伊豆の別荘に遊びに行きます。「私」は気心の知れた友人たちとのひと時を楽しみ、夜は和やかに更けていきました。

しかし一夜明けると、仲間の一人の遺体が首を切断された状態で発見されます。楽しい雰囲気は一瞬で霧散し、天候の急変もあって、主人公たちは疑心暗鬼を生じつつ山荘に閉じ込められることになりました。

推理を試みる「私」ですが、その身にも危険が迫ります。はたして犯人は仲間の中にいるのか。そして、「私」は犯人の魔の手にかかることなくその正体を暴くことができるのか……といったあたりがストーリーの見どころです。

もう少し詳しい話をすると、殺人事件は大きく分けて2つ発生します。

第一の事件「首切りの館」編の時点で犯人を当てればそこでエンディングです。解決できなかった場合は、第二の事件が発生し、「首吊りの館」編に移行します。

「首切りの館」編と「首吊りの館」編、それぞれの事件について解決エンド、未解決エンド、死亡エンドなどが用意されています。
第二の事件を解決しただけでは第一の事件の真相は明かされず、犯人の動機も不明のままです。よってトゥルーエンドと言えるのはおそらく、犯人の動機が明らかになる第一の事件解決エンドなのだろうと思います。

また、冒頭や途中で特殊な選択肢を選んだ場合、EXルートに突入します。EXルートの内容は、ホラー感漂う迷いの森ルートやギャグ満載の破滅ルート(エンド)などです。

ルートとエンディングの分岐は、記事の下の方に簡単にまとめました。事細かに選択肢の選び方を載せているわけではないですが、ざっくりと「こうしたらこのルート・エンドにいく」といったことを書いています。

推理ものとしての面白さ

上にも書いた通り、『ある夏の日、山荘にて……』は推理・論理にこだわった硬派な作品です。「孤立した山荘で起こる殺人事件」というベタと言えばベタ、王道的と言えば王道的なシチュエーションにも、推理要素で魅せようという潔さを感じます。

個人的に「すごい!」と思ったのは、間違った選択肢にも個別の推論過程と他キャラからの反論が一定量用意されていることでした。

「間違った選択肢」と一言で言いましたが、推理の中で何度も選択肢場面があること、選択肢の個数自体が多いことを考えると、それらに伴う論理は非常に膨大な分岐となって現れてきます。量的にも質的にも、ここまで用意するのは本当に手間入りだったのではないかと圧倒されました。

「解決すればそれでいいじゃないか」と考え、選択肢を間違うことは時間の無駄だと思う人は多いと思うんですよね。トリック考察よりストーリーやシチュエーションを楽しみたい私も、どちらかと言えば「正解さえ分かればそれでいい」派です。

しかしこの作品には、あらゆる可能性を論理的に考えふるいにかけていくことを重視している趣きがあります。「こういう可能性もあるんじゃないか、その場合犯人はこの人で、証拠はこれで、実行した時間帯はこのあたりで~」……という風に。

だからこそ正答ではない選択肢にも可能性が見出され、きちんと議論がなされるのでしょう。こういったこだわりには、制作者様のミステリに対する姿勢が反映されているのではないかと感じました。

間違った選択肢を選んでもバッサリと切り捨てられないのは、プレイヤーとしては新鮮でした。「ああ、そういう風に考えていくこともできるんだ」と感心することも多かったです。

未解決エンドの展開(主人公の推論に対して舌鋒鋭く反論する梶浦)を見ていると、制作者様はこの場面を楽しみつつ書いたんだろうなーと思いました。

実際にプレイしたときの推理の進み具合ですが、第一の事件についてはけっこう悩みました。しかし、清美の部屋の調査シーンをきちんと見返せば、最終的には答えが見えました。手がかりの提示や描写が丁寧に入っているので、自力で推理することは十分に可能だと思います。

