『せつなゆ魂』 カガクの力で真理を解き明かす恋愛シミュレーションゲーム ※ネタバレ注意

かーめるん

零(ゼロ)と無限の闘争を描く恋愛ADV、『せつなゆ魂』の感想、攻略記事です。制作者は、伽那ノ光(かなの ひかる)様。作品のダウンロードページ(ふりーむ!)はこちらです。 → せつなゆ魂

せつなゆ魂 スクショ タイトル画面

科学者を志す少女が、3日後に訪れる自らの運命の謎を解き明かす物語です。エンディングは13通り。約4時間で全エンドを回収しました。

簡単に感想を述べると、『せつなゆ魂』は抜群に尖った快作であり怪作でした。とことん数学しつつもロマンチックなストーリー、愛と世界を表現する独創的な語りに引き込まれました。

制作者様のセンスや思想等がダイレクトに反映された結果、類を見ないユニークな作品に仕上がっている……フリゲジャンルにはそういった作品が比較的多いと思いますが、『せつなゆ魂』はまさにその類いのゲームだと思います。

そのユニークさ(数学によって世界を物語る表現様式)ゆえに人を選ぶことは確かです。しかし、ツボにハマる人はとことん魅了されるゲームだろうと思います。個人的にはすごく面白い作品だなーと思いました。

以下は、ストーリーやエンディングの詳細な感想です。攻略情報も含みます。未見の方はご注意ください。

あらすじ

最初に、『せつなゆ魂』のあらすじを書きます。

主人公のケイは、数学と物理とタロットカードをこよなく愛し、科学者を志す少女です。ある日、公園でなくした「死神のカード」を探していたケイは、≪無限≫の一族(実数界における"Death")のナユタと出会います。

せつなゆ魂 スクショ ナユタの宣告

ナユタはケイに契約を迫り、彼女が3日後に死ぬ運命にあることを告げます。未来を正確に見通す力を持つナユタは、死後のケイの魂を欲していたのです。

ナユタの真の意図、ケイの親友セツナの思い、そしてケイ自身の選択。彼らの運命は激しくぶつかり合い、やがては「ケイの死」という定点へと向かって収束していきます。

はたしてケイは、己の運命に秘められた真実を、「カガク」によって解き明かすことができるのでしょうか。ケイの「カガク」によって、エンディングは13通りに分岐します。

『せつなゆ魂』の世界観について

この項目では、無限が交錯する『せつなゆ魂』世界の設定を簡単にまとめました。ストーリーやキャラ設定のネタバレを含むので、未見の方はご注意ください。

最初に、作品の公式サイトから『せつなゆ魂』の世界に関する説明を引用させていただきます。

「万物の根源は数である」
三平方の定理で有名なピタゴラスの言葉です。この世界では、真実を表しています。ここは、数に命も魂も宿るという命数法が根付いた世界なのです。

命数法とは、数詞を用いて数を表すやり方です。日本なら、一、十、百、千……という風に数を表現します。

数がとんどんと大きくなると、恒河沙(ごうがしゃ)、阿僧祇(あそうぎ)、那由他(なゆた)、不可思議といったものものしい数詞が現れ、そして無量大数にまで行きつきます。ここまでくると10の何十乗にもなる世界なので、スケールが大きすぎて具体的に想像するのも困難です。

逆に数が一より小さくなる場合でも、対応する数詞が存在します。分、厘、毛、糸……と来て、刹那(せつな)、六徳(りっとく)、虚空(こくう)、清浄(しょうじょう)といった10のマイナス十数乗の数が現れ、涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)に至っては10のマイナス24乗です。この一より小さい数もまた、容易には想像しがたい概念かもしれません。

さて、『せつなゆ魂』の世界を理解する上で、「数に命も魂も宿る」という考え方は何より大切です。先ほど書いたような数詞の一つ一つは、『せつなゆ魂』の世界ではただの言葉ではありません。それぞれの数詞が魂を持ち、人形を持って存在しているのです。

主人公ケイの前には、≪無限≫の一族のナユタと、≪零≫の使いであるセツナが現れます。

実はケイたち人間の生活する「実数界」は、地底に存在する≪無限≫と天上に存在する≪零≫、二つの世界の中間にある世界です。ナユタとセツナはそれぞれ≪無限≫と≪零≫の住人であり、人間とは異なる存在です。

