『WIZMAZE』(ウィズメイズ) 考察 ストーリー&エンディング ※ネタバレ注意 その2

かーめるん

マルチシナリオ型ファンタジーRPG、『WIZMAZE』(ウィズメイズ)の感想&考察記事(その2)です。キャラクターやエンディングについてのネタバレを含みます。

制作者はJakalope(ジャカロープ)様。作品の公式サイトはこちらです。 → WIZMAZE

wizmaze タイトル画面 スクショ

前回は、レビュー&設定のおさらいを目的とした記事を書きました。今回は、キャラクターの突っ込んだ設定や3つのルート&エンディングについての詳細な感想を書こうと思います。考察も含みます。

≪関連記事:『WIZMAZE』(ウィズメイズ) マルチシナリオ型ファンタジーRPG レビュー 感想 その1

以下、ストーリーやエンディングに関するネタバレを含む詳細な感想です。ゲーム内資料のネタバレも含みます。未見の方はご注意ください。

気になること&考えたこと

『WIZMAZE』は、ゲーム世界を理解する上での資料が充実している作品です。世界のあり方から人間を構成する要素まで、濃厚な内容にじっくりと目を通すことができます。

単に情報を羅列するだけでなく、著者の情報と文献の内容・言葉遣いが関連付けられていたり、書籍に読者の書き込みがあったりするのが芸コマだと思います。ゲーム内資料を読むのが好きなので、『WIZMAZE』の文献の充実っぷりは本当に嬉しいポイントでした。

この項目では、そうしたゲーム内資料も参照しつつ、プレイ中に気になった事柄について自分なりに考えてみました。
具体的に言うと、「守り人と"人間界の王"」と「虚無界の神々のモチーフ」について書いています。以下、アーカイブのネタバレを含みます。

守り人と"人間界の王"

*参考にしたゲーム内の文献:『領域存在あるいは神について』『人間界の神』『亡国の軌跡』『腐海の底:守り人の祭祀場』『王の守り人』

『WIZMAZE』世界にはたくさんの領域が存在します。各領域には基本的に、強大な力を持つ支配者(=領域存在)がいます。

しかし、人間界にはなぜか、領域存在と呼ばれるものが存在しません。真理界と並んで例外的な領域と言われるのはそのためです。二千年ほど生きているらしいカリスでさえ、人間界の領域存在を見たことがないと記しています。
プレイヤーとしても、救いを求めて苦労したクレトラ(深きものどもの長)の話を聞いていて、「どうして人間界には神がいないんだろう」と思いました。

この「人間界の領域存在」に関して、気になることを記している文献がいくつかあります。それぞれの文献の記載・主張をざっくりとまとめると、次のようになります。

人間界の王

腐樹海の最下層、“穢れ溜まり”のさらに下に、“故も知らぬ人々(アビ)”「守り人の祭祀場」を作っている。“故も知らぬ人々”は「守り人」と呼ばれ、真理界と通じ予知の能力を持つが、その代償として肉体と魂を捨てたヒトならざる存在である。彼らは不在の領域存在、人間界の王である“オールドキング”の帰還を待っている。

私自身の話ですが、プレイ中には「守り人」「オールドキング」といった単語について深く考えませんでした。穢れ溜まりって地下道かな、守り人の祭祀場は海境の祭祀場の別名なのかな、とかアバウトに片付けていました。

しかし全ルートをクリアしてアーカイブを改めて読んだときに、「そういえば守り人とかオールドキングってゲーム中に出てこなかったな」と気づきました。同時に、24ある文献の3つを使って言及されている時点で、「人間界の王」って相当重要な情報じゃないか? とも思いました。

要するに、腐樹海の最下層のさらに下に「守り人の祭祀場」があるということですよね。そこには「守り人」と呼ばれる人々がいて、カリスでさえ見たことがない「オールドキング」の帰還を待ち望んでいる。オールドキングは、人間界の危機には必ず帰還すると伝えられている……と。

なんというか、考えるだにワクワクする隠し設定(あるいは伏線)だと思います。今作で文献のみの言及だったということは、続編で重要なダンジョンになったりするのでしょうか。正史であるAルートの後というと、まさに人間界は危機に瀕しているはずなので、なおさら関係してきそうです。

あと個人的に気になるのは、『人間界の神』という文献内にある、「帝国の皇帝は代々奴隷王リアトリスの本質を受け継ぐ~」という話です。

クレルモフェラン帝国の成立は数百年前なので、はるか昔から存在する守り人たちはなぜ、またどういう経緯で皇帝たちと接点を持ったのか? という疑問はでてきます。ただ、これまたワクワクするダークな仮説だと思いました(ちょっと『Ruina』のアルケア帝国を思い出しました)。

≪関連記事:『Ruina 廃都の物語』 感想 考察

また、文献の走り書きによると、カリスは「穢れ溜まり」まで潜って実際に守り人を見たことがあるそうです。その走り書きを見たこともあって、穢れ溜まり=地下道と最初は勘違いしていました。
ギフト会話によると、穢れ溜まり=エリンガナを祀る異形司祭のいる場所のようです。穢れ溜まりと守り人の祭祀場はけっこう近接しているのでしょうか。

「守り人の祭祀場」=領域内領域では? といった示唆もしているので、カリスからはもっと詳しい話を聞きたいところです。

虚無界とクトゥルフ神話の「外なる神々」

アドラール一強の星霜界&謎に包まれた喚鳴界とは違い、虚無界(ヴォイド)は関係者が数多く登場する、情報量の多い領域です。

この虚無界の神々ですが、クトゥルフ神話とその神格(特に外なる神々/アウターゴッド)をモチーフに造形されているような気がします(ちょっとややこしい事情がある*ので、この項目では「クトゥルフ神話の『外なる神々』」"アウターゴッド"と記述します)。

そもそも虚無界の別の呼び方である「ヴォイド」自体、宇宙のある領域を示す言葉です。そして、特にラヴクラフトの原作を語る上で、コズミックホラー(宇宙的恐怖)要素は欠かせません。
また、虚無界のシンボルとされる「燃える三眼」(タイトル画面でも確認可能)は、クトゥルフ神話のある神格の化身を指す言葉でもあります。

そこで、以下では、虚無界の神々の元ネタを考えてみました。憶測も多分に含まれているので、間違いや勘違いなどがあったらすみません。

*一応、「外なる神々」という名称はそのままゲーム内に登場します。虚眼ノ王が交わったとされる「太古の闇」や、腐樹海の土着神として一部で信仰されている「妖蛆エリンガナ」は、外なる神々の系譜だと言われています。外なる神々のほとんどは、今は人間界から消え去ったそうです。

