『冠を持つ神の手』 リリアノ 感想&攻略 その5
異世界ファンタジー育成系ADV、『冠を持つ神の手』(かもかて)に登場するキャラクター、「リリアノ」の感想&考察&攻略記事です。制作サークルは小麦畑様。
※「リリアノ&モゼーラの共通友情エンド」と「ヴァイルの憎悪監禁エンド」を並行して攻略しました。
≪関連記事:共通友情エンド×2とヴァイル憎悪監禁エンドを並行して攻略 【冠を持つ神の手/かもかて】≫
全イベントとエンドを見た上での感想なので、ネタバレしかありません。未見の方はご注意ください。考察みたいなものも書いていますが、あくまで個人的な考えです。主観まみれです。
◇リリアノ・ランテ=リタント=ヨアマキス
現リタント国王。36歳の女性。初代から数えて五代目に当たり、三代国王ファジルを祖父に持つ。ヴァイルの父であるイルアノの兄。過去に中級貴族ヨアマキス家のクレッセと結婚し、一人息子のタナッセをもうけた。のちに離縁し、現在まで独身を通している。
性格は苛烈だが、王としては公平で誰もが認めざるを得ない。華やかな業績はないものの、四代国王の粛清に次ぐ粛清で傾いた国政を建て直した手腕が高く評価されている。退位を間近に控えた現王として、甥のヴァイルにも主人公にも分け隔てなく接する。
冠を持つ神の手
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※リタントでの性別関連の呼称
主人公たち三足族は性別を持たずに生まれる。そのため、「姉」「妹」「令嬢」「(子供としての)娘」といった呼び方は存在せず、女性であっても一律「兄」「弟」「令息」「息子」と呼ばれる。
※姓名について
(名前)・(副家名)=(本家名)。(本家名)がその人の出身家の姓を示す。国王や国王になる資格を持つ寵愛者は、「リタント」を名乗ることができる。
リリアノについて
「リリアノ・ランテ=リタント=ヨアマキス」はリタントの五代国王であり、主人公の庇護者です。タナッセの実の母であり、ヴァイルの伯母でもあります。
イベントリストではタナッセの次がリリアノですが、貴族の同年代組を先にまとめたかったので、その4でユリリエの感想を先に書きました。
かもかての攻略対象キャラは皆好きですが、リリアノはとりわけ好きなキャラです。「リリアノさま~」とプレイ中は親しみを込めて呼んでいました。というよりあの威厳と麗しさを前にするとリリアノさま~状態にならざるを得ない。
けっこう感情表現が素直なところもギャップがあっていいですね。あと、色々な意味で強い人である一方、迷いや未練を抱えているところにも惹かれます。悩み多い人って好きです。
リリアノはすでに感想を書いたヴァイル、タナッセ、ユリリエと同じく貴族身分を持つキャラクターであり、リタントの現トップです。「王として生きるということ」と「主人公が生まれる以前の過去」、その両者を知るキーパーソンだと言えます。
建国から100年の節目直前に即位したリリアノは、先代国王の時代に傾いた国政を立て直し、平和で安定した治世を現出しました。国王としての評価は高く、その公平さは誰もが認めるところです。
彼女は国政に大きな影響力を持つ「ランテ家」の出身です。ランテは建国当時から続く名門貴族であり、三代ファジル、五代リリアノ、六代候補ヴァイルと3人もの寵愛者(=国王)を輩出しています。リタントは120年ほど続いている国家ですが、その月日の半分近くを一つの家系の出身者が統治したことになります。そして、ヴァイルが順当に六代国王に即位すれば、ランテの治世は今後も続いていくことでしょう。
五代から六代へ王位が引き継がれようとしている現在、貴族たちが何よりも危惧しているのは、ランテによる一家独裁が続くことです。
彼らは現状、ランテの広大な領地を継承しているヴァイルではなく、すでに優れた王として評価されているリリアノの方を恐れています。退位後も*甥であるヴァイルを介して国政を支配し続けるつもりなのではないか、と。(*リリアノは1年後に退位を控えています。三代国王の時代に、「次王の成人と同時に現王は譲位する」と定められました。)
実際のところ、リリアノに貴族としての野心はおそらくありません。たとえば、彼女は結婚を機にランテの継承権を放棄して弟(ヴァイルの父)に譲ったため、貴族としての実質的な資産をほとんど有していません。玉座への執着も噂されているようなものではなく、主人公が能力を示し名声を勝ち得れば、あっさりと甥のヴァイルを差し置いて王位を譲ってくれます。
三代国王ファジルを祖父に持つリリアノは、王として生まれ王として育ちました。ユリリエを「生粋の貴族」と形容するならば、リリアノはまさに「生粋の王」であると言えます。貴族や一人の女性である前に彼女は王なのです。それは、周囲の人間もリリアノ当人も認めるところです。
それでも貴族たちがリリアノを警戒するのは、彼女個人とランテの血の影響力がそれだけ脅威であるからです。
リリアノにしてもヴァイルにしても、ランテの人間は貴族としての欲をあまり見せないところがあります。もちろん、必要に迫られれば大貴族としてのランテの力を暗にちらつかせはします。しかし当人たちにしてみれば、権力は本当の関心事ではないのです。それは彼らが生まれながらに王としての権力を有しているせいなのかもしれません。