せつなゆ魂 スクショ ナユタとセツナ

≪無限≫と≪零≫はある経緯から対立関係にあり、実数界の人間が死後に選択する魂をめぐって争いを続けています。ざっくり言えば、≪無限≫の王は野心家で実数界に敵対的≪零≫の女王は穏健派で実数界に好意的です。

≪無限≫の一族と≪零≫の使いは、ときたま実数界の人間の認知するところとなり、やがてはファンタジックな存在として伝承されるようになりました。そのため人間たちは、人間の魂を無理に奪おうとする≪無限≫の一族を"Death(死神)"、人間に味方し戦う≪零≫の使いを"judgement(天使)"とそれぞれ呼ぶようになったのです。

作品全体の感想

『せつなゆ魂』は、「恋愛シミュレーション」と説明されています。ただ、実際にプレイしたときは、「生き残ることを目指す選択重視のADV」であるという印象を受けました。クリア後に作品説明を確認し、恋愛SLGだったのかと驚いたくらいです。

もっとも、主人公が生き残る(=運命の環を壊す)結末を導く核心は「恋(の力)」なので、恋愛シミュというカテゴリも納得ではあります。

めくるめく数学と恋の物語

『せつなゆ魂』の世界は、その隅々までもが数学に満たされています。

主人公たちは数学によって会話をし、物事の本質を探究します。それでいて、物語の核心は常に「恋の力」です。ロジカルかつ数学的に世界が語られる一方、閉塞したその世界を打ち砕く鍵となるのは、常にエモーショナルかつロマンチックな恋心であるわけです。

一見正反対に思える両者を密接に絡め、溶け合わせながら物語を進めていくやり方に、個人的には非常に惹かれました。

『せつなゆ魂』の冒頭では、プレイヤーに対して「ある命題」が提示されます。その命題が「真」であることを証明するルートが「真の証明」、偽であることを証明するルートが「偽の証明」です(この導入だけを見ても、この作品のユニークさはよくわかります)。

ちなみに、最初に提示される命題の内容は、以下の通りです。

ある瞬間における全ての物質の位置と力学的状態を知ることができ、それらのデータを解析できる知性が存在すると仮定する。この知性の前ではあらゆる現象が確定し、未来も過去も全て見通すことができる。

「なんのこっちゃ」と思われた方は、それでOKだと思います。実際私もそう思いました。しかし、ストーリーを進めるうちに「なんのこっちゃ」は「そういうことか」に変わり、心地よい快感をもたらしてくれます。

個人的にスゴイと思ったのは、無限と零という数学的な概念を、見事にキャラ&世界観設定に対応・昇華させている点です。ファンタジーな存在である死神や天使が、このゲームにおいては、科学や数学にピッタリと結びつけられています。見事な発想だと思います。

たとえば、≪無限≫の一族は地底に潜むDeath(死神)、≪零≫の一族は天上に住まうJudgement(天使)……という設定が、命数法とX軸だけの図によって非常にコンパクトかつわかりやすく説明される場面があります。

f(x)=-1/x, f(x)=1/xの図を見たとき、数学と設定の絡ませ方、世界観の視覚化の巧さに衝撃を受けました。≪無限≫と対立する形で≪零≫が成立した経緯も実に壮大です。

せつなゆ魂 スクショ 世の成り立ち

また、「無限の一族であるナユタ(那由多)と≪零≫の使いであるセツナ(刹那)が、ケイ(任意の自然数k)の運命を巡って交錯する」という筋書きも素晴らしいと思います。

ストーリーの落としどころが、「無限×零=未来は未確定」となることにも感嘆しました。最初は意味がわからなかった「せつなゆ魂」というタイトル名を、ストーリーの核心的要素として見事に回収しきっています。

そして何より、数学がみっちりと詰まっているゲームなのに、数学とそれなりに付き合ってきたレベルのプレイヤーにもわかりやすいのが素晴らしいと思います。
ナユタの数学的帰納法を利用した未来予測や、アレフゼロに関するアソウギとケイの問答など、最初は「なにそれ」と思う話題でも、文章を読んでいけば「なるほど」と納得できます。