この外なる神々は、虚無界の領域存在と近しい関係にあります。たとえば虚眼ノ王は太古の闇と交わって3人の子を生みました。また、外なる神々の関連書物(後述)に記されている「異形文字」は、虚無語のもとになった言語だそうです。

ただ、虚無界のものたちと外なる神々は、近しいけれども根本的に異なるとも言われています。虚無の末弟であるオプタトゥムが、外なる神々のことは正直よくわからないと語るほどです。

後述するように、虚無界の面々には明らかにクトゥルフ神話のアウターゴッドの面影が見出せます。しかしそれはモチーフ上の話であって、ゲーム中では虚無界の神々≠外なる神々であると明示されています。

最初に、虚無界を代表する領域存在は「虚眼ノ王」(コガンノオウ)です。この虚眼ノ王は、「アザトース」をモデルにしているのではないかと思います。

アザトースは「魔王」と称される盲目白痴の神であり、宇宙の中心に座す存在です。彼自身が何かを成すことはほとんどなく、メッセンジャーであるニャルラトテップが主人の意思を汲んでその実現を図ります。
虚眼ノ王は、「原初の混沌にただ揺蕩い無聊を齧り続けるもの」「夢想に浸る盲目神」と表現されているので、イメージとしてはアザトースにかなり近いものがあると思います。

ちなみにアザトースには三人の娘がいて、それぞれオッココク、アウラニイス、トゥーサという名前だそうです。この三人の娘の名は、ほとんどそのまま虚眼ノ王の三人の子が統べる領域の名前です(左から順に長兄、長姉、末弟の領域。ただし末弟の領域はトゥー"ス")。

このことからも、虚眼ノ王のモデル=アザトースと考えてよさそうな気がします。

また、ウィズメイズ下層から落ち込むヴォイドには「アザートゥ」の名を持つ敵が出現し、地下道に棲む「深きものども」の長は、自らを「"アザーテ"のクレトラ」と名乗ります。この「アザートゥ」や「アザーテ」は、アザトースの落とし子の名称らしいです。

このように虚眼ノ王はある意味わかりやすいのですが、問題は彼の3人の子の元ネタです。

順に書いていきますが、長兄ジークサウロ、長姉マイノグーラ、そして末弟オプタトゥムの3人に関しては、カッチリと当てはまるモデルの神格がいないように感じました。より正確に言えば、それぞれが複数の神の特徴を持ちあわせている&3人ともニャルラトテップを彷彿とする特徴を共通して持っているような印象を受けました。

まず、長兄ジークサウロは、冥府王であり漆黒の一角獣にまたがった騎士の姿を取ります。魂を駆り立てる者の異名を持ち、愛用の武器は大剣ソウルクラッシュです。

ジークサウロに関しては、これといって思い浮かぶ神格がいませんでした(騎士イメージなのが難しい)。一応「魂を駆り立てる者」という別名を持つクトゥルフ神話の神格はいるようですが、それ以外にしっくりくるポイントもありません。

ただしジークサウロに関しては、兄弟の中でもっとも虚眼ノ王に近い存在であり、父の代弁者(唯一"思惟"を汲みしもの)であると言われています。虚眼ノ王のモデルをアザトースとするなら、ジークサウロのポジションはまさにニャルラトテップのそれなんですよね。

また、ジークサウロが統治する領域は「夜吼域(オッココク)」ですが、ニャルラトテップの異名の一つは「夜に吼えるもの」です。ちなみにニャルラトテップは、アザトースの子の一人ではないかと言われることもあります。

次に、長姉マイノグーラは、「常闇の母」「万物の女神」と呼ばれる存在です。召喚者の前では半人半魚の姿を取ります。

マイノグーラは深きものどもに信仰されている半人半魚の母なる神ということで、「母なるハイドラ」をモチーフにしているのかなと思います(魚人のハイドラは旧支配者側とはいえ、イメージ的には一番マッチする印象)。

ただ、「マイノグーラ」という名前自体は、ニャルラトテップの従姉妹である神格の名前と同じものらしいです。

また、「万物の母」であるシュブ=ニグラスのイメージも若干入っているのかなと思いました。
というのも、マイノグーラを倒したときに「黄衣のローブ」「黄衣のフード」をドロップするんですよね。シュブ=ニグラスは、旧支配者であるハスターの妻と言われる神格であり、ハスターの化身の一つが「黄衣の王」であるとされています(黄衣の王=ニャル説もあり)。

最後に、末弟オプタトゥムは、他の兄弟とは違って人間界に対して積極的なのがポイントです。ヒトに興味を持っては(ネガティヴな意味で)介入する問題児的存在と言えます。

人間界に度々ちょっかいを出す、領域存在としては異端的、召喚者の前に現れるときはフードで顔を隠した長身のヒトの姿を取る……といった要素を抜き出すと、オプタトゥムはかなりストレートにニャルラトテップ的な特徴を持っている気がします。
ニャルラトテップは人間を混乱・恐怖させることを楽しむ神出鬼没の存在であり、唯一「人格」を持つと言われるアウターゴッドです。

もっとも、ヒトであるカリスにまんまとしてやられる&封印されるオプタトゥムは、ニャルラトテップと比べるとちょっと弱い感じもしますが。
ちなみに、オプタトゥムの異名である「闇に囁くもの」は、ラヴクラフトの小説のタイトルが元ネタかと思います。

以上、虚無界の領域存在について元ネタを考察してみました。

ちなみに、ギフトアイテムの中に「無名祭祀書」があります。穢れ溜まりの異形司祭にとっての聖典であり、外なる神々の系図が記されているそうです。カリスやオプタトゥム曰く、読むとSAN値が下がる(意訳)らしいですね。「無名祭祀書」はクトゥルフ神話でも有名な魔術書なので、やはり虚無界と同神話の関連性を示すアイテムなんだろうなと思います。

個人的に気になっているのは、腐樹海で信仰されている半人半蟲の妖蛆エリンガナです。
トルーデリアちゃん(エドの店の下にいる深きもの)によると、エリンガナは「外なる神々の末裔」らしいんですよね。元ネタの神格がわからないことも含めて引っかかる存在です(『妖蛆の秘密』が由来?)。

あと、名前だけ出ている「魔女ダーマ」も、初代アークメイジ・ローゼンタやアリゼ・ロベールとの関係で気になっています(『精霊王ノ器』という資料に、「ダーマの眷属」と二人への中傷コメントが書き込まれていました)。

フィンカイラ人らしいローゼンタ&アリゼ・ロベールに関しては、追加シナリオで掘り下げがありそうなので楽しみです。

キャラクター感想

この項目では、BルートおよびCルートで仲間になってくれる、アルマヴィタ、ナジーシャ、痩身の男についての詳細な感想を書きます。

前回の記事では、攻略的な情報に絞ってキャラ感想を書きました(どこで加入するか、戦闘ユニットとしての特徴など)。今回の記事では、キャラのパーソナリティーやイベント内容に関して触れたいと思います。