他の貴族にとってランテの人間の権力への無頓着さは理解しがたい、彼らに生得の傲慢さがあるから尚更信じることができないのかもしれない……そのようにユリリエは語ります。
ところで、リリアノはたいていの場合、後日談で命を落とすキャラクターです。それは彼女が差し向けられた刺客に抗おうとはしなかったから、つまり、消極的ながらも自ら命を絶つことを望んだためであると説明されています。
ランテは神に愛された家系かもしれませんが、神の愛の証たる選定印は、ランテの人間を幸福にしたとは言い難いところがあります。即位して以降、リリアノは王権の光と陰を見つめ、選定印のもたらす悲劇に翻弄されるランテの人々を傍らに、王としての半生を歩んできました。そして退位を控えた現在、彼女は過去に成したことの因果として死に誘われているのです。
「王としての彼女の過去」と「彼女が唯一人として大切にしているもの」。その2つを知ることが、攻略の鍵になることでしょう。
愛情
リリアノ愛情エンディングは、「最終結果:王」の愛情Aと「最終結果:王以外」の愛情Bの2通りです。
リリアノの好愛は、城を嫌い村を恋しがるまだまだ子供っぽい少年を意識して振舞うと上がりやすいです。あまりに馬鹿っぽい受け答えはダメですが、言動は多少感情的すぎるくらいでOK。母を頼るように彼女を信頼し、素直に愛を捧げましょう。
彼女の息子と元夫を見るに、若干ダメンズウォーカーの気があるというか、「駄目な子ほど可愛い」と思う人なのかなと思わなくもありません(クレッセは強かな人ではあると思うんですが、伴侶としては頼りない印象もあるので)。
また、印愛は序盤からガンガン振っていきましょう。結婚歴があり子供もいる年長者なので、こちらが真剣にならない限り、向こうも本気になってくれることはありません。
リリアノ愛情ルートを攻略するとき、私はいつもギリギリまで引き籠って中盤からスパートをかける感じでプレイします。
というのも、王になることを拒否した上で名声を低く保つ、つまり城に馴染めない田舎者の主人公のままでいると、イベント中の様々な選択肢でリリアノの好愛が上がりやすくなるんですね。たとえば、普通は好友が上がる、あるいは好感度が下がる選択肢であっても、「王×」で「名声低」だと好愛が上がったりします。
リリアノは好愛特化のイベントが少ないので、そのぶん全体のイベントに隠し好愛上昇ポイントが設けられているのかもしれません。この攻略法だと新しい発見も多いし、もともとリリアノは好感が素直に上下する傾向がある人なので、明らかに好愛が上がっていそうな反応を沢山見られて楽しいです。
上記の攻略法の一つの目安となるのは、三か月目(赤の月)に発生する中日イベント、【籠る心は】です。愛情Aと愛情Bを同時に回収しようとすると、王になる条件を満たさなければなりません。そのために必要な名声値を考えれば、数値稼ぎを始めるタイミングとして、【籠る心は】の直後はギリギリに近いと言えます。
「城なんて気に食わない」、「ずっと子供のままでいたい」と駄々をこねた後に俄然王を目指し始める主人公の心情は気になるところですが、リリアノにからかわれてやる気を出したのでしょうか。
コツを掴むまでは「愛している」にすることさえ手こずっていましたが、慣れてみると難なく「一心同体」を達成できるようになりました。好愛優先で上げていったのですが、途中から好友が追い抜き、最終月にようやく好愛最大になる目途が立つ感じでした。やはりリリアノさまは好友がとても上がりやすい。
リリアノ愛情攻略は、イベント数的な意味でかなり余裕がある気がします。他キャラは必須イベントがあったり能力値諸々の縛りがあったりで充実しつつも忙しないですが、リリアノ愛情はゆっくりと攻略に集中できる印象です。
空いた時間に休んだりギッセニ男爵を訪ねたりもできるので、「一心同体」プレイをしつつ「万能の神の使者」の称号を得られました。リリアノさま相手にこの結果は嬉しかったです。
愛情攻略で地味に大切なのは、励みイベントをすべてリリアノで出すことではないかと思います。どのキャラの愛情攻略でも基本中の基本ではありますが、好愛イベントが少ないリリアノルートでは特に重要です。イベントが尽きたかと思ったとき、コツコツと好愛が加算される励みイベントによく助けられました。
もっとも、ただでさえ王絡みの中日イベントが多いのに、【籠る心は】からのローニカ&ヴァイルイベントがうっかり発生したり、ユリリエが唐突にカットインしたりでやきもきした場面もありました。とはいえ、最終的には8割以上励みイベントを見られました。
「一心同体」攻略で意外に思ったのは、友情エンドを迎えられることでした。
他のキャラクターの場合、相手の好愛が高まっていると友情エンドを迎えられないことが多いんですよね。ついに愛の告白かと思いきや単に今後の話だった……なんて相手にとっては落胆ものでしょうから仕方のないことです。リリアノもやや残念そうな様子を見せるんですが、後に引きずることなく主人公との友情を確かめ合ってくれます。さすがはリリアノさまだとあらためて思いました。
