『グレイメルカ』 大河小説的な戦略SRPG 全6章のストーリー感想&戦闘レビュー ※ネタバレ注意 その1
帝国の内戦と大陸諸国の攻防を三代に渡って描く長編シミュレーションRPG(戦略SLG)、『グレイメルカ』のレビュー&感想記事です。攻略情報が含まれます。制作サークルはシニカルとレトリック様。制作サークル様の公式サイトはこちらです。 → シニカルとレトリック
グレイメルカ
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『グレイメルカ』は、大陸全土に覇を唱えんとする「ロマテア帝国」を軸に、諸国を巻き込む戦乱の推移を長いスパンで描いた戦略SRPGです。前日譚1章+本編4章+後日譚1章で構成されています。
『グレイメルカ』は戦闘システムにおいて「ファイアーエムブレム」シリーズをオマージュしています。難易度は4段階。クリアまでの所要時間は数十時間でした(メモしながらプレイしたので曖昧)。
『グレイメルカ』を知ったきっかけは、フリゲ2015でした(プレイ&クリア自体は、この感想記事を書くよりもずっと前に済ませています)。一目で「すごく面白そう」と直感してそのままプレイ。期待に違わぬクオリティーとボリュームで、本当に楽しかったことを覚えています。
個人的に大河小説的な物語が大好きです。大きなスケールで歴史の流れを捉えていたり、時代が移ろって世代交代が発生したり……同時代的な横の広がりに加え、歴史的な縦の奥行きもあるゲームに行き当たると、もうドキドキして矢も盾もたまらなくなります。
そういうわけで、『グレイメルカ』をプレイしたときには「これだ」と思いました。見事にツボにはまったというか、「個人的に見たいと願うものが凝縮されて詰まっているような作品」でした。
登場人物はどこまでも生きていて、生の連鎖反応から歴史が動き、さらに歴史によってすべてが抗いがたく呑み込まれていく。そんなダイナミックな躍動感が『グレイメルカ』の物語にはあります。
国ごとの価値観の違いや立場に基づく判断の相違などを含め、各キャラのストーリーや背景設定が練られている点も見事です。生まれた国や所属によって育まれた人となりと、キャラそれぞれの信条・性格。その両者を掛け合わせることで、数十人ものキャラクターをそれぞれ印象深く描くことに成功していると思います。
※今回の記事その1では、主に「『グレイメルカ』のあらすじ」と「全6章のストーリーのかんたん感想」、「戦闘システムのレビュー」をまとめました(ネタバレあり)。記事その2~その5の内容とリンクは以下の通りです。
※『グレイメルカ』感想記事一覧
・その1:全6章のストーリー感想&戦闘システムのレビュー(現在閲覧中)
・その2:『グレイメルカ』に登場する“新暦の8国”まとめ
・その3:“人間がいる”、“歴史がある” 『グレイメルカ』の魅力 考察
・その4:『グレイメルカ』 キャラクター感想
・その5:『グレイメルカ』 気になる男女ペア&好きなBGM 雑感
『グレイメルカ』のあらすじ
『グレイメルカ』のあらすじを書きます。第1章のネタバレを含むので、ご注意ください。
新暦445年、ロマテア王国の君主ウォレアは隣国フバーラインに対し、後世に悪名高き「グレイメルカ作戦」を仕掛けました。
大河メイトンリバーに細菌毒“グレイメルカ”をまき散らし、大混乱に陥ったフバーラインの首都を制圧したウォレア。彼が真っ先に決行したのは、投降したフバーライン兵を使い、同国人の感染者を「駆除」させることでした。同年、フバーラインを併合したロマテアは帝国となり、ウォレアは初代皇帝を名乗ります。
グレイメルカ
フバーラインの大地が毒と怨嗟にまみれてから数十年。ウォレア帝の孫であるレシウル帝の時代に、2人のフバーライン人がひそかにロマテア帝国に侵入しようとしていました。彼らの名は、「クナタ」と「カタリ」。グレイメルカ作戦で生き残った感染者の子孫であり、生まれながらにグレイメルカに冒された“グレリア”でした。