≪関連記事:『WIZMAZE』(ウィズメイズ) マルチシナリオ型ファンタジーRPG レビュー 感想 その1

以下には、キャラクターの経歴やキャライベントへの言及が含まれます。また、「痩身の男」の感想の中には、その正体や過去に関するネタバレが含まれます。未見の方はご注意ください。

ガンジールのアルマヴィタ

アルマヴィタ(以下アルマ)は、「アルガン」と呼ばれる有翼人です。アルガンは屈強な肉体と強い力を持つ種族であり、狩猟や鍛冶を得意とします。

アルマはアルガンとしては小柄で非力だったため、故郷で同胞たちに虐げられた過去を持っています。そのため、力と強者を尊ぶアルガンの思想には少なからず反発を覚えているようです。

また、アルマの出身地であるガンジールは帝国領ですが、現在アルガンに実効支配されています。ガンジールの事実上の支配者は、ダァトを崇める竜神教の総本山でもある「北の修道院」、および修道院の僧兵長である「ナーラウェン」です。

ナーラウェンはアルマの年の離れた姉であり、唯一の肉身でもあります。アルマは魔道士となるべく帝国の首都へと赴きましたが、その際にナーラウェンとケンカ別れしてしまったことを今なお引きずっているようです。

wizmaze スクショ アルマヴィタ 姉への複雑な思い

アルマは屈強な身体に優しい心を持つキャラクターです。初見でプレイしたときも十分好きだったんですが、2回目にプレイしたときにもっと好きになりました。

純朴でおっとりとした性格と、感情の表れ方が素直なところがいいですね。会話していてすごく落ち着くし和みます。冗談を真正面から受け止めて動揺するタイプの人なので、ついついからかう感じの選択肢ばかりを選んでしまいました(最初に追いかけてきたとき「何か用か?」を選んだり、ギフトでドレスを渡してみたり)。

好感度設定のないゲームにしては、『WIZMAZE』は選択肢や会話内容が細やかに作り込まれています。アルマに限らずナジーやカリスについても、選択肢次第とはいえ、色々と想像できるやりとりが多いなーという印象です。

これはたぶん、Aルートに入らない限り、3人の主人公への好感度がデフォで高いせいだと思います。アルマ、ナジー、カリスは強い個性と重い過去の持ち主ですが、出会ったばかりの主人公にはすんなりと打ち解け、しかも特別視してくれるんですよね(もちろん、主人公が無条件で好かれることにはちゃんと理由があります)。そういうわけで、想像の余地のあるキャライベントが多いのかなーと感じました。

以下、印象に残ったキャライベントをいくつか挙げます。

まず、「ワザと落ちてない!?①」でのワタワタ感がツボでした。ある意味お約束の「アルマに助けて欲しいから」を選ぶのもいいですが、しらばっくれるのも個人的には好きです。なぜかアルマの方が大いに反省するので申し訳なくなる一方、本当に良い人だなーとニヤニヤできます。

あと、東塔最上階の仕掛けを解くイベントも、失敗したときのアルマの反応が面白かったです。実際血がドクドク出ていると思うので納得の反応ではありますが、たぶん主人公があまり動じていないだろうことを想像すると、アルマの慌てぶりに笑えてしまうというか。
連続失敗するとアルマが代わりに仕掛けを解いてくれます(「これ以上きみがやったら……」)が、代わってくれという申し出を主人公が拒否(「いやだ」)したときの反応も、アルマらしくて面白かったです。

また、天空の古寺院からセントラルに戻ったとき、「ナジーを助けに行こう」と言うアルマに「……」を選んだときのやりとりもいいなーと思いました。
ここの会話は、主人公の方の気持ちが色々と想像できるのがいいなと思います。怪我してないから落ち着けと直後に弁解するので、ぼーっとしていたわけではなく、意図的に黙り込んだんだろうと思うんですよね。ということは……みたいな。

最後に、回復したアルマがダンジョンボス手前で合流する際のやりとりもすごく好きでした。

普通にBルートをプレイしていると、最初に協力しようと声をかけられたときにOKするものだと思います。私もいつも最初からパーティインしてもらっていましたが、Cルート狙いの周回で、ダンジョンボス手前で合流するバージョンも見てみました(最初に仲間入りを蹴った場合でも、ダンジョン終盤に傷ついている仲間を助けるとパーティインしてくれる)。

この合流イベントはアルマにもナジーにもあり、追いついた2人に対する答えも同じ三択から選ぶことができます。どちらのキャラに関しても「遅い!」がしっくりくるかなーと個人的には思いました。
アルマの場合、直前のセリフがシチュエーション的に妙に盛り上がるセリフなので、なおさら「遅い!」と返したくなります。それに対する返答もまた良くて、アルマって良いなあ好きだなあとつくづく思いました。

ただ穏やかで優しいだけでなく、お姉さんや故郷に複雑な思いを抱いていたり、従軍した過去があったりするのもキャラに深みがあって好きです。
イシュタル像前のイベント(「故郷と偉大な姉」)では、険しい表情で過去と絡めた強い決意を語ってくれるのが良いギャップでした。

アルマは争いを愚行と言い切る一方、かつて奴隷だった自分たちが解放されるには争い(刻月戦争)が必要だったことを認めています。そしてその争いによって「権利」を勝ち取れたのは、姉のナーラウェンのような力ある強いアルガンたちのおかげです。

「力こそ正義」を地で行くアルガンの思想に反発を覚えているアルマにしてみれば、どうしても複雑な気持ちになってしまう現実だろうなと思います。
だからこそ、魔道士になって同胞たちに異なる考え方を示したいと願うアルマを応援したい気持ちになりました。

アルマに関しては、いくつか気になる&もっと知りたいポイントがあります。とりあえずは以下の3点でしょうか。

  • ≪宵闇の学院≫はアルマとナーラウェンの姉弟関係を知っているのか?(立場的には人質として入学したオブシディアに似ているが、アルマはどういう扱いの学生なのか)
  • どのタイミングで学院に入学したのか?(戦後まもなく故郷を離れたらしいが、すぐに入学したのか、それとも入学までにラグがあったのか。即入学したのなら、立場が似ているオブシディアと仲良くなっていそうな気がする。戦後生まれのナジーと同時期に昇格試験を受けているので、入学時期は終戦のもっと後?)
  • アルマは何歳?(刻月戦争の勃発が20年ほど前、そのとき従軍できる年齢だったと考えると、40年くらいは生きている? アルガンの寿命や成長速度は他種族とどう異なっているのかも気になる)