また、愛情ルートとエンディングを見て強く感じたことがあります。それは、ヴァイルほどではないにせよ、リリアノも自分と同じ印持ちの人間を求めているんだなということです。時期が遅かったからまだ諦めがつくだけで、「お前が20年前にいてくれさえすれば」と何度か零しているし。寵愛者の孤独はかくも根深い。
リリアノ愛情A、リリアノ愛情Bともに、しんみりとしたやるせない雰囲気が漂うエンドでした。死に誘われるリリアノを留める言葉を、主人公はどうやっても持てないからでしょうか。
「主人公を愛して一緒にいたい」とは言ってくれるものの、「主人公の望むような関係にはけしてなれない」とリリアノは言います。その言葉の意味するところは、エンドロールからも分かるように、「主人公のためには生きてやれないよ」ということなのでしょう。愛情Aでは数年は思いとどまってくれた様子ではありますが。
一緒にいたいけど一緒に生きることはしない、対等の男女にはならないってワガママと言えばワガママかもしれません。しかし、つらいことの多かったリリアノだから仕方がないのかなとも思います。ただ、プレイ方針からして、一途にリリアノを慕う主人公にはそのあたりの機微が分かっていないんじゃないかと思えることだけが気がかりでした。
もし「対等の男女になりたい」と言い張ってリリアノの出す条件を拒んだ場合、彼女は「国を乱すわけにはいかない」と主人公をつっぱねます。たしかに、「先代の王と次の王」または「先代の王と次世代の寵愛者」が正式に結婚するなんてまずもって無理です。外聞が悪い、貴族が猛反対するということ以上に、リリアノがそれを自分に許すはずもないです。
冷静にその事実を突きつけられると、愛情エンドの存在自体がリリアノの精一杯の譲歩だったんだなーと改めて思いました。とはいえ主人公を退けた後で、「神の国で再び一緒になったときに考えよう」と言ってくれることは嬉しかったです。
個人的には、主人公と一緒に海辺のランテ領に引き籠る愛情Bが好きです。額こっつんこは寵愛者だけに許された愛情表現のようでドキドキしました。
制作者様によれば、愛情エンドの2人は一応プラトニックな関係ではないらしいです。へえ~と思うとともに、やっぱり「お前の女にはなれない」って精神的(それと社会的)な意味なんだなーと納得しました。
言い方は悪いですが、本当に対等ではない、飼い主対ペットのような関係だと思います。主人公にできるのは、リリアノが死に至るまでの間、彼女の心を慰めることだけです。リリアノを真剣に愛しても向き合うことはしてくれないから、主人公の方が死に惹かれるリリアノの傍に寄り添い続けるしかないんですよね。
主人公の人生を狂わせるとわかっていても愛を絶ち切れなかったことがリリアノの言う「弱さ」であって、いびつであっても愛してくれたことはわかるから、嬉しくはあるのですが。
憎悪
リリアノ憎悪エンディングは2通りです。【最後の日】に「刺す」か否かで、憎悪Aと憎悪Bに分岐します。
リリアノは世評通りの「公平な王」です。多少の悪感情を抱くことはあっても、正攻法では主人公を憎んではくれません。そんな彼女の憎悪をかき立てようと思ったら、一体どうすればいいのでしょうか。
実はリリアノには、王ではなく人として大切にしているものが1つだけあります。それは、息子のタナッセです。政務に忙殺されて食事を共にする機会さえほとんどないものの、リリアノはタナッセのことを心底大切に思っています。息子に選定印がなかったことを密かに喜び、離縁した夫に息子を託さず手許に置いたのも、ひとえにタナッセを愛しているからです。
だからこそ、主人公の告発によってタナッセが処刑されることになった場合、リリアノは主人公に憎悪の眼差しを向けてきます。
以下、攻略の手順を説明します。前提として、リリアノの印憎度はけっこうカツカツになりがちです。相手の現在の好感度は気にせず、イベント発生ごとにポイントを振りましょう。好感度の条件としても、こちらの印愛・印憎の数値を好愛・好憎が上回ることはないように設定されています。好憎の上限を上げるためにも、どんどんと憎みましょう。
また、リリアノと並行してタナッセのことも憎んでおきます。向こうにも憎んでもらいます。攻略を進めて最終月(黒の月)になったら、【神の業、人の業】を起こしタナッセを告発します。あとは、【大逆の処断】→【人として王として】を経ればOKです。
イベント中は、王であるが故に自ら息子を処刑しなければならないリリアノの気持ちをうまく逆撫でする選択肢を選ぶといいと思います。
リリアノ憎悪Aは、刺殺未遂エンドです。主人公をある人物の生まれ変わりと確信しつつ、リリアノは主人公を処刑せずに囲い込みます。とはいえ、やはり彼女は退位後に刺客に命を奪われてしまいます。主人公も遅かれ早かれその後を追うことになるのでしょうか。
このAエンドでは、「ヴァイルと同じくリリアノも神の国には行きたくなかったのか」と複雑な気持ちになりました。このあたりでリタントに輪廻転生の思想があることを知り、「同い年の寵愛者として生まれたヴァイルと主人公の前世ってどうなんだろう」と考えて楽しくなりました。