彼らの使命は、自らの命と引き換えに皇帝への復讐を遂げること。しかし、フバーラインを気にかける皇太子サーシンの思想に触れたことから、寿命の少ない2人の意識に変化が生じます。初めて未来に目を向け、「サーシンの代になればフバーラインは救われるかもしれない」という希望を抱くことができたのです。
ひとまず様子を見るために帝国防衛隊に入隊したクナタとカタリは、瞬く間に功績を積み重ね、異例の大抜擢で千騎長(国軍の実質的なトップ)の座に上り詰めます。レシウルやサーシンに厚い信頼を寄せられつつも、2人はいまだ故郷と使命を忘れられずにいました。しかし子供を授かったことでついに復讐を放棄し、自らの意思に従って余生を送ることを決めます。
やがてドルテ王国との戦争で窮地に追い込まれたとき、クナタとカタリはレシウル帝の命を救って戦場に散ることを選びます。すべては幼い我が子のため、サーシンの時代に希望を託しての決断でした。
グレイメルカ
腹心の部下であったクナタとカタリの殉職を嘆いたレシウル帝は、2人の遺児である「ハルカ」を皇族同然の待遇で育てます。物心つく前に両親を亡くしたハルカは、レシウル帝の第二子デミライトを主君と仰ぎ、彼の忠実な影となって行動するようになりました。
ハルカとデミライトが兄弟のように育つ間にも、版図を増やし、次々に隣国を呑み込んでいくロマテア帝国。そして新暦515年、皇太子サーシンの婚姻に前後して、2人の運命は思わぬ方向へと転がり出していきます。
『グレイメルカ』の戦闘システム
この項目では、『グレイメルカ』の戦闘システムについて説明します。
『グレイメルカ』は、「ファイアーエムブレム」シリーズに範をとった戦略シミュレーションRPGです。よって、ストーリーと戦闘の絡み方や戦闘システム自体も、FEのそれとよく似ています。
全体のストーリーは「第X章の第Y話」という風に区切られ、1話につき1回の戦闘が発生します。つまり、「ストーリーフェイズ→戦闘フェイズ(with固有マップ)→ストーリーフェイズ」……という流れです。
戦闘フェイズではフィールドをマス目状に区切り、複数の自軍ユニットを動かして勝利を目指します。勝利条件は「敵軍の全滅」や「拠点の制圧」、「一定のターン数の経過」など。戦闘はターン制であり、自軍のターンを終了すると敵or中立ユニットのターンとなります。
FEの特徴であり、『グレイメルカ』の戦闘においても重視されているのが、「ダメージ計算可能」システムです。
この仕様により、「自軍ユニットが敵ユニットに攻撃したとき」、あるいは「敵ユニットが自軍ユニットに攻撃したとき」に、どれだけのダメージを与えられるかが攻撃前にわかります。
※与ダメージ=敵ユニット(赤)の上方に表示された黄色い数字
グレイメルカ
このシステムに、①ランダム要素はごく限定的、②支援効果と3すくみ重視という2点が加わり、『グレイメルカ』では強キャラによるごり押しクリアがかなり難しくなっています。
モードにもよりますが、ダメージ計算を怠って単騎で敵の中に突入させるとアッサリ負けてしまうことが多いです。特にボスと対峙する場合は、相性の良い武器を装備させたり支援効果をかけまくったりといった配慮が必要となります。
こうした詰め将棋のような『グレイメルカ』の戦闘システムは、個人的にはすごく楽しかったし面白かったです。手堅くやっていかないとサクッと返り討ちにされる緊張感が快感で、シナリオ中盤~終盤では一つの戦闘に数時間使ってじっくりプレイしたりもしました(育成込み)。
「支援効果」と「貢献度」について