ともかく、アルマや姉のナーラウェン、アルマの友人で元剣闘奴隷のコールニクスなど、アルガンには個人的に気になるキャラクターが多いです。所属陣営が対立しているので、姉弟には微妙に対決フラグが立っているような気もするし(たしかウィザードは、戦時には帝国軍に協力しなければならないはず)。

追加シナリオでアルガン陣営の掘り下げがあれば嬉しいなーと今から楽しみにしています。

ラビのナジーシャ

ナジーシャは、腐樹海出身の「ラビ」の女性です。刻月戦争で母を亡くし、重傷を負った父に背中を押されて宵闇の学院に入学しました。

腐樹海「三歩歩けば死体に当たる」とさえ言われる、瘴気と湿気に満ちた疫病の蔓延する土地です。そこに住む貧しい「腐海人」は、長らく虐げられてきた歴史を持っています。その中でラビは強い力と厳しい戒律を持つ一族であり、刻月戦争では腐海人をまとめ、先陣を切って戦いました。

しかし刻月戦争後、帝国の意向でラビは他の腐海人に優越する待遇を受け、実質的に腐樹海の支配階層となりました。腐海人の対立を狙った帝国の狙い通り、現在一部の腐海人はかつてのラビの功績を忘れ、彼らに強い反感を覚えています。

ナジーシャは奴隷制がなくなっても状況の変わらない腐樹海を憂い、いつか故郷を変えたいという静かな熱意を抱いているようです。

wizmaze スクショ ナジーシャ 腐樹海の希望

ナジーシャは、気が強くハングリー精神旺盛な女性です。最初は古寺院→腐樹海の順にプレイしたので、回復後すぐにライバル宣言をしてくる勝ち気なキャラクターというイメージがありました。
その後、今度は腐樹海を先に攻略して案外冷静で割り切った人であることを知り、ギャップを感じて一気に好きになった覚えがあります。

いくつか好きなイベントややりとりを挙げてみます。

まず印象的なのは、最初に焚火の前で声をかけたときのやりとりですね。「いつもそんな調子なのか?」を選んだとき、ナジーシャに淡々とした態度で所信表明をされて驚いたことを覚えています。第一印象から、そういう挑発的な言動には同じトーンで言い返してくるのではないかと予想していたので、思いのほか冷静な返しが印象に残りました。

個人的には、このシーンでは「望むところだ!」を選ぶのが好きです。ナジーとアルマが友人になった理由や、『WIZMAZE』自体のテーマのようなものが垣間見える返答をしてくれるので。

次にコミカル系イベントの、「ワザと落ちてない!?②」も好きです。お約束の「ナジーに助けて欲しいから」を選んだときの、お姉さんっぽい呆れた感じの反応が可愛かったです。ナジーなりにデレてくれたのも嬉しかったですね。わざと落ちてる→歯ぁ食いしばりなさい! の流れも面白くていいなーと思いますが。

その他、可愛い系のやりとりは、物質界から帰ってきた後の会話でしょうか。アルマの鈍感さゆえにナジーの好意がバレる流れがナイスでした。ナジーとアルマの普段の雰囲気も感じ取れるやりとりだったと思います。

あとこれはシリアス路線ですが、「奴隷商人」イベントは、ナジーの割り切った大人なところと割り切れない激情家なところが同時に見られる良いイベントだと思います。「商人を助けたい」という選択に素直に従ってくれる理由を聞いて、ナジーはただ強気なだけのキャラではないなと改めて感じました。

悲惨極まる腐樹海で生まれ育っただけあり、肝が据わっていて現実的な思考ができる人なんだと思います。故郷を平気な顔で食い物にする連中も、腐海人を見下し侮蔑する帝国人も、嫌と言うほど見てきたのでしょう(腐樹海に棲む深きものどもが帝都の好事家に理想化されているのも、ある種のオリエンタリズムを想起させるものがあります)。

しかしナジーの良いところは、悲惨な現状に対して感覚をマヒさせるのでなく、怒る気持ちを持ち続けている点だと思います。

一人の力ではどうにもしがたい現実に対して、「クソ喰らえ」と怒りを露わにするナジーシャが個人的には好きです。すぐのぼせちゃって、と特定の話題にこみ上げる怒りを自覚している理性的なところも併せていいなと思います。

アルマやカリスもそうですが、この作品のキャラクターは「怒り」を胸のうちに秘めていることが印象深いです。
基本的には割り切った思考と行動をするものの、自分の中の大切なものを侵されることだけは許せないし、そのときにヘラヘラ笑うのではなくきちんと憤ります。いつも怒りっぽいのではなく、怒るべき場面でしっかりと怒るわけです。

そういった怒りは人間くささの表れであるとともに、非難・軽蔑すべき事柄に対して「鋭い」感覚を持っていることの証拠でもあると思います。

あちこち歩き回ったりオードの話を聞いたりする限り、ナジーの故郷である腐樹海は相当酷い状況にあることがわかります。「腐樹海に真の自由を」と望むナジーの決意が、少しでも実を結ぶことを願わずにはいられません。

Bルート後の主人公にはぜひナジーの生涯のライバルとなって、彼女を奮起させたり励ましたりしてほしいです。あと、ナジーと一緒に色々と美味しいものを食べに行ってほしいですね。

痩身の男

痩身の男は、腐樹海の奥にある「錬金術師の小屋」に住んでいます。実は彼こそが、仮想領域"ウィズメイズ"を創造したカリス・アルハザードその人です。かつては学院に在籍し天才の誉れ高かった魔道士ですが、虚眼の魔道士(虚無の眷属)であることが発覚し、半年前に宵闇の学院を追われました。

カリスはすでにヒトではなく、悠久の時を生きる存在です。彼の真実はCルートにて明かされます。

また、仮想領域"ウィズメイズ"は、ある目的のために作られた"篩(ふるい)"です。カリスと彼の同胞である"白のマクスウェル"は、彼らの宿願を叶えてくれる存在を待ち望んでいます。カリスとマクスウェルの過去、およびその目的はAルートで明らかになります。

wizmaze スクショ カリス 岬の墓標

カリスは、『WIZMAZE』のキーパーソンと言っていいキャラクターです。そもそもゲームタイトルの由来である仮想領域"ウィズメイズ"を創り上げたのが、他ならないカリスです。
アルマやナジーは同じ見習いとして協力し合う仲間ですが、カリスはお助けキャラとしてパーティインしてくれます。

カリスはまず、言葉選びや話し方がいいですね。含みのある落ち着いた語りがいい味を出しているほか、ときどきかなり邪悪な笑みを浮かべるところも面白いです。アリゼ・ロベールの書いた『“小さき角”問題に関する反論』を読んだときの反応には笑いました。