リリアノ憎悪Bは、友情A以外でリリアノが生存する数少ないエンドです。そして、主人公の今後は非常に苦難に満ちたものになるだろうことが示唆されます。個人的には、このBエンドを見てリリアノのことがもっと好きになりました。
もともと互いに憎み合っていたとはいえ、【神の業、人の業】におけるタナッセは加害者であり、主人公は被害者でしかありません。言ってみればリリアノの主人公への憎悪は逆恨みに近いものです。
とはいえ、彼女が主人公に憎悪を向けることを「酷い」とは思いませんでした。リリアノは王としての責任は果たしています。主人公にしっかりと謝罪し、寵愛者を害そうとしたタナッセを処断すると決めたわけですから。その上で、「頼むから今後自分に近づいてくれるな」と主人公に警告さえしています。王としてやるべきことをやった以上、プライベートの部分で何を思おうと自由だろうと私は思います。
リリアノはどこまでも公人として生きてきた人です。そんな人が私人として唯一大事にしていた息子を自らの命で処刑せねばならないのに、気持ちが憎悪に振れないはずもないだろうと思います。むしろあの状況で感情を理屈で抑え込めたら、本当に人の心があるのかと疑いたくなるところです。
憎悪が主人公に向かうのは理不尽とはいえ、母親の心の動きとしては一定仕方がないことなのかな、と。それでも主人公に憎悪を抱いた時点でよろしくないという意見には、そういう考えも正しいと言うほかないです。
この憎悪ルートの最大の悲劇は、リリアノが公平な王でありすぎたことでしょうか。息子のために権力を行使できるような性格ならまだ救いはあったのでしょうが、リリアノは王である自分にそれを許しませんでした。王として生まれ王として生きてきた彼女にとっては当然の選択とはいえ、息子のためだけに存在した私人としての彼女にしてみれば、それは身を切るような決断だったことでしょう。
だからこそ、理不尽とわかっていても主人公を恨まずにはいられないリリアノの人間臭さを憎むことができませんでした。個人的にリリアノさま贔屓だからという理由もあります。あと、リリアノに警告されてなおどんどん突っ込んでいく主人公は煽りに行っているとしか思えないので、あまり同情はできませんでした。
憎悪Bでのリリアノは退位後も生き続けますが、人としての彼女はタナッセを処刑したときに一緒に死んでしまっています。いわば主人公への憎悪を頼りに生きているような状態なので、本当の意味で誰も救われないエンドなのかもしれません。
友情
通常の友情エンディングは、「最終結果:王」の友情Bと「最終結果:王以外」の友情Cの2通り。そして、「リリアノトゥルーエンド」と形容したくなる特別なエンドが、【継がれゆく世代】を経た友情Aです。
友情Aでのみリリアノは前向きに生きることを決意し、刺客の手にかかることもありません。ただし、リリアノ友情Aは実質2人分の友情エンドなので、難易度はそこそこ高いです。
友情ルートを攻略する際は、王になりたいと公言し、リリアノの仕事や趣味に興味を示して彼女の理解者となることを目指しましょう。現実を直視し、賢く堂々と振る舞うのが望ましいです。「20年前にお前がいたら大好きになるか大嫌いになるかのどちらか」と冗談めかして言われるくらい、リリアノと似た者同士になることが最終目標です。
また、リリアノは引きずられ修正もあって好友が上がりやすいキャラです。印友をどんどんと振ってイベントを一定数こなせば、特に支障なくエンドに行き着けると思います。
問題は、リリアノ友情Aです。これは文官モゼーラとの共通エンディングです。
国王リリアノと一介の官吏でしかないモゼーラを繋ぐ人物、それは、四代国王ネセレです。ネセレは三代国王ファジルと五代国王リリアノの間に在位し、貴族制の解体という過激な施策を推し進めようとした王です。そのため現在の王城では、彼の名を口にすることさえご法度とされています。
【語られぬ王】であるネセレは、リリアノとモゼーラ(と、あともう1人)の過去に深く関わっています。ネセレを知ることは彼らの過去を紐解くのに必要不可欠なステップなのです。
ところで、ネセレはどういった形でリリアノの過去に関わっているのでしょうか。ここでいったんリタント王制の歴史を振り返ってみると、現王から次王への譲位が円満に進んだためしがないことがわかります。
初代(ルラント)と二代(ノイラント)においては、王位の証としての選定印の正統性が取りざたされました。二代と三代(ファジル)はそれぞれ政敵関係にあった家の出身です。三代と四代(ネセレ)は、貴族と平民という出自の違いゆえに語り草になるほど仲が悪かったと言われています。
そして四代国王から五代国王に政権が移る際は、五代リリアノが即位する直前になって四代ネセレが急死したのです。
周囲の誰もが察した通り、リリアノは即位するにあたってネセレを暗殺しています。最初に仕掛けてきたのは貴族の子に玉座を渡したくなかったネセレであり、リリアノはそれに応じただけではあります。しかし、正当な形でネセレを退位させその力を弱めるのではなく、後ろ暗い手段によって彼を葬る道を選んだことに間違いはありません。