読み物としての面白さ

展開の振れ幅の大きさと硬質な文体、制作者様の広範な知識があいまって、読み物としても面白い作品だったと思います。ギャグのときはギャグに、ホラーのときはホラーに全力投球する姿勢は素晴らしいです。そして、猟奇的表現は本当に怖かったです。

物語の本編では、仲の良い友人間で起こった殺人事件が描かれます。時期は楽しい夏休みです。「夏×友人=切ない話」だと勝手に思っていますが、この作品にもその傾向がありました。

悲しいすれ違いや取り返しがつかない悲劇は、親しい友人同士の間で起こってこそ際立つものだと思います。登場人物は全員大学生ということで、青春の一ページっぽい趣きもあり、個人的には好きなタイプのストーリーでした。

キャラに関しては、皆そのあたりにいそうなリアルさがあり、立ち絵がないものの把握しやすかったです。曖はやや影が薄いですが、各キャラに満遍なく活躍の場が割り振られていました。おそらく一番二次元的なキャラクターは主人公の「私」だろうことも含めて面白かったです。

主人公について

※名前は伏せていますが、以下には犯人を特定できる情報が含まれます。

実際にプレイして印象に残ったのは、主人公の性別についてのミスリードでした(もっとも、私が勝手にミスリードされただけではあるのですが)。

もっと具体的に言うと、「私」こと主人公の性別が「女性」だったことにトゥルーエンドで気づいて驚愕しました。

たしかに主人公の一人称は「私」(フォーマルな場面ならともかく、カジュアルな場なら女性が使う印象の強い一人称)です。しかし、下記のような描写があったので、完全に「男性」だと思ってプレイしていました。

  • ミステリものの主人公
  • 口調が中性的
  • 女性に対して「さん」付け(女性陣と距離があるように見える)
  • 喫煙者
  • 清美や緒梨恵よりはるかに長身
  • 冒頭で清美から手荒い待遇を受けている
  • 織梨恵とのフラグめいたやり取り

たまたま初見で三枚目な選択肢を選んでいたせいで、より勘違いが助長されたのかもしれません。あと、妙に気取ったインテリっぽさも、ミステリの男性主人公あるあるという印象がありました。

そういう事情もあって、犯人は実は主人公のことが好きだったと明かされたときは心底びっくりしました。「もしかして主人公って女だったの?」と驚き、ありがちな動機で片付きそうなところに思わぬ伏兵が現れて一気に興味が高まりました。

犯人については途中で目星がついていました。引っかかる描写が多かったこともありますが、立ち位置からして犯人には適当かな、と。ああいうポジションの人間は第一に疑ってかかるべきだということを、ゲームボーイアドバンス『名探偵コナン 暁のモニュメント』で学びました(思い出のゲームです)。

だからこそ、第二の事件解決エンドで気になったのは、犯人の動機でした。数か月前の居酒屋の話題を覚えていたので、「もしかして妊娠させたのかな」と予想を立ててはいました。実際その通りでしたが、犯人と清美のすれ違いに主人公が関わっていたとは思いもよらなかったです。

すれ違いにすれ違いが重なった結果の悲劇ということで後味は悪いものの、ひねりもあって個人的には好きでした。トゥルーエンドで犯人が嬉しそうに微笑む場面はとても印象的です。3日目に屋敷に戻ると確実に主人公が殺されることに疑問を抱いていましたが、もしかして道連れにするつもりだったのかなとそこで思いました。

ルートとエンディングの派生について

ルートおよびエンディングについて、簡単なヒントとともに分岐をまとめました。エンディングリスト順です。ストーリーの重大なネタバレが含まれます。

第一の事件「首切りの館」編

一日目に発生。被害者は「清美」。遺体は彼女が寝起きしていた部屋で発見されます。

解決エンド

相澤清美の部屋を調べた上で、2日目午後6時、キッチンで「推論を皆に語ろう」とします。その後梶浦に水を向けられるので、推理を披露すればOKです。

もちろん、事件を解決するには正しい選択肢を選んで犯人を当てる必要があります。「奇妙な点」については、たとえば、一日目就寝時(部屋に早めに戻った場合)の主人公の心の声を思い出しましょう。思いのほか素直な答えです。