「支援効果」と「貢献度」について説明します。まず「支援効果」とは、仲の良いユニットが近くにいるとパワーアップできるシステムです。具体的には、ユニットAと支援関係にあるユニットBが3マス以内にいると、Aのステータス(回避、命中)がアップします。強いボスを相手に戦う場面では、この支援効果をできるだけ多く発生させることが肝要です。
この支援効果ですが、通常は仲の良いor因縁の深い二者間でしか発生しません。しかし、「貢献度」が800以上のユニットは相手が誰であっても支援効果を与えることができます。
次に「貢献度」ですが、そのユニットがどれだけ自軍の勝利に貢献しているかを数値化したものです。敵との様々な戦闘経験や特殊行動の積み重ねによって貢献度は上がります。
貢献度を上げるメリットは大きく分けて2つ。1つ目は支援効果を誰にでも与えられるようになること(貢献度800)、2つ目はクラスチェンジしてステータスアップできること(貢献度200&400)です。貢献度800への道のりはけっこう遠いので、とりあえずはクラスチェンジ×2を目指し、貢献度400を目指すのがいいかと思います。
ちなみに、「特殊行動」とはユニット固有のアクションを指します。医学持ちキャラの「治療」に始まり、クレミトの「激励」・「慈愛」、オッゾンの「攻撃采配」、カンツラの「料理」などが挙げられます。特に非戦闘キャラのクレミトや戦闘に向かないオッゾンは、この特殊行動によって経験値と貢献度を稼いでいくことになります。
下手な戦闘キャラよりも、特殊行動持ちのキャラの方が貢献度を稼ぎやすいかもしれません(実際、2周目のハードモードで最初にレベル40MAX&貢献度800に達したのはクレミトでした)。
印象的だったポイント:体術&魔道師
『グレイメルカ』の戦闘システムについて個人的に印象的だったのは、「体術」と「魔道師の強さ」の2点です。
「体術」に関しては、ステータス画面右上に、剣槍斧や熱毒虹といった武器・魔法スキルに紛れて並んでいます。同レベル以上の敵から攻撃を受けると体術は上昇し、体術が1以上あると素手で敵に攻撃できるようになります。
実は体術レベルは、攻撃力や防御力に大いに関わってきます。体術0のユニットと体術MAXのユニットとでは、与物理ダメージや被ダメージの量に大きな差が出ます。防御力にも関わるので、非戦闘キャラや魔道師であっても体術を鍛えるのは有効です(以下は体術マックスのメレオネ先生)。
グレイメルカ
1周目では体術の役割に気づかず、カンクットの森を抜けた後で特攻隊長ザリップの体術が急激に上がっているのに気づいて「?」となりました。攻略情報を解禁した2周目では、体術の重要性を知って誰彼かまわずガンガン育成したのを覚えています。
他の武器レベルもそうですが、体術を上げると与・被ダメージが目に見えて変わるので育成していて楽しいんですよね。第25話のハルヴィン高地戦とか、経験値が入らなくなるギリギリまで育成のために粘りました(回避高・バリア持ち・体術レベル中のミルキーさんは最高の男)。
2点目ですが、『グレイメルカ』は魔法ユニットが強いゲームです。ストーリー中でも「魔道師は強い」と何度か言及がありますが、実際の戦闘においても魔道師の強さは相当のものです。
本筋で味方になる魔道師と言えば、メレオネ、ザリップ、ヘイント、ファテナ、ユラ、ピピカ、キル、スイハなど。
このうちメレオネやキル、スイハは魔道師枠を超えて戦闘ユニットの最強格であり、ユラやザリップは強力なスキル持ち&スキル構成が良い優秀なユニットです。ファテナは単騎でガンガン突っ込んで立ち回れるユニットではないですが、最終決戦に連れていける程度には強いと思います。
やや微妙な性能なのは、虹魔道師のヘイントくらいでしょうか(とはいえヘイントは登場が早く、シナリオ上作品のテーマとも絡むそこそこ重要な出番を貰っています)。