ネセレに引導を渡したという事実は、リリアノの心に暗い影を落とし続けました。前の王は次の王に食い尽くされるべき、王でなくなった王は生きられない、因果は巡る……彼女は何度もそういった薄暗い思想を語ります。
退位後のリリアノが消極的に命を捨てようとするのは、「自らがとどめを刺したネセレのように、王でなくなる自分も葬られるべきだ」と感じているからなのだろうと思います。
友情A(リリアノ&モゼーラの共通友情エンド)の攻略方法
それでは、リリアノ友情Aの攻略手順を書きます。全体的な流れは以下の通りです。
- リリアノとモゼーラ2人の好友を高める
- リリアノからネセレの最期について真実を聞き出す
- モゼーラにリリアノの告白内容を伝える
- リリアノにモゼーラの存在を伝える
- 最後の日に2人を引き合わせ和解に導く
リリアノ攻略パートでは王を目指し、【陛下とお昼】イベントをすべてこなして、【訪問の用件】が発生する状態にしておきましょう。【陛下とお昼】は日時指定なので、最初はリリアノ優先でかまうといいと思います。
モゼーラ攻略パートでは、好友を上げていくと以下の2つの話題が発生します。話題を確認するとリリアノ【訪問の用件】に選択肢が2つ追加されるので、それぞれ進めましょう。
- ネセレについて
- 宝器庫のネセレの遺稿とモゼーラの持つ本の筆跡とを見比べたい
1つ目の話題については、【語られぬ王】でリリアノによるネセレ暗殺を疑い、真実を告白してもらいます。
2つ目の話題については、【残された筆跡】でモゼーラのことを暴露し、ネセレの本を受け取りましょう。その後、ネセレの死の真相をモゼーラに暴露すれば準備はOKです。
以上を終えれば、【最後の日】に訪問したとき、「四代の子について」という選択肢が出現。リリアノとモゼーラを引き合わせることができるようになります。
通常の友情エンドは、「王位を継承するか否か」で後味がわりと違ってくる気がしました。
まず「最終結果:王」のリリアノ友情Bは、もう生きる気の無いリリアノとその気持ちを尊重して止めない主人公という構図が物悲しかったです。王として生まれ育ったリリアノと、たった1年で王になった主人公。生い立ちはまったく違うのに、「王という生き物」として誰よりも似通っているのがいいなと思います。
「最終結果:王以外」のリリアノ友情Cでは、「わが友よ」という言葉が嬉しくて舞い上がりそうになったことを覚えています。ゲームにようやく慣れ始めた頃合いだったので、それこそ「リリアノさま~」状態になりました。
「ヴァイルは主人公に王にならなかった自分の可能性を見ることができる」という言葉も好きです。リリアノは、「主人公にはヴァイルとともにあってほしい」と内心で願っていました。それは彼女自身、印持ちの孤独を痛いほど知っているからなのでしょう。
通常の友情エンドではリリアノを救うことはできないとはいえ、その気持ちを多少なりとも楽にできたのかもしれないなーと感じます。
そしてリリアノ友情Aですが、率直に言ってどう見てもトゥルーエンドの風格を備えています。熱い。他に好きなエンドは色々とありますが、やはりこのエンドだけは別格ではないかと感じてしまいます(※あくまで個人の意見です)。
リリアノは生き続けます。「これは死んではいられないな」と思わせることができたのが主な勝因でしょう。おそらく四代の子であるモゼーラと対面し、真相を暴露して胸のつかえがとれたことが大きいのではないかと思います。
他ルートでのリリアノは、四代の亡霊によって自分自身を縛っているところがありました。王として王ではなくなるネセレの命を奪った、だから自分も同じような最期を迎えなければならない、王でなくなった王は生きてはいけない……みたいな。だから特定のエンドでは主人公にネセレの面影を見出し、進んで死を受け入れることさえありました。
しかし、結局それは「逃げ」でしかないのだと思います。何も変えようとはせず、留まっていた場所から流れるに身を任せ、四代にすべてを被せて死を選んでいるだけです。リリアノはそれをすべて承知の上でやっているから、ある意味性質が悪いのです。
ところが、生身の四代の落胤であるモゼーラに対面した時点で、それまでのような逃げを打つことはできなくなりました。四代ネセレは生きた証を思想としても血筋としても残していたわけですから。
モゼーラに「理想はあるのか」と尋ねられて初めて、リリアノは王としての大事を成さなかった自分と向き合い、「このまま死を待つばかりでいいのか」と退位後のことを考えられるようになったのだと思います。
友情Aエンドを迎えたリリアノは、陰になり日向になり新王を支えてくれます。王に即位しない場合でもいい具合に焚きつけてくれますが、やはり六代国王になるのが締めとしては最高だろうなーと思いました。
裏切
リリアノ裏切エンドは、【最後の裏切】からの1通りです。
主人公の心情を思うに、真っ当に愛してもらえないという事実を後になって考え直した結果なのかなと思います。すぐさま主人公を咎めずにとりとめのない話から入るあたり、リリアノは一歩引いた大人だと思いました。その一歩引いたところ、というよりは一線引いたところが悲しくもあり悔しくもありました。
