『ムラサキ』 爆発パズル物理アクションゲーム 感想&考察 ※ネタバレ注意
爆発パズル物理アクションゲーム、『ムラサキ』(ver1.0.5)の感想&考察記事です。オリジナルサウンドトラック(OST)の感想も含みます。制作サークルはカタテマ様。ゲームのダウンロードページ(Vector)はこちらです。 → ムラサキ
ムラサキ
すごく今更なんですが、「祝・コレクション(ほぼ)コンプリート!」ということで、『ムラサキ』の感想をゆるーく書こうと思います。6面の感想中心に、各面のプレイ当時の感想や軽いキャラ語りです。「ムラサキ オリジナルサウンドトラック」の感想もチラッと書いています。
『いりす症候群!』の感想記事を書いた頃から『ムラサキ』の感想もいつか書きたいなーと思っていたので、今回念願が叶いました。
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ところで、カタテマ様から『ムラサキ劍』が近々発表されるそうですね。『ムラサキ』大好きなので、続編が出るのはとても嬉しいです。でもスクショがとても小さい! 2面冒頭のあの人との対決とかあるのかなーあったら即PC爆発するからないだろうなーとか今からワクワクしています。
以下、『ムラサキ』のネタバレや攻略情報を含む詳細な感想を書いていきます。コレクションバレ、ストーリーバレがあります。未見の方はご注意ください。
コレクション(ほぼ)コンプと6面攻略について
上にも書きましたが、「夢」の実績を除いてコレクションを揃えることができました。長かった。「夢」の実績は追々頑張ります。
ムラサキ
最初に『ムラサキ』をプレイしたのは、たぶん2年半以上前になります。実は今年になって地味に6面で詰んでいたことを思い出し、1.0.5バージョンをダウンロードして最初からやり直していました。
2年半前に6面を初めてプレイしたときには、「あ、これは無理ゲー」と早々に諦めたんですよね。2年ぶりに再開して6面まで辿りついたときも、「やっぱりこれは無理ゲー」という感想を抱きました。最初の5連大根パッパッパッパッパッ……(×2)の時点で即爆発レベルのプレイヤースキルだったので。
とはいえ、コツコツと時間をかけてチャレンジしていると上達しました。生存時間がじわじわと長くなる喜び。
繰り返しプレイして思ったのは、やっぱり『ムラサキ』は「アクション×パズル」ゲームだなということです。パッと見はシューティングゲームっぽくても、やはりちょっと違う気がします。
ここに動いてこのタイミングで打って、これだけブロック弾いてこっちは後で使う……という感じに、理詰め&理詰めなんですよね。例えるなら「自分=パズルのピース」で、状況に応じてピッタリ合うところに自分をはめ込んでいくようなゲームだと個人的には思っています。
特に、6面のVS凛湖は長丁場なので、必然的に覚えゲーになります。つまり、攻撃パターンと順序を覚えないとお話にならない場面が多々ありました。たとえば覚醒後の、バーッと空間を2回に区切ってから球を飛ばしてくる攻撃です。何度パターンの順序を忘れ、前パターンの余韻のまま動き続けて直撃→即死したことかわかりません。
6面攻略と並行して、各ステージのハイスコア絡みの実績や沙月の1~5面勝ち抜きの実績など、以前は解放できなかったものにもチャレンジしました。
そのうちに、最初は海浬で6面をクリア。必死過ぎてもう感動以上に驚愕でした。「あ、これ今クリアできた?」的な。その後、相当手こずったものの沙月でもなんとかクリアしました。30万点超えも沙月でクリアし、無事に64の実績をすべて解放。いやー嬉しかったです。