不老不死、(ある意味)黒幕的存在、魔道の天才……とカリスは盛りだくさんの設定を持っています。同行してくれるCルートでは、かつて同じ立場にあったものとして主人公を導く、いわば賢者ポジションのキャラとして活躍します。古風なローブを身にまとい包帯で顔を隠した出で立ちも、古代人っぽいミステリアスな容姿です。

とはいえ、その性格まで典型的な賢者のように悟り切っているわけではなく、むしろ俗っぽかったり湿っぽかったりする一面が目立つキャラクターだと思います。

基本的に古風な言葉遣いでひょうひょうとしているものの、昔のことやオブシディアのこと、あるいはヒトならざる自分のことに話が及ぶと、じめっとした暗い感じが顔を出すんですよね。ちょっと悪趣味でジョークを言うのが好きな普段の態度と、諦め半分でポツポツと話す本音の部分のギャップがなんとも絶妙で、個人的にはとても好きなキャラでした。

カリスの描写については、「諦めの悪さ」が印象に残りました。ケイランの言う通り、カリスはもはや自分がヒトではないことを痛いほど理解しているようです。それでもヒトらしいヒトに強く惹かれ、自分もせめてヒトらしくありたいと足掻くことをやめません。

その諦めない、諦め切れないところが個人的には好きです。それだけ「ヒトであること」はカリスにとって大事なことで、そこだけは譲りたくないから割り切れないんだろうなと感じました。

前にも何かの記事に書きましたが、悟り切ったキャラクターにはあまり惹かれません。でも、表面上悟っているように見えて割り切れていない、現状を受け入れているようでどうしても諦めきれないものがある、そういった葛藤を抱えるキャラクターはいつも気になります。

カリスも長生きしているだけあって余裕はあるものの、けして悟り切ってはいません。だからこそ強く興味を引かれるキャラでした。

自分の中でカリスのインパクトが大きかったのは、Cルートの展開に感動したせいでもあります。A、Bルート攻略を通してキーパーソンであろうカリスへの期待は高まっていましたが、その期待はまったく裏切られませんでした。

Aルート&Bルートで、主人公はそれぞれ虚無の眷属&黎明の眷属になりました。しかし、個人的にはその着地点にあまり納得できなかったんですよね。その時点では「異形」になることの意味をよくわかっていなかったものの、直感的にしっくりこないものを感じたので。
加えて、そろそろ主人公がどういう存在なのか知りたいという気持ちも強くなっていました。

Cルートおよびカリスとの交流は、そういった疑問やモヤモヤ感に完璧に応えてくれたというか、欲しかった答えとエンディングを与えてくれたという印象です。

Cルートでは主人公の正体と、かつてカリスが主人公と同じアトモストゥーナであったことが明かされます。いわば主人公は、(呪いを受ける前の)過去のカリスであったわけです。

本質を失ったことに起因する苦悩と「ヒトであること」への切望。過去の過ちを嘆くカリスの言葉を聞いて、AルートとBルートで主人公の身に起こったことの重大さをようやく理解できた自分がいました。
そしてカリスの後悔が印象的であればあるほど、本質を保ったまま、つまり"ヒトとして"試練を終えることのできたCルートの意義深さが実感できるような気がしました。

Cルートのラスト、「人間界を助ける存在であってほしい」とカリスが伝えてくれる締めには感動せざるをえませんでした。カリスが失意を抱えて悠久の時を生きてきた存在であることを思うと、彼との間に芽生えた友情や、彼からの願いを込めた言葉が嬉しくてたまらなかったです。

カリスに関しては、追加シナリオで更なる掘り下げがありそうですね。やはり楽しみにしています。

"Human and Proud(ヒトであることは誇り)"

B、Aルートとクリアして、Cルートでカリスの過去と思いを聴いているとき、強く感じたことがあります。
それは、ヒトならざる者であるカリスや、ヒトとして扱われないことの痛みを知るアルマやナジーにとって、「ヒトであることは誇り」なんだろうなということです。

wizmaze スクショ ヒトであることは誇り

カリス、アルマ、ナジーは3人とも、「お前はヒトではない」という他者の言動に直面したことがあり、自分のアイデンティティについて葛藤した過去を持つ人たちだと思います。

たとえばカリスは、実際にゲーム内でマクスウェルに指摘されて激高していました。アルマは同胞たちの中では常に疎外感に悩まされていたらしく、奴隷解放戦争に従軍したこともあります。ナジーは戦後生まれですが、腐海人ゆえに侮蔑されることが日常茶飯事のようです。

そういった経験があるからこそ、3人の「ヒトであること」への意識・自覚は強く、「ヒトであること」は彼らの魂の尊厳と直接的に関わるテーマなんだろうなと感じました。

「ヒトであること」を否定されるシチュエーションに臨んだとき、あるいは尊厳を侵された過去に話が及んだとき、3人がそれぞれセンシティブな反応を見せるのもそのせいなのだと思います。

もちろん、正史は主人公がメイガスロードになる(ヒトではなくなる)Aルートです。

ただ、Bルートでのカリスの言葉――“アドラールは貴公に人ならざる力を与えた、そして≪最も尊きもの≫を奪っていった”――や、Cルートラストでの悔恨と願いを聴くに、「ヒトであることは誇り」という意識は、『WIZMAZE』の根底に流れているものなのかもしれないと感じました。

Cルートをプレイしたとき、ヒトであることに執着しヒトらしさに憧れるカリスが印象的だったんですよね。Bルートで自分を抑圧されて然るべき存在だと思ったことは一度もないと語気を荒くして語るアルマや、静かなトーンで魂の痛みについて触れるナジーも、やはり強く印象に残りました。

wizmaze スクショ ナジーシャ 魂の痛み

現代日本人としては、人としての権利を真っ向から否定される状況にはやはり馴染みが薄いです。しかしアルマやナジーほどに深刻なレベルではなくてとも、心の大切な領域を侵される痛みは、生きていれば一度や二度は経験するものだと思います。そういう意味で、メインキャラ3人にはそれぞれ共感できるポイントが多かったです。

ちなみに、項目タイトルの「ヒトであることは誇り」="Human and proud."というのは、"Mutant and proud."(ミュータントは誇り)のもじりです。
カリスの独白を聴いていたら、ふと映画『X-MEN: First Generation』(原題は、"X-MEN: First Class")でのエピソードを思い出したので、項目タイトルに使いました。

以下、『WIZMAZE』とは直接関係のない映画語りです。『X-MEN: First Generation』(X-MEN:ファーストジェネレーション)X-MEN:ファースト・ジェネレーション(2枚組)[4K ULTRA HD + Blu-ray](以下、『FG』)のネタバレを含むので、未見の方はご注意ください。長くなったので、飛ばしたい方はカッコ内のリンクからお願いします(各ルート&エンディング感想へ)。