基本的に表現したい事柄があり、その事柄の本質を表すために数学を用いているんですよね。ただ難解に数学を語っているわけではなく、語りたいことのために数学を用いているわけです。
数学を使った表現に工夫が凝らされているので、すんなりと話の筋に納得でき、数学の面白さとストーリーの面白さを同時に味わうことができました。

独特のイラストレーションと語り

ストーリーのみならず、表現方法も斬新で面白いゲームでした。メッセージウィンドウに頼り切らず、キャラのセリフを漫画の吹き出しのように提示し、画面に情報を詰め込む手法がとられています。なかなか類を見ない表現形式であり、情報量がとにかく多いこの作品のストーリーとうまくかみ合っていた印象です。

ただ、その表現方法の帰結として、このゲームには膨大な数の一枚絵が用意されています。キャラ立ち絵がなく、場面ごとに一気に絵が移り変わるためです。

プレイ中は、一枚絵の多さに驚愕しました。別にイラストレーターの方がいらっしゃるようですが、これだけの量のイラストを描き上げるのは大変だったのではないかと思います。
プレイヤーとしては、綺麗なイラストをたくさん見られて眼福でした。特に、格好良く決めている場面でのセツナやナユタの美しさには見惚れました。

また、個人的には文章も好きです。硬すぎもせず柔らかくもなく、数学的表現が多く尖ったセンスが感じられるのに読みやすいと思います。比喩表現がうまく、心に引っかかる言い回しも多かったです。

特に印象に残ったのは、真の証明ルート終盤のケイのモノローグでしょうか。「みんな、どんな人であっても、次の瞬間生きてる確率はほとんど100%」「ねえ、シュレーディンガー」から始まる、哲学的で切々とした独白にまず引き込まれました。

そこから、「私は猫を追いかけた。猫がいたところに私が辿り着いたとき、猫は少し進み、私の1m先をゆっくり歩いていた」という文章が「1m」を10cm、1cm、1mmに代えて繰り返され、最後に「私は永遠に猫に追いつけなかった」で結ばれる流れはどうしようもなく切なかったです。ゆっくりと近づく死の運命をケイが諦めて眺めているようで、やるせなさと絶望感がこみ上げました。

命題の示すもの ~『せつなゆ魂』の大要~

以下の内容には、ストーリーの核心への言及が含まれます。ネタバレにご注意ください。

簡単に説明すると、上で示した命題が指す(未来も過去も全て見通すことができる)「知性」とは、死神のナユタのことです。すべてを見通す存在であるナユタに、「予測不可能なこともある」という証拠を突きつける。それが主人公ケイとプレイヤーの目指すゴールと言えます。

「数学的帰納法」という考え方があります。自然数に関する命題を証明するときに用いる手法の一つです。

まずは、n=1のときに命題が成立することを示す。次に、n=kのときに命題が成立するならば、n=k+1のときにも命題が成立することを示す。ツーステップを踏むことにより、1からスタートして2, 3, 4...と、すべての自然数nについて命題が成立することを確認できます。ドミノ倒しの要領で証明を行うわけですね。

人間とは異なる存在であるナユタは、この数学的帰納法の考え方を用い、現在の瞬間とその次の瞬間を観測して未来を見通すことができます。また、変えようと思えば他者の未来を変えることもできます。ナユタにとって他者とは予測可能なものでしかなく、世界もまた、退屈極まりないものでしかありません。

そんなナユタは、ただの人間であるケイに執着しています。それは、≪無限≫の一族である彼にも「ケイの死の運命だけは変えられないから」です。
ケイの運命はまるで歴史の定点であるかのように固定され、変数であるナユタにも覆せないものです。それはなぜか。ナユタはそこに「世界の真実」が隠されているのではないかと期待し、一方で、どうあってもケイを救えないことに絶望してもいます。

単純に本筋を追えば、『せつなゆ魂』は、ケイが死の運命を克服するまでの物語です。しかしその裏を見れば、「ケイが自らに秘められた可能性に気づき、決まりきった未来に諦念を抱いているナユタを救うまでのストーリー」と表現することもできます。命題を見るに、むしろその裏テーマこそ、『せつなゆ魂』の大要であると言えるのかもしれません。