「お前の選択は正しい」という言葉も本心からのものだろうと思います。ただ、「自分の選択を一度も後悔したことがない」は、この場面に限っては嘘なのではないかと思いました。
郷里から離れた王城で孤独に成人したリリアノの思い出と、後日リリアノの死を静かに受け入れる主人公のモノローグが切なかったです。
殺害
該当エンディングは3通り。「最終結果:王」はAエンド、「最終結果:王以外」はBエンドです。Cエンドは他者に毒薬を託して事を成す特殊なエンディングであり、難易度は高いです。
AエンドとBエンドの攻略ですが、リリアノ付の護衛は非常に優秀な人なので、リリアノ自身がこちらの行為を許容しないかぎり犯行は成功しません。リリアノの好友が高いだけではあっけなく返り討ちにされてゲームオーバーです(例外的に護衛の人の好愛度が高ければ命までは奪われないものの、失敗することに変わりはありません)。
したがって、愛情ルートで印象反転し、リリアノの許容を得てから犯行に及びましょう。
主人公のモノローグを見る限り、愛ゆえのヤンデレ臭がするエンドでした。「真っ当に愛してもらえないのであればこうするしかない」みたいな。対するリリアノも、「お主の未来を奪い取ってやりたい」とドロドロした感情を少しだけ見せてくれます。これは正直嬉しかったです。計画は未遂に終わるものの、主人公の宿願はその少し後に果たされます。
「次の王は前の王を食い尽くすべき」というリリアノの思想が体現される王位継承のAエンドもいいですが、リリアノが憎悪に燃える主人公を連れてランテに引き籠るBエンドもいいですね。この愛情反転エンドでは、「性別:女」を選ぶのが個人的にはしっくりきました。愛憎をこじらせた四代国王の悲劇を繰り返すようでワクワクします。
AエンドやBエンドはある意味で、リリアノが誰よりも望んでいた者になれた結末なのかもしれません。因果応報を強く意識していた彼女は、「主人公はネセレの魂を持つ生まれ変わりである」と思っている節があったので。
続いて、Cエンドを迎えるために必要なものは2つ。1つ目は「毒薬」、2つ目は「協力者」です。
「毒薬」については、市の日に中庭に赴き、占いでリリアノの憎悪を3回高めましょう。3回目の占い時に、占い師が毒薬を渡してくれます。また、「協力者」はモゼーラかトッズの二択です。両者ともに高い好友が必要になります。
モゼーラを協力者にする場合、リリアノに近づいてネセレの死の真相を暴露させ、モゼーラにそれを伝えることで毒殺フラグが立ちます。【訪問の用件】を出すにはリリアノの好感度が20以上必要なので、占いで憎悪を高めるタイミングには気を遣いましょう。
ネセレの死の真相を伝えた上で、【最後の日】にモゼーラを訪ねると、胸中の葛藤を打ち明けられます。ここでリリアノを弑するようにそそのかし、毒薬を渡せばOKです。
トッズを協力者にする場合は、【裏工作3】でリリアノ暗殺を依頼し毒薬を渡すことになります。できれば最終月(黒の月)に入るまでに毒薬を入手しておきましょう。ちなみに、【裏工作3】を出すには、高い名声を得た上で王を目指す必要があります(詳しくはトッズの感想記事に書きました)。
【最後の日】に特定のキャラエンドに入らなければ、トッズに託した計画は見事成功します。
とりあえず、文官身分でことを成し遂げたモゼーラさんすごいなと思いました。リリアノがネセレに引導を渡した因果が巡り巡って……と考えると、ゾクゾクするエンドではあります。「主人公の今後のために」と決意してくれたモゼーラがエンドロールでは城を去ってしまったらしいのを見て、申し訳ない気持ちになりました。
正義にこだわる人だからこそ、後になって自分の犯した罪に耐えられなかったのか。あるいは王城に仕える裏仕事の人間にしっぽを掴まれ、主人公のことは最後まで伏せて山へ至ったのか。印象度によっては主人公自身が用済みとばかりに手を下したのかも……など、色々と想像してしまいます。
リタント国王の変遷――初代から五代まで
突然ですが、かもかての歴史の描き方がとても好きです。ダリューラ時代に始まった分裂戦役、英雄ルラント、神殿勢力の暗躍、神の盟約と「契約の地」など、様々なイベントに散りばめられた小話を聞くだけでワクワクします。
謎の多い建国史だけでなく、建国後の国王の移り変わりの経緯なども相当面白く、各王の背景や陣営設定が練られているのでついつい注目してしまいます。それぞれの国王についての戯れ歌が用意されていたり、直接には登場しない三代と四代の間にも複雑な事情が存在したり、ディティールの凝り具合がたまらないです。
というわけで、リタント国王の変遷を建国の流れとあわせて書いてみました。一応ですが、外伝小説は読んでおりません。自分用にゲーム内の情報をまとめただけです(参考:【本を読む】【聖徒】【神殿書庫】【国王余話】【無礼会・リリアノ】【選定の印】【王の心得】【語られぬ王】【共にいる者】【消えゆく彼の】)
リタントがまだなかったダリューラ王国時代、三足族は他の2種族に虐げられていました。そんな中、独立を唱えて反乱を起こしたのが、後にリタントを建国した初代国王ルラントです。彼は神殿勢力と通じ、北の穀倉地帯を占拠しつつ分裂戦役を戦い抜きました。