6面クリア後に他の面をプレイすると、成長の実感が半端ないですね。たとえば、苦手だった4面とこじーに挑戦したのですが、思った以上にスイスイ動けてびっくりしました。細かい操作に慣れたほか、たいていの状況にも焦らずささっと動けるし。マジ何度凛姉ちゃんに爆発させられたかわかりませんが、あの激しい攻撃によって想像以上に鍛えられてたんだなあ……としみじみと思いました。
ところで、コレクションをコンプした直後、海浬と沙月の会話イベントが発生しました。特殊イベントらしく、一度きりしか見られないそうです。
感想としては、沙月は冷静だなーと思いました。あのブレない動じなさは、壊れかけの海浬にとっては逆に救いなのかもしれませんね。海浬はえへっえへらと半笑いして上っ面で危ない感じを出しつつ、内面では真面目繊細くんを保っていそうです。ある意味でそれが海浬の限界というか。しかし、結泣の願い通りに海浬が幸せをつかむなら、やっぱりその限界を突き抜けないほうがいいと思います。
沙月が海浬を拾った理由がこのイベントを見てますます気になりました。エンディング後もコンビを解消する気は(少なくとも海浬は)まだまだ無さそうだし。そのあたりの事情が続編で明かされないかなーとちょっと期待しています。
『ムラサキ』の各ステージ感想
この項目では、ステージ1~6までの簡単な感想を書きます。キャラやコレクションの感想、特殊台詞(決闘開始or体力70%程度でクリア)の感想も含みます。ネタバレを含むのでご注意ください。
ステージ1 炭の森
「炭の森」は『ムラサキ』の最初のステージなので、難易度的にはイージー。しかしいまだに、大根ズにぐるっと囲まれると身構えます。
ステージ1のボスである、文字通り"共依存"の「夏乃」たちは可愛かったです。BGM「ニブンノニ」は、一つになってようやく生き延びることができた二人らしいタイトルだと思います。
コレクションで沙月がこの2人に共感を示していたのは、シアワセ組を思い出したからなのでしょうか。あと、海浬はいつ夏乃に会ったのか。皇太子の頃に森羅のニに入れるとも思えないし、放浪中の話でしょうか。というよりこの炭の森は、森羅のニにあるってことでいいんでしょうか。
ともかく、沙月PC時の特殊台詞から、トドメを刺されずに済んだらしいと判明してホッとしました。2人でなんとか生き延びてほしいものです。
ステージ2 東海道
2番目のステージにして突然死多発。今でこそするっと切り抜けられますが、初見は無理無理としか思えませんでした。「ザァッ……」(球降ってくる)→爆発四散→菖蒲さんのドヤ顔フィニッシュ的な流れを何度見たかわかりません。本当にドS。
運よく菖蒲を抜けたとしても、最初はボスが難しくて手こずった覚えがあります。中ボスの「糸帆」も攻撃パターン1が苦手でした。
ステージ2のボスである「灰牙」はけっこう好きなキャラです。よく見れば血みどろで腕もないしなんだろうこの人と初見で思ったので、彼がかつての海浬の臣下だと知ってびっくりしました。
ズタボロで死にそうなのにそこそこ強いので、往時の灰牙はとんでもなく強かったのではないでしょうか。灰牙リスペクトっぽい凛湖があれだけ強いし。6面をクリアしてからだと、凛姉ちゃんは灰牙の攻撃パターンを真似てたんだなーと微笑ましいような切ないような気持ちになりました。
灰牙は相手が海浬か沙月かによってかなり反応が違います。会話だけではなく挙動も異なり、海浬相手だと闘えるのが嬉しいのかふよふよと近づき、沙月相手だとたとえ1海浬射程分の距離が空いていても更に遠ざかります。
沙月PC時の特殊台詞を見るに、灰牙は海浬と沙月にとどめを刺してもらえて本望だったのかもしれません。あの負傷では、戦わずとも遠からず命を落としていたのではないかと思います。海浬相手には後悔だったり自嘲だったり、悲しいことを言い残すのが印象的でした。
BGMの「囲われたセカイ」/「蛙鳴戦争」は、「井の中の蛙」のもじりでしょうか。国で最強だったけどもっと強いヤツがいた……ということ以上に、驕り高ぶった末に滅んだイの国とその住人を皮肉るようなタイトルだなと思います。