エンディングの攻略と分岐について

以下、エンディング内容のネタバレにご注意ください。

『せつなゆ魂』には、13通りのエンディングがあります。それぞれのエンディングには、「運命の環」や「塔」など、タロットの暗示が割り振られています。

ざっくり分類すると、「真の証明」ルートで迎えられるエンディングは1通り、「偽の証明」ルート由来のエンディングは11通りです。それら12のエンディングに加えて、本編のストーリーとは関係のないおまけエンド(in「証明しない」ルート)が1つ存在します。

詳しく説明すると、「真の証明」ルートでは「カガクする」という選択肢を選ぶことができません。分岐場面がたくさんあっても、「カガクしない」という選択肢しか選ぶことができないのです。ゆえに、このルートで到達できるエンディングは1通りです。

「真の証明」ルートはいわば、“「せつなゆ魂」によって定められた通りの運命をたどるルート”と言えます。ケイは歴史の定点のままであり、その死は覆されません。

一方、「偽の証明」ルートでは、その時々において「カガクする」という選択肢を選べるようになります。

このルートのトゥルーエンド(と仮に表現します)には、すべての分岐場面において「カガクする」を選び、ナユタの指環を受け取ることで到達可能です。そして、「カガクしない」を選んだ場合、それぞれの選択場面から異なるエンディング(だいたいバッドエンド)に分岐します。

ちなみに、トゥルーエンドはナユタエンドです。また、とある場面で「カガクしない」を選ぶことで、セツナエンドへの道が拓けます。 つまり、「偽の証明」ルートに用意されている11通りのエンディングの内訳は、ナユタエンド×1+セツナエンド×1+その他のエンド×9ということになります。

以下では、13のエンディングについて分岐条件と感想を簡単に書きます。ナユタエンド、おまけエンド、セツナエンドのエンディングタロット名は伏せました。

1.エンディングタロット:運命の環

「真の証明」ルートにおける唯一のエンディングです。このルートでは「カガクする」を選ぶことができないため、ケイは任意の自然数kにもカガクシャにもなれず、その死は覆されません。

上でも述べましたが、このエンドでは、自らの死を疑問に思い続けるケイの諦念まじりの独白が印象的でした。冒頭のやりとり(医師と看護師の会話)の意味も、ここではっきりと明らかになります。

2.エンディングタロット:月

死神のカードを失くした場面で、「カガクしない」を選びます。

このエンドでは、≪零≫の成り立ちや≪零≫の女王の過去が明かされます。『せつなゆ魂』の世界設定はつくづくユニークで面白いなと思いました。最終的にセツナはアソウギと停戦することにしたようですが、トゥルーエンドのように共同戦線でも組むのでしょうか。

3.エンディングタロット:隠者

「なぜ家に戻っているのか?」の場面で、「カガクしない」を選びます。

いきなり「きさま!見ているなッ!」展開になって驚きました。エンディングの暗示が「隠者」なので尚更です。

4.エンディングタロット:力

まず、セツナにモヤモヤする場面で「カガクしない」を選びます。この直後にセツナは、「ナユタから何も受け取るな」とケイに言います。この場面の返答は、【約束するor約束しない】のどちらでもOKです。
その後、ナユタはケイに契約の指環を差し出します。指環を受け取った場合、このエンディングに到達します。

大岡裁きverストレングス。プレイヤーとしてはOh...と言う他なかったです。

5.エンディングタロット:???(アルカナ名は伏せます)

まずは上と同じ手順で、セツナにもやもやする場面で「カガクしない」を選びます。そしてナユタから指環を差し出されたとき、「受け取らない」を選びましょう。以降はセツナルートに突入します。セツナルートおよびセツナエンドの詳細に関しては、下に別項を設けて書きました。

6.エンディングタロット:吊るされた男

セツナルートでの最終決戦に敗北すると、このエンドになります。結末はお察しでした。

7.エンディングタロット:正義

ナユタが転校してきたシーンで「カガクしない」を選びます。

混乱のあまり思考を投げ出すケイ。セツナに肩を揉んでもらいながら唐突に終わったので笑いました。このエンディング、肩もみ描写が妙に細やかかつ丁寧なので、ついついセツナにマッサージしてもらいたくなります。