ルラントは実は素性も風体もはっきりとしない人物です。誇張じみた逸話も多く、最後は子を成さずに行方をくらませたこともあり、半ば伝説上の人物と化しています。
ルラントについて唯一確定していること、それは額に奇妙な光る痣があったことです。それはルラントと神の盟約の証であり、北への進軍中に「契約の地」で授けられたとも、古神殿包囲時にはすでに額に刻まれていたとも言われています。
また、現在リタントにいる貴族たちの多くは、分裂戦役でルラントに協力して戦い恩賞を授かった者たちの子孫です。とりわけドニヌスやテイルフ、そしてランテは早い段階でルラントに組した者たちであり、建国当初から政治に参画したと言われています。
※追記:ルージョンルートの宝物庫探索イベントを手掛かりに、謎多き初代国王ルラントの正体について考察しました。
≪関連記事:「神の代理人」か「魔術師の同胞」か? ルージョンイベント「建国王の仕掛け」に見る初代ルラントの正体 【冠を持つ神の手/かもかて考察】≫
二代国王のノイラントは、ルラントと同じ額の痣、すなわち「選定印」を持って生まれた人物です。彼は「選定印こそが唯一絶対の王の証である」と主張し、政敵のランテを制して即位を宣言します。
彼の最大の誤算は、その即位の直後にランテ家に選定印を持つ赤子が生まれたことでしょう。その赤子・ファジルは、一族の期待を一身に受けて強く育ち、成人を目前にしてノイラントに再び政争を仕掛けました。ノイラントにもはや逃げ場はなく、泣く泣くファジルに王位を譲ることになります。現在の評価としては、偉大な初代と三代の間に挟まれた二代の影は薄いようです。
三代国王のファジルは、政敵のノイラント一派を完全に制して即位しました。彼は「現在のリタントの体制のほとんどを作った人物」と評されています。たとえば、「現王の譲位はその死を以てでなく、継承者の成人を以て行われる」という重要な制度を定めたのもファジルです。
王城の図書館の文献では、彼は立国の父ルラントに並ぶ「真の建国の父」であると口を極めて称賛されています。制度のみならず、四代ネセレと五代リリアノを育てたのもファジルなので、国父という表現はあながち間違ってはいないのでしょう。
もっとも、王権の力が及ばない神殿の文献には肯定的な評価ばかりが残されているわけではありません。辣腕、孤高、峻厳……能力はともかく、傲慢で独善的な王であったという率直な指摘もなされています。ファジルはかなり長生きし、孫のリリアノが成人する少し前に亡くなりました。
四代国王のネセレは、商人の子です。5歳の頃に王城に引き取られ、ファジルの手で養育されました。ファジルは息子を取り戻そうとするネセレの両親に対し、幼いネセレの目の前で強硬な手段を取ったそうです。生まれ育ちの違いだけでなく、そういった過去もファジルとネセレの確執の原因だったのかもしれません。
建国から二代三代と月日を重ねていた当時、貴族は既得権益の囲い込みに熱心になり始めていました。内と外、貴族と貴族でないものの境界を固め始めた時期だったのです。
ネセレはそんな時期に平民出身の寵愛者として貴族社会に放り込まれ、様々な悪意に晒されて育ちました。長じてのち彼が貴族社会の解体を目指したのは何も不思議なことではない……とネセレをよく知る人は言います。
貴族からは蛇蝎の如く嫌われているネセレですが、第三勢力である神殿からの評判はそれなりに良かったようです。しかし、晩年の彼は疑心暗鬼を生じ、周囲を失望させるような性急な手段を用いることがありました。そして継承者であるリリアノの成人(=即位)を目前に、王城で急死したのです。
五代国王のリリアノは、ファジルの孫です。彼女は成人直前までランテ領で過ごし、ネセレの急死にともなって初めて王城へ上がりました。
通常継承者は王城で教育を受けるものですが、祖父のファジルはそれを許しませんでした。リリアノ誕生の数年前、王城に引き取られた寵愛者の赤子が不審な死を遂げたことがその理由だったのかもしれません。
後ろ盾であるファジル、そして現国王ネセレが逝去したとき、リリアノはまだ未成年でした。しかし彼女は成人を待たずに即位し、四代の時代に荒れた貴族社会を立て直しました。貴族制を解体しようとしたネセレに対し、リリアノは貴族社会の庇護者となったわけです。
リリアノ自身は自分を指して「小心者」といい、せいぜい領主程度の器だと言います。様々なトラブルが続いた時代だったから、神は自分を調停役として選んだのだろう、と。
リリアノは現実を見て己の立ち位置を守り続けました。平和な時代の王として、彼女は「やるべきことをきっちりこなした」と高い評価を受けています。その反面、「王としての理想を持って動いたことはなかった」こともまた事実なのでしょう。
歴代のリタント国王に関しては、作中でも「初めの王様 見えない王様~」という巧みな戯れ歌を読むことができます。ただ、個人的にはOPムービーで流れる歴代国王に関する戯れ歌が大好きです。センスの良さに痺れます(以下に引用させていただきます)。
一人目の王様が死んだので
冠を持つ神の手
二人目の王様は嘆き悲しみ
三人目の王様は墓を立て
四人目の王様はそれを蹴とばす
五人目の王様は花を植えたが
六人目の王様は何をする?