ステージ3 百目湖
『ムラサキ』第3のステージは「百目湖」。地味に苦手なステージでした。あのうねうねの波状攻撃、ゆっくりなのが逆に難しいと思います。
ステージ3のボスである「流々々」は、クリアした今でも、「どうしてこの人戦いを挑んできたんだろう……」と思ってしまいます。「ヒマだから遊びましょう」的な軽いノリだし。とはいえプロフィールを見るに、相当孤独な人生を送っているんですよね。
このステージに「兎万砥」が登場するのは、彼女が逃亡時に流々々に匿ってもらったからだそうです。コレクションの海浬コメントから考えるに、魚を相手に寂しく生きていたときに偶然人と触れ合ってしまったせいで、流々々は孤独に耐えられなくなったのかもしれません。本人も、私も王子も本質的にはぐれ者だと言っていたし(「一緒に釣りしましょう」→「いいけど釣りより泳ぐ方が好き」→「もがき苦しむことになってもですか」という海浬とのやりとりも印象的)。基本的にドライな対応をする沙月も、流々々に対しては同情的だった気がします。
兎万砥が一夜の宿を借りた経緯は、文でもいいから見てみたくなりました。きっと二人で釣りするのは楽しかったんだろうなあ、と。あと流々々は、女性なのか男性なのかどっちなんだろうと思いました。顔立ちは女性っぽいですが、決闘クリア後のカットインを見ると体つきが男性的な気もします。
ムラサキ
ちなみにこのステージ3では、ボス直前に選択しなかった方のPCが登場します。発生条件は不明。いつも現れるわけではないですが、やっぱり一緒に行動してるんだなーとわかって嬉しくなるおまけ要素でした。
ステージ4 夜の家
『ムラサキ』第4のステージである「夜の家」は、唯一の屋内ステージです。大根もとい生物兵器は出てきませんが、それを補って余りある理力祭りに地獄を見ました。
道中もさることながら、4面ボスの「梢夜(こじー)」はかなりの手強さでした。6面をプレイするまでは4面が一番苦手だったくらいです。6面クリア後にようやく、「わー理力キレイ」と4面を楽しむ余裕ができた気がします。それでもこじーはやっぱり強いなと思いますが。
また、中ボスの「狗鷺」は、これまでの中ボスの中では一番攻略しやすい気がします。わざわざ当てないような角度で理力を放つこともあるし、優しい人なのかも。思えばこのあたりで、中ボスの楽器たちが「三人組」なのかと気づき始めました。
ところで、こじーはどうして蛾の羽を背負っているのでしょうか。惰眠病から身を守るために繭に引きこもっているらしいので、羽は生来のもの? 鳥の羽なら、素直に冀望のハの出身者かなーと思うのですが。
派手でアグレッシブな攻撃がこじーの得意とするところだと思いますが、射程が長い海浬だと比較的攻略しやすかったです。海浬も沙月も、こじーに対しては煽っていくスタイルで笑いました。沙月はよく寝る寝ると言うからか、眠そうなこじーに微妙に親しげだったり。
こじーの特殊台詞は、海浬相手でも沙月相手でもしんみりムードでした。BGMの「草木薫る夢路」というのは、こじーが繭の中で見ている幼い頃の夢のことなのかもしれないなあと思いました。
途中のブチ切れ台詞に目をくらまされますが、こじーはもともとお嬢様なんですよね。穏やかな口調に外の世界で束の間行動できた嬉しさや、惰眠病からの解放感が表れているような気がしました。
こじーもけっこう好きなキャラです。普段は丁寧語を使うのにキレると汚い言葉遣いになるってまもものあの人を思い出しますね。同じ元お嬢様だし。
ステージ5 希ヶ原
ついに最終決戦。『ムラサキ』第5のステージである「希ヶ原」は、悲しい音色が響く約束の場所です。