8.エンディングタロット:愚者

「この瞬間の世界を観測し次の瞬間の世界を予測できることが何を意味するか?」のシーンで「カガクしない」を選びます。

まさかのイチエンドでした。正規ルートでは当て馬感バリバリのイチですが、このルートでは身を挺してケイを守ったりナユタに啖呵を切ったりと熱い活躍を見せてくれます。イチの介入でケイの運命が変化したことに何より驚愕しました。セツナもしれっと蘇生したらしいので、三人仲良しハッピーエンドと言えるのかもしれません。

9.エンディングタロット:死神

ナユタに指環を差し出されたシーンで、「指環を受け取らない」を選択します。

「死神」の暗示なだけあって、なかなかインパクトのあるエンドです。「アンタは3日後には死なない」「さあ、ケイ 一緒に生きよう」と語りかけながら鎌を振り上げるナユタにゾクゾクしました。悲劇を繰り返してナユタが精神的に追い詰められていること、Deathであるナユタの価値観が人間とは異なることがよく表れている結末だと思います。

10.エンディングタロット:女教皇

バスケットボールシーンで「カガクしない」を選びます。ヤンデレかつブラコンなアソウギエンドでした。

11.エンディングタロット:塔

ナユタの運命を占う場面で「カガクしない」を選びます。

「塔」の暗示は、破壊、悲劇、崩壊など。またもナユタが負の方向に吹っ切れるエンディングでした。人間のように生々しい感情を見せるナユタが見られるので、けっこう印象深いエンドです。

12.エンディングタロット:???(伏せます)

ここまでのすべての選択肢において「カガクする」を選び続け、指環を受け取った上で、「科学兵器を解き放つ」を選びます。ナユタエンドです。詳細に関しては、すぐ下の項で個別に感想を書きました。

13.エンディングタロット:???(伏せます)

「証明しない」ルートの唯一のエンディング。クリア後のおまけエンドです。これに関しては感想を省きます。

ナユタエンドの感想

常に「カガクする」を選び続け、ナユタとの契約を受け入れると、ナユタの運命を占うシーン直後から分岐が生じます。最後に「科学兵器を解き放つ」を選択すると、ナユタエンドになります。
ちなみに、科学兵器を解き放たない場合は強制的にゲーム終了です。

ナユタエンドへ繋がる流れは、数学と恋という『せつなゆ魂』の二大テーマを、この上なく綺麗に結び付けるものだったと思います。閉塞した世界に倦んでいるナユタを救おうと行動するケイを見ていると、ナユタがケイに惹かれた理由がよくわかりました。

ラスト手前の、死神であるナユタが涙をこぼすシーンにはかなりグッときました。結局のところ、ナユタはケイの運命を変えようとあがいていたわけなので、ラストでケイと結ばれてよかったなーと素直に思いました。

ナユタエンドルートでは、セツナとアソウギも印象的な活躍をしていたと思います。セツナについては、要所要所でナユタとケイの橋渡しに努めるなど、まさにキューピッドのような働きをしてくれました。「無限×零は不定形。確定した未来などない」「人を知れ。己を知れ。そして恋を知れ」といった、作品の主題を端的に表したような名言も記憶に残ります。
あと、ジャッジメントモードのセツナは本当に麗しくて、彼女のイラストが出てくるたびにテンションが上がりました。

一方アソウギは、兄への切ない恋心と、無限を探求するケイとの真剣な問答が見どころだったと思います。特に後者のアソウギとケイの問答は、最初はちんぷんかんぷんな数学的会話に思えるのに、だんだんと2人の意図や求めるところがわかってくる点が本当に見事です。数学って面白いな、と月並みですがそういう率直な感想を抱きました。

ナユタがケイを愛した理由をセツナが語るシーンから、ケイの成した「奇跡」が畳みかけるように示されるシーンまでの盛り上がりは、実際に見ないとわからない類のものだと思います。それまで端々で提示された数学的ワードがこれでもかとばかりに並べられ、ケイのカガクが科学となったことに静かな興奮を覚えました。めでたしめでたしの爽やかなハッピーエンドでした。