トリックを解明するポイントとしては、第一に清美がどの時点で亡くなったのかを推定すること、そして清美の部屋の調査シーンをよく読み返すことです。注目すべき描写がいくつも存在します。

特に清美の死亡時刻を推測できれば、部屋にある手がかりがより大きな意味をもって迫ってくるのではないかと思います。第二の事件よりも難易度は高いです。

未解決エンド

未解決エンドは5通り存在します。すべて「主人公が一見筋の通った推論を唱えるも、梶浦に論破される」という内容です。

この未解決エンドに関しては、解決エンドよりもずっと攻略が難しいです。実際の事件とは違う犯行を推測し、それに当てはまる犯人を挙げる必要があります。私はとても独りでたどり着ける気がしなかったので、分からなかったところは降参してググってしまいました。

未到着エンド

冒頭の電車内で、アナウンスに気づかず眠り続けましょう。清美にたたき起こされるものの、電車の扉が目の前で閉まってしまいます。ここで外に出ようとはせず、乗り越せばOKです。

死亡エンド

エンディングは5通り存在します。様々な場面から派生するので、エンドごとにまとめました。

①大野と一緒に車で警察を呼びに行き、静止を無視して川を覗き込めばOKです。

②未到着エンドと同じく電車内で眠り続け、あわや取り残されるという場面まで進みます。電車から飛び降りるとき、少し躊躇ってから飛び出しましょう。

③二日目に推論を語る場面で、最後に「私が犯人だ」を選びます。推論中はどの選択肢を選んでいってもOKで、とにかく「~が犯人だ」がズラッと並ぶ選択肢場面を目指しましょう。冤罪を被りそうになるので、閉じ込められる前に逃走すればOKです。

④大野ともう一人が警察を呼びに行くも断念して戻った後、皆で一度屋敷の調査を行います。調査の後、「物置を調べよう」という流れになるのでこの捜索隊に加わります。

すると皆で集まった時に、清美の部屋を調べようと提案するという選択肢が出現します。ここで調査を提案し、立会人として無理やりを連れて行こうとしましょう。

⑤二日目の深夜に清美の部屋を調べようとすればOKです。一番分かりやすい死亡フラグ。

狂乱エンド

狂乱エンドは4通りです。警察を呼びに行く大野に同伴せず、別荘で待つ選択肢を選びましょう。そして待機中に、「一人になりたい」と思えばOKです。緊張状態に押しつぶされ、狂気に囚われるエンディング群と言えます。

第二の事件「首吊りの館」編

差gえ第一の事件を解決できなかった場合に発生します。被害者は「梶浦」です。

解決エンド

川岸で迎えを待つ間に、事件を解明します。推理の構成は、「物置内の妙な箇所」と「梶浦の殺害日時と場所、運搬方法」の2つに大きく分けられます。

「物置内の妙な箇所」については許容の幅がとても広いです。「物置に奇妙な点はなかった。」は論外ですが、それを含めても誤答より正答の方がずっと多いくらいです。何度か試していれば通るのではないかと思います。

「梶浦の殺害日時と場所、運搬方法」については選択を間違ってもそれとなく誘導が入るので、論理的に考えていけば絞られるはずです。

以上の2点を正しく推理できれば、犯人当てフェイズに進みます。前日の描写を見返しつつ、犯人に必要だったものは何か、それを持っていた人物(=犯人)は誰かを考えましょう。