最初はずっとボスの「結泣」に恨めしげに「いつかあの場所で」を独奏させ、世界爆発を引き起こしてばかりでした。コレクションを読んで「中ボスの『三人組』は敵ではない→倒してはダメ」と気づき、ようやく「いつかあの場所で∴」を聴くことができました。
5面は、物語と音楽の融合が最高の形で果たされているステージだと思います。兎万砥がふわりと現れ、悲しげなピアノの独奏が不意に二重奏に変わる演出は、初見で見て鳥肌ものでした。糸帆が現れる頃にはもう放心状態です。もう何度もプレイしていますが、5面ボス戦まで来るとふと涙腺が緩むことがあります。
「いつかあの場所で」は、単体で聴いても素晴らしい曲です。しかし5面をプレイしながら聴くことで、プレイヤーはこれ以上ない感動を味わえるのではないかと私は思います。
実際にプレイし、コレクションを読み、ある程度想像を巡らせた上で最終決戦に来たからこそ、プレイヤーは音楽の中に「物語」を見出すことができます。四人の夢や悲劇を「知っている」からこそ、彼らの音楽に込められた特別な響きを聴き取ることができるわけです。
兎万砥の奏でる深みと艶のある音色。狗鷺の奏でる優しげで哀感溢れる音色。糸帆の奏でる優美で繊細な音色。結泣の演奏に寄り添う彼らの音楽は、「物語」によって深みを増し、一方で雄弁に「物語」を語りもするのだと思います。
今更ですがちょっとポエミーですね。でもクリア当時、本当に感動したのを今でもよく覚えています。月並みな感想ですが、「音楽って素晴らしいなあ、『ムラサキ』好きだなあ」と5面をプレイするといつも思います。
ところで、結泣は不思議な子だなと思いました。惰眠病にもかからないし、理力の遺物を扱えるし、挙句理力と同化して世界を爆発させちゃうし。もしかして特別な素養の持ち主だったのでしょうか。
「いつかあの場所で∴」の途中で結泣にうっかり近づき、攻撃されたときは驚きました。まあパフォーマンス中に演者に近づくのはNGですよね。イの都合で命も音楽も気持ちも踏みにじられたことを思うと、「今だけは邪魔してほしくない」という思いの表れなのかもしれません(あと、スコア稼ぎの支援的な意図でこういう仕様になっているのかも)。
ちなみに特殊台詞では、「私は世界で一番の幸せ者です」と言ってくれます。最期に海浬たちの幸せを願ってくれる結泣の健気さと優しさにグッときました。
ステージ6 首切場跡地
『ムラサキ』第6のステージである「首切場跡地」は、エンディングを迎えた後に開かれるエクストラステージ。選択した時点で血しぶきが飛び散る不穏さに違わず、非常に難易度が高いステージです。
エクストラボスである「凛湖」は、本当に容赦なく強くてゾクゾクしました。負傷灰牙の完全なる上位互換ですね。しかも対戦相手を途中で回復させてあげる情けも持ち合わせているという。凛姉ちゃんはみんなの憧れ。
PCが海浬だと、射程距離との兼ね合いで比較的楽に攻略できる気がします。これをキャラ同士の関係として考えるなら、お姉さんの好戦的な裏の顔に慣れていたから……という説明ができそうです。コレクションにそれらしい解説があったし、海浬は例のごとく脳髄を刺激されているし。
一方、PCが沙月の場合は、射程距離が短いこともあってかなり苦戦しました。なかなか本体に近づかせてくれないタイプの攻撃が多いので、海浬のように本体攻撃で削るのが難しくなるんですよね。
凛湖の決闘台詞ですが、対海浬、励ますような言葉や身内感のある言葉が多かったです。
意味がない戦いほどたぎる、意味はなければないほうがいいという台詞は、クレイジーに見えてけっこう重い気がします。下手に戦いに意味を求めたり大義を掲げると泥沼化するので、ただ純粋に戦闘を求める方がまだ健全というか。事前に灰牙と遭遇しているから余計にそう思いました。
明らかに昔と性格が違うのに、弟にツッコまないどころか大らかに受け入れる凛姉ちゃんは素敵ですね。最後の言葉も優しい。昔は品行方正なお姫様を装っていたらしいので、凛湖は自分を繕わなくてもいい現状にある程度満足していそうではあります。
