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『行商!』 行商人としての成功を目指すRPG 感想&攻略

2016/03/05
RPG(ロールプレイングゲーム) 0
フリーゲーム 感想 考察 攻略 レビュー RPG 商売 ファンタジー

主人公が行商で身を立てるRPG、『行商! ~ 悩んだあげく結局ありきたりなタイトルになってしまったゲームの場合 ~ 』の感想&攻略記事です。制作者はたかみつあきら様。公式HPはこちらです。 → 『行商!』

行商! スクショ タイトル画面

行商!

『行商!』は萌え要素なし、行商一本に注力するいぶし銀のゲームです。かなりハマってしまって時間をかけてやり込みました。主人公は田舎から出てきた駆け出し商人。精霊子のレーニャをパートナーに、立派な行商人を目指して世界各地を旅して回ります。

以下は、攻略情報も含む『行商!』の詳細なプレイ感想です。ネタバレを含むのでご注意ください。

『行商!』の魅力

商売要素の含まれるゲームは、商業作品のみならずフリーゲームにおいても様々に存在します。

たとえば、戦闘や採集と並行しつつ店舗の経営も行う『悠遠大陸』や『ストロベル・パティ』、鍛冶と販売を繰り返しクリア条件を達成する『武器に願いを+』、経営に特化した武器屋シミュゲーである『Frontier Blacksmith』、自店舗から動かずひたすら商売しお金を稼ぐ『レミュオールの錬金術師』など。

『Frontier Blacksmith』(武器屋経営&競合シミュレーションゲーム)、および『武器に願いを+』(鍛冶&販売シミュゲー)の感想記事も書いています。

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この『行商!』もやはり、ひたすら商売をしてお金を稼ぐゲームです。しかしその形態は一風変わった「行商」というものです。

「行商」とは一般的に、「顧客のいそうな地域を商品を運搬しながら販売する商いの方法」を指します。もちろんこのゲームでは、大商人に成長する過程で各町に店舗を展開することもできます。とはいえ店舗収益は補助的なものに過ぎず、メインの収入源は行商のままです。

『行商!』が他の店舗経営ゲームと一線を画しているポイントは、やはり「商品を運ぶ」という前提が存在する点だと思います。

たとえば、海辺の町では塩の価値は低く、逆に山間の村では塩の価値は高い。だから、海辺の町で安く仕入れた塩を山間の村で売れば大きな利益を得ることができる。ただし一度にたくさんの塩を売った場合、当然その地域での塩の物価は一時的に下落する

上は一つの例ですが、このゲームはそういった「物と金の流れの相関」をわかりやすい数値の変化として緻密に再現しています。

供給の多い地域から需要の高い地域へ運び、売る。単純な話ですが、これは流通の真理です。『行商!』の面白さは、このシンプルな考え方をすべての商品に当てはめ、どこで何を仕入れてどこで売り払うか、限られた積載量と相談しながら逐一思案するプロセスに存在すると私は思います。

ちくちくコツコツと自分なりの安定した商いを追究できる。それが『行商!』の魅力です。

一流の商人を目指す

『行商!』には一応ストーリーがありますが、非常にざっくりとしたものです。そのため自由度のかなり高いゲームだと言えます。

「真っ当でクリーンな商人」として地道に地位と富を積み上げることもできる一方、「禁制品」(麻薬、偽造美術品、奴隷など)に手を出し「悪の商人」としてのし上がることも可能です。

個人的には、やり込みを兼ねて「一流の商人」を目指すのが楽しいのではないかと思いました。

「一流の商人」とは?