魔道師は強いとストーリー中で言及され、実際の戦闘でも自軍の魔道師が強く、しかも最強格が何人もいるという点がユニークだと個人的には思います。「味方の魔法ユニットがとびぬけて強い」と感じたことは、他のRPGをプレイする限りではほとんどありません。だから味方魔道師が強い『グレイメルカ』は新鮮で面白かったです。
ストーリーの概要とかんたん感想
『グレイメルカ』は、6章仕立ての物語です。「主人公は誰か」という基準に基づけば、「第1章/第2章~第5章/第6章」という風に大きく分けられます。第1章がクナタ&カタリ編、第2~5章がハルカ編、第3章がカオル編です。
以下、各編について概要(何章&何話か、主人公は誰か、関係者および関係国の情報)と簡単な感想をざっくりと書きました。自分用のメモに近いです。具体的なことを書きすぎないように気をつけましたが、ストーリー関係のネタバレが含まれるのでご注意ください。
クナタ&カタリ編(新暦494年~500年)
グレイメルカ
クナタ&カタリ編に相当するのは、第1章「暁以前」(1話~4話)です。時期的には新暦494年~500年の話になります。内容は「あらすじ」の中で書いたので省略します。
主人公の「クナタ」と「カタリ」は、フバーラインのアリミアという村で双子のように育った男女です。グレイメルカ作戦の被害者の子孫であり、帝国への復讐を果たすために故郷を旅立ちました。
第1章は比較的短いものの、伏線たっぷりの非常に重要な前日譚です。クナタとカタリの出自、皇太子サーシンの人となり、アスタンツとロマテアの険悪な関係、独立を保つニトン島、未知のバーメイルとフィアカルタ大王、暑苦しいスポポンド青年……など、のちのすべての章に通ずるような話題が出てきます。特にアスタンツ関連のエピソードは、数十年後の第6章の布石となるので地味に重要です。
第1章には、第2章からスタートするハルカ編(全4章)のエッセンスが凝縮されていると個人的には思います。ハルカの物語はクナタとカタリの物語と響き合うアンサーエピソードなんだなーと第5章までプレイして感じました。第1章をじっくりと楽しむことができれば、のちのち特別な感慨をもってハルカ編をプレイできるのではないでしょうか。
主人公のクナタとカタリは、複雑な背景設定と人格を持つ魅力的なコンビだと思います。2人とも大好きです。似たタイプの2人ではあるものの、互いに足りないものを補い合う組合せでもある点がいいですね。ストーリー途中でカタリの懐妊が発覚した後の回想が好きでした。
また、2人と同じくらいにレシウル帝のことが好きなんですが、第1章は彼の人間的な魅力を堪能できる章でもあります。特にレシウル帝の最期を知った上でハルカが生まれたシーンを見返すと、その反応の一つ一つにちょっとヤバイくらいに泣きました。
クナタ、カタリ、そしてレシウル帝。仇敵でありながら不思議な巡り合わせによって主従・友人になった3人の関係が好きだったので、第4話の流れには胸が潰れるような気持ちになりました。クナタとカタリに関しては2人の覚悟が決まっていたこともあって綺麗な終わり方だと感じました。ただ、レシウル帝の心境を思うと本当に心苦しかったです。
後半の戦いに進むのがどうにもつらくて、「前半戦で予測の書を取るために永遠に四苦八苦していたい……」と思ったくらいでした。
ハルカ編(新暦514年~518年)
ハルカ編に相当するのは、第2章(5話~11話)/第3章(12話~16話)/第4章(17話~26話)/第5章(27話~31話)です。時期的には、新暦514年~518年終わりまでの話になります。ボリューム的にも内容的にも、「ハルカ編=本編」と言ってしまってもいいと思います。
主人公は、クナタとカタリの一人息子である「ハルカ」(「ハルカ」はクナタの曾祖母の名前)。物心つく前に両親を亡くした彼は、レシウル帝の庇護の下で育ちました。幼い頃から常に行動を共にしている第二皇子デミライトに依存し、「自分は彼を守るために生きるのだ」と思いなしています。