対沙月では、凛湖は強い沙月に好意的でした。沙月自身はにべもないとはいえ、(海浬が)欲しいならやるぞ、お似合いだにニヤニヤ。姉弟揃って沙月を気に入っているのが微笑ましいです。沙月も凛湖も武人然としたキャラなので、お互いへの共感高めなのがいいなと思います。
ところで、凛湖は海浬と沙月のどちらを相手にしても、「刀」への言及を通じて灰牙を仄めかすようなやり取りをします。
ステージ2で灰牙が爆発した後、凛湖がその地を訪れ、灰牙の形見として刀を持っていった……という流れなのでしょうか。決闘込みクリアのカットインを見るに。とすると凛湖が二人に果たし状を出したのは、灰牙の件も含んでの行動なのかもしれません。
また、ステージ名の「首切場跡地」は、かつて三人組が処刑された場所のような気がします。そうでなくても名前からして、京都の三条河原のようにイ絡みの怨念が染み付いていそうです。わざわざそこを決闘の地に指定した凛湖は、海浬たちとの戦いを通して本当の意味でしがらみを断ち切りたかったのかもしれません。
敵の爆発について
今さらですが、ステージクリア時のボス敵の爆発は、「命が尽きたこと」の婉曲的な表現なのでしょうか。以下、各面のボスについて考えてみました。
- 夏乃:台詞で生存確認(半ごろしで済んだらしい)。
- 灰牙:おそらくは死亡。形見の刀を6面の凛湖が所持している。
- 流々々:不明。「死ぬことがない」(by沙月)とは対毒か、それとも本当に不死身なのか。対面時点でそれほど生に執着がなさそう。
- 梢夜:不明。しかし「呼吸をするだけの存在」の上、繭に籠ってから1年以上経っているらしいので怪しい。
- 四人組:三人組は言わずもがな。結泣もおそらく気力だけで三人を待っていたっぽいので、世界爆発or約束を果たした時点で終わりを迎えていそう。
- 凛湖:不明。沙月との再戦話を含め終わり方が前向きなので生きていそう。というか「PC=弟の海浬」的な意味で死んではいないと思いたい。
ほぼ確実に生きていそうなのは、1面の夏乃と6面の凛湖あたりでしょうか。5面の結泣や2面の灰牙はその逆で、描写を見てもステージクリアと同時に命を落としているんだろうなーという印象です。
キャラクターについて
『ムラサキ』は、キャラクターの情報自体は少ない作品です。戦闘中の短い会話とコレクション内の四行~八行程度の略歴、プロフィールくらい。それでも全員キャラが立っているし、愛着も湧くようになっているから素晴らしいと思います。
さすがはカタテマ様というか、「あえて本編内で落とす情報を絞り、資料の形で情報を明かす」という手法が、『魔王物語物語』と同じくうまくハマっている印象です。
資料で背景を知って会話を見返し、そこに込められた心情を考える……という流れを辿るので、キャラへの興味が自然と高まるんですよね。キャラクターについてもストーリーについても、プレイヤーが能動的に想像を巡らせることのできるつくりになっていると思います。
海浬と外見
PCその1の「海浬」ですが、実は完全に女の子だと勘違いしていた時期があります。容姿を見た時点でまず女性だと思い込んでしまったんですよね。言動も緩くて中性的だから、「女の子二人のダブル主人公ものか~なるほど!」と思ってずっとプレイしていました(何がなるほどなのか)。
たぶん直前までかもかて(※主人公に性別なし)をプレイしていたのがよくなかった気がします。たとえ「名前負け王子」と呼ばれても、「ああ、女性でも王子って呼ばれる世界なのか」と脳内補完してしまっていたので。「そんなわけがあるか」と昔の自分にツッコミたいです。結局エピローグでの沙月とのやりとりを見て「海浬=男」に気づいたわけですが、我ながら遅すぎる気づきでした。
≪関連記事:『冠を持つ神の手』(かもかて) 感想&レビュー その1≫