"Mutant and proud."というセリフは、『FG』の中で何度か象徴的に使われた言い回しです。

ご存知ない方のために一応説明すると、「X-MEN」シリーズは、遺伝子の突然変異によって超常的な力を得たミュータントたちの活躍を描いた物語です。テレパスがいたり、目からビームを出す人がいたり、金属を自在に操る人がいたり、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンがいたりするシリーズですね。

『FG』は新章の第一作目であり、それまでのシリーズから数十年ほど昔(プロフェッサーXにまだ髪があり、歩行もでき、軽妙なミュータントトークで女性をナンパしていた頃)のエピソードを扱っています。

X-MEN:ファースト・ジェネレーション X-MEN: ファースト・ジェネレーション

"Mutant and proud."というセリフを口にするのは、ヒロインのレイヴン・ダークホルムです。彼女はのちに「ミスティーク」を名乗って人類と敵対するミュータントですが、FGにおいては、「普通になりたい」と切望する悩み多き人物として描かれています。

レイヴンは特異な変身能力を持つミュータントですが、その代償と言うべきか、鱗のような青い肌に全身を覆われた体で生まれました。容姿のために忌避された過去を持つ彼女は、「ミュータントであること」に強いコンプレックスを抱き、常に綺麗な女性に変身して生活していたのです。

しかし同じミュータントたちと関わる中で、レイヴンの考え方は徐々に変化していきます。

映画終盤に「人類との共存か敵対か」を迫られたレイヴンは、最終的には後者を選択し、その際"Mutant and proud."(ミュータントであることは誇り)と言い残します。人類から迫害されるミュータントの自分を否定せずに受け入れ、むしろ誇りを持って生きていくという宣言をしたわけです。

もちろん、ミュータントである自分を否定し続けていたレイヴンと、ヒトである自分を否定され続けてきたアルマやナジーでは前提からして違います。

ただ、レイヴンもアルマ&ナジーも、マイノリティーとして辛酸を舐めた末に、自分という存在(自分のアイデンティティー)に強い自覚と誇りを持つという結論に至っているんですよね。そういう意味で、『WIZMAZE』のキャラと『FG』のキャラをどこか似ているように感じたのだと思います。

「X-MEN」シリーズは、少数者に対する差別や疎外をテーマの一つにしています。そもそも、進化した人類であるミュータントは圧倒的なマイノリティーです。親や友人に気味悪がられるのは序の口で、場合によっては迫害されたり、非人道的な実験の被験体にされたりすることもあります。

他のアメコミヒーローものとの違いは、ミュータントたちにヒーロー感があまりないことでしょうか(個人の意見です)。
ミュータントたちの多くは、「普通ではない自分」「理解されない自分」に悩み苦しみます。特別な使命や理由もないのに、特殊な能力や外見を持って生まれ、家庭や社会において差別や迫害を受けたケースが多いからです。

そのため、総じて「周囲と異なる自分をどう受容するか」「自分と世界(人類)の関係がどうあることを望むか」ということを、シリアスに考えるキャラの目立つ作品だと思います(人類支配するマンになった悪役の方が、悩みもなくのびのびとヒャッハーしているイメージ)。

とりあえず、『FG』はマジで面白いのでオススメです(マシュー・ヴォーン監督はスゴイ)。

各ルート&エンディング感想

この項目では、3つのルートとそれぞれのエンディングについて感想を書きます。

アーカイブのヒントを閲覧するとわかりますが、『WIZMAZE』には、以下の3つのルートが存在します。

  • 孤独に血まみれの覇道を歩むAルート(虚無ルート)
  • 仲間と協力し英雄となるBルート(星霜ルート)
  • 謎の賢者と共に真理を追うCルート(強いて言うなら人間/真理ルート?)

Aルートの場合、序盤から終盤まで主人公1人だけで攻略を進めることになります(難易度高め&1周目ではほぼ入れない)。一方、Bルートの場合は主人公と同じ見習いウィザード2人が、Cルートの場合は後半から痩身の男がパーティに加わります。ルートの分岐条件は、各ルートの感想の冒頭に書きました。

私は、BルートAルートCルートの順にプレイしました。そのため、感想も同じ順に書きます。

以下、キャラクターの設定や物語の結末に関する核心的なネタバレを含みます。ご注意ください。

Bルート ~英雄 "Hero"エンド~

Bルートへの分岐点:

アルマヴィタ&ナジーシャのどちらかに協力を求められたとき、その場で応じればBルートに入ります。もし一回目の誘いを断っても、後々再会したときに助けてあげればやはりBルートに突入します。アルマとナジーシャ、どちらか一人が仲間になった時点でルート確定です。

Bルートの感想:

初見の1周目に通ったルートです。初プレイの場合、ほとんどの人がこのBルートに入るのではないでしょうか。(フラグこそ見えるものの)1周目でAルートに入るのは難しく、仲間と協力しない&見捨てるCルートの存在に初見で気づくのも難しいと気がします。

ストーリー的にも、同じ見習い仲間と協力して試練を突破するBルートはいかにも王道的な感じですね。

ちなみに私の初見プレイの内訳は、「古寺院→アルマがパーティイン→腐樹海→ナジーシャがパーティイン」という流れでした(Bルート2周目では先に腐樹海を攻略)。「天空の古寺院」なんて心躍るダンジョン名を出されると、まずはそちらを選ばざるを得ませんでした。

アルマもナジーシャも個性的で素敵なキャラだったので、Bルートでは楽しい時間を過ごせました。やはり仲間との楽しい交流はRPGの醍醐味の一つですね。

アルマにしてもナジーシャにしても会話内容やイベントが豊富で、ついついすべての反応を見ようと躍起になってしまいました(そういう意味で、ギフトは非常に良いキャラ掘り下げシステムだと思いました。すべてのギフトを必死に収集し、2人にそれぞれ贈った記憶があります)。

ただしそれだけに、最終決戦でアドラールが出てきたときは唖然としました。言動があまりに胡散くさく、しかも強制的に「本質」を奪い取られてしまったので。

光の使い手(サーニルン)と呼ぶと字面だけは良いですが、要するに黎明の眷属にされてしまったということです。仲間が助かったことは本当に良かったと思いましたが、主人公がヒトではなくなったので素直に喜べないエンディングでした。カリスが非常に複雑そうな面持ちでコメントをしていたせいでもあります。

もっとも、孤独なオブシディアにとっては、主人公(とナジーシャ)の存在がある程度救いになるのかもしれませんね。カリスの穴埋め的な存在として仲良くなれるかもしれません。