第2章 「暗潮時代」
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第2章「暗潮時代」では、4つの国を版図に収めたロマテア帝国の現状、皇室内部の人間関係、そして「三黒の夜」に至るまでの経緯が語られます。第1章からおよそ15年後、新暦514年~516年初頭までの出来事です。
第2章は、ハルカ編のメインエピソードとなる「ロマテア帝国内戦(クレミト戦争)」の布石となるパートです。サーシンの隠し事、デミライトの疑心暗鬼、そしてハルカの依存などが積み重なり、最悪の事態を招きます。
第2章では、サドラ族のフィアカルタ、旧ドルテ王室のファテナとユラ、魔道師メレオネと弟子のヘイント&ザリップ、謎の男フェクテンと同伴者マテル、フェネックやメラなどロマテア帝国防衛隊の新兵たちが登場します。第2章登場の味方ユニットは、のちのち長く戦闘で使用することになります。
サドラ族と戦ったりリフィアと戦ったりファテナを迎えに行ったりと、前半あたりは新キャラもたくさん出てきて楽しくプレイできます。ただ、それ以降の第2章のストーリーはひたすらにシリアスです。特にクナタ&カタリ編が好きな人ほど「三黒の夜」の顛末に胸を抉られるのではないかと思います(実際私はそうでした)。けっこうなレシウルファンの自覚もあるので、終盤はガチでつらかったです。
とはいえ、ハルカが感情に目覚めて逃亡者となる流れは悲壮感に溢れつつも熱かったです。影のように生気がなく掴みがたかったそれまでとは違うというか、あのシーンで初めて「ハルカがハルカになった」ような感じがしました。ハルカの境遇は素直に可哀想だったので、スポポンドの忠義者っぷりを目の当たりにしたときはリアルに泣きました。
第3章 「白い少年」
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第3章「白い少年」では、バーメイル大森林に逃亡したハルカ一行がサドラ族と親しくなり、オルハダに渡って「抗帝軍」に参加するまでの経緯が語られます。
第3章は、サーシンの息子・クレミトが本格的に登場し、帝国を二分する内戦の火ぶたがついに切って落とされるパートです。抗帝軍の発足、およびハルカとクレミトの合流が果たされる点から、「起」であり「転」でもあるエピソードだと言えます。新暦516年~517年初頭くらいまでの話です。
第3章でまずピックアップされるのはサドラ族とバーメイル大森林、次いでオルハダです。最後の第16話ではコートマ王国も満を持して動き出します。
味方キャラについては、料理人カンツラやフィアカルタの娘ロシェア、大工のデス、戦う医師ホワイト、天才軍師オッゾンなどが加入。第2章で出会ったロマテアの兵士らも勧誘次第で抗帝軍にやってきます。
敵キャラに関しては、デザートイーグルを操るスカイリード部隊と千騎長ウィラが登場し、フェクテン率いるシアセットも戦場を蹂躙します。また、第三勢力としてコートマのクレンフゥ将軍と大陸最強の歩兵・ゴールドロードもお目見えします。
第3章は、新天地での友情と膨張を続ける帝国、そして物語の鍵を握るクレミト少年が印象に残るパートでした(前半部のバーメイル大森林でのほのぼのサバイバルパートも好き)。
一番盛り上がる場面は、やはり第15話の戦闘直後ではないかと思います。第15話の戦闘マップには大苦戦したのでなおさらです(フェクテン怖い)。第2章以降プレイヤーとしてもどこか気が晴れなかったので、クレミトの登場には確かな救いを感じました。
第4章 「帝国大乱」