コレクションを見るに、もともとの海浬は生真面目で理知的な性格だったらしいですね。皇太子から放浪の身にって本当に波乱万丈だと思います。機会があれば以前の姿を見てみたいです。
沙月と謎
キャラに関して気になったのは、もう1人のPCである「沙月」の情報が不自然なほどに伏せられていることでした。出身国さえ不明という。片割れである海浬はかなり掘り下げられ、イの関係者も多く登場しているので、沙月の秘密主義は余計に目立ちます。シアワセ組の情報も曖昧ですが何か理由があるのでしょうか。
沙月の衣装や身体能力の高さ、群れるのを好まない言動から推測すると、狗鷺と同じく白銀のロ出身ではないかと思うのですが。
四人組
各面のボスについては上の項目で書いたので省きますが、キャラデザ的な意味でも「四人組」がとても好きでした。
身にまとう華やかな衣装もそうですが、立ち絵に物語が織り込まれている点が素晴らしいと思います。特に三人組については細やかで、首にうっすらと跡が残っていたり、兎万砥は「片目」を、狗鷺は「耳」を、糸帆は「喉元」をさり気なく隠していたり。気づいたときは、デザインへの落とし込みすご~!と感動すると同時に、彼らの味わった苦しみを思って痛ましい気持ちになりました。
5面を体力残し&決闘込みでクリアしたとき、ラストのカットインに色がついておおっと思いました。音楽を通じて結ばれた四人組に、海浬が四国の平和と調和を見出したのも頷けます。カットインの絵は、よく見るとツンケン気味の糸帆が結泣と手を繋いでいたりして、微笑ましくなると同時に目頭が熱くなります。
『ムラサキ』オリジナルサウンドトラック感想
ジャケットの結泣の笑顔が可愛かったので、『ムラサキ』のオリジナルサウンドトラックを購入しました。
OSTの良いところは、曲がループせず、ゲーム内で使われなかった部分を聴けることですね。フルでラストまで聴くとけっこう印象が変わる曲もあります。「炭の小径にもえる花」とか、「草木薫る夢路」とか。「いつかあの場所で」と「にじいろ」が目当てだったのですが、その二曲はもちろん他の曲もとても良かったです。
OSTで聴いてまず良いなあと思った曲は、2面BGMの「囲われたセカイ」です。後半のしっとりとした感じが好きでした。対ボス曲の「ニブンノニ」(対夏乃)と「遠雷は迷い子を告げる」(対流々々)は、方向性は違えど終わり間近の盛り上がりがソーグッドです。
その他、「草木薫る夢路」はおしゃれな雰囲気からのオチにひえーとなったんですが、オルゴールのネジを巻くあのカチカチカチッという音がクリアーに聴こえて耳が心地よかったです。4面とこじーらしさ爆発。
また、6面BGMである「いばらの断頭台」と「ツギハギプリンセス」は(ほとんど必然的に)ヘビロテしていたわけですが、OSTで聴いても非常にカッコよかったです。後者の華麗で緊張感のある感じは、この上なくVS凛湖っぽいと思います。
最後に、ゲームのタイトルで流れている「カケラ」がとても良かったですね。切なげな曲調がもともと好きだったんですが、フルで聴いてさらに好きになりました。
音楽っていいものですね(2回目)。『ムラサキ』が好きなら、OSTは買っても損はないんじゃないかなーと思います。
『ムラサキ』続編に向けて
『ムラサキ』の締めがとても綺麗だっただけに、『ムラサキ劔』はどう展開していくのか非常に気になります。作品世界自体にはまだまだ謎が多く、伏線らしき描写も散見され、PCの海浬や沙月たちにもまだやるべきことがありそうです。
とりあえず、『ムラサキ』をプレイして個人的に気になったことを箇条書きにしてみました。
1.沙月の素性:正直一番気になる。シアワセ組のもう一人はどこに? どういう生い立ち? そもそもどこの国出身? などなど。
2.シアワセ組NO.1:沙月の素性とあわせて知りたい。相当な実力者ではないだろうか。