では、「一流の商人」とは何でしょうか。これについてはゲーム内のモブキャラが定義を教えてくれます。一流の商人とはすなわち、「自らの富だけでなく社会への貢献を視野に入れて商いができる者」のことです。

現実の例を挙げると、たとえば大坂商人や伊勢商人に並ぶ三大商人であった「近江商人」は、ある理念を持って商いを行ったそうです。その理念とは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」。これは単純に「三方よし」とも言われます。

「物を売って儲かってハッピー」という売り手だけの利益にとどまらず、買い手には商品に満足してもらい、さらに商いを通じて地域社会の利益に資する……それが近江商人の信条だったわけです。

パラメータと商いの関係

実はゲーム内の各町には、「人口」および「治安」「健康」「文化」といったパラメータが存在します。各種パラメータは、神父orシスターに町の様子を尋ねることで確認できます。

各パラメータは主人公がその町で物資を売ることで変動します。「ほぼすべての商品が各パラメータの増減に関わっている」ことがポイントです。たとえば「薬草」を売ると「健康」と「人口」が増加し、「絵画」を売れば「文化」レベルが上昇します。「酒類」を売った場合、「活気」レベルは大きく上昇しますが、「治安」は下がってしまいます。

自分が儲かることだけを考えるのなら、高値で売れる禁制品を売りまくればOKです。しかしその場合、各パラメータは下降し続け、その町の人口は大幅に減少してしまいます。それでは一流どころか「まっとうな商人」とさえ言い難いところがあります。

物を売ることで、自分だけではなく町も豊かにする。繰り返しますが、それがこのゲームにおける「一流の商人」の定義です。

というわけで、プレイ中は一流の商人を目指し、各町のパラメータをすべて「100」にしてみました(時間が経つと自然減少する「活気」は除く)。骨は折れたもののやりがいがあって面白かったです。

行商! スクショ 各町の数値オール100 1

行商!

行商! スクショ 各町の数値オール100 2

行商!

戦闘やセーブポイントについて

このゲームには戦闘要素も用意されています。ただし、絶対に魔物や敵がでないエリア(各町を繋ぐ舗装された道)が定められているので、徹底的に戦闘を避けることが可能です。「主人公の本分はあくまで行商」というこだわりを感じるシステムだと思います。

さらに、戦闘になっても確実に逃げることができます(イベント戦を除く)。逃走すると交易品を失うものの、手ぶらで旅をする場合はまったくのノーリスクです。オール商人パーティ(戦闘員ナシ)でも全滅を恐れず探索することができます。

戦闘そのものについては、パーティに強い剣士と魔術師が1人ずついれば事足りる印象です。戦闘に重きが置かれていないので、その2人の傭兵のレベルが高ければどんな敵でもバッサバッサと倒すことができます(魔術師は対多人数要員、剣士はボス戦要員です)。

導入の説明も丁寧であり、難易度はそれほど高くありません。「習うより慣れよ」が重要なゲームなので、直感的に進めることができます。

強いて言うなら冒頭でセーブポイントが分からず詰みかけたことがいい思い出です。これについてもきちんとReadmeを読めば解決する話でした(各街には必ず男性グラの「吟遊詩人」がいます。吟遊詩人に話しかけることでセーブが可能です)。

*****

『行商!』は終わりのないゲームです。そこで、各町のパラメータをすべて100にし(自然減少する「活気」は除く)、細々としたイベントをやり込み、真エンドをクリアして一旦終わりにしました。全店舗分のスペシャルな商人を商人養成所でメイキングしようかとも思ったのですが、さすがに気が遠くなるのでやめておきました。戦闘については、剣士のクリスと魔術師のバークーンに後半以降お世話になりっぱなしでした。

謎の商人ブラインの正体、少女誘拐事件の影の協力者、メリンダに援助した国王の意図……などストーリー面で色々と気になるところはありましたが、そこは想像で補うのが楽しいのかなとも思います。

派手さこそないものの、『行商!』はじっくりとプレイできる面白いゲームでした。こういった一つの分野を深く掘り下げた作品を遊べるのがフリゲの醍醐味なんだろうなと思います。各町の特産品を覚えてルートを考えて……と楽しく没頭できて満足です。

「商売」を題材にした作品について、いくつか感想記事を書いています。

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かーめるん
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