上記の歌、平易な言葉を用いながら的確に比喩表現をしている点が素晴らしいです。初代の威光を盾に王になったがうまく力を振るえなかった二代、強い力で王制を確立した三代、三代の事績を否定しようとした四代……と各王のイメージがパッと浮かんできます。
OPムービーの戯れ歌において、リリアノは「花を植える王」に例えられています。これもやはり、調停者として乱れた政治を円満に整えたものの、三代や四代のように王として積極的に力を振るうことのなかった彼女にはピッタリのフレーズという気がします。
リリアノとクレッセ
リリアノは過去に一度だけ結婚したことがあります。相手は中級貴族ヨアマキス家の次子、「クレッセ」です。
リリアノとクレッセは、結婚した理由、離縁した理由、復縁しない理由のすべてにおいて複雑な事情を持つ2人だと思います。ただ、そこに関して感想を書くと収拾がつかなくなるのでやめます。その代わり、プレイし直したときに発見して「へえー」と思ったリリアノとクレッセのエピソードについて書きます。
【離れ離れの伴侶】で、リリアノはクレッセとのなれ初めについて話してくれます。
リリアノが即位してすぐに取りかかった事業は、建国百周年記念式典でした。2年後、気が進まないながらもようやく開催にこぎつけた式典には、普段はそういった催しに顔を出さないような貴族も引っ張り出されたそうです。クレッセはまさにそういった貴族の1人でした。かといってリリアノに求婚しにきた顔ぶれの中にクレッセがいたわけではなく、2人が出会ったのは偶然のことだったそうです。
つまるところ、リリアノもクレッセも仰々しい式典にはまったく乗り気でなかったことになります。なんというかその情報だけで、どういうシチュエーションで2人が出会ったのか想像できそうな気もします。
また、当時の2人がどういう雰囲気で付き合っていたのかについてはほとんど情報がありません。しかし、リリアノの対サニャ嫉妬を見ると、そのある意味貴重な情報が出ていました。
リリアノ曰く、クレッセは結構ああいう感じだったかな、と。「ああいう」というのは、文脈的にサニャを指していると見るのが妥当でしょう。正直「マジか」と思いました。読み取り方これで合っているのかなと確かめたりもしました。主人公好き好きオーラに溢れているサニャと掴みどころのない落ち着いたクレッセが、自分の中でまるで重ならなかったので。
まあ、クレッセがサニャのようにうきうき照れ照れしていたわけではないんだろうな……と冷静になってから思いました。たぶん「好意を包み隠さず積極的にアピールしていた」様子を指して「サニャみたいな感じだった」とリリアノは表現したのでしょう。
そして積極的に好意を示していたクレッセに対してリリアノはどうだったのかというと、「余裕がなかったのですべて流していた」そうです。リリアノの方が1つ年上とはいえ、ほとんど同い年の2人です。当時のやり取りは相当可愛らしかったのではないかと思います。
嫉妬・夢イベント/ヴァイル憎悪監禁エンド
嫉妬イベントは、大人ゆえの余裕と諦めの中に、ひっそりと嫉妬を忍ばせてくるリリアノさまが堪らなかったです。二十年早く生まれたかった。リリアノさま~。
本音多めのヴァイル&タナッセ嫉妬も、いじらしくて可愛いユリリエ嫉妬も、ストレートで健気なサニャ嫉妬も、諦観が滲む悲しいモゼーラ嫉妬も、総じてツボです。リリアノさま~。また、ルージョン嫉妬の反応を見るに、もしかすると魔力をその人固有の雰囲気のようなものとして感じ取っているのかなと思いました。さすがです。リリアノさま~。
夢イベントについて。【愛しき夢】では、にやにやすると同時にドキッとしました。さすがリリアノさま鋭い。
【親しき夢】は、楽しげに語ってからふと寂しげな顔をする様子が悲しかったです。たらればの話は不毛と思いつつも、二十年の差を思うと切ない気持ちになります。
ヴァイル憎悪監禁エンドとリリアノ愛情エンドを並行しました。新王との不和が囁かれたが、その裏にはもう一人の寵愛者の影が……という感じでした。
明記されていないとはいえ、このルートでも暗殺されそうな匂いがひしひしとします。「前の王は次の王に食い尽くされるべき」というリリアノの思想に基づくならば、その首謀者は高確率でヴァイルなのかな、とも。とはいえリリアノはヴァイルはそういう王にはならないと何度も話しているので、杞憂かも知れません。
記事を書くのにかなり苦労しました。リリアノは単純に年長者なので抱える過去が多く、国の中枢にいる人間なので秘密も多く、かなり情報量の多いキャラとして造形されています。それらをかみ砕いて自分なりに思ったことをまとめるのが大変でした。
特に好きなキャラクターなので、時間をかけて色々と考えたかったという理由もあります。一言で表すなら「リリアノさま~」に尽きるのですが、それはさすがに思考放棄しすぎなので。
リリアノは強い人だと思います。その強さ自体にも惹かれます。しかし、強いことでむしろ損をしているというか、諦めているものが多いキャラだと思うんですね。そもそも本人が望んで強く生まれたわけではないのに、強く在らざるを得ない。本人は割り切って強くあり続けるけども、空しさや諦めたものへの未練がないわけではない。
生きていく上で、自分の力ではどうしようもない事柄について「どうしてこうなんだろう」と思うことは誰しもあると思います。リリアノは強いがゆえにそういった悲しさや虚しさが際立つキャラだと個人的には感じました。女性キャラとしても母キャラとしても、リリアノのことは大好きです。
その6はまたイベントリスト順から外れますが、王城に仕える文官モゼーラについての感想です。
次回:『冠を持つ神の手』 モゼーラ 感想 攻略 その6
関連記事:共通友情エンド×2とヴァイル憎悪監禁エンドを並行して攻略 【冠を持つ神の手/かもかて】
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