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第4章「帝国大乱」は、抗帝軍がロマテア帝国本土に攻め込み、ハルヴィン城に辿り着くまでのストーリーです。他国の勢力も糾合し、抗帝軍は快進撃を続けます。時期的には新暦517年~518年初頭までの話です。
「帝国大乱」のタイトル名にふさわしく、帝国内外の勢力も交えた大規模な内戦が描かれます。第3章終盤まで追い詰められていた抗帝軍は、他国からの助力も受け入れつつ攻めの戦いに突入します。
一方の帝国側は、オルハダ発の抗帝軍、コートマのゴールドロード、アスタンツのヴェスポリスなど相次ぐ反乱&侵攻への対応に追われ、身内の裏切りもあって徐々に瓦解していきます。
第4章は、少数精鋭で巨大な帝国相手に勝利を重ねていく下剋上感が楽しいエピソードです。抗帝軍だけではなく南東のコートマや北のアスタンツでも大きな動きがあり、帝国に与していた旧ドルテ勢力も裏切りを決意。大陸全土(フバーラインを除く)の勢力が鳴動し、最終的に抗帝軍VS帝国軍という一つの大きな内戦に収束していく感覚を味わうことができます。
味方ユニットについては、本土を北上する中でウオラトリ、バフォメット、アイスキャット、ガンショップ、クロウ、スウテンロウなどが登場。それぞれ抗帝軍に加入します。
また、第4章はコートマのペコ、アスタンツのピピカ、ドルテのファテナと、3人の“姫”が参戦するエピソードでもあります。特に皇太子妃であったファテナの転向は、抗帝軍に多大な正統性を与えることになりました。彼女の参戦が内戦の帰趨を分けたことを思えば、第22話のタイトル名に「ファテナ」と冠されているのも納得しかありません(ちなみに、人名がそのまま章タイトルになっているのは実はファテナだけです)。
ハルカがかつての我が家であるハルヴィン城へ近づくにつれ、戦闘は激化。城内での決戦にてハルカは再びデミライトと会いまみえ、内戦の終結を見届けることになります。
第4章終盤では、ジェライやオブレイク殿といった帝国に殉じる猛者たちが印象深い活躍をしてくれます。彼らと雌雄を決する最終決戦は熱いですが、その幕切れは当然ながらビターな味わいです。裏切られたときと同じくらいに取り乱すハルカを見ていると、プレイヤーとしても心が痛みました。
第5章 「灰色の歌」
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第5章「灰色の歌」では、内戦の終結後のつかの間の平穏と、数か月後に勃発した「フバーライン反乱」の顛末が描かれます。その主役は長らく沈黙を守ってきたフバーライン。かつて帝国に蹂躙された静かな大地の人々が新皇帝クレミトとロマテア帝国に反旗を翻し、数十年前の意趣返しを行います。時期的には新暦518年の初頭から終わりまでのお話です。
第5章ではついにハルカの出生の秘密が明らかになり、ハルカの血の同胞とも言える「グレリア」が登場します。デミライトとの決着をつけたハルカは、今度はその血に刻まれた因縁に導かれ、父祖の地を初めて踏むことになります。ハルカ編のクライマックスです。
最終決戦ということで、それまでも顔だけ覗かせていたグレリア達(キル、スイハ、テンマなど)が強力な敵&味方ユニットとして登場します。また、伝説の鍛冶屋パパラッダやシアセットの副官マテル、コートマのクレンフゥ将軍も遅れて加入します。
戦闘ではカタパルトでの射撃やレムスの【玉砕】に苦戦したことを覚えています。また、ギルピット城での最終決戦はかなりの歯ごたえがありました。
(序盤を除き)第5章は終始シリアスでヘビーなエピソードが連続します。しかし、第1章で語られたクナタ&カタリの生き様や願いが綺麗にハルカの生に結びつく見ごたえのあるパートでもあります。盛り上がりどころ満載の章なので、個人的には大好きです(♪グレリアに追い立てられる第29話の緊迫感とか最高)。