未解決エンド

未解決エンドは2通りです。ただ、その分岐についてはあまり規則性がない気がします。

色々と試しましたが、「物置内の妙な箇所」でミスをすると高確率で1つ目のエンドになります。2つ目のエンドは、例えば運搬方法に「ロープ」を挙げたり、「井上」を犯人に指名すれば到達できるようです。
強いて言うなら、主人公が自分のトンチンカンな推理を恥ずかしく思った場合は、2つ目のエンドになるのでしょうか。

死亡エンド

川岸での推理でミスをしたり、そもそも梶浦の死が他殺だと推定しなければこのエンドです。ミスの内容によっては未解決エンドに分岐することもあります。救援が来ないまま別荘に戻れば、このエンドに到達となります。

「惨殺の館」編 ~死亡エンド~

まず、清美の遺体を発見後、大野と一緒に車で警察を呼びに行きます。次に川岸で一度外に出て、粘らずに車に引き返せばOKです。

2人で別荘に戻ってみると、惨劇が始まっています。

「謎の暗号」編 ~解決エンド~

解決エンドは3通りです。お宝を見つけた後の3つの選択肢からそれぞれ分岐します。

初日夜の談話室で、「余興を用意してあるのだろう」と大野に尋ねるとこのルートに進みます。本編とは関係のない息抜きルートであり、暗号解読に失敗すると本編に戻ります。

「お宝の場所」については、最悪総当たりでもいいかもしれません。実際にプレイしたときは暗号がまったく分からず、勘で選んだ結果当たりました。『七匹の子やぎ』がヒントになるでしょうか。

「迷いの森」編

ホラーorギャグルートです。最初の選択肢で、「先程の音は腹の音~」を選択するとこのルートに入ります。

森の中で迷うホラールートに入るには、まずカタストロフを回避する必要があります。1つ前の駅で清美と緒梨恵を起こして降車し、乾物屋に向かってトイレを借りましょう。また、ギャグルート(エンド)は、カタストロフを避けられなかった場合に自動で突入します。

解決エンド

車から外に出ないようにしましょう。あからさまに危ない言動を控えつつ、最後に「私たちは振り子だ」を選ぶとこのエンドです。

死亡エンド

6通りです。ほぼ総当たりです。危ない言動をしたり、緒梨恵の逆鱗に触れたりするとこのエンド群に到達します。

破滅エンド

破滅エンドは6通りです。カタストロフを迎えましょう。

*****

ゲームの不満点を挙げるとすれば、既読スキップ機能がついていないことくらいでしょうか。分岐がとにかく多い作品なので、クリックの連続がつらかったです。

ところで、同制作者様の作品である『閉ざされた雪の中』もプレイさせていただきました。同じ形式の推理ゲームですが、UI面が改善され、立ち絵シルエットの採用によってキャラを把握しやすくなっています。

『閉ざされた雪の中』で事件に巻き込まれるのは、主人公自身ではなくその妹です。主人公が安楽椅子探偵よろしく電話越しに事件を推理する展開が面白いゲームでした。

また、妹を操作して殺人鬼から逃げ回る前編は、猟奇ホラーまっしぐらでした。主人公の死亡パターンの多さが尋常ではないので、生き残ったときの達成感が半端なかったです。

ただ、トリックのシンプルさやストーリーの切なさ等から、個人的には『ある夏の日、山荘にて……』の方が好きです。記事を書くにあたってプレイし返しましたが、改めてまとまりがよくテンポの良い作品だと思いました。

「ミステリ」を主題とする作品について、いくつか感想記事を書いています。

『deep-sea fishes in gloom』 感想(幼い姉妹の誕生日を前に事件が起こる。しっとりとした短編ミステリADV)
『月屋形事件』 感想 攻略(甲賀三郎原作のパスティーシュ作品。歯ごたえ十分のミステリADV)

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かーめるん
この記事を書いた人: かーめるん
フリーゲーム、映画、本を読むことなどが好きです。コンソールゲームもプレイしています。ジョジョと逆転裁判は昔からハマっているシリーズです。どこかに出かけるのも好きです。古い建築物などを見ると癒されます。

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