気になるのは、エンディング後の主人公がどこに行っていたのかということです。新しい冒険のフラグだったりするのでしょうか。
あとオブシディアの手記を読むに、サーニルンになるとアドラールに思考を支配されていくようですが、主人公も虚無絶許思想に染まってしまうのでしょうか。虚無の姉妹たちなど、人間界にいる虚無の眷属にとっては胃が痛くなりそうな話です。

アルマもですが、主人公の帰還を喜ぶナジーのデレっぷり反応が可愛いエンドだったことも印象的です。制作者様のブログを拝見すると、Bルートでは見習い3人の友情は今後も続いていくらしいので、後日談を見たいなーと思ったりもします。

Aルート ~魔人王 "MagusLord"エンド~

Aルートへの分岐点:

Aルートへの分岐点は序盤にあります。ウィズメイズ上層にてエリアボスを倒す前に、アドバイザー兼物売りの「見習いオード」の命を奪うと、問答無用でAルートに突入します(命を奪うと言っても、オードはすでに死亡済の幽霊ですが)。

Aルートの感想:

2周目に通ったルートです。Aルートを最後に残すべきかとも思いましたが、アーカイブでルート概要を読んだところ、Cルートはカリスが深く関わるルートっぽかったんですよね。どう見ても最重要人物らしいカリスの種明かしは最後に見るべきだと感じ、2周目はAルートを見ることにしました。

1周目のクリア特典として、地形ダメージを無効化する法衣シルトキルムとチート武器の三元の真理剣を貰いました。そのため2周目以降、サクサクとプレイしたいときに有効活用させていただきました(マクスウェルのお言葉を回収したいときとか)。

ちなみに三元の真理剣は、付与効果が凶悪な武器であり、使用すればダンジョンボス相手にも無双できます。戦闘に歯ごたえが欲しいのなら使わない方がいいかもしれません。

1周目にオードを始末するという選択肢を見つけたときは、不意打ちすぎて驚いたことを覚えています。主人公のスペック的な意味で、1周目にオードを倒すのは難しいです。しかし2周目以降であれば、クリア特典を用いるなどして本懐を遂げることができます。初手に炎耐性を上げる魔法(火柱の壁)を唱えれば、レベル5でも難なく勝つことが可能です。

Aルートではパーティインしてくれる仲間がいませんが、代わりに虚無の末弟オプタトゥムが話し相手になってくれます。ウィズメイズ下層で触媒にされて鬱憤が溜まっている彼ですね。

会話を重ねるとわかりますが、オプタトゥムには絶妙に小者っぽいところがあります。Cルートでカリスとオプタトゥムの関係を知ると、その小者っぽさが重要なキャラクターだったんだなあと思いました。なんだかんだ言いながら付き合いの良い、憎めない神様です。

オプタトゥムは主人公に虚無の力を与える代わりに、他の見習い2人を殺せと要求してきます。先にBルートを通ったこともあって、ナジーとアルマの命を奪う展開はかなりつらかったです。

というのも、2人とも主人公が孕む虚無の気配を察するのに、親切な行動を取ると主人公を信じて謝ってくれるんですよね。
「殺害する」を選んで戦い、絶命時の2人の言葉を聴くのもきつかったですが、「騙して殺す」方は本当に心が痛みました。特にアルマの、「なあ主人公……」にはいたたまれなさがMAXでした。

とはいえ、Aルートには見どころが盛りだくさんです。たとえば、主人公が虚無陣営なので、腐樹海の地下道を顔パスで通れます。

驚いたのは、他ルートだと襲い掛かってくる「深きものども」が、実は同胞に親切で知性のある人たちだったことです。
「深きものども」ことマイノグーラの眷属≪闇の娘≫たちは、戦場における性風俗を担っていた女性たちの成れの果てだそうです。アドラールは自分たちを救ってはくれず、唯一マイノグーラだけが救いの手を差し伸べてくれた、と。

地下道には長のクレトラはじめ多くの姉妹たちがいるので、あちこちを巡って話しかけると楽しいと思います。
2回目にプレイしたときに、虚無の姉妹たちに関してかなりの追加要素を見つけて驚きました。1回目のプレイでも気になっていたキャラたちだったので、掘り下げがあって嬉しかったです。

唯一の問題点は、他ルートで深きものどもを倒すときに罪悪感を感じてしまうようになることでしょうか。普通に本読んだり薬を作ってるだけだったんだな、いきなり居住スペースに知らないヤツが来たらそりゃ攻撃もするよな、と見方が180度変わってしまいました。

姉妹たちの何人かは、「アルスペラを持つ虚無殺しの狂人(=オブシディア)」や、「地下道を訪れた同胞(=カリス)」についての噂話をしてくれます。生前の苦労話だったりカルナや三元に関する話だったりを聞かせてくれることもあり、総じて興味深かったです。

個人的には、ブルージャスミンが好きな心優しいアウレアちゃんと、エリンガナについて説明してくれる察しの良いトルーデリアちゃんが好きです。
前者のアウレアちゃんは、他ルートで出くわした時、他の姉妹たちとは違って主人公たちを襲ってきません。そのことに気づいたときは、普通に追いかけて倒していた前世の自分を思い出して罪悪感に駆られました。

また、Aルートではマクスウェルことケイランと、カリス・アルハザードの会話を見ることができます。

簡単な感想としては、2人ともよどんでいるなーと思いました。気が狂うほど長い時間を2人で過ごしていると、どうしてもこういう空気感になるのでしょうか。カリスの豹変っぷりはかなり迫力がありました。

そして、このルートではオブシディア-カリス間の手紙を読むこともできます。

正直なところ、カリス→オブシディアについては特に、友情以上の感情があるのかな? と思わざるを得ませんでした。「お前がいなければ私は」(オ)だけならまだしも、「二人で隠居してひっそりと暮らそう」「お前が私を思う以上に私はお前を想っている」(カ)は、親友同士で出てくる言葉なのか? と。

まあカリスは古代人といってもいい存在であり、とうの昔にヒトを辞めているので、そういうところに突っ込むのは野暮かもしれません。

カリス、ケイラン、オブシディアを見ていると、友情がこじれたり行き過ぎると大変だなと思います。どちらの組合せも相手に依存気味なので生々しく感じる一方、古典物の友情関係を眺めているような気分にもなりました。

Aルート終盤では、主人公が復活したオプタトゥムとともに宵闇の学院を蹂躙。サーニルンであるオブシディアをも瀕死に追いやって学院を後にします。後日談ではギルドも王室も機能不全に陥ったことが語られ、人間界の未来は非常に暗いものになったことが語られます。

全ルートを通った後に気づいたのですが、3つあるエンドのうち、このメイガスロードエンド真エンドらしいです。個人的にCルートの余韻が気に入っていたのでけっこうショックでした。