3.海浬の精神状態と今後:精神崩壊を回避して人格を再構築したらしいが、今後もあのひょうきんな半笑いキャラで行くのだろうか。コレクションの説明を見るに、人格チェンジの時期は沙月と出会った後の可能性もある。だから沙月は、海浬の今の性格に若干複雑そうなのかも。真面目時代の海浬も見てみたい。
4.海浬と沙月の出会い:2人はどういう経緯で出会ってつるみ始めたのか。
5.菖蒲の正体:派手に噛まれただけにもっと情報が知りたいところ。世界を半壊させたらしいが、彼女(推定)も四国のどこかの出身なのだろうか。
6.海浬の弟の海瑠:名前ありかつPCの身内キャラなので気になる。もう故人かもしれないが、ワンチャン生きているかもしれない。今の海浬を見てどう反応するのか。ぜひ海浬の脳髄を刺激してほしい。
7.十二魔槍の生き残りの安否:8名故人ってフラグ。しかし、仮に生存&登場したとしても、リーダーの灰牙や灰牙リスペクトの凛湖より弱そう。
8.「柱」:たぶんエンディングで海浬と沙月が見つめていた水たまりの上のアレ。「柱」に一年に一度生贄を捧げるらしいが、どうしてなのか。生贄は世界を安定させる人柱的なもの? あと、どうして灰牙は「柱」に攻め入ろうとしていたのか。海浬が沙月を「空を見に行こう」と誘ったのは、今後二人が「柱」に行くことの暗示?
9.四国の現状:星冠のイは崩壊したらしいが、他の国はどうなったのか。灰牙はロに潜伏していたらしいので、一応他の三国は存在し続けているのだろうか。
10.『ムラサキ』ボスキャラの行方:生きているキャラはいるのか、いるとすれば誰が生き残っているのか。
11.世界の危機:世界の滅亡は、本当に避けられないのか。
以上、色々と挙げましたが、ムラサキ続編で掘り下げがあればいいなーと思うことを絞ってみると、以下の5つになりました。
- 沙月のこれまで
- シアワセ組NO.1
- 菖蒲
- 柱
- イ以外の三国
- 番外:凛湖の武者修行
やはり、「沙月」と「シアワセ組」がセットで気になります。次点でなんだかんだまた出てきそうな「菖蒲」と、謎が多くて怪しい「柱」にも注目しています。
「ロ、ハ、ニの三国」は数行の設定だけでも興味を引かれるので、関係者にもっと登場してほしいです。ロの関係者は単純に強そうだし、二の関係者は生物兵器を使ったエグイ攻撃をしてきそう。番外編については、凛姉ちゃんの挑戦を純粋に見たいからです。続編でちゃんと生きていてくれればの話ですが。
*****今回記事を書いてみて、最初にプレイしたときのことをよりはっきりと思い出して懐かしくなりました。再チャレンジしてみて本当に良かったです。他のゲームも、時間があればまたやり直してみようかなーと思いました。
カタテマ様の作品で「パズル×音楽」というと、『ムラサキ』の他には『いりす症候群!』が挙がるかと思います。
個人的には、「癒やしのいりす」と「燃えるムラサキ」というイメージです。「時間無制限」&「目標=ハイスコア」(いりす)と、「時間制限あり」&「目標=ステージクリア」(ムラサキ)の違いでしょうか。
いりすは(目の疲れとトレードオフで)プレイすると不思議とクールダウンできるゲームなんですよね。息抜きとして遊べるというか。一方ムラサキは気合いを入れて遊び、失敗すると「もう一回!」となるゲームです(あくまで個人的には)。「夢」モードは時間無制限とはいえ、気持ち的にはリラックスするよりも緊迫するし。
いりすとムラサキは雰囲気や方向性が違いますが、どちらも中毒性のある秀逸なパズルゲームだと思います。そして音楽が素晴らしいのも共通ですね。両方とも大好きです。とりあえず、『ムラサキ劔』をとても楽しみにしています。
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