最終決戦の幕切れを初めて見たときは喪失感に襲われましたが、今では納得しています。約束通りハルカを救ってくれたメレオネ先生は強い人だなーと思いました。あと、あのシーンでクナタとカタリの話題が出たときはただ泣くしかなかったです。
第5章は神童クレミトの成長が著しいエピソードでもあったと振り返って思います。数十年前に生じた歪みと恨みが表出するあの展開あってこそ、皇帝クレミトは千年史に名を残す名君にランクアップできたのだろうと感じました。
この第5章をもってハルカ編は完結し、続く第6章の開始まで12年もの月日が流れます。
カオル編(新暦530年)
カオル編に相当するのは、第6章「皇国の衝撃」(続1話~最終話、全6話)です。第5章から約12年後、新暦530年のうちに完結する後日談かつ『グレイメルカ』の結部に当たるエピソードと言えます。
グレイメルカ
主人公の「カオル」は、ハルカとメレオネの一人息子です。幼い頃から周囲に顔も知らぬ父と同一視されてきたためか、他者への恐れと鬱屈を抱えて生きています。
そんなカオルは数年前にデミライトの落胤である「エミット」と運命の出会いを果たしました。現在では母親たちに不安視されるほどエミットに依存しきっており、エミットと引き離されてしまうことを何よりも恐れています。
第6章では、レシウル帝の時代から火種のくすぶっていたアスタンツ領で反乱が発生。皇帝クレミトは親帝国派のピピカを救うべく兵を動かすものの、時を同じくして自国で勃発したクーデターに翻弄されます。
一方のカオルとエミットは、親といさかいを起こして2人で逃避行を図るうちにこの「アスタンツ内戦」に首を突っ込み、親世代の人間たちと協力して反乱の鎮圧に向かうことになります。
カオル編となる第6章は、中身のぎゅっと詰まったエピソードです。「かつての仲間たちの今」、「ハルカとデミライトの子供の関係」、「アスタンツ皇国の現状や歴史」、「『グレイメルカ』のラストエピソード」……など。体感的にテキスト量が多いというか、支援会話的にも合間のストーリー的にも情報量の多い章だと言えます。じっくりと読めて楽しかったです。
この第6章のキーとなるコンビは、「カオル&エミット」と「ノフォウル(アスタンツ側の敵)&イーバルト(帝国側の敵)」だと個人的には思います。この2通りのコンビに共感できるか否か(もしくは共感できなくても受け入れられるか否か)によって、第6章に対する納得&満足度はかなり変化するような気がします。
率直に言って、初プレイ時には結末に若干の消化不良感が残りました。しかし改めてプレイしたときは、上記のコンビにそこそこ共感できたこともあり、「『グレイメルカ』にふさわしい良いラストエピソードだった」と感じました。結末を知っているぶん、ストーリーを「歴史」として俯瞰的に眺められたことも大きいと思います。
ラストのカオルとエミットの会話は感慨深かったです。運命から解放されたカオルの答えをもって、本当の意味でハルカ編に終止符が打たれたのかもしれないなーと感じました。
*****今回は「あらすじ」・「戦闘レビュー」・「ストーリー感想」を書きました。要点だけに絞ってまとめたつもりが、けっこう長くなってしまいました。
次回は、『グレイメルカ』世界を構成する大陸8か国(“新暦の8国”)についてまとめます。私が「グレイメルカおもしろ~!」と思うポイントの1つでもあったので、キャラ感想も交えつつ詳しく書きました。
→ 次回:『グレイメルカ』に登場する“新暦の8国”まとめ ※ネタバレ・キャラ感想込み
→ 記事その3:“人間がいる”、“歴史がある” 『グレイメルカ』の魅力 考察 ※ネタバレ注意
→ 記事その4:『グレイメルカ』 キャラクター感想 ※ネタバレ注意 その4
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