セツナルートの攻略&エンディング感想

ここでは、『せつなゆ魂』の"別解"ルートとも言える、セツナルートに関して詳しく書きました。

セツナルートの攻略

あらためて書くと、セツナにもやもやする場面で「カガクしない」を選ぶことが非常に重要です。「ナユタから何も受け取るな」というセツナの言葉に対しては、どちらの返答でもOKです。分岐に影響はありません。大事なのは、実際にナユタから指環を受け取るか否かです。指環の受け取りを拒否した場合、セツナルートに入ります。

せつなゆ魂 スクショ セツナとアソウギ

セツナルートでは、アソウギ&ナユタのそれぞれと戦闘することになります。流れとしては、アソウギとの戦闘に4回勝利してレベルアップした後で、ラスボスのナユタに勝利する必要があります。アソウギに負けるとゲームオーバー、ナユタに負けると個別エンディングに移行します(エンディングタロット:吊るされた男)。

戦闘について

一対一のコマンド形式のバトルです。コマンドは、「通常攻撃」「全霊突撃」「徹底防御」の3つ。自分のコマンドと敵のコマンドの組合せによって、敵にダメージが入るか否か、入ったとしてダメージ量はどの程度かが決定されます。ジャンケンっぽい形式のバトルと言えます。

味方コマンドと敵コマンドの対応関係やダメージ量に関しては、公式サイトに詳細な説明が掲載されています。

個人的には、【「徹底防御→見切って精神力50%アップ」の流れを2回繰り返す→精神力100%で必殺技を発動】という戦法が手っとり早くていいなと感じました。発動までスムーズに進むかは時の運とはいえ、敵が強くなればなるほど必殺技は有用です。

たとえばラスボスのナユタは、防御もHPも高いので通常攻撃があまり通らないんですよね。だから、必殺技でガツンと削った方が倒しやすい気がしました。

注意点として、相手に必殺技を使用されるとマズいです。相手の精神力が高まり始めたら、すぐさま妨害するが吉です。

セツナルート&エンド感想

このルートでは、セツナもまたケイの死の運命を知って傍に居たことが明らかになります。

セツナとケイは3年前に出会って友達となり、今では親友同士です。個人的には、「平行ではない2つの直線」という例えを用いて、今2人が一緒にいることを思うケイのモノローグが好きでした。人の出会いと別れの不思議を数学で詩的に表現した、短いながらも印象に残るシーンだったと思います。

キャラクター的にはセツナが一番好きだったので、セツナと一緒に生きられるセツナルートはなかなか胸熱でした(ナユタには申し訳ないものの)。戦闘を繰り返してクライマックスに雪崩れこむ、ストレートに熱いストーリーだったと思います。あと、イチが親身になってケイを励ましてくれる展開も良かったです。

また、「ケイの生死を期待値なんかで片付けないで」と涙するセツナにグッときました。ナユタエンドを見た後で、これもまた、"カガク"によって閉塞した世界を壊したシーンだったのかなとあらためて思いました。

ナユタエンドとはまた異なる意味でドラマチックなエンディングでした。ガチの恋愛エンドになって驚きましたが、正真正銘のハッピーエンドで嬉しかったです。セツナの存在はナユタとは異なるものになりましたが、≪零≫の使いが半分人間であることを思えば、納得の落としどころだなーとも思いました。

*****

『せつなゆ魂』は、BGMも良い作品でした。タイトル画面の曲が流れる場面では、問答無用で切ない気持ちになりました。

ところで、プレイ中にボカロ曲の『カゲロウデイズ』を思い出しました(といっても前にちょっと聴いたことがある程度ですが)。公園、猫、猫を追って車に轢かれる、死の運命を変えられない……など、作品に符合する要素が多い気がします。もちろんまったくの偶然かもしれませんが、EDの楽曲もボカロ曲だったのでオマージュだったりするのかなーとちょっと思いました。

あまりにも世界が完成されているので、完璧と言ってしまってもいい作品かもしれません。この制作者様だからこそ創り出せた感のある、秀逸で濃いゲームでした。面白かったです。

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