Aルートは主人公のマリオネット感が強いというか、RPGとしてはやや物足りなさを感じるルートでした。端的に言えば、主人公はカリスとケイランが構想した復讐劇に欠かせない「主役」ではあっても、「主人公」であるとは言い難い印象です(もちろん、オードの抹殺から学院での虐殺までをノリノリで進めた主人公なら話は別ですが)。

Aルートは、「仮想領域ウィズメイズ、ひいてはこの『WIZMAZE』という作品の根底に、カリスとケイランの強い恨みの念があった」ことが種明かしされるルートだと思っています。

ルート全体を見渡すと、カリスとケイランの復讐心がまず存在し、二人によって創られた箱庭に主人公がやってきて、やはり二人と利害が一致するオプタトゥムが主人公を誘導・支援する……という流れなんですよね。

作品の舞台でありタイトル名でもある「仮想領域"ウィズメイズ"」が、カリスとケイランの目的成就のための空間であることからして象徴的です。そして主人公の正体自体も、二人の積年の望みに応えて真理界が生み出した器らしいと匂わされています。

『ウィズメイズ』の根本にカリスとケイランの存在があるとするなら、たしかにAルートのメイガスロードエンドは真エンドだろうなと納得できます。カリスとケイランの創った世界の中で、二人が長年待ち望んだ存在である「主人公」が、二人の協力者であるオプタトゥムに導かれて理想的な破壊者に成長する。(カリスはともかく)ケイランにとってはまさに快哉を叫ぶほかない展開と結末です。

だからこそAルートの、「脚本家が仕立てた台本を演じる主役」感は、狙ってのものなのかなと最終的には思いました。

虚ろ月の民(虚無界)→アルガン(喚鳴界)→帝国人(星霜界)と人間界の覇者(と後援者)は変遷してきたので、ここで一巡してメイガスロード(虚無界)が現れるのは予定調和と言えるのかもしれません。

アルマやナジーがおそらく現実世界でも死んでしまっただろうことは悲しいですが、主人公が混沌とした人間界でどう振る舞うのかは非常に気になるところです。

Cルート ~カリス "Charis"エンド~

Cルートへの分岐点:

見習い仲間2人(のどちらか)に協力を求められたときに断り、再会したときにも助けずスルーするとCルートに入ります。
天空の古寺院を先に攻略した場合は、ダンジョン入り口でアルマの誘いを断り、終盤の古寺院内で傷ついているアルマをスルーすればOKです。腐樹海を先に攻略した場合は、大沼の手前でナジーの誘いを断り、終盤の海境の祭祀場で弱っているナジーをスルーしましょう。

どちらかを助けなかった時点でCルートが確定し、のちに「痩身の男」がパーティインします。

Cルートの感想:

協力を断るのはまだしも、アルマとナジーを見捨てるのは地味につらかったです。もしも現実で2人が死んでしまったらどうしようと思いました。さすがに瀕死状態のところをスルーしてしまったら、現実に戻った後でBルートのような友情を築くのは難しいかなーとか色々と考えてしまったり。

とはいえ、個人的にはCルートの雰囲気はかなり好きです。3周目にプレイしてよかったと思いました。

Cルートは謎多きカリスの正体が明かされ、主人公の正体も明示されるルートです。Aルートとはまた違う意味での種明かしルートと言ってもいいと思います。カリスのキャライベントと絡み、真実発覚までのフラグ立てが細やかで楽しかったです。

「キャラ感想:カリス」でも書いた通り、ルート内でフィーチャーされるカリスのキャラクターがすごく好きでした。
謎の賢者ポジションから助太刀してくれること、ギフト会話でさすがの知識量を披露してくれることなども含め、カリスと主人公のそこはかとない「師匠と弟子」感は印象深かったです。あと、イベントの一つである「くすぐり魔」には笑いました。

また、AルートやBルートのわかりやすいフラグをスルーして我が道を行く主人公は、「運命を捻じ曲げしもの」っぽくて痛快だなーとも感じます。

会話によってある程度性格を想定することができますが、きっと頑固でマイペースな一匹狼なんだろうなと想像してしまいました。見習い仲間を完全にスルーするところから、カリスに協力を依頼することもなく、パーティインの申し出も断り続けて「くすぐり魔」イベントを起こしていそうなイメージです。

Cルート終盤にカリスの友人になれたのは、正直言って望外の喜びでした。存在レベルで異質な二人が友情を結ぶ、さらに一方は孤独に苦しんでいた過去があるというシチュエーションには燃えるものがあります。マクスウェルの言う通りカリスの暗部が表に出てこないルートだとしても、反省と祈りを込めて主人公に宛てた言葉は、彼の心からのものだと思います。

Aルートが正史である前提を踏まえた上で、Cルート→カリスエンドのトゥルーエンド感はたまらないものがあるなと思いました。主人公が英雄にも魔人王にもならず、自分の真実を知って人間界に戻れたことが無性に嬉しかったです。

今後人間界が消滅への道を辿るとして、主人公はその避けられない運命を覆すことができるのか。カリスの言葉を胸に、主人公が人間界のために闘ってくれる展開をつい期待してしまいます。

*****

ストーリーやキャラも良いですが、『WIZMAZE』はユーザビリティーに優れた作品だと思います。実際にプレイされた方にはわかると思いますが、プレイヤーへの気遣いが細やかで、実に快適にプレイできるんですよね。

たとえば、ウィズメイズ上層での説明書きの見せ方とかスマートすぎてびっくりしました。始めたばかりなのに「これは良いゲームだ」と直感したレベルです。
イベント発生地点が表示されていたり、イベントや戦闘前に確認を取ってくれるあたりも気が利いています。おつかい感やお節介感はまったくないのに、RPGをプレイしていていて引っかかりがちな「かゆいところ」に、ことごとく手が届いているような作品でした。

また、BGMや効果音の演出も見事です。石の床を歩いているとき、腐樹海の湿った地面を踏みしめるときなど、SEの良さや切り替わりの細やかさに感じ入りました。タメとスピード感を意識した音の演出も印象的です。

あと、イラストやドット絵も好きでした。リアル調で凝ったキャラクターの立ち絵や、細かく動くドット絵が素晴らしかったです(カリスとケイランの言い争いのシーンとか)。

色々と書きましたが、『WIZMAZE』はとにかく面白い作品でした。もはやこれしか言っていない気がしますが、追加コンテンツが楽しみです。

記事その1では、『WIZMAZE』の世界設定やキャラクターの攻略的な感想、『WIZMAZE』の魅力について書きました。ストーリー面のネタバレは少なく、紹介&レビュー的な内容です。

関連記事:『WIZMAZE』(ウィズメイズ) マルチシナリオ型ファンタジーRPG レビュー 感想 その1

また、「ダークファンタジーな作風」あるいは「マルチシナリオ形式」が印象的な作品について、いくつか感想を